WEBVTT 00:00:00.269 --> 00:00:04.260 『The Last of Us』の完成まで 残り8ヶ月になってから 00:00:04.350 --> 00:00:08.582 Naughty Dog は、ようやく ユーザーインターフェース(UI)制作に着手した 00:00:08.672 --> 00:00:14.607 「一部の UI 要素はすでに下書きがありました」と デザイナーの Alexandria Neonakis は説明する 00:00:14.697 --> 00:00:18.520 「しかし HUD の全体的な設計は まだ確立されておらず」 00:00:18.610 --> 00:00:21.234 「多くのことが未定のままでした」 00:00:21.666 --> 00:00:28.806 これは UI がゲーム開発で最も軽視されている 部分の1つだということの証拠だと思う 00:00:28.909 --> 00:00:32.937 完成する直前に 急いで追加する厄介モノなのだ 00:00:33.027 --> 00:00:36.724 だが僕に言わせれば UI は過小評価するべきではない 00:00:36.814 --> 00:00:42.363 UI はゲームの見た目、仕組み、感触に 大きな影響を与えるからだ 00:00:42.453 --> 00:00:49.366 そこで今回の Game Maker's Toolkit では UI とゲーム設計の接点を調べて 00:00:49.456 --> 00:00:54.484 体力やスタミナのメーターが 遊び方をどう変えるのか解明しようと思う 00:00:55.356 --> 00:00:59.060 ところで、UI には様々なものが含まれる 00:00:59.150 --> 00:01:05.326 例えば、ネット対戦の待合室、持ち物一覧 会話分岐、クラフト画面、ストア画面などだ 00:01:05.416 --> 00:01:10.272 だがこの動画では ある特定の UI に焦点を当てたいと思う 00:01:10.362 --> 00:01:12.904 ヘッド・アップ・ディスプレイ つまり「HUD」だ 00:01:12.984 --> 00:01:17.729 これは遊びの真っ只中にあるとき 画面の手前に表示されるやつだ 00:01:17.819 --> 00:01:21.850 そこで最初の疑問は HUD の目的とは何なのか? 00:01:21.940 --> 00:01:25.025 プレイヤーに どんな利益をもたらすのか? 00:01:25.115 --> 00:01:29.960 この疑問に答えるために、HUD を 2つの役割に分けて考えてみよう 00:01:30.050 --> 00:01:33.617 僕はゲージ(計器)と プレビュー(予見)と呼んでいる 00:01:33.707 --> 00:01:37.473 ゲージは、HUD を考えるとき 普段思い浮かべるやつだ 00:01:37.563 --> 00:01:42.875 普段は見れない情報を プレイヤーが確認できるように表示する 00:01:42.965 --> 00:01:47.143 キャラの体力は、一般的には コードの中に隠された数値だが 00:01:47.233 --> 00:01:50.180 体力ゲージで プレイヤーに体力を公開できる 00:01:50.270 --> 00:01:54.384 AI の行動は、視覚的な補助がないと 分かりづらくなってしまう 00:01:54.488 --> 00:01:58.238 視野錐、移動範囲、攻撃表示などだ 00:01:58.328 --> 00:02:02.792 カメラという制約があると 重要な情報が画面に映らなくなるので 00:02:02.882 --> 00:02:06.479 方向表示やミニマップで 目立たせるわけだ 00:02:06.569 --> 00:02:12.037 ゲージとは、ゲームの現在・未来の状況を 理解できるようにしてくれるもので 00:02:12.127 --> 00:02:15.437 これが意図的な計画や行動を 可能にする 00:02:15.537 --> 00:02:20.050 病みつきデッキ構築ゲーム 『Slay the Spire』の事例を見てみよう 00:02:20.140 --> 00:02:25.129 開発の初期段階では、敵の次の行動は 一切表示されなかったので 00:02:25.219 --> 00:02:28.623 プレイヤーは各ターンで 攻撃か防御か判断できず 00:02:28.713 --> 00:02:31.068 ほぼデタラメに プレイする羽目になった 00:02:31.158 --> 00:02:37.101 これを解決するため、開発の Mega Crit は 「行動アイコン」で敵の次の行動を表示した 00:02:37.191 --> 00:02:40.836 プレイヤーはどの手札を使うべきか 賢く判断して 00:02:40.926 --> 00:02:44.378 相乗効果のある戦略を 企図できるようになった 00:02:44.478 --> 00:02:46.132 