WEBVTT 00:00:00.915 --> 00:00:02.880 お招き頂いて光栄です NOTE Paragraph 00:00:02.880 --> 00:00:06.596 私は過去15年 00:00:06.596 --> 00:00:09.915 所得と富の分配の歴史について 研究してきました 00:00:09.915 --> 00:00:13.016 これらの歴史的な証拠から得られる 00:00:13.016 --> 00:00:15.517 最も興味深い教訓の1つは 00:00:15.517 --> 00:00:17.530 長期的には 00:00:17.530 --> 00:00:21.250 資本収益率が経済成長率を 00:00:21.250 --> 00:00:23.920 上回るものだということで 00:00:23.920 --> 00:00:26.665 そしてこれが富の集中に 繋がりやすいということです 00:00:26.665 --> 00:00:28.498 際限無く富の集中が 起こるのではありませんが 00:00:28.498 --> 00:00:31.289 資本収益率と経済成長率とが 乖離すればする程 00:00:31.289 --> 00:00:34.224 富の格差(資産の格差)が高まって行き 00:00:34.224 --> 00:00:37.431 社会一般的に この現象に収束しがちなのです NOTE Paragraph 00:00:37.431 --> 00:00:40.985 これが今日お話したい 主要な経済の動力です 00:00:40.985 --> 00:00:42.954 強調しておきたいのは 00:00:42.954 --> 00:00:45.284 所得と富の分配のダイナミクスにおいて 00:00:45.284 --> 00:00:47.757 これが唯一の重要な動力なのではなく 00:00:47.757 --> 00:00:49.782 長期的な所得と富の分配のダイナミクスでは 00:00:49.782 --> 00:00:52.763 他の様々な要因となる動力が 重要な役割を果たす 00:00:52.763 --> 00:00:54.338 ということです 00:00:54.338 --> 00:00:56.307 まだまだデータも各種 00:00:56.307 --> 00:00:57.863 集積されなければなりません 00:00:57.863 --> 00:01:00.795 今日の私たちは以前に比べれば 少しは理解を深めていますが 00:01:00.795 --> 00:01:03.316 それでもまだ 知らないことが多すぎます 00:01:03.316 --> 00:01:05.992 そして経済、社会、政治― 00:01:05.992 --> 00:01:08.290 様々なプロセスが及ぼす影響について 00:01:08.290 --> 00:01:09.717 研究がなされなければいけません 00:01:09.717 --> 00:01:12.697 私は今日この単純な動力に 焦点を当ててお話しますが 00:01:12.697 --> 00:01:14.958 それは他の重要な動力の存在を 00:01:14.958 --> 00:01:16.162 否定するものではありません NOTE Paragraph 00:01:16.162 --> 00:01:18.434 これから紹介するデータの殆どは 00:01:18.434 --> 00:01:20.639 オンラインで入手可能な 00:01:20.639 --> 00:01:21.899 ワールド・トップ・インカム 00:01:21.899 --> 00:01:23.384 データベースから入手しています 00:01:23.384 --> 00:01:25.487 これは経済的不平等をまとめた 00:01:25.487 --> 00:01:27.940 現存する最大の歴史的データベースで 00:01:27.940 --> 00:01:29.290 数十カ国 00:01:29.290 --> 00:01:33.182 30名以上の学者の 貢献によって作られました 00:01:33.182 --> 00:01:35.960 このデータベースから導き出される いくつかの事実をご紹介し 00:01:35.960 --> 00:01:37.105 それから資本収益率が 00:01:37.105 --> 00:01:39.179 経済成長率を上回る ということに戻りましょう 00:01:39.179 --> 00:01:41.689 第1の事実は所得格差において 過去1世紀の間に 00:01:41.689 --> 00:01:44.740 アメリカとヨーロッパの順序が 00:01:44.740 --> 00:01:46.645 逆転したということです 00:01:46.645 --> 00:01:48.400 逆転したということです 00:01:48.400 --> 00:01:51.905 1900年、1910年代には ヨーロッパでの所得格差の方が 00:01:51.905 --> 00:01:54.170 アメリカでのそれよりも大きかったのですが 00:01:54.170 --> 00:01:57.280 今日ではそれが逆転しています 00:01:57.280 --> 00:01:58.946 この点ははっきりさせておきたいのですが 00:01:58.946 --> 00:02:01.770 この逆転は「資本収益率が経済成長率を上回る」 00:02:01.770 --> 00:02:05.267 ということは関係ありません スキル需要と供給における変化 00:02:05.267 --> 00:02:08.720 教育と技術開発の相乗的発達 グローバリゼーション 00:02:08.720 --> 00:02:12.300 そして恐らく ―アメリカではより顕著な― スキル開発へのアクセスの不平等 00:02:12.300 --> 00:02:13.906 などが関わっています 00:02:13.906 --> 00:02:16.493 アメリカにはレベルの高い大学がありますが 00:02:16.493 --> 00:02:18.735 教育システム底辺の状況は良くありません 00:02:18.735 --> 00:02:19.500 教育システム底辺の状況は良くありません 00:02:19.500 --> 00:02:21.861 これがスキルへのアクセスの不平等を招き 00:02:21.861 --> 00:02:23.780 過去前例がないほどの経営陣への 00:02:23.780 --> 00:02:26.800 報酬の高騰を招きました 00:02:26.800 --> 00:02:29.650 これは教育ということだけでは 説明し難いのです 00:02:29.650 --> 00:02:31.604 ですから他の要因が関わっているのですが 00:02:31.604 --> 00:02:34.213 今日これについてはお話しせず 00:02:34.213 --> 00:02:36.879 富の格差に焦点を当てていきます NOTE Paragraph 00:02:36.879 --> 00:02:39.860 