1 00:00:00,000 --> 00:00:05,000 昔、子供達を苦しめる とても恐ろしい病気がありました 2 00:00:05,000 --> 00:00:09,000 実際 地球上の病気の中で最も重篤なもので 3 00:00:09,000 --> 00:00:12,000 多くの子供が亡くなりました 4 00:00:12,000 --> 00:00:15,000 そこに賢明な科学者が現れ 5 00:00:15,000 --> 00:00:18,000 不完全ながらも治療法を発明しました 6 00:00:18,000 --> 00:00:22,000 それは完璧なものではなく、尚多くの命が失われましたが 7 00:00:22,000 --> 00:00:25,000 以前より状況が改善しました 8 00:00:25,000 --> 00:00:31,000 その治療法の利点の一つはそれがタダということでした 9 00:00:31,000 --> 00:00:33,000 文字通り無料である上に 使い方は簡単でした 10 00:00:33,000 --> 00:00:36,000 しかし 最大の難点は 11 00:00:36,000 --> 00:00:40,000 2歳以下の赤ん坊には使えないことでした 12 00:00:40,000 --> 00:00:42,000 そして数年後に 13 00:00:42,000 --> 00:00:44,000 別の科学者が現れました 14 00:00:44,000 --> 00:00:48,000 先人ほど賢明でなかったようです 15 00:00:48,000 --> 00:00:50,000 しかし 第1の治療法を改良して 16 00:00:50,000 --> 00:00:53,000 第2の治療法を見つけました 17 00:00:53,000 --> 00:00:56,000 第2の治療法の素晴らしい点は 18 00:00:56,000 --> 00:01:00,000 2歳未満の赤ん坊にも治療できたことです 19 00:01:00,000 --> 00:01:05,000 しかしこの治療の問題は 高価な点でした 20 00:01:05,000 --> 00:01:06,000 そして 使用法も複雑でした 21 00:01:06,000 --> 00:01:10,000 親は適切な使用を心がけましたが 22 00:01:10,000 --> 00:01:14,000 うまく使える人はほとんどいませんでした 23 00:01:14,000 --> 00:01:17,000 第2の治療法は複雑で高価だったので 24 00:01:17,000 --> 00:01:20,000 2歳未満の子供たちにのみ用いられました 25 00:01:20,000 --> 00:01:23,000 2歳以上の子供には 26 00:01:23,000 --> 00:01:24,000 以前の治療法を使い続けました 27 00:01:24,000 --> 00:01:26,000 人々はしばらくこの方法に満足していました 28 00:01:26,000 --> 00:01:29,000 ある母親が2歳になったばかりの子を失うまで 29 00:01:29,000 --> 00:01:34,000 2つの治療方法を併用していました 30 00:01:34,000 --> 00:01:38,000 母親は考えました あの子は2歳になったところだった 31 00:01:38,000 --> 00:01:42,000 2歳になるまでは 32 00:01:42,000 --> 00:01:47,000 複雑で高価な治療法を使い続けてきた 33 00:01:47,000 --> 00:01:48,000 そして2歳になり 34 00:01:48,000 --> 00:01:51,000 安価で簡単な治療法に変えたばかりだった 35 00:01:51,000 --> 00:01:53,000 そして 子を失った他の親と同様に悩みます 36 00:01:53,000 --> 00:01:55,000 他の方法はなかったのだろうか 37 00:01:55,000 --> 00:01:59,000 複雑で高価な治療法を使い続けた方がよかったのか 38 00:01:59,000 --> 00:02:02,000 母親は皆にその思いを語りました 39 00:02:02,000 --> 00:02:04,000 「本当にこんなことがあり得るのでしょうか? 40 00:02:04,000 --> 00:02:07,000 安価で単純な方法が 41 00:02:07,000 --> 00:02:09,000 あの複雑で高価な治療法と同じ効果があるなんて」 42 00:02:09,000 --> 00:02:11,000 周りの人も同じ考えを持っていました 43 00:02:11,000 --> 00:02:13,000 安価で単純な方法に切り替えたことが 44 00:02:13,000 --> 00:02:16,000 間違いだったのかもしれない 45 00:02:16,000 --> 00:02:19,000 政府も母親たちの話を聞いて言いました 46 00:02:19,000 --> 00:02:22,000 新しい法律をつくるべきだ 47 00:02:22,000 --> 00:02:24,000 この安価で単純な治療法を違法にすべきだ 48 00:02:24,000 --> 00:02:27,000 子供たちにこの治療法を用いてはならない 49 00:02:27,000 --> 00:02:29,000 人々はそれに満足しました 50 00:02:29,000 --> 00:02:32,000 それから何年間かはうまくいっていました 51 00:02:32,000 --> 