1 00:00:00,359 --> 00:00:02,008 こんにちは 私は建築家です 2 00:00:02,008 --> 00:00:04,456 ただし 世界でただ一人の 3 00:00:04,456 --> 00:00:07,772 紙で建物をつくる建築家です こんなボール紙の筒を使います 4 00:00:07,772 --> 00:00:10,338 この展覧会の会場設計が 私が紙管を使った 5 00:00:10,338 --> 00:00:11,846 最初の仕事でした 6 00:00:11,846 --> 00:00:16,271 1986年です 人々がエコロジーとか 7 00:00:16,271 --> 00:00:20,474 環境問題について 騒ぎ始めるよりも随分と前に 8 00:00:20,474 --> 00:00:23,764 私は紙管を 建物の構造体として使えるように 9 00:00:23,764 --> 00:00:26,499 試験を始めていました 10 00:00:26,499 --> 00:00:31,652 新しい材料を建築に取り入れる試験は 非常に複雑なものですが 11 00:00:31,652 --> 00:00:34,150 紙管は当初思っていたよりも はるかに強く 12 00:00:34,150 --> 00:00:36,362 防水加工も とても簡単です 13 00:00:36,362 --> 00:00:38,257 さらに 産業資材ですから 14 00:00:38,257 --> 00:00:40,960 耐火処理を施すのも 可能です 15 00:00:40,960 --> 00:00:44,793 そして 1990年には 仮設建造物を建てました 16 00:00:44,793 --> 00:00:47,800 こちらが 最初の 紙の仮設建物です 17 00:00:47,800 --> 00:00:51,870 直径 55 センチの紙管330本と わずか12本の 18 00:00:51,870 --> 00:00:53,512 直径120センチ 19 00:00:53,512 --> 00:00:56,282 つまり4フィートの 紙管でできています 20 00:00:56,282 --> 00:00:58,902 この写真にあるように 中にはトイレがあります 21 00:00:58,902 --> 00:01:01,553 もしトイレットペーパーが 切れていたら 22 00:01:01,553 --> 00:01:03,873 内壁をはがすことも出来ますから (笑) 23 00:01:03,873 --> 00:01:06,265 とても便利なわけです 24 00:01:06,265 --> 00:01:10,304 2000年には ドイツで 大きな万国博覧会がありました 25 00:01:10,304 --> 00:01:12,923 ここの建物の 設計を依頼されました 26 00:01:12,923 --> 00:01:15,717 万博のテーマが 環境問題だったからです 27 00:01:15,717 --> 00:01:20,205 パビリオンを 紙管で建築するために選ばれました 28 00:01:20,205 --> 00:01:21,932 リサイクルできる紙管です 29 00:01:21,932 --> 00:01:24,902 私の設計のゴールは 建物が完成した時ではありません 30 00:01:24,902 --> 00:01:26,986 私のゴールは 建物が解体された時です 31 00:01:26,986 --> 00:01:30,962 というのも 各国がパビリオンを作れば すごい数になって 32 00:01:30,962 --> 00:01:34,062 半年後には それが大量の 産業廃棄物となるわけですから 33 00:01:34,062 --> 00:01:38,743 私の建物は 再利用かリサイクルが 可能でなければなりません 34 00:01:38,743 --> 00:01:40,846 閉会後に 建物はリサイクルされました 35 00:01:40,846 --> 00:01:43,492 私の設計のゴールは 達成されたのです 36 00:01:43,492 --> 00:01:46,580 その後 とても幸運なことに フランスのメスに 37 00:01:46,580 --> 00:01:49,238 ポンピドゥー・センターの 分館を建てるという― 38 00:01:49,238 --> 00:01:50,713 コンペに勝ちました 39 00:01:50,713 --> 00:01:52,209 当時 とても貧しくて 40 00:01:52,209 --> 00:01:54,376 パリに事務所を借りたかったのですが 41 00:01:54,376 --> 00:01:55,893 手が届かなかったので 42 00:01:55,893 --> 00:01:57,934 パリに学生を連れて行き 自分達で 43 00:01:57,934 --> 00:02:01,450 ポンピドゥー・センターの屋根の上に 事務所を 44 00:02:01,450 --> 00:02:02,685 建てることにしました 45 00:02:02,685 --> 00:02:06,014 私たちは紙管と 木の継手を持ち込んで 46 00:02:06,014 --> 00:02:10,099 35メートルの細長い事務所を 完成させました 47 00:02:10,099 --> 00:02:13,133 1円も家賃を払うことなく 6年間そこにいました 48 00:02:13,133 --> 00:02:17,004 (笑)(拍手) 49 