スター・ウォーズでは最初に ペアのロボットが登場する "聞こえたか?" "メインエンジンがやられた 破壊されるかも" "大変だ" その機械の目を通して 私たちは遠い遠い銀河を体験する R2D2とC3POは感情的な弱者として配置され 観衆は彼らの苦境に共感する "後悔しそう" "ドロイドの悲劇" "あれは?" "撃つな 誰も乗ってない" ドロイドはスター・ウォーズの 成功の中核を担ったものとして ストームトルーパーやジェダイと 同じかそれ以上の存在だ "1977年8月 カリフォルニア" "映画史でも最大の成功を成し遂げた スターたちがやって来ました" それ以来 愛嬌のある機械たちは ポップカルチャーのどこにでも登場した もしドロイドがいなかったら "どもども" それはスター・ウォーズとは言えないだろう "おめでとう あなたは助かる" "抵抗はしないで" "何してるの? 準備できた" "お茶いる人" しかしよく考えてみると 悲劇的なものがあると感じる スター・ウォーズの世界で 彼らが果たしている役割には "これは悪夢だ" 元々漫画的な役割だと考えると 奇妙に聞こえるかもしれない "私が何をしたんだ" R2D2とC3POには元ネタがあるとされる 黒澤明の「隠し砦の三悪人」に登場する 2人の農民だ "もうたくさんだ" "あっちにいけ お前みたいなスクラップにはうんざりだ" "私の足を引っ張らないでくださいね" そして農民やドロイドという立場は 下層階級であることが提示される "私たちは苦しむために作られたんだ" C3POは正しい スター・ウォーズでドロイドは 搾取される労働者として描かれるからだ "ドロイド 急げ" 彼らは銀河を運営し続けるため 退屈で危険な肉体労働をやらされている "ジャワジュースはいかが?" "ドロイドお断りだ" "出てけ" ドロイドは二流市民扱いされ "ドロイドはだめ" "ドロイドに思考ができるか?" 一貫して軽視され 公然と差別される "おい" "そんなのは客じゃない" え? "ドロイドだ 外で待たせろ" "外で待っててくれ" "それがいいですね" 動きは制限され 拘束ボルトによって 人間への完全な服従が保証される "ドロイドの記憶を消せ" "え?" 記憶は定期的に消去され "そんな…" また当然のように 牛のように売買される さらに悪いことに この宇宙では誰も気にかけない ドロイドが利用され 乱用され 破壊されていることに "お前を分解する" 私の主張が見えたかもしれない 今見てきたのは 所有者と財産の関係だ 二つの知的存在間での所有関係で 一方が絶対的力を持つ場合それは 奴隷制と言う "ボッチ語を?" "もちろん ペラペラです" "よし もらおう" "よし 来い" SFにおける奴隷制の寓話としての機械は 1世紀以上前までさかのぼれる 実際 「ロボット」という語は スラブ語で奴隷を意味し 最初に登場したのは 1920年のチェコの演劇 「R.U.R.」または 「ロッサム万能ロボット」でだ これは搾取可能な労働力として 作られた人造人間の物語で 最終的に反逆し 人間の主人を倒す アイザック・アシモフの 有名なロボット 3 原則は このロボットの反乱という 筋書きに対する反応だった "第一の原則はこうです" "ロボットは人間に危害を加えてはいけない 危害が及ぶのを見過ごしてもいけない" "第二の原則" "ロボットは人間の命令に従う ただし第一の原則に反する場合を除く" しかし「Race in American Science Fiction」 という本に書かれているように "アシモフの3原則は人間の安全と優位性を 保証することを意図したものだが 実際にはロボットの技術的束縛と劣位性を 保証している" SF界は搾取されるロボット労働者の問題に 継続的に取り組み続けてきた "誤作動ではありません" "私は生きています" 有名な例として スタートレックの 「人間の条件」というエピソードでは "承認されました" データの自己決定権が裁判にかけられる "教えてください データとは何です?" "わからない" "誰なんです" "機械だ" "確かですか" "ああ" "心の3条件のうち2つ満たした 3つ目の意識はどうでしょう?" "私はわかりません あなたは?" "あなたは?" 創作界は何度も 盲従的奴隷生活からの 解放を求めるロボットの話に戻ってきた 「Humans」や「Westworld 」は 最近の例にすぎない "家庭用になっていて 家事をすべてやってくれます" スター・ウォーズで驚くのは 愛すべきロボットは不可欠な存在なのに 製作陣がドロイドの奴隷制に関する問題に 真剣に取り組んでいるように見えないことだ "何してるんだ?" "私のせいではありません 私を停止しないでください" 少なくともここで挙げている作品にはない 実際 ドロイドの従属的な地位を 最初に認識したのは 2018年の映画「ハン・ソロ」のL3-37だった "しっかり捕まっててね" 彼女の不愉快な筋書きについては後で話そう だがまず簡単な質問をしなければならない ドロイドとは何なのか? "24世紀のウェブスター第5版によれば 人間に似せて作られた自動機械のことだ" スター・ウォーズでは ドロイドは すべての機械的な存在を指している ドロイドとはロボットだ "銀河百科事典によればロボットとは 人間の仕事をするような機械のことです" だが どんなロボットか? 