おはようございます
元気ですか?
じゃ もう一度
元気ですか?
はい 皆さん日本人ですね
(笑)
皆さんにお尋ねしたい
質問があります
あなたをインスパイアするのは
なんですか?
あるいは
日本の文化で 何があなたを
インスパイアしますか?
あなたが日本人でも
そうでなくても
きっと答えられるでしょう
ドバイからの方 どうですか?
まずは 遠路をようこそ
何があなたをインスパイアしますか?
何を日本に感じますか?
(観衆)話せば長くなります
長いお話 ―
TEDxでは時間がありませんので
私のストーリーをお話ししましょう
私にとってまずは自然です
沢山のことの中で
もちろん 家族は一番大切です
でも僅差の二位は日本の自然です
すばらしいものです
日本を離れた日本人でも
よく言うのが
「日本の自然が恋しい」
そしてこうも言います
「温泉が恋しい」
温泉は自然そのものではありませんが
何百年も日本人が前からはぐくんできた
自然との特別な繋がりです
この写真を見れば分かるでしょう
もちろん歴史的に
伝統文化は
第2次世界大戦以降
すっかり変わりました
今は戻ってきたようです
伝統建築は自然を
否定しません
内に取り込むのです
すなわち「私たちは皆
自然と繋がっている」
素材は自然由来で
自然を眺めようとか
取り込もうとします
もちろん伝統的な禅や
茶道や墨絵
生花など
すべて自然と深く
関連しています
その多くのテーマは自然なのです
武道も同様です
何かしらの武道の
経験者もいるでしょう
私にとっては合気道が
もっとも身近な武道の一つです
合気道を習う際は
師範は必ず自然について触れます
自然からいかに学ぶか
自然は常に語りかけているのです
これは私の言葉ではなく
有名な植芝先生の言葉です
合気道の創始者の大先生で
こう言いました
"自然は常に語りかける"
例えば
"山も川も植物も木々も
みな全て先生です" と言いました
例えば山の中の水流についても
触れています
自由に岩々をすり抜けて
流れを作ります
形はなく
不満を言わず
どうにか 流れを定めて
山を下っていきます
"水のようになりなさい"と
言ったのはブルースリーでした
"友よ 水のようになりなさい"
これもわたしのお気に入りです
彼は言いました
"ヤシの木から学びなさい"
おっと間違えました
ヤシではありません
失礼 昔ハワイに住んでたので
ヤシの木もいいものですが
松の木 そして竹です
リハーサルに来るべきでした
あと梅の花です
これらは歳寒の三友といわれます
聞いたことあるでしょう
例えば梅は寒さに強く
優雅に咲きます
開花の時期は早く
春がくる前に
既に咲いているのです
"すぐに春は来る 心配するな"と
述べるリーダーのようです
"私はここにいる 私は美しい"
また松の木は一年中 青々として
信頼する友人のようです
頑丈でずっとそこにあります
だから自然は偉大な先生だと思います
実に最高の先生だと気付きました
これは日本の文化から学びました
さっきしくじった
スライドに戻すと
日本の要素の中で
私にとって 竹こそが
日本の心とは何かを表し
芸術などを通して 私が学んだ
日本の心を表す要素です
ではなぜそう思ったか?
かつて私は大阪に住んでいました
関西の方いますか?
関西人は?
