WEBVTT 00:00:06.646 --> 00:00:10.400 何か月か前に私達は 視聴者に問題を出しました 00:00:10.400 --> 00:00:15.318 0から100までの整数を みんなに言ってもらうので 00:00:15.318 --> 00:00:22.198 その平均の2/3に一番近い整数を 当てよというものです 00:00:22.198 --> 00:00:26.869 平均が60だとしたら 正解は40になります 00:00:26.869 --> 00:00:31.586 みんなの言った数の平均の2/3は 何だと思いますか? NOTE Paragraph 00:00:32.883 --> 00:00:36.223 論理的に推測できるか ひとつやってみましょう 00:00:36.223 --> 00:00:41.562 このゲームは ゲーム理論で 「共有知識」と呼ばれる条件の下で行われます 00:00:41.562 --> 00:00:44.624 すべての参加者が 同じ情報を知っているだけでなく 00:00:44.624 --> 00:00:47.025 他のみんなも知っていることを みんな知っており 00:00:47.025 --> 00:00:51.008 他のみんなも知っていることを みんな知っていると みんな知っている― 00:00:51.008 --> 00:00:52.877 というのが続いていく状況です 00:00:52.877 --> 00:00:58.723 考えうる最大の平均値は 全員が100と推測した場合で 00:00:58.723 --> 00:01:03.326 平均値の2/3は 66.66になります 00:01:03.326 --> 00:01:05.335 みんな そのことは分かるので 00:01:05.335 --> 00:01:09.714 67より大きな値を推測するのは 理屈に合いません NOTE Paragraph 00:01:09.714 --> 00:01:12.870 みんながこの結論に達するなら 00:01:12.870 --> 00:01:15.798 67より大きな数を言う人は いないでしょう 00:01:15.798 --> 00:01:19.859 そうすると今度は67が 考えうる最大の平均値になり 00:01:19.859 --> 00:01:25.637 その2/3の44より大きな数を言うのは 理屈に合いません 00:01:25.637 --> 00:01:29.162 この推論はずっと 続けていくことができ 00:01:29.162 --> 00:01:33.899 論理的に考えうる答えの最大値は 毎回小さくなっていきます 00:01:33.899 --> 00:01:38.426 そのため一番小さな値を言うのが 理に適っているということになります NOTE Paragraph 00:01:38.426 --> 00:01:41.391 そうやって全員が 0 を選ぶなら 00:01:41.391 --> 00:01:45.293 ゲームは「ナッシュ均衡」として 知られる状態になります 00:01:45.293 --> 00:01:48.048 これは他の人の戦略に対し 00:01:48.048 --> 00:01:52.663 各自が考えうる 最適な戦略を取っていて 00:01:52.663 --> 00:01:57.442 違う選択をすることが 誰にとっても 利益にならないという状態です NOTE Paragraph 00:01:57.442 --> 00:02:01.657 しかし現実の世界では そうはなりません 00:02:01.657 --> 00:02:05.650 人間は完全に合理的ではないか 00:02:05.650 --> 00:02:09.169 他の人が完全に合理的だと 期待しないか 00:02:09.169 --> 00:02:12.525 あるいはその両方です NOTE Paragraph 00:02:12.525 --> 00:02:15.434 このゲームを実際にやってみると 00:02:15.434 --> 00:02:20.469 平均値は20~35の どこかになるようです 00:02:20.469 --> 00:02:26.295 デンマークのポリティケン紙が1万9千人以上の 読者を対象に このゲームをしたところ 00:02:26.295 --> 00:02:32.295 平均値は約22で 正解は14になりました 00:02:32.295 --> 00:02:35.984 私達の視聴者の平均値は 31.3でした 00:02:35.984 --> 00:02:41.129 だからあなたが平均値の2/3を 21と予想していたなら大当たりです NOTE Paragraph 00:02:41.129 --> 00:02:45.069 経済的ゲーム理論では この合理性と実用性の絡む状況を 00:02:45.069 --> 00:02:49.980 「レベルk思考」として モデル化しています 00:02:49.980 --> 00:02:54.828 ここでkは推論のサイクルが 繰り返される回数を表しています 00:02:54.828 --> 00:02:59.018 レベル0でプレーする人は 素朴な考え方をし 00:02:59.018 --> 00:03:02.846 他のプレーヤーのことは考えずに ランダムに数字を予想します 00:03:02.846 --> 00:03:08.090 レベル1のプレーヤーは 他の人はみんなレベル0だと仮定し 00:03:08.090 --> 00:03:12.620 平均は50なので 33が答えだと予想します 00:03:12.620 --> 00:03:17.308 レベル2のプレーヤーは 他の人はレベル1でプレーしていると考え 00:03:17.308 --> 00:03:19.609 答えは22だと予想します 00:03:19.609 --> 00:03:23.301 レベル12まで行くと 答えは 0 になります NOTE Paragraph 00:03:23.301 --> 00:03:28.066 観察によると 多くの人は レベル1か2に留まるようです 00:03:28.066 --> 00:03:29.683 これは有用な知見で 00:03:29.683 --> 00:03:34.178 レベルk思考は 損得が関わる状況で よく見られるものだからです 00:03:34.178 --> 00:03:39.525 たとえば株取引する人は 企業の決算報告だけでなく 00:03:39.525 --> 00:03:43.253 その数字を他の人たちが どう見るかも勘定に入れます 00:03:43.253 --> 00:03:45.531 サッカーのペナルティキックでは 00:03:45.531 --> 00:03:49.741 キッカーもキーパーも 相手がどう考えるかを考えて 00:03:49.741 --> 00:03:52.990 左にするか右にするかを 決めます 00:03:52.990 --> 00:03:56.817 キーパーはキッカーのこれまでの パターンを覚えているものですが 00:03:56.817 --> 00:04:00.521 キッカーもそのことを分かった上で どうするか決められます 00:04:00.521 --> 00:04:01.751 どちらの場合も 00:04:01.751 --> 00:04:05.567 他の人が状況をどれほどよく 理解していると考えるかに応じて 00:04:05.567 --> 00:04:10.189 自身の最適な行動は何か 考える必要があります NOTE Paragraph 00:04:10.189 --> 00:04:15.091 レベル1か2だというのは 決して確かなことではありませんが 00:04:15.091 --> 00:04:20.538 そういう傾向に気づいていれば それに合わせて予想を調整できます 00:04:20.538 --> 00:04:24.612 たとえば 最も論理的なやり方と 最も一般的なやり方の違いを 00:04:24.612 --> 00:04:28.335 みんなが理解した上で 2/3のゲームをした場合 00:04:28.335 --> 00:04:30.207 何が起きるのでしょう? 00:04:30.207 --> 00:04:33.611 この新たな条件で 平均の2/3を予想して 00:04:33.611 --> 00:04:36.368 下のフォームから 投稿してください 00:04:36.368 --> 00:04:38.251 結果をお楽しみに