1 00:00:07,251 --> 00:00:09,872 1816年のことです 2 00:00:09,872 --> 00:00:12,382 ヨーロッパと北米が 3 00:00:12,382 --> 00:00:15,276 いくつもの壊滅的な戦争を終えて 4 00:00:15,276 --> 00:00:18,258 緩やかな回復に向かっているように 見えたときに 5 00:00:18,258 --> 00:00:20,759 自然には別の計画がありました 6 00:00:20,759 --> 00:00:23,351 2年間の不作の後に 7 00:00:23,351 --> 00:00:26,289 大雨と低温の春が訪れ 8 00:00:26,289 --> 00:00:29,274 川が氾濫し 英国諸島からスイスまでの 9 00:00:29,274 --> 00:00:31,853 農作物に被害をもたらしました 10 00:00:31,853 --> 00:00:35,642 イタリアやハンガリーでは 奇妙な色の雪が降り 11 00:00:35,642 --> 00:00:40,486 飢饉や食料暴動や 病気の大流行が起こりました 12 00:00:40,486 --> 00:00:42,655 時を同じくして ニューイングランドは 13 00:00:42,655 --> 00:00:44,347 消えることのない 奇妙な霧に覆われ 14 00:00:44,347 --> 00:00:45,576 消えることのない 奇妙な霧に覆われ 15 00:00:45,576 --> 00:00:47,494 6月の半ばまで 16 00:00:47,494 --> 00:00:49,410 大地は凍ったままでした 17 00:00:49,410 --> 00:00:52,790 やがて「夏のない年」として 知られるようになり 18 00:00:52,790 --> 00:00:55,328 この世の終わりと考える人々もいました 19 00:00:55,328 --> 00:00:58,588 バイロン卿の詩 『暗黒』からは その雰囲気が読み取れます 20 00:00:58,588 --> 00:01:01,965 「私は夢とはいえぬ夢を見た 21 00:01:01,965 --> 00:01:04,715 太陽の輝きは消え 22 00:01:04,715 --> 00:01:08,550 星たちは無限の闇を 23 00:01:08,550 --> 00:01:10,672 光もなく 行方もなく 彷徨い 24 00:01:10,672 --> 00:01:13,935 月のない空の中 冷え切った地球が 25 00:01:13,935 --> 00:01:15,799 あてもなく揺れ 色彩を失っていく 26 00:01:15,799 --> 00:01:19,883 朝は来ては去り- 来ても昼は来なかった」 27 00:01:19,883 --> 00:01:20,860 人々はこの不幸の本当の原因が 28 00:01:20,860 --> 00:01:22,777 1年前に1万キロほども離れた場所に 29 00:01:22,777 --> 00:01:27,000 あったなどとは 知る術もありませんでした 30 00:01:27,000 --> 00:01:30,619 インドネシアのスンバワ島にあり 31 00:01:30,619 --> 00:01:33,331 超巨大火山として知られる タンボラ山の1815年の噴火は 32 00:01:33,331 --> 00:01:35,957 超巨大火山として知られる タンボラ山の1815年の噴火は 33 00:01:35,957 --> 00:01:38,960 噴出物の量が 通常の火山の噴火よりも 何倍も多いことが特徴でした 34 00:01:38,960 --> 00:01:42,562 噴出物の量が 通常の火山の噴火よりも 何倍も多い特徴がありました 35 00:01:42,562 --> 00:01:45,246 火山の破壊の一般的なイメージは 36 00:01:45,246 --> 00:01:47,966 周辺の土地を溶岩が飲み込むものですが 37 00:01:47,966 --> 00:01:50,514 大気中に残されたものが 38 00:01:50,514 --> 00:01:52,849 ずっと破滅的な被害を起こすのです 39 00:01:52,849 --> 00:01:55,200 風によって散布された火山灰は 40 00:01:55,200 --> 00:01:57,298 空を何日も覆い 41 00:01:57,298 --> 00:02:00,215 二酸化硫黄などの有毒ガスが 42 00:02:00,215 --> 00:02:01,841 成層圏で反応し 43 00:02:01,841 --> 00:02:03,519 日射をブロックし 44 00:02:03,519 --> 00:02:06,509 地上の気温を大きく下げるのです 45 00:02:06,509 --> 00:02:08,693 その結果 酸性雨などの副作用と共に 46 00:02:08,693 --> 00:02:11,327 「火山の冬」が起こり 47 00:02:11,327 --> 00:02:12,952 複数の大陸にわたり 48 00:02:12,952 --> 00:02:14,495 自然のサイクルを妨げ 49 00:02:14,495 --> 00:02:17,465 人間や動物達が食べる植物を 50 00:02:17,465 --> 00:02:20,503 根絶やしにするのです 51 00:02:20,503 --> 00:02:23,515 タンボラ山の噴火は 52 00:02:23,515 --> 00:02:25,509 160立方キロもの 岩石や灰やガスを放出した 