WEBVTT 00:00:00.222 --> 00:00:03.874 数年前 生産性にこだわるあまりに 00:00:03.874 --> 00:00:06.349 私は燃え尽き症候群に 一時 陥ってしまい 00:00:06.372 --> 00:00:08.258 とても恐ろしい体験をしました 00:00:08.282 --> 00:00:12.098 不眠症、体重増加、脱毛症― とにかくひどかったんです 00:00:12.122 --> 00:00:14.468 あまりにも働きづめで 00:00:14.492 --> 00:00:17.118 頭に 何もアイデアが 浮かばなくなってしまいました 00:00:17.142 --> 00:00:21.517 そこで自分らしさが生産性に 結びついていると気づいたんです NOTE Paragraph 00:00:21.541 --> 00:00:24.350 [シリーズ 働き方] NOTE Paragraph 00:00:25.872 --> 00:00:29.548 一日の間に十分生産的でないと 罪悪感を覚えますか? 00:00:29.572 --> 00:00:31.888 生産性を上げるための 啓発本を読んだり 00:00:31.912 --> 00:00:35.498 新しい手法やアプリを試して もっと仕事をこなそうとしたりは? 00:00:35.522 --> 00:00:38.203 私は全部やりました To Do やカレンダーのアプリや 00:00:38.227 --> 00:00:39.396 時間管理アプリなど 00:00:39.396 --> 00:00:41.239 一日を管理するためのツールを色々です 00:00:41.239 --> 00:00:43.908 もっと仕事をこなそうとするあまりに 00:00:43.932 --> 00:00:45.988 私たちは一番重要なことを 見落としています 00:00:46.012 --> 00:00:48.228 こういうツールの多くは 役に立つどころか 00:00:48.252 --> 00:00:50.018 事態を悪化させています NOTE Paragraph 00:00:50.042 --> 00:00:52.700 では 「生産性」について ちょっとお話ししましょう 00:00:53.033 --> 00:00:55.771 歴史的には 現代で言う生産性は 00:00:55.795 --> 00:00:58.008 産業革命の頃に使われた言葉で 00:00:58.032 --> 00:01:01.788 継続的な生産量に基づいて 効率を測るシステムです 00:01:01.812 --> 00:01:03.189 定刻にシフトに入ったら 00:01:03.213 --> 00:01:07.158 組み立てラインで X個の製品を作る責任が生まれます 00:01:07.182 --> 00:01:09.588 一日の終わりには よく働いた者とそうでない者を 00:01:09.612 --> 00:01:11.638 見分けるのは容易でした 00:01:11.662 --> 00:01:13.858 知識経済に移行すると 00:01:13.882 --> 00:01:16.988 人々に与えられるタスクは もっと抽象的なものになりました 00:01:17.012 --> 00:01:19.548 文章の執筆や問題解決 戦略の考案など 00:01:19.572 --> 00:01:21.418 数量化しにくいタスクばかりです 00:01:21.442 --> 00:01:23.219 企業は 誰が仕事をしていて 00:01:23.243 --> 00:01:25.720 誰がそうでないかを 見分けにくくなったので 00:01:25.744 --> 00:01:29.538 従来のシステムを どうにか応用することにしたんです 00:01:29.562 --> 00:01:32.018 そこで生まれたのが 疎ましいタイムシート 00:01:32.042 --> 00:01:34.658 誰もが一日をどう過ごしたか 1秒単位まで 00:01:34.692 --> 00:01:37.068 正当化するプレッシャーに さらされます NOTE Paragraph 00:01:37.092 --> 00:01:38.338 でも問題がひとつ 00:01:38.362 --> 00:01:41.696 このシステムは創造的な仕事には 向かないのです 00:01:42.131 --> 00:01:44.968 生産性はいまだに 耐久スポーツのように考えられます 00:01:44.992 --> 00:01:47.108 ブログにできる限り多くの 投稿をしてみたり 00:01:47.132 --> 00:01:49.543 一日を会議の予定で いっぱいにしたりします 00:01:49.683 --> 00:01:53.838 でも継続的にアウトプットするモデルは 創造的な思考には合わないのです 00:01:53.862 --> 00:01:57.418 現在では 知的労働者は 大きな難題に直面しています 00:01:57.442 --> 00:02:01.968 常に同程度に 生産的かつ 創造的であれと求められるのです NOTE Paragraph 00:02:02.034 --> 00:02:06.798 でも 休むことなく新しいアイデアを 脳が生み出し続けるのは 00:02:06.822 --> 00:02:08.078 ほぼ不可能です 00:02:08.102 --> 00:02:11.808 実際のところ 脳が 回復し きちんと機能するには 00:02:11.832 --> 00:02:14.028 休憩時間が必要不可欠なのです 00:02:14.051 --> 00:02:18.728 南カリフォルニア大学の 研究チームによると 00:02:18.752 --> 00:02:22.138 ぼーっとする時間は 必要不可欠な心的状態だと言います 00:02:22.162 --> 00:02:24.419 アイデンティティを形成し 00:02:24.443 --> 00:02:26.338 社交的なやり取りを 咀嚼するのに役立ち 00:02:26.362 --> 00:02:29.978 倫理的指針にさえ 影響するのだと言います 00:02:30.002 --> 00:02:34.313 