WEBVTT 00:00:00.723 --> 00:00:02.899 挙手をお願いしたいと思います 00:00:02.899 --> 00:00:07.091 48歳以上の方は? 00:00:07.091 --> 00:00:09.972 数人のようですね NOTE Paragraph 00:00:09.972 --> 00:00:12.147 おめでとうございます 00:00:12.147 --> 00:00:16.017 その方は アメリカの平均余命についての このスライドにあるように 00:00:16.017 --> 00:00:19.115 1900年生まれの人の平均寿命よりも 00:00:19.115 --> 00:00:21.902 長生きしていることになります NOTE Paragraph 00:00:21.902 --> 00:00:25.436 しかし 20世紀に起こったことを 見てみてください 00:00:25.436 --> 00:00:27.098 この曲線を辿っていくと 00:00:27.098 --> 00:00:29.712 大きな下降があることが分かります 00:00:29.712 --> 00:00:32.181 そのくぼみは1918年の インフルエンザによるものです 00:00:32.181 --> 00:00:34.603 現在2010年では 00:00:34.603 --> 00:00:37.659 新生児の平均余命は79歳であるので 00:00:37.659 --> 00:00:39.555 我々は まだまだ生きられます 00:00:39.555 --> 00:00:40.890 これがグッドニュースです 00:00:40.890 --> 00:00:42.731 しかし すべきことはたくさんあります NOTE Paragraph 00:00:42.731 --> 00:00:44.365 例えば 病気のうち 00:00:44.365 --> 00:00:47.091 分子的なメカニズムが 00:00:47.091 --> 00:00:49.150 完全にわかっているものがいくつあるか? 00:00:49.150 --> 00:00:52.708 約4000ですが これはすごいことです 00:00:52.708 --> 00:00:54.944 なぜならほとんどの分子学的発見は 00:00:54.944 --> 00:00:57.609 つい最近なされたものだからです 00:00:57.609 --> 00:01:00.905 これは素晴らしいことなのですが 00:01:00.905 --> 00:01:03.012 しかし それら4000の病気のうち 00:01:03.012 --> 00:01:05.360 治療法があるものはいくつでしょう? 00:01:05.360 --> 00:01:07.248 たった250程度です 00:01:07.248 --> 00:01:10.006 この大きなギャップは 重大な課題です NOTE Paragraph 00:01:10.006 --> 00:01:12.586 皆さんはこう思われるかもしれません 00:01:12.586 --> 00:01:14.112 「そんなに難しいことじゃない」 00:01:14.112 --> 00:01:17.138 病気の原因に関して 生物学が解明した 00:01:17.138 --> 00:01:20.283 基礎的な情報を 00:01:20.283 --> 00:01:22.185 実用化に結びつけるための 00:01:22.185 --> 00:01:25.211 大きなギャップを埋められる 00:01:25.211 --> 00:01:27.591 橋を架ける能力が 00:01:27.591 --> 00:01:29.086 私たちには備わっていると 00:01:29.086 --> 00:01:32.343 おそらくこんな橋を 思い浮かべられていることでしょう 00:01:32.343 --> 00:01:35.955 一方の端から他方へと渡る 00:01:35.955 --> 00:01:38.923 光り輝く 素敵な道です NOTE Paragraph 00:01:38.923 --> 00:01:41.523 こんなに簡単にできたら良いでしょう? 00:01:41.523 --> 00:01:43.668 残念ながら現実は違います 00:01:43.668 --> 00:01:46.259 基礎知識を実用化しようとする試みの 00:01:46.259 --> 00:01:48.923 現実は こんな感じ 00:01:48.923 --> 00:01:50.838 光り輝く橋などは 00:01:50.838 --> 00:01:52.490 夢のまた夢です 00:01:52.490 --> 00:01:54.451 泳ぐ  船をこぐ 00:01:54.451 --> 00:01:55.975 ヨットやタグボートを使う人も 00:01:55.975 --> 00:01:57.703 さらに異変も起こります 00:01:57.703 --> 00:02:00.367 雨が降り始め 雷鳴が轟き 00:02:00.367 --> 00:02:01.881 ひどいことには 水中にはサメもいて 00:02:01.881 --> 00:02:03.902 トラブルに巻き込まれます 00:02:03.902 --> 00:02:05.486 スイマーは溺れ 00:02:05.486 --> 00:02:08.698 ヨットは転覆し 00:02:08.698 --> 00:02:10.399 タグボートは岩にぶつかりました 00:02:10.399 --> 00:02:13.039 きっと運が良い人なら川を渡り切ります NOTE Paragraph 00:02:13.039 --> 00:02:15.028 さて どういうことでしょうか? 