ありがとう ここに来れてうれしいです 古くて新しい素材についてお話します 私たちを驚嘆させ続けていて 材料科学や高度技術に対する 考え方に影響を与えるかもしれない素材です 今後もしかすると 医学や 世界的保健や森林再生にも貢献するかもしれません 少し大胆な発言ですね もう少しお話しましょう この素材は実際信じられない特性を備えています 素材は持続可能で 全ての加工は常温の水の中でされます 時間設定した生分解ができ コップの水に瞬時に溶けるようにも 何年も変化しないようにもできます 食べることもでき 免疫反応を起こさず 人体に埋め込むこともできます 実際 身体と一体化してしまいます 技術的な特性もあるので ミクロ電子工学にも使え 光通信学的なこともできそうです その素材は このようなものです 見たとおり この素材は透明です 構成要素は水分とタンパク質のみです この素材は絹でできています なじみのある絹とは 少し違います では5千年の歴史があるものを どうやって作り変えるのか? 発見過程とは概して自然からヒントを得るものです そこで蚕の興味を向けます この蚕は繊維を紡いでいるところです 蚕は驚くことをします 分泌腺から出るタンパク質と 水の2つの材料を使い 非常に耐久性のある保護素材を作るのです ケブラーのような 工業用繊維に匹敵します 私たちが知っていて なじみのある リバースエンジニアリングで 繊維工業を見ると 繊維工業は繭をほぐして 華やかなものを作り出しています 知りたいのは どうやって水とタンパク質を ケブラーの溶液 この自然ケブラーにするかです 実際にこれをどのように リバースエンジニアして 繭から分泌腺へと逆行し 出発物質である水とタンパク質にたどり着くかです これに関しては 私も一緒に働く光栄にあずかった デイビッド・カプランという人物が 約20年前に解き明かしました そして出発物質が得られ これが基本的な構成要素に戻ります そしてこれを使って様々なもの 例えばフィルムなどを作ります 非常に簡単なことを利用します フィルムの作り方は タンパク質に高度な特性が あることを活用したものなのです 自己組織化ができることです レシピは簡単で 絹の溶液を流し込み タンパク質が 自己組織化するのを待ちます そして水分が蒸発しタンパク質が集合したら フィルムになったタンパク質を取り外します フィルムは技術的でもあると言いましたが それはどういう意味か? それは典型的な技術のいくつかと 連結できるということです ミクロ電子工学やナノスケール技術などです このDVDの画像は 絹は表面の非常に僅かな 起伏をたどることを説明するためで このため ナノスケールで起伏を複製できるということです つまりDVDに記録された 情報を複製できるということです 情報を水とタンパク質のフィルムに記録できるのです 試しに絹の一片にメッセージを書いてみました これです メッセージはここです DVDのように光学的に情報を読み取れます 手が震えるとダメなので ステージで大勢の人たちを前にしてやれるか やってみましょう 透明のフィルムですが こうすると― (拍手) ここで一番すごい業は やっている間 手が震えなかったことです そして一旦 素材のこのような 特性が手に入ると たくさんのことができます 実際フィルムに限られません この素材は様々な形態にすることができます ちょっと凝ったことをして 色々な光学素子や ランニングシューズの反射テープのような マイクロプリズムを作ったりできます 美しいものも作れます カメラで写せますか? フィルムに立体感を加えて ちょうどいい角度で見ると 絹のフィルムにホログラムが浮かび上がります 他のこともでできます 純タンパク質で光を導くことが できるかもと考え 光ファイバーも作りました でも絹は万能で光学以上のことができます 様々な形態が考えられます 例えば医者に行って注射されるのが怖いなら 極細の針を作ればよいのです 画面にあるのは人間の髪の毛に 絹でできた針を重ね合わせたものです 細さが分かると思います もっと大きなものも作れます 歯車やネジやボルト これらはWhole Foodsで買うことができます 歯車は水中でも使用できます 機械の代替部品について考えると ケブラーの溶液は 例えば末梢静脈や 骨丸ごと1本を交換する耐久性のあるものとして 使えるかもしれません ちょっとした見本として ミニチュアの頭蓋骨があります ミニ・ヨリックと呼んでいます (笑) でも例えばカップのようなものも作れます 金と半導体を少し加えれば 食品の表面に貼り付けられるセンサーが作れます 折り曲げたり包んだりできる 電子装置も作れます ファッションに敏感な人なら絹のLEDタトゥーでも ご覧のとおり 絹には 素材形態の 多用途性があります まだ他にも独特の特性があります どうして実際にこれが役立つのか? 最初に少し述べましたが タンパク質は生分解性や生体適合性があります これは組織切片の写真です 生分解性と生体適合性があるから何だと言うのか? 身体に埋め込んだ後 取り除く必要がないということです つまりお見せしたすべての装置や形態は理論上では 身体に埋め込まれた後 消えてしまうということです この組織切片に見えるのは 実は反射テープです 車からあなたのことが見えるように 光を当てれば組織の奥まで見ることが できるというアイデアです 絹でできた反射テープがあるからです 更にこれは組織と一体化します 人体と 一体化するだけではなく 環境と一体化することも重要です タンパク質の時間設定をすると このような絹のカップができ 罪悪感なしで捨てることができます (拍手) 残念なことに埋立地に日々溜まっていく 発砲スチロールのカップとは違います 食べることもできるので そのまま調理できる 食品用のスマート包装も作れます 味はよくないので 助けが必要なんですが でも最も素晴らしい点は元に戻るということです 絹は自己組織化の過程で 生体物質の繭として機能します そこでレシピを変えて 流し込む時に何か加え― 絹の溶液に何か加え それが酵素であろうが 抗体やワクチンであろうが 自己組織化の過程が これらのドーパントの生体機能を守ります つまり素材は環境に対して活性を持つようにも 持たないようにもできるのです 先ほどお見せしたネジも 実際に折れた骨を 繋ぎ合わせるネジとして使えるのです 骨が治癒している間 同時に薬品を投与することもできます 要冷蔵の薬品を財布に入れておくこともできます そこでペニシリンの入った 絹カードを作りました これを2ヶ月間摂氏60度 つまり華氏140度で保存しましたが ペニシリンの薬効は失われませんでした ですからこれは― (拍手) これはソーラー冷蔵庫を背負った ラクダより良い案かもしれません もちろん使用できなければ保存の意味はありません それにはもう1つの独特の素材特性があります 素材の分解を設定することができるのです ここに見えるのがその差です 上は分解しないよう設定されたフィルムで 下は水中で分解するよう設定されたフィルムです ご覧のとおり 下のフィルムは 中身を放出しています このように保存したものを使用することができます 時間制御した薬品投与や 環境への還元も可能となります 見て頂いた形態のどれでも可能です これらの発見を繋いでいるのは実際に糸なのです 静脈や骨の差し替えや もっと持続可能な ミクロ電子学を行うこと コーヒーを飲んだあと罪悪感なく カップを捨てたり 薬をポケットに入れて持ち歩て それをそのまま飲んだり そのまま砂漠を渡って届けたり したいことが何であれ 答えは絹糸に あるかもしれないことには感動させられます ありがとう (拍手)