所得格差について とても単純な指標をご紹介します 00:02:39.860 --> 00:02:42.210 所得格差について とても単純な指標をご紹介します 00:02:42.210 --> 00:02:44.664 これはトップ10%が 総所得に占めるシェアです 00:02:44.664 --> 00:02:46.452 これはトップ10%が 総所得に占めるシェアです 00:02:46.452 --> 00:02:48.624 1世紀前のヨーロッパでは45から50% 00:02:48.624 --> 00:02:52.201 アメリカでは40%を少し上回る程度でした 00:02:52.201 --> 00:02:54.939 アメリカでは40%を少し上回る程度でした 00:02:54.939 --> 00:02:57.210 所得格差はヨーロッパの方が 大きかったのです 00:02:57.210 --> 00:02:59.234 それから20世紀前半に 00:02:59.234 --> 00:03:01.765 急な下落が起こり 00:03:01.765 --> 00:03:04.128 最近数十年になるとアメリカでの所得格差が 00:03:04.128 --> 00:03:07.630 ヨーロッパのそれを上回っています 00:03:07.630 --> 00:03:10.300 これが先程お話しした事実その1です 00:03:10.300 --> 00:03:14.211 第2の事実は財産格差についてですが 00:03:14.211 --> 00:03:17.301 第2の事実は財産格差についてですが 00:03:17.301 --> 00:03:19.907 所得格差のそれよりも 常に大きいということです 00:03:19.907 --> 00:03:22.292 富の格差の程度は 00:03:22.292 --> 00:03:24.945 近年増して来たとはいえ 00:03:24.945 --> 00:03:26.801 今日1世紀前と比較すると 00:03:26.801 --> 00:03:28.680 まだ緩やかなものです 00:03:28.680 --> 00:03:31.199 総資産/総所得比率は 00:03:31.199 --> 00:03:33.224 第一次世界大戦、大恐慌 00:03:33.224 --> 00:03:34.855 第二次世界大戦によってもたらされた 00:03:34.855 --> 00:03:36.880 非常に大きなショックから回復しました 00:03:36.880 --> 00:03:38.099 非常に大きなショックから回復しました NOTE Paragraph 00:03:38.099 --> 00:03:40.143 ではこれから 第2と第3の事実を示す 00:03:40.143 --> 00:03:43.000 グラフを見ていきましょう 00:03:43.000 --> 00:03:47.390 まず富の格差のレベルに目を向けると 00:03:47.390 --> 00:03:50.548 これがトップ10%の資産家が 占める総資産のシェア 00:03:50.548 --> 00:03:53.070 これがトップ10%の資産家が 占める総資産のシェア 00:03:53.070 --> 00:03:55.779 ここでも所得格差と同じように 00:03:55.779 --> 00:03:58.344 アメリカとヨーロッパで 順番が逆転しています 00:03:58.344 --> 00:04:00.020 アメリカとヨーロッパで 順番が逆転しています 00:04:00.020 --> 00:04:03.570 1世紀前 財産の集中は 00:04:03.570 --> 00:04:05.813 アメリカよりもヨーロッパの方が 比較して大きく 00:04:05.813 --> 00:04:07.647 今やそれは逆転しました 00:04:07.647 --> 00:04:09.638 更に2つの事実が明らかになります 00:04:09.638 --> 00:04:13.339 一般に資産格差は 常に所得格差よりも大きく 00:04:13.339 --> 00:04:15.994 一般に資産格差は 常に所得格差よりも大きく 00:04:15.994 --> 00:04:18.334 所得格差においては 00:04:18.334 --> 00:04:20.662 トップ10%が国民総所得の シェアの30〜50%を占め 00:04:20.662 --> 00:04:24.960 トップ10%が国民総所得の シェアの30〜50%を占め 00:04:24.960 --> 00:04:27.772 一方 家計資産総額については 常に60〜90%のシェアを 00:04:27.772 --> 00:04:29.831 占めているということを 覚えておいて下さい 00:04:29.831 --> 00:04:31.347 これが事実その1で これは続く内容に関わる 00:04:31.347 --> 00:04:33.273 大変重要な前提です 00:04:33.273 --> 00:04:34.994 富の集中は常に 所得の集中に比べて 00:04:34.994 --> 00:04:36.873 かなりその割合が大きいのです NOTE Paragraph 00:04:36.873 --> 00:04:40.259 事実その2は 近年数十年での富の格差の拡大は 00:04:40.259 --> 00:04:43.206 事実その2は 近年数十年での富の格差の拡大は 00:04:43.206 --> 00:04:47.492 未だ1910年代のレベルには 届いていないということです 00:04:47.492 --> 00:04:49.269 今日の様相はかなり違っています 00:04:49.269 --> 00:04:51.182 富の格差は未だとても大きく 00:04:51.182 --> 00:04:54.444 トップ10%の富のシェアが 全体の60から70%を占めます 00:04:54.444 --> 00:04:56.289 良いニュースはこれが 00:04:56.289 --> 00:04:58.070 トップ10%の富のシェアが 00:04:58.070 --> 00:05:01.441 90%を占めていた1世紀前と比べると 大分マシだと言うことです 00:05:01.441 --> 00:05:03.432 90%を占めていた1世紀前と比べると 大分マシだと言うことです 00:05:03.432 --> 00:05:05.434 今日ではミドル40% 00:05:05.434 --> 00:05:07.347 トップ10%でもなく 00:05:07.347 --> 00:05:09.120 ボトム50%でもない人々 00:05:09.120 --> 00:05:11.386 つまり中産階級の人々が 20〜30%の 00:05:11.386 --> 00:05:14.529 つまり中産階級の人々が 20〜30%の 00:05:14.529 --> 00:05:16.391 国富―国民純資産のシェアを占めています 00:05:16.391 --> 00:05:19.722 