00:02:15.028 --> 00:02:17.082 治療法を開発するとは 00:02:17.082 --> 00:02:20.083 薬とは 何なのでしょうか? 00:02:20.083 --> 00:02:22.408 薬は 水素 炭素 酸素 窒素や 00:02:22.408 --> 00:02:24.659 その他数種類の原子で構成される 00:02:24.659 --> 00:02:26.882 1つの形になった 小さな分子です 00:02:26.882 --> 00:02:29.259 その形により その薬がターゲットに 00:02:29.259 --> 00:02:32.572 実際に作用するかが決定されるのです 00:02:32.572 --> 00:02:34.795 実際にそこまで辿り着けるのでしょうか? 00:02:34.795 --> 00:02:37.951 この画像をご覧下さい 様々な形のものが踊っています 00:02:37.951 --> 00:02:40.338 自閉症やアルツハイマー病 ガンなどに対する 00:02:40.338 --> 00:02:41.795 新たな治療法を開発しようとするなら 00:02:41.795 --> 00:02:44.014 このごちゃごちゃの中から 00:02:44.014 --> 00:02:45.806 最終的に恩恵をもたらし 00:02:45.806 --> 00:02:48.723 かつ 安全であるような 適切な形を見つける必要があります 00:02:48.723 --> 00:02:51.890 この工程で起こることに注目してみましょう 00:02:51.890 --> 00:02:53.391 おそらく 数千 数万もの 00:02:53.391 --> 00:02:55.033 化合物から始めることになります 00:02:55.033 --> 00:02:57.182 様々なステップを経て 00:02:57.182 --> 00:02:58.565 効用のなさそうなものを除外していきます 00:02:58.565 --> 00:03:01.905 最終的に臨床試験を行う段階では 4つか5つ程度に絞り込まれ 00:03:01.905 --> 00:03:04.947 治験がうまくいけば 開発を始めて14年も経った後に 00:03:04.947 --> 00:03:06.958 1つの薬の承認がようやく得られます 00:03:06.958 --> 00:03:08.988 1つの薬の開発が成功するには 00:03:08.988 --> 00:03:11.132 10億ドル以上が必要です NOTE Paragraph 00:03:11.132 --> 00:03:14.436 この工程を エンジニア的に見て 00:03:14.436 --> 00:03:15.644 改善策を考える 00:03:15.644 --> 00:03:18.321 それが今日この場で 皆さんにお伝えするメインテーマです 00:03:18.321 --> 00:03:20.134 開発期間を短縮するには? 00:03:20.134 --> 00:03:23.199 どうすれば成功率が上がるのか? NOTE Paragraph 00:03:23.199 --> 00:03:24.540 まず うまくいった実例を 00:03:24.540 --> 00:03:26.796 お示ししましょう 00:03:26.796 --> 00:03:29.747 1つは つい数ヶ月前のことですが 00:03:29.747 --> 00:03:33.457 嚢胞(のうほう)性線維症の薬が承認されました 00:03:33.457 --> 00:03:35.111 しかし 長い時間がかかりました 00:03:35.111 --> 00:03:39.713 嚢胞性線維症の分子的な原因は 1989年に 私の研究グループが 00:03:39.713 --> 00:03:42.041 トロントの別のチームと 共同で発見しました 00:03:42.041 --> 00:03:44.176 第7染色体の特定の遺伝子に存在する 00:03:44.176 --> 00:03:45.804 変異を特定したのです 00:03:45.804 --> 00:03:47.842 この写真をご覧ください 00:03:47.842 --> 00:03:49.945 こちらも 同じ少年です 00:03:49.945 --> 00:03:53.289 ダニー・ベゼットの23年後の姿です 00:03:53.289 --> 