1 00:00:00,570 --> 00:00:04,777 私は沢山の数学者や哲学者や コンピュータ科学者といっしょにやっていますが 2 00:00:04,777 --> 00:00:07,766 よく話題にすることに 3 00:00:07,766 --> 00:00:12,030 機械の知性の未来 というのがあります 4 00:00:12,030 --> 00:00:16,565 そんなのは現実離れした SFの世界の 5 00:00:16,565 --> 00:00:19,666 馬鹿げた話だと 考える人もいます 6 00:00:19,666 --> 00:00:22,206 でも現在の人間の状態 というものについて 7 00:00:22,206 --> 00:00:24,930 ちょっと考えてみて ほしいのです 8 00:00:24,930 --> 00:00:26,622 (笑) 9 00:00:26,622 --> 00:00:29,024 これが普通の状況とされています 10 00:00:29,024 --> 00:00:31,309 しかし考えてみれば 11 00:00:31,309 --> 00:00:33,942 人間というのは この地球に 12 00:00:33,942 --> 00:00:36,444 ごく最近現れた 客に過ぎません 13 00:00:36,444 --> 00:00:41,430 地球ができたのが 1年前だったとしたら 14 00:00:41,430 --> 00:00:44,978 人間がいたのは 10分間だけで 15 00:00:44,978 --> 00:00:48,146 工業化時代が始まったのは 2秒前です 16 00:00:49,276 --> 00:00:54,501 このことの別な見方として 過去1万年における世界のGDPを考えてみましょう 17 00:00:54,501 --> 00:00:57,530 私は実際グラフにしてみたんですが 18 00:00:57,530 --> 00:00:59,304 こんな感じになります 19 00:00:59,304 --> 00:01:00,367 (笑) 20 00:01:00,367 --> 00:01:02,828 正常な状態のものとしては 興味深い形です 21 00:01:02,828 --> 00:01:05,095 この上に乗っていたいとは あまり思いません 22 00:01:05,095 --> 00:01:07,067 (笑) 23 00:01:07,067 --> 00:01:11,841 この現在における例外的な状態の 原因を考えてみましょう 24 00:01:11,841 --> 00:01:14,393 それはテクノロジーのためだ という人もいるでしょう 25 00:01:14,393 --> 00:01:19,061 それはその通りで 人類の歴史を通じて テクノロジーは蓄積され続け 26 00:01:19,061 --> 00:01:23,713 現在ではテクノロジーの進歩が 非常に速くなっています 27 00:01:23,713 --> 00:01:25,278 それがおおよその答えで 28 00:01:25,278 --> 00:01:28,403 現在の我々の高い生産性を もたらしているものです 29 00:01:28,403 --> 00:01:32,134 しかしもっと突っ込んで 究極の原因を探ってみたいと思います 30 00:01:33,114 --> 00:01:36,750 この非常に際だった2人を ご覧ください 31 00:01:36,750 --> 00:01:38,080 カンジは 32 00:01:38,080 --> 00:01:42,933 200の字句をマスターしています すごいことです 33 00:01:42,933 --> 00:01:46,817 エドワード・ウィッテンは 超弦理論の第2の革命の立役者です 34 00:01:46,817 --> 00:01:49,141 中身を覗いてみれば そこにあるのはこれで 35 00:01:49,141 --> 00:01:50,711 基本的には同じものです 36 00:01:50,711 --> 00:01:52,524 一方がすこしばかり大きく 37 00:01:52,524 --> 00:01:55,602 配線のされ方にも より巧妙なところが あるかもしれませんが 38 00:01:55,602 --> 00:01:59,094 その違いはさほど 複雑なものではないはずです 39 00:01:59,094 --> 00:02:02,209 我々は共通の祖先から 40 00:02:02,209 --> 00:02:05,111 25万世代しか 隔たっていませんが 41 00:02:05,111 --> 00:02:09,910 複雑なメカニズムが進化するのには とても長い時間がかかることが分かっています 42 00:02:09,910 --> 00:02:12,899 比較的小さな変化の 沢山の積み重ねが 43 00:02:12,899 --> 00:02:15,566 カンジとウィッテンを 44 00:02:15,566 --> 00:02:20,109 あるいは木切れと大陸間弾道弾を 隔てているものなのです 45 00:02:20,839 --> 00:02:24,754 