1 00:00:02,312 --> 00:00:09,153 この心臓の各部の名前を復習しましょう。 2 00:00:09,153 --> 00:00:12,284 血液は右心房から右心室へ流れます。 3 00:00:12,284 --> 00:00:14,299 そして肺へ行き 4 00:00:14,299 --> 00:00:16,293 左心房に戻り 5 00:00:16,293 --> 00:00:18,728 左心室に 6 00:00:18,728 --> 00:00:21,214 これが血液の流れです。 7 00:00:21,214 --> 00:00:26,484 この方向に血液を送っているのは弁です。 8 00:00:26,484 --> 00:00:34,218 先ほどの名前とは別の名前を紹介しましょう。 9 00:00:34,218 --> 00:00:44,457 房室弁、つまり心房と心室を分けている弁です。 10 00:00:44,457 --> 00:00:52,948 1つは三尖弁、もう一つが僧帽弁です。 11 00:00:52,948 --> 00:00:55,446 これが三尖弁 12 00:00:55,446 --> 00:00:58,391 こちらが僧帽弁 13 00:00:58,391 --> 00:01:04,550 房室弁はこのように下に向いています。 14 00:01:04,550 --> 00:01:09,401 上の方に向いてしまわないのでしょうか。 15 00:01:09,401 --> 00:01:19,030 この2つの弁はこのように心室に繋がれています。 16 00:01:19,030 --> 00:01:25,597 しっかり止められているのです。 17 00:01:25,597 --> 00:01:32,842 繋ぎ止めているのはこの小さな筋肉です。 18 00:01:32,842 --> 00:01:41,230 心室はとても丈夫な臓器ですから、 19 00:01:41,230 --> 00:01:44,480 これが収縮すると 20 00:01:44,480 --> 00:01:48,993 血液はどこへでも吹き出して行ってしまいそうです。 21 00:01:48,993 --> 00:01:58,215 三尖弁や僧帽弁を通って逆流するかも知れません。 22 00:01:58,215 --> 00:02:07,160 それを防止しているのがこの紐と小さな乳頭筋です。 23 00:02:07,160 --> 00:02:13,583 弁を引っ張って、上へ開かないようにしています。 24 00:02:13,583 --> 00:02:19,895 この紐のようなものを腱索といいます。 25 00:02:19,895 --> 00:02:24,665 これが弁を引っ張っているので、弁は上へ開かないのです。 26 00:02:24,665 --> 00:02:28,895 腱索と乳頭筋です。 27 00:02:28,895 --> 00:02:34,378 この2つが働いて、 28 00:02:34,378 --> 00:02:38,419 心室が収縮しても弁は上へ開くことはないのです。 29 00:02:38,419 --> 00:02:43,382 心室の力が強すぎて 30 00:02:43,382 --> 00:02:54,371 この紐が切れてしまったらどうでしょう。 31 00:02:54,371 --> 00:03:02,175 そするとこの弁は上にも下にも開いてしまい、 32 00:03:02,175 --> 00:03:06,656 次の収縮で血液が心房の方へ逆流してしまいます。 33 00:03:06,656 --> 00:03:11,548 弁が血液の流れを止められないからです。 34 00:03:11,548 --> 00:03:19,764 そこで血液は、このように逆流してしまうのです。 35 00:03:19,764 --> 00:03:22,595 ですからこの腱索と乳頭筋は 36 00:03:22,595 --> 00:03:27,112 とても大事な部分なのです。 37 00:03:27,112 --> 00:03:42,610 今度はこちらの心室中隔に目を向けてみましょう。 38 00:03:42,610 --> 00:03:55,439 この上の方は見て分かるようにとても薄くて、 39 00:03:55,439 --> 00:04:03,541 こちらの方は厚いですね。 40 00:04:03,541 --> 00:04:12,187 この青い部分は膜です。 41 00:04:12,187 --> 00:04:17,992 赤い部分は筋肉です。 42 00:04:17,992 --> 00:04:21,273 心室の間にある心室中隔には 43 00:04:21,273 --> 00:04:26,223 このように2つの部分があるのです。 44 00:04:26,223 --> 00:04:28,827 この膜のところですが、 45 00:04:28,827 --> 00:04:31,420 赤ちゃんの中には 46 00:04:31,420 --> 00:04:38,286 この膜に穴が開いて生まれてくる場合があります。 47 00:04:38,286 --> 00:04:46,027 よくあるのは、この膜に穴が開いているために 48 00:04:46,027 --> 00:04:49,838 流れてはいけない方へ血液が流れてしまいます。 49 00:04:49,838 --> 00:04:55,634 左心室から右心室へ血液が流れてはいけないので、 50 00:04:55,634 --> 00:04:58,173 問題となります。 51 00:04:58,173 --> 00:05:00,985 こういう障害をVSDといいます。 52 00:05:00,985 --> 00:05:10,853 VSDというのは 53 00:05:10,853 --> 00:05:18,281 ventricular septal defectの略で、 54 00:05:18,281 --> 00:05:23,432 心室中隔欠損症という意味の英語の略字です。 55 00:05:23,432 --> 00:05:25,537 心室中隔欠損症は 56 00:05:25,537 --> 00:05:30,268 この膜のところに最も頻繁に見られます。 57 00:05:30,268 --> 00:05:39,696 最後に、心臓のこの部分を拡大して 58 00:05:39,696 --> 00:05:43,206 構造を見てみます。 59 00:05:43,206 --> 00:05:49,764 これが拡大図です。 