WEBVTT 00:00:01.595 --> 00:00:05.163 舞台芸術は大事ですー それは民主主義が大事だから 00:00:05.163 --> 00:00:09.572 舞台は民主主義には不可欠な 芸術の表現です 00:00:09.596 --> 00:00:13.460 何故なら 舞台と民主主義は 同じ発祥地だから NOTE Paragraph 00:00:14.245 --> 00:00:16.332 紀元前6世紀の後半に 00:00:16.356 --> 00:00:18.215 西洋の民主主義の教えが誕生しました 00:00:18.239 --> 00:00:19.748 もちろんそれは 00:00:19.772 --> 00:00:22.234 不完全で 欠陥のある民主主義でしたが 00:00:22.258 --> 00:00:27.213 権力は治められる者の同意から 発するべきだという思想や 00:00:27.237 --> 00:00:30.665 権力は下から上へと伝わるもので 00:00:30.689 --> 00:00:32.300 その反対ではないという思想も 00:00:32.324 --> 00:00:33.884 同じ世紀に誕生しました 00:00:33.908 --> 00:00:39.092 伝説によるとある人ー テスピスという名の人がー 00:00:39.116 --> 00:00:41.260 同じ頃 対話という手法を考案しました NOTE Paragraph 00:00:41.284 --> 00:00:43.320 「対話」を考案するとは どういうことでしょうか? 00:00:43.340 --> 00:00:45.840 わかっていることは ディオニソスの祭が 00:00:45.864 --> 00:00:47.398 アテネの全市民を集め 00:00:47.422 --> 00:00:49.130 アクロポリスの横で 00:00:49.154 --> 00:00:52.453 市民は音楽を聴き 踊りを鑑賞し 00:00:52.477 --> 00:00:55.922 ディオニソスの祭の一部として 語られた物語に聴き入りました 00:00:56.314 --> 00:00:59.009 物語を語ることは 今ここで起きていることに似ています 00:00:59.033 --> 00:01:00.588 私はこの場に立ち 00:01:00.612 --> 00:01:02.633 単独の権威として 00:01:02.657 --> 00:01:04.215 みなさんに話をしています 00:01:04.239 --> 00:01:07.629 みなさんは深く腰をかけ 私のメッセージを伝受しています 00:01:07.653 --> 00:01:11.087 私の考えに同意できず あきれたやつだと思うかもしれません 00:01:11.111 --> 00:01:12.719 話は全くつまらないかもしれません 00:01:12.743 --> 00:01:15.878 でもそんな対話のほとんどが あなたの頭の中で起きています NOTE Paragraph 00:01:16.577 --> 00:01:20.677 ところが ここで私が あなたに話しかける代わりにー 00:01:20.701 --> 00:01:22.681 これはテスピスが考案したことですがー 00:01:22.705 --> 00:01:25.456 左に90度体を向け 00:01:25.480 --> 00:01:28.150 舞台の上のもう1人の人に話しかけると どうなるでしょう? 00:01:29.090 --> 00:01:31.326 全てが変わります 00:01:31.350 --> 00:01:35.275 その時点で私は 真実の持ち主ではなくなり 00:01:35.299 --> 00:01:37.549 ある意見の持ち主になります 00:01:38.260 --> 00:01:39.856 私はもう一人の人と話をしています 00:01:39.880 --> 00:01:40.751 するとどうなるか? 00:01:40.781 --> 00:01:43.508 相手も意見を持っています 00:01:43.532 --> 00:01:47.526 いいですか それがドラマであり 対立です — 相手は私に同意しません 00:01:47.526 --> 00:01:50.467 二つの視点に対立が生じます 00:01:50.491 --> 00:01:56.787 そこに表れる主張は 真実とは 異なる意見の対立があって 00:01:56.811 --> 00:01:59.083 はじめて生まれるものであり 00:01:59.107 --> 00:02:01.841 個人が所有するものでは ないということです 00:02:01.865 --> 00:02:05.675 民主主義を支持するのであれば これが正しいと思わなくてはなりません 00:02:06.136 --> 00:02:08.576 そう思えないなら あなたは独裁者で 00:02:08.600 --> 00:02:10.266 民主主義に我慢しているだけです 00:02:10.778 --> 00:02:13.298 それが民主主義の理念で 00:02:13.322 --> 00:02:16.451 相違する視点の対立が 真理に結びつきます NOTE Paragraph 00:02:16.475 --> 00:02:18.434 ここでは起きているもう一つのこととは? 