休憩の必要性は てきぱき働けという 主流の考え方と矛盾します 00:02:34.337 --> 00:02:37.128 つまり 社会として 私たちが互いに 00:02:37.152 --> 00:02:39.518 成功とは何か 成功するにはどうすべきか 00:02:39.542 --> 00:02:41.028 言い聞かせ合う考え方のことです 00:02:41.052 --> 00:02:42.728 例えば アメリカンドリームは 00:02:42.752 --> 00:02:45.648 深く根付き 信じられています 00:02:45.672 --> 00:02:48.868 よく働けば成功できるとされています 00:02:48.892 --> 00:02:50.418 でも この話は逆にも働きます 00:02:50.442 --> 00:02:52.328 成功できないのは 00:02:52.352 --> 00:02:55.928 十分に頑張っていないからだと 見なされるのです 00:02:55.952 --> 00:02:58.218 自分が頑張れていないと思ったら 00:02:58.242 --> 00:03:00.898 もちろん 夜遅くまで働き 徹夜したりして 00:03:00.922 --> 00:03:03.578 よくないと思いながらも 自分を追い込みますよね NOTE Paragraph 00:03:03.602 --> 00:03:06.568 生産性は自尊心と 密接に結びついているので 00:03:06.592 --> 00:03:09.848 頑張るのをやめてもいいかと思うのは 00:03:09.872 --> 00:03:11.080 不可能に近いことなのです 00:03:11.104 --> 00:03:15.898 アメリカの平均的な社員は 与えられた有給休暇の半分しか使いません 00:03:15.922 --> 00:03:19.365 私たちが休むという選択肢を 与えられても なお 00:03:19.395 --> 00:03:20.688 休まないことを示しています NOTE Paragraph 00:03:20.712 --> 00:03:23.178 言っておくと 生産性や 00:03:23.202 --> 00:03:25.608 成果を上げることが悪い ということではありません 00:03:25.608 --> 00:03:28.716 創造的な仕事を測るのに 現在使われているモデルが 00:03:28.716 --> 00:03:30.694 適していないのです 00:03:30.694 --> 00:03:33.308 モデルに使うのは 創造性に反するものではなく 00:03:33.332 --> 00:03:34.634 創造性に合うものにすべきです NOTE Paragraph 00:03:34.658 --> 00:03:35.888 [では どうすればいい?] NOTE Paragraph 00:03:35.912 --> 00:03:38.228 簡単な解決法はありません 00:03:38.252 --> 00:03:39.958 それは困りますよね 00:03:39.982 --> 00:03:42.778 私だって良いやり方や 頭文字を組み合わせたモットーが 00:03:42.802 --> 00:03:43.961 何かあればと思います 00:03:43.985 --> 00:03:47.048 でも実際には 一人ひとりが 自分の考えを 00:03:47.072 --> 00:03:48.418 見いださねばなりません 00:03:48.442 --> 00:03:51.748 私は自分の仕事にまつわる信念を 掘り下げてみて初めて 00:03:51.772 --> 00:03:55.314 自分の仕事論の根本を 明らかにでき 00:03:55.338 --> 00:03:58.278 ようやく悪い習慣をやめて 00:03:58.302 --> 00:04:00.818 良い方向へと 長期的な変化を生み出せました NOTE Paragraph 00:04:00.842 --> 00:04:02.332 そのための唯一の方法は 00:04:02.356 --> 00:04:05.448 答えの出にくい難しい問いを 自分に問うてみることです 00:04:05.472 --> 00:04:07.708 忙しくすることで 自分の価値を感じるか? 00:04:07.732 --> 00:04:10.238 成功の模範として 目指す人は誰か? 00:04:10.262 --> 00:04:12.604 自分の考え方や職業倫理の由来は? 00:04:12.628 --> 00:04:15.848 自分らしさがどれくらい 仕事と結びついているか? NOTE Paragraph 00:04:15.872 --> 00:04:18.528 皆さんの創造性には それぞれリズムがあります 00:04:18.552 --> 00:04:22.268 私たちの気力は毎日 毎週 季節によっても変わります 00:04:22.291 --> 00:04:26.200 私は週の初めの方が 週後半よりも 気力があるので 00:04:26.200 --> 00:04:29.288 それを見越して 週前半にタスクを多くします 00:04:29.312 --> 00:04:32.428 私はかなりの夜型なので 午後と夜は創造的な仕事のために 00:04:32.452 --> 00:04:33.622 空けておきます 00:04:33.646 --> 00:04:35.487 書き物が捗るのは 00:04:35.511 --> 00:04:38.118 夏の間よりも 屋内でぬくぬく過ごす冬の方です NOTE Paragraph 00:04:38.142 --> 00:04:39.428 これが秘訣です 00:04:39.452 --> 00:04:42.388 通説を退け 自分の古い考えを問い直し 00:04:42.412 --> 00:04:43.846 自分の考えを見いだすこと 00:04:43.870 --> 00:04:46.738 それこそが 私たちが すべきことなのです 00:04:46.762 --> 00:04:48.200 私たちは機械じゃないんです 00:04:48.224 --> 00:04:50.807 機械みたいに働くのは やめにしませんか