1 00:00:00,833 --> 00:00:03,008 私は労働組合を主催しています 2 00:00:03,022 --> 00:00:07,625 2013年にcoworker.org(同僚組合) を共同設立しました 3 00:00:07,678 --> 00:00:09,202 テクノロジーを使い 4 00:00:09,212 --> 00:00:15,320 社員どうしが団結・組織化(organize)し 職場に改善を求める手助けをしています 5 00:00:15,986 --> 00:00:19,133 この活動への人々の反応は 2種類あります 6 00:00:19,157 --> 00:00:20,977 いや 実際は3種類です 7 00:00:21,001 --> 00:00:25,402 まず1つめは“organize” という言葉を完全に誤解する人 8 00:00:25,426 --> 00:00:27,961 主治医に仕事は何かと聞かれ 話した時 9 00:00:27,985 --> 00:00:31,754 「マリエ・コンドー的なことか」 と思われたようです 10 00:00:31,778 --> 00:00:32,796 (笑) 11 00:00:32,820 --> 00:00:36,076 主治医は「それはいいね! 私もお世話になりたいな 12 00:00:36,116 --> 00:00:38,757 患者のファイルを 整理したいところだったんだ」 13 00:00:38,781 --> 00:00:40,628 彼に説明しないといけませんでした 14 00:00:40,638 --> 00:00:45,500 「その“organize”じゃなくて 言うなれば 明日 あなたが出勤すると 15 00:00:45,524 --> 00:00:47,614 オフィス中の看護師が結集して 16 00:00:47,644 --> 00:00:49,856 全面的な賃上げを 要求してくるようなものだ」と 17 00:00:49,880 --> 00:00:50,905 (笑) 18 00:00:50,925 --> 00:00:54,761 「へえ」と彼は言ったきり 黙り込んでしまいました 19 00:00:54,785 --> 00:00:55,771 (笑) 20 00:00:55,795 --> 00:00:58,577 そうなんです 今のが2つめ 21 00:00:58,601 --> 00:01:00,188 気まずい反応というやつです 22 00:01:00,212 --> 00:01:02,363 大抵は 会話から抜けて 23 00:01:02,387 --> 00:01:04,552 他に話す相手を見つけます 24 00:01:05,428 --> 00:01:07,513 そして 3つめが 25 00:01:07,537 --> 00:01:08,854 ノリノリな反応です 26 00:01:08,872 --> 00:01:11,614 「そう!こういうのを探していたんだよ!」 27 00:01:11,644 --> 00:01:14,696 そして その場の誰かが語り始めます 28 00:01:14,720 --> 00:01:18,805 決まって 仕事や 同僚や友人の話で 29 00:01:18,829 --> 00:01:21,173 職場で理不尽な扱いを受けている という話です 30 00:01:21,197 --> 00:01:25,207 気が付いたのは 私の活動に対して 中立の意見はないことです 31 00:01:25,231 --> 00:01:27,442 反射的に拒絶するか 32 00:01:27,466 --> 00:01:30,669 らんらんと目を輝かせるかのどちらかです 33 00:01:31,043 --> 00:01:34,617 なぜ 私の仕事はこれほどまでに 人の感情をかき立てるのでしょうか? 34 00:01:35,218 --> 00:01:38,009 私の勘では 「対立」という テーマのせいだと思います 35 00:01:38,143 --> 00:01:40,524 あなたが会社で権力を持つ立場 36 00:01:40,528 --> 00:01:43,998 例えば社長や重役的な役職の人なら 37 00:01:44,232 --> 00:01:48,533 その権力に立ち向かって来られることを 快く思わないはずです 38 00:01:48,533 --> 00:01:52,403 一方 自分が権力を持たないか 知り合いに 権力を持たず必要としている人がいるなら 39 00:01:52,427 --> 00:01:56,141 私の肩をつかんで揺さぶるくらい 興奮するかもしれません 40 00:01:56,175 --> 00:02:00,004 しかし 職場での「対立」が 何をもたらすか理解することは 