WEBVTT 00:00:01.000 --> 00:00:03.000 物事がうまく行かなかったときに 00:00:03.000 --> 00:00:05.000 それをどう説明しますか? 00:00:05.000 --> 00:00:08.000 あるいは常識を全てひっくり返すようなことを 00:00:08.000 --> 00:00:10.000 誰かが成し遂げたときに 00:00:10.000 --> 00:00:12.000 それをどう説明しますか? 00:00:12.000 --> 00:00:14.000 例えば 00:00:14.000 --> 00:00:16.000 どうしてアップルはあれほど革新的なのか 00:00:16.000 --> 00:00:18.000 毎年毎年 他の競合のどこよりも 00:00:18.000 --> 00:00:21.000 革新的であり続けています 00:00:21.000 --> 00:00:23.000 でもコンピュータの会社には変わりありません 00:00:23.000 --> 00:00:25.000 他の会社と似たようなものです 00:00:25.000 --> 00:00:27.000 同じような人材を同じように集め 00:00:27.000 --> 00:00:30.000 同じような代理店やコンサルタントやメディアを使っています 00:00:30.000 --> 00:00:32.000 ではなぜアップルには他と違う何かが 00:00:32.000 --> 00:00:35.000 あるように見えるのか 00:00:35.000 --> 00:00:37.000 なぜマーチン ルーサー キングが 00:00:37.000 --> 00:00:39.000 市民権運動を指導できたのか 00:00:39.000 --> 00:00:41.000 市民権運動以前のアメリカで 00:00:41.000 --> 00:00:43.000 苦しんでいたのは彼だけではありません 00:00:43.000 --> 00:00:45.000 彼だけが優れた演説家だったわけでもありません 00:00:45.000 --> 00:00:47.000 なぜキング師だったのでしょう 00:00:47.000 --> 00:00:50.000 ライト兄弟が有人動力飛行を 00:00:50.000 --> 00:00:53.000 実現できたのはなぜでしょう 00:00:53.000 --> 00:00:55.000 人材を揃えて資金も潤沢な ー 00:00:55.000 --> 00:00:58.000 他のグループでも 00:00:58.000 --> 00:01:01.000 有人動力飛行を実現することはできず 00:01:01.000 --> 00:01:03.000 ライト兄弟に負けてしまいました 00:01:03.000 --> 00:01:06.000 何か別な要因が働いています NOTE Paragraph 00:01:06.000 --> 00:01:08.000 三年半前のことです 00:01:08.000 --> 00:01:10.000 私は発見しました 00:01:10.000 --> 00:01:13.000 この発見によって世界がどう動いているのか 00:01:13.000 --> 00:01:16.000 見方がすっかり変わりました 00:01:16.000 --> 00:01:18.000 そればかりか 世界に対する接し方も 00:01:18.000 --> 00:01:20.000 すっかり変わりました 00:01:22.000 --> 00:01:25.000 明らかになったことは あるパターンです 00:01:25.000 --> 00:01:27.000 わかったのは 偉大で人を動かす 00:01:27.000 --> 00:01:29.000 指導者や組織は全て 00:01:29.000 --> 00:01:32.000 アップルでも マーチン ルーサー キングでも ライト兄弟でも 00:01:32.000 --> 00:01:34.000 考え 行動し 伝える仕方が 00:01:34.000 --> 00:01:36.000 まったく同じなのです 00:01:36.000 --> 00:01:38.000 そしてそのやり方は 00:01:38.000 --> 00:01:40.000 他の人達とは正反対なのです 00:01:40.000 --> 00:01:42.000 私はそれを定式化しました 00:01:42.000 --> 00:01:44.000 世界でもっとも単純なアイデアかも 00:01:44.000 --> 00:01:46.000 しれません 00:01:46.000 --> 00:01:48.000 私はこれをゴールデンサークルと呼んでいます NOTE Paragraph 00:01:56.000 --> 00:01:59.000 なぜ? どうやって? 何を? 00:01:59.000 --> 00:02:01.000 この小さなアイデアで 00:02:01.000 --> 00:02:03.000 ある組織やリーダーが なぜ 00:02:03.000 --> 00:02:05.000 他にはない力を得るのか説明できます 00:02:05.000 --> 00:02:07.000 用語を簡単に定義しておきます 00:02:07.000 --> 00:02:10.000 世の中の誰にせよ どの組織にせよ 00:02:10.000 --> 00:02:12.000 自分たちが何をしているかは わかっています 00:02:12.000 --> 00:02:14.000 100% 誰でも 00:02:14.000 --> 00:02:16.000 どうやるかをわかっている人もいます 00:02:16.000 --> 00:02:18.000 それは差別化する価値提案とか 固有プロセスとか 00:02:18.000 --> 00:02:21.000 独自のセールスポイントと呼ばれるかもしれません 00:02:21.000 --> 00:02:24.000 でも「なぜやっているのか」がわかっている人や組織は 00:02:24.000 --> 00:02:26.000 非常に少ないのです 00:02:26.000 --> 00:02:28.000 「利益」は「なぜ」の答えではありません 00:02:28.000 --> 00:02:30.000 それは結果です いつでも結果です 00:02:30.000 --> 00:02:32.000 「なぜ」というときには 目的を問うています 00:02:32.000 --> 00:02:34.000 何のために? 