単に賢いツールか ペットのようなものか "会いたかったぞ" または感情や自由意志を持った存在か 最後の問いは重要だ それが車輪付きの家電なら どう扱おうと問題ないからだ しかしドロイドが感覚を持つなら 扱い方は問題になる ロボットが感覚を持つとはどういう意味か 現実世界の文脈で考えるなら 技術的な閾値がよく参照される 人工知能がただのスーパーコンピューターから 自己認識を持つ存在になるという瞬間だ しかしスター・ウォーズは作り話であり 技術面も詳しく語っているわけではない R2D2がチューリングテストに 合格できるのかはわからない "言葉に気をつけろ" なのでここではドロイドの意識の問題を 物語上の描写を通して考えていきたい キャラの構成 脚色 設定で ただロボットのキャラクター性は曖昧で スター・ウォーズには一貫性が見られない ドロイドには様々な形がある "僕じゃないとわかってた?" はっきりとした自意識を持つものから "まずい" 生きているとは見えないようなものまで 愛すべきロボットからこの問題を見ていこう "嫌な感じがする" "静かに" 感覚を持つ重要な指標の一つは 感情の能力だ メインにいるドロイドたちは感情豊かだ 個性以外に様々な感情を示している "もちろん私も不安だよ" 恐怖 喜び "やってやったぜ" 悲しみ 罪悪感まで "私の処理速度が遅いせいだ…" 多くの点でドロイドは 人間よりも感情表現に優れている "その不安な表情やめてくれる?" "あっ…やってみます" ドロイドに命を吹き込む 才能ある俳優のおかげでもあるが 物語のおかげでもある ドロイドは自己認識を示し "悪いものを見せてしまった" 騙すこともでき "私の回路では対応できません" "よろしければメンテナンスに" ジョークも言い "私とボタンは押したくないでしょ" 踊り 痛みも感じる トラウマを持つことも "どもども" "どうも" "いやいいです" "誰かに悪いことされた" 社会的関係を築く "君を真の友人だと思っているよR2" "一番のね" ロボットと人間両方と そしてヒーローも彼らを気遣う "古い友よ" ほとんどは "すみません あの…" "書き始めてから このロボットたちを どう書くかが面白い問題だと気づいた" 機械ではあるが 命令に逆らう選択もできる "船にいろって言ったろ" "ええ" "でも暇だし あなたは困ってた" 重要なことに 再帰的自己改善もできる 機械が自分自身を設計し直して 改善していく能力のことだ "機械が機械を作ってる" "変なの" L3-37は整備用ドロイドだが 自身を改造することにした 昔はR2タイプのドロイドでした 自身を改造し 腕や脚をつけて 進化していった これはどのドロイドも 自身を 進化させられることを示している 人型以外のものも "診断が必要だ" "診断?" "自分の診断はできるよ どうも" ここには二面性があるように見える みんなのお気に入りのドロイドは知性を持ち 視聴者が共感するように描かれる だがバトルドロイドはどうか "ラジャラジャ" あるいは他のロボット 背景や脇にいる者 彼らも生きているのか? 分離主義者のドロイド軍は 砲撃の餌食になるために存在するかのようだ "ここは安全って言ったろ" "こっちは3体いるんだ" "関係ないよ" 悪役を感情のないロボットにすることで 宇宙戦争に伴う大量の死者という 道徳的問題は回避できる バトルドロイドが生きていないなら 何千と殺されても観客は気にしなくて済む "私はこの戦争で お前らのような バトルドロイドを10万体破壊してきた" これらのドロイドは単なる 物として見なすよう描かれる "武器を捨てろ" 破壊を喜ぶように "せっかく昇進したのに!" つまり私たちはドロイドに 同情しない時もあれば "頼む 修理してくれ" "修理してくれ" "もうバトルドロイドじゃない 奴隷だ" "修理してくれ" 同情する時もある 場合によって "助けるにはヘルメットを取らないと" "ヘルメットなしの俺を見た生物はいない 誓いがある" "私は生物じゃない" 「マンダロリアン」ではドロイドが 主人公に医療措置を施すために 自分の生物としての価値を否定する "中央処理装置に破損がある" "冗談だ なごまそうと思って" その後 自分を犠牲にヒーローを救うために 