00:02:37,000 ある時ひとりの無名の経済学者が現れました 52 00:02:37,000 --> 00:02:44,000 彼にも子供がおり高価で複雑な治療法を利用していました 53 00:02:44,000 --> 00:02:46,000 しかし安価で単純な治療法も知っていました 54 00:02:46,000 --> 00:02:48,000 彼にとっては高価な治療法が 55 00:02:48,000 --> 00:02:51,000 それほど優れているとは思えませんでした 56 00:02:51,000 --> 00:02:54,000 私は科学は無知だが データについては知識はある 57 00:02:54,000 --> 00:02:56,000 データを調べてみよう 58 00:02:56,000 --> 00:03:00,000 この高価で複雑な治療法が 59 00:03:00,000 --> 00:03:03,000 安価で単純な治療法より効果があるか確かめよう 60 00:03:03,000 --> 00:03:05,000 データを調べると 驚いたことに 61 00:03:05,000 --> 00:03:08,000 少なくとも2歳以上の子供については 62 00:03:08,000 --> 00:03:11,000 高価で複雑な治療法が 安価な治療法よりも 63 00:03:11,000 --> 00:03:13,000 効果が優れているわけではありませんでした 64 00:03:13,000 --> 00:03:16,000 2歳未満の子供には 安価な治療法はやはり無効でした 65 00:03:16,000 --> 00:03:20,000 経済学者は人々に言いました 66 00:03:20,000 --> 00:03:22,000 すばらしい発見をしました 67 00:03:22,000 --> 00:03:25,000 安価で簡単な方法だけで問題ないようだ 68 00:03:25,000 --> 00:03:28,000 その結果 年間3億ドルの経費を削減できる 69 00:03:28,000 --> 00:03:30,000 そのお金を子供のための別のことに使おう 70 00:03:30,000 --> 00:03:34,000 親たちは非常に不満に思いました 71 00:03:34,000 --> 00:03:36,000 安価で簡単な方法が厄介な方法と同じ効果があるとは思えない 72 00:03:36,000 --> 00:03:40,000 政府も非常に立腹しました 73 00:03:40,000 --> 00:03:43,000 特にこの高価な方法を見出した人は 74 00:03:43,000 --> 00:03:45,000 この考えを腹立たしく思いました 75 00:03:45,000 --> 00:03:48,000 ほぼ無料ともいえる方法に取って代わられると 76 00:03:48,000 --> 00:03:50,000 市場から閉め出されてしまう 77 00:03:50,000 --> 00:03:53,000 人々も怒り 経済学者を非難しました 78 00:03:53,000 --> 00:03:56,000 経済学者は 数日 国を離れるべきだと考えました 79 00:03:56,000 --> 00:04:00,000 そして より賢明で心の広い人が住む 80 00:04:00,000 --> 00:04:03,000 オックスフォードと呼ばれる場所へ行き 81 00:04:03,000 --> 00:04:06,000 その地で自分の考えを伝えようとしたのです 82 00:04:06,000 --> 00:04:10,000 私がここにいるのはそのためです おとぎ話ではありません 83 00:04:10,000 --> 00:04:12,000 これがアメリカの現状です 84 00:04:12,000 --> 00:04:15,000 今まで話してきた病気とは つまり 85 00:04:15,000 --> 00:04:18,000 子供の交通事故です 86 00:04:18,000 --> 00:04:24,000 無料の治療法とは大人用のシートベルトで 87 00:04:24,000 --> 00:04:28,000 年間3億ドルに相当する高価な治療法とはチャイルドシートです 88 00:04:28,000 --> 00:04:30,000 これが事実であると私が信じるに至った証拠について 89 00:04:30,000 --> 00:04:33,000 今日はお話ししたいと思います 90 00:04:33,000 --> 00:04:35,000 2歳以上の子供はチャイルドシートを使っても 91 00:04:35,000 --> 00:04:40,000 安全は約束されません 92 00:04:40,000 --> 00:04:45,000 多大なエネルギーを使って 93 00:04:45,000 --> 00:04:48,000 この法律を普及させてきました 94 00:04:48,000 --> 00:04:50,000 子供にシートベルトを使うことを 95 00:04:50,000 --> 00:04:55,000 禁じました それが正しいとされてきた理由について 96 00:04:55,000 --> 00:04:56,000 説明します 97 00:04:56,000 --> 00:04:59,000 最後に 第3の方法について触れたいと思います 98 00:04:59,000 --> 00:05:02,000 それはどれよりも優れたものです 99 00:05:02,000 --> 00:05:05,000 しかし 採り入れようとする人はいません 100 00:05:05,000 --> 