00:02:17,004 --> 00:02:19,391 ありがとう ただ1つ大きな問題がありました 50 00:02:19,391 --> 00:02:21,745 事務所は展示の一環でしたから 51 00:02:21,745 --> 00:02:25,049 訪ねて来る友人でさえも 入場券を買わされていました 52 00:02:25,049 --> 00:02:27,252 困ったもんでした 53 00:02:27,252 --> 00:02:30,020 そうして完成させた ポンビドゥー・センター・メスは 54 00:02:30,020 --> 00:02:31,974 今では 高い人気を誇る美術館です 55 00:02:31,974 --> 00:02:35,140 私は政府のために 大きなモニュメントを造ったのです 56 00:02:35,140 --> 00:02:37,039 しかし その時 57 00:02:37,039 --> 00:02:39,635 建築家という職業に 私はひどく失望しました 58 00:02:39,635 --> 00:02:43,663 建築家は人助けもしなければ 社会の役にも立っていないのに 59 00:02:43,663 --> 00:02:46,907 特権階級の人たちや お金持ちや 60 00:02:46,907 --> 00:02:50,099 政府や開発業者の為に 働いているからです 61 00:02:50,099 --> 00:02:52,619 彼らはお金と権力を持っていますが 62 00:02:52,619 --> 00:02:54,416 どちらも目に見えないので 63 00:02:54,416 --> 00:02:58,244 それを示すために モニュメントのような建造物を 64 00:02:58,244 --> 00:03:00,462 我々建築家に作らせるのです 65 00:03:00,477 --> 00:03:02,642 建築家とはそういう職業で 歴史的に見ても 66 00:03:02,642 --> 00:03:04,994 現代においても 同じ様な仕組みです 67 00:03:04,994 --> 00:03:08,318 多くの人々が自然災害によって 68 00:03:08,318 --> 00:03:12,305 家を失っているというのに 建築家は社会の役に立っていない― 69 00:03:12,320 --> 00:03:15,212 そのことに とても失望していました 70 00:03:15,212 --> 00:03:18,255 実際のところ もはや「自然」災害ではないのです 71 00:03:18,255 --> 00:03:21,240 たとえば地震そのもので 人は亡くなりません 72 00:03:21,240 --> 00:03:23,413 建物が倒壊するから 亡くなるのです 73 00:03:23,413 --> 00:03:25,453 これは建築家の責任です 74 00:03:25,453 --> 00:03:27,190 仮設住宅が必要とされる場に 75 00:03:27,190 --> 00:03:28,852 建築家の姿はありません 76 00:03:28,852 --> 00:03:32,512 特権階級の為に働くことで 忙し過ぎるからです 77 00:03:32,512 --> 00:03:36,391 そこで私は考えました 「建築家と言えども 78 00:03:36,391 --> 00:03:41,147 仮設住宅の建設に関われば いいじゃないか 79 00:03:41,147 --> 00:03:42,939 私たちは現状を改善できる」 80 00:03:42,939 --> 00:03:46,972 こんな理由から あちこちの被災地で 働くようになりました 81 00:03:46,972 --> 00:03:50,698 1994年にアフリカのルワンダで 大きな災難がありました 82 00:03:50,698 --> 00:03:53,430 フツとツチの2つの種族が 武力衝突し 83 00:03:53,430 --> 00:03:55,928 二百万人以上が 難民になりました 84 00:03:55,928 --> 00:03:59,679 私は国連が設営管理していた 難民キャンプを見て 85 00:03:59,679 --> 00:04:01,913 非常に驚きました 86 00:04:01,913 --> 00:04:05,207 すごく気の毒な状況でした 雨期で 難民たちは 87 00:04:05,207 --> 00:04:07,330 毛布に包まって 凍えていました 88 00:04:07,330 --> 00:04:10,085 国連の避難所で 支給されたのは 89 00:04:10,085 --> 00:04:12,391 プラスチックシートだけだったので 90 00:04:12,391 --> 00:04:16,540 難民はこのように木を 切らなければなりませんでした 91 00:04:16,540 --> 00:04:18,306 二百万人以上が 木を切ったため 92 00:04:18,306 --> 00:04:21,097 甚大な森林破壊となり 93 00:04:21,097 --> 00:04:22,830 環境問題が起きました 94 00:04:22,830 --> 00:04:26,060 このため国連はアルミパイプと バラックを支給しましたが 95 00:04:26,060 --> 00:04:28,347 アルミは高価なので 難民はパイプを売ってしまい 96 00:04:28,347 --> 00:04:30,273 また木が切られました 97 