彼らは中産階級が 存在しなかった1世紀前には 00:05:19.722 --> 00:05:22.340 貧困層に位置していました 00:05:22.340 --> 00:05:23.917 ですからこれは重要な変化です 00:05:23.917 --> 00:05:28.532 資産総量の水準は回復したと言うのに 00:05:28.532 --> 00:05:31.838 富の格差が第一次世界大戦前のレベルまで 00:05:31.838 --> 00:05:35.347 戻っていないのは興味深い事実です 00:05:35.347 --> 00:05:37.294 いいですか 総資産/総所得比率は 00:05:37.294 --> 00:05:39.510 いいですか 総資産/総所得比率は 00:05:39.510 --> 00:05:41.623 ヨーロッパでは特に 00:05:41.623 --> 00:05:45.483 第一次世界大戦前のレベルに戻っています 00:05:45.483 --> 00:05:47.328 この物語には2つの異なった 00:05:47.328 --> 00:05:49.859 ポイントがあります 00:05:49.859 --> 00:05:50.978 まずひとつは― 00:05:50.978 --> 00:05:53.420 私達が蓄積する財産についてー 00:05:53.420 --> 00:05:55.098 もちろん財産を蓄えることには 00:05:55.098 --> 00:05:56.845 全く悪いことではありません 00:05:56.845 --> 00:05:59.713 とりわけそれが集中せず 広く分散していれば 00:05:59.713 --> 00:06:01.107 なおさら良いのですが 00:06:01.107 --> 00:06:03.852 ここで焦点を当てたいのは 00:06:03.852 --> 00:06:06.233 長期的な富の格差の発展が 00:06:06.233 --> 00:06:08.533 これから将来 どうなるかです 00:06:08.533 --> 00:06:10.558 ではどうすれば 00:06:10.558 --> 00:06:14.220 第一次世界大戦まで あれほど大きかった富の格差が 00:06:14.220 --> 00:06:17.410 更に拡大するようにさえ見えたことの 原因を示しつつ 00:06:17.410 --> 00:06:20.737 これから将来を予測できるでしょうか NOTE Paragraph 00:06:20.737 --> 00:06:24.623 まずは少々説明をしてそれから 00:06:24.623 --> 00:06:26.759 将来の展望を推測してみたいと思います 00:06:26.759 --> 00:06:28.354 まず言っておきたいのは 00:06:28.354 --> 00:06:30.341 財産が所得よりも 00:06:30.341 --> 00:06:32.438 かなり集中していることをあらわす 00:06:32.438 --> 00:06:34.624 最も良いモデルはダイナミックであり 00:06:34.624 --> 00:06:37.736 相続による富の蓄積を含んで 00:06:37.736 --> 00:06:40.200 個人はあらゆる目的で 長期的に富を 00:06:40.200 --> 00:06:42.956 蓄えるという事を前提とするものです 00:06:42.956 --> 00:06:45.566 もし人々が通常一生涯に 最小限必要なだけの 00:06:45.566 --> 00:06:47.569 富を蓄えるのならば― 00:06:47.569 --> 00:06:49.582 例えば年老いた時に備えるだとか― 00:06:49.582 --> 00:06:51.169 例えば年老いた時に備えるだとか― 00:06:51.169 --> 00:06:53.542 資産格差のレベルは 00:06:53.542 --> 00:06:55.859 所得格差のレベルともっと近いはずです 00:06:55.859 --> 00:06:57.828 所得格差のレベルともっと近いはずです 00:06:57.828 --> 00:06:59.756 しかし 00:06:59.756 --> 00:07:01.950 所得格差よりも資産格差の方が 遥かに大きい事を 00:07:01.950 --> 00:07:03.434 所得格差よりも資産格差の方が 遥かに大きい事を 00:07:03.434 --> 00:07:04.710 純粋にライフサイクルモデルで― 00:07:04.710 --> 00:07:06.741 一生に必要なだけの蓄積ということで― 00:07:06.741 --> 00:07:08.429 説明するのは無理があるので 00:07:08.429 --> 00:07:10.960 それ以外の理由で人々は 資産を蓄えるものと考えるべきです 00:07:10.960 --> 00:07:12.884 通常人々は 00:07:12.884 --> 00:07:16.210 財産を次世代へ―子供たちへ 残したいと考えますし 00:07:16.210 --> 00:07:17.978 時に富により得られる威光を求めて 00:07:17.978 --> 00:07:20.746 富を蓄えることもあります 00:07:20.746 --> 00:07:22.130 私達がデータに見ている 00:07:22.130 --> 00:07:24.120 事象を説明するような 生涯に必要な分以上の 00:07:24.120 --> 00:07:26.888 富を蓄積することへの 色々な理由があるはずです 00:07:26.888 --> 00:07:30.234 相続のために蓄財するという 動機を考慮した 00:07:30.234 --> 00:07:32.210 相続のために蓄財するという 動機を考慮した 00:07:32.210 --> 00:07:35.768 富の蓄積の ダイナミックモデルには 00:07:35.768 --> 00:07:38.614 あらゆる種類の ショック(影響)が介在します 00:07:38.614 --> 00:07:39.537 あらゆる種類の ショック(影響)が介在します 00:07:39.537 --> 00:07:41.786 例えば ある家族では とても多くの子供がいて 00:07:41.786 --> 00:07:43.473 例えば ある家族では とても多くの子供がいて 00:07:43.473 --> 00:07:45.239 財産はその間で更に分与されます 00:07:45.239 --> 00:07:47.129 あるいは子供の数が少ない家族もいます 00:07:47.129 --> 00:07:49.357 資本収益率ショックもあります 00:07:49.357 --> 00:07:51.454 資本収益の大きい家庭もありますし 00:07:51.454 --> 00:07:53.249 あるいは投資に失敗する家庭もあります 00:07:53.249 --> 00:07:55.490 