00:03:54.568 この年は 00:03:54.568 --> 00:03:57.006 ダニーが結婚した年であるとともに 00:03:57.006 --> 00:04:00.063 分子的な理解に基づいて 00:04:00.063 --> 00:04:03.800 嚢胞性線維症の欠損に働く薬が 初めて 00:04:03.800 --> 00:04:05.738 FDAの承認を受けた年でもあります 00:04:05.738 --> 00:04:07.162 これが良いニュースです 00:04:07.162 --> 00:04:10.791 悪いニュースは この薬は全ての嚢胞性線維症を 治せるわけではないことです 00:04:10.791 --> 00:04:13.000 ダニーに対しても効果がありません そのため私たちは今なお 00:04:13.000 --> 00:04:15.335 次世代の薬が彼を救うのを待っています NOTE Paragraph 00:04:15.335 --> 00:04:18.530 しかしこれまでに23年もかかりました 実に長い時間です 00:04:18.530 --> 00:04:20.223 どうすれば速くできるでしょう? NOTE Paragraph 00:04:20.223 --> 00:04:22.921 期間短縮の1つの方法は 技術の活用です 00:04:22.921 --> 00:04:25.585 頼りとなる重要な技術は 00:04:25.585 --> 00:04:27.881 ヒトゲノムに関するものです 00:04:27.881 --> 00:04:30.469 染色体をひも解き 00:04:30.469 --> 00:04:33.139 DNA全体を抽出し 00:04:33.139 --> 00:04:36.089 私たちや あらゆる生物の設計書である 00:04:36.089 --> 00:04:38.170 DNA塩基配列の文字 つまりATGCを 00:04:38.170 --> 00:04:41.441 解読することができる技術です 00:04:41.441 --> 00:04:42.955 また 解読にかかる費用は 00:04:42.955 --> 00:04:45.610 以前は数億ドルでしたが 00:04:45.610 --> 00:04:47.523 ここ10年の間に 00:04:47.523 --> 00:04:49.922 ムーアの法則を越える速さで下がり続け 00:04:49.922 --> 00:04:53.929 今日では あなたや私のゲノムの解読に かかる費用は1万ドル以下となり 00:04:53.929 --> 00:04:57.728 1000ドルにも まもなく到達しそうです 00:04:57.728 --> 00:04:59.054 ワクワクします 00:04:59.054 --> 00:05:02.864 それが 病気への応用に どのように役に立つか? NOTE Paragraph 00:05:02.864 --> 00:05:05.144 ここで 別の疾患についてお話しします 00:05:05.144 --> 00:05:07.456 これは希少な疾患で 00:05:07.456 --> 00:05:10.224 ハッチンソン・ギルフォード・ プロジェリア症候群と呼ばれています 00:05:10.224 --> 00:05:13.529 早老の最も劇的な形です 00:05:13.529 --> 00:05:17.312 約400万人に1人の子供がこの病気にかかりますが 00:05:17.312 --> 00:05:20.672 要は この病気にかかると 00:05:20.672 --> 00:05:23.373 特定の遺伝子の変異のために 00:05:23.373 --> 00:05:26.040 細胞に有害なタンパク質がつくられます 00:05:26.040 --> 00:05:28.337 そのせいで 通常の7倍の速さで 00:05:28.337 --> 00:05:30.921 老化が進行します NOTE Paragraph 00:05:30.921 --> 00:05:34.064 この疾患が細胞に対して行うことの ビデオをお見せします 00:05:34.064 --> 00:05:37.199 通常の細胞は 顕微鏡で見ると 00:05:37.199 --> 00:05:40.088 中心に核を持っていますが 00:05:40.088 --> 00:05:43.967 境界ははっきりとしており 00:05:43.967 --> 00:05:45.722 丸く滑らかです 00:05:45.722 --> 00:05:47.586 一方 プロジェリア細胞は 00:05:47.586 --> 00:05:50.688 プロジェリンという有害なタンパク質のせいで 00:05:50.688 --> 00:05:52.972 塊やこぶがあります 00:05:52.972 --> 00:05:55.987 2003年にこれを発見した後 00:05:55.987 --> 00:05:57.839 私たちは治す方法を 00:05:57.839 --> 00:06:01.057 見つけようと試み始めました 00:06:01.057 --> 00:06:04.145 繰り返しになりますが 分子的な経路が分かれば 00:06:04.145 --> 00:06:06.144 非常に多くの化合物の中から 00:06:06.144 --> 00:06:08.761 有用と考えられるものを選び出し 00:06:08.761 --> 00:06:10.222 試してみることができます 00:06:10.222 --> 00:06:12.797 培養細胞で行われた実験では 00:06:12.797 --> 00:06:14.839 この動画に示されるように 00:06:14.839 --> 00:06:17.533 プロジェリアを持つ細胞に対して 00:06:17.533 --> 00:06:20.789 特定の化合物を加え 00:06:20.789 --> 00:06:23.010 何が起こるか観察してみると 00:06:23.010 --> 00:06:25.972 ちょうど72時間後に その細胞は 00:06:25.972 --> 00:06:28.240 私たちが知る限りにおいて 00:06:28.240 --> 00:06:30.082 通常の細胞のようになります NOTE Paragraph 00:06:30.082 --> 00:06:34.423 面白い結果ですが ヒトに対しても効くのでしょうか? 00:06:34.423 --> 00:06:37.808 原因遺伝子が発見されてから 00:06:37.808 --> 00:06:41.309 たった4年で この化合物の治験にまで 00:06:41.309 --> 00:06:43.506 こぎ着けました 00:06:43.506 --> 00:06:45.469 ご覧頂いている子どもたちは 00:06:45.469 --> 00:06:48.031 この治験に進んで参加してくれた 00:06:48.031 --> 00:06:49.492 28人です 00:06:49.492 --> 00:06:52.587 この写真をご覧になれば 00:06:52.587 --> 00:06:55.969 全員がこの病気に苦しむ人々であり 00:06:55.969 --> 00:06:57.388 極めて似通った見た目を 00:06:57.388 --> 00:06:59.637 していることがわかるでしょう 00:06:59.637 --> 00:07:01.311 もっと詳しく説明する代わりに 00:07:01.311 --> 00:07:05.297 治験参加者の1人 ボストン出身の サム・バーンズをお招きします 00:07:05.297 --> 00:07:07.730 彼は この舞台で 00:07:07.730 --> 00:07:09.950 プロジェリア症候群の子どもとしての 00:07:09.950 --> 00:07:11.860 経験を話すために来てくれました 00:07:11.860 --> 00:07:15.918 サムは15歳です 彼の両親の スコット・バーンズとレスリー・ゴードンも 00:07:15.918 --> 00:07:18.039 2人とも医者ですが ここへ来てくれています 00:07:18.039 --> 00:07:20.577 サム どうぞ座って NOTE Paragraph 00:07:20.577 --> 00:07:27.897 (拍手) NOTE Paragraph 00:07:27.897 --> 00:07:30.075 サム こちらの皆さんに プロジェリア症候群という 00:07:30.075 --> 00:07:33.450 病気にかかるとどうなるのか 話してくれないか? NOTE Paragraph 00:07:33.450 --> 00:07:37.258 サム・バーンズ: プロジェリアのせいで 僕はいくつかの制限を課せられました 00:07:37.258 --> 00:07:41.222 スポーツや身体的運動はできませんが 00:07:41.222 --> 00:07:44.426 幸運なことに 僕はそうした制限と 00:07:44.426 --> 00:07:47.405 関係ないものに興味をもつことができました 00:07:47.405 --> 00:07:49.962 しかし マーチングバンドや審判のように 00:07:49.962 --> 00:07:52.979 プロジェリアが障壁になるものを 00:07:52.979 --> 00:07:56.405 本当にしたいと思ったら その方法を常に見つけています 00:07:56.405 --> 00:07:59.922 つまりプロジェリアは僕の人生を 左右しているわけではないのです NOTE Paragraph 00:07:59.922 --> 00:08:01.632 (拍手) NOTE Paragraph 00:08:01.632 --> 00:08:03.668 フランシス・コリンズ: ではこの会場にいる研究者や 00:08:03.668 --> 00:08:06.765 これを聞いている他の研究者に何を伝えたい? 