ぼちぼちやな
(笑)
私は大都市 大阪から来ました
言うまでもなく
世界の大都市のひとつで
ニューヨークよりも大きい
巨大な街です
みんなこう言います
"汚い街やけど"
でもとてもいい所です
今はもう引っ越して
奈良の山中に家を建てました
いわばマンハッタンから
コネチカットへの引越しみたいです
こちらの方が竹はもっと多くて
ボルボの車は少ないですが
鹿も沢山います
その話は別の機会にします
来週にでもしましょうか
今日は鹿の話ではなくて
竹についてお話しします
自宅の仕事場から何年もの間
こんな景色を眺めていました
多くの時間 自宅で仕事しました
これはこれでインスピレーションです
人の多い場所でした
そこから ここに移りました
これはその家を建てているときの様子ですが
仕事場からは
今もこの景色が見えるのです
人はいなくて 竹ばかり
ここ数年のことです
いつも竹に興味をもっていました
ここ数年は竹に話しかける
ようになりました
家の周りはこんな感じで
ここを通ってジョギングや
ハイキングに行ったり
立ち止まって 竹と話したりします
さて竹から学んだ10の教えがあります
今日はTEDxなので時間がないため
9つだけお話しします
残りは休憩時間に聞いてください
(笑)
さてまず最初に覚えてください
「見た目は弱くても実は強い」
竹は信じられないくらい強いのです
重量当たりで比較すれば
引っ張り強度は鉄より強く
多くの点でコンクリートよりも丈夫
この写真は日本ではありませんが
アジア諸国でよく
足場に使われています
驚くほど強いのです
これはうちの裏で撮った
短いビデオです
小さい竹ですが とても硬くて
なおかつ しなやかです
空洞があることもわかります
一方 西洋や 少なくとも
私の育った国では
強くなるには大きく
ならなくてはなりません
大木のように
「大きく強く たくましく」
でも覚えていますか?
1980年に学びましたね
ヨーダ曰く「大きさは重要でない」
(笑)
「私を見て サイズで判断するのか」
「ん? 」(ヨーダの口調)
(笑)
「そうすべきでないだろ?」(ヨーダの口調)
これは1980年でしたね
私はアメリカのオレゴンで育ちましたが
樹木には何かの縁があります
森はすばらしいです
しかし森は同時に
暗くて怖い場所でもありますね
恐ろしいことが起こる場所です
親はこう言います
「森では気をつけなさい」
でも竹林は違います
日光を取り込みます
こんな風に考えられます
「光の中で強さを見いだす」
だから強さと優しさ
思いやりと協調があります
これは東洋的な考え方で
特に日本人のアイデアだと思います
強くなって 協力しなければならないのです
2つ目の教訓は
「竹は曲がるが 折れることはない」
私たちもこうあるべきですね
これも私が撮ったビデオですが
ご覧のように
そんなに風が強くない日も
強風の日でも
竹は風を受け流します
私たちもそうあるべきですね
一年を通して日本の文化が
私に教えてくれた事があります
もし何かに打ち勝つために
抵抗するなら
いつもいい結果ばかりとは限りません
第3の教訓は
「深く根を張り 柔軟であれ」
これは話せば長くなりますが
若い竹を見れば分かります
すでに とても深く広く
根を張っています
私の近所は 竹に囲まれていて
どこにでも竹があり
とても柔軟です
まるで私たちの社会に必要な
根を張る必要性を象徴しています
これを私たちは失いつつあります
昔は― 学校制度が整う前でさえ
教わっていたことです
それは社会の役割でした
竹が教えてくれて何かが
社会に深く 根付いていたのです
しかもそれでいて柔軟で
創造的で国際的でいられるのです
竹林の中へ行っても
せわしい心が落ち着くのが
分かると思います
情報があふれる現代だからこそ
これまで以上に重要です
道教の教えでは「流れる水面には
自分の姿は映らないが
静かな水面だけが 姿を
映すことができる」といいます
竹林に入れば あなたも
何か閃くでしょう
すばらしいアイデアは
こうして生まれるのです
ジョン・クリーズは言いました
「アイデアはどこから来るか分からないが
少なくともノートパソコンでない」
嬉しいことに今日は誰も
パソコンを開いてませんね
これは驚きです
誰も気付かなかったでしょう
もしこれが どこかの会社だったらー
特にグーグルとか 社名はいいませんがー
みんなパソコンを開いていたでしょうね