このように富のプロセスにも常にある程度の 00:07:55.490 --> 00:07:56.928 モビリティ(可動性)があるものです 00:07:56.928 --> 00:07:59.303 ある人々は(富のレベルを)上昇し ある人々は下降します 00:07:59.303 --> 00:08:00.955 重要な点は 00:08:00.955 --> 00:08:01.965 こうしたモデルはどれも 00:08:01.965 --> 00:08:04.521 こうしたショックによる変動を受けて 00:08:04.521 --> 00:08:06.557 富の格差が均衡するレベルは 00:08:06.557 --> 00:08:11.394 急激に増加する r-g の関数で表されます 00:08:11.394 --> 00:08:14.263 直感的に 00:08:14.263 --> 00:08:16.107 財産による資本収益率と経済成長率との 00:08:16.107 --> 00:08:17.862 違いが大切だという理由は 00:08:17.862 --> 00:08:20.174 最初の富の格差が 00:08:20.174 --> 00:08:22.565 より大きな r-gの為に 00:08:22.565 --> 00:08:24.634 加速して成長して行くからです 00:08:24.634 --> 00:08:26.108 これを単純な例で見てみましょう 00:08:26.108 --> 00:08:29.874 rが5%でgが1%だとします 00:08:29.874 --> 00:08:31.982 すると資産家が 00:08:31.982 --> 00:08:34.621 資本収益の1/5だけを再投資すれば 00:08:34.621 --> 00:08:37.354 彼らの資産は経済の規模と同じ速度で 00:08:37.354 --> 00:08:39.267 増して行きます 00:08:39.267 --> 00:08:40.650 これは大きな財を築き 00:08:40.650 --> 00:08:42.416 永続させるのに好都合です 00:08:42.416 --> 00:08:44.371 なぜなら税を加味しなければ 00:08:44.371 --> 00:08:46.110 残りの4/5を消費でき 1/5のみを 00:08:46.110 --> 00:08:47.771 再投資すれば良い訳だからです 00:08:47.771 --> 00:08:50.359 もちろんある家族はそれ以上消費し またある家族は 00:08:50.359 --> 00:08:52.102 それ以下の消費に留まるでしょう 00:08:52.102 --> 00:08:53.857 それで富の分布にはある程度の 可動域があるわけですが 00:08:53.857 --> 00:08:56.703 しかし平均して彼らは 1/5のみを再投資すれば良いので 00:08:56.703 --> 00:09:00.472 これが大きな富の格差が 持続する仕組みとなるのです NOTE Paragraph 00:09:00.472 --> 00:09:02.969 「rがgよりも常に大きい」 ということを聞いて 00:09:02.969 --> 00:09:06.505 驚かないで下さい なぜなら 00:09:06.505 --> 00:09:08.121 これは人類の歴史の中でほぼ恒常的に 00:09:08.121 --> 00:09:10.192 起こってきたことだからです 00:09:10.192 --> 00:09:13.543 そしてある意味これは 皆の目に明らかだったのです 00:09:13.543 --> 00:09:15.321 経済成長率は人類の歴史において 00:09:15.321 --> 00:09:17.509 殆ど常に0%に近かったという 00:09:17.509 --> 00:09:19.130 単純な理由の為にです 00:09:19.130 --> 00:09:22.662 経済成長率は0.1、0.2、0.3%程度で 00:09:22.662 --> 00:09:24.658 人口増加、一人当り生産高共に 00:09:24.658 --> 00:09:26.655 増加は非常に緩やかでした 00:09:26.655 --> 00:09:28.539 ところが資本収益率は 00:09:28.539 --> 00:09:30.395 もちろん0%ではありませんでした 00:09:30.395 --> 00:09:32.431 それは産業革命前の社会における 00:09:32.431 --> 00:09:34.240 資産の伝統的な形式だった 00:09:34.240 --> 00:09:36.641 土地資産においては 00:09:36.641 --> 00:09:38.404 典型的には5%でした 00:09:38.404 --> 00:09:42.190 ジェーン・オースティンの 読者なら誰でも知っています 00:09:42.190 --> 00:09:45.098 1,000ポンドの年間所得を得るためには 00:09:45.098 --> 00:09:46.740 20,000の5%は1,000ですから 00:09:46.740 --> 00:09:48.596 20,000ポンドの資本価値が必要です 00:09:48.596 --> 00:09:51.146 20,000ポンドの資本価値が必要です 00:09:51.146 --> 00:09:53.163 そしてある意味においてこれは 00:09:53.163 --> 00:09:54.941 社会を築く基盤なのです 00:09:54.941 --> 00:09:57.976 rはgよりも大きいということは 00:09:57.976 --> 00:10:02.100 富と資産の保有者が資本収益のみで生活し 00:10:02.100 --> 00:10:04.790 一生を生き抜く為の 必要最低限の事以外に目を向け 00:10:04.790 --> 00:10:07.490 他の余剰の活動をすることを 可能にして来たからです 00:10:07.490 --> 00:10:10.685 他の余剰の活動をすることを 可能にして来たからです NOTE Paragraph 00:10:10.685 --> 00:10:12.845 私が歴史的研究から導き出した 00:10:12.845 --> 00:10:14.836 ある重要な結論は 00:10:14.836 --> 00:10:17.547 近代の産業の成長は 思ったより 00:10:17.547 --> 00:10:20.371 この基本的な事実に 影響を与えなかったということです 00:10:20.371 --> 00:10:22.050 もちろん産業革命後の経済成長率は 00:10:22.050 --> 00:10:23.858 もちろん産業革命後の経済成長率は 00:10:23.858 --> 00:10:28.180 一般的に0%から 1~2%まで上昇しました 00:10:28.180 --> 00:10:30.110 しかし同時に資本収益率も上昇したので 00:10:30.110 --> 00:10:31.755 しかし同時に資本収益率も上昇したので 00:10:31.755 --> 00:10:34.180 この2つの間の乖離率には 00:10:34.180 --> 00:10:35.636 それほど変化が無かったのです 00:10:35.636 --> 00:10:37.886 20世紀中に 00:10:37.886 --> 00:10:40.530 非常にユニークな出来事が重なりました 00:10:40.530 --> 00:10:42.547 まず1914年と1945年の 00:10:42.547 --> 00:10:45.563 戦争ショックによる 非常に低い資本収益率 00:10:45.563 --> 00:10:47.868 富の破壊、インフレーション 00:10:47.868 --> 00:10:49.848 大恐慌時代中の破産 00:10:49.848 --> 00:10:51.513 これらのことが 00:10:51.513 --> 00:10:53.263 民間の財産による資本収益を 00:10:53.263 --> 00:10:55.158 異常な程低いレベルまで減少させました 00:10:55.158 --> 00:10:57.497 1914〜1945の間のことです 00:10:57.497 --> 00:10:59.333 そして戦後 00:10:59.333 --> 00:11:02.570 一部は復興のために 00:11:02.570 --> 00:11:04.944 非常に高い成長率がみられました 00:11:04.944 --> 00:11:06.869 ドイツ、フランス、日本では 00:11:06.869 --> 00:11:08.420 1950〜80年の間 成長率は5% 00:11:08.420 --> 00:11:11.570 1950〜80年の間 成長率は5% 00:11:11.570 --> 00:11:13.213 その理由は主に復興 00:11:13.213 --> 00:11:15.564 そして大きな人口増加― 00:11:15.564 --> 00:11:17.705 ベビーブーム世代の効果です 00:11:17.705 --> 00:11:20.143 明らかにこれは長くは続きません 00:11:20.143 --> 00:11:21.818 少なくとも人口増加については 00:11:21.818 --> 00:11:24.586 将来減少していくでしょう 00:11:24.586 --> 00:11:28.242 そして 00:11:28.242 --> 00:11:30.070 長期的成長率は 00:11:30.070 --> 00:11:31.493 4〜5%というよりも 00:11:31.493 --> 00:11:33.439 1〜2%に近付くでしょう 00:11:33.439 --> 00:11:36.116 これですが 00:11:36.116 --> 00:11:38.257 これらが今ある最善の 00:11:38.257 --> 00:11:39.913 世界のGDP成長率と 00:11:39.913 --> 00:11:42.272 資本収益率の予測値です 00:11:42.272 --> 00:11:44.360 平均的な資本収益率の値です 00:11:44.360 --> 00:11:45.428 ご覧のように 00:11:45.428 --> 00:11:46.945 人類の歴史の殆どに於いて 00:11:46.945 --> 00:11:48.558 経済成長率はとても小さく 00:11:48.558 --> 00:11:50.392 資本収益率よりも低く 00:11:50.392 --> 00:11:52.754 20世紀中に 00:11:52.754 --> 00:11:54.925 人口増加があり 00:11:54.925 --> 00:11:57.197 特に戦後の時代に高まり 00:11:57.197 --> 00:11:58.797 戦後の復興処理が 00:11:58.797 --> 00:12:00.370 経済成長率を 00:12:00.370 --> 00:12:03.441 資本収益率と乖離の少ない 同程度にまで押し上げたのです 00:12:03.441 --> 00:12:06.964 ここで国連の人口予測を使いますが 00:12:06.964 --> 00:12:09.440 もちろんこれらは誤差を含む 予測に過ぎません 00:12:09.440 --> 00:12:10.831 実際は将来 00:12:10.831 --> 00:12:12.937 出生率がもっと高くなるかも知れませんし 00:12:12.937 --> 00:12:15.702 よって経済成長率が伸びるかもしれません 00:12:15.702 --> 00:12:16.951 ですがとりあえず 00:12:16.951 --> 00:12:19.753 これは今私達が使えるベストな予測で 00:12:19.753 --> 00:12:21.687 これによると世界的に経済成長は鈍化し 00:12:21.687 --> 00:12:24.443 資本収益率との乖離は大きくなって行くと 00:12:24.443 --> 00:12:26.446 予測されます NOTE Paragraph 00:12:26.446 --> 00:12:29.308 20世紀中の他の変わった出来事といえば 00:12:29.308 --> 00:12:30.979 20世紀中の他の変わった出来事といえば 00:12:30.979 --> 00:12:32.308 既に述べたように 00:12:32.308 --> 00:12:34.624 富の破壊、資産課税で 00:12:34.624 --> 00:12:37.359 これが税引前利益率 00:12:37.359 --> 00:12:40.338 そして税引後利益率です 00:12:40.338 --> 00:12:41.904 富の破壊が起こったあと 00:12:41.904 --> 00:12:43.681 このために 00:12:43.681 --> 00:12:45.369 富の破壊後 00:12:45.369 --> 00:12:47.158 税引き後平均資本収益率が 00:12:47.158 --> 00:12:49.578 とても長い間経済成長率を下回ることになりました 00:12:49.578 --> 00:12:51.252 しかし富の破壊と― 00:12:51.252 --> 00:12:53.727 資産課税無くしては これは起こらなかったでしょう 00:12:53.727 --> 00:12:56.970 ですからつまり 00:12:56.970 --> 00:12:59.326 資本収益と経済成長のバランスは 00:12:59.326 --> 00:13:01.188 様々な予測の難しい要因に 00:13:01.188 --> 00:13:03.273 影響されるということです 00:13:03.273 --> 00:13:05.388 例えばテクノロジーと 00:13:05.388 --> 00:13:07.972 資本集約的技術の発展です 00:13:07.972 --> 00:13:10.991 今経済で最も資本集約型のセクターは 00:13:10.991 --> 00:13:14.367 不動産セクター、住宅、 エネルギー部門ですが 00:13:14.367 --> 00:13:17.229 ひょっとすると将来は 00:13:17.229 --> 00:13:20.941 たくさんのセクターで 大量の作業ロボットを用いるようになり 00:13:20.941 --> 00:13:22.830 これが今日に比べて大きな 00:13:22.830 --> 00:13:24.740 総資本のシェアを 占めるかもしれません 00:13:24.740 --> 00:13:26.734 私達はまだこれからは遠く 00:13:26.734 --> 00:13:28.500 これから不動産セクターや 00:13:28.500 --> 00:13:30.289 エネルギーセクターで起こることは 00:13:30.289 --> 00:13:32.415 総資本と資本の分配にとって 00:13:32.415 --> 00:13:33.549 はるかに重要です NOTE Paragraph 00:13:33.549 --> 00:13:35.582 他の重要な問題は 00:13:35.582 --> 00:13:37.732 ポートフォリオ管理における 00:13:37.732 --> 00:13:40.151 規模の効果や金融の複雑さ 00:13:40.151 --> 00:13:41.601 そして金融自由化などで 00:13:41.601 --> 00:13:44.310 大規模なポートフォリオは より容易に高い利益率を 00:13:44.310 --> 00:13:45.937 得られるようになり 00:13:45.937 --> 00:13:48.600 これは特に億万長者や 00:13:48.600 --> 00:13:50.582 大規模な寄付基金に 追い風となります 00:13:50.582 --> 00:13:52.872 例を一つ挙げると 00:13:52.872 --> 00:13:56.205 これはフォーブス誌の億万長者ランキング 00:13:56.205 --> 00:13:59.535 1987〜2013年のものです 00:13:59.535 --> 00:14:02.323 ランキング上位者たちは 00:14:02.323 --> 00:14:05.440 インフレ率を上回り 00:14:05.440 --> 00:14:07.831 年間実質6〜7%上昇してきました 00:14:07.831 --> 00:14:10.203 それに対して世界の一般的な所得や 00:14:10.203 --> 00:14:11.566 世界の富の平均は 00:14:11.566 --> 00:14:14.949 年間2%ずつのみしか上昇していないのです 00:14:14.949 --> 00:14:16.678 額の大きな大学基金においても― 00:14:16.678 --> 00:14:17.954 同じ現象が見られます 00:14:17.954 --> 00:14:20.222 最初の額が大きいほど 00:14:20.222 --> 00:14:22.290 収益率も高いのです NOTE Paragraph 00:14:22.290 --> 00:14:23.968 ではどうすればよいでしょう? 00:14:23.968 --> 00:14:26.364 まず私達は今以上に 00:14:26.364 --> 00:14:28.479 経済の透明性が必要です 00:14:28.479 --> 00:14:32.320 私達はグローバルな富のダイナミクスを 00:14:32.320 --> 00:14:34.220 知らなさすぎるので 国際間での 00:14:34.220 --> 00:14:35.482 銀行口座情報の共有が必要です 00:14:35.482 --> 00:14:38.168 金融資産のグローバルな登録制度や 00:14:38.168 --> 00:14:40.659 資産課税における協調も必要です 00:14:40.659 --> 00:14:43.771 富裕税を小さな税率と共に導入し 00:14:43.771 --> 00:14:45.987 それにより情報を生成することが 00:14:45.987 --> 00:14:48.669 実態に基づいて政策を適応させていくための 00:14:48.669 --> 00:14:50.505 方策となるでしょう 00:14:50.505 --> 00:14:52.343 そしてある程度 00:14:52.343 --> 00:14:53.824 タックス・ヘイブンに反対する動きや 00:14:53.824 --> 00:14:55.639 情報の自動共有という動きは 00:14:55.639 --> 00:14:57.490 我々はこの方向に動いています 00:14:57.490 --> 00:14:59.814 富の再分配には他の方法もあります 00:14:59.814 --> 00:15:02.771 一見魅力的な方法です 00:15:02.771 --> 00:15:04.127 インフレーション 00:15:04.127 --> 00:15:05.826 税法を改定するよりも 通貨供給量を増やす方が 00:15:05.826 --> 00:15:07.981 遥かに簡単ですからこれはとても魅力的です 00:15:07.981 --> 00:15:10.101 しかししばしば私達は お金というものの扱いをわかっていません 00:15:10.101 --> 00:15:11.748 これが問題です 00:15:11.748 --> 00:15:13.611 (強制的)収用も魅力的です 00:15:13.611 --> 00:15:15.872 時々 一部の人が豊かになりすぎたと感じたら 00:15:15.872 --> 00:15:17.166 資産を収用してしまうのです 00:15:17.166 --> 00:15:18.878 しかしこれは富のダイナミクスを 00:15:18.878 --> 00:15:21.711 調整する上で効率的な方法ではありません 00:15:21.711 --> 00:15:24.190 戦争は更に非効率です 00:15:24.190 --> 00:15:26.526 ですから私はそれらよりも 累進課税を好みがちですが 00:15:26.526 --> 00:15:29.100 もちろん歴史―(笑) 00:15:29.100 --> 00:15:30.835 歴史は常にその時の最良の策を生み出し 00:15:30.835 --> 00:15:32.533 それにはこれら全ての要素が 00:15:32.533 --> 00:15:34.267 複雑に絡み合っていくことでしょう NOTE Paragraph 00:15:34.267 --> 00:15:36.133 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:15:36.133 --> 00:15:38.270 (拍手) NOTE Paragraph 