1 00:00:00,388 --> 00:00:01,289 こんにちは、トニーです。 2 00:00:02,089 --> 00:00:03,959 今回は短めのEvery Frame a Painting 3 00:00:04,809 --> 00:00:07,517 「クラリス・スターリングです。 お話を伺っても?」 4 00:00:07,877 --> 00:00:09,568 今日取り上げるのは、「シーンの勝者」 5 00:00:09,778 --> 00:00:12,228 これは、二人の人物が室内を歩く場面 6 00:00:12,368 --> 00:00:13,533 お互いに相手から何かを引き出そうとしています 7 00:00:13,663 --> 00:00:15,081 ――「身分証を見せてもらっても?」 8 00:00:15,081 --> 00:00:17,171 最後に勝つのはどちらでしょう? 9 00:00:18,081 --> 00:00:19,099 「もっと近くに」 10 00:00:20,855 --> 00:00:21,906 まず最初に気付くのは 11 00:00:21,906 --> 00:00:22,957 二人がお互いを画面右に見ている点です 12 00:00:22,957 --> 00:00:24,009 お互いに様子を伺っていて、 13 00:00:24,009 --> 00:00:27,042 檻の中のレクターとクラリスは対等です 14 00:00:27,142 --> 00:00:28,908 しかし、彼がまず一撃 15 00:00:29,078 --> 00:00:33,084 「あと一週間で期限切れだ。 正規のFBIじゃないね?」 16 00:00:33,184 --> 00:00:36,664 カメラは攻防する二人の肩越しに移動します 17 00:00:36,664 --> 00:00:38,016 今、優位に立っているのは? 18 00:00:38,056 --> 00:00:39,056 「座って、どうぞ」 19 00:00:39,056 --> 00:00:40,387 ――彼です。 20 00:00:40,387 --> 00:00:44,080 ここから観客は常に彼女を見下ろし、 彼を見上げることになります。 21 00:00:44,080 --> 00:00:45,738 「それで、教えてくれないか」 22 00:00:45,738 --> 00:00:48,368 「隣の監房のミッグスが君に何て言ったか」 23 00:00:48,738 --> 00:00:50,695 観客が彼を見つめている間、 彼女はカメラから外れています。 24 00:00:50,795 --> 00:00:53,054 今、私たちは彼女の頭の中にいるのです 25 00:00:53,529 --> 00:00:56,923 監督のジョナサン・デミはそれを強調するため、 クラリスが見ているものをカメラに写していきます 26 00:00:57,063 --> 00:01:00,013 そうして、レクターに戻ります ――「フィレンツェを知っているかい?」 27 00:01:00,353 --> 00:01:02,363 ところで、彼女は調書を取るために来たんでしたね 28 00:01:02,433 --> 00:01:03,854 彼女のやり方は露骨すぎるようです 29 00:01:04,004 --> 00:01:07,034 「見ていただくだけでもいいんです。 答えるかどうかはあなたの自由です」 30 00:01:07,524 --> 00:01:08,939 観客は安全なアングルに戻ります 31 00:01:09,629 --> 00:01:11,789 しかし、ハンニバル・レクターは ひとつ気になることがあるようです 32 00:01:11,939 --> 00:01:15,154 「犯人がなぜバッファロー・ビルと 呼ばれているか知っているかい?」 33 00:01:15,334 --> 00:01:17,884 まるで観客がクラリスを目の前に 見ているようなアングルに 34 00:01:17,884 --> 00:01:19,018 レクターは写りません 35 00:01:19,018 --> 00:01:22,022 彼が心から興味を持ったので 彼の視点に移動したのです 36 00:01:22,092 --> 00:01:26,290 二人の関係が変わり始めた瞬間を あなたは正確に答えられますね 37 00:01:26,290 --> 00:01:29,203 「連続殺人犯は記念品を持ちたがります」 38 00:01:29,813 --> 00:01:31,373 「私は違う」 39 00:01:31,643 --> 00:01:34,202 「ええ、あなたは"食べた"」 40 00:01:35,693 --> 00:01:37,347 クラリスが勝ったように見えます 41 00:01:37,347 --> 00:01:39,011 彼女が彼に見せた調書が クローズアップされ 42 00:01:39,011 --> 00:01:40,109 重要性が強調されます 43 00:01:41,009 --> 00:01:43,027 しかし レクターが形成を逆転させます 44 00:01:43,027 --> 00:01:46,063 「奮発したと分かる高価な鞄に、安物の靴の組み合わせ 45 00:01:46,173 --> 00:01:47,550 ――まるで田舎者だ」 46 00:01:48,063 --> 00:01:50,100 ここで初めてドリー撮影が使われます 47 00:01:50,240 --> 00:01:52,261 レクターは中央で安定していますが、 クラリスは端に寄っていき平静を失っています。 48 00:01:55,261 --> 00:01:56,100 彼女は勝利したと思った瞬間………… 49 00:01:58,025 --> 00:01:59,056 転落します。 50 00:01:59,126 --> 00:02:02,764 もし貴方が注意深く見ていたら、 レクターが画面中央を見ていないことに気付いたでしょう。 51 00:02:03,094 --> 00:02:04,223 ほんのわずかにずらしています 52 00:02:06,034 --> 00:02:07,852 彼らはもう目を合わせていないのです 53 00:02:08,014 --> 00:02:10,062 「学校にお帰り、可愛いスターリング」 54 00:02:10,832 --> 00:02:11,892 彼はカメラから離れていき 55 00:02:12,052 --> 00:02:14,448 鏡あわせのように、彼女も同じ動きをします 56 00:02:14,628 --> 00:02:17,076 ミッグスが粗相をした後 カメラは二度移動をし、 57 00:02:17,076 --> 00:02:18,110 ここでやっと初めてのツーショットです 58 00:02:20,005 --> 00:02:22,320 最後に、彼らは同じフレームに収まります 59 00:02:22,320 --> 00:02:23,059 カメラは見上げる形になり 60 00:02:23,059 --> 00:02:25,084 これが二人の関係の始まりだと分かります。 61 00:02:25,274 --> 00:02:30,080 「いくらミグスが狂人でも、すぐには回復しないだろう。 さあ、行け!」 62 00:02:31,001 --> 00:02:33,969 ダイナミックな興味をそそるのは ハンニバル・レクターが勝つ場面ですが、 63 00:02:33,969 --> 00:02:36,313 彼は彼の事情で勝利を譲ります。 64 00:02:36,463 --> 00:02:39,424 クラリスは望みのものを手に入れましたが、 屈辱的な気分になります。 65 00:02:39,464 --> 00:02:42,931 このエクササイズを楽しめたら、 関連動画を見ることを強くおすすめします。 66 00:02:42,931 --> 00:02:48,079 「誰がシーンの勝者か?」という問題に対する答えは、 人によってそれぞれ少しずつ違います。 67 00:02:48,085 --> 00:02:51,526 トニーのEvery Frame a Paintingでした。