これがゲージだ 00:02:46.222 --> 00:02:52.031 一方プレビューは、ボタンの押下や 技の発動で何が起きるのか表示する 00:02:52.121 --> 00:02:57.057 最も単純なものだと、状況に応じた行動に対して こういうアイコンが出る 00:02:57.156 --> 00:02:59.219 つまり [Y] を押すとドアが開く 00:02:59.309 --> 00:03:00.916 [X] で車両に乗る 00:03:01.006 --> 00:03:02.645 [E] で死体の山へ飛び込む 00:03:02.735 --> 00:03:03.470 何? 00:03:03.550 --> 00:03:04.258 あー 00:03:04.338 --> 00:03:09.199 だがプレビューには、手榴弾の軌道を示す 放物線も含まれるだろう 00:03:09.289 --> 00:03:12.680 鉤縄が使える範囲を示す表示や 00:03:12.782 --> 00:03:15.476 標的の敵を表示するロックオン 00:03:15.570 --> 00:03:20.462 または『XCOM』で自ユニットの軌道を 正確に示す線も含まれるだろう 00:03:20.552 --> 00:03:27.623 プレビューとは、プレイヤーが行動を起こす前に その行為の結果について注意を促すものだ 00:03:27.713 --> 00:03:32.543 プレイヤーは愚かな賭けではなく 自信をもって行動できるようになる 00:03:32.633 --> 00:03:35.650 この事例では『ショベルナイト』を取り上げよう 00:03:35.740 --> 00:03:40.372 DLC の3人目として、スペクターナイトが ダッシュ斬りという技を使う 00:03:40.462 --> 00:03:44.721 特定の物体を斬りつけながら 向こう側へ飛ぶことができる技だ 00:03:44.811 --> 00:03:50.432 当初 Yacht Club Games は、この技を目立たせるため キャラの姿勢を単純に変えていたが 00:03:50.522 --> 00:03:53.126 それでは説明が足りないと気付いた 00:03:53.216 --> 00:03:57.184 状況によって変化するこの技が いつどこで発動できるのか 00:03:57.284 --> 00:04:00.695 また技の発動でスペクターナイトが どっちへ行くのか不明瞭なのだ 00:04:00.785 --> 00:04:06.245 最後に開発チームは、物体に近付くと表示される 単純な「方向指示器」を置いた 00:04:06.335 --> 00:04:11.132 これはボタンを押せばダッシュ斬りが 発動することを明確に示しながら 00:04:11.222 --> 00:04:15.352 プレイヤーが移動する方向も 正確に教えてくれる 00:04:15.442 --> 00:04:22.546 十字線は「ダッシュ斬りを理解しやすくするための 最も重要な変更」だったと開発者は述べている 00:04:24.034 --> 00:04:29.484 ゲージとプレビューは、プレイヤーが 情報を得るための非常に便利な道具で 00:04:29.574 --> 00:04:33.922 現在の状態や、ちょっと先の様子を 垣間見れるようになる 00:04:34.012 --> 00:04:40.403 プレイヤーは自信をもって快適に遊びながら 具体的で有意義な計画を立てることができる 00:04:40.503 --> 00:04:44.730 しかし重要なのは、ゲームが裏で 数百もの変数を管理していて 00:04:44.830 --> 00:04:47.850 UI はそれを幾らでも 表示できるという点だ 00:04:47.950 --> 00:04:52.304 行動を起こす前に、その結果を 事前に見せることだってできる 00:04:52.394 --> 00:04:55.952 だったら何故全ての情報を 見せないのだろうか? 00:04:56.052 --> 00:05:00.048 まぁ、情報を見せることに 利点があるのと同様に 00:05:00.148 --> 00:05:03.811 情報の一部を隠すことにも 利点があるのだ 00:05:05.397 --> 00:05:12.856 「UX 設計」を調べてみれば… UX とは UI を導く体験的・心理的な骨組みのことだが 00:05:12.946 --> 00:05:15.838 「認知的負荷」という用語に 出くわすだろう 00:05:15.928 --> 00:05:20.821 人間の脳が作業記憶の中で処理できる 情報量には限りがあるわけだ 00:05:20.921 --> 00:05:25.550 だから画面にゴミ情報が増えるほど ゲームを解釈するのが大変になる 00:05:25.640 --> 00:05:31.976 視線追跡技術を使えば、全情報を把握するために かなり忙しく目を動かしてることが分かる 00:05:32.074 --> 00:05:34.437 そのため