00:15:38.270 --> 00:15:43.829 ブルーノ・ジウサーニ: トマ・ピケティ ありがとうございました NOTE Paragraph 00:15:43.829 --> 00:15:45.708 トマ 2〜3質問をさせてください 00:15:45.708 --> 00:15:49.567 あなたの見事なデータの 扱いも素晴らしいのですが 00:15:49.567 --> 00:15:53.361 おっしゃっているのはつまり 00:15:53.361 --> 00:15:54.934 富の集中という傾向が強まっているのは 00:15:54.934 --> 00:15:56.858 資本主義の性質上自然な傾向で 00:15:56.858 --> 00:16:00.396 そのまま放っておくと 00:16:00.396 --> 00:16:02.636 社会の仕組み自体を脅かしかねないので 00:16:02.636 --> 00:16:04.362 我々が富の再配分を促すような 00:16:04.362 --> 00:16:07.400 経済政策を策定することを 提案されているのですね 00:16:07.400 --> 00:16:09.121 先程示されたような 00:16:09.121 --> 00:16:10.592 累進課税などですが 00:16:10.592 --> 00:16:12.731 現在の政治的文脈の中で 00:16:12.731 --> 00:16:14.722 一体どれ程現実味があるのでしょう? 00:16:14.722 --> 00:16:16.533 これらの経済政策が 実際に実施されるのは 00:16:16.533 --> 00:16:18.277 どれぐらいの確率でしょう? NOTE Paragraph 00:16:18.277 --> 00:16:19.488 トマ・ピケティ: そうですね 00:16:19.488 --> 00:16:21.269 時間を遡って見てみると 00:16:21.269 --> 00:16:23.920 所得、富と課税の歴史は 00:16:23.920 --> 00:16:25.522 驚きに満ちています 00:16:25.522 --> 00:16:28.127 ですからこれから何がおきるか おきないかなどを 00:16:28.127 --> 00:16:29.695 分かっていると言われても 00:16:29.695 --> 00:16:31.326 それは そこまで重要視していません 00:16:31.326 --> 00:16:33.030 1世紀前 00:16:33.030 --> 00:16:34.599 多くの人々は所得への累進課税は 00:16:34.599 --> 00:16:36.737 あり得ないだろうと言いましたが 00:16:36.737 --> 00:16:38.257 それはやがて実現しました 00:16:38.257 --> 00:16:40.246 5年前も 00:16:40.246 --> 00:16:42.598 多くの人々はスイスの銀行の 00:16:42.598 --> 00:16:44.623 秘密主義は永遠に変わらないだろうし 00:16:44.623 --> 00:16:46.411 スイスは世界の他の国々に対して 00:16:46.411 --> 00:16:47.900 力が有り過ぎると見ていました 00:16:47.900 --> 00:16:50.861 それから米国がスイスの銀行に 00:16:50.861 --> 00:16:53.483 経済制裁を課したことで 突然 大きな変化が起こりました 00:16:53.483 --> 00:16:55.186 そして今私達は更なる 00:16:55.186 --> 00:16:56.862 経済透明性へと移行しています 00:16:56.862 --> 00:17:01.143 このことで政治的により良い協力体制を 00:17:01.143 --> 00:17:03.612 組むのはそれほど難しくないでしょう 00:17:03.612 --> 00:17:05.670 これから 00:17:05.670 --> 00:17:08.719 アメリカとEUとが交渉して条約を結べば 00:17:08.719 --> 00:17:10.721 世界のGDPの半分をカバーします 00:17:10.721 --> 00:17:12.847 もし世界のGDPの半分がカバーできれば 00:17:12.847 --> 00:17:15.513 経済的不透明さの是正と 00:17:15.513 --> 00:17:19.597 多国籍企業の利益への最小限の課税を 進めるのに 00:17:19.597 --> 00:17:21.261 何が足りないというのでしょう? 00:17:21.261 --> 00:17:24.884 これらは技術的な難しさではないのです 00:17:24.884 --> 00:17:26.678 私はこれらの課題に 00:17:26.678 --> 00:17:29.785 より実利的な手段を採り 経済的不透明さから利益を享受する者へ 00:17:29.785 --> 00:17:31.766 適切な経済制裁を採用すれば 00:17:31.766 --> 00:17:34.287 前進出来ると思います NOTE Paragraph 00:17:34.287 --> 00:17:35.940 ジウサーニ:あなたの見方に 00:17:35.940 --> 00:17:37.373 反対する議論のひとつは 00:17:37.373 --> 00:17:38.815 経済的不平等は 00:17:38.815 --> 00:17:42.452 資本主義の一要素なだけでなく 実はその原動力の一つだというものです 00:17:42.452 --> 00:17:45.253 ですから我々が不平等を 是正していこうとすると同時に 00:17:45.253 --> 00:17:47.660 経済成長を阻害してしまう 可能性があるということです 00:17:47.660 --> 00:17:49.220 これにはどうお答えになりますか? NOTE Paragraph 00:17:49.220 --> 00:17:50.949 ピケティ:格差それ自体は 00:17:50.949 --> 00:17:52.838 問題ではないのです 00:17:52.838 --> 00:17:54.878 不平等はある程度 イノベーションや発展に 00:17:54.878 --> 00:17:57.530 寄与しますからね 00:17:57.530 --> 00:17:59.723 問題はその程度です 00:17:59.723 --> 00:18:02.267 格差が極端になると 00:18:02.267 --> 00:18:05.156 経済成長にとってのその価値は無くなり 00:18:05.156 --> 00:18:06.618 更に悪いことには 00:18:06.618 --> 00:18:09.675 結果的に格差が長期間続き 00:18:09.675 --> 00:18:11.311 人々の経済的流動性が 00:18:11.311 --> 00:18:13.177 