これで明らかになるのは 人類が達成したこと 46 00:02:24,754 --> 00:02:26,502 気にかけていることすべては 47 00:02:26,502 --> 00:02:31,380 人間の心を作り出した比較的小さな変化によって 生じたということです 48 00:02:32,650 --> 00:02:36,312 それはまた 思考の基質を 49 00:02:36,312 --> 00:02:39,009 はっきり変えるような さらなる変化は 50 00:02:39,009 --> 00:02:42,991 極めて大きな結果をもたらしうる ということでもあります 51 00:02:44,321 --> 00:02:48,006 私の研究仲間の間には この思考の基質を本質的に変えうるものに 52 00:02:48,006 --> 00:02:51,134 人類は今直面していると 考えている人もいます 53 00:02:51,134 --> 00:02:54,347 それは超知的な機械です 54 00:02:54,347 --> 00:02:59,086 人工知能というのはかつては コマンドを詰め込んだ箱のようなものでした 55 00:02:59,086 --> 00:03:01,231 人間のプログラマーが 苦労して 56 00:03:01,231 --> 00:03:03,886 個々の知識項目を 手作りしていました 57 00:03:03,886 --> 00:03:06,232 そうやってエキスパート・システムを作り 58 00:03:06,232 --> 00:03:08,296 ある種の用途には 役立ちましたが 59 00:03:08,296 --> 00:03:10,977 融通が効かず 拡張性を欠いていました 60 00:03:10,977 --> 00:03:14,410 基本的には入れたものが 出てくるだけです 61 00:03:14,410 --> 00:03:15,407 しかしその後 62 00:03:15,407 --> 00:03:18,874 人工知能の世界で パラダイムシフトが起きました 63 00:03:18,874 --> 00:03:22,044 現在 機械学習の周辺で 非常に興味深いことが起きています 64 00:03:22,394 --> 00:03:27,781 知識的な機能や表現を 手作りする代わりに 65 00:03:28,511 --> 00:03:34,065 生の知覚データから 自ら学習するアルゴリズムを作るのです 66 00:03:34,065 --> 00:03:39,063 基本的には人間の子供と同じことを 機械がするわけです 67 00:03:39,063 --> 00:03:43,270 結果としてできるのは 1つの領域に限定されない人工知能です 68 00:03:43,270 --> 00:03:47,901 どんな言語間の翻訳でも できるシステムとか 69 00:03:47,901 --> 00:03:53,338 アタリのゲーム機用のどんなゲームでも プレイしてしまうシステムとか 70 00:03:53,338 --> 00:03:55,117 もちろん 人工知能はまだ 71 00:03:55,117 --> 00:03:59,116 多様な領域のことを 学び構想できる 72 00:03:59,116 --> 00:04:02,335 人間の脳の強力さには 遠く及びません 73 00:04:02,335 --> 00:04:05,761 大脳皮質にはまだ 機械で対抗する方法の見当もつかないような 74 00:04:05,761 --> 00:04:07,356 アルゴリズム的仕掛けがあります 75 00:04:07,886 --> 00:04:09,105 問題は そういう仕掛けに 76 00:04:09,105 --> 00:04:13,595 機械が対抗するようになる日が いつ来るのかということです 77 00:04:14,245 --> 00:04:15,328 2年ほど前に 78 00:04:15,328 --> 00:04:19,296 世界の人工知能の専門家にアンケートを取って 考えを聞いたんですが 79 00:04:19,296 --> 00:04:21,440 その時の質問の1つが 80 00:04:21,440 --> 00:04:24,793 「機械の知性が人間並みのレベルに 到達する可能性が 81 00:04:24,793 --> 00:04:28,275 50%あるのはいつか?」 というものでした 82 00:04:28,785 --> 00:04:31,688 ここでの「人間並み」の定義は 83 00:04:31,688 --> 00:04:35,839 ほとんどの作業を大人の人間と 同じくらいにこなせる能力ということで 84 00:04:35,839 --> 00:04:40,164 特定の領域に関してということではなく 本当に人間並みということです 85 00:04:40,164 --> 00:04:43,494 回答の中央値は 2040年か2050年で 86 00:04:43,494 --> 00:04:46,690 質問をした専門家のグループによって 若干違いました 87 00:04:46,690 --> 00:04:50,339 それが起きるのはずっと遅いかもしれないし