WEBVTT 00:00:24.891 --> 00:00:26.818 お知り合いの中に 00:00:26.818 --> 00:00:30.388 英語など複数の言語を 流暢に話す子どもはいますか? 00:00:31.379 --> 00:00:35.567 家族と一緒に外国へ あるいは外国から引越してきた経験を 00:00:35.567 --> 00:00:37.551 持つ子たちかもしれません 00:00:37.693 --> 00:00:40.988 親が国際カップルという場合もあります 00:00:41.505 --> 00:00:46.226 そういう子たちは多言語と多文化に 同時にさらされながら 00:00:46.244 --> 00:00:47.466 育っています 00:00:47.783 --> 00:00:51.441 そんな環境で育つのは ごく普通になってきていますが 00:00:51.552 --> 00:00:54.581 実際に当事者である子に 00:00:54.634 --> 00:00:57.620 「ねえ その経験は楽しい?」 と聞いてみると 00:00:57.727 --> 00:00:59.178 こう答えるかもしれません 00:00:59.178 --> 00:01:03.389 「楽しくない ものすごく大変で苦労が多いよ 00:01:03.511 --> 00:01:06.023 両親も私のことで悩んでる」 00:01:07.070 --> 00:01:09.528 20年前の私も そんな子どもでした 00:01:09.565 --> 00:01:14.114 アメリカと日本を往復しながら 00:01:14.148 --> 00:01:18.878 当時の私は自分の境遇に うんざりしていました 00:01:19.093 --> 00:01:22.186 どちらの国に行くのもトラウマで 00:01:22.209 --> 00:01:26.247 勉強は遅れに遅れていました 00:01:27.079 --> 00:01:29.813 しかし今日 大人になった私にとって 00:01:29.862 --> 00:01:35.145 その経験は贈り物となり 私は様々な意味で助けられています 00:01:36.760 --> 00:01:42.733 国をまたいで育つ子ども時代が つらい原因は何でしょうか 00:01:42.894 --> 00:01:46.937 私の家族は その間ずっと 全力で私を支えてくれました 00:01:46.969 --> 00:01:49.770 家族に恵まれた私は とても幸運でした 00:01:50.167 --> 00:01:52.352 でも今 振り返ると 00:01:52.352 --> 00:01:54.833 あれは誰にとっても つらすぎる経験だったような 00:01:54.833 --> 00:01:55.832 気がします 00:01:56.458 --> 00:01:58.648 ハーバード経営大学院に 00:01:58.648 --> 00:02:01.180 フルブライト奨学生として 入学した私は すぐに 00:02:01.180 --> 00:02:04.262 後々 起業へとつながる あるアイディアに着手しました 00:02:04.349 --> 00:02:09.048 国をまたいで暮らす子たち特有の 困難に寄り添い 00:02:09.048 --> 00:02:13.771 勉強と心理の両面から 支援する教育サービスです 00:02:14.057 --> 00:02:18.993 国をまたぐ子ども時代はつらいけれど 後々 よかったと思わせる 00:02:19.010 --> 00:02:20.718 要因は何でしょう 00:02:21.366 --> 00:02:23.746 第1は言語です 00:02:23.878 --> 00:02:25.549 こんなふうに言われるんです 00:02:25.549 --> 00:02:28.986 「ああ 小さい子は あっと言う間に言語を覚えるよ 00:02:29.030 --> 00:02:31.541 すぐ 喋れるようになるでしょ」 00:02:31.632 --> 00:02:33.124 聞いたことありますよね? 00:02:33.223 --> 00:02:38.395 「その言語でコミュニケーションできるか」 という意味なら確かにそうです 00:02:38.396 --> 00:02:41.431 「その言語でコミュニケーションできるか」 という意味なら確かにそうです 00:02:41.853 --> 00:02:44.085 でも もし問題が 00:02:44.085 --> 00:02:47.886 「その言語で考えたり学んだり できるか」なら 00:02:48.101 --> 00:02:51.821 答えは 「実はかなり長い時間がかかる」です 00:02:52.483 --> 00:02:56.932 研究によると この言語レベルに達するには 00:02:56.932 --> 00:02:59.632 5~7年かかります 00:03:00.217 --> 00:03:01.494 うちの生徒の中に 00:03:01.494 --> 00:03:04.160 英語の環境で6年暮らしていた 男の子がいます 00:03:04.160 --> 00:03:06.034 