停滞することになりがちなのです 00:18:13.177 --> 00:18:16.463 例えば19世紀から第一次世界大戦まで 00:18:16.463 --> 00:18:19.340 全てのヨーロッパ諸国で みられたような種類の 00:18:19.340 --> 00:18:21.265 富の集中は経済成長には 00:18:21.265 --> 00:18:23.030 富の集中は経済成長には 00:18:23.030 --> 00:18:25.124 有益では無かったと思います 00:18:25.124 --> 00:18:27.226 これは悲劇的な出来事や政策の変化により 00:18:27.226 --> 00:18:29.567 破壊されましたが その後の経済の成長を 00:18:29.567 --> 00:18:31.839 とどめるまでには至りませんでした 00:18:31.839 --> 00:18:35.282 極端な格差は 我々の民主主義という基盤にとっては 00:18:35.282 --> 00:18:37.480 良くないことがあります 00:18:37.480 --> 00:18:39.863 政治的な代表権へのアクセスの格差や 00:18:39.863 --> 00:18:41.728 アメリカでの民間資金の政治への影響力 00:18:41.728 --> 00:18:43.730 それらはまさに今懸念されていることです 00:18:43.730 --> 00:18:46.270 それらはまさに今懸念されていることです 00:18:46.270 --> 00:18:49.346 ですから私達はそのような極端な 第一次世界大戦前のような 00:18:49.346 --> 00:18:51.436 格差の世界へは戻りたくないのです 00:18:51.436 --> 00:18:55.110 ミドルクラスが国富の十分なシェアを占める 00:18:55.110 --> 00:18:58.500 というのは経済成長にとっては 悪くない事なのです 00:18:58.500 --> 00:18:59.781 公平性や効率に関してとても 00:18:59.781 --> 00:19:02.865 有用な状況なのです NOTE Paragraph 00:19:02.865 --> 00:19:04.530 ジウサーニ:始めにあなたの著書は 00:19:04.530 --> 00:19:06.639 批判もされていると申し上げました 00:19:06.639 --> 00:19:07.880 いくつかのデータ 00:19:07.880 --> 00:19:10.346 あなたの選択したデータセット について批判がありました 00:19:10.346 --> 00:19:12.222 仮説を立証するのに好都合なデータを 00:19:12.222 --> 00:19:14.959 選んで使っていると これに対しては? NOTE Paragraph 00:19:14.959 --> 00:19:16.886 ピ:それには拙著が議論への 00:19:16.886 --> 00:19:19.353 刺激となっているのは嬉しいことです とお答えします 00:19:19.353 --> 00:19:21.834 これは目論見の一つですし 00:19:21.834 --> 00:19:25.128 私がデータの全てを細かな計算式も含めて 00:19:25.128 --> 00:19:26.974 オンラインで公開するのは 00:19:26.974 --> 00:19:29.308 それでオープンで透明な議論が 00:19:29.308 --> 00:19:30.977 生まれるからです 00:19:30.977 --> 00:19:32.743 これで全ての疑念に1つずつ 00:19:32.743 --> 00:19:34.535 お答え出来ました 00:19:34.535 --> 00:19:37.648 今日 本を書き直すとしたら 00:19:37.648 --> 00:19:39.189 特にアメリカにおける財産格差の上昇は 00:19:39.189 --> 00:19:41.383 特にアメリカにおける財産格差の上昇は 00:19:41.383 --> 00:19:43.310 実際には以前に書き記したよりも 00:19:43.310 --> 00:19:45.683 激しいものだと述べているでしょう 00:19:45.683 --> 00:19:48.928 サエズとザックマンによる最近の研究は 00:19:48.928 --> 00:19:50.520 私が出版した当時には 00:19:50.520 --> 00:19:52.297 まだ無かったデータを使って 00:19:52.297 --> 00:19:54.824 アメリカでの富の集中は 私が記した時の状況よりも 00:19:54.824 --> 00:19:56.760 加速していると証明しました 00:19:56.760 --> 00:19:58.791 将来はまた別のデータが出るでしょう 00:19:58.791 --> 00:20:00.942 そしてまた別の仮説が 生まれるかもしれません 00:20:00.942 --> 00:20:05.041 ほぼ毎週新たな 直近のデータで 00:20:05.041 --> 00:20:07.975 ワールド・トップ・インカム データベースを更新しています 00:20:07.975 --> 00:20:09.875 将来も続けるつもりです 00:20:09.875 --> 00:20:12.181 特に発展途上国について 00:20:12.181 --> 00:20:15.110 このデータ集積に皆さんも貢献されることを 00:20:15.110 --> 00:20:17.456 歓迎します 00:20:17.456 --> 00:20:20.264 実際 確かに 富のダイナミクスにおいては 00:20:20.264 --> 00:20:21.878 十分な透明性が無いと 00:20:21.878 --> 00:20:23.756 考えていますし 00:20:23.756 --> 00:20:25.671 より良いデータを入手するには― 00:20:25.671 --> 00:20:27.536 この重要な進化についての 00:20:27.536 --> 00:20:29.107 同意が得られるように― 00:20:29.107 --> 00:20:31.446 まずは小さな税率で富裕税を課し 00:20:31.446 --> 00:20:33.010 まずは小さな税率で富裕税を課し 00:20:33.010 --> 00:20:36.337 そこで観測される状況に対して 政策を適応するのです 00:20:36.337 --> 00:20:38.399 ですから課税は知識の源であり 00:20:38.399 --> 00:20:41.335 今我々が最も必要としていることなのです NOTE Paragraph 00:20:41.335 --> 00:20:43.590 ジウサーニ:トマ・ピケティでした ありがとうございました NOTE Paragraph 00:20:43.590 --> 00:20:47.150 (拍手)