00:04:30,273 --> 00:04:34,294 私は この事態を改善する為に リサイクル紙管を使うことを 98 00:04:34,294 --> 00:04:36,454 提案しました 99 00:04:36,454 --> 00:04:39,387 紙管は非常に安価で 強度があるからです 100 00:04:39,387 --> 00:04:42,134 予算は1軒あたり わずか50米ドルでした 101 00:04:42,134 --> 00:04:45,095 私たちはモニター試験用に 50軒の小屋を建て 102 00:04:45,095 --> 00:04:50,801 耐久性や防水性能 シロアリ耐性などを調べました 103 00:04:50,801 --> 00:04:55,381 そして翌年の1995年には 日本の神戸で 104 00:04:55,381 --> 00:04:57,174 大きな地震が起こりました 105 00:04:57,174 --> 00:04:59,686 7千人近い方が亡くなり 106 00:04:59,686 --> 00:05:02,677 長田区をはじめ 街全体が 107 00:05:02,677 --> 00:05:05,995 地震の後の火災によって 焼け野原になりました 108 00:05:05,995 --> 00:05:09,936 やがて私は 被災した大勢のベトナム難民が 109 00:05:09,936 --> 00:05:12,531 カトリック教会に 集まっていることを知りました 110 00:05:12,531 --> 00:05:14,450 教会の建物は全壊していました 111 00:05:14,450 --> 00:05:17,951 私は現場へ行って 神父に こう提案しました 112 00:05:17,951 --> 00:05:20,569 「紙管で教会を 再建しませんか?」 113 00:05:20,569 --> 00:05:23,709 すると こう言われました 「アホか!火事の後なのに 114 00:05:23,709 --> 00:05:25,818 何を考えてるんだ」 115 00:05:25,818 --> 00:05:29,446 彼は全く信じてくれませんでしたが 私は諦めませんでした 116 00:05:29,446 --> 00:05:31,328 神戸に通うようになり 117 00:05:31,328 --> 00:05:33,957 ベトナム人コミュニティの人々と 出会いました 118 00:05:33,957 --> 00:05:36,624 非常に粗末なプラスチックシートの テントを建て 119 00:05:36,624 --> 00:05:37,905 公園で暮らしていました 120 00:05:37,905 --> 00:05:41,147 再建を提案して 資金集めを行いました 121 00:05:41,147 --> 00:05:43,703 彼らのために 紙管で住居を作りました 122 00:05:43,703 --> 00:05:46,661 学生でも簡単に組み立てられ また解体も簡単に 123 00:05:46,661 --> 00:05:48,244 できるようにしました 124 00:05:48,244 --> 00:05:51,453 基礎にはビールケースを使いました 125 00:05:51,453 --> 00:05:54,043 キリンビールに 提供を求めました 126 00:05:54,043 --> 00:05:56,763 というのも 当時アサヒビールのケースは 127 00:05:56,763 --> 00:05:58,775 赤色だったものですから 128 00:05:58,775 --> 00:06:01,189 紙管の色とうまく 合いませんでした 129 00:06:01,189 --> 00:06:03,507 カラーコーディネートは 重要ですよね 130 00:06:03,507 --> 00:06:06,700 忘れられないのは そのビールケースが 131 00:06:06,700 --> 00:06:09,055 ビール入りで来ると 期待していたのに 132 00:06:09,055 --> 00:06:10,949 カラで届いたことです (笑) 133 00:06:10,949 --> 00:06:14,341 とてもがっかりしたのを 覚えています 134 00:06:14,341 --> 00:06:16,579 こうして学生と一緒に その夏のうちに 135 00:06:16,579 --> 00:06:18,765 50軒の仮設住宅を建てました 136 00:06:18,765 --> 00:06:21,536 とうとう神父の信頼も得られ 教会再建について 137 00:06:21,536 --> 00:06:23,827 「そちらで資金も人手も 用意するなら 138 00:06:23,827 --> 00:06:26,081 いいですよ」と 言ってもらいました 139 00:06:26,081 --> 00:06:28,564 5週間で 教会を再建しました 140 00:06:28,564 --> 00:06:32,062 教会は3年間だけ 使われる予定でしたが 141 00:06:32,062 --> 00:06:35,360 人々に愛され 実際には 10年間使われました 142 00:06:35,360 --> 00:06:39,169 その後 台湾で 大きな地震があった際に 143 00:06:39,169 --> 00:06:43,119 この教会を寄付してほしいと 申し出がありました 144 00:06:43,119 --> 