何を信じているのか? 00:02:35.000 --> 00:02:38.000 その組織の存在する理由は何か? 00:02:38.000 --> 00:02:40.000 何のために朝起きるのか? 00:02:40.000 --> 00:02:43.000 なぜそれが大事なのか? 00:02:43.000 --> 00:02:45.000 実際のところ私達が考え 行動し 00:02:45.000 --> 00:02:47.000 伝えるやり方は 外から中へです 00:02:47.000 --> 00:02:50.000 それはそうでしょう 明確なものから曖昧なものへ向かうのです 00:02:50.000 --> 00:02:52.000 でも飛び抜けたリーダーや 00:02:52.000 --> 00:02:54.000 飛び抜けた組織は 00:02:54.000 --> 00:02:57.000 その大きさや業界にかかわらず 00:02:57.000 --> 00:02:59.000 考え 行動し 伝える時に 00:02:59.000 --> 00:03:01.000 中から外へと向かいます NOTE Paragraph 00:03:02.000 --> 00:03:04.000 例を示しましょう 00:03:04.000 --> 00:03:07.000 私がアップル製品を使っている理由は分かりやすく誰でも理解できるから 00:03:07.000 --> 00:03:10.000 アップルが他の会社と同じだったら 00:03:10.000 --> 00:03:13.000 こんな CM を作るでしょう 00:03:13.000 --> 00:03:16.000 「我々のコンピュータは素晴らしく 00:03:16.000 --> 00:03:18.000 美しいデザインで簡単に使え 00:03:18.000 --> 00:03:20.000 ユーザフレンドリー 00:03:20.000 --> 00:03:23.000 ひとつ いかがですか?」いりません 00:03:23.000 --> 00:03:25.000 我々のほとんどはこんなふうに伝えます 00:03:25.000 --> 00:03:27.000 マーケティングや売り込みもそう 00:03:27.000 --> 00:03:29.000 我々の対話のほとんどが そんなふうに行われます 00:03:29.000 --> 00:03:32.000 何をして どう違いどう優れているかを述べ 00:03:32.000 --> 00:03:34.000 相手に何か行動を期待します 00:03:34.000 --> 00:03:36.000 購入とか 投票とか のたぐいです 00:03:36.000 --> 00:03:38.000 私たちは新しい法律事務所を開所しました 00:03:38.000 --> 00:03:40.000 最高の弁護士たちと大手のクライアントを抱えています 00:03:40.000 --> 00:03:42.000 私たちは常にクライアント第一で行動します 00:03:42.000 --> 00:03:44.000 これが私達の車のニューモデルです 00:03:44.000 --> 00:03:47.000 低燃費で シートは総革張り いかがですか? 00:03:47.000 --> 00:03:49.000 これでは心を動かされません NOTE Paragraph 00:03:49.000 --> 00:03:52.000 アップルならこんな風に伝えます 00:03:53.000 --> 00:03:55.000 「我々のすることはすべて 00:03:55.000 --> 00:03:58.000 世界を変えるという信念で行っています 00:03:58.000 --> 00:04:01.000 違う考え方に価値があると信じています 00:04:01.000 --> 00:04:03.000 私たちが世界を変える手段は 00:04:03.000 --> 00:04:06.000 美しくデザインされ 00:04:06.000 --> 00:04:08.000 簡単に使えて 親しみやすい製品です 00:04:08.000 --> 00:04:11.000 こうして素晴らしいコンピュータができあがりました」 00:04:11.000 --> 00:04:13.000 一つ欲しくなりませんか? 00:04:13.000 --> 00:04:16.000 全然違うでしょう? 買いたくなりますよね? 