この心臓の各部の名前を復習しましょう。
血液は右心房から右心室へ流れます。
そして肺へ行き
左心房に戻り
左心室に
これが血液の流れです。
この方向に血液を送っているのは弁です。
先ほどの名前とは別の名前を紹介しましょう。
房室弁、つまり心房と心室を分けている弁です。
1つは三尖弁、もう一つが僧帽弁です。
これが三尖弁
こちらが僧帽弁
房室弁はこのように下に向いています。
上の方に向いてしまわないのでしょうか。
この2つの弁はこのように心室に繋がれています。
しっかり止められているのです。
繋ぎ止めているのはこの小さな筋肉です。
心室はとても丈夫な臓器ですから、
これが収縮すると
血液はどこへでも吹き出して行ってしまいそうです。
三尖弁や僧帽弁を通って逆流するかも知れません。
それを防止しているのがこの紐と小さな乳頭筋です。
弁を引っ張って、上へ開かないようにしています。
この紐のようなものを腱索といいます。
これが弁を引っ張っているので、弁は上へ開かないのです。
腱索と乳頭筋です。
この2つが働いて、
心室が収縮しても弁は上へ開くことはないのです。
心室の力が強すぎて
この紐が切れてしまったらどうでしょう。
そするとこの弁は上にも下にも開いてしまい、
次の収縮で血液が心房の方へ逆流してしまいます。
弁が血液の流れを止められないからです。
そこで血液は、このように逆流してしまうのです。
ですからこの腱索と乳頭筋は
とても大事な部分なのです。
今度はこちらの心室中隔に目を向けてみましょう。
この上の方は見て分かるようにとても薄くて、
こちらの方は厚いですね。
この青い部分は膜です。
赤い部分は筋肉です。
心室の間にある心室中隔には
このように2つの部分があるのです。
この膜のところですが、
赤ちゃんの中には
この膜に穴が開いて生まれてくる場合があります。
よくあるのは、この膜に穴が開いているために
流れてはいけない方へ血液が流れてしまいます。
左心室から右心室へ血液が流れてはいけないので、
問題となります。
こういう障害をVSDといいます。
VSDというのは
ventricular septal defectの略で、
心室中隔欠損症という意味の英語の略字です。
心室中隔欠損症は
この膜のところに最も頻繁に見られます。
最後に、心臓のこの部分を拡大して
構造を見てみます。
これが拡大図です。
この部分は三層から成っています。
一番内側には心内膜があります。
心内膜はこのように心臓全体を覆っています。
左右の弁や心室、心房を全部覆っています。
この心内膜は血管の内側を覆っている膜と
とても似ています。
とても薄い膜です。
血液が心臓に入ってくると
最初に出会うのがこの膜というわけです。
この緑で描いた線が心内膜です。
こちらの方にも描きましょう。
細胞2,3個分の厚さです。
内側には赤血球があります。
その外側にあるのは心筋層です。
この部分が一番厚い層です。
こんな感じです。
こういうふうに綴ります。
心内膜はこう書きます。
Myoは筋肉という意味です。
心筋は収縮するのが仕事です。
またこの筋肉は沢山のエネルギーを使います。
心臓が必要とする酸素を送り届けるのが
この筋肉の仕事です。
心筋の外側には
心膜があります。
この膜はこんな風に二重になっています。
この膜の間には隙間があります。
液体が少し詰まっていますが、細胞ではありません。
この部分が心膜です。
どうしてこのように隙間ができるのでしょう。
それは心臓の成長に関係があります。
これは胎児の心臓です。
成長するに従って
だんだん大きくなります。
さて、心臓の近くには風船のような袋があります。
心臓が大きくなるに従って、
この袋の方に突き出してきて、
風船が心臓を取り巻くような形になります。
心臓の成長が止まる頃には、
この袋もこんな風に薄い膜になるというわけです。
ホットケーキのように心臓を包む込みます。
ここで終わっているように見えますが、
現実には途切れていません。
一部を取り出して説明したので途切れているように
見えるだけです。
実際にはこのように
薄い膜で、うまく描けませんが、
二重になった心内膜で覆われているのです。
この二重の膜にはそれぞれ名前があります。
内側の膜を蔵側心膜といいます。
visceral pericardiumと書きますが、
visceralというのは臓器という意味です。
外側の膜は壁側心膜です。
こう書きます。
心臓の壁はこのように、
心内膜、心筋、そして心膜という層でできています。
蔵側心膜は心外膜と呼ばれることもあります。
どこかで耳にするかも知れません。
心臓の一番外側にある層です。