何か月か前に私達は 視聴者に問題を出しました 0から100までの整数を みんなに言ってもらうので その平均の2/3に一番近い整数を 当てよというものです 平均が60だとしたら 正解は40になります みんなの言った数の平均の2/3は 何だと思いますか? 論理的に推測できるか ひとつやってみましょう このゲームは ゲーム理論で 「共有知識」と呼ばれる条件の下で行われます すべての参加者が 同じ情報を知っているだけでなく 他のみんなも知っていることを みんな知っており 他のみんなも知っていることを みんな知っていると みんな知っている― というのが続いていく状況です 考えうる最大の平均値は 全員が100と推測した場合で 平均値の2/3は 66.66になります みんな そのことは分かるので 67より大きな値を推測するのは 理屈に合いません みんながこの結論に達するなら 67より大きな数を言う人は いないでしょう そうすると今度は67が 考えうる最大の平均値になり その2/3の44より大きな数を言うのは 理屈に合いません この推論はずっと 続けていくことができ 論理的に考えうる答えの最大値は 毎回小さくなっていきます そのため一番小さな値を言うのが 理に適っているということになります そうやって全員が 0 を選ぶなら ゲームは「ナッシュ均衡」として 知られる状態になります これは他の人の戦略に対し 各自が考えうる 最適な戦略を取っていて 違う選択をすることが 誰にとっても 利益にならないという状態です しかし現実の世界では そうはなりません 人間は完全に合理的ではないか 他の人が完全に合理的だと 期待しないか あるいはその両方です このゲームを実際にやってみると 平均値は20~35の どこかになるようです デンマークのポリティケン紙が1万9千人以上の 読者を対象に このゲームをしたところ 平均値は約22で 正解は14になりました 私達の視聴者の平均値は 31.3でした だからあなたが平均値の2/3を 21と予想していたなら大当たりです 経済的ゲーム理論では この合理性と実用性の絡む状況を 「レベルk思考」として モデル化しています ここでkは推論のサイクルが 繰り返される回数を表しています レベル0でプレーする人は 素朴な考え方をし 他のプレーヤーのことは考えずに ランダムに数字を予想します レベル1のプレーヤーは 他の人はみんなレベル0だと仮定し 平均は50なので 33が答えだと予想します レベル2のプレーヤーは 他の人はレベル1でプレーしていると考え 答えは22だと予想します レベル12まで行くと 答えは 0 になります 観察によると 多くの人は レベル1か2に留まるようです これは有用な知見で レベルk思考は 損得が関わる状況で よく見られるものだからです たとえば株取引する人は 企業の決算報告だけでなく その数字を他の人たちが どう見るかも勘定に入れます サッカーのペナルティキックでは キッカーもキーパーも 相手がどう考えるかを考えて 左にするか右にするかを 決めます キーパーはキッカーのこれまでの パターンを覚えているものですが キッカーもそのことを分かった上で どうするか決められます どちらの場合も 他の人が状況をどれほどよく 理解していると考えるかに応じて 自身の最適な行動は何か 考える必要があります レベル1か2だというのは 決して確かなことではありませんが そういう傾向に気づいていれば それに合わせて予想を調整できます たとえば 最も論理的なやり方と 最も一般的なやり方の違いを みんなが理解した上で 2/3のゲームをした場合 何が起きるのでしょう? この新たな条件で 平均の2/3を予想して 下のフォームから 投稿してください 結果をお楽しみに