00:05:07,000 なぜなら 人々は 101 00:05:07,000 --> 00:05:10,000 チャイルドシートが最善と思っているからです 102 00:05:10,000 --> 00:05:13,000 さて データ調査では 103 00:05:13,000 --> 00:05:17,000 複雑な事象の記録が基になりますが、 104 00:05:17,000 --> 00:05:20,000 シートベルトとチャイルド シートの比較はそうではありません 105 00:05:20,000 --> 00:05:22,000 1975年以降に発生したすべての死亡事故について 106 00:05:22,000 --> 00:05:25,000 米国ではそのデータを記録しています 107 00:05:25,000 --> 00:05:28,000 つまり死亡者があった自動車事故について 108 00:05:28,000 --> 00:05:30,000 同乗者の情報を得ることができるのです 109 00:05:30,000 --> 00:05:33,000 運輸省道路交通安全局のサイトを 110 00:05:33,000 --> 00:05:35,000 ご覧ください 111 00:05:35,000 --> 00:05:37,000 未加工のデータをご覧になるだけでも 112 00:05:37,000 --> 00:05:41,000 2歳以上の子供のチャイルドシート利用を支持する証拠が 113 00:05:41,000 --> 00:05:44,000 わずかしかないことが 理解いただけるでしょう 114 00:05:44,000 --> 00:05:48,000 6歳以上はチャイルドシートは使わないので 115 00:05:48,000 --> 00:05:50,000 2歳から6歳までの子供が同乗して死亡事故が発生した場合です 116 00:05:50,000 --> 00:05:56,000 そのうち器具で固定されていなかった場合 117 00:05:56,000 --> 00:06:00,000 29.3パーセントの子供が死亡しています 118 00:06:00,000 --> 00:06:05,000 チャイルドシートに座った子供の死亡率は18.2パーセント 119 00:06:05,000 --> 00:06:07,000 もし3点式ベルトをしていれば死亡率は19.4パーセントです 120 00:06:07,000 --> 00:06:12,000 2点式ベルト着用では16.7パーセントでした 121 00:06:12,000 --> 00:06:14,000 理論的には 122 00:06:14,000 --> 00:06:17,000 2点式シートベルトは 3点式よりよくないはずです 123 00:06:17,000 --> 00:06:18,000 未加工のデータを処理する際には 124 00:06:18,000 --> 00:06:20,000 非常に多くの変数が存在します 125 00:06:20,000 --> 00:06:23,000 それが結果をわかりにくくしています 126 00:06:23,000 --> 00:06:28,000 そこで私たちの研究においては 127 00:06:28,000 --> 00:06:31,000 より簡単に理解できる図を作成しています 128 00:06:31,000 --> 00:06:34,000 黄色のバーがチャイルド シート 129 00:06:34,000 --> 00:06:38,000 オレンジは3点式 赤色が2点式のシートベルトを示しています 130 00:06:38,000 --> 00:06:40,000 どれも着用していない場合との比較です 131 00:06:40,000 --> 00:06:41,000 バーが長いほど 優秀ということになります 132 00:06:41,000 --> 00:06:43,000 それでは このデータにご注目ください 133 00:06:43,000 --> 00:06:46,000 最も長いバーこそ 誰もが求めているものです 134 00:06:46,000 --> 00:06:50,000 衝突時の衝撃の大きさや 135 00:06:50,000 --> 00:06:54,000 子供が座っていた座席 年齢も調整できます 136 00:06:54,000 --> 00:06:56,000 真ん中のグラフにあたります 137 00:06:56,000 --> 00:06:59,000 このような調整をおこなうと 138 00:06:59,000 --> 00:07:01,000 2点式が あまり良いとは思えなくなります 139 00:07:01,000 --> 00:07:03,000 そして最後に この最後のグラフです 140 00:07:03,000 --> 00:07:06,000 このバーは 衝突事故において想定できるすべての要素を 141 00:07:06,000 --> 00:07:08,000 調整したものです 142 00:07:08,000 --> 00:07:11,000 衝突事故には様々な特徴があります 143 00:07:11,000 --> 00:07:14,000 命を守るという観点ではチャイルドシートと三点式ベルトは 144 00:07:14,000 --> 00:07:18,000 死亡率は全く同時であることがわかります 145 00:07:18,000 --> 00:07:22,000 ばらつき幅はこの推定でも 比較的小さいものです 146 00:07:22,000 --> 00:07:25,000 ざっくりとした数値ではありません 147 00:07:25,000 --> 00:07:27,000 非常にはっきりと傾向がわかります 