00:04:16.000 --> 00:04:18.000 今したのは 情報の順番を逆にすることでした 00:04:18.000 --> 00:04:21.000 これが示すのは 人は「何を」ではなく 00:04:21.000 --> 00:04:23.000 「なぜ」に動かされるということです 00:04:23.000 --> 00:04:25.000 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです NOTE Paragraph 00:04:25.000 --> 00:04:27.000 だからこの場にいる人はだれもが 00:04:27.000 --> 00:04:29.000 安心してアップルから 00:04:29.000 --> 00:04:32.000 コンピュータを買っているのです 00:04:32.000 --> 00:04:34.000 そしてまた MP3 プレイヤーやスマートフォンや 00:04:34.000 --> 00:04:37.000 ビデオレコーダーも 00:04:37.000 --> 00:04:39.000 安心してアップルから買えるのです 00:04:39.000 --> 00:04:41.000 でも アップルは単なるコンピュータ会社です 00:04:41.000 --> 00:04:43.000 アップルと他社とで 00:04:43.000 --> 00:04:45.000 何か仕組みが違うわけではありません 00:04:45.000 --> 00:04:48.000 競合会社にだって同様の製品を作る力があります 00:04:48.000 --> 00:04:50.000 実際 挑んだこともあります 00:04:50.000 --> 00:04:53.000 数年前にはゲートウェイが平面テレビを出しました 00:04:53.000 --> 00:04:55.000 ゲートウェイにはそのための卓越した技術があります 00:04:55.000 --> 00:04:58.000 PC用の平面モニタを何年も作ってきたのです 00:04:58.000 --> 00:05:00.000 しかし全然売れませんでした 00:05:05.000 --> 00:05:08.000 デルは MP3 プレイヤーと PDA を発売しました 00:05:08.000 --> 00:05:10.000 非常に高品質な製品です 00:05:10.000 --> 00:05:13.000 デザインも申し分ありません 00:05:13.000 --> 00:05:15.000 でも全然売れませんでした 00:05:15.000 --> 00:05:17.000 実際 今となっては デルの MP3 プレイヤーを買うなんて 00:05:17.000 --> 00:05:19.000 想像すらできませんよね 00:05:19.000 --> 00:05:21.000 コンピュータ会社の MP3 プレイヤーなんて誰が? 00:05:21.000 --> 00:05:23.000 でもみんなアップルからは買うのです 00:05:23.000 --> 00:05:25.000 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです 00:05:25.000 --> 00:05:27.000 自分が提供するものを必要とする人と 00:05:27.000 --> 00:05:30.000 ビジネスするのではなく 00:05:31.000 --> 00:05:33.000 自分の信じることを信じる人と 00:05:33.000 --> 00:05:36.000 ビジネスするのを 目標とすべきなのです 00:05:36.000 --> 00:05:38.000 一番肝心なのは NOTE Paragraph 00:05:38.000 --> 00:05:40.000 私がお話していることは私の意見ではなく 00:05:40.000 --> 00:05:43.000 全ては生物学の原理に基づいていることです 00:05:43.000 --> 00:05:45.000 心理学ではなく生物学です 00:05:45.000 --> 00:05:48.000 ヒトの脳の断面を上から見ると 00:05:48.000 --> 00:05:50.000 脳は3つの主要な部位に 00:05:50.000 --> 00:05:52.000 分かれているのがわかります 00:05:52.000 --> 00:05:55.000 それはゴールデンサークルと対応しています 00:05:55.000 --> 00:05:58.000 一番新しい ホモ サピエンスの脳は 00:05:58.000 --> 00:06:00.000 大脳新皮質であり 00:06:00.000 --> 00:06:02.000 「何を」のレベルに対応します 00:06:02.000 --> 00:06:04.000 新皮質は合理的 分析的な思考と 00:06:04.000 --> 00:06:06.000 言語とを 00:06:06.000 --> 00:06:08.000 司ります 00:06:08.000 --> 00:06:11.000 内側の二つは大脳辺縁系に対応し 00:06:11.000 --> 00:06:14.000 これは感情、信頼、忠誠心などを 00:06:14.000 --> 00:06:17.000 司ります 00:06:17.000 --> 00:06:19.000 またヒトの行動を司り 00:06:19.000 --> 00:06:21.000 全ての意思決定を行いますが 00:06:21.000 --> 00:06:24.000 言語能力はありません NOTE Paragraph 00:06:24.000 --> 00:06:27.000 言い換えれば 外から中へのコミュニケーションを行っているとき 00:06:27.000 --> 00:06:30.000 確かに大量の複雑な情報を理解できます 00:06:30.000 --> 00:06:33.000 機能やメリットや事実や数値などです 00:06:33.000 --> 00:06:35.000 しかし行動につながりません 00:06:35.000 --> 00:06:37.000 中から外へのコミュニケーションを行っているときには 00:06:37.000 --> 00:06:39.000 行動を制御する 00:06:39.000 --> 00:06:41.000 脳の部分と直接コミュニケーションすることが出来ます 00:06:41.000 --> 00:06:43.000 言葉や行為によって 00:06:43.000 --> 00:06:45.000 理由付けは後からすることができます 00:06:45.000 --> 00:06:47.000 直感的な決定はここから生まれます 00:06:47.000 --> 00:06:49.000 