00:08:06.765 --> 00:08:09.362 プロジェリアに関する研究と 00:08:09.362 --> 00:08:11.248 他の状況について 言いたいことは? NOTE Paragraph 00:08:11.248 --> 00:08:14.394 サム: プロジェリアに関する研究は 00:08:14.394 --> 00:08:16.636 15年もしない内に格段に進歩しました 00:08:16.636 --> 00:08:21.005 これは研究者が ここまで来るための活力を 持っていたことを示します 00:08:21.005 --> 00:08:24.423 それは僕自身にも 他のプロジェリア患者の 00:08:24.423 --> 00:08:27.674 子どもたちにも大きな意味があります 00:08:27.674 --> 00:08:30.498 その活力があれば 00:08:30.498 --> 00:08:33.099 誰でもどんな病気でも治すことができるんです 00:08:33.099 --> 00:08:37.046 願わくばプロジェリアも 近い未来に完治できるようになり 00:08:37.046 --> 00:08:40.803 フランシスが話していた 4000もの病気を 00:08:40.803 --> 00:08:43.810 なくすことができればと思います NOTE Paragraph 00:08:43.810 --> 00:08:46.939 フランシス: 素晴らしい サムは今日 学校を休んで 00:08:46.939 --> 00:08:52.074 ここに来てくれました そして彼は — (拍手) — 00:08:52.074 --> 00:08:56.890 彼はボストンにある学校で9年生ですが 00:08:56.890 --> 00:08:58.223 全教科A+の成績を修めています 00:08:58.223 --> 00:09:00.424 どうぞ一緒にサムに感謝し歓迎してください 00:09:00.424 --> 00:09:04.077 サム: ありがとうございます フランシス: よくやった 素晴らしかったよ 00:09:04.077 --> 00:09:15.895 (拍手) NOTE Paragraph 00:09:16.886 --> 00:09:18.602 あと2つほどお話したいことがあります 00:09:18.602 --> 00:09:21.734 まず 特定の薬についてお話しし 00:09:21.734 --> 00:09:24.230 そして 既に解明された4000の病気に対して 00:09:24.230 --> 00:09:27.743 成功例を どう一般化するかについて 00:09:27.743 --> 00:09:30.262 お話しようと思います 00:09:30.262 --> 00:09:32.134 お気付きかもしれませんが 00:09:32.134 --> 00:09:34.903 現在 治験を行っている抗プロジェリア薬は 00:09:34.903 --> 00:09:36.667 もともとそのためにデザイン されたものではありません 00:09:36.667 --> 00:09:39.529 とても希少な疾患であるため 薬を創るために 企業に対して 00:09:39.529 --> 00:09:43.259 何百万ドルもの負担を 求めるのは困難なのです 00:09:43.259 --> 00:09:45.419 これはガンの薬として開発されましたが 00:09:45.419 --> 00:09:47.584 ガンには あまり効果がありませんでした 00:09:47.584 --> 00:09:49.907 しかし偶然にも プロジェリアに対しては 00:09:49.907 --> 00:09:52.799 適切な性質や形を持っていたのです 00:09:52.799 --> 00:09:56.027 そのようなことをもっと体系的に 行えたら良いと思いませんか? 00:09:56.027 --> 00:09:59.823 実際に ヒトに対する安全性は保証されているものの 00:09:59.823 --> 00:10:01.661 元々 対象としていた病気の治療には 00:10:01.661 --> 00:10:03.863 効果がなかったような薬を 00:10:03.863 --> 00:10:06.155 冷蔵庫にしまったままにしている企業に対して 00:10:06.155 --> 00:10:09.011 このようなことを奨励できないでしょうか? 00:10:09.011 --> 00:10:11.395 現在 私たちは全く新しい 分子経路について研究しています 00:10:11.395 --> 00:10:14.474 それらの中には 古い薬に対して 00:10:14.474 --> 00:10:16.873 「再配置」や「再利用」のようなことを 00:10:16.873 --> 00:10:19.842 可能にするものがあるかもしれません 00:10:19.842 --> 00:10:22.529 これは 価値ある取り組みになりえます 00:10:22.529 --> 00:10:25.575 現在 NIHや企業と この将来性のある取り組みについて 00:10:25.575 --> 00:10:27.699 