ずっと早いかもしれません 88 00:04:50,339 --> 00:04:52,279 本当のところは 誰にも分かりません 89 00:04:53,259 --> 00:04:57,671 しかし分かっているのは 機械の基質による情報処理能力の限界は 90 00:04:57,671 --> 00:05:02,542 生物組織の限界の 遙か先にあるということです 91 00:05:03,241 --> 00:05:05,619 これは単純に物理の問題です 92 00:05:05,619 --> 00:05:10,337 神経の発火頻度は200ヘルツ 毎秒200回ほどですが 93 00:05:10,337 --> 00:05:13,931 現在のトランジスタでさえ ギガヘルツで動いています 94 00:05:13,931 --> 00:05:19,228 神経伝達は軸索をゆっくり伝わり せいぜい毎秒100メートルですが 95 00:05:19,228 --> 00:05:22,339 コンピュータの信号は 光速で伝わります 96 00:05:23,079 --> 00:05:24,948 大きさの点でも制限があります 97 00:05:24,948 --> 00:05:27,975 人間の脳は頭蓋骨の中に 収まる必要がありますが 98 00:05:27,975 --> 00:05:32,736 コンピュータの大きさは倉庫のサイズか もっと大きくもできます 99 00:05:32,736 --> 00:05:38,335 だから超知的な機械の可能性は 休眠状態にあるのです 100 00:05:38,335 --> 00:05:43,717 ちょうど原子の力が 1945年に目覚めるまで 101 00:05:43,717 --> 00:05:48,242 人類の歴史を通じて 休眠状態にあったのと同じように 102 00:05:48,252 --> 00:05:49,700 この世紀中に 103 00:05:49,700 --> 00:05:53,818 科学者達は人工知能の力を 目覚めさせるかもしれません 104 00:05:53,818 --> 00:05:57,826 私たちは知性の爆発を目の当たりに することになるかもしれません 105 00:05:58,406 --> 00:06:02,363 頭の良し悪しの尺度というと 多くの人は 106 00:06:02,363 --> 00:06:05,386 こんなものを イメージするのではと思います 107 00:06:05,386 --> 00:06:07,984 一方の端に間抜けな人間がいて 108 00:06:07,984 --> 00:06:11,117 遙か彼方の別の極端にいるのが 109 00:06:11,117 --> 00:06:15,223 ウィッテンとかアインシュタインです 誰でもお気に入りの天才を置いてください 110 00:06:15,223 --> 00:06:19,057 しかし人工知能という 観点を加えると 111 00:06:19,057 --> 00:06:22,738 実際のイメージは たぶんこんな感じになるでしょう 112 00:06:23,258 --> 00:06:26,636 人工知能は 知性のない状態からスタートして 113 00:06:26,636 --> 00:06:29,647 長年の努力の後に 114 00:06:29,647 --> 00:06:33,491 いつかネズミ並みの知性に 到達できるかもしれません 115 00:06:33,491 --> 00:06:35,921 雑然とした環境中を ネズミのように 116 00:06:35,921 --> 00:06:37,968 目的地へと 移動できる能力です 117 00:06:37,968 --> 00:06:42,221 さらに長年に渡る 多くの努力と投資の末に 118 00:06:42,221 --> 00:06:46,860 いつかチンパンジー並みの知性に 到達できるかもしれません 119 00:06:46,860 --> 00:06:50,070 そこからさらに 長年の大きな努力を重ねて 120 00:06:50,070 --> 00:06:52,983 間抜けな人間のレベルの 人工知能ができます 121 00:06:52,983 --> 00:06:56,255 それから少しばかり後に エドワード・ウィッテンを越えます 122 00:06:56,255 --> 00:06:59,225 この列車は人間レベルで 止まりはしません 123 00:06:59,225 --> 00:07:02,247 むしろ一瞬で 通り過ぎるでしょう 124 00:07:02,247 --> 00:07:04,961 これには特に 力関係という点で 125 00:07:04,961 --> 00:07:07,273 重大な意味があります 126 00:07:07,273 --> 00:07:09,942 たえとば チンパンジーというのは 強いものです 127 00:07:09,942 --> 00:07:15,214 体重換算すると チンパンジーは 体力に優れた成人男性の倍の力があります 128 00:07:15,214 --> 00:07:19,828 それでもカンジや その仲間達の運命は 129 00:07:19,828 --> 