時には誰かに 00:06:49.000 --> 00:06:51.000 あらゆる事実やデータを伝えても 00:06:51.000 --> 00:06:53.000 「細かい事実は分かったけど 00:06:53.000 --> 00:06:55.000 どうも納得感が得られない」と言われることがあります 00:06:55.000 --> 00:06:58.000 どうしてここで「感」なんでしょうか 00:06:58.000 --> 00:07:00.000 理由は脳の意思決定をする部位は 00:07:00.000 --> 00:07:02.000 言葉を扱えないからです 00:07:02.000 --> 00:07:05.000 せいぜい「分からないけど納得 “感” がない」という言葉なのです 00:07:05.000 --> 00:07:07.000 時には胸の内一つとか 00:07:07.000 --> 00:07:09.000 魂の導きに従ってとも言いますが 00:07:09.000 --> 00:07:11.000 でも別に頭以外の部分で 00:07:11.000 --> 00:07:13.000 意志決定するわけではありません 00:07:13.000 --> 00:07:15.000 すべては大脳辺縁系で起きています 00:07:15.000 --> 00:07:18.000 辺縁系は意思決定を司り 言語は担当しません NOTE Paragraph 00:07:18.000 --> 00:07:21.000 人々は 「なぜやっているのか」に反応するのに 00:07:21.000 --> 00:07:24.000 なぜやっているのか 自分でわかっていなければ 00:07:24.000 --> 00:07:27.000 投票してもらうにせよ 何か買ってもらうにせよ 00:07:27.000 --> 00:07:29.000 みんなを引き付けられるわけがない 00:07:29.000 --> 00:07:31.000 さらには あなたがしていることに忠誠心を持って 00:07:31.000 --> 00:07:34.000 加わりたいなどと 思わせられるわけがない 00:07:34.000 --> 00:07:37.000 自分の商品を必要とする人に売るのではなく 00:07:37.000 --> 00:07:40.000 自分が信じるものを信じてくれる人に売ることを目指すべきです 00:07:40.000 --> 00:07:42.000 単に仕事を求めている人を 00:07:42.000 --> 00:07:44.000 雇うのではなく 00:07:44.000 --> 00:07:47.000 自分の信念を信じてくれる人を雇うことを目指すべきです 00:07:47.000 --> 00:07:50.000 私がいつも言っていることですが 00:07:52.000 --> 00:07:55.000 仕事ができるというだけの理由で採用した人は お金のために働くでしょう 00:07:55.000 --> 00:07:57.000 しかしあなたの信念を信じてくれる人を雇えば 00:07:57.000 --> 00:07:59.000 その人は血と汗と涙を流して働くのです 00:07:59.000 --> 00:08:01.000 このことを示す例としてライト兄弟ほど 00:08:01.000 --> 00:08:03.000 ふさわしいものは 他にありません NOTE Paragraph 00:08:03.000 --> 00:08:06.000 サミュエル ピエールポント ラングレーについては知らない方が多いでしょう 00:08:06.000 --> 00:08:09.000 20世紀の初頭には 00:08:09.000 --> 00:08:12.000 有人動力飛行の追求は 今日のドットコムのようなもので 00:08:12.000 --> 00:08:14.000 誰もが試みていました 00:08:14.000 --> 00:08:17.000 そしてサミュエルは成功のレシピと言えるものを 00:08:17.000 --> 00:08:20.000 備えていたのです 00:08:20.000 --> 00:08:22.000 誰かに聞いたとしましょう 00:08:22.000 --> 00:08:24.000 「製品や会社が失敗した理由は何ですか?」 00:08:24.000 --> 00:08:26.000 返ってくる答えはいつも 00:08:26.000 --> 00:08:28.000 同じ3つの項目です 00:08:28.000 --> 00:08:31.000 資金不足 人材不足 市場環境の悪化 00:08:31.000 --> 00:08:34.000 いつもこの3点です 詳しく見てみましょう 00:08:34.000 --> 00:08:36.000 サミュエル ピエールポント ラングレーは 00:08:36.000 --> 00:08:39.000 5万ドルの資金を陸軍省から与えられ 00:08:39.000 --> 00:08:41.000 飛行機械を開発していました 00:08:41.000 --> 00:08:43.000 資金は問題無し 00:08:43.000 --> 00:08:45.000 ハーバード大に在籍し 00:08:45.000 --> 00:08:48.000 スミソニアン博物館で働いていた彼は 人脈豊富です 00:08:48.000 --> 00:08:50.000 当時の頭脳たちと通じていました 00:08:50.000 --> 00:08:52.000 金にものを言わせて最高の 00:08:52.000 --> 00:08:54.000 人材を集めました 00:08:54.000 --> 00:08:56.000 市場の環境は絶好 00:08:56.000 --> 00:08:59.000 ニューヨークタイムズは彼を追い掛け回し 00:08:59.000 --> 00:09:01.000 みんなラングレーを応援していました 