60 00:05:49,764 --> 00:05:59,089 この部分は三層から成っています。 61 00:05:59,089 --> 00:06:07,246 一番内側には心内膜があります。 62 00:06:07,246 --> 00:06:16,007 心内膜はこのように心臓全体を覆っています。 63 00:06:16,007 --> 00:06:25,938 左右の弁や心室、心房を全部覆っています。 64 00:06:25,938 --> 00:06:31,163 この心内膜は血管の内側を覆っている膜と 65 00:06:31,163 --> 00:06:36,089 とても似ています。 66 00:06:36,089 --> 00:06:40,564 とても薄い膜です。 67 00:06:40,564 --> 00:06:45,881 血液が心臓に入ってくると 68 00:06:45,881 --> 00:06:53,480 最初に出会うのがこの膜というわけです。 69 00:06:53,480 --> 00:06:58,430 この緑で描いた線が心内膜です。 70 00:06:58,430 --> 00:07:03,099 こちらの方にも描きましょう。 71 00:07:03,099 --> 00:07:08,123 細胞2,3個分の厚さです。 72 00:07:08,123 --> 00:07:17,018 内側には赤血球があります。 73 00:07:17,018 --> 00:07:25,816 その外側にあるのは心筋層です。 74 00:07:25,816 --> 00:07:31,420 この部分が一番厚い層です。 75 00:07:31,585 --> 00:07:45,240 こんな感じです。 76 00:07:45,240 --> 00:07:50,997 こういうふうに綴ります。 77 00:07:50,997 --> 00:08:01,180 心内膜はこう書きます。 78 00:08:01,180 --> 00:08:06,428 Myoは筋肉という意味です。 79 00:08:06,428 --> 00:08:14,581 心筋は収縮するのが仕事です。 80 00:08:14,581 --> 00:08:21,169 またこの筋肉は沢山のエネルギーを使います。 81 00:08:21,169 --> 00:08:24,868 心臓が必要とする酸素を送り届けるのが 82 00:08:24,868 --> 00:08:28,402 この筋肉の仕事です。 83 00:08:28,402 --> 00:08:30,780 心筋の外側には 84 00:08:30,780 --> 00:08:34,049 心膜があります。 85 00:08:34,049 --> 00:08:46,202 この膜はこんな風に二重になっています。 86 00:08:46,202 --> 00:08:53,942 この膜の間には隙間があります。 87 00:08:53,942 --> 00:09:04,604 液体が少し詰まっていますが、細胞ではありません。 88 00:09:04,604 --> 00:09:13,040 この部分が心膜です。 89 00:09:13,040 --> 00:09:18,954 どうしてこのように隙間ができるのでしょう。 90 00:09:18,954 --> 00:09:23,024 それは心臓の成長に関係があります。 91 00:09:23,024 --> 00:09:27,200 これは胎児の心臓です。 92 00:09:27,200 --> 00:09:30,957 成長するに従って 93 00:09:30,957 --> 00:09:35,520 だんだん大きくなります。 94 00:09:35,520 --> 00:09:45,227 さて、心臓の近くには風船のような袋があります。 95 00:09:45,227 --> 00:09:49,221 心臓が大きくなるに従って、 96 00:09:49,221 --> 00:09:55,528 この袋の方に突き出してきて、 97 00:09:55,528 --> 00:10:02,875 風船が心臓を取り巻くような形になります。 98 00:10:02,875 --> 00:10:07,721 心臓の成長が止まる頃には、 99 00:10:07,721 --> 00:10:13,290 この袋もこんな風に薄い膜になるというわけです。 100 00:10:13,290 --> 00:10:18,572 ホットケーキのように心臓を包む込みます。 101 00:10:18,572 --> 00:10:22,030 ここで終わっているように見えますが、 102 00:10:22,030 --> 00:10:25,304 現実には途切れていません。 103 00:10:25,304 --> 00:10:30,319 一部を取り出して説明したので途切れているように 104 00:10:30,319 --> 00:10:32,932 見えるだけです。 105 00:10:32,932 --> 00:10:36,455 実際にはこのように 106 00:10:36,455 --> 00:10:44,296 薄い膜で、うまく描けませんが、 107 00:10:44,296 --> 00:10:57,567 二重になった心内膜で覆われているのです。 108 00:10:57,567 --> 00:11:02,086 この二重の膜にはそれぞれ名前があります。 109 00:11:02,086 --> 00:11:09,521 内側の膜を蔵側心膜といいます。 110 00:11:09,521 --> 00:11:20,355 visceral pericardiumと書きますが、 111 00:11:20,355 --> 00:11:25,491 visceralというのは臓器という意味です。 112 00:11:25,491 --> 00:11:31,612 外側の膜は壁側心膜です。 113 00:11:31,612 --> 00:11:43,241 こう書きます。 114 00:11:43,241 --> 00:11:46,082 心臓の壁はこのように、 115 00:11:46,082 --> 00:11:52,437 心内膜、心筋、そして心膜という層でできています。 116 00:11:52,437 --> 00:12:01,542 蔵側心膜は心外膜と呼ばれることもあります。 117 00:12:01,542 --> 00:12:04,717 どこかで耳にするかも知れません。 118 00:12:04,717 --> 00:12:13,846 心臓の一番外側にある層です。