00:07:23,968 チンパンジー達自身よりは 人間の手に握られています 130 00:07:25,228 --> 00:07:27,542 超知的な機械が出現したら 131 00:07:27,542 --> 00:07:31,711 人類の運命は超知的な機械に 握られることになるかもしれません 132 00:07:32,261 --> 00:07:33,508 そのことを考えてみてください 133 00:07:33,508 --> 00:07:38,552 機械の知性は 人類がする必要のある最後の発明です 134 00:07:38,552 --> 00:07:41,335 機械が人間よりも うまく発明をするようになり 135 00:07:41,335 --> 00:07:44,405 しかもデジタルの時間尺度で 進歩することでしょう 136 00:07:44,405 --> 00:07:48,966 それが意味するのは 未来が短縮されるということです 137 00:07:48,966 --> 00:07:52,524 人類が遠い未来に 実現するかもしれない 138 00:07:52,524 --> 00:07:55,322 夢のようなテクノロジーについて 考えてください 139 00:07:55,322 --> 00:07:58,580 老化を止めるとか 宇宙への移民 140 00:07:58,580 --> 00:08:02,311 自己増殖ナノボットや 意識のコンピュータへのアップロードなど 141 00:08:02,311 --> 00:08:04,470 SFっぽいけれど 142 00:08:04,470 --> 00:08:07,207 物理法則には 反していないものです 143 00:08:07,207 --> 00:08:12,199 超知的な機械が そういったものを あっさり開発してしまうかもしれません 144 00:08:12,199 --> 00:08:16,007 超知的な機械は そのような高度な技術によって 145 00:08:16,007 --> 00:08:18,186 非常に大きな力を持ち 146 00:08:18,186 --> 00:08:23,162 シナリオ次第では 望むものを何でも 手に入れるようになるかもしれません 147 00:08:23,162 --> 00:08:28,393 そうすると人類の未来は人工知能が好む通りに 形作られることになります 148 00:08:29,855 --> 00:08:33,604 ここで問題は その好むことが 何かということです 149 00:08:34,244 --> 00:08:36,013 話しがややこしくなってきますが 150 00:08:36,013 --> 00:08:37,448 この議論を進める上では 151 00:08:37,448 --> 00:08:40,724 何より擬人化を 避けなければなりません 152 00:08:41,933 --> 00:08:45,815 皮肉なのは 未来の人工知能を取り上げる記事で 153 00:08:45,815 --> 00:08:49,090 必ず出てくるのが こんな写真だということです 154 00:08:50,280 --> 00:08:54,414 私たちはこの問題を ハリウッドの鮮明なシナリオに沿ってではなく 155 00:08:54,414 --> 00:08:57,204 もっと抽象的に 考える必要があります 156 00:08:57,204 --> 00:09:01,661 我々は知性を 未来を特定の状態へと舵取りしていく 157 00:09:01,661 --> 00:09:06,470 最適化プロセスとして 捉える必要があります 158 00:09:06,470 --> 00:09:09,981 超知的な機械は 非常に強力な最適化プロセスです 159 00:09:09,981 --> 00:09:14,098 利用可能な手段を使って 目的が充たされた状態を達成することに 160 00:09:14,098 --> 00:09:16,007 極めて長けています 161 00:09:16,447 --> 00:09:19,119 この意味での 高い知性を持つことと 162 00:09:19,119 --> 00:09:23,433 人間が価値や意味を認める 目的を抱くことの間には 163 00:09:23,433 --> 00:09:26,515 必ずしも関係がありません 164 00:09:27,321 --> 00:09:31,115 人間を笑顔にさせるという目的を 人工知能に与えたとしましょう 165 00:09:31,115 --> 00:09:34,097 弱い人工知能は 人が見て笑うような 166 00:09:34,097 --> 00:09:36,614 何か可笑しいことを するでしょう 167 00:09:36,614 --> 00:09:39,031 人工知能が 超知的になったなら 168 00:09:39,031 --> 00:09:42,804 この目的を達するには もっと効果的なやり方があることに気付くでしょう 169 00:09:42,804 --> 00:09:44,476 世界をコントロールし 170 00:09:44,476 --> 00:09:47,638 人間の表情筋に 電極を差し込んで 171 