WEBVTT 00:00:00.000 --> 00:00:02.000 長い間 00:00:02.000 --> 00:00:05.000 私の自我と 身体は別々のものでした 00:00:06.000 --> 00:00:09.000 自我は物語や 00:00:09.000 --> 00:00:11.000 欲求や努力― 00:00:11.000 --> 00:00:13.000 将来への希望から できていました 00:00:13.000 --> 00:00:15.000 自我は暴力的な過去に 00:00:15.000 --> 00:00:18.000 影響されないように 頑張っていましたが 00:00:18.000 --> 00:00:20.000 自我と身体が 00:00:20.000 --> 00:00:22.000 すでに分離してしまったことが 00:00:22.000 --> 00:00:25.000 とても重大な結果でした 00:00:25.000 --> 00:00:28.000 自我は 常に何者かに なろうとしていました 00:00:28.000 --> 00:00:31.000 自我は その努力においてのみ 存在したのです 00:00:31.000 --> 00:00:34.000 身体がしばしばその邪魔になっていました NOTE Paragraph 00:00:34.000 --> 00:00:36.000 自我はさまよう頭のようでした 00:00:36.000 --> 00:00:39.000 何年もの間 帽子だけを かぶっていました 00:00:39.000 --> 00:00:41.000 頭を身体につないでおくため— 00:00:41.000 --> 00:00:44.000 自分の居場所を確認するための 手段だったのです 00:00:44.000 --> 00:00:46.000 帽子を取ってしまったら もはや私は 00:00:46.000 --> 00:00:48.000 存在しなくなるのではと 不安でした 00:00:48.000 --> 00:00:51.000 あるとき セラピストに こう言われたことがあります 00:00:51.000 --> 00:00:53.000 「イヴ あなたはもう2年も ここに通っているけれど― 00:00:53.000 --> 00:00:56.000 正直に言って あなたには身体が あるなんて思ったことがないわ」 00:00:56.000 --> 00:00:58.000 この間ずっと 私は 都会に住んでいました 00:00:58.000 --> 00:01:00.000 というのも 正直に言って 00:01:00.000 --> 00:01:02.000 木が怖かったのです 00:01:02.000 --> 00:01:04.000 頭には子供を産むことが できないので 00:01:04.000 --> 00:01:06.000 私は子供を持ちませんでした 00:01:06.000 --> 00:01:09.000 赤ちゃんは口から 出てくるわけではないでしょう NOTE Paragraph 00:01:09.000 --> 00:01:12.000 身体に基準点を持たなかった私は― 00:01:12.000 --> 00:01:15.000 他の女性に彼女たちの 身体について質問し始めました 00:01:15.000 --> 00:01:17.000 とりわけ ヴァギナ(女性器)について 00:01:17.000 --> 00:01:19.000 ヴァギナは重要かなと思ったのです 00:01:19.000 --> 00:01:21.000 これによって 私は『ヴァギナ・モノローグ』を 書くことになりました 00:01:21.000 --> 00:01:24.000 それから 取りつかれたように 絶え間なく 00:01:24.000 --> 00:01:27.000 出来る限りどこでも ヴァギナの話をしました 00:01:27.000 --> 00:01:30.000 たくさんの他人の前で その話をしました 00:01:30.000 --> 00:01:32.000 ある晩 舞台の上で 00:01:32.000 --> 00:01:35.000 私は自分のヴァギナの中に入りました 00:01:35.000 --> 00:01:38.000 我を忘れるような経験でした 00:01:38.000 --> 00:01:41.000 怖くもあり エネルギーを与えてもくれました 00:01:41.000 --> 00:01:44.000 そして 私は衝動に 駆られました 00:01:44.000 --> 00:01:46.000 衝動に駆られたヴァギナになったのです NOTE Paragraph 00:01:46.000 --> 00:01:49.000 自分の身体を物のように 見るようになりました 00:01:49.000 --> 00:01:51.000 すばやく動くことのできる物― 00:01:51.000 --> 00:01:53.000 いろいろな事を一気に 00:01:53.000 --> 00:01:56.000 成し遂げることのできる物です 00:01:56.000 --> 00:01:59.000 私の身体を iPad か車のように 考え始めました 00:01:59.000 --> 00:02:01.000 私が身体を乗り回し 身体に物事を要求するのです 00:02:01.000 --> 00:02:04.000 とどまるところを知りませんでした 無敵だったのです 00:02:04.000 --> 