00:09:01.000 --> 00:09:04.000 ではどうして皆さんはサミュエル ラングレーのことを聞いたことが無いのでしょうか NOTE Paragraph 00:09:04.000 --> 00:09:07.000 そこから数百マイル離れたオハイオ州デイトンにいた 00:09:07.000 --> 00:09:09.000 ライト兄弟のオーヴィルとウィルバーは 00:09:09.000 --> 00:09:11.000 成功のレシピとは 00:09:11.000 --> 00:09:13.000 まるで無縁でした 00:09:13.000 --> 00:09:15.000 お金がなく 00:09:15.000 --> 00:09:18.000 夢に挑む資金は自分たちの自転車店から持ち出しで 00:09:18.000 --> 00:09:20.000 ライト兄弟のチームの誰ひとりとして 00:09:20.000 --> 00:09:22.000 大学を出てはいませんでした 00:09:22.000 --> 00:09:24.000 オーヴィルとウィルバーも違いました 00:09:24.000 --> 00:09:27.000 そしてニューヨークタイムズに追いかけ回されたりもしません 00:09:27.000 --> 00:09:29.000 違っていたことは 00:09:29.000 --> 00:09:31.000 オーヴィルとウィルバーが大義と 00:09:31.000 --> 00:09:33.000 理想と信念に動かされていたということです 00:09:33.000 --> 00:09:35.000 彼らはもしこの飛行機械を 00:09:35.000 --> 00:09:37.000 作り上げることができたら 00:09:37.000 --> 00:09:40.000 それは世界を変えることになると信じていました 00:09:40.000 --> 00:09:42.000 サミュエル ラングレーは違っていました 00:09:42.000 --> 00:09:45.000 彼が求めていたのは富と名声です 00:09:45.000 --> 00:09:47.000 それによって得られるものが目的であり 00:09:47.000 --> 00:09:49.000 富を追求していたのです 00:09:49.000 --> 00:09:52.000 そして どうなったのでしょうか 00:09:52.000 --> 00:09:54.000 ライト兄弟の夢を信じた人々は 00:09:54.000 --> 00:09:57.000 血と汗と涙を流して共に働きました 00:09:57.000 --> 00:09:59.000 もう一方のチームはただ給与のために働きます 00:09:59.000 --> 00:10:02.000 ライト兄弟は外へテストに出かけるたびに 00:10:02.000 --> 00:10:04.000 部品は5セットずつ持って行ったと言います 00:10:04.000 --> 00:10:06.000 夕食に帰るまでには 5回ぐらい 00:10:06.000 --> 00:10:08.000 壊れるようなものだったからです NOTE Paragraph 00:10:09.000 --> 00:10:12.000 そしてついに 1903 年の12月17日のこと 00:10:12.000 --> 00:10:15.000 ライト兄弟は初飛行に成功 00:10:15.000 --> 00:10:17.000 それをその場で目撃した者もいませんでした 00:10:17.000 --> 00:10:20.000 そのことが広く伝えられたのは数日経った後です 00:10:21.000 --> 00:10:23.000 そしてラングレーの動機が適切でなかった 00:10:23.000 --> 00:10:25.000 ことを示すさらなる証拠には 00:10:25.000 --> 00:10:28.000 ライト兄弟が飛行した日に 彼は諦めたのです 00:10:28.000 --> 00:10:30.000 彼はこうも言えたはずでした 00:10:30.000 --> 00:10:32.000 「連中はよくやった 00:10:32.000 --> 00:10:35.000 我々の手でもっと改良してやろうじゃないか」 でもそうはせず 00:10:35.000 --> 00:10:37.000 一番になれず 金持ちになれず 00:10:37.000 --> 00:10:39.000 有名にもなれなかったので 彼は諦めました NOTE Paragraph 00:10:39.000 --> 00:10:42.000 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです 00:10:42.000 --> 00:10:44.000 そして自分が信じていることについて語れば 00:10:44.000 --> 00:10:47.000 そのことを信じてくれる人たちを惹きつけるでしょう 00:10:47.000 --> 00:10:50.000 ではなぜ自分の信念を信じてくれる人を引き付けることが重要なのでしょう 00:10:52.000 --> 00:10:54.000 「イノベーションの普及の法則」と呼ばれるものがあります 00:10:54.000 --> 00:10:57.000 もしも知らないなら言葉を覚えてください 00:10:57.000 --> 00:11:00.000 人口の2.5%は 00:11:00.000 --> 00:11:02.000 イノベーターです 00:11:02.000 --> 00:11:05.000 13.5%はアーリー アダプタと 00:11:05.000 --> 00:11:07.000 呼ばれる人たちです 00:11:07.000 --> 00:11:09.000 34%はアーリー マジョリティー 00:11:09.000 --> 00:11:12.000 レイトマジョリティーに ラガードと続きます 