英語はとても流暢ですから 00:03:06.034 --> 00:03:08.388 英語ネイティブでないとは 信じがたいほどです 00:03:08.388 --> 00:03:11.989 英語で受ける教科の成績は オールAです 00:03:12.109 --> 00:03:14.681 でも数学と物理については 00:03:14.843 --> 00:03:18.484 今でも日本語で教えてもらう方が 良いそうです 00:03:19.196 --> 00:03:22.479 彼は言います 「だって日本語の方が早いんだもん 00:03:22.479 --> 00:03:26.651 そういう概念的で 難しいことを学ぶ場合には 00:03:26.853 --> 00:03:30.249 日本語の方が簡単だし 00:03:30.292 --> 00:03:32.388 頭の中で動かしやすいんだ」 00:03:32.711 --> 00:03:35.349 つまり考える時は 日本語の方がラクなのです 00:03:36.274 --> 00:03:40.362 ということは 子どもが まだおぼつかない言語で 00:03:40.362 --> 00:03:42.964 勉強している場合 00:03:43.100 --> 00:03:47.165 その子の認知能力 すなわち学ぶ力は 制限されている可能性があります 00:03:47.453 --> 00:03:51.670 ですから 多言語の環境で 育つ児童 生徒にとって 00:03:51.794 --> 00:03:55.280 学校で使われる言語に できるだけ早く追いつくことは 00:03:55.280 --> 00:03:57.086 何よりも重要です 00:03:57.105 --> 00:04:00.253 言語が追いつけば 自分の学年に応じた学習内容が 00:04:00.253 --> 00:04:01.727 学べるようになります 00:04:01.797 --> 00:04:06.738 その一方で母語も学年相応に 使いこなす必要があるわけで 00:04:06.738 --> 00:04:09.345 これは実に大変なことです 00:04:09.566 --> 00:04:12.730 いずれも自然にできるように なるものではありません 00:04:12.730 --> 00:04:16.926 子ども本人だけでなく 家族も一緒に最大限の努力をして 00:04:16.926 --> 00:04:20.837 計画や投資をすることが 求められます 00:04:22.688 --> 00:04:27.014 この局面にいる子どもは 助けが必要ですし 助けられるべきです 00:04:27.083 --> 00:04:29.792 家族が助けても良いですが 00:04:29.802 --> 00:04:32.761 プロが入って家族の助けを サポートする手もあります 00:04:35.077 --> 00:04:36.082 私自身は 00:04:36.082 --> 00:04:39.239 その局面に置かれ ひどく困惑していたのを覚えています 00:04:39.270 --> 00:04:42.444 自分に問題があると 思ってしまうほどでした 00:04:42.477 --> 00:04:44.579 「私は頭が良くないのかも 00:04:44.579 --> 00:04:47.871 こんなに時間をかけて 頑張っているのに 00:04:47.983 --> 00:04:50.467 どっちの言語でも いまいちだもの」 00:04:52.528 --> 00:04:54.599 言語の壁は 子どもの学校における 00:04:54.599 --> 00:04:57.097 社会生活の面でも 大きく立ちはだかります 00:04:57.494 --> 00:05:00.689 自分の個性や性格の中で 第二言語では 00:05:00.699 --> 00:05:04.553 表現しきれない部分があると 感じたことはありませんか? 00:05:05.122 --> 00:05:08.124 たとえば本当の自分ほど 面白くないとか 00:05:08.124 --> 00:05:10.170 賢そうに見えないとか 00:05:10.170 --> 00:05:12.869 周りに興味を持ってもらえないとか 00:05:12.869 --> 00:05:14.901 言語が自分を狭めているからです 00:05:15.533 --> 00:05:20.380 自分が今10代で 週に5日 そんな経験をしなくちゃならないとしたら 00:05:20.412 --> 00:05:21.439 イヤですよね 00:05:21.638 --> 00:05:25.326 言語を学ぶのは 厳しく長い道のりです 00:05:26.658 --> 00:05:29.877 それによって得られる贈り物は アクセスです 00:05:29.966 --> 00:05:32.503 2つの言語を習得してしまえば 00:05:32.503 --> 00:05:36.159 2つの異なる国で学校に行ったり 仕事したりできるようになります 00:05:36.226 --> 00:05:41.394 どちらの言語で生み出された情報や知識にも アクセスできますし 00:05:41.458 --> 00:05:46.884 