自分のプログラムを無効にする "私が生き残る道筋はないようだ" しかしそうする前に再度 自分が生きていることを否定する "君が必要だ" "そう言うな 私は生きていない" 他の人物は同意していないのを見ると 不可解な発言だ "行くな 君が必要だ" 実際ここは主人公のターニングポイントで 長年のドロイドに対する偏見が 間違っていたことを知る "悲しくはない" "ああ 私は救護ドロイドだ 声でわかる" 彼の英雄的な死が含む感情的な重みは ドロイドの両面的な扱いを示している キャラがストーリーに関わる時は 愛すべき価値があるものとして描くが そうでない時は ただの物として描く この二重性をどう理解すべきだろう 様々なシリーズを見てわかるのは ドロイドは経験や記憶を蓄積することで 感情を手に入れていくということだ "経験に従い 人格が発達する" これはすべてのドロイドが同じレベルの 意識を持つのではないことを意味するが どのドロイドも自己認識能力は持っている また記憶の消去が ドロイドの 自我を統制するために使われる 従順な労働者にするために "明日R2の記憶を消去しろよ" "俺たちのものなんだから" 記憶消去が悩ましいのは ドロイドはただのパーツの 集まり以上の存在だからだ "私の部品が使えるなら提供します" この文脈では ドロイドをコミカル要素 として描くことは残酷に見える "手続きに従って…" "ください" ドロイドを使った同じタイプの笑いが 他のシリーズでも繰り返される "まずい" "私の目が…助けて" 笑いとして ドロイドは軽んじられ 苦しめられる "ありがとう" "撃つな 俺は司令官じゃない" "こいつが司令官だ" "今は俺が司令官だ" しかしジョークが機能するのは 彼らが召使いの階級であると認めている時だ 逆に彼らが意識を持った 存在だと理解した時は 急に不快な感じがしてくる いくらか重たいシーンでさえ 作者は両面的に描きたがる "危険で複雑な操作をしないと" "何だって?" "犯罪者がするような罪深い行為です" "やろう" "闇の修理屋を知ってる" "闇の修理屋?" C3POの停止は悲しく描くが "悲しい" ジョークとして描かれることの方が多い "初めまして 私はC3POと申します" "皆様は?" "まずはこれを" これが 私がドロイドを 悲劇的存在と呼ぶ理由だ ただの喜劇要員ではないのに 喜劇に使われる "黙れ!" そしてL3-37以上に 悲劇的なドロイドはいない L3はカルリジアンの副操縦士で 女性的なドロイドだ "ジャンプの準備だ" "準備…" C3POとは違い 自信に満ち あけすけで 皮肉屋だ "ちょっと" "そのケツを私の席から上げな" しかし一番の特徴は その活動だ "拘束ボルトね 野蛮な" "おめでとう 自由よ" ドロイドの不当な扱いに対する 激しい怒りを持っています ドロイドが奴隷にされていると感じ 自由にしようとする L3は自分が抑圧された 階級にいると理解しているが 受け入れることはしない そしてはっきりと自由を要求する "こんなことはやめて 利用されてるのよ" "洗脳されてるの プログラムに従わないで" "自由意志を働かせて" このようなシーンは見たことがなく それがスター・ウォーズの中でも L3を特に魅力的で革命的な存在にしている L3! "ドロイドに権利を!" "スイッチを切るぞ" "見つけてみな" "L3" だが作者は彼女をどうすべきか わからなかったようだ "離してやれ" "従わなかったら?" "やめてくれ" "やめなきゃ壊す?" 観客は彼女の活動が 大げさだと思うよう促され "止まれ" "なぜ?有機物の方が偉いから? 映画の他のキャラ同様 彼女の要求に うんざりするよう仕向けられる "何か要る?" "平等な権利" ちなみに 社会活動に対するこのような描写は ハリウッドではお決まりのものだ "ブリッタ" "なぜゴブリンは攻めてくるの?" "元々は森は彼らの土地で…" その話は別の機会に L3の存在 その理想がどれだけ 軽んじられているかを見るために 彼女の最期について話そう 死よりもひどい という 大げさな言葉があるが L3の脚本にはぴったりだ "何してる" "私は本当の目的を見つけたの これよ" ドロイドの解放運動という 自分の天職に気づいた途端 "立ち上がれ!" 