00:02:07.000 身体は 地球のように 征服され 支配されるべきものでした 00:02:07.000 --> 00:02:09.000 私は身体に 注意を払いませんでした 00:02:09.000 --> 00:02:11.000 私は身体を体系づけ 指示をするのです 00:02:11.000 --> 00:02:13.000 身体に対して 忍耐強くありませんでした 00:02:13.000 --> 00:02:15.000 「ぱちっ」と型にはめていました 00:02:15.000 --> 00:02:17.000 私は貪欲でした 00:02:17.000 --> 00:02:19.000 私は身体にできる以上の ことを求めました 00:02:19.000 --> 00:02:22.000 疲れていたら もっとたくさん エスプレッソを飲みました 00:02:22.000 --> 00:02:25.000 怖いときには もっと危険な 場所へ足を運びました NOTE Paragraph 00:02:25.000 --> 00:02:28.000 ええ もちろん 身体に感謝をしたときもありますよ 00:02:28.000 --> 00:02:30.000 虐待をする親にも 00:02:30.000 --> 00:02:32.000 優しくなる瞬間があるのと 同じです 00:02:32.000 --> 00:02:34.000 たとえば 私の父は 00:02:34.000 --> 00:02:36.000 私の16歳の誕生日には とても優しくしてくれました 00:02:36.000 --> 00:02:38.000 時折 私は身体を 大切にするべきだと 00:02:38.000 --> 00:02:40.000 人がささやくのを耳にします 00:02:40.000 --> 00:02:42.000 ですから 私は その方法を学んだのです 00:02:42.000 --> 00:02:45.000 私はベジタリアンで お酒を飲まず 煙草も吸いませんでした 00:02:45.000 --> 00:02:47.000 でも それはすべて 私の身体を操るための 00:02:47.000 --> 00:02:49.000 より洗練された方法に すぎませんでした 00:02:49.000 --> 00:02:51.000 野菜を高速道路に植えるような 00:02:51.000 --> 00:02:55.000 より分離する方法です NOTE Paragraph 00:02:56.000 --> 00:02:59.000 私のヴァギナについて たくさんお話しした結果 00:02:59.000 --> 00:03:02.000 多くの女性が自分のヴァギナについて― 00:03:02.000 --> 00:03:04.000 自分の身体について 話してくれるようになりました 00:03:04.000 --> 00:03:07.000 実際 これらの話によって 私は世界中の 00:03:07.000 --> 00:03:09.000 60ヵ国以上を訪れました 00:03:09.000 --> 00:03:11.000 何千もの話を聞きましたが 00:03:11.000 --> 00:03:13.000 常にある瞬間のことを 00:03:13.000 --> 00:03:15.000 教えてくれます 00:03:15.000 --> 00:03:19.000 自分が身体から切り離される瞬間― 00:03:19.000 --> 00:03:21.000 家を出るときのことです 00:03:21.000 --> 00:03:25.000 ベッドで乱暴をされた女性の 話を聞いたこともありました 00:03:25.000 --> 00:03:27.000 ブルカを着たまま むち打たれた女性 00:03:27.000 --> 00:03:29.000 駐車場でのたれ死に させられた女性 00:03:29.000 --> 00:03:31.000 自宅の台所で 酸で火傷を負った女性 00:03:31.000 --> 00:03:34.000 言葉を失い 姿を消した 女性や 00:03:34.000 --> 00:03:37.000 気がふれて 私のように 機械のようになった女性もいます NOTE Paragraph 00:03:38.000 --> 00:03:40.000 旅の途中で 00:03:40.000 --> 00:03:42.000 私は40歳になり 自分の身体が 嫌いになり始めました 00:03:42.000 --> 00:03:44.000 これは 実は進歩でした― 00:03:44.000 --> 00:03:47.000 というのも 嫌いになれるほどに 私の身体が存在はしていたのですから 00:03:47.000 --> 00:03:50.000 中でもおなか― 私が一番嫌いなのはおなかでした 00:03:50.000 --> 00:03:53.000 それは 私がちゃんと サイズを維持していない― 00:03:53.000 --> 00:03:56.000 年をとって きれいでも 完璧でもないという証明でした 00:03:56.000 --> 00:04:00.000 あらかじめ決められた共通の イメージに適合していないということなのです 00:04:00.000 --> 00:04:03.000 私のおなかは 私が失敗したという証明― 00:04:03.000 --> 00:04:06.000 それが私の期待に添うことができず 壊れてしまったということでした 00:04:06.000 --> 00:04:09.000 人生の目的はおなかを取り除くことになり そればかりを考えました 00:04:09.000 --> 00:04:11.000 実のところ それが 行きすぎて 00:04:11.000 --> 00:04:13.000 そのことについて 劇を書きました 00:04:13.000 --> 00:04:15.000 でも そのことについて 話せば話すほど 00:04:15.000 --> 00:04:18.000 私の身体は対象化され 断片化されていきました 00:04:18.000 --> 00:04:21.000 私の身体はエンターテイメント になりました 新しい種類の商品― 00:04:21.000 --> 00:04:24.000 売り物になったのです NOTE Paragraph 00:04:24.000 --> 00:04:26.000 それから 私は 別の場所へ行きました 00:04:26.000 --> 00:04:28.000 私は知っているつもりである領域の 00:04:28.000 --> 00:04:30.000 外へと出たのです 00:04:30.000 --> 00:04:34.000 私はコンゴ民主共和国へ 行きました 00:04:34.000 --> 00:04:36.000 そこで 私は今までの話を 00:04:36.000 --> 00:04:38.000 全てしのぐような話をいくつも聞きました 00:04:38.000 --> 00:04:40.000 私の身体に入り込んでくる 00:04:40.000 --> 00:04:42.000 話を耳にしました 00:04:42.000 --> 00:04:44.000 たくさんの大人の兵士たちが 00:04:44.000 --> 00:04:46.000 彼女をレイプしたために 00:04:46.000 --> 00:04:48.000 おしっこをもらしてしまう 00:04:48.000 --> 00:04:51.000 小さな女の子の話を 聞きました 00:04:51.000 --> 00:04:53.000 両脚を折られ 関節からはずされ 00:04:53.000 --> 00:04:56.000 頭の上にねじ上げられた状態で 00:04:56.000 --> 00:04:58.000 兵士たちにレイプされた 00:04:58.000 --> 00:05:00.000 80歳の女性の話も聞きました 00:05:00.000 --> 00:05:02.000 こうした話が 何千もあり 00:05:02.000 --> 00:05:05.000 多くの女性が身体に 穴を抱えていました 00:05:05.000 --> 00:05:07.000 穴や瘻(ろう)― 00:05:07.000 --> 00:05:10.000 それらは戦争の爪痕でした 00:05:10.000 --> 00:05:13.000 魂という布地にあけられた 穴です 00:05:13.000 --> 00:05:16.000 これらの物語は私の細胞や 神経をいっぱいにし 00:05:16.000 --> 00:05:18.000 正直なところ 00:05:18.000 --> 00:05:20.000 私は3年間 眠ることができませんでした NOTE Paragraph 00:05:20.000 --> 00:05:23.000 すべての物語が 一緒に 血を流し始めたのです 00:05:23.000 --> 00:05:25.000 地球に対する強姦 00:05:25.000 --> 00:05:27.000 鉱物の略奪 00:05:27.000 --> 00:05:29.000 ヴァギナの破壊― 00:05:29.000 --> 00:05:32.000 これらはどれも 互いに そして私から 00:05:32.000 --> 00:05:34.000 離れることはありませんでした 00:05:34.000 --> 00:05:37.000 市民軍の兵士は生後6ヶ月の 赤ちゃんを犯し 00:05:37.000 --> 00:05:39.000 遠くの国々が 00:05:39.000 --> 00:05:41.000 iPhoneやコンピュータに使う 00:05:41.000 --> 00:05:44.000 金やタンタルを 手に入れられるようにしたのです 00:05:44.000 --> 00:05:47.000 私の身体は駆り立てられた 機械になっただけでなく 00:05:47.000 --> 00:05:49.000 私の機械の速さと 性能を支える 00:05:49.000 --> 00:05:51.000 より多くの機械を生み出す 狂った探求の旅において 00:05:51.000 --> 00:05:53.000 他の女性の身体を破壊することに 00:05:53.000 --> 00:05:57.000 責任を持つようになりました NOTE Paragraph 00:05:57.000 --> 00:05:59.000 そして 私はがんになりました― 00:05:59.000 --> 00:06:01.000 というか がんであることが わかりました 00:06:01.000 --> 00:06:03.000 それは スピードを出して 飛んでいる鳥が 00:06:03.000 --> 00:06:06.000 窓ガラスに激突するように 私に訪れました 00:06:06.000 --> 00:06:08.000 突然 私には 身体ができたのです 00:06:08.000 --> 