UI を減らせば—— 00:05:34.527 --> 00:05:39.057 つまり無関係なもの、繰り返されるもの 虚飾的なものを捨てることで 00:05:39.157 --> 00:05:41.556 認知的負荷を 減らすことができる 00:05:41.656 --> 00:05:44.412 だが単に削除すれば 良いわけではない 00:05:44.506 --> 00:05:48.373 むしろ UI が認知的負荷を 減らすことだってある 00:05:48.473 --> 00:05:51.762 もし自分が何発撃ったのか 覚える必要があるとしたら 00:05:51.852 --> 00:05:56.449 興奮しすぎて6発か5発か 分からなくなるかもしれない 00:05:56.549 --> 00:05:59.786 この場合は「弾薬残数」の方が効果的だ 00:05:59.886 --> 00:06:03.296 つまり配置を工夫することで 00:06:03.386 --> 00:06:08.369 画面の情報の関連性と分かりやすさを 確保する必要があるのだ 00:06:08.469 --> 00:06:12.017 これを実現する方法が 「視覚情報の階層化」だ 00:06:12.107 --> 00:06:17.643 書体の太さ、色、位置、大きさ、動きなどを 駆使することで 00:06:17.733 --> 00:06:20.410 ある要素を 他よりも目立たせる 00:06:20.500 --> 00:06:25.802 画面の全要素が同じ強さで叫んでいたら どれに注目すべきか分からない 00:06:25.892 --> 00:06:29.889 何も目立っていない場合は 重要な情報を見落としてしまう 00:06:29.979 --> 00:06:34.016 例として『Hitman』の 不法侵入の表示を考えてみよう 00:06:34.106 --> 00:06:39.779 死ぬほど有用な警告だが『Hitman (2016)』では 表示を見ることさえ無いかもしれない 00:06:39.879 --> 00:06:44.350 画面隅のミニマップ下に単に書かれるだけだ (Trespassing:不法侵入中) 00:06:44.440 --> 00:06:50.710 『Hitman 2』では改善された 表示が黄色になり 地図が点滅して注意を引くようになった 00:06:50.810 --> 00:06:56.216 『Hitman 3』はさらに改良し この状態変化が効果音で補強された 00:06:56.306 --> 00:06:57.391 (侵入時の効果音) 00:06:57.471 --> 00:07:04.543 視覚の階層化を考えるために、デザイナーの Zach Gage は 「3つの注目層」の原則について語っている 00:07:04.643 --> 00:07:10.255 視覚情報の3つの階層のことで 重要度の高い情報から順に並んでいる 00:07:10.345 --> 00:07:14.939 Zach はこれを自身のゲーム『SpellTower』 (落ち物パズル系)で説明している 00:07:15.029 --> 00:07:18.329 最初に目を通すのが ゲームの中心的な要素だ 00:07:18.419 --> 00:07:21.109 この場合は、単語を綴る文字だ 00:07:21.199 --> 00:07:25.876 2番目に見るのが、攻略に不可欠な 重要ルールで、大きく表示される 00:07:25.966 --> 00:07:31.594 例えば、ゲームオーバー寸前の縦列や 行を丸ごと消せる青色の特別文字だ 00:07:31.684 --> 00:07:34.828 3番目が、表示が小さくて 重要じゃない要素だ 00:07:34.918 --> 00:07:40.908 長い単語でしか使えないマスのような 特定の状況に適用されるルールのことだ 00:07:41.008 --> 00:07:45.326 開発者は、情報を重要度順に並べてから 見た目を工夫して 00:07:45.416 --> 00:07:48.201 最適な情報を 目立たせることができる 00:07:48.301 --> 00:07:54.808 そしてゲームは流動的なので、情報が 異なる注目層の間を適時移動することもある 00:07:54.908 --> 00:08:00.977 Zack は『Hearthstone』について 「最初に画面を見たとき注目していたものが」 00:08:01.077 --> 00:08:05.848 「その後、2〜3番目の階層(重要度)へ 下がることが常に繰り返されます」と指摘する 00:08:05.938 --> 00:08:09.543 認知的負荷を減らす別の方法は こう考えることだ 00:08:09.633 --> 00:08:13.770 「この全ての UI を、常に表示する 必要はあるのか?」 