41 00:02:00,018 --> 00:02:02,624 私たち全員にメリットをもたらしうるのです 42 00:02:03,102 --> 00:02:05,887 職場での権力の不均衡は確実に存在し 43 00:02:05,911 --> 00:02:07,888 絶えず変化し続けています 44 00:02:07,912 --> 00:02:12,358 権力は役割や地位次第で 両者の間を行ったり来たりします 45 00:02:12,382 --> 00:02:15,786 こんな活動はまるで社内政治じゃないかと 感じることもありますよね 46 00:02:15,810 --> 00:02:17,570 決して楽しいものではありません 47 00:02:17,594 --> 00:02:20,089 しかし 同僚と協力し合い よく考えながら 48 00:02:20,113 --> 00:02:22,081 力を求めることができれば 49 00:02:22,105 --> 00:02:24,403 とてつもない成果を生み出すこともあります 50 00:02:24,427 --> 00:02:26,455 このような「生産的対立」こそ 51 00:02:26,479 --> 00:02:28,534 今日皆さんにお伝えしたいことなのです 52 00:02:28,558 --> 00:02:31,166 一部の人々は あまり好まない種類の対立です 53 00:02:31,190 --> 00:02:32,718 ビジネスリーダーの方々は 54 00:02:32,742 --> 00:02:35,901 会社の方針や決断に対する 部下の反発を歓迎するべきです 55 00:02:35,925 --> 00:02:37,986 そこから教訓が得られるだけでなく 56 00:02:38,010 --> 00:02:40,720 お互いに対する真剣さを 表すものだからです 57 00:02:41,941 --> 00:02:44,201 では「生産的対立」とは 何のことでしょうか? 58 00:02:44,225 --> 00:02:45,883 以前 こんなことがありました 59 00:02:46,406 --> 00:02:50,885 2016年のことです アウトドア小売業の従業員 — 60 00:02:50,909 --> 00:02:52,336 仮にアレックスとしましょう — 61 00:02:52,360 --> 00:02:55,154 アレックスは上司に昇給を求めました 62 00:02:55,598 --> 00:02:58,864 しかし 上司には彼女の給料は そこそこ平均的なものだと言われ 63 00:02:58,898 --> 00:03:02,744 そもそも自分には給料を上げる権限がないと 言われてしまいました 64 00:03:02,768 --> 00:03:05,619 交渉はここで終わったはずでした 65 00:03:06,107 --> 00:03:08,714 しかしアレックスは納得できず 66 00:03:08,757 --> 00:03:11,551 coworker.orgでキャンペーンを立ち上げ 67 00:03:11,575 --> 00:03:15,869 店舗スタッフの賃上げを求めて 本社に働きかけることにしました 68 00:03:15,893 --> 00:03:18,239 みるみるうちに 全国の従業員が 69 00:03:18,263 --> 00:03:21,189 アレックスの活動に賛同し 自分の給与についての話を 70 00:03:21,213 --> 00:03:22,755 投稿し始めました 71 00:03:22,779 --> 00:03:24,367 時給11〜12ドルしかもらえず 72 00:03:24,391 --> 00:03:26,764 そのせいで いかに生活が苦しいか といった話です 73 00:03:26,788 --> 00:03:28,638 中にはこんなケースもありました 74 00:03:28,638 --> 00:03:31,987 給与の高い競合企業へ移ったけれど 75 00:03:32,011 --> 00:03:35,165 本当は元の会社を辞めたくなかった といった話です 76 00:03:35,165 --> 00:03:38,190 彼らは前の仕事も好きで 会社の理念に賛同していました 77 00:03:38,214 --> 00:03:43,228 ただ 賃金面の問題は どうしても我慢できなかったのでした 78 00:03:43,974 --> 00:03:48,396 数週間にわたる大運動の末 79 00:03:48,420 --> 00:03:50,212 企業側は賃上げを決定しました 80 00:03:50,306 --> 00:03:53,806 全国の店舗で5~15%の昇給です 