00:06:10.000 刺されて 00:06:10.000 --> 00:06:12.000 つつかれ 穴を開けられた身体― 00:06:12.000 --> 00:06:15.000 切開される身体― 00:06:15.000 --> 00:06:17.000 臓器が摘出され 00:06:17.000 --> 00:06:20.000 移動され 再構成されて 作り直される身体― 00:06:20.000 --> 00:06:22.000 スキャンされて 00:06:22.000 --> 00:06:24.000 管がつながれる身体― 00:06:24.000 --> 00:06:27.000 化学薬品でただれる身体です 00:06:27.000 --> 00:06:29.000 がんは私と身体を分離していた壁を 00:06:29.000 --> 00:06:32.000 破壊しました 00:06:32.000 --> 00:06:35.000 突然 私は自分の 身体に起きている危機が 00:06:35.000 --> 00:06:37.000 世界が直面している危機でもあり 00:06:37.000 --> 00:06:39.000 それはいつか起こるのではなく 00:06:39.000 --> 00:06:41.000 まさに今 起こっているのだと 理解したのです NOTE Paragraph 00:06:41.000 --> 00:06:44.000 突然 私のがんは あちこちに巣くうがんになりました 00:06:44.000 --> 00:06:47.000 残酷さというがん 貪欲さというがん 00:06:47.000 --> 00:06:49.000 化学工業地帯の近くに住む貧しい人々の 00:06:49.000 --> 00:06:53.000 体に入り込んで行くがん 00:06:53.000 --> 00:06:55.000 炭鉱夫の肺の中のがん 00:06:55.000 --> 00:06:58.000 まだ十分達成できていないという ストレスというがん 00:06:58.000 --> 00:07:00.000 無理やり忘れようとした トラウマというがん 00:07:00.000 --> 00:07:03.000 かごで飼育された鶏や 汚染された魚というがん 00:07:03.000 --> 00:07:06.000 レイプされた女性の 子宮に宿るがん 00:07:06.000 --> 00:07:09.000 私たちの不注意のせいで 至る所に宿るがんです NOTE Paragraph 00:07:09.000 --> 00:07:12.000 洞察に富んだ新しい著作― 00:07:12.000 --> 00:07:14.000 『新しい自分と新しい世界 』で 00:07:14.000 --> 00:07:16.000 著者のフィリップ・シェパードは こう書いています― 00:07:16.000 --> 00:07:19.000 「もしあなたが 自分の身体と 隔てられていると感じるならば 00:07:19.000 --> 00:07:22.000 あなたは世界という身体からも 隔てられているのです 00:07:22.000 --> 00:07:24.000 世界が自分の外側に 00:07:24.000 --> 00:07:26.000 切り離されてある と感じるでしょう 00:07:26.000 --> 00:07:28.000 世界は あなたが属している 00:07:28.000 --> 00:07:30.000 生きた連続体であるようには 感じられなくなるのです」 00:07:30.000 --> 00:07:32.000 がんになる前は 00:07:32.000 --> 00:07:34.000 世界は何か別のものでした 00:07:34.000 --> 00:07:37.000 まるで 淀んだ水たまりに 住んでいたところを 00:07:37.000 --> 00:07:39.000 がんが私と大きな海を 隔てていた石を 00:07:39.000 --> 00:07:42.000 爆破したかのようでした 00:07:42.000 --> 00:07:45.000 今 私はその中を泳いでいます 00:07:45.000 --> 00:07:47.000 草の上に横になり 00:07:47.000 --> 00:07:49.000 私の身体を草にこすりつけ 00:07:49.000 --> 00:07:52.000 足に泥がはねるのがたまらなく好きです 00:07:52.000 --> 00:07:55.000 現在 私は毎日 セーヌ河畔にある 00:07:55.000 --> 00:07:58.000 ある柳の木のところに通っています 00:07:58.000 --> 00:08:00.000 ブカブの近くの茂みにある 00:08:00.000 --> 00:08:02.000 緑の草原を渇望しています 00:08:02.000 --> 00:08:04.000 強い雨が降ると 00:08:04.000 --> 00:08:07.000 私は大声を上げながら ぐるぐる走り回ります NOTE Paragraph 00:08:07.000 --> 00:08:11.000 すべてはつながっているので 00:08:11.000 --> 00:08:14.000 私の上半身についた傷は 00:08:14.000 --> 00:08:16.000 地震が残した跡なのです 00:08:16.000 --> 00:08:20.000 ポルトー・プランスの街中に 私は3百万の人とともにいるのです 