活発な議論を行っています NOTE Paragraph 00:10:27.699 --> 00:10:30.313 多大なる恩恵が期待されます 00:10:30.313 --> 00:10:33.352 これが大きな進歩につながることを示す 00:10:33.352 --> 00:10:35.705 成功例は極めてたくさんあります 00:10:35.705 --> 00:10:37.912 最初につくられた抗HIV/エイズ薬は 00:10:37.912 --> 00:10:39.641 HIV/エイズに対してではなく 00:10:39.641 --> 00:10:42.159 ガンに対してつくられたものでした AZTと言います 00:10:42.159 --> 00:10:44.160 AZTはガンに対してはあまり効きませんでしたが 00:10:44.160 --> 00:10:46.276 初めて 抗レトロウィルス薬として 有効性を示す薬となりました 00:10:46.276 --> 00:10:48.848 この表から分かるように その他の例もあります NOTE Paragraph 00:10:48.848 --> 00:10:52.492 では どのようにこの試みを 一般化すれば良いでしょうか? 00:10:52.492 --> 00:10:54.716 実現のためには 学術界 政府 民間企業 00:10:54.716 --> 00:10:57.576 そして患者協会とが 00:10:57.576 --> 00:11:00.029 協力する必要があります 00:11:00.029 --> 00:11:01.679 NIHでは国立先進トランスレーショナル 科学センターを設立しました 00:11:01.679 --> 00:11:04.879 NIHでは国立先進トランスレーショナル 科学センターを設立しました 00:11:04.879 --> 00:11:08.494 昨年12月につくられたばかりですが 一つのゴールです NOTE Paragraph 00:11:08.494 --> 00:11:09.935 もう1つ 私たちができることについてお話します 00:11:09.935 --> 00:11:12.854 患者をリスクに晒すこと無く 00:11:12.854 --> 00:11:15.225 薬に効果があり 安全かどうかが 00:11:15.225 --> 00:11:17.326 試せたら良いと思いませんか? 00:11:17.326 --> 00:11:19.879 初めて試す時は 有効性と安全性が 保証されないからです 00:11:19.879 --> 00:11:22.030 例えば 人に投与する前に 薬が安全かどうか 00:11:22.030 --> 00:11:25.275 どのようにすれば分かるでしょう? 通常 動物実験を行いますが 00:11:25.275 --> 00:11:27.917 全く信頼が置けるわけではありませんし 00:11:27.917 --> 00:11:29.607 費用や時間もかかります 00:11:29.607 --> 00:11:32.470 代わりにヒトの細胞で 実験できるとしたらどうでしょう? 00:11:32.470 --> 00:11:34.702 科学論文の動向に注意を払っている方なら 00:11:34.702 --> 00:11:36.002 皮膚細胞を採取し それを 00:11:36.002 --> 00:11:37.658 肝細胞 心筋細胞 00:11:37.658 --> 00:11:40.539 腎細胞 脳細胞のいずれにも 00:11:40.539 --> 00:11:43.614 変化させることができるとご存知でしょう 00:11:43.614 --> 00:11:46.766 薬が有効であるか また安全であるかを 00:11:46.766 --> 00:11:49.711 テストするために それらを使ったらどうでしょう? NOTE Paragraph 00:11:49.711 --> 00:11:53.942 ここにチップ上につくられた 肺の写真があります 00:11:53.942 --> 00:11:57.463 ボストンのヴィース研究所によりつくられました 00:11:57.463 --> 00:12:00.638 簡単なビデオでご説明しましょう 00:12:00.638 --> 00:12:02.774 個体から細胞を抽出し 00:12:02.774 --> 00:12:05.883 肺に存在する細胞へと変えます 00:12:05.883 --> 00:12:07.688 その上で様々な新薬候補化合物を 00:12:07.688 --> 00:12:10.765 投与し それが有害なのか安全なのか 00:12:10.765 --> 00:12:13.230 確かめることができます 00:12:13.230 --> 00:12:15.501 チップ上で呼吸すらも見られます 00:12:15.501 --> 00:12:18.118 血液循環も見ることができます 00:12:18.118 --> 00:12:19.821 その間に細胞が存在していて 00:12:19.821 --> 00:12:22.259 化合物を投与したとき何が起こるか 見ることができます 00:12:22.259 --> 00:12:24.031 細胞は健康になるのか ならないのか? 