WEBVTT 00:00:00.389 --> 00:00:02.919 フーディというのは すごいものです 00:00:02.919 --> 00:00:04.823 古びることがなく 00:00:04.823 --> 00:00:10.313 あまりに生活に溶け込んでいて 意識されることのない 00:00:10.313 --> 00:00:12.343 いわば「地味な傑作」です NOTE Paragraph 00:00:12.368 --> 00:00:15.235 [小さなことの大きなアイデア] NOTE Paragraph 00:00:16.070 --> 00:00:18.601 [パオラ・アントネッリが フーディを語る] NOTE Paragraph 00:00:18.722 --> 00:00:21.890 フーディは その名で 呼ばれるようになる以前から 00:00:21.890 --> 00:00:26.052 歴史の中で 良い意味や悪い意味で 象徴的なものでした 00:00:26.286 --> 00:00:29.081 私たちに辿れる 最古の例は 00:00:29.105 --> 00:00:31.684 古代ギリシアや 古代ローマ時代のものです 00:00:31.708 --> 00:00:33.720 中世には 多くの修道士が 00:00:33.744 --> 00:00:37.604 フード付きのケープみたいな 服を着ていました 00:00:37.604 --> 00:00:39.017 一種のフーディです 00:00:39.041 --> 00:00:41.951 17世紀のご婦人は 愛人に会いに行くとき 00:00:41.975 --> 00:00:45.760 見られないように フーディを纏ったことでしょう 00:00:45.760 --> 00:00:49.038 そしてもちろん 伝説や ファンタジーの世界もあります 00:00:49.062 --> 00:00:52.033 フーディのイメージは 死神に結びつけられ 00:00:52.057 --> 00:00:55.074 また処刑人の イメージもありました 00:00:55.074 --> 00:00:57.872 フーディの暗い面です NOTE Paragraph 00:00:58.491 --> 00:01:01.427 フーディが現代に 再び現れたのは 00:01:01.451 --> 00:01:04.241 紐を通した フードの付いている 00:01:04.241 --> 00:01:07.441 綿でできた 伸縮性のある服としてでした 00:01:07.465 --> 00:01:09.976 前ポケットが 付いていることもあり 00:01:09.976 --> 00:01:14.325 これは1930年代に Knickerbocker Knitting Company という会社が作り始めました 00:01:14.349 --> 00:01:16.243 現在のChampion社です 00:01:16.267 --> 00:01:18.855 もともとは運動選手の 防寒用でしたが 00:01:19.448 --> 00:01:23.468 服として とても機能的で 快適だったため 00:01:23.468 --> 00:01:27.514 すぐに労働者の間で 広まりました 00:01:27.514 --> 00:01:31.723 それから1980年代になって ヒップホップや ブレイクダンスや 00:01:31.747 --> 00:01:35.085 スケートボードをする人たちの間で 着られるようになり 00:01:35.109 --> 00:01:38.222 街の若者文化に 浸透したんです 00:01:38.246 --> 00:01:40.144 それは とても快適で 00:01:40.144 --> 00:01:41.775 街着にぴったりでしたが 00:01:41.775 --> 00:01:45.101 同時に 必要なときには 匿名性が得られるという 00:01:45.101 --> 00:01:46.378 利点がありました 00:01:46.378 --> 00:01:48.342 そしてマーク・ザッカーバーグが 現れます 00:01:48.342 --> 00:01:52.912 彼はビジネスに相応しい服装をするという 慣習を意に介しませんが 00:01:52.912 --> 00:01:57.316 興味深いのは これが力関係の 変化も示している点です 00:01:57.316 --> 00:02:00.145 ツーピースのスーツを着ているのは ボディガードかもしれず 00:02:00.145 --> 00:02:05.157 本当に重要な人物が フーディと Tシャツやジーンズを着ているんです NOTE Paragraph 00:02:05.531 --> 00:02:08.993 フーディの物としての側面は 分かりやすいものです 00:02:09.017 --> 00:02:11.818 フードを被ったところを すぐイメージでき 00:02:11.842 --> 00:02:14.527 その保温性や 保護性を感じますが 00:02:14.551 --> 00:02:15.694 同時に 00:02:15.694 --> 00:02:18.747 その心理的な面も感じます 00:02:18.747 --> 00:02:20.778 フードを被った瞬間 00:02:20.778 --> 00:02:23.085 守られているように 00:02:23.085 --> 00:02:28.167 自分の殻に閉じこもったように 感じるのです NOTE Paragraph 00:02:29.298 --> 00:02:31.505 ここ何年かアメリカでは 00:02:31.505 --> 00:02:35.538 フーディが重要な意味を 持つようになりました 00:02:35.538 --> 00:02:39.915 17歳の黒人少年 トレイボン・マーティンが 00:02:39.915 --> 00:02:43.821 近所の自警団員に 射殺されたとき 00:02:43.821 --> 00:02:47.964 「百万人のフーディの行進」が 全米で行われました 00:02:47.964 --> 00:02:51.282 人々がフーディを着て 街を行進し 00:02:51.282 --> 00:02:54.725 このような偏見に対して 抗議したのです 00:02:55.081 --> 00:02:56.540 1つの服が 00:02:56.540 --> 00:03:01.811 フーディのように 大きな象徴性や歴史を持ち 00:03:01.835 --> 00:03:04.740 様々な世界を 包含するというのは 00:03:04.740 --> 00:03:06.632 そうあることでは ありません NOTE Paragraph 00:03:06.656 --> 00:03:09.521 他の実用的な服と 同じように 00:03:09.521 --> 00:03:11.209 デザインという点では 00:03:11.233 --> 00:03:13.626 フーディは ごく簡単なものですが 00:03:13.650 --> 00:03:16.836 そこには大きな 可能性の世界が 00:03:16.836 --> 00:03:18.810 結び付いているのです