00:02:18.458 --> 00:02:21.101 私が皆さんに求めるのは くつろいで話を聞くことではなく 00:02:21.125 --> 00:02:23.376 身を乗り出して 00:02:23.400 --> 00:02:26.482 私の視点を想像することです 00:02:26.506 --> 00:02:30.105 私という人物から見たこと 感じたことを 00:02:30.129 --> 00:02:33.061 立場を入れ替えて考えてほしいのです 00:02:33.085 --> 00:02:36.437 話をしている相手の気持ちを 想像してみてほしい 00:02:37.002 --> 00:02:40.640 相手と共感してほしいと お願いしているのです 00:02:40.671 --> 00:02:44.515 そして 異なる考えの衝突と 共感という感情の力から 00:02:44.539 --> 00:02:47.432 真実が生まれるという考え方は 00:02:47.456 --> 00:02:51.031 民主的な市民であるために 必要な道具なのです NOTE Paragraph 00:02:51.722 --> 00:02:53.705 他に何が起きますか? 00:02:53.729 --> 00:02:55.976 3番目はあなた自身についてです 00:02:56.000 --> 00:02:58.802 コミュニティや聴衆についてです 00:02:59.322 --> 00:03:03.311 個人的な体験があるかと思いますが 映画を観に行き 00:03:03.335 --> 00:03:06.583 映画館の中ががらんとしていると 嬉しいものです 00:03:06.607 --> 00:03:09.265 それはあなたと映画の間を さえぎるものが何もないから 00:03:09.289 --> 00:03:12.005 場所を大きく取り 足を観客席に乗せてもいいし 00:03:12.005 --> 00:03:14.233 ポップコーンを食べながら 何も気にせず楽しめます 00:03:14.257 --> 00:03:16.159 ところがライブ劇場に入り 00:03:16.183 --> 00:03:18.626 場内が半分しか埋まっていないと 00:03:18.650 --> 00:03:19.942 気持ちが沈みます 00:03:20.420 --> 00:03:22.477 すぐに失望してしまいます 00:03:22.501 --> 00:03:24.500 それは自分では気づかなくても 00:03:24.524 --> 00:03:26.420 劇場に来る目的が 00:03:26.444 --> 00:03:28.299 聴衆の一部となる為だったから 00:03:28.323 --> 00:03:31.232 共通の体験を分かち合い 00:03:31.256 --> 00:03:34.827 共に笑い 泣き 息をのみ 00:03:34.851 --> 00:03:37.526 次に何が起こるかを 一緒になって待ち受けたいから 00:03:37.526 --> 00:03:41.083 劇場には一人の顧客として入場したとしても 00:03:41.107 --> 00:03:43.734 その芝居の務めがきちんと達成されれば 00:03:43.758 --> 00:03:47.441 そこから出る時には 自分自身が全体の一部と感じ 00:03:47.465 --> 00:03:49.651 体験を共有したメンバーの一人と 感じます 00:03:49.651 --> 00:03:53.654 私が取り組む芸術形式のDNAに 組み込まれています NOTE Paragraph 00:03:54.678 --> 00:03:59.220 舞台芸術が誕生してから2,500年後 演出家のジョー・パップは 00:03:59.244 --> 00:04:03.203 この文化はアメリカ合衆国の全市民が 所有するべきものであり 00:04:03.227 --> 00:04:07.023 自分の任務はその約束を 果たすことだと考え そこで 00:04:07.047 --> 00:04:09.925 『フリー・シェイクスピア・イン・ ザ・パーク』を発足させました 00:04:09.949 --> 00:04:13.045 公園で 無料で楽しめるシェイクスピア という発想は実にシンプルで 00:04:13.069 --> 00:04:17.639 この国の一番優れた舞台 この国で生まれた一番優れた芸術は 00:04:17.663 --> 00:04:20.473 全市民が利用でき 全市民で共有すべきという考え方です 