00:11:12.000 --> 00:11:15.000 この人達がプッシュホンを買う理由は 00:11:15.000 --> 00:11:17.000 ダイヤル式が買えなくなったからに他なりません NOTE Paragraph 00:11:17.000 --> 00:11:19.000 (笑) NOTE Paragraph 00:11:19.000 --> 00:11:22.000 人はみんな この軸上のいろいろな時点に位置づけられます 00:11:22.000 --> 00:11:25.000 イノベーションの普及の法則が教えるところは 00:11:25.000 --> 00:11:28.000 マスマーケットで成功したいなら 00:11:28.000 --> 00:11:30.000 あるいはアイデアを幅広く受け入れて欲しいなら 00:11:30.000 --> 00:11:32.000 そのためには 00:11:32.000 --> 00:11:34.000 臨界点である 00:11:34.000 --> 00:11:37.000 15から18パーセントの市場浸透率が必要ということです 00:11:37.000 --> 00:11:40.000 そこまで行くと 状況が一変します 00:11:40.000 --> 00:11:43.000 私は「新しいビジネスのコンバージョンはどれくらい?」とよく聞きます 00:11:43.000 --> 00:11:45.000 相手は「10%です」と自慢げに教えてくれます 00:11:45.000 --> 00:11:47.000 ええ 10パーセントの顧客を得るところまでは行けます 00:11:47.000 --> 00:11:49.000 自分から飛びついてくれる人が 10%程いるのです 00:11:49.000 --> 00:11:51.000 そうとしか言えないのですが 00:11:51.000 --> 00:11:53.000 彼らは直感で ただ飛びついてきます 00:11:53.000 --> 00:11:56.000 問題は 売り込まなくとも飛びつく人と 00:11:56.000 --> 00:11:59.000 食いついてこない人の違いです 00:11:59.000 --> 00:12:01.000 ここにある小さなギャップを 00:12:01.000 --> 00:12:03.000 どう埋めるかが問題になります 00:12:03.000 --> 00:12:05.000 ジェフリー ムーアのいわゆる「キャズムを越える」ということです 00:12:05.000 --> 00:12:07.000 なぜかというと アーリーマジョリティーが 00:12:07.000 --> 00:12:09.000 試そうという気になるのは 00:12:09.000 --> 00:12:11.000 だれか他の人が 00:12:11.000 --> 00:12:13.000 先にトライした後だからです 00:12:13.000 --> 00:12:16.000 イノベーターとアーリーアダプターは 00:12:16.000 --> 00:12:18.000 自分の直感に従って決める人達です 00:12:18.000 --> 00:12:21.000 彼らは世界に対して信じることに基づいて 00:12:21.000 --> 00:12:24.000 直感的に判断するのを好みます 00:12:25.000 --> 00:12:27.000 入手が難しくとも問題にしません NOTE Paragraph 00:12:27.000 --> 00:12:29.000 iPhone が登場した日に 00:12:29.000 --> 00:12:31.000 6時間並んで買う人達です 00:12:31.000 --> 00:12:33.000 次の週になれば 歩いて店まで入っていって 00:12:33.000 --> 00:12:35.000 すぐその場で買えるというのに 00:12:35.000 --> 00:12:37.000 この人たちが最初の薄型テレビに 00:12:37.000 --> 00:12:40.000 400万円払うのです 00:12:40.000 --> 00:12:43.000 その技術がまだ標準になっていなくともお構いなしです 00:12:43.000 --> 00:12:45.000 ちなみに彼らがそうするのは 00:12:45.000 --> 00:12:47.000 技術がすごいのが理由ではなく 00:12:47.000 --> 00:12:49.000 自分たちのためです 00:12:49.000 --> 00:12:51.000 一番乗りをしたいのです 00:12:51.000 --> 00:12:53.000 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです 00:12:53.000 --> 00:12:55.000 そして信じることをただ 00:12:55.000 --> 00:12:57.000 行動で示すのです 00:12:57.000 --> 00:12:59.000 人は自らの信じることを 00:12:59.000 --> 00:13:01.000 示すために行動します 00:13:01.000 --> 00:13:03.000 iPhone を買うために 00:13:03.000 --> 00:13:06.000 6 時間も列に並んで 00:13:06.000 --> 00:13:08.000 立ちっぱなしで過ごすわけは 00:13:08.000 --> 00:13:10.000 彼らが世界について信じていることのためです 00:13:10.000 --> 00:13:12.000 他の人にもその思いを見せたいのです 00:13:12.000 --> 00:13:14.000 自分が 1 番だったと 00:13:14.000 --> 00:13:16.000 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです NOTE Paragraph 00:13:16.000 --> 00:13:18.000 ここで有名な例を紹介します 00:13:18.000 --> 00:13:20.000 イノベーションの普及の法則に関する 00:13:20.000 --> 00:13:22.000 有名な失敗例と 有名な成功例です 00:13:22.000 --> 00:13:24.000 まず有名な失敗例ですが 00:13:24.000 --> 00:13:26.000 これは商品の例です 00:13:26.000 --> 00:13:28.000 ほんの少し前にも言いましたが 00:13:28.000 --> 00:13:31.000 成功のレシピは金と人材と市場環境です 00:13:31.000 --> 00:13:33.000 これがそろえば成功します 00:13:33.000 --> 00:13:35.000 TiVo を見てください 00:13:35.000 --> 00:13:37.000 TiVo が登場したのは 00:13:37.000 --> 00:13:39.000 今から8-9 年前で 00:13:39.000 --> 00:13:42.000 市場に投入されている唯一の高品質製品でした 00:13:42.000 --> 00:13:45.000 断然 間違いなし 00:13:45.000 --> 00:13:47.000 資金調達も極めて順調でした 00:13:47.000 --> 00:13:49.000 市場の状況もすばらしかった 00:13:49.000 --> 00:13:51.000 TiVo は動詞になりました 00:13:51.000 --> 00:13:54.000 私はいつも「スゴ録」で TiVo ってるよ NOTE Paragraph 00:13:57.000 --> 00:13:59.000 でも商業的には失敗でした 00:13:59.000 --> 00:14:01.000 お金を生み出せなかったのです 00:14:01.000 --> 00:14:03.000 株式公開をしたときの株価は 00:14:03.000 --> 00:14:05.000 30-40ドルでしたが 00:14:05.000 --> 00:14:07.000 それから急落して10ドル以上で取引されることはありませんでした 00:14:07.000 --> 00:14:10.000 実際 何回かの単発的な上げを別にすると 00:14:10.000 --> 00:14:12.000 6ドル以上で取引されることさえなかったと思います 00:14:12.000 --> 00:14:14.000 お分かりのように TiVo が製品を投入したときには 00:14:14.000 --> 00:14:17.000 彼らはそれが「何か」を説明しました 00:14:17.000 --> 00:14:20.000 「生放送を一時停止したりCMをスキップしたり 00:14:20.000 --> 00:14:23.000 巻き戻して見たりできるテレビです 00:14:23.000 --> 00:14:25.000 どんな番組が好きかを 00:14:25.000 --> 00:14:28.000 頼まなくとも記憶してくれます」 00:14:28.000 --> 00:14:30.000 疑い深い大衆は思います 00:14:30.000 --> 00:14:32.000 「信じられないね 00:14:32.000 --> 00:14:34.000 そんなのいらない 気に入らない 00:14:34.000 --> 00:14:36.000 ぞっとしない製品だ」 00:14:36.000 --> 00:14:38.000 もしTiVoがこんな風に言っていたら? 00:14:38.000 --> 00:14:40.000 「自分の生活のあらゆる側面を 00:14:40.000 --> 00:14:43.000 自分でコントロールしたいという方には 00:14:43.000 --> 00:14:46.000 ぴったりの製品が 00:14:46.000 --> 00:14:49.000 ここにあります 00:14:49.000 --> 00:14:51.000 生放送を一時停止したり CM をスキップしたり 00:14:51.000 --> 00:14:54.000 好みの番組を記憶します などなど」 00:14:54.000 --> 00:14:56.000 人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです 00:14:56.000 --> 00:14:58.000 何をするかは 信じることを 00:14:58.000 --> 00:15:00.000 示す限りにおいて意味を持つのです NOTE Paragraph 00:15:00.000 --> 00:15:03.000 今度は イノベーションの普及の法則が 00:15:03.000 --> 00:15:06.000 うまく行った例を見てみましょう 00:15:06.000 --> 00:15:09.000 1963 年の夏のこと 00:15:09.000 --> 00:15:11.000 25万人もの人が集まって 00:15:11.000 --> 00:15:13.000 ワシントンの通りを埋め尽くし 00:15:13.000 --> 00:15:15.000 キング師の演説に耳を傾けました 00:15:16.000 --> 00:15:19.000 招待状が送られたわけではなく 00:15:19.000 --> 00:15:22.000 日にちを告知するウェブサイトもなく 00:15:22.000 --> 00:15:24.000 どうやったのでしょう 00:15:24.000 --> 00:15:26.000 キング師だけが偉大な 00:15:26.000 --> 00:15:28.000 演説家というわけではありませんでした 00:15:28.000 --> 00:15:30.000 