まったく異なる2組の人々と 関係を築くこともできます 00:05:47.301 --> 00:05:50.854 バイリンガルの世界は 豊かさに あふれています 00:05:51.017 --> 00:05:54.248 まるで2つの人生を 同時に生きているかのようです 00:05:56.118 --> 00:05:58.763 困難の2つめは文化です 00:05:59.130 --> 00:06:03.048 ある日の朝 ミシガン州に住む女の子が 自分の教室へ入っていくと 00:06:03.048 --> 00:06:06.753 先生は女の子をギュッとハグして 温かく迎えました 00:06:07.049 --> 00:06:08.989 いつもどおりの光景です 00:06:09.083 --> 00:06:11.649 翌週 女の子は日本へ引越しました 00:06:11.818 --> 00:06:14.097 日本では普通 ハグをせず 00:06:14.097 --> 00:06:16.854 愛情表現には他の方法を使います 00:06:16.935 --> 00:06:21.081 親しみを込めた試みが ひどく気まずい失敗に終わり 00:06:21.081 --> 00:06:25.003 女の子は気づきます 日本でハグをすると 00:06:25.162 --> 00:06:28.037 もれなく相手に ひどく不快な思いをさせ 00:06:28.073 --> 00:06:32.501 「完全に・社会不適合の・ヤバいやつ」 という称号を与えられるのだと 00:06:32.501 --> 00:06:33.501 (笑) 00:06:33.501 --> 00:06:35.650 それで女の子はハグをやめましたが 00:06:36.198 --> 00:06:37.765 頭でわかっても 心が残ります 00:06:37.765 --> 00:06:40.898 ハグをしたい気持ちも してほしい気持ちもあるのです 00:06:40.944 --> 00:06:45.612 でも女の子は知っています まともな一員として受け入れてもらうためには 00:06:45.654 --> 00:06:49.582 コミュニティー内の文化的規範に 従う必要がありますし 00:06:49.629 --> 00:06:54.028 そこをしくじれば ルールを守れない者として 00:06:54.068 --> 00:06:56.696 のけ者にされることが決まっています 00:06:57.327 --> 00:07:00.779 文化というのは単に 私たちが口にする食べ物や 00:07:00.782 --> 00:07:02.554 年中行事のことだけではなく 00:07:02.567 --> 00:07:05.285 こうした包括的な 思考プロセスを指します 00:07:05.285 --> 00:07:08.227 この思考プロセスにより 様々な見解が浮き彫りとなり 00:07:08.227 --> 00:07:11.954 そこから それぞれに違う意味が 生まれてくるため 00:07:12.022 --> 00:07:15.780 文化の違いにより 同じ世界にいながら まったく違う体験をするという 00:07:15.780 --> 00:07:17.292 現象が生じ 00:07:17.316 --> 00:07:22.322 その違いは あらゆる場面で 存在しうるということになります 00:07:22.322 --> 00:07:24.922 たとえば 学校の 人気者になる方法に始まり 00:07:24.922 --> 00:07:27.884 就職の面接で 見込みがあると思わせる話し方や 00:07:28.030 --> 00:07:32.379 「好きだ」という気持ちの伝え方から 00:07:32.437 --> 00:07:37.147 数回のデートを重ねた相手との関係を どう見るかまで 00:07:37.889 --> 00:07:42.074 こうした文化的規範を学ぶには 便利な教科書もないので 00:07:42.074 --> 00:07:45.333 とにかく試して 恥ずかしい間違いに間違いを重ねて 00:07:45.333 --> 00:07:48.645 覚えていくしか ありません 00:07:50.834 --> 00:07:52.553 苦痛は悪化します 00:07:52.553 --> 00:07:54.942 「自分のせいだ」と 思い始めるからです 00:07:55.132 --> 00:07:56.732 こう思う時期もあります 00:07:56.732 --> 00:08:00.352 「おっと 振る舞い方に気をつけなくちゃ 00:08:00.492 --> 00:08:03.896 変な人になっていないか 常に自分をチェックしよう」 00:08:03.956 --> 00:08:05.739 受け入れられたい一心なのです 00:08:08.220 --> 00:08:11.535 2つの文化の中で育つことによって 贈り物として与えられるのは 00:08:11.787 --> 00:08:15.773 「文化的規範とは 社会的に構築されたものである」 00:08:16.923 --> 00:08:18.908 という事実に対する目覚めです 00:08:18.986 --> 00:08:22.055 人々が信じる内容は