00:04:20.497 --> 00:04:22.238 そのおかげで 今でも 00:04:22.262 --> 00:04:24.651 夏の期間の毎晩 ニューヨークのセントラルパークで 00:04:24.675 --> 00:04:27.052 2千人が列を作り 00:04:27.076 --> 00:04:30.700 私たちが無料で提供できる 一番優れた舞台を観劇しています 00:04:30.724 --> 00:04:33.566 ここには営利目的はありません NOTE Paragraph 00:04:33.590 --> 00:04:38.061 パップがこの試みを 発案してから13年後の1967年 00:04:38.085 --> 00:04:39.732 今度は違うことに気づきました 00:04:39.756 --> 00:04:43.313 それは 人々に古典劇を提供するだけでは 民主主義の輪は 00:04:43.337 --> 00:04:46.564 完結しないということ 00:04:46.588 --> 00:04:50.125 市民自らに古典劇を制作してもらい 00:04:50.149 --> 00:04:51.964 上演すべきだということです 00:04:51.988 --> 00:04:54.045 そこで1967年に 00:04:54.069 --> 00:04:57.128 ジョーはダウンタウンのアスター・ プレイスにパブリックシアターを開き 00:04:57.152 --> 00:05:01.370 初制作となったのが『ヘアー』の ワールドプレミアでした 00:05:01.394 --> 00:05:04.182 ジョーにとっては初めての シェイクスピア以外の作品でした 00:05:04.206 --> 00:05:07.517 『ザ・タイムズ』のクライブ・バーンズの 批評によると 00:05:07.541 --> 00:05:10.803 「それはまるでパップ氏が イーストビレッジの道路のゴミを一掃し 00:05:10.827 --> 00:05:13.166 パブリックシアターの舞台に かき集めたようだ」と NOTE Paragraph 00:05:13.190 --> 00:05:13.968 (笑) NOTE Paragraph 00:05:14.008 --> 00:05:15.995 称賛のつもりではありませんでしたが 00:05:16.019 --> 00:05:19.550 ジョーは誇らしげに それを劇場のロビーに掲げました NOTE Paragraph 00:05:19.574 --> 00:05:21.050 (笑)(拍手) NOTE Paragraph 00:05:21.074 --> 00:05:25.494 パブリックシアターがそれから何年にも渡り 素晴らしい作品ー 00:05:25.518 --> 00:05:29.042 『For Colored Girls Who Have Considered Suicide / When the Rainbow Is Enuf』 00:05:29.066 --> 00:05:31.834 『コーラスライン』等 00:05:31.858 --> 00:05:35.890 そして中でも並外れた例として あげられるのが 00:05:35.914 --> 00:05:41.168 ラリー・クレイマーの作品で エイズ危機の怒りの叫びを語った 00:05:41.192 --> 00:05:42.514 『ノーマル・ハート』 00:05:42.880 --> 00:05:46.929 ジョーがこの作品を1985年に制作した頃は 00:05:46.953 --> 00:05:49.995 エイズについての知識は ニューヨークタイムズ紙に掲載された 00:05:50.019 --> 00:05:53.210 フランク・リッチの この作品の批評の中での方が 00:05:53.234 --> 00:05:56.660 ニューヨークタイムズ紙が過去4年間に 掲載した内容よりも多くありました 00:05:56.684 --> 00:06:01.084 ラリーはエイズについての常識を 00:06:01.108 --> 00:06:02.495 この芝居を書くことで変え 00:06:02.519 --> 00:06:04.632 それをまたジョーが制作することで 変貌させました 00:06:04.632 --> 00:06:08.391 私はトニー・クシュナーの『エンジェルズ・ イン・アメリカ』の舞台化を依頼され 00:06:08.415 --> 00:06:12.063 上演したところ 『ノーマル・ハート』で経験したのと同じく 00:06:12.087 --> 00:06:15.435 文化が実際に変化していくのを 感じました 00:06:15.459 --> 00:06:17.488 それは芝居が発端となったことではなく 00:06:17.512 --> 00:06:19.967 芝居もその流れの一部としての役目を果たし 00:06:19.991 --> 00:06:24.266 アメリカにおいてゲイであることの 