00:08:20.000 --> 00:08:22.000 化学療法の 3日目から6日目までに 00:08:22.000 --> 00:08:25.000 私の身体を焼いた火は 00:08:25.000 --> 00:08:27.000 世界の森林を 00:08:27.000 --> 00:08:29.000 焼き尽くしつつある火なのです 00:08:29.000 --> 00:08:31.000 手術後に傷の周りにできた 00:08:31.000 --> 00:08:34.000 450グラムもの膿を持った 00:08:34.000 --> 00:08:36.000 膿瘍は 00:08:36.000 --> 00:08:39.000 汚染されたメキシコ湾であり 00:08:39.000 --> 00:08:42.000 私の身体の中には 石油にまみれたペリカンがいて 00:08:42.000 --> 00:08:44.000 死んだ魚が水面を 漂っていました 00:08:44.000 --> 00:08:47.000 きちんと処置せずに カテーテルを差し込まれて 00:08:47.000 --> 00:08:49.000 私は思わず 00:08:49.000 --> 00:08:53.000 掘削される地球のように 叫びを上げました NOTE Paragraph 00:08:53.000 --> 00:08:55.000 2回目の化学療法では 00:08:55.000 --> 00:08:57.000 母が具合を悪くしたので 00:08:57.000 --> 00:08:59.000 母に会いに行きました 00:08:59.000 --> 00:09:01.000 つながりという名のもとに 00:09:01.000 --> 00:09:04.000 母が死ぬ前にしたかった たったひとつの事とは 00:09:04.000 --> 00:09:06.000 母の愛した 00:09:06.000 --> 00:09:09.000 メキシコ湾に面した家に 帰ることでした 00:09:09.000 --> 00:09:11.000 私は 母を家に 連れ帰り 00:09:11.000 --> 00:09:13.000 母が亡くなるまでは どうか石油が母の愛する海岸に 00:09:13.000 --> 00:09:15.000 打ち寄せないよう祈りました 00:09:15.000 --> 00:09:17.000 祈りは通じました 00:09:17.000 --> 00:09:20.000 母は愛する土地で 亡くなりました NOTE Paragraph 00:09:20.000 --> 00:09:22.000 数週間後 私はニューオーリンズにいて 00:09:22.000 --> 00:09:24.000 この素晴らしい スピリチュアルな友人が 00:09:24.000 --> 00:09:26.000 私にヒーリングを施したいと 言いました 00:09:26.000 --> 00:09:28.000 私は光栄に思いました 00:09:28.000 --> 00:09:30.000 彼女の家を訪ねたのは 朝で 00:09:30.000 --> 00:09:33.000 ニューオーリンズの朝日が カーテン越しに差していました 00:09:33.000 --> 00:09:35.000 友人は大きなボウルを 用意していたので 00:09:35.000 --> 00:09:37.000 「それは何?」と 尋ねました 00:09:37.000 --> 00:09:39.000 彼女は 「あなたによ— 00:09:39.000 --> 00:09:42.000 花は美しくしてくれるし 00:09:42.000 --> 00:09:44.000 はちみつは甘くするの」と言った 00:09:44.000 --> 00:09:46.000 「でも 水は何の意味があるの?」 と 私は尋ねました 00:09:46.000 --> 00:09:48.000 そして つながりの名のもとに 00:09:48.000 --> 00:09:51.000 彼女は「水はメキシコ湾よ」 と言ったのです 00:09:51.000 --> 00:09:53.000 「もちろん そうね」 と 私は答えました 00:09:53.000 --> 00:09:55.000 他の女性たちも到着すると 円になって座り 00:09:55.000 --> 00:09:58.000 ミカエラが私の頭を 聖なる水に浸しました 00:09:58.000 --> 00:10:01.000 そして彼女は歌いました— 身体全体で歌いました 00:10:01.000 --> 00:10:03.000 他の女性たちも歌い 00:10:03.000 --> 00:10:05.000 私と母のために 祈りました NOTE Paragraph 00:10:05.000 --> 00:10:08.000 あたたかいメキシコ湾の水が 私の頭を洗い流すにつれ 00:10:08.000 --> 00:10:10.000 私は それが私たちにとって 00:10:10.000 --> 00:10:13.000 最高のものであり 最悪のものでもあったと思いました 00:10:13.000 --> 00:10:15.000 掘削現場の爆発を導いたのは 00:10:15.000 --> 00:10:18.000 貪欲さと向こう見ずな態度でした 00:10:18.000 --> 00:10:20.000 その事件の前にも後にも 流布した— 00:10:20.000 --> 00:10:22.000 あらゆる嘘のせいでした 00:10:22.000 --> 00:10:24.000 はちみつが水を甘くし 00:10:24.000 --> 00:10:27.000 石油が水を病ませたのです 00:10:27.000 --> 00:10:29.000 私の頭には髪がなく― 00:10:29.000 --> 00:10:31.000 いまや帽子がなくても 平気でした 00:10:31.000 --> 00:10:33.000 私の存在すべてが 00:10:33.000 --> 00:10:35.000 ミカエラの膝の上で 溶けていきました 00:10:35.000 --> 00:10:38.000 私のほほには 涙とも メキシコ湾の水ともつかない 00:10:38.000 --> 00:10:40.000 何かが流れました 00:10:40.000 --> 00:10:45.000 とうとう 私は私の身体の中にいたのです 00:10:45.000 --> 00:10:47.000 これほどに長い時間が 00:10:47.000 --> 00:10:49.000 かかったのは 悲しみゆえでした 00:10:49.000 --> 00:10:51.000 それは つながりによって得られる 00:10:51.000 --> 00:10:53.000 私の居場所と大きな責任を 00:10:53.000 --> 00:10:55.000 見つけることでした 00:10:55.000 --> 00:10:58.000 それはコンゴでいまだに続く 破壊的な戦争と 00:10:58.000 --> 00:11:00.000 世界による無関心でした 00:11:00.000 --> 00:11:02.000 それは 今 立ち上がり始めた 00:11:02.000 --> 00:11:04.000 コンゴの女性たちでした 00:11:04.000 --> 00:11:06.000 母がこの世を去る 00:11:06.000 --> 00:11:08.000 まさにその瞬間に 00:11:08.000 --> 00:11:10.000 私は生まれたのでした 00:11:10.000 --> 00:11:12.000 死にどこまでも近いところに 00:11:12.000 --> 00:11:14.000 来たという気づき― 00:11:14.000 --> 00:11:17.000 私たちの母なる地球が 00:11:17.000 --> 00:11:20.000 ようやく持ちこたえているのと 同じように 00:11:20.000 --> 00:11:24.000 この世界の75%が 00:11:24.000 --> 00:11:27.000 どうにか暮らしているのと 00:11:27.000 --> 00:11:29.000 同じように 00:11:29.000 --> 00:11:32.000 生き延びるためのレシピが あるのです NOTE Paragraph 00:11:32.000 --> 00:11:34.000 私が学んだのは 00:11:34.000 --> 00:11:37.000 誰もが受けるにふさわしいだけの 注意と援助を 00:11:37.000 --> 00:11:39.000 割り当てられることと 関係があるということでした 00:11:39.000 --> 00:11:41.000 友人を支え 00:11:41.000 --> 00:11:43.000 姉妹に愛情を注ぐことです 00:11:43.000 --> 00:11:45.000 賢いお医者様や先進医療 00:11:45.000 --> 00:11:48.000 そして外科医がどうしたらよいかを よく知っていたのです 00:11:48.000 --> 00:11:52.000 それは薄給の愛情深い看護師たち 00:11:52.000 --> 00:11:55.000 それは魔法のような治療師や香油 00:11:55.000 --> 00:11:57.000 それは呪文や儀式を知っている人たちのことです 00:11:57.000 --> 00:12:00.000 それは 未来を見通して 00:12:00.000 --> 00:12:02.000 何かのために戦い抜くことです 00:12:02.000 --> 00:12:05.000 なぜなら この戦いは私だけの ものではないのです 00:12:05.000 --> 00:12:07.000 百万の祈りがあり 00:12:07.000 --> 00:12:09.000 千回のハレルヤと 00:12:09.000 --> 00:12:11.000 百万回のオームが唱えられました 00:12:11.000 --> 00:12:13.000 たくさんの怒りと 00:12:13.000 --> 00:12:15.000 ばかげたユーモアと 00:12:15.000 --> 00:12:17.000 たくさんの注目と暴動がありました 00:12:17.000 --> 00:12:20.000 それはエネルギーであり 愛情であり 喜びでした 00:12:20.000 --> 00:12:22.000 これらすべて 00:12:22.000 --> 00:12:24.000 これらすべて 00:12:24.000 --> 00:12:26.000 これらすべてが― 00:12:26.000 --> 00:12:29.000 水と世界と私の身体にあったのです NOTE Paragraph 00:12:29.000 --> 00:12:37.000 (拍手)