こんなTEDスピリットは素晴らしいですね
今はここにいて 他のことは後で
そんなことを竹は教えてくれます
ごめん グーグル (笑)
第5の教訓は いつでも覚悟を持てと
竹は教えてくれます
偉大な合気道の達人だった
ロサンゼルスの古屋先生が
既に故人ですが こう言いました
「戦士とは平和のために戦うもの」
「竹のように常に準備万全であれ」
私たちは訓練や教育を通じて
あらゆる状況に
対処できるようになれます
第6の教訓は 空虚の中に
知恵を見つけること
さて禅はすべて空虚なのです
空虚のお話を
ずっと続けることも可能です
ブルース・リーの格言によって
ある一面を示しましょう
「コップを空にせよ
次を受け入れられるように」
私たちはみな
すでに先入観と偏見に
満ちています
心を空にしないと
新しいことは学べません
もちろん私のお気に入りの
マスターヨーダも同じことを言いました
ではヨーダのものまねで
言いましょう せーの
「学んだことは忘れなさい」
よくできました
(笑)
第7の教訓
これは幼少期に学ぶ
日本の文化ですが
人は常に成長し続け
自身も改善し続けるという考えです
例えば竹を見れば
1日で1メートルも成長します
ある種の竹は
信じられないほど高く―
100フィート 35メートル以上も
成長します
これは日本ではなく
中国のことわざです
でも漢字だから理解できるでしょう
「竹は100フィートに到達しても
さらに成長できる」
日本ではこう言います
「人は達成したと感じたときには
衰退が始まる」
満足してはいけません
偉大な禅や合気道の達人は
常にこう言います
「あなたは素晴らしいですね」
「いや まだまだです」
西洋出身の多くの人はおそらく
ここから力強い教訓を得られるでしょう
決して満足せず
わずかでも向上を忘れないこと
さて 竹の有用性が
簡潔さをもって示されているのも
素晴らしい点です
古屋先生も同じく言っています
私たちもそんな竹のようにあるべきです
世間は複雑ですから
もっと単純に考えれば
自分自身を見極めて役に立てるようになります
簡単ではありませんが
この漢字を知っていますか?
簡素です
竹が一番上にありますね
実は竹を含む漢字は
何百個もあります
この竹という要素は
簡素に関連しています
この茶道の茶筅とマットも竹です
竹は日本文化の至る所にあり
アジアでもよくあります
数日前に撮影した
友人のスカーフです
竹について話していたときに
彼女が身につけていたスカーフです
「イタリア製 竹100%」
まさに竹はどこでもあります
そしてもちろん私の自宅の隣にも
どこから合法的に取って来たか
知りませんが
とにかく竹で囲いを作っています
(笑)
何か無くなっているなと思ってました
たとえ囲いを作っても
竹はとても有用で美しいのです
私たちも そうあるべきです
最後に竹が教えてくれるのは
力を跳ね返すことです
これは 最近では以前より
もっと重要です
この写真では
前景にある竹は
たくさんの雪に覆われ
雪の重みで曲がっています
時に先端が地面まで
届いてしまいますが
春になると 跳ね返ります
私たちもこうあるべきです
今は多くの人が自分なりの冬を
過ごしています
まるでこんなことわざを思い出します
皆さんこれ知っていますか?
何人ぐらい読めるでしょうか?
せーの 「七転び八起き」
(観客と復唱)
皆さん素晴らしいですね
パリではうまくいきませんでした
(笑)
でもこれがまさに竹の本質です
日本文化が教えてくれている本質です
私にはアメリカの偉大な
哲学者を思い出させます
ロッキー・バルボア
(笑)
(音楽:ロッキーのテーマ)
さあ両手をだして
いいですか
(手拍子)
オーライ
確かロッキーがシリーズ最新作の
ロッキー37かなんかで言ってました
(笑)
「大事なのはどれだけ強く打つかではなくー
どれだけ強く打たれたときにもー
前進し続けることだ
どれだけ打たれても 前進し続けること
勝利とはこうして得るのだ」
これは禅にも通じます
アメリカ版の
「千回倒れても 千一回起きあがれ
決して諦めるな」です
さて では竹から学ぶ教訓は?
まず柔軟性と適応性です
私は日本人の性格について聞かれたら
こんな言葉を思い浮かべます
ぴったりの言葉があります
竹や日本人の性質を
よく表しています
それは 復元する柔軟性や
困難に打ち勝つ心なのです
友よ 竹のようになりなさい
竹のように
ありがとうございました
(拍手)
ありがとう