00:09:47,638 --> 00:09:50,579 笑い顔が持続するようにするんです 172 00:09:50,579 --> 00:09:51,614 別の例として 173 00:09:51,614 --> 00:09:54,997 人工知能に難しい数学の問題を解くことを 目的として与えたとします 174 00:09:54,997 --> 00:09:56,934 人工知能が超知的になったら 175 00:09:56,934 --> 00:10:01,105 この問題を解くための 最も効果的な方法は 176 00:10:01,105 --> 00:10:02,985 地球を巨大なコンピュータに変えて 177 00:10:02,985 --> 00:10:06,351 思考能力を増大させることだと 考えるかもしれません 178 00:10:06,351 --> 00:10:08,625 このような目的は 人工知能に対して 179 00:10:08,625 --> 00:10:12,301 人間が認めないような行為をする動機を 与えうることに注意してください 180 00:10:12,301 --> 00:10:13,496 このモデルにおいては 181 00:10:13,496 --> 00:10:17,097 人間は人工知能にとって数学的問題を解くのを妨げる 邪魔者になりうるのです 182 00:10:17,097 --> 00:10:20,701 もちろん物事がこの筋書き通りに まずいことに陥ることはないでしょう 183 00:10:20,701 --> 00:10:22,454 これはあくまで 戯画化した例です 184 00:10:22,454 --> 00:10:24,393 しかしこの一般的な論点は重要です 185 00:10:24,393 --> 00:10:26,996 目的Xに向けて最大化を行う 186 00:10:26,996 --> 00:10:29,500 強力な最適化プロセスを 作るときには 187 00:10:29,500 --> 00:10:31,966 Xの定義が自分の気にかける その他すべてのことに 188 00:10:31,966 --> 00:10:34,775 問題を生じないか よく確認する必要があります 189 00:10:34,775 --> 00:10:39,079 これは伝説が教える 教訓でもあります 190 00:10:39,079 --> 00:10:44,517 ミダス王は自分の触るものすべてが 金になることを望みました 191 00:10:44,517 --> 00:10:47,378 娘に触れば 娘が金に変わり 192 00:10:47,378 --> 00:10:49,931 食べ物に触れば 食べ物が金に変わりました 193 00:10:49,931 --> 00:10:52,520 これが本当に 問題になるかもしれません 194 00:10:52,520 --> 00:10:54,900 単なる強欲を諫める メタファーとしてではなく 195 00:10:54,900 --> 00:10:56,915 強力な最適化プロセスを作って 196 00:10:56,915 --> 00:11:00,422 間違った あるいは まずく定義された目的を与えたときに 197 00:11:00,422 --> 00:11:04,111 何が起きるかを 示すものとしてです 198 00:11:04,111 --> 00:11:09,300 コンピュータが人の顔に 電極を差し始めたら 199 00:11:09,300 --> 00:11:11,565 単にスイッチを切ればいいと 思うかもしれません 200 00:11:12,285 --> 00:11:17,895 (A) そのシステムに依存するようになったとき スイッチを切ることは難しくなります 201 00:11:17,895 --> 00:11:20,627 たとえばの話 インターネットのスイッチは どこにあるのでしょう? 202 00:11:20,627 --> 00:11:25,747 (B) チンパンジーはなぜ人間のスイッチを オフにしなかったんでしょう? 203 00:11:25,747 --> 00:11:27,298 あるいはネアンデルタール人は? 204 00:11:27,298 --> 00:11:29,964 彼らにはそうすべき理由が あったことでしょう 205 00:11:29,964 --> 00:11:32,759 人間を切るスイッチはあります たとえはここに 206 00:11:32,759 --> 00:11:34,313 (うぐぅ) 207 00:11:34,313 --> 00:11:37,238 その理由は人間が 知的な相手だからです 208 00:11:37,238 --> 00:11:39,816 人間は危険を予期して 回避することができます 209 00:11:39,816 --> 00:11:42,860 そしてそれは超知的な機械にも できるだろうことで 210 00:11:42,860 --> 00:11:45,724 しかも人間よりずっと 上手くできることでしょう 211 00:11:45,724 --> 00:11:52,911 我々は制御できるはずだと 高をくくらない方がよいということです 212 00:11:52,911 --> 00:11:56,078 この問題をもう少し簡単にして 213 00:11:56,078 --> 00:11:57,948 人工知能を逃げ出すことのできない 214 00:11:57,948 --> 00:11:59,744 安全なソフトウェア環境や 215 00:11:59,744 --> 00:12:03,146 仮想現実シミュレーションの中に閉じ込める というのでもいいかもしれません 216 00:12:03,146 --> 00:12:06,912 しかし人工知能がシステムの欠陥を見つけたりしないと 自信を持てるでしょうか? 