00:08:13.860 --> 00:08:20.172 例えば初代『悪魔城ドラキュラ』では、ボスの体力が どういう訳かステージ全域でずっと表示されていた 00:08:20.262 --> 00:08:23.358 最近では、ボス戦のときだけ 表示される 00:08:23.448 --> 00:08:27.202 だがこの原則は どんな UI 要素にも適用できる 00:08:27.292 --> 00:08:31.340 『Ghost of Tsushima』の体力は 抜刀した時だけ表示されるが 00:08:31.430 --> 00:08:36.457 これは体力が関係するのは戦闘だけであって 島の探索には不要だからだ 00:08:37.525 --> 00:08:42.669 Okay HUD を捨てる別の理由は… これは絶えず人気になってるが 00:08:42.769 --> 00:08:44.715 見栄えの面にある 00:08:44.805 --> 00:08:47.904 ゲームを映画的で 没入感たっぷりにしたい 00:08:47.994 --> 00:08:52.343 そして退屈な 2D 素材で美しい 3D 世界を 壊したくないという願望だ 00:08:52.433 --> 00:08:57.584 とはいえ、UI の見た目は退屈でなければならないと 考えてる人は、明らかに『ペルソナ5』をやってない 00:08:57.674 --> 00:09:02.221 (ペルソナの音楽) 00:09:02.311 --> 00:09:05.245 これは単に HUD を 全部消すという話ではない 00:09:05.335 --> 00:09:09.480 可読性や理解力を犠牲にしてまで やるべきことじゃない 00:09:09.570 --> 00:09:13.884 むしろ、情報の見せ方を 工夫するという話だ 00:09:13.984 --> 00:09:19.232 だからさっきのように、情報を隠しつつ 厳格に必要なときだけ表示できる 00:09:19.322 --> 00:09:23.125 だが他にも HUD 要素を 物語に内在させる方法もある 00:09:23.215 --> 00:09:28.631 これは UI が実際に、ゲーム世界の中で 物理的に存在することを指す 00:09:28.731 --> 00:09:32.142 これの一番良い例はもちろん 『Dead Space』だ 00:09:32.232 --> 00:09:35.680 サバイバルホラーの没入感を 高めるために 00:09:35.770 --> 00:09:41.282 Visceral Games は HUD を削除して 同じ情報をゲーム世界の中へ置いた 00:09:41.372 --> 00:09:46.874 つまりアイザックの体力や時間能力の表示は スーツの導管や計器に組み込まれている 00:09:46.974 --> 00:09:50.388 各武器の弾薬数は 銃そのものに表示される 00:09:50.478 --> 00:09:55.366 持ち物一覧でさえ、物語に実在する ホログラム映写機という表現だ 00:09:55.466 --> 00:09:58.814 これは他のゲームでも 効果的な例がある 00:09:58.914 --> 00:10:03.386 『Metroid Prime』の HUD は機能的には 他の FPS と全く同じだが 00:10:03.476 --> 00:10:08.739 HUD をサムスのヘルメットバイザー上に設置して 本物っぽく揺れたり曇ったりすることで 00:10:08.829 --> 00:10:12.722 存在感やキャラとの繋がりを 高めている 00:10:12.812 --> 00:10:15.434 だが表現方法や 見栄えだけではない 00:10:15.524 --> 00:10:20.113 情報を物語に内在させることは 遊び方に面白い結果をもたらす 00:10:20.203 --> 00:10:24.675 『Alien Isolation』では、小型端末を手にして 動く物体を検知できる 00:10:24.765 --> 00:10:30.120 『Call of Duty』のミニマップに似ているが これは物理的な道具なので 00:10:30.210 --> 00:10:35.315 プレイヤーはこの情報を利用するのか 武器を構えるのか選ぶ必要がある 00:10:35.402 --> 00:10:36.982 両方同時には持てないのだ 00:10:37.072 --> 00:10:41.528 内在型 HUD は体力値や弾薬数を 普通に表すだけでなく 00:10:41.626 --> 00:10:43.940 ゲームの中で 表現が工夫されている 00:10:44.030 --> 00:10:49.912 というのも、このアイデアをさらに進めると 普通なら UI とは思えない要素を使って 00:10:50.002 --> 00:10:52.230 同じ情報を表現できるのだ 00:10:52.320 --> 00:10:58.032 例えば『Wreckfest』で、車が廃車になりそうか 知るための体力ゲージは不要だ 00:10:58.122 --> 00:11:00.056 車そのものを見ればいい 00:11:00.146 --> 00:11:06.486 『Breath of the Wild』のリンクが暑すぎるか 寒すぎるかを示すアイコンは、本当に必要か? 