00:06:44,720 教会を解体して 台湾へ送り 145 00:06:44,720 --> 00:06:46,965 ボランティアに 建ててもらいました 146 00:06:46,965 --> 00:06:50,589 今でも恒久的な教会として 台湾に残っています 147 00:06:50,589 --> 00:06:53,080 この建物は 恒久的な建物になりました 148 00:06:53,080 --> 00:06:57,729 となると 何が恒久的で 何が仮設なのか疑問がわきます 149 00:06:57,729 --> 00:06:59,662 紙で出来た建物であっても 150 00:06:59,662 --> 00:07:03,192 人々に愛されれば 恒久的なものに なり得ますが 151 00:07:03,192 --> 00:07:05,488 コンクリート造でも 金儲けの為につくると 152 00:07:05,488 --> 00:07:07,505 一時的なものになるのです 153 00:07:07,505 --> 00:07:10,215 1999年にトルコで 大地震が起きました 154 00:07:10,215 --> 00:07:14,365 現地へ行き 地元の材料を使って 仮設住宅をつくりました 155 00:07:14,365 --> 00:07:18,219 2001年には西インドでも 仮設住宅をつくりました 156 00:07:18,219 --> 00:07:22,300 2004年にはスリランカで スマトラ地震と津波の被害に遭った― 157 00:07:22,300 --> 00:07:25,981 イスラム系の漁村の 復興建設を行いました 158 00:07:25,981 --> 00:07:31,432 2008年には 中国四川省の成都で 159 00:07:31,432 --> 00:07:34,358 7万人近くが亡くなり 160 00:07:34,358 --> 00:07:37,443 特に多くの学校が 倒壊しました 161 00:07:37,443 --> 00:07:40,893 汚職がらみの手抜き工事が 原因です 162 00:07:40,893 --> 00:07:43,861 仮設の校舎を建ててくれと 頼まれました 163 00:07:43,861 --> 00:07:47,647 日本から学生を連れて行き 中国の学生と一緒に作業をさせて 164 00:07:47,647 --> 00:07:50,508 1カ月後には教室が9つ完成し 面積全体が 165 00:07:50,508 --> 00:07:52,160 500平米を超えました 166 00:07:52,160 --> 00:07:56,632 最近また中国で地震がありましたが 校舎は今も使われています 167 00:07:56,632 --> 00:08:02,096 2009年にはイタリアのラクイラでも 大きな地震がありました 168 00:08:02,096 --> 00:08:04,448 これは興味深い写真ですが 169 00:08:04,448 --> 00:08:07,165 ベルルスコーニ前首相と 170 00:08:07,165 --> 00:08:11,583 日本の前の前の前の そのまた前の 麻生首相です 171 00:08:11,583 --> 00:08:15,464 ほら 日本では毎年首相を変えないと いけませんからね 172 00:08:15,464 --> 00:08:20,426 お二人はとても寛大で 私の模型を持ってくれました 173 00:08:20,426 --> 00:08:24,825 壮大な復興建築を提案しました 仮設の音楽ホールです 174 00:08:24,825 --> 00:08:27,269 ラクイラは 音楽でとても有名な街なのですが 175 00:08:27,269 --> 00:08:28,694 音楽ホールが全て壊れて 176 00:08:28,694 --> 00:08:30,826 音楽家たちが 街を離れ始めていたからです 177 00:08:30,826 --> 00:08:32,253 そこで市長に― 178 00:08:32,253 --> 00:08:34,488 仮設の音楽堂の建設を 提案しました 179 00:08:34,488 --> 00:08:37,434 「資金が出せるならどうぞ」 という返事でした 180 00:08:37,434 --> 00:08:38,617 そして幸運なことに 181 00:08:38,617 --> 00:08:40,918 ベルルスコーニ首相が 現地でG8を開催し 182 00:08:40,918 --> 00:08:43,024 日本の首相も来ていましたが 183 00:08:43,024 --> 00:08:46,229 彼らが資金調達を助けてくれました 184 00:08:46,229 --> 00:08:49,072 日本政府からは この仮設音楽堂の建設に 185 00:08:49,072 --> 00:08:51,959 50万ユーロを出してもらいました 186 00:08:51,959 --> 00:08:56,679 2010年にはハイチで 大地震がありましたが 187 00:08:56,679 --> 00:08:58,270 現地へ直接 飛べなかったので 188 00:08:58,270 --> 00:09:01,287 お隣の国の都市 サント・ドミンゴへ行き 189 00:09:01,287 --> 00:09:04,202 そこの学生を連れて 190 00:09:04,202 --> 00:09:07,493 車で6時間かけてハイチに入り 191 