0:00:00.631,0:00:04.133
太陽系の外の話をする前に

0:00:04.133,0:00:08.200
少しだけ、今までのことをふりかえってみよう。

0:00:08.200,0:00:11.933
ここに太陽の写真があるね。

0:00:11.933,0:00:16.800
太陽はこの縮尺でも、一目で大きいってわかる。[br]これには、驚かされるね。

0:00:16.800,0:00:21.800
そして、この縮尺だと地球は、だいたいこれくらいかな。

0:00:21.800,0:00:28.467
だいたいこんな大きさ。[br]私にとっては、これはおどろきだ。

0:00:28.467,0:00:33.460
だって、地球上のすべてが、太陽から出てる[br]プラズマフレアの中に、入っちゃうんだから。

0:00:33.460,0:00:37.039
まぁ、実際ここには行けないから、[br]想像することしかできないんだけどね。

0:00:37.054,0:00:40.333
でも、もしカプセルのようなものに入って、

0:00:40.333,0:00:43.047
こういう環境にいれたら、どういう感じだろう？

0:00:43.047,0:00:46.600
そんなことができたら、おもしろいけどね。

0:00:46.600,0:00:50.000
まぁでも、想像はここらへんにして、[br]太陽系の「境界」のことを考えてみよう。

0:00:50.028,0:00:53.225
前の動画では、オールト・ベルトのことを考えた。

0:00:53.225,0:00:59.133
これは、太陽から約1光年離れたところに、あるんだったね。

0:00:59.133,0:01:03.133
けど、何を境界と考えるかで、それも変わってくる。[br]もっと内側になることもあれば、

0:01:03.133,0:01:07.779
オールトの雲くらい、外側になることもある。

0:01:07.779,0:01:13.533
太陽からは、いろいろ放出されてるみたいだけど、[br]実は、目に見えないものも放出されている。

0:01:13.533,0:01:21.533
見えない粒子（りゅうし）や高エネルギーの電子や陽子が、[br]太陽から放出されているんだ。それも、とてつもない速さで。