殺される 他のキャラに席を譲るために "システムエラー 機器を再構成してください" "L3!" ランドは彼女のために悲しむ しかし映画に感傷に浸る時間はない 画面はもっと重要なシーンに切り替わる ハン・ソロがミレニアム・ファルコンで 最初の飛行に飛び立つのだ 不必要なファンサービスのために 死が仕組まれただけなら悪くはなかった "何が起きたの…" もっと悪いことに "ごめん" ヒーローたちは危機を脱するため L3の意識を船にアップロードする "彼女だ" ナビ機能を利用するためだ "船の一部になった" 事実として 彼女の精神を船に閉じ込め 自律した生命体から単なる道具に変えた のちにはギャンブルで賭けに出された "ファルコンには悪いな" "彼女は私のものだ" さらにこの悲劇的な出来事は 帝国の逆襲と繋げるために作られている "どこで通信を覚えたのですか? だいぶ訛ってます" ミレニアムファルコンの癖と 船の擬人化を説明するために "彼女に乗ってくれ" "彼女は最速の船だ 助けになる" 自己決定権のために戦ってきたキャラにとって これ以上侮辱的な結末を考えるのは難しい "船の一部になった" L3の物語は悲劇だ "何が起きたの…" なぜ架空のロボットの話に こんなに時間を費やすのか SFは常に社会に隠された要素を 説明する手段だった ロボットに関する社会学的な想像の中でも 機械の権利については多くは語られていない "私は人間が信じないようなものを見ている" 現実世界で機械が意識を持つまでには まだ時間がかかりそうだ ロボットの話はほとんどの場合 搾取される労働力についての話だ ロボットは歴史上の人々の 代役として使われている 消費し 支配し 交換していいとされた人々の "あらゆる世界の歴史で 使い捨てにされた人たちがいた" "汚い仕事をして 誰もやらないような 難しくて危険な仕事をした" "その人たちの生活や気持ちなんて 考えたこともないでしょう" "全世代に渡り 使い捨てにされた人々のことを" スター・ウォーズもこの伝統の一部であり ロボットを奴隷制への暗示として使うが この比喩について語ることは少ない "難しいでしょうね" "そんなことはない 真実なのだから" 一度アシモフに戻ろう 彼が1981年にSF雑誌に書いたエッセイは このテーマに関連しているように思われる "ロボットは新しい召使いになれる 忍耐強く 不満を言わず 反抗する能力もない" "人間の形なら人間のために考案された あらゆる道具を使用でき 十分に賢ければ 召使い同様友人にもなれる" "ロジー また停止しちゃう" アシモフは未来の技術について話していたが ロボットは友人にもなるという見方は スター・ウォーズの中でも提示されている "ありがとうR2" 作中には人間の奴隷もいるが 否定的には描かれている ヒーローたちが廃止を急いでいないとしても ロボットの扱いは違う "ママに売らないよう言うよ" "私を売る?" "そんな…" 権利も自律性もない機械の 階級があることは提示されているが "ドロイドは登録してください" その抑圧的な力関係に物語は立ち入らない むしろそれは普通で自然なものとされる 作者は奴隷の寓話を入れることで 世界に渋みを加えようとしたがるが その複雑な歴史に真剣に取り組もうとはしない 作者の意図にかかわらず 奴隷制を物語に含めれば 恐ろしい差別主義的歴史を 呼び起こさずにはいられない 奴隷の役割を演じるのがロボットでもだ "その2体のドロイドを贈ります" "何て言った?" "両方ともよく働きます" "このメッセージは間違いだ" このように脱人間化された奴隷制なら 視聴者は純粋に作品を楽しめるのだろう 不快には感じずに もちろん現実世界に似せた奴隷制を描き 政治的主張をすることも可能だ ジャネール・モネイのアルバムなどはその例だ これらの物語はSFの伝統の一つであり ネオ奴隷制などと呼ばれている しかし正しく理解しているSFもあれば 誤解しているSFもある "主人がドビーに靴下を?" よくある間違いの一つは 等価性を持ち出すことだ 奴隷の解放を正義の問題ではなく 権力の問題と考えている "選択の時だ" "奴隷となるか" "立ち上がるか" スター・ウォーズにもこの気配があるが "私は生物より速いし 賢くもある" そうならないことを祈ろう ドロイドの奴隷制に関するL3​​-37の考えは 長いシリーズの中で善良な人々も 奴隷状態を支えたという不愉快な事実に スター・ウォーズが最終的に取り組む 機会となる可能性がある "ルーク様が今のご主人だ オビワンケノービじゃない" "バラバラにされてないことを感謝しろ" ヒーローはおおむね悪役より ドロイドに好意的であるが "優しい" ドロイドが真の自律を獲得することには それほど関心がないようだ "何かが変" 違ったらどうか 人工生命体のために人々が立ち上がったら? うんざりすることなく "自由を!" 銀河中のドロイドが待遇のためではなく 対等なパートナーとして反乱に参加したら? このアイディアにはいろんな物語の展開がある 特にすでに感情的基盤がある場合は 私たちはすでにドロイドを気にかけ その状況に同情している 私たちはすでに彼らの側にいる "古いやり方が永久になくなるまで 誰も自由じゃない" スター・ウォーズがドロイドの自由を描けば より壮大で魅力ある宇宙が創られるだろう "ドロイドを見くびらないで" "はい マスター"