理解を変えました 00:06:24.290 --> 00:06:26.130 これは私も非常に誇りに思っています NOTE Paragraph 00:06:26.605 --> 00:06:28.498 (拍手) NOTE Paragraph 00:06:28.522 --> 00:06:33.318 私がパブリックシアターの ジョーの後任となった2005年 00:06:33.342 --> 00:06:37.077 私たちが抱える問題は 成功の犠牲だと気づきました 00:06:37.101 --> 00:06:42.126 『シェイクスピア・イン・ザ・パーク』は 市民に近づくために生まれたのにも関わらず 00:06:42.150 --> 00:06:45.701 ニューヨークシティーで一番 手に入りにくい切符になっていたからです 00:06:45.725 --> 00:06:49.640 観客は二日間野宿して 切符を手に入れようとしていました 00:06:49.664 --> 00:06:50.821 その結果は? 00:06:50.845 --> 00:06:53.438 他98%の市民の人々は このイベントに行こうとすら 00:06:53.462 --> 00:06:55.291 思わなくなったのです 00:06:55.315 --> 00:06:57.545 そこで私たちは巡業型の 演劇ユニットを再結成し 00:06:57.569 --> 00:07:00.648 シェイクスピアを刑務所 ホームレスの保護施設 00:07:00.672 --> 00:07:03.160 ニューヨーク市5つの行政区の コミュニティセンターに持っていきました 00:07:03.184 --> 00:07:05.875 それからニュージャージー州や ウェストチェスター郡にも 00:07:05.899 --> 00:07:10.103 この試みは 私たちが直観していたことの 裏付けとなりましたー 00:07:10.127 --> 00:07:13.966 人々が生きて行く上での 舞台の必要性は 00:07:13.966 --> 00:07:16.560 食料や水分が必要なのと 同じぐらいに重要だということ 00:07:16.560 --> 00:07:19.403 この試みは驚くほどの成功を収め ずっと続けています NOTE Paragraph 00:07:19.427 --> 00:07:23.116 それから まだ超えていない 別の障壁にも気づきました 00:07:23.140 --> 00:07:25.404 それは参加という障壁です 00:07:25.428 --> 00:07:27.596 考え方はこうです 00:07:27.596 --> 00:07:31.269 どうすれば 商品すなわち単なる物に なってしまった舞台を 00:07:31.293 --> 00:07:33.535 本来あるべき姿である 00:07:33.559 --> 00:07:36.098 人々の間にある 種々の関係へと戻せるか? 00:07:36.122 --> 00:07:39.014 リア・デベソネの 素晴らしい指導のもとで 00:07:39.038 --> 00:07:40.916 パブリック・ワークス・プログラムを始め 00:07:40.940 --> 00:07:42.832 それが今では毎夏 00:07:42.856 --> 00:07:45.698 大がかりなシェイクスピアの ミュージカルショーを公演し 00:07:45.722 --> 00:07:48.486 トニー賞受賞の 役者や音楽家に混じりながら 00:07:48.500 --> 00:07:52.346 シッターさんや家庭内労働者 00:07:52.380 --> 00:07:56.254 退役軍人や投獄されたばかりの受刑者 00:07:56.278 --> 00:07:57.873 アマチュアもプロも 00:07:57.897 --> 00:08:00.331 同じ舞台で共に芝居をしています 00:08:00.355 --> 00:08:02.352 これは単に素晴らしい 社会プログラムというだけでなく 00:08:02.376 --> 00:08:04.486 私たちが作る最高の芸術です 00:08:04.825 --> 00:08:08.954 ここでの主張は 芸術の体現は 00:08:08.978 --> 00:08:11.069 少数の人の手によってでは ないということです 00:08:11.093 --> 00:08:14.461 芸術の表現力は人間が皆 持ち備えています 00:08:14.485 --> 00:08:18.084 より多くの時間を その実践に費やせる 私たちのような人がいるだけです 00:08:19.252 --> 00:08:20.403 そしてその中からたまにはー NOTE Paragraph 00:08:20.427 --> 00:08:22.325 (拍手) NOTE Paragraph 00:08:22.349 --> 00:08:24.452 『ハミルトン』の様な奇跡の作品が 誕生します 