ビデオゲームは皆のためにある 障害があってもゲームは楽しめる 開発者が特定のデザインや 特別な設定を用意すればいいのだ この動画シリーズでは—— 聴覚、視覚、運動に障害のある人々のために ゲームを改善する方法を見てきた 色覚特性のモード、コントローラーの再設定 字幕の基準に注目してきた そしてシリーズの最終回では もう1つのカテゴリーを取り上げる 認知障害だ ここでは、てんかんから、失読症 学習障害まで全てを扱う 取り組むのは難しいテーマだと 思うかもしれないが こうした障害に向けてゲームを改善するために 開発者ができることはたくさんある 3D 酔いとは、簡単に言えば 目は動きを伝えているのに 内耳は自分が座ったままだと 伝えていることだ この不一致のせいで体が かなり不快な反応を起こすことがある 3D ゲーム、特に一人称と三人称視点のゲームで 最も多く起きるだろう 万能な解決策は存在しないので たくさんの選択肢を与えることで 自分に合った設定を 見つけられるようにしたい プレイヤーはカメラの動きに影響する機能を オフにできる 武器の揺れ、頭の揺れ、画面の振動 モーションブラーなどだ 視野角を調整できるようにするのも 良いことだ 操作感度も同様だ 大きく揺れ動くことを軽減できる また一人称視点ゲームでは クロスヘアを表示したいかもしれない 『The Witness』のような 銃のないゲームでもだ 開発者としては、カメラが大きく予想外の 動きをすることに注意する 急に動いたり一気にズームしたりするのではなく 滑らかな遷移を使ってくれ これは VR ゲームでは明らかに重要なことだが その話だけで動画が1本作れてしまう とりあえず、GDC 講演や VR 酔いに関する Gamasutra の記事を概要欄に貼っておいた これに関連して、人々は画面上の 視覚要素の量に圧倒されている 例えば、明るい光、ずっと続く点滅 一度にたくさんのことが起きるなど これは幅広い感覚処理の問題に影響する 自閉症から片頭痛—— さらにはその最たるものである 光過敏性てんかんまで ゲームの感覚過負荷は 一般的に2つの要素で成り立っている 激しい閃光と 規則的に動く模様だ だからプレイヤーを圧倒する原因を特定して それらをオフにできるようにするのだ 『Just Shapes & Beats』には 閃光をオフにするモードがある 『Stardew Valley』では降雪エフェクトを調整できる これは感覚過負荷を引き起こす模様の1つだ Ubisoft や他の大手パブリッシャーが使っている ツールを使いたいかもしれない 「Harding flash & pattern analyser」と 呼ばれるものだ これは録画したプレイ映像の一部を アップロードして 基準を満たさないものがあるかどうか 分析してもらうサービスだ 失読症とは、読書能力が一般的な発達段階と 一致しない人を指す包括的用語だ ビデオゲームでは、失読症のプレイヤーは 文字情報やセリフを読むのに苦労する これに対処するために、文字を可能な限り ハッキリと読みやすくする 字幕の動画でも言った通り スッキリしたサンセリフ書体を選び 全て大文字ではなく大文字と小文字を混在させ 行間隔を 1.5 倍にして 一行は 70 文字以内にする また文字が見えづらくならないように 単色の背景に文章を表示する だが読みやすくなるように 特別に作られた書体もある 無料で使える Open Dyslexic や 高価な FS-ME などだ ドット絵ホラーゲーム『The Last Door』の開発者は Open Dyslexic に変える設定を用意した 開発者によればクリアした人の 14% が この書体を使ったという それと、文章が自動で進むのはやめてくれ 画面の文章を読んで理解するために 少し時間が必要な人もいる 画面をそのままにして ボタンが押されたら次の行に進むようにするのだ 実行機能とは、人間が情報を受け取り 処理し、行動する方法のことだ 学習が困難な人は、これらの手順の実行に 時間がかかることがある 実行を簡単にする 主な方法を紹介しよう 「情報を単純化する」 プレイヤーがやるべきことを 単純明快な言葉で伝えるのは良いスタートだ 『Assassin’s Creed Odyssey』などでは キャラがカットシーンで次の目的を説明するが その後、ゲームは短い簡単な文章で 何をするべきか明示的に伝えてくれる キーワードが強調されるのだ この文章はミッション中は画面に表示され続けるので 何をやるべきか思い出させてくれる あと、その情報を絞り込むための 