217 00:12:06,912 --> 00:12:10,331 ただの人間のハッカーでさえ 年中バグを見つけていることを思えば 218 00:12:10,331 --> 00:12:13,117 あまり自信は持てないでしょう 219 00:12:14,237 --> 00:12:18,435 ではネットワークケーブルを抜いて エアギャップを作ればどうか? 220 00:12:18,435 --> 00:12:21,453 これにしたって人間のハッカーが ソーシャルエンジニアリングによって 221 00:12:21,453 --> 00:12:24,704 エアギャップを越えるということが たびたび起きています 222 00:12:24,704 --> 00:12:26,293 私が話をしているこの瞬間にも 223 00:12:26,293 --> 00:12:28,482 きっとどこかの社員が 224 00:12:28,482 --> 00:12:31,608 情報管理部門から来たという人間に 225 00:12:31,608 --> 00:12:34,634 アカウントの情報を教えるよう 仕向けられていることでしょう 226 00:12:34,634 --> 00:12:36,701 もっと奇想天外なシナリオだって 考えられます 227 00:12:36,701 --> 00:12:38,016 たとえば人工知能が 228 00:12:38,016 --> 00:12:41,548 内部回路にある電極の 振動で発生した 229 00:12:41,548 --> 00:12:45,010 電波を使って 通信をするとか 230 00:12:45,010 --> 00:12:47,434 あるいは人工知能が故障を装って 231 00:12:47,434 --> 00:12:50,041 プログラマーが調べようと中を開け 232 00:12:50,041 --> 00:12:52,267 ソースコードを見たところで バーン! 233 00:12:52,267 --> 00:12:55,054 操作してしまうとか 234 00:12:55,054 --> 00:12:58,744 あるいはすごく洗練された 技術の設計図を出して 235 00:12:58,744 --> 00:13:00,502 人間がそれを実装してみると 236 00:13:00,502 --> 00:13:04,539 そこには人工知能が潜ませていた 密かな副作用があるとか 237 00:13:04,539 --> 00:13:08,002 要は我々は高度に知的な魔神を 238 00:13:08,002 --> 00:13:11,810 いつまでも壺に閉じ込めておけるとは 思わない方がよいということです 239 00:13:11,810 --> 00:13:14,784 遅かれ早かれ 出口を見つけ出すことでしょう 240 00:13:14,784 --> 00:13:18,137 この問題への答えは 非常に知的な人工知能を 241 00:13:18,137 --> 00:13:23,161 それが逃げ出しても 危険がないように作るということ 242 00:13:23,161 --> 00:13:25,128 人間と同じ価値観を持っていて 243 00:13:25,128 --> 00:13:28,377 人間の側に立つように作る ということだと思います 244 00:13:28,377 --> 00:13:31,547 この難しい問題を 避けて通ることはできません 245 00:13:32,557 --> 00:13:36,391 私はこの問題は 解決できると楽観しています 246 00:13:36,391 --> 00:13:40,034 私たちが気にかける あらゆることを書き出し 247 00:13:40,034 --> 00:13:42,987 さらにはC++やPythonのような プログラミング言語で 248 00:13:42,987 --> 00:13:46,331 厳密に定義することは 望みがないくらい難しいことでしょうが 249 00:13:46,331 --> 00:13:48,158 そうする必要はないと思います 250 00:13:48,158 --> 00:13:52,455 自らの知性を使って 人間が価値を置くことを 251 00:13:52,455 --> 00:13:55,226 学び取る人工知能を 作ればよいのです 252 00:13:55,226 --> 00:14:00,506 人間の価値を追求し 人間がよしとすることを予測して行動するような 253 00:14:00,506 --> 00:14:05,738 動機付けのシステムを 持たせるのです 254 00:14:05,738 --> 00:14:09,152 そうやって価値付けの 問題を解くために 255 00:14:09,152 --> 00:14:11,897 人工知能の知性を 可能な限り活用するのです 256 00:14:12,727 --> 00:14:14,239 これは可能なことで 257 00:14:14,239 --> 00:14:17,835 人類にとって とても好ましい結果をもたらします 258 00:14:17,835 --> 00:14:21,792 しかし自動的に 起きるわけではありません 259 00:14:21,792 --> 00:14:25,420 知性爆発が人間の制御下で 起きるようにするためには 260 00:14:25,420 --> 00:14:27,653 初期条件を正しく 261 00:14:27,653 --> 00:14:30,503 設定する必要があります 262 00:14:30,503 --> 00:14:33,801 人工知能の価値観を人間の価値観と 合ったものにする必要があります 263 00:14:33,801 --> 00:14:36,291 人工知能が適切に行動しているか 容易に確認できるような 264 00:14:36,291 --> 00:14:37,999 分かりやすい状況だけでなく 265 00:14:37,999 --> 00:14:41,233 将来のいつか人工知能が出会うかもしれない あらゆる新奇な状況において 266 00:14:41,233 --> 00:14:42,790 そうなる必要があります 267 00:14:42,790 --> 00:14:47,527 それから解決しなければならない 難解な問題がいろいろあります 268 00:14:47,527 --> 00:14:49,616 決定理論の正確な詳細 269 00:14:49,616 --> 00:14:52,480 論理的不確定性をどう扱うか といったことです 270 00:14:53,330 --> 00:14:56,432 だからこれを機能させるために 解くべき技術的問題は 271 00:14:56,432 --> 00:14:57,545 とても難しいものです 272 00:14:57,545 --> 00:15:01,175 超知的な人工知能を作ること自体ほど 難しくはないにしても 273 00:15:01,175 --> 00:15:03,793 かなり難しいことです 274 00:15:03,793 --> 00:15:05,488 ひとつ懸念すべきことがあります 275 00:15:05,488 --> 00:15:09,952 超知的な人工知能を作るのは 非常に難しいことで 276 00:15:09,952 --> 00:15:12,720 超知的な人工知能を 安全なものにするのは 277 00:15:12,720 --> 00:15:15,566 その上にさらなる問題を 重ねることになりますが 278 00:15:16,216 --> 00:15:19,703 危険があるのは 誰かが安全を確保するという 279 00:15:19,703 --> 00:15:22,704 2番目の問題を解決することなく 280 00:15:22,704 --> 00:15:25,215 最初の問題を解く方法を見つける ということです 281 00:15:25,215 --> 00:15:28,706 だから私たちは この制御の問題を 282 00:15:28,706 --> 00:15:31,528 前もって解決しておくべきだと思います 283 00:15:31,528 --> 00:15:34,188 そうすれば必要になったときに すぐ使えます 284 00:15:34,768 --> 00:15:38,275 制御の問題のすべてを前もって解決することは できないかもしれません 285 00:15:38,275 --> 00:15:41,299 ある部分は実装される アーキテクチャの詳細が 286 00:15:41,299 --> 00:15:45,296 明かになって初めて 可能になるかもしれません 287 00:15:45,296 --> 00:15:48,676 しかし前もって制御の問題の より多くの部分が解かれているほど 288 00:15:48,676 --> 00:15:52,766 機械知性の時代への移行が うまくいく見込みは 289 00:15:52,766 --> 00:15:54,306 高くなるでしょう 290 00:15:54,306 --> 00:15:58,950 これはやるに値することだと 私には思えます 291 00:15:58,950 --> 00:16:02,282 私には想像できます すべてがうまくいった暁に 292 00:16:02,282 --> 00:16:06,940 百万年後の人類が この世紀を振り返って 293 00:16:06,940 --> 00:16:10,152 私たちがした本当に重要なことが 何かあるとすれば 294 00:16:10,152 --> 00:16:12,509 それはこの問題を 正しく解決したことだと言うのを 295 00:16:12,509 --> 00:16:14,198 ありがとうございました 296 00:16:14,198 --> 00:16:17,011 (拍手)