00:12:24.031 --> 00:12:27.062 腎臓や心臓 筋肉 肝臓などに対しても 00:12:27.062 --> 00:12:29.271 薬が問題を引き起こすかどうか 00:12:29.271 --> 00:12:31.735 見たいというときも 00:12:31.735 --> 00:12:34.016 同じチップ技術を用いることができます NOTE Paragraph 00:12:34.016 --> 00:12:37.064 最終的には 個人で同じことが できるようになり 00:12:37.064 --> 00:12:39.278 医療の開発と治験が 00:12:39.278 --> 00:12:42.719 チップ上で できる方向に向かうでしょう 00:12:42.719 --> 00:12:45.905 ここで言いたいのは 00:12:45.905 --> 00:12:49.406 薬の開発と 安全性評価のプロセスを 00:12:49.406 --> 00:12:51.654 個別化することです NOTE Paragraph 00:12:51.654 --> 00:12:53.306 まとめです 00:12:53.306 --> 00:12:55.566 私たちは現在 大きな変化の 瞬間に立ち会っています 00:12:55.566 --> 00:12:57.669 ほぼ20年NIHにいますが 私にとって 00:12:57.669 --> 00:13:00.270 これほどまでに 将来の可能性を感じ 00:13:00.270 --> 00:13:02.855 興奮する時代はありませんでした 00:13:02.855 --> 00:13:04.647 世界中の研究室で 00:13:04.647 --> 00:13:07.012 これらの発見がなされてきました 00:13:07.012 --> 00:13:10.374 これを利用するためには何が必要でしょうか? まず 資源が必要です 00:13:10.374 --> 00:13:13.929 これはハイリスクで 時にはハイコストな研究です 00:13:13.929 --> 00:13:15.900 その代わり 健康の面でも 経済成長の面でも 00:13:15.900 --> 00:13:18.780 恩恵は測り知れません サポートする必要があります 00:13:18.780 --> 00:13:21.081 2つ目に 学術界と政府と民間企業 00:13:21.081 --> 00:13:23.302 そして患者協会との間で 00:13:23.302 --> 00:13:26.649 新たな協力関係が必要です 私がご説明してきたような 00:13:26.649 --> 00:13:30.229 新たな化合物の再利用を促すような関係です 00:13:30.229 --> 00:13:33.465 そして3つ目 恐らくこれが最も重要ですが 才能が必要です 00:13:33.465 --> 00:13:35.606 様々な分野の 最善かつ最優秀な人たちに 00:13:35.606 --> 00:13:38.463 この取り組みに参加してもらう必要があります 00:13:38.463 --> 00:13:40.909 年齢 グループを問わずです 00:13:40.909 --> 00:13:42.996 なぜなら 今がそのときだからです 00:13:42.996 --> 00:13:46.621 これが待ち望んでいた21世紀の生物学です 00:13:46.621 --> 00:13:49.083 私たちには これを実際に病気を無くすものへと 00:13:49.083 --> 00:13:51.573 変えるチャンスがあるのです 00:13:51.573 --> 00:13:53.903 それが私の目標です 00:13:53.903 --> 00:13:55.787 願わくば 皆さんの目標でもあって欲しいです 00:13:55.787 --> 00:13:58.467 詩人やマペット サーファー 銀行員 00:13:58.467 --> 00:14:00.476 そしてこの場にいる 00:14:00.476 --> 00:14:02.754 全ての人の目標でもあると思います 00:14:02.754 --> 00:14:04.504 私たちが何をしようとしているのか なぜ必要なのか考えてみてください 00:14:04.504 --> 00:14:05.669 私たちが何をしようとしているのか なぜ必要なのか考えてみてください 00:14:05.669 --> 00:14:08.439 今 必要なんです 可能な限り早く解決する必要があります 00:14:08.439 --> 00:14:11.557 信じられないなら サムに聞いてみてください NOTE Paragraph 00:14:11.557 --> 00:14:13.000 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:14:13.000 --> 00:14:17.831 (拍手)