とんでもなく多岐にわたり 00:08:22.058 --> 00:08:24.798 その根拠は生まれ育ちによって 異なります 00:08:24.798 --> 00:08:29.070 ある文化で常識と言われるものや 真実とされることでさえ 00:08:29.269 --> 00:08:31.696 別の場所では 受け取られ方が変わるのです 00:08:32.597 --> 00:08:36.896 1つ1つの文化は美しく機能的で 異なる角度から人々の生き方に 00:08:37.111 --> 00:08:40.405 影響を与えるものとして それぞれ成り立っていますが 00:08:40.739 --> 00:08:43.599 どれ1つとして 普遍の真理ではありません 00:08:44.421 --> 00:08:47.177 このことを知っていると 2種類の自由が得られます 00:08:47.253 --> 00:08:50.840 1つめは人生の重要な岐路に立った時 どちらのルールに従うか 00:08:50.840 --> 00:08:53.259 選べる自由です 00:08:53.526 --> 00:08:55.943 ハーバード経営大学院に進学し 00:08:55.952 --> 00:08:58.089 女性起業家になるという私の選択は 00:08:58.089 --> 00:09:03.490 日本の典型的な女性の役割に ぴったり合うとは言えません 00:09:03.693 --> 00:09:07.606 でも女性らしい気分になりたい時は そうすることもできます 00:09:07.827 --> 00:09:11.696 所変われば「女性らしさ」の意味も 変わるということを 00:09:11.744 --> 00:09:13.427 知っているからです 00:09:13.984 --> 00:09:16.097 2つめの自由は意識がもたらす自由です 00:09:16.208 --> 00:09:19.642 文化を考える上で悩ましいのは 自らが一端を担いながら 00:09:19.642 --> 00:09:22.040 文化全体を意識するなんて 至難の業だという点です 00:09:22.046 --> 00:09:25.856 呼吸したり泳いだりする時 空気や水を意識しないのと同じです 00:09:26.192 --> 00:09:31.224 ところが 複数の文化に どっぷり浸かる経験をすると 00:09:31.442 --> 00:09:34.661 その対比によって突然 視界がひらけ 00:09:34.661 --> 00:09:38.410 文化が自分にどう影響しているか 意識できるようになります 00:09:39.315 --> 00:09:41.701 文化的な偏見や 00:09:41.701 --> 00:09:45.179 固定観念に対して さらに意識が高くなると 00:09:45.200 --> 00:09:47.497 別の文化で育った人とも 00:09:47.497 --> 00:09:51.169 すごく上手くつながりを 築くことができるようになります 00:09:51.241 --> 00:09:54.862 昨今の分断と境界のムードに 満ちた世界では 00:09:55.409 --> 00:09:58.780 文化を超えて人脈を築ける人材の 需要が高まっています 00:10:01.145 --> 00:10:04.020 最後の要素は アイデンティティーです 00:10:05.058 --> 00:10:08.681 上海に8年間 住んでいた あるアメリカ人の女の子が 00:10:09.061 --> 00:10:11.049 ワシントンに戻りました 00:10:11.178 --> 00:10:13.997 すると新しくできた友達が ふざけて言ってきます 00:10:13.997 --> 00:10:16.543 「中国の子だろ 中国へ帰れ」 00:10:16.933 --> 00:10:19.506 彼女が その日の気持ちを 話してくれました 00:10:19.506 --> 00:10:22.577 「でも私には中国にも 居場所がないんだよ? 00:10:22.598 --> 00:10:25.228 私の居場所なんて もう どこにもないみたい」 00:10:26.308 --> 00:10:32.310 この根なし草のような よりどころのない感覚は心を蝕みます 00:10:32.599 --> 00:10:35.133 私もそうです 今でも時々 00:10:35.211 --> 00:10:37.508 疑問に苛まれ 悩むことがあります 00:10:37.515 --> 00:10:41.573 「ねえ 本当の私は何者なの? 私の居場所はどこだろう?」 