人類の持つ技術は長い間 火と尖った棒だった 今は発電所や核兵器に変わり 人の脳は進歩した 1960年代からは機械が進歩を続け 年々より小型に より強力になった だがここに物理的限界がきた 小さくなりすぎたのだ この問題を基礎から説明していこう コンピューターの構成要素は単純だ 記憶 演算 制御の装置でできている 中にはチップ モジュール 論理ゲート トランジスタがある トランジスタは単純なスイッチで 情報を流したり止めたりしている 情報はビットで表され 0か1の値を取る 複数あれば より複雑な情報も表せる 論理ゲートは単純な演算を行う 例えばANDゲートは 全部1だと1を送り それ以外は0を送る この集まりがモジュールとなり 足し算ができる 足し算で掛け算ができ 掛け算ができれば 何でもできる あるのは単純な計算の集まりだ 7歳の子が集まって 計算しているようなもの だがこれで 物理学やゼルダが可能になる 物質が小さくなると 量子の性質が現れる トランジスタは電気のスイッチだ 電流は電子の動きであり スイッチはこの流れを遮断している 今この大きさは14ナノメートルで HIVウイルスの8分の1 赤血球の500分の1しかない この大きさまで小さくなると 電子はトンネル効果により 壁をすり抜けてしまう 量子の世界に通常の物理学は使えず 機械も使えなくなってしまう 技術は物理の限界に来たようだ この問題を解決するため 新しい機械が考案された 量子コンピューターだ 普通はビットを使うところを 二つの状態を取れる 量子ビットを使う 量子が磁場であると同時に 粒子であることを利用する 0と1の状態があり これは光子の偏光状態に近い 量子ビットは一つの状態ではなく 一度に二つの状態で存在する これを重ね合わせと呼ぶ 光子は偏光板に通した瞬間 垂直偏光か水平偏光かが決定される 観測されない限り量子ビットは 0と1の両方であると考えられ 特定の状態は観測した瞬間に決まる 重ね合わせが肝だ 通常4ビットで情報を表すときは 16通りあるうちの一つしか使えない でも量子ビットを使えば 16通りすべてを一度に表せる この増加は指数関数的だ 20個使えば100万通りが並列できる さらに量子もつれという現象がある 二つの量子ビットが 離れていても 同時に同じ状態になる現象だ これにより一方を見るだけで もう一方の状態を知ることができる 量子ビットの操作は難しい 論理ゲートでは 一つの入力に一つの出力をしていた 量子ゲートでは入力が回転して 出力として別の重ね合わせが現れる 量子ビットに入れた入力が 量子ゲートを通ってもつれ それを観測すると 重ね合わせが崩れて結果がわかる そこでは可能な計算が 全部同時に行われている 求めたい結果はその中の一つなので それを探し出す苦労がある だが量子の性質をうまく利用すれば 超高速な計算が可能になるだろう 私たちの生活に量子化は必要ないが いくつかの領域では重要だ 一つはデータベース検索 普通はすべての要素を参照するが 量子のアルゴリズムでは その平方根の時間で検索できる 一番大変なのは情報セキュリティだ 現在 ネットや銀行では 公開鍵を使う方法によって 情報を暗号化して守っている だが公開鍵は計算すれば 解読できるものだ 普通のコンピューターでは 何年もかかる計算だが 量子コンピューターを使えば一瞬だ シミュレーションにも使える 膨大な計算が必要な分野であり 分子構造の解析などに役立つだろう 量子力学自体の研究にも当然使える 医学も飛躍的に進歩するだろう 量子コンピューターは道具ではなく 革命かもしれない 技術に限界はあるのか? やってみなきゃわからない