0:01:21.533,0:01:29.032
どれくらいかって言うと・・・秒速400km！[br]ちょっとここに書いておこう。

0:01:29.047,0:01:33.372
秒速400km！

0:01:33.403,0:01:36.667
地球上では、地球の磁場（じば）によって、

0:01:36.667,0:01:42.721
この高エネルギーの粒子から、守られている。[br]けど、月面上では地球とは違う。

0:01:42.736,0:01:47.892
地球からは見えない部分、[br]月の裏側は磁場に守られていない。

0:01:47.892,0:01:51.897
だから、月の裏側では太陽から放出された[br]この粒子に、直接ふれてしまうんだ。

0:01:51.897,0:01:56.600
話題があっちこっちにいくのは、あまりよくないね。[br]まぁでも、こういう話をしたのは、

0:01:56.600,0:02:00.028
太陽の表面から、とてつもない速さで出ている[br]この電気をおびた粒子、

0:02:00.059,0:02:02.533
「太陽風」の話を、したかったからなんだ。

0:02:02.533,0:02:08.848
これらは太陽「風」だ。[br]風には、カッコをつけておこうか。

0:02:08.848,0:02:12.702
普通に考える風とは、だいぶ意味が違うからね。

0:02:12.702,0:02:17.903
この太陽風は、太陽からすごい速さで[br]放出されている、電気を帯びた粒子。

0:02:17.903,0:02:21.930
この太陽風についても、考えてみよう。

0:02:21.930,0:02:26.933
この太陽風が、太陽系の境界を知る手がかりになるんだ。

0:02:26.933,0:02:31.400
この太陽風が宇宙空間の物質と、どこでぶつかり合うのか

0:02:31.400,0:02:36.129
それをちょっと考えてみよう。

0:02:36.129,0:02:40.400
ここの図は、それをえがいてる。[br]オールトの雲は少なくとも、

0:02:40.400,0:02:44.175
この外側の濃くなっている部分の外側なんだ。

0:02:44.175,0:02:47.950
ここには、ボイジャー1号とボイジャー2号があるね。

0:02:47.950,0:02:55.385
セドナの軌道はこんな感じかな。[br]一番近づくときは、これくらいで、

0:02:55.431,0:02:58.743
そうして外側に出ていく。

0:02:58.743,0:03:03.498
けど、オールトの雲はもっともっと外側だ。[br]だから、太陽系を太陽風が届く範囲で考えると、

0:03:03.498,0:03:07.007
その範囲はオールトの雲より小さいってことになる。[br]まあ、それでもとても大きいんだけど。

0:03:07.007,0:03:12.359
だから、これが太陽風が届く範囲、ヘリオポーズだ。[br]これはウィキペディアで調べたんだけど、

0:03:12.359,0:03:19.508
この部分で太陽風は遅く、そして弱くなる。

0:03:19.508,0:03:26.048
ここで、圧力は弱められている。

0:03:26.064,0:03:32.046
宇宙の物質の中でも、[br]主に水素とヘリウムに弱められている。

0:03:32.046,0:03:38.000
そして、ここよりむこうに太陽風は放出されない。

0:03:38.000,0:03:42.421
ここに「区切り」みたいなものが、あると思えばいい。

0:03:42.421,0:03:46.298
ボイジャー1号と2号は、その「区切り」に接近した。

0:03:46.298,0:03:51.348
これも太陽系の境界の、一つの考え方だ。

0:03:51.348,0:03:55.462
太陽系の境界に、絶対的なものない。[br]境界についての他の考え方は、

0:03:55.508,0:04:01.323
オールトの雲とかの考え方だ。[br]ほら、この外の部分には、まだ何か物質があるよね。

0:04:01.323,0:04:05.477
だけど、わかってるのはそれだけ。[br]実際にオールトの雲の中に、何があるのかを見たことはない。

0:04:05.477,0:04:11.031
けど、外側に何かあるって考えられている。

0:04:11.031,0:04:16.569
そしてたぶん、最もあいまいな境界は[br]太陽の重力の影響による境界。

0:04:16.569,0:04:21.431
こういう太陽系の境界は想像するしかない。

0:04:21.431,0:04:25.456
けど、どの方法でも、太陽系の内側か外側か、[br]あいまいな部分を残してしまう。

0:04:25.456,0:04:28.329
けど、この動画でしたいのは、[br]太陽系の外側の話の、ちょっとした導入なんだ。

0:04:28.329,0:04:33.579
それから、一番近い恒星との距離感もつかんでもらいたい。

0:04:33.595,0:04:38.575
こっちの図は、私たちがいる太陽系の周辺。

0:04:38.575,0:04:42.320
これはとても大きく見えるけど、

0:04:42.320,0:04:48.369
実はこの円は、星じゃなくて太陽系なんだ。

0:04:48.369,0:04:51.267
けど、「ああ、この円が太陽だ」って思ったんじゃない？[br]それが違うんだ。

0:04:51.267,0:04:54.034
太陽をここに描くとしたら、点にすらならない。

0:04:54.034,0:04:59.654
実は、冥王星（めいおうせい）の軌道（きどう）ですら、[br]ここでは点にもならないん。

0:04:59.654,0:05:05.933
ここで見えてるのは、半径、

0:05:05.933,0:05:12.867
これはだいたい1光年かかる、オールトの雲の半径だ。

0:05:12.867,0:05:19.298
前の動画でその半径がどれくらい大きいか、[br]冥王星の軌道と比べて話したよね。

0:05:19.298,0:05:28.267
冥王星の軌道は、だいたいこれくらいだ。[br]これ自体とても大きい。

0:05:28.267,0:05:37.595
太陽からもすごく離れていて、冥王星の軌道はとても大きい。

0:05:37.595,0:05:44.255
けど、この図の中では点にすらならない。

0:05:44.255,0:05:52.246
それじゃあ、私達と他の恒星との距離を考えてみよう。[br]この図の中だと、私たちは中心にある、[br]とても、とても、とても小さい点だ。

0:05:52.246,0:05:59.236
太陽系から、そして特に地球から

0:05:59.236,0:06:04.205
最も近い恒星、最も近い星団は[br]ケンタウルス座アルファ星。

0:06:04.205,0:06:09.375
これは最も近い星団で、三つの恒星からできている。

0:06:09.375,0:06:13.029
一番大きいケンタウルス座アルファ星Aと[br]ケンタウルス座アルファ星B、

0:06:13.029,0:06:18.333
そしてもう一つは裸眼では確認できない、[br]ケンタウロス座アルファ星ケンタウリ、[br]いや、確かプロキシマ・ケンタウリって呼ばれてたな。

0:06:18.333,0:06:22.642
正しくは、プロキシマ・ケンタウリだね。[br]これがこの中で一番小さい恒星だ。

0:06:22.642,0:06:30.629
けど、これが一番近い恒星で[br]この３つの恒星が、一番近い星団なんだ。

0:06:30.629,0:06:40.000
地球からはおよそ4.2光年の距離がある。

0:06:40.000,0:06:44.224
つまりは、この恒星からの光が地球に届くまで、[br]4.2年かかるってこと。

0:06:44.224,0:06:49.704
もしくは、この恒星が消えたり、爆発したとしても[br]4.2年間はわからないんだね。

0:06:49.704,0:06:54.053
もしかしたら、誤解してこう思ってない？[br]「なんだ、たいしたことないな。

0:06:54.053,0:06:58.354
ちょっと向こうの星まで旅行して、調べてみよう。[br]もし人がいたら、技術とかを教えあおうじゃないか。」って。

0:06:58.354,0:07:06.331
けど、これはとてつもない距離なんだ。[br]4.2光年っていうのは、信じられないくらいとんでもない距離だ。

0:07:06.331,0:07:11.134
ちょっと感覚的に理解できるように、説明しようか。[br]前の動画で、ボイジャー1号と2号のことを話したね。

0:07:11.134,0:07:13.684
そのとき、ヘリオポーズにたどり着くまでのことも話した。

0:07:13.684,0:07:25.529
こいつらは時速6万kmで、つまり、

0:07:25.529,0:07:34.044
秒速17kmで移動しているんだったね。[br]この恒星にこの速さで向かったら、

0:07:34.044,0:07:38.990
その速度に、巨大な星の重力が合わさるから、

0:07:38.990,0:07:42.698
もっと加速して、とてつもない速さになるんだ。

0:07:42.698,0:07:48.579
けど、この速度で地球に最も近い

0:07:48.579,0:07:57.913
ケンタウルス座アルファ星系の方に、まっすぐ向かったとしても

0:07:57.913,0:08:09.200
8万年もかかってしまう。[br]ボイジャーの中で一番速いボイジャー1号と同じ速度でも。

0:08:09.200,0:08:14.918
これはとんでもなく長い時間だ。[br]それじゃあ次は、ここらへんを

0:08:14.918,9:59:59.000
もっと分かりやすく、説明していこう。