148 00:07:27,000 --> 00:07:30,000 興味深いことに 149 00:07:30,000 --> 00:07:33,000 正面衝突のケースでは 150 00:07:33,000 --> 00:07:37,000 チャイルド シートの方が有効です 151 00:07:37,000 --> 00:07:39,000 これは偶然ではありません 152 00:07:39,000 --> 00:07:40,000 チャイルドシートが承認されるためには 153 00:07:40,000 --> 00:07:43,000 連邦規格に合格する必要があるからです 154 00:07:43,000 --> 00:07:48,000 すなわち 正面衝突も考慮する必要があるのです 155 00:07:48,000 --> 00:07:50,000 しかし 後部からの衝突では 156 00:07:50,000 --> 00:07:53,000 チャイルドシートはそれほど有効ではありません 157 00:07:53,000 --> 00:07:55,000 テストに合格することに重点を置いているのです 158 00:07:55,000 --> 00:07:57,000 我々が常に期待するように 159 00:07:57,000 --> 00:07:59,000 明確な判断基準を満たす事を優先しているからです 160 00:07:59,000 --> 00:08:03,000 車がどれほど影響を受けるかということです 161 00:08:03,000 --> 00:08:04,000 もう1点についてはこう議論されるでしょう 162 00:08:04,000 --> 00:08:06,000 チャイルドシートの性能が向上しているはずだ 163 00:08:06,000 --> 00:08:09,000 最近の衝突事故に限って数値を見ようとしても 164 00:08:09,000 --> 00:08:11,000 最近の事故に限定されてはいません 165 00:08:11,000 --> 00:08:13,000 データは過去30年にわたるものだからです 166 00:08:13,000 --> 00:08:17,000 しかし 最近の事故でも 三点式ベルトは 167 00:08:17,000 --> 00:08:20,000 チャイルドシートより有効です 168 00:08:20,000 --> 00:08:23,000 そんなはずはない と思う人もいるでしょう 169 00:08:23,000 --> 00:08:25,000 子供たちの親はこう言います 170 00:08:25,000 --> 00:08:28,000 チャイルドシートは高価で複雑だ 171 00:08:28,000 --> 00:08:31,000 掛け金が絡み合っているし 172 00:08:31,000 --> 00:08:34,000 シートベルトよりも効果がないはずがない 173 00:08:34,000 --> 00:08:36,000 高価で複雑なのだから 174 00:08:36,000 --> 00:08:39,000 非常に興味深い論理です 175 00:08:39,000 --> 00:08:42,000 別の論理もあります 176 00:08:42,000 --> 00:08:44,000 チャイルドシートがその程度のものなら 177 00:08:44,000 --> 00:08:46,000 それを使えと政府が言うはずがない 178 00:08:46,000 --> 00:08:48,000 しかし政府が利用を促しているのは 179 00:08:48,000 --> 00:08:50,000 データを元にしているのではありません 180 00:08:50,000 --> 00:08:53,000 2歳になったばかりの子供を失った親たちの 181 00:08:53,000 --> 00:08:56,000 強い願いに基づいているのです 182 00:08:56,000 --> 00:09:00,000 その願いが一連の法律を通過させました 183 00:09:00,000 --> 00:09:04,000 ここまでのところ 抽象的な統計の数字で 184 00:09:04,000 --> 00:09:06,000 お話ししてきました 185 00:09:06,000 --> 00:09:11,000 友人を数人 夕食に招いた時 186 00:09:11,000 --> 00:09:14,000 私はアドバイスを求めました 187 00:09:14,000 --> 00:09:18,000 衝突実験をするといい と言われました 188 00:09:18,000 --> 00:09:20,000 いい考えだと思いました 189 00:09:20,000 --> 00:09:22,000 実際に衝突実験を行いました 190 00:09:22,000 --> 00:09:27,000 衝突テストを行う独立系の会社を 191 00:09:27,000 --> 00:09:30,000 探し歩きました 192 00:09:30,000 --> 00:09:32,000 衝突テストを引き受けてくれる会社はありませんでした 193 00:09:32,000 --> 00:09:36,000 なぜなら 194 00:09:36,000 --> 00:09:38,000 チャイルド シートの製造元から仕事をもらっているからです 195 00:09:38,000 --> 00:09:42,000 シートベルトとの比較実験で関係を悪くしたくないのです 196 00:09:42,000 --> 00:09:46,000 なんとか 匿名を条件に 197 00:09:46,000 --> 00:09:49,000 