0:00:14.194,0:00:16.411
私達人間は 誰もが

0:00:16.411,0:00:20.736
自分は独特で自立した[br]個人であると思っています

0:00:21.506,0:00:23.624
けれど私達は決して[br]ひとりではありません

0:00:23.624,0:00:27.196
私達の体の中には[br]膨大な数の微生物が住み着いており

0:00:27.196,0:00:29.542
同じ体は２つとして[br]存在しません

0:00:29.862,0:00:33.080
微生物たちの住み家としての体は[br]一人一人異なります

0:00:33.360,0:00:35.809
乾いた砂漠のような「肌」

0:00:35.809,0:00:38.206
「唇」の上の村々

0:00:38.206,0:00:40.378
「口内」に広がる都市

0:00:40.378,0:00:43.926
「歯」の一本一本も[br]それぞれが独特な団地のようなもので

0:00:45.076,0:00:49.856
そして「消化管」は微生物がひしめき[br]ワイワイする大都会

0:00:50.536,0:00:53.496
その街道は[br]このように微生物で賑わい

0:00:53.496,0:00:56.396
つねに食べ物が流れ込んできます

0:00:56.396,0:00:58.641
微生物には[br]それぞれ仕事があります

0:00:59.071,0:01:01.697
たとえば セルロース分解菌は

0:01:02.117,0:01:05.027
野菜によく含まれているセルロースを分解し

0:01:05.027,0:01:07.947
糖に変えるのが仕事です

0:01:08.647,0:01:12.135
こうしてできた単糖は[br]また別の種類の

0:01:12.135,0:01:15.315
呼吸役の細菌が取り込み

0:01:15.335,0:01:17.047
燃料として燃やされます

0:01:17.347,0:01:19.993
食べ物はさらに消化管を進み

0:01:20.413,0:01:23.866
そのエネルギーを抽出する[br]発酵役の細菌の元に たどり着きます

0:01:23.896,0:01:26.066
そこで単糖はアルコールや

0:01:26.066,0:01:27.717
水素ガスなどの化学物質に変換され

0:01:27.767,0:01:30.022
廃棄物として吐き出されます

0:01:30.892,0:01:33.465
腸管内の さらに奥深くでは

0:01:33.465,0:01:37.158
共生菌が発酵細菌の廃棄物を漁って[br]生計を立てています

0:01:37.848,0:01:40.189
このような段階のそれぞれにおいて

0:01:40.189,0:01:41.501
エネルギーが放出され

0:01:41.501,0:01:42.636
そのエネルギーを

0:01:42.636,0:01:44.952
消化管内の細胞が吸収します

0:01:44.992,0:01:48.169
今見てきた「都市」は[br]人それぞれ異なります

0:01:48.709,0:01:53.060
人間は誰もが 独特で多様な[br]腸内細菌を有しており

0:01:53.060,0:01:55.522
食べ物の消化方法も異なるのです

0:01:55.602,0:01:59.582
ある人の腸内細菌が抽出できる[br]カロリーの量に比べて

0:01:59.622,0:02:02.993
はるかに少ない量のカロリーしか[br]取り出せない人もいます

0:02:03.323,0:02:07.473
では 私達の腸内細菌群の構成を[br]決定づけるのは何でしょうか

0:02:08.133,0:02:10.161
たとえば 遺伝子構造や

0:02:10.751,0:02:13.583
人が生涯で出くわす[br]様々な微生物などが

0:02:13.633,0:02:16.829
体内の微生物の生態系を左右します

0:02:17.329,0:02:19.253
何を食べるかということも

0:02:19.253,0:02:21.655
腸内に住み着く菌の種類に影響します

0:02:21.785,0:02:23.797
たとえば 複雑な分子から成る[br]りんごなどの食べ物は

0:02:23.797,0:02:25.480
たとえば 複雑な分子から成る[br]りんごなどの食べ物は

0:02:25.503,0:02:28.631
分解されるまでに[br]多種多様な細菌を必要とします

0:02:28.851,0:02:32.428
しかしキャンディーのように[br]単純な分子から成る食べ物の場合

0:02:32.471,0:02:34.989
仕事を失ってしまう[br]細菌もいます

0:02:35.009,0:02:38.055
そんな細菌はいなくなり[br]二度と戻ってくることはありません

0:02:38.075,0:02:41.073
たった数種類の細菌しかいない[br]腸内環境は

0:02:41.073,0:02:43.373
あまりよく機能しません

0:02:43.693,0:02:44.948
たとえば

0:02:44.948,0:02:49.226
糖尿病や慢性腸炎といった[br]疾患を持つ人は

0:02:49.226,0:02:52.556
腸内細菌の種類が少ないのが[br]典型的です

0:02:53.256,0:02:55.720
その人の細菌群を[br]どう管理すればいいか

0:02:55.720,0:02:58.186
最良の方法は明らかになっていません

0:02:58.276,0:03:02.700
しかし植物由来で 高分子の食品を使って[br]種類豊富な食事をとるなど

0:03:02.700,0:03:04.769
食生活を変えることで

0:03:04.769,0:03:07.394
微生物たちのの生態系を

0:03:07.394,0:03:10.904
腸内に限らず 全身で活性化できます

0:03:10.944,0:03:13.963
つまり 人体は[br]私達だけのものではないのです

0:03:13.963,0:03:17.401
膨大な数の微生物が[br]住み着いていて

0:03:17.401,0:03:20.616
私達も微生物も[br]お互いが必要なのです

0:03:20.966,0:03:23.117
微生物と人体が[br]そして微生物同士が

0:03:23.127,0:03:25.868
どう影響し合うかが[br]解明されていくにつれ

0:03:25.868,0:03:29.708
私達人間の個性や[br]健康や幸福を形作る—

0:03:29.729,0:03:31.616
複雑で目に見えない[br]微生物の世界を

0:03:31.616,0:03:34.055
どう育んでいけばいいのかも[br]見えてくるでしょう