00:08:24.476 --> 00:08:30.596 アメリカ建国の話を リン・マニュエルが ミュージカルに仕立てたこの作品は 00:08:30.620 --> 00:08:35.426 西インド諸島から来た私生児の移民孤児である 唯一の『建国の父』の目から見た 00:08:35.450 --> 00:08:37.426 すっかり書き直された建国逸話です 00:08:37.426 --> 00:08:38.768 リンの試みは 00:08:38.792 --> 00:08:41.255 シェイクスピアの試みと全く同じでした 00:08:41.645 --> 00:08:45.854 市民の声を使い 市民の言葉を 00:08:45.878 --> 00:08:48.135 詩歌という形に高め 00:08:48.159 --> 00:08:49.723 そうすることで 00:08:49.747 --> 00:08:51.548 市民の言葉を気高くし 00:08:51.572 --> 00:08:54.909 よってその言葉を話す人たちの高尚さを 讃えることができました 00:08:54.933 --> 00:08:59.717 そしてこの劇を全てブラックかブラウンの 人種の役者で構成することで 00:08:59.741 --> 00:09:02.204 リンが私たちに伝えたかったこと 00:09:02.228 --> 00:09:04.832 私たちの中に復活させたことは 00:09:04.856 --> 00:09:08.451 私たちがアメリカに求める 一番重要な願望であり 00:09:08.475 --> 00:09:10.826 アメリカが持つ善の部分 00:09:10.850 --> 00:09:13.255 私たちが理想とするこの国のあり方 00:09:13.279 --> 00:09:17.418 「アメリカン・ドリーム」の基本である 多様性の受け入れでした 00:09:17.442 --> 00:09:21.668 この作品によって 私の中にも 観客の中にも 00:09:21.692 --> 00:09:23.014 愛国心が込みあがり 00:09:23.038 --> 00:09:26.865 そういう気持ちが 決して 止まらないことが裏付けられました NOTE Paragraph 00:09:28.132 --> 00:09:30.819 ただ これには別の一面もあって 最後にその話をしたいと思います 00:09:30.859 --> 00:09:32.284 本日話したい最後の物語です 00:09:32.304 --> 00:09:36.216 皆さんの中には 次期副大統領だったペンス氏が 00:09:36.240 --> 00:09:38.962 『ハミルトン』を見に来たことを ご存知の方もいるでしょう 00:09:38.986 --> 00:09:43.040 彼が会場に着くと 一部のニューヨーカーが ブーイングしましたが 00:09:43.064 --> 00:09:44.899 ペンス氏は見事なコメントをしました 00:09:44.923 --> 00:09:46.973 「それが自由の音だ」 NOTE Paragraph 00:09:47.599 --> 00:09:49.851 舞台の最後に 制作者の私たちは舞台から 00:09:49.851 --> 00:09:52.388 私の意見では 非常に誠意あるコメントを読み上げました 00:09:52.412 --> 00:09:55.267 ペンス氏は聞いてくれましたが 00:09:55.790 --> 00:09:59.695 この出来事が多少の怒りを引き起こし ツイートストームとなり 00:09:59.719 --> 00:10:03.293 ネット上では『ハミルトン』の ボイコット運動が 00:10:03.317 --> 00:10:07.453 ペンス氏に対し無礼だと怒る 人々の間で広がりました 00:10:08.142 --> 00:10:12.067 私はあのボイコットを見て これは何かがおかしいと思いました 00:10:12.091 --> 00:10:15.410 ボイコットの賛同書面に署名した人達は 00:10:15.434 --> 00:10:17.699 どのみち『ハミルトン』を 見る気はありませんでした 00:10:18.052 --> 00:10:20.637 この舞台は彼らの住む町の近くで 上演される予定もなく 00:10:20.661 --> 00:10:23.220 上演されても 彼らには 高価なチケットは買えず 00:10:23.244 --> 00:10:26.736 もし お金があっても チケットを手に入れる 00:10:26.760 --> 00:10:28.161 ツテがありませんでした 00:10:28.691 --> 00:10:30.546 ボイコットされたのは 00:10:31.066 --> 00:10:33.098 私たちではなく 彼らだったのです 00:10:34.187 --> 00:10:38.483 アメリカの赤と青で色分けされた 選挙地図を見ながら 