53 00:02:25,509 --> 00:02:27,304 160立方キロもの 岩石や灰やガスを放出した 54 00:02:27,304 --> 00:02:29,762 文書の記録が残っている中で 最も大きな噴火であり 55 00:02:29,762 --> 00:02:32,680 9万人の死者を出しました 56 00:02:32,680 --> 00:02:35,397 しかし過去には それよりも大きな噴火もありました 57 00:02:35,397 --> 00:02:38,883 1600年に起こった ペルーのワイナプチナ山の噴火は 58 00:02:38,883 --> 00:02:41,219 200万人の死者を出した 59 00:02:41,219 --> 00:02:43,317 ロシアの大飢饉の原因と言われています 60 00:02:43,317 --> 00:02:46,739 さらに昔の噴火は 世界史上の大きな事件を起こしました 61 00:02:46,739 --> 00:02:49,295 夏王朝の衰退 62 00:02:49,295 --> 00:02:52,298 ミノア文明の消滅 さらには― 63 00:02:52,298 --> 00:02:55,228 7万年前に数千人を残し 人類がほぼ根絶やしになったことで 64 00:02:55,228 --> 00:02:58,465 遺伝学的なボトルネック効果が生じ 65 00:02:58,465 --> 00:03:01,544 人類の進化をもたらしたのかもしれません 66 00:03:01,544 --> 00:03:04,336 爆発性のカルデラは 67 00:03:04,336 --> 00:03:06,556 最も危険な超巨大火山の1つです 68 00:03:06,556 --> 00:03:08,926 これは火山の爆発があまりにも大きく 69 00:03:08,926 --> 00:03:10,845 空洞になったマグマだまりが 70 00:03:10,845 --> 00:03:12,846 重みを支えられなくなり 71 00:03:12,846 --> 00:03:14,966 崩壊することによって形成されたものです 72 00:03:14,966 --> 00:03:17,849 しかし地上の火山はなくなっていても 73 00:03:17,849 --> 00:03:20,937 地下での火山活動は続きます 74 00:03:20,937 --> 00:03:22,715 マグマと火山性ガスが 75 00:03:22,715 --> 00:03:24,941 放出される出口がないので 76 00:03:24,941 --> 00:03:27,881 地下で溜まり続けて膨張し 77 00:03:27,881 --> 00:03:31,299 圧力が高まり続けた結果 78 00:03:31,299 --> 00:03:33,465 巨大で暴力的な爆発が 避けられなくなります 79 00:03:33,465 --> 00:03:36,916 最大級の活動中の火山性カルデラの1つが 80 00:03:36,916 --> 00:03:39,631 イエローストーン国立公園の真下にあります 81 00:03:39,631 --> 00:03:43,185 65万年前の最後の噴火は 82 00:03:43,185 --> 00:03:45,123 北アメリカの大部分を 83 00:03:45,123 --> 00:03:47,965 2メートルの灰と岩石で覆いました 84 00:03:47,965 --> 00:03:50,283 科学者達は世界の活火山の 観測を続けており 85 00:03:50,283 --> 00:03:51,927 科学者達は世界の活火山の 観測を続けており 86 00:03:51,927 --> 00:03:53,894 噴火の予測方法や 87 00:03:53,894 --> 00:03:57,309 避難の方法 溶岩の流れを変える方法を 88 00:03:57,309 --> 00:03:59,465 何年にもわたって改善してきました 89 00:03:59,465 --> 00:04:01,549 しかし超巨大火山による 巨大で世界規模の噴火の影響は広くにおよび 90 00:04:01,549 --> 00:04:02,964 しかし超巨大火山による 巨大で世界規模の噴火の影響は広くにおよび 91 00:04:02,964 --> 00:04:06,258 多くの人々にとって 逃げ場がないものです 92 00:04:06,258 --> 00:04:08,716 幸いなことに現時点では 93 00:04:08,716 --> 00:04:11,946 今後数千年の間に同じような爆発が 起こることを示すデータはありません 94 00:04:11,946 --> 00:04:14,492 しかし世界の裏側の出来事により 95 00:04:14,492 --> 00:04:16,909 文明を破壊するこの世の終わりが 96 00:04:16,909 --> 00:04:19,370 突然に起こり しかも不可避であるという説は 97 00:04:19,370 --> 00:04:21,957 説得力があり 恐ろしい予想であり続けるのです 98 00:04:21,957 --> 00:04:24,376 私たちが考えるよりも はるかに現実的なのです 99 00:04:24,376 --> 00:04:27,755 「よどんだ空気の中で 風は衰え 100 00:04:27,755 --> 00:04:29,630 雲も死んだ 101 00:04:29,630 --> 00:04:32,355 暗黒には雲の助けなど要らなかった... 102 00:04:32,355 --> 00:04:34,883 暗黒こそが宇宙であった」 -バイロン卿