00:11:06.576 --> 00:11:09.080 これは『Super Mario Bros.』まで遡れる 00:11:09.170 --> 00:11:12.665 マリオの体力は、ドット絵の大きさで 表現されているのだ 00:11:13.360 --> 00:11:20.516 Okay HUD を隠すもう1つの理由は ゲームを意図的に読みづらくするためだ 00:11:20.606 --> 00:11:27.014 『The Last of Us Part II』で最初に遭遇する人間の敵は その意図や計画を喋ってくれる 00:11:27.104 --> 00:11:31.390 敵の考えが分かるので それを踏まえた上で計画を立てられる 00:11:31.480 --> 00:11:34.698 だがその後 新たな敵の派閥と遭遇するが 00:11:34.798 --> 00:11:38.563 そいつらは耳障りな 高音の口笛だけで会話する 00:11:38.654 --> 00:11:39.406 (口笛の音) 00:11:39.509 --> 00:11:40.529 「うっ!」 00:11:40.620 --> 00:11:44.485 この口笛は解読できないように 意図的に設計されている 00:11:44.575 --> 00:11:49.312 僕にとってこいつらはかなりの脅威だったし 戦闘も難しく感じたが 00:11:49.402 --> 00:11:52.588 その理由の大部分は 情報の欠乏にあった 00:11:53.004 --> 00:11:58.442 さらに言えば、プレイヤーの行動は 持っている情報量で完全に変わるだろう 00:11:58.542 --> 00:12:03.422 『Reigns』の開発者は、Tinder に触発された 国家運営ゲームの制作中にこれに気付いた 00:12:03.522 --> 00:12:09.058 元々このゲームでは、国家の全ての状態値や 選択の影響が正確な数値で書かれていた 00:12:09.158 --> 00:12:14.100 だが試遊では、プレイヤーは この数値の最適化だけに専念し 00:12:14.200 --> 00:12:16.075 文章をほぼ無視していた 00:12:16.165 --> 00:12:20.653 曖昧な棒状の UI に変更すると プレイヤーは物語文を読むようになり 00:12:20.753 --> 00:12:25.034 分析的に攻略するのではなく より感情的にプレイするようになった 00:12:25.124 --> 00:12:29.896 つまり、開発者は必ずしも HUD を全部削除する必要はないが 00:12:29.990 --> 00:12:33.090 少なくとも HUD の的確さを 考慮するべきだ 00:12:33.184 --> 00:12:36.438 体力の表示を数値にするのか? メーターにするのか? 00:12:36.528 --> 00:12:40.035 それとも画面中央のぼんやりした 赤い染みにするのか? 00:12:40.125 --> 00:12:43.738 これはプレイヤーが 情報をどう扱うか次第だ 00:12:43.828 --> 00:12:49.367 正確な差を計算するためか? 遮蔽物まで後退する警告なのか? 00:12:49.467 --> 00:12:53.176 さて、先ほど話したプレビューの HUD についてだが 00:12:53.266 --> 00:12:59.480 未来の情報が正確であるほど より具体的な計画を立てることができる 00:12:59.580 --> 00:13:05.383 例えば『Mark of the Ninja』では、照明にクナイを 投げるとどうなるか正確に表示してくれる 00:13:05.473 --> 00:13:10.888 だが情報の未来性を狭めたり 曖昧で不正確なものにしたりすると 00:13:10.988 --> 00:13:15.833 プレイヤーはゲームの仕組みを学んで 習得しないといけなくなる 00:13:15.933 --> 00:13:17.980 『Peggle』を少し考えてみよう 00:13:18.070 --> 00:13:22.986 初期状態だと、ボールの弾道は 最初に当たるところまで表示される 00:13:23.076 --> 00:13:27.518 そのため、跳ね返る軌道を 頭の中で計算する必要がある 00:13:27.608 --> 00:13:29.870 これが学習曲線の一部なのだ 00:13:29.960 --> 00:13:33.842 つまりこのプレビューを強化して もっと先を見せる方法もあるが 00:13:33.932 --> 00:13:39.153 それはパワーアップと同じであって この情報の威力を証明するだけだ 00:13:39.262 --> 00:13:42.246 あと『Peggle』に特許があるのは ご存知だろうか? 