実験をしてくれる会社を見つけました 198 00:09:49,000 --> 00:09:54,000 衝突させる度に1席あたり1500ドル 199 00:09:54,000 --> 00:09:56,000 ニューヨーク州 バッファローを訪れました 200 00:09:56,000 --> 00:09:58,000 彼等が先発隊です 201 00:09:58,000 --> 00:10:00,000 衝突テスト用のダミーです 202 00:10:00,000 --> 00:10:03,000 センター ステージにあがろうと 出番を待っています 203 00:10:03,000 --> 00:10:05,000 衝突テストの模様です 204 00:10:05,000 --> 00:10:08,000 車1台をまるごと衝突させるわけではありません 205 00:10:08,000 --> 00:10:11,000 その必要はないのです 206 00:10:11,000 --> 00:10:12,000 ベンチシートだけあります 207 00:10:12,000 --> 00:10:14,000 そこにシートベルトを締めチャイルド シートをのせます 208 00:10:14,000 --> 00:10:16,000 こちらをご覧ください 209 00:10:16,000 --> 00:10:18,000 親は チャイルド シートが有効と考える理由がわかります 210 00:10:18,000 --> 00:10:20,000 チャイルド シートに座っている子を見て下さい 211 00:10:20,000 --> 00:10:23,000 何があっても生き残るように見えますね? 212 00:10:23,000 --> 00:10:25,000 一方で後部座席の子供は 213 00:10:25,000 --> 00:10:28,000 衝突が起こる前だというのに 窒息しそうではありませんか 214 00:10:28,000 --> 00:10:31,000 衝突が起きたとき 後部座席の子供が 215 00:10:31,000 --> 00:10:33,000 無事で済むとは信じがたいです 216 00:10:33,000 --> 00:10:35,000 さて衝突実験を行います 217 00:10:35,000 --> 00:10:38,000 時速50キロで壁に向かって衝突させると 218 00:10:38,000 --> 00:10:41,000 何が起こるか見てみましょう 219 00:10:41,000 --> 00:10:43,000 さて何が起こるのでしょうか 220 00:10:43,000 --> 00:10:46,000 ちなみに このダミーは3歳児です 221 00:10:46,000 --> 00:10:48,000 こちらはチャイルド シートです 2つの点に注目してください 222 00:10:48,000 --> 00:10:50,000 頭が前方に飛び出し 223 00:10:50,000 --> 00:10:52,000 膝にぶつかりそうになります これがチャイルド シートです 224 00:10:52,000 --> 00:10:57,000 チャイルドシートがあちこち跳ねています 225 00:10:57,000 --> 00:10:59,000 チャイルドシートは あらゆる方向に動きます 226 00:10:59,000 --> 00:11:01,000 2つのことに注意しておいてください 227 00:11:01,000 --> 00:11:04,000 このチャイルドシートを取り付けたのは 228 00:11:04,000 --> 00:11:07,000 経験豊富で正しく設置できる人です 229 00:11:07,000 --> 00:11:08,000 また このベンチシートは 230 00:11:08,000 --> 00:11:11,000 チャイルドシートの取り付けにには最適なのです 231 00:11:11,000 --> 00:11:14,000 背部が平面なので取り付けが簡単です 232 00:11:14,000 --> 00:11:17,000 このテストはチャイルドシートに有利な条件で行われました 233 00:11:17,000 --> 00:11:20,000 この衝突事故にあった子供は よく頑張りました 234 00:11:20,000 --> 00:11:22,000 連邦規格では 235 00:11:22,000 --> 00:11:24,000 チャイルドシートとして認定を受けるには 236 00:11:24,000 --> 00:11:26,000 1000以下のスコアでなければなりません 237 00:11:26,000 --> 00:11:30,000 この際 単位は重要ではありません 238 00:11:30,000 --> 00:11:33,000 この衝突実験では スコアは450でした 239 00:11:33,000 --> 00:11:35,000 消費者レポートでは このチャイルド シートは 240 00:11:35,000 --> 00:11:37,000 平均以上の数値でした 241 00:11:37,000 --> 00:11:40,000 次は シートベルトを着けている人形を使います 242 00:11:40,000 --> 00:11:45,000 他の人形ほど動きません 243 00:11:45,000 --> 00:11:48,000 おもしろいことに 244 00:11:48,000 --> 00:11:51,000 カメラワークが悪かったのです 245 00:11:51,000 --> 00:11:53,000 チャイルドシートと同じ設定だったので 246 00:11:53,000 --> 00:11:55,000 子供が弾んでいる様子を撮影することさえできませんでした 247 00:11:55,000 --> 00:11:59,000 この3歳の子供に関して行った2度の衝突では 248 00:11:59,000 --> 00:12:03,000 スコアは約500でした 249 00:12:03,000 --> 00:12:07,000 先ほどと比較すると良くない結果でした 250 00:12:07,000 --> 00:12:10,000 この衝突でのデータを連邦政府に持っていくとします 251 00:12:10,000 --> 00:12:13,000 新しいチャイルド シートを発明したので 252 00:12:13,000 --> 00:12:16,000 販売する為の承認を得たいと言います 253 00:12:16,000 --> 00:12:19,000 すばらしいチャイルドシートだ と言うでしょう 254 00:12:19,000 --> 00:12:21,000 スコアは500でした 1000までは問題ないのです 255 00:12:21,000 --> 00:12:24,000 このシートベルトは チャイルドシートとして 256 00:12:24,000 --> 00:12:26,000 何の問題もなく承認を受けたはずです 257 00:12:26,000 --> 00:12:28,000 この実験が示していることは 258 00:12:28,000 --> 00:12:31,000 単にチャイルドシートのセット方法に誤りがあって 259 00:12:31,000 --> 00:12:33,000 子供たちを危険にさらしてしまっているのではなく 260 00:12:33,000 --> 00:12:35,000 チャイルドシートでは十分ではないのです 261 00:12:35,000 --> 00:12:37,000 タイミングをあわせてあります 262 00:12:37,000 --> 00:12:39,000 チャイルドシートの方がリバウンドを続けています 263 00:12:39,000 --> 00:12:41,000 ずっと長くです 264 00:12:41,000 --> 00:12:45,000 シートベルト着用の子供の方が動きが小さいです 265 00:12:45,000 --> 00:12:47,000 6歳児の衝突についてもご覧ください 266 00:12:47,000 --> 00:12:52,000 チャイルド シートに座った6歳児です 267 00:12:52,000 --> 00:12:57,000 数値は400程度でしょうか 268 00:12:57,000 --> 00:12:58,000 つまり衝突でも無事だということです 269 00:12:58,000 --> 00:13:02,000 この衝突では子供に問題が生じることは全くないでしょう 270 00:13:02,000 --> 00:13:05,000 次はシートベルト着用の6歳児です 271 00:13:05,000 --> 00:13:07,000 数値は数ポイント違いますが ほとんど同じ結果です 272 00:13:07,000 --> 00:13:11,000 つまり 6歳児に関しては 273 00:13:11,000 --> 00:13:15,000 チャイルド シート固有の効果はありません 274 00:13:15,000 --> 00:13:18,000 この他にも いくつか証拠はあります 275 00:13:18,000 --> 00:13:22,000 しかしある科学者から批判をいただきました 276 00:13:22,000 --> 00:13:24,000 4回の実験だけで研究成果を公表すべきではない と 277 00:13:24,000 --> 00:13:28,000 彼に45004回のテストであれば どうでしょうか? と返信しました 278 00:13:28,000 --> 00:13:30,000 実際に発生した45000回の衝突事故も考慮しているのです 279 00:13:30,000 --> 00:13:34,000 実際に発生した衝突事故のデータを使うという発想も 280 00:13:34,000 --> 00:13:36,000 良いのではないかと思います 281 00:13:36,000 --> 00:13:38,000 経済学者は 真っ当な方法だと考えます 282 00:13:38,000 --> 00:13:40,000 しかし 科学者は 283 00:13:40,000 --> 00:13:43,000 実験室を使うことを考えるでしょう 284 00:13:43,000 --> 00:13:45,000 それは代替品を使った 非常に不完全な科学です 285 00:13:45,000 --> 00:13:49,000 我々が検証した子供とチャイルド シートに関する 286 00:13:49,000 --> 00:13:52,000 30年間にわたるデータと異なります 287 00:13:52,000 --> 00:13:56,000 この問題に対して 288 00:13:56,000 --> 00:13:59,000 遙かによい解決方法があるでしょう 289 00:13:59,000 --> 00:14:02,000 チャイルドシートが上手くいっているように思えるので 290 00:14:02,000 --> 00:14:06,000 その解決方法を誰も受け入れないのです 291 00:14:06,000 --> 00:14:09,000 デザインの観点から考えるのであれば 292 00:14:09,000 --> 00:14:11,000 最初に立ち戻って考え こう言うでしょう 293 00:14:11,000 --> 00:14:13,000 「後部座席の子供を守りたいんだ」 294 00:14:13,000 --> 00:14:15,000 ここに おられる方で こんな風におっしゃる方はいないでしょう 295 00:14:15,000 --> 00:14:16,000 「まず最初に 296 00:14:16,000 --> 00:14:19,000 大人用の高性能シートベルトをつくるのが先決だ 297 00:14:19,000 --> 00:14:21,000 その後で なんとかして 298 00:14:21,000 --> 00:14:24,000 その複雑な装置を取り付けるようにしようじゃないか」 299 00:14:24,000 --> 00:14:27,000 でも、後部座席に乗るのは主に子供たちですよね 300 00:14:27,000 --> 00:14:30,000 つまりは この通りです 301 00:14:30,000 --> 00:14:32,000 費用は分かりません 302 00:14:32,000 --> 00:14:33,000 でも 普通の座席より 高価である理由は 303 00:14:33,000 --> 00:14:35,000 見つからないでしょう 304 00:14:35,000 --> 00:14:39,000 この座席は折りたたみ式で 座席の背もたれです 305 00:14:39,000 --> 00:14:41,000 大人用の普通の座席があるところに これを展開すると 306 00:14:41,000 --> 00:14:43,000 子供たちの座る座席になります 307 00:14:43,000 --> 00:14:47,000 それほど費用はかかりません 308 00:14:47,000 --> 00:14:50,000 今ある仕組みより 上手くゆくはずです 309 00:14:50,000 --> 00:14:55,000 問題は この装置が採用されるかどうかです 310 00:14:55,000 --> 00:14:57,000 採用されれば 多くの命を救うことになります 311 00:14:57,000 --> 00:15:01,000 この答えとして ひとつお話しをしましょう 312 00:15:01,000 --> 00:15:05,000 チャイルドシートが成功している理由です 313 00:15:05,000 --> 00:15:08,000 そしてこの装置が将来 採用されるかどうかは 314 00:15:08,000 --> 00:15:12,000 私の父が語った話にヒントがあります 315 00:15:12,000 --> 00:15:15,000 父は昔 在英の米空軍で医者をしていました 316 00:15:15,000 --> 00:15:17,000 今では許されないことも 当時は可能でした 317 00:15:17,000 --> 00:15:21,000 病気とは言えないような症状の患者が 318 00:15:21,000 --> 00:15:24,000 来ることがあります 319 00:15:24,000 --> 00:15:28,000 そういう患者には 大きな瓶に入っている偽薬を取り出します 320 00:15:28,000 --> 00:15:31,000 1週間しても良くならないなら もう一度来るように と言います 321 00:15:31,000 --> 00:15:32,000 ほとんどの患者は2度と来ませんでした 322 00:15:32,000 --> 00:15:34,000 しかし 中にはやって来る患者もあります 323 00:15:34,000 --> 00:15:38,000 彼等が病気では無いと確信している父は 324 00:15:38,000 --> 00:15:43,000 とても大きな錠剤が入った瓶を取り出します 325 00:15:43,000 --> 00:15:45,000 飲み込める大きさではありません 326 00:15:45,000 --> 00:15:49,000 これがチャイルドシートの理論です 327 00:15:49,000 --> 00:15:53,000 患者はとても大きな薬だ と言います 328 00:15:53,000 --> 00:15:55,000 この薬でも回復しないなら 329 00:15:55,000 --> 00:15:58,000 いったいどうしろと言うんだ? 330 00:15:58,000 --> 00:16:00,000 ほとんどの患者はもう戻ってくることはありませんでした 331 00:16:00,000 --> 00:16:03,000 薬が効いたからです 332 00:16:03,000 --> 00:16:08,000 時には 自分が病気だと思っている患者がいるものです 333 00:16:08,000 --> 00:16:11,000 そういった患者には 第3の瓶を取り出します 334 00:16:11,000 --> 00:16:13,000 父によれば 335 00:16:13,000 --> 00:16:16,000 最小の錠剤で 336 00:16:16,000 --> 00:16:18,000 その粒を見分けることができないくらいです 337 00:16:18,000 --> 00:16:20,000 この前の錠剤は巨大で 338 00:16:20,000 --> 00:16:24,000 複雑で飲み込むのが難しかったはずだ 339 00:16:24,000 --> 00:16:26,000 今度の薬は良く効いて 340 00:16:26,000 --> 00:16:28,000 目に見えないくらい小さな錠剤だ 341 00:16:28,000 --> 00:16:31,000 見えないだろう 