81 00:03:53,826 --> 00:03:56,017 これこそが私の言う「生産的対立」です 82 00:03:56,041 --> 00:03:58,979 他に進むべき道がないとき 障害となっているものに 83 00:03:58,999 --> 00:04:00,737 立ち向かうということです 84 00:04:01,681 --> 00:04:04,007 他にも学んだことがあります 85 00:04:04,031 --> 00:04:05,974 「生産的対立」に関与する人は 86 00:04:05,974 --> 00:04:09,957 仕事も同僚も大事に思っている ということです 87 00:04:09,981 --> 00:04:12,011 はじめは驚きました 88 00:04:12,035 --> 00:04:15,250 最悪の職業や 劣悪な労働環境といった問題が 89 00:04:15,272 --> 00:04:17,526 うちのサイトに登場すると思っていたら 90 00:04:17,550 --> 00:04:20,114 実際は正反対なケースが多かったのです 91 00:04:20,836 --> 00:04:25,614 力を合わせることで 大きなことが成し遂げられます 92 00:04:25,638 --> 00:04:27,223 ある会社では 93 00:04:27,247 --> 00:04:30,062 50を超える抗議活動が起こっています 94 00:04:30,086 --> 00:04:35,380 ドレスコードの変更要求から もっともな 安全性への懸念まで様々です 95 00:04:35,404 --> 00:04:36,953 ところがです 96 00:04:36,977 --> 00:04:41,356 この会社は 同業他社に比べ 自発的な離職率が 97 00:04:41,380 --> 00:04:43,768 最も低い会社でもあるのです 98 00:04:43,792 --> 00:04:47,125 そして 生産性も高い部類に入ります 99 00:04:49,106 --> 00:04:51,923 ビジネスリーダーの皆さん 対立を恐れてはいけません 100 00:04:51,947 --> 00:04:53,881 もし本当に対立が起こったとしたら 101 00:04:53,905 --> 00:04:56,602 すぐさま鎮圧しようとするのも よくありません 102 00:04:56,626 --> 00:05:01,257 確かに 扱いにくい不確実要素が 生まれるかもしれませんが 103 00:05:01,281 --> 00:05:04,636 そのような不確実要素は 自分たちがまだ気づけていない 104 00:05:04,660 --> 00:05:08,019 未知なる問題があることを 伝えようとしているのです 105 00:05:08,592 --> 00:05:11,635 これは今 特に重要なことだと思います 106 00:05:11,659 --> 00:05:16,149 今や テクノロジーによって ほぼあらゆる人の仕事が激変し 107 00:05:16,173 --> 00:05:19,041 仕事の枠組みも 108 00:05:19,065 --> 00:05:23,045 産業革命以来 前代未聞の速さで 変化し続けていますからね 109 00:05:23,423 --> 00:05:28,517 これからの仕事は 私たち全員で 形作っていく必要があります 110 00:05:28,541 --> 00:05:34,071 自分の職場で機能していない部分に 向き合い 変えていかねばなりません 111 00:05:35,027 --> 00:05:38,399 ですから もしあなたの同僚が 112 00:05:38,423 --> 00:05:41,685 連名で上司に手紙を書こうと誘ってきたり 113 00:05:41,709 --> 00:05:44,474 逆に部下が 新しい 医療保障制度への懸念についての 114 00:05:44,498 --> 00:05:48,034 話し合いに応じてほしいと願い出てきたら 115 00:05:48,058 --> 00:05:50,765 それは より良い仕事環境を整え 116 00:05:51,140 --> 00:05:53,100 会社の競争力を向上し 117 00:05:53,124 --> 00:05:55,400 皆に有益な資源効率を達成するための 118 00:05:55,424 --> 00:05:58,057 新たな「チャンス」として 捉えてみてください 119 00:05:58,081 --> 00:05:59,464 ご静聴ありがとうございました 120 00:05:59,488 --> 00:06:03,857 (拍手)