00:13:42.336 --> 00:13:45.185 今はそれがチャンネルの テーマなのでね 00:13:45.275 --> 00:13:51.581 UI はとても強力なので、難易度や 補助モードと連携させることができる 00:13:51.671 --> 00:13:56.330 例えばレーシングのイージーモードでは 最適な走行ラインが表示されるが 00:13:56.420 --> 00:13:59.195 高難易度では 自力で走ることになる 00:13:59.295 --> 00:14:04.806 難易度をモードごとや冒険の途中で 変えることにも UI を利用できる 00:14:04.896 --> 00:14:07.934 他の遊びの要素と 同じように扱えるのだ 00:14:08.961 --> 00:14:14.253 これはゲームに対する UI の影響力が 本当に強いことを示してると思う 00:14:14.353 --> 00:14:20.626 そして効果的に使えば、UI はゲーム設計の 目標を支えて、前進させることができるのだ 00:14:20.724 --> 00:14:23.550 でも、その逆の場合は どうだろうか? 00:14:23.640 --> 00:14:29.371 ゲーム設計が UI に影響するのではなく UI がゲーム設計に影響する場合だ 00:14:29.770 --> 00:14:35.328 最後の事例として、決定論的戦術ゲーム 『Into the Breach』を見てみよう 00:14:35.418 --> 00:14:41.787 このゲームでは、窮屈なマスの上で 全ての敵が同時に、次の行動を表示する 00:14:41.897 --> 00:14:44.953 そして複雑に絡み合う矢印や アイコンのおかげで 00:14:45.040 --> 00:14:48.515 敵の軍団が何をするのか 完全に把握できるのだ 00:14:48.605 --> 00:14:52.847 だが開発した Subset Games の発見によれば このシステムが機能するためには 00:14:52.947 --> 00:14:58.566 特定の敵や武器の削除が必要だった 単に表示するのが難しすぎたのだ 00:14:58.666 --> 00:15:04.914 原因と結果の連鎖が長い武器や 広範囲に影響する敵の攻撃とかだ 00:15:05.014 --> 00:15:08.541 共同デザイナーの Justin Ma 曰く 「ゲーム設計の原則として——」 00:15:08.641 --> 00:15:13.040 「明快さを目指すためなら、私たちはいつでも クールなアイデアを犠牲にするでしょう」 00:15:13.140 --> 00:15:15.750 これが起きたゲームは他にもある 00:15:15.850 --> 00:15:20.508 『Hearthstone』で、一度にプレイできる ミニオンの数が7体までなのは 00:15:20.608 --> 00:15:23.223 これが画面に収まる数だからだ 00:15:23.323 --> 00:15:29.004 また特定のヒーローパワーは、UI で表現するには あまりに複雑だったので変更された 00:15:29.104 --> 00:15:32.658 結局、プレイヤーに対して 何かを明快にできない場合は 00:15:32.758 --> 00:15:36.577 それは優れた仕様ではなく 単純化すべきかもしれない 00:15:36.677 --> 00:15:40.438 UI は壊れた仕様を修正する 絆創膏(応急処置)ではない 00:15:40.538 --> 00:15:46.306 だからこそ、HUD は最後に急いで作るのではなく 他の全要素と一緒に設計するのが大切なのだ 00:15:46.406 --> 00:15:48.994 ゲーム開発における あらゆることと同様に 00:15:49.094 --> 00:15:53.863 UI は「他のゲームでもそうだから」とかいう 勝手な基準で作るものじゃないのだ 00:15:53.963 --> 00:15:57.027 明確な考えと意図によって 作られるべきなのだ 00:15:57.127 --> 00:16:02.324 下のコメント欄で、UI が素晴らしいと思うゲームを 教えてほしい 00:16:02.734 --> 00:16:03.554 (字幕翻訳:Nekofloor) 00:16:03.849 --> 00:16:06.431 オススメの独立系ゲームを紹介しよう! 00:16:06.531 --> 00:16:10.359 『Room to Grow』は マス目状のパズルゲームで 00:16:10.459 --> 00:16:14.250 サボテンを伸ばして 植物をゴールまで押していく 00:16:14.350 --> 00:16:19.280 壁を押してトゲトゲの体全体を移動させると 一気に複雑さが増していき 00:16:19.380 --> 00:16:21.908 そこからさらに多くの仕組みが投入される 00:16:21.998 --> 00:16:27.019 小さな作品だが深く考えられていて、多くの魅力と 腹黒いメタ面の試練を備えている 00:16:27.119 --> 00:16:28.817 Steam で発売中だ