342 00:16:31,000 --> 00:16:33,000 そして 父が 343 00:16:33,000 --> 00:16:36,000 この小さな錠剤を与えた患者が 344 00:16:36,000 --> 00:16:39,000 病状を訴えて再び来ることは ありませんでした 345 00:16:39,000 --> 00:16:42,000 これは この小さな錠剤に 346 00:16:42,000 --> 00:16:46,000 究極の偽薬効果があることの証拠だと 父は考えていました 347 00:16:46,000 --> 00:16:50,000 それが正しい物語であれば 348 00:16:50,000 --> 00:16:52,000 この一体型の座席は 短期間で 349 00:16:52,000 --> 00:16:56,000 普及すると思います 350 00:16:56,000 --> 00:16:59,000 父のもとを3度訪れて 偽薬を持ち帰った患者が 351 00:16:59,000 --> 00:17:01,000 回復していないこともあり得ます 352 00:17:01,000 --> 00:17:03,000 別の医者にかかった可能性もあります 353 00:17:03,000 --> 00:17:05,000 そのようなケースがあり得るのであれば 354 00:17:05,000 --> 00:17:08,000 今後も長期にわたって 既存のチャイルドシートを使い続けることになるでしょう 355 00:17:08,000 --> 00:17:09,000 ありがとうございました 356 00:17:09,000 --> 00:17:13,000 (拍手) 357 00:17:13,000 --> 00:17:15,000 観客: シートベルトの着用は 358 00:17:15,000 --> 00:17:18,000 命を守る為だけではありません 359 00:17:18,000 --> 00:17:20,000 重傷にならずにすみます 360 00:17:20,000 --> 00:17:24,000 データは死亡率のみで重傷者数は含まれていません 361 00:17:24,000 --> 00:17:26,000 チャイルド シートがシートベルトと同程度以下の効果しかないと 362 00:17:26,000 --> 00:17:29,000 示すデータはありますか? 363 00:17:29,000 --> 00:17:31,000 正当性を証明できると思います 364 00:17:31,000 --> 00:17:34,000 レヴィット: 私のデータでは 365 00:17:34,000 --> 00:17:37,000 ニュージャージー州の衝突事故を調べました 366 00:17:37,000 --> 00:17:41,000 傷害についても 差異がほとんどありませんでした 367 00:17:41,000 --> 00:17:43,000 つまり チャイルド シートと3点式シートベルト着用での差異は 368 00:17:43,000 --> 00:17:47,000 統計的に重要ではありませんでした 369 00:17:47,000 --> 00:17:48,000 ニュージャージー州のデータは 370 00:17:48,000 --> 00:17:51,000 死亡事故だけではありません 371 00:17:51,000 --> 00:17:53,000 報告のあった衝突事故も含んでいます 372 00:17:53,000 --> 00:17:56,000 傷害については10%の差異がありましたが 373 00:17:56,000 --> 00:17:58,000 そのほとんどは軽傷でした 374 00:17:58,000 --> 00:18:00,000 念のために申し上げなければなりませんが 375 00:18:00,000 --> 00:18:05,000 他のデータと相反する医療文献があり 376 00:18:05,000 --> 00:18:09,000 チャイルドシートがはるかに優秀と解説しています 377 00:18:09,000 --> 00:18:11,000 彼等は 全く違った方法をとっています 378 00:18:11,000 --> 00:18:14,000 衝突事故が起こった後に 379 00:18:14,000 --> 00:18:16,000 保険会社から 事故に関わった人の名前を聞き出しました 380 00:18:16,000 --> 00:18:17,000 その人たちに電話をして 381 00:18:17,000 --> 00:18:18,000 何が起きたのかを尋ねています 382 00:18:18,000 --> 00:18:21,000 まだ判断はつきかねることがあります 383 00:18:21,000 --> 00:18:23,000 こういった医学研究者の方々と共同で 384 00:18:23,000 --> 00:18:26,000 差異が生じる原因を理解したいです 385 00:18:26,000 --> 00:18:29,000 これは整合性がありません 386 00:18:29,000 --> 00:18:32,000 この問題はよく考えなければなりません 387 00:18:32,000 --> 00:18:35,000 コストが見合うといえるほど多くの重傷が 388 00:18:35,000 --> 00:18:38,000 発生しているのでしょうか 389 00:18:38,000 --> 00:18:40,000 彼等が正しかったとしても 十分に費用効果が高いかどうかは 390 00:18:40,000 --> 00:18:41,000 分からないのです