00:09:07,493 --> 00:09:10,946 地元の紙管を利用して 50軒の仮設住宅を建てました 192 00:09:10,946 --> 00:09:14,559 これは2年前の 日本の東北の様子です 193 00:09:14,559 --> 00:09:16,434 地震と津波の後 194 00:09:16,434 --> 00:09:20,221 人々は体育館のような広い所での 避難生活を余儀なくされました 195 00:09:20,221 --> 00:09:22,122 プライバシーがないですよね 196 00:09:22,122 --> 00:09:24,989 これでは心身ともに 参ってしまいます 197 00:09:24,989 --> 00:09:28,380 私たちは 現地へ行き 学生ボランティアと一緒に 198 00:09:28,380 --> 00:09:31,643 紙管で間仕切りを作りました 199 00:09:31,643 --> 00:09:35,874 紙管の枠にカーテンを掛けただけの 実に簡素な住まいでした 200 00:09:35,874 --> 00:09:38,390 しかし 避難所を管理する側には 201 00:09:38,390 --> 00:09:40,437 嫌がる人もいました 理由は― 202 00:09:40,437 --> 00:09:43,634 「避難者の管理が難しくなる」 だそうです 203 00:09:43,634 --> 00:09:46,116 でも 本当に作る必要がありました 204 00:09:46,116 --> 00:09:48,621 そして 現地には 政府が従来使うこんな形の 205 00:09:48,621 --> 00:09:51,906 平屋の仮設住宅を建てるほどの 平地はありませんでした 206 00:09:51,906 --> 00:09:54,156 見てください 政府主導といっても 207 00:09:54,156 --> 00:09:58,285 仮設住宅はこのように粗末なもので 隣との距離もなく― 208 00:09:58,285 --> 00:10:04,816 収納が全然ないため散らかってしまい 雨漏りもしていました 209 00:10:04,816 --> 00:10:08,085 「多層の住宅を作らなければ」 と思いました 210 00:10:08,085 --> 00:10:11,110 土地は足りないし 住環境も良くなかったからです 211 00:10:11,110 --> 00:10:16,040 そこで 間仕切りを作っている間に 提案しました 212 00:10:16,040 --> 00:10:19,671 宮城県女川町で とても良い町長に出会い 213 00:10:19,671 --> 00:10:20,991 最終的に 214 00:10:20,991 --> 00:10:25,377 野球場に3階建の住宅を 建てるよう依頼されました 215 00:10:25,377 --> 00:10:28,103 海上輸送用のコンテナを使いました 216 00:10:28,103 --> 00:10:30,556 また 学生たちの協力を得て 217 00:10:30,556 --> 00:10:33,354 家具も全部作り快適に 218 00:10:33,354 --> 00:10:35,046 暮らせるようにしました 219 00:10:35,046 --> 00:10:37,321 政府の予算内に収めただけでなく 220 00:10:37,321 --> 00:10:41,230 従来の基準と同じ広さで 随分と住みやすいものができました 221 00:10:41,230 --> 00:10:42,370 従来の基準と同じ広さで 随分と住みやすいものができました 222 00:10:42,370 --> 00:10:45,502 多くの人が 今後もずっと ここに住みたがっています 223 00:10:45,502 --> 00:10:48,064 それを聞いた時 大変うれしかったです 224 00:10:48,064 --> 00:10:52,001 今は ニュージーランドの クライストチャーチで仕事をしています 225 00:10:52,001 --> 00:10:55,848 日本の地震が起こる20日前 ここでも― 226 00:10:55,848 --> 00:10:57,353 大地震が起きました 227 00:10:57,353 --> 00:10:59,914 多くの日本人学生も 亡くなりました 228 00:10:59,914 --> 00:11:02,233 そして街のシンボルでもあった― 229 00:11:02,233 --> 00:11:05,004 街で最も重要な大聖堂が 全壊しました 230 00:11:05,004 --> 00:11:09,102 現地に来て仮設の大聖堂を 建ててほしいと頼まれました 231 00:11:09,102 --> 00:11:11,389 現在 大聖堂は 建設中です 232 00:11:11,389 --> 00:11:14,729 私は人々に愛されるモニュメントを 233 00:11:14,729 --> 00:11:16,959 今後も建て続けたいと思います 234 00:11:16,959 --> 00:11:18,398 どうもありがとうございます 235 00:11:18,398 --> 00:11:20,334 (拍手) 236 00:11:20,334 --> 00:11:23,067 ありがとうございます (拍手) 237 00:11:23,067 --> 00:11:25,824 どうもありがとうございます (拍手)