テクノロジーは私たちの自然に対する
考えを変える力を持っています
例えばライオンについては
何世紀もの間
サバンナでの狩りは
全て雌が行い
雄は食べるだけだと
言われて来ました
皆さんも聞いたことがある話だと思います
最近 南アフリカの
クルーガー国立公園で
航空地図を作製したのですが
同僚がGPSで追跡できる首輪を
ライオンに付けて
空から狩りの行動を
追跡しました
左下ではライオンが
インパラの群れに
忍び寄っているのが見えます
その右側はライオンの —
可視域と私が呼ぶものです
草木に邪魔されずに
ライオンの視野が届く範囲を
示しています
この調査から
雄は私たちが思っていた様な
怠け者ではないということが分かりました
雄は私たちが思っていた様な
怠け者ではないということが分かりました
ただ狩りの仕方が
違っていただけです
雌は見通しの良いサバンナで
普段 昼間に
広範囲に渡る狩りをし
雄は よく夜に
深い茂みの中で
獲物を待ち伏せます
このビデオは実際に狩りをしている時の可視域で—
雄が左側
雌が右側にいます
赤と濃い色は
草木の茂っている場所で
白は広くオープンな場所です
これは狩りをしている雄と雌の
丁度目の高さの可視域です
雄ライオンが狩りをしている時の
不気味な緊張感が突如 —
ひしひしと伝わって来ますね
最初にこんな話をしたのは
私たちが いかに自然について無知なのかを
伝えたかったからです
これまでに 熱帯雨林の消失を
食い止めるための
さまざまな試みが行われてきましたが
この図の赤い部分が示すように
熱帯雨林は急速に減少しています
あらゆる手段が尽くされているのに
この様な場所は
科学的にほとんど分かっていない
というのは皮肉なことです
理解できなければ
どうやって保護できるのでしょう
私は地球生態学者で探検家です
物理 化学 生物学や
その他諸々 退屈な科目を
学んできましたが
その中でも地球に関する
未知の部分に取り付かれています
その中でも地球に関する
未知の部分に取り付かれています
そこでー
「カーネギー空中観測所(CAO)」を
設立しました
可愛く塗装を施した飛行機という感じですが
高度なセンサーやコンピュータなど
1トン以上の装備を積み
意欲満々の地球科学者と
パイロットが乗っています
とてもユニークな機材が2つあり
1つは画像分光計で
植物の化学組成を
上空から計測できます
もう1つは とても高出力を持つ
レーザーです
機体の底部から放射され
生態系を走査し
1秒間にほぼ50万回
高解像度3Dで測定します
私の家の近くにある
サンフランシスコの
ゴールデンゲート橋の画像です
この橋の真上を飛び
3Dのカラーイメージを
ほんの数秒で作成できます
しかしCAOの本領は
生態系の実際の構成要素を測定する能力です
生態系の実際の構成要素を測定する能力です
これはCAOで撮った
アマゾンの小さな町です
データを薄切りするように
例えば3Dで植生と建物を見たり
例えば3Dで植生と建物を見たり
化学情報を使い
植物の成長速度を実測することが
上空を飛行しながら可能です
濃いピンク色は植物の
成長が最も速い所です
生物の多様性を
今まで想像もできなかった
方法で見られます
これは熱気球で
飛んだ時の熱帯雨林の様子です
これを見ると熱帯雨林には
万華鏡のような様々な色で
多様な種が共存していることが分かります
ここで知っておいてほしいのは
こうした樹木はクジラより大きいので
地上を歩いているだけでは
理解はできないということです
私たちの画像は3Dで
化学的 生物学的な分析ができるので
林冠に生息する種だけでなく
林冠に生息する種だけでなく
熱帯雨林を埋め尽くす —
他の生物に関しても
いろいろな情報が得られます
地上や人工衛星のセンサーなど
他の視点からでは
決して分からないことを
解明する為に
CAOを立ち上げたのです
今日は3つの質問を
取り上げたいと思います
最初の質問は
熱帯林で —
炭素蓄積状況をどうやって
管理するかということです
熱帯林の樹木は
大量の炭素を蓄積しています
その炭素は森に
とどめておく必要があります
さらなる地球温暖化を
くいとめる為です
しかし残念ながら
森林伐採から生じる
世界の炭素排出量は
船 飛行機 電車 車など全てを含めた
世界の交通機関が出す排出量と
同じほどもあります