00:10:41.972 --> 00:10:45.323 私は日本と深いつながりが あると感じていますが 00:10:45.492 --> 00:10:48.348 アメリカとも深いつながりを 感じており 00:10:48.418 --> 00:10:51.822 どちらにも完全に属しては いないからです 00:10:51.869 --> 00:10:53.292 私は両国のミックスです 00:10:53.828 --> 00:10:59.291 そのため故郷である日本で マイノリティーとなるわけですが 00:10:59.883 --> 00:11:02.890 これは特に子どもにとって 大変つらい場合があります 00:11:02.890 --> 00:11:06.363 子どもは自分が何者か はっきり知りたいものですし 00:11:06.363 --> 00:11:10.212 自分らしく振る舞えて 受け入れてもらえる場所 00:11:10.212 --> 00:11:11.579 頑張り続けなくてもいい ― 00:11:11.627 --> 00:11:14.526 安全な場所を求めるものだからです 00:11:15.776 --> 00:11:18.729 この困惑した経験が 与えてくれる人生の贈り物は 00:11:19.604 --> 00:11:25.356 困惑に招かれた人だけが得られるもので 実はそれこそが 00:11:25.646 --> 00:11:31.067 自分の居場所と感じられる時や場所を 見つけるチャンスなのです 00:11:32.140 --> 00:11:36.396 ある空間に自分の居場所を見出す時 支えとなる有意義な関係性とは 00:11:36.515 --> 00:11:38.597 どんなものなのかを知り 00:11:38.953 --> 00:11:41.060 この かなり複雑な人生に 00:11:41.060 --> 00:11:45.656 目的や意義を与えるために 私たちには何ができるでしょう 00:11:46.605 --> 00:11:50.485 「ああ ここが私の居場所だ」 と感じるための条件は 00:11:50.485 --> 00:11:53.148 数人の本当に仲の良い友達で 十分だったりします 00:11:53.344 --> 00:11:57.009 自分の両面を理解してくれる 親友のことですよ 00:11:57.303 --> 00:12:00.852 追求したい使命やビジョンがあれば 大丈夫だったりもします 00:12:00.852 --> 00:12:03.730 必要なのは 自分が その環境にお返ししたいと思う何か 00:12:03.730 --> 00:12:05.813 その場所と あなたをつなぐ何かなのです 00:12:06.810 --> 00:12:10.898 アイデンティティーや 国籍などの概念は 00:12:10.947 --> 00:12:15.878 実は意外と具体性に欠け 明確に決まったものではないですから 00:12:16.392 --> 00:12:19.988 その解釈には再考の余地があります 00:12:19.988 --> 00:12:22.070 柔軟性もありますから 00:12:22.070 --> 00:12:27.769 居場所を失ったように感じたとしても 自分で別の形にして取り戻せます 00:12:28.972 --> 00:12:34.287 つまり アイデンティティーの危機に 招かれたおかげで 00:12:34.287 --> 00:12:39.216 どんな自分になりたいか 自分の人生をどうしたいか 00:12:39.328 --> 00:12:41.809 選べるようになるわけです 00:12:42.958 --> 00:12:47.479 もし皆さんの周りに 国をまたぐ子どもたちがいたら 00:12:47.479 --> 00:12:50.343 どうか お願いですから 優しくしてあげてください 00:12:50.526 --> 00:12:53.410 話しぶりが賢くないというだけで 00:12:53.410 --> 00:12:55.369 頭が良くない子だと 思わないでください 00:12:55.501 --> 00:12:57.538 勝手に決めつけたり 00:12:57.538 --> 00:13:00.461 固定観念を当てはめたり 個性を無視したりしないでください 00:13:01.382 --> 00:13:04.257 そうではなく 私に力を貸してください 00:13:04.257 --> 00:13:06.617 彼らが くじけず 高みを目指せるよう 00:13:06.617 --> 00:13:08.000 励ましてやってください 00:13:08.054 --> 00:13:11.137 私と一緒に彼らを包みこみ 00:13:11.137 --> 00:13:13.887 子どもたちの持つ可能性を称えて 00:13:13.887 --> 00:13:16.544 お互いの絆を強めていきましょう 00:13:18.276 --> 00:13:22.748 もし あなた自身が国をまたぐ子なら 私は今日 伝えたいことがあります 00:13:22.748 --> 00:13:27.798 あなたは今 誰が見ても ものすごく大変なことをやっています 00:13:27.847 --> 00:13:29.754 一人ぼっちでは ありません 00:13:29.972 --> 00:13:31.389 助けを求めて いいんです 00:13:31.495 --> 00:13:35.005 助けてほしければ 遠慮なく申し出ましょう 00:13:35.337 --> 00:13:38.854 世界は あなたなら見事に 切り抜けられると確信しています 00:13:39.580 --> 00:13:40.706 ありがとうございました 00:13:40.872 --> 00:13:43.871 (拍手)