ムチのようなストロー 強く砕くハサミ 先のとがった針 世界中では約1億種類の昆虫が 存在が知られていますが 多くの昆虫は たった5種類の口の どれかを持っています このことは とても科学者の 役に立っているのです 科学者が見たことのない 昆虫を発見した時 昆虫の食べ方を見るだけで 多くのことを知ることができるからです 科学的な分類法 つまり「分類学」では 全ての生物は 7つの階級に分類されます 界(かい) 門(もん) 綱(こう) 目(もく) 科(か) 属(ぞく) 種(しゅ) 昆虫の口の特徴は どの「目」に 属するかを見分けるカギとなり 成長過程や 何を餌にするかの ヒントになります 噛む口の形は 最もよく見られるものです そして 最も原始的でもあります 他の口の形は何れも このような形から始まり 何か異なるものへと 進化していったと考えられています この はさみのような 特徴は大あごと呼ばれ 内側に歯が付いていて 例えば 葉や他の昆虫などの固形物を 噛み砕きます この口の形は ハチ目のアリや バッタ目のバッタやコオロギ トンボ目のトンボ 甲虫目のカブトムシに見られます 刺すような吸い口は クチバシという長いチューブからなります これを植物や動物の 組織に突き刺し 樹液や血液を吸い上げます また 消化酵素を含む 唾液を分泌し 食べ物を液化し 吸い込みやすくします カメムシ目に属する昆虫は この吸い口を持っています トコジラミ セミ アブラムシ ヨコバイなどを含む仲間です サイフォンのように吸う口は 刺して吸いとる口から 敵意をなくしたタイプです これは吻(ふん)と呼ばれる 長いホースのようなものでできていて 花の蜜をストローのようにして 吸うのに使います チョウ目に属する昆虫で 蝶々や蛾は 食事の時以外は 吻を頭の下に 巻き持っています そして 甘い蜜に近づいた 時に伸ばします スポンジのような口は 別のホースを持ち 2つのスポンジ質の 丸いものが先端にあり 偽器官と呼ばれる 細いチューブが詰まっています 偽器官は 酵素で満たされた 唾液を分泌し 液体を吸収し 毛管作用によって 食べ物を分解します イエバエ ショウジョウバエ ハエ目に属する その他の噛まないハエなどは この方法を使う 唯一の昆虫です しかし 例外もあります ハエ目の中にも 噛むものがいます 例えば 蚊や ウシアブ メクラアブなどで スポンジのような口ではなく 刺して吸う口を持っています 最後の 噛んで舐める口は 大あごと吻のコンビで 吻の先端には 舌のようなものが付いていて 蜜を舐める時に使います このタイプにある 大あご自体は 食べる為には使いません ハチ目の仲間のハチやスズメバチが 花粉採集や蜜ロウで巣を作る 道具として使います もちろん 自然の中には この法則に反した昆虫もいます 例えば 幼虫と成虫では 全く違う口を持つ者もいます 例えば 毛虫は噛む口で ムシャムシャと葉を食べますが サイフォンのような 吸い口を持った蝶々や蛾に 羽化する前までです それでも 尚 口の形からわかることは多く 科学者 そして皆さんが昆虫を 見分けるのにも役立ちます 虫眼鏡を取り出して どんな昆虫が 畑の葉を食べているのか 腕を刺しているのか 耳のそばを飛んでいるのかを 調べてみませんか?