森林伐採を抑制するための
政策作りに
政治家は励んでいますが
そうした場所は
科学では未知の世界なのです
炭素の蓄積場所を知らなければ
何を失っているのかを知ることも
できません
そのためには 高度な積算システムが
必要です
私たちの持つシステムで
極めて詳細な
熱帯林の炭素蓄積量を知ることができます
赤は閉鎖林冠の熱帯林を示し
黄色や緑色はクッキーの形を
取られたように
森が伐採されている箇所です
まるでケーキのを切っている
かのようですが
厚さがクジラほどもあります
ズームインして森を見ることも
木々を見ることもできます
素晴らしいことに
森のずっと上空を飛んでいるのに
後で分析する時には
木々のてっぺんを間近に感じ
枝や葉の1つ1つまで見ることができます
森にすむ生物や木々そのものに
なったかのような
感じになるのです
このテクノロジーを使って
初の高解像度な炭素地形図を
作成するため
アマゾン川流域のような遠い所や
アマゾン川流域のような遠い所や
それ程 遠くもないアメリカや
中米などに赴きました
それ程 遠くもないアメリカや
中米などに赴きました
ペルーとパナマの
初めての炭素地形図をお見せします
ペルーとパナマの
初めての炭素地形図をお見せします
赤から青い色になっていきます
赤は炭素の蓄積量が非常に多く
樹木が最も高く茂っている所です
青は炭素蓄積量が非常に少ない所です
ペルーだけでも驚くような結果が出ました
炭素の分布状態は 今日まで
全く知られていなかったのです
炭素の分布状態は 今日まで
全く知られていなかったのです
ペルー北部では
赤色の特に炭素の蓄積量が多い所を
アマゾン川と氾濫原が
通り抜けています
完全に伐採され
破壊された森は青で
完全に伐採され
破壊された森は青で
伐採というウィルスが広がっている
所はオレンジ色です
南アンデスに飛ぶと
樹木限界線が見え
山の中に入るにつれ
炭素地形が
終わっているのが
はっきり見えます
アマゾンの西に行くと
最大級の沼地が見えます
夢のような湿地帯です
ジェームズ・キャメロンの
『アバター』を思わせます
最小の熱帯国の1つ
パナマに行くと
炭素蓄積量が多い赤色から
少ない青色まで
ばらつきが非常に大きいことがわかります
ばらつきが非常に大きいことがわかります
残念ながら低地では
炭素のほとんどが失われています
残ったものはというと
赤や緑色で示される
高い炭素の蓄積量は
山の中で見られます
1つ面白い例外が
画面の真ん中にあります
1つ面白い例外が
画面の真ん中にあります
パナマ運河周辺に
緩衝地帯が見えます
赤と黄色になっていますね
運河の運営機関は
世界貿易と合わせて運河流域の
保護にも力を注いでいるのです
この様な調査により
資源と森林保全に対する
政策が変わりました
資源と森林保全に対する
政策が変わりました
炭素地形図は 森林保護と温暖化防止の
取り組みを 進化させているのです
炭素地形図は 森林保護と温暖化防止の
取り組みを 進化させているのです
次の質問は
アマゾン熱帯雨林のような場所の
気候変化にどう対処すべきか
ということです
私はこんな場所で
過ごすことが多いので
既に気候変化を目の当たりにしています
気温が上がり
干ばつが増え
しかも繰り返し起きています
2010年の大干ばつは
この図に赤で示してありますが
西ヨーロッパの面積にほぼ匹敵します
アマゾン地域は2010年には
乾燥がひどく
アマゾン川の主流さえ
一部干上がりました
右下の写真がその時の様子です
遠く離れた辺境の地では
このような干ばつで熱帯林は
大被害を受けています
例えば2010年の干ばつ後
枯れてしまった木を
赤で示していますが
この場所はペルーとブラジルの国境で
全く探索されておらず
全く探索されておらず
科学的にもほぼ完全に未知の世界です
地球科学者として思うに
生き物は 気象変化が起きると
その影響を
出来るだけ避けようと
東にあるブラジルから
ずっと西のアンデスや
山の中へと
移り住まなくては
ならなくなるでしょう
ここで問題になるのは
アマゾン西部を
こうしている間にも
人間が破壊していることです
この100平方キロに及ぶ
採金者たちが作った
森の中の傷跡を見て下さい
3D画像の緑色部分が森です
金採掘の影響は
地表の下に見ることができます
これでは どんな生き物も何処にも