市民権運動以前のアメリカで彼だけが 00:15:30.000 --> 00:15:32.000 苦しんでいたわけではありませんでした 00:15:32.000 --> 00:15:35.000 実際 彼のアイデアのなかにはひどいものもありました 00:15:35.000 --> 00:15:37.000 でも彼には才能がありました 00:15:37.000 --> 00:15:40.000 彼はアメリカを変えるために何が必要かなどを説かず 00:15:40.000 --> 00:15:42.000 彼は自分が信じることを語ったのです 00:15:42.000 --> 00:15:44.000 「私は信じている 信じている 信じている」 00:15:44.000 --> 00:15:46.000 と語りました 00:15:46.000 --> 00:15:48.000 彼が信じることを信じた人々が 00:15:48.000 --> 00:15:50.000 彼の動機を自らの動機とし 00:15:50.000 --> 00:15:52.000 他の人にも伝えたのです 00:15:52.000 --> 00:15:54.000 さらに多くの人々に伝えるため 00:15:54.000 --> 00:15:56.000 組織を作った人もいました 00:15:56.000 --> 00:15:58.000 そして なんとまぁ 00:15:58.000 --> 00:16:00.000 25万人が集まったのです 00:16:00.000 --> 00:16:03.000 その日 その時に 00:16:03.000 --> 00:16:05.000 彼の話を聴くために NOTE Paragraph 00:16:05.000 --> 00:16:08.000 その中でキング師のために集まった人は何人いたでしょう 00:16:09.000 --> 00:16:11.000 ゼロです 00:16:11.000 --> 00:16:13.000 みんな自分自身のために集まったのです 00:16:13.000 --> 00:16:15.000 彼ら自身がアメリカに対して信じることのために 00:16:15.000 --> 00:16:18.000 8時間バスに揺られてやってきて 00:16:18.000 --> 00:16:21.000 8月のワシントンの炎天の下に集まったのです 00:16:21.000 --> 00:16:24.000 自分が信じることのためです 白人と黒人の対立ではありません 00:16:24.000 --> 00:16:27.000 聴衆の 25 パーセントは 白人だったのです 00:16:27.000 --> 00:16:29.000 キング師は 00:16:29.000 --> 00:16:31.000 この世界には 2種類の法があると信じていました 00:16:31.000 --> 00:16:33.000 神によって作られた法と 00:16:33.000 --> 00:16:35.000 人によって作られた法です 00:16:35.000 --> 00:16:38.000 そして人が作った法がすべて 00:16:38.000 --> 00:16:40.000 神の法と整合するまでは 00:16:40.000 --> 00:16:42.000 世が公正になることはないと信じていました 00:16:42.000 --> 00:16:44.000 市民権運動はたまたま 00:16:44.000 --> 00:16:47.000 彼の人生の目的を果たす上で 00:16:47.000 --> 00:16:49.000 完璧な追い風でした 00:16:49.000 --> 00:16:52.000 人々がついて行ったのは彼のためではなく自分自身のためでした 00:16:52.000 --> 00:16:54.000 その中で 「私には夢がある」という演説をしたのです 00:16:54.000 --> 00:16:56.000 「私にはプランがある」という演説ではありません NOTE Paragraph 00:16:56.000 --> 00:17:00.000 (笑) NOTE Paragraph 00:17:00.000 --> 00:17:03.000 現代の政治家の12項目の総合計画と比べてください 00:17:03.000 --> 00:17:05.000 誰かを動かすものではありません 00:17:05.000 --> 00:17:08.000 リーダーと 導く人は違います 00:17:08.000 --> 00:17:10.000 リーダーというのは 00:17:10.000 --> 00:17:12.000 権威や権力の座にある人です 00:17:12.000 --> 00:17:15.000 でも導く人というのは 皆を動かすのです 00:17:16.000 --> 00:17:18.000 個人であれ組織であれ 00:17:18.000 --> 00:17:20.000 我々が導く人に従うのは 00:17:20.000 --> 00:17:22.000 そうしなければならないからではなく 00:17:22.000 --> 00:17:25.000 そうしたいからです 00:17:25.000 --> 00:17:28.000 導く人に従うのは 彼らのためでなく 00:17:28.000 --> 00:17:30.000 自分自身のためです 00:17:30.000 --> 00:17:33.000 そして「なぜ」から始める人が 00:17:33.000 --> 00:17:35.000 周りの人を動かし 00:17:35.000 --> 00:17:37.000 さらに周りを動かす人を見出せる 00:17:37.000 --> 00:17:40.000 力を持つのです NOTE Paragraph 00:17:40.000 --> 00:17:42.000 どうもありがとうございました NOTE Paragraph 00:17:42.000 --> 00:17:44.000 (拍手)