00:10:38.507 --> 00:10:39.820 私があなたに 00:10:39.868 --> 00:10:42.813 「青の部分が この国の主要な非営利文化団体を 00:10:42.813 --> 00:10:44.879 示しています」 と言うとすると 00:10:44.903 --> 00:10:46.338 それは事実だと言えます 00:10:46.362 --> 00:10:47.568 信じていただけるでしょう 00:10:47.592 --> 00:10:52.195 私たち文化人は この国の経済や 00:10:52.219 --> 00:10:55.849 教育制度 技術と まったく同じ態度をとっていました 00:10:55.873 --> 00:10:59.548 つまり この国の多くの人々に 背を向けていました NOTE Paragraph 00:11:00.100 --> 00:11:03.110 多様性を包含するという考え方は 持ち続けねばなりません 00:11:03.134 --> 00:11:06.256 来秋 私たちはリン・ナタージュの 素晴らしい作品で 00:11:06.280 --> 00:11:11.469 ピュリッツァー賞受賞劇 『Sweat(汗)』の巡業公演を始めます 00:11:11.493 --> 00:11:15.872 ペンシルバニア州レディングでの 長年の調査の後書き上げられたこの作品は 00:11:15.896 --> 00:11:19.121 ペンシルバニアの産業空洞化の話で 00:11:19.145 --> 00:11:21.793 鉄鋼産業が去ってしまった後の 失業が引き金となり 00:11:21.817 --> 00:11:24.077 解き放たれた怒り 00:11:24.101 --> 00:11:25.732 人間関係の緊張 00:11:25.756 --> 00:11:29.532 人種差別を物語っています 00:11:29.949 --> 00:11:32.924 私たちはこの芝居で 00:11:32.948 --> 00:11:35.737 ペンシルバニアの農村地域 00:11:35.761 --> 00:11:37.989 オハイオ州 ミシガン州 00:11:38.013 --> 00:11:40.340 ミネソタ州 ウィスコンシン州を 巡業します 00:11:40.364 --> 00:11:43.899 私たちはその地域の地元団体と手を組み 00:11:43.899 --> 00:11:48.775 この芝居が手を差し伸べたいと思う人たちに きちんと伝わることを心がけるだけでなく 00:11:48.799 --> 00:11:51.677 彼らの話にも耳を傾け 00:11:51.701 --> 00:11:55.334 「文化はあなたの為にもある」と 伝えたいのです 00:11:55.962 --> 00:11:57.115 なぜならー NOTE Paragraph 00:11:57.139 --> 00:11:59.567 (拍手) NOTE Paragraph 00:11:59.591 --> 00:12:01.737 私たち文化事業に携わる人間 00:12:01.761 --> 00:12:03.860 舞台芸術家の私たちは 00:12:03.884 --> 00:12:07.496 自分たちの任務が解らないと 言い訳はできません 00:12:07.520 --> 00:12:09.546 それは演劇のDNAに 組み込まれているのですから 00:12:09.570 --> 00:12:14.229 私たち舞台人の務めを ハムレットの言葉で表現すると 00:12:14.253 --> 00:12:16.932 「鏡を自然に向けて 00:12:16.956 --> 00:12:19.989 善さも醜さも 本来の姿を写すこと 00:12:20.013 --> 00:12:23.277 そして時代の姿形を 映し出すこと」 00:12:23.301 --> 00:12:27.670 私たちの務めは アメリカに理想を示し 00:12:27.694 --> 00:12:31.757 個人として私たちが どのような人間かを表すだけでなく 00:12:31.781 --> 00:12:36.088 私たちが必要とする共通性 すなわち — 00:12:36.112 --> 00:12:37.922 一体感 00:12:37.946 --> 00:12:39.618 全体性 00:12:39.642 --> 00:12:41.790 国家の一員である感覚を 取り戻すことです 00:12:42.398 --> 00:12:45.125 それが芝居がやるべきことで 00:12:45.149 --> 00:12:47.778 私たちが最善の努力をして 成し遂げるべき使命です NOTE Paragraph 00:12:47.802 --> 00:12:49.078 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:12:49.102 --> 00:12:54.000 (拍手)