移動出来ないことが 一目でわかります
アマゾンにまだ行ったことがない人は
訪れてみるべきです
アマゾンは何処に行っても
行く度に驚かされます
たぶんこんな景色が見られるでしょう
でも 川だけを見ていると
森で実際に何が起きているのか
分からないということがよくあります
この同じ川の上を飛び
3Dの画像を撮りました
森は左側です
森をデジタル処理で削除し
林冠の下の様子を
見ることができます
ここでは川岸から離れた所に
非合法な金採掘場を見つけました
非合法な金採掘場を見つけました
画面の右側に
不自然な窪みが見えますね
心配しないで
私たちは公的機関と共に
この問題に対処していますし
この地域が抱える他の多くの
問題にも取り組んでいます
この地にあるユニークで 重要な回廊—
西アマゾンや
アンデス山脈・アマゾン川回廊地帯の
保全計画をまとめるため
具体的な明確な地理計画を
作り始める必要があります
でも その地域の生物多様性が科学で
全く解明されていないのであれば
計画を作ることはできません
それでレーザー作動の
CAOの分光計を使い
アマゾン熱帯雨林の生物多様性を
初めて地図にしています
実際のデータを使い
違う種を違う色で示しました
赤や青 緑が
それぞれの種を示しています
規模を拡げて地域全体の
地図を作れば
これまでにない
全く新しい 生物多様性の地図が
出来上がります
そうすれば 生物多様性の大きな変化が
起きている場所がわかるようになります
気候変化により生き物が
何処から何処へ移動するのかが
よくわかるので
これは非常に大切なことです
政策の立案者にとっても
地域の発展計画と照らし合わせ
保護区を作るために
きわめて肝要な情報です
そして三つ目 最後の質問は
地球上の 保護された生態系の
生物多様性をどう維持して行くかです
最初にお話しした
ライオンの狩猟行動の例は
南アフリカの
保護区内での調査でした
保護区内での調査でした
実際にはアフリカの自然の多くは
この図の青色で示されるような
保護地域内で維持されていくでしょう
その為 保護区管理側に
非常なプレッシャーと責任が
かかってくる事になります
保護している動植物の全ての種を
公平に守る方針を
作らなければなりません
方針によっては大きな影響が出ます
例えば火を管理道具として使う
場所とその量についてとか
または 象などの大型動物を
どう扱うかといったことなどです
もし象が過剰に増えた場合
他の生き物や生態系に対して
悪影響を
引き起こしかねません
こうした相互関係は全生態系に
実に大きく関わってきます
前方は火がたくさん使われていて
象の数も多い場所です
前方は火がたくさん使われていて
象の数も多い場所です
青い部分は見通しの良いサバンナで
木はほんの少ししかありません
この囲い線を越えると
火を使う必要もなければ
象もいない地域になります
植物が生い茂り
著しい生態系の違いが見られます
クルーガーのような場所では
象の数が急速に増え
大きな問題になっています
デリケートな問題です
簡単に解決出来ることではありません
でも 私たちが開発し
南アフリカで使ってきた
テクノロジーにより
例えばサバンナの全ての木の地図が
作れるので
何度も飛行すれば
どの木が象に倒されたのかを
知ることができます
画面の赤色が倒された木です
サバンナの何処でどれ程
こうしたことが起きているかが
わかるのです
これによって 初めて
保護地域の責任者達は
先ほどお見せしたような
極端な方針を取ることなく
繊細で周到な管理策を
立てられるようになるのです
私たちは最近 保護区のことを
自然な生命のバランスを
保つ場所だと考えています
自然な生命のバランスを
保つ場所だと考えています
火や象の管理に加え
それらが生態系や
昆虫からライオンに至るまで
あらゆる生物に与える影響も
管理するということです
ゆくゆくは 空中観測所を
大きく広げていくつもりです
空中観測所を
地球周回軌道に打ち上げ
地球全体を調査したいと思っています
地球全体を調査したいと思っています
それまでは
誰も知らないような
辺境の地を
私は飛び回っているでしょう
最後にひとつお伝えします
テクノロジーは地球を管理するのに
不可欠なものですが
もっと大切なのは
その使い方を理解し
それを応用する知恵を持つことです
有り難うございました
(拍手)