設定について考えるのもいいだろう 地図画面にフィルターをかけて 本当に重要なものだけ表示するものや 『Civilization V』の六角グリッドなどだ これは世界地図を分かりやすく表示する 「目的地への誘導」 行くべき場所を把握することが 難しいプレイヤーもいる そのため目印、ミニマップ、目標マーカー さらには浮遊する大きな矢印を検討してくれ 『Red Dead Redemption 2』では GPS をオンにして 目的地に向かって赤い線を表示できる 『マリオ オデッセイ』のアシストモードでは 地面に青い矢印が表示され、次の目的地を教える 「チュートリアルと練習」 チュートリアルは全てのプレイヤーが 操作を学ぶために重要だ だがチュートリアルをいつでも リプレイ可能にすれば 認知障害の人に対する効果が高まる または少なくとも メニューに説明書を用意する 『Cities: Skylines』のような インターフェースが多いゲームでは 任意のツールヒントやヘルプウィンドウで ゲームの様々な機能を思い出させることができる チュートリアルが終わった後でもだ 練習モードも素晴らしい 多くの対戦ゲームにはカスタマイズしたキャラで練習したり ボットとオフラインで戦ったりできるモードがある これによってストレスのない環境で 腕を磨くことができる これはもちろん1人用ゲームでも機能する 『マリオ 64』の城のようなハブワールドでは プレイヤーは安全で難しくない場所で 操作を学び、練習できるのだ 『ベヨネッタ』のロード画面にある練習メニューでは 戦闘に入る前に操作方法を把握できる 「一時停止とゲームの速度」 もう1つ考えることは一時停止だ これは一息ついて次に何をやるか考える時間を与える このポーズ画面には現在の目的などの 役立つ情報を表示できるし 映像を止めることもできるので プレイヤーは悪者や危険を心配せずに 少し時間をかけて環境を確認できる 一時停止が体験に組み込まれたゲームもある 例えば『Sims』では シミュレーション時間を止めて 周りを見ることができる 『Fallout』では VATS モードで、忙しい銃撃戦を 熟慮する戦術ゲームに変えることができる プレイヤーがゲーム全体の速度を 遅くできるゲームも増えつつある 難しいプラットフォーマー『Celeste』では アシストモードの一環としてゲーム速度を変えて 正確なジャンプを簡単にできるようにしている 「手動セーブ」 手動セーブスロットがあれば 体験を細かく管理できる セーブしてから色々な攻略法を 試すことができる ミスっても前のセーブ地点に戻れることを 知っていれば安全だ 一番はセーブファイルにスクリーンショットを貼ることだ どこでセーブしたか覚えやすくなる 「難易度選択」 プレイヤーが難易度を下げることができれば 遊べる人が大きく増えるだろう これによってゲームを理解する時間や ゲームオーバーになる前にミスする余裕が増える 多くのゲームは単に簡単、普通、難しいなどの 選択肢を用意している これは自分や敵の体力を調整したり ステルスで警備の感知力を変えたり レースで相手の速さを調整したりしている だが個々の仕様やシステムを変えたり 無効にしたりできるゲームもある 『Dishonored』では 敵のダメージや攻撃頻度から ポーションの効力、見張りの勇気まで 調整できる 『Darkest Dungeon』ではモンスターが死んだ後 死体が残るなどのストレスの多い仕様をオフにできる さらに進んだ作品もある 水中ホラーの『SOMA』には 敵を完全に削除できる設定がある 『Furi』には無敵モードがあるので 死ぬストレスを感じずにボス戦を突破できる ゲームを認知障害のある人にも 遊びやすくすることは 天文学的な課題とは思えない だがこの動画シリーズで見てきたように 一番の方法はこれらの障害のある人にゲームを見せ 彼らと協力して、ゲーム体験を改善する設定を 用意することだ 選択肢が増えるほど 業界全体が近づいていくのだ できるだけ多くの人が、ゲームがもたらす全ての恩恵を 確実に得られるような状態へ (字幕翻訳:Nekofloor) Designing for Disability はこれで完結だ 少なくとも今のところは 同じテーマの今後の動画については 他にもアイデアがある ご視聴ありがとう! 今回も Game Accessibility Guidelines のイアンに助けてもらった アクセシビリティの 全ての動画を視聴するには 画面に表示されているプレイリストボタンを クリックしてくれ