1 00:00:00,714 --> 00:00:03,810 2003年に 2 00:00:03,834 --> 00:00:06,343 イギリス政府が ある調査をしました 3 00:00:07,494 --> 00:00:10,643 国民の数学能力のレベルを測るための 4 00:00:10,667 --> 00:00:11,904 調査です 5 00:00:11,928 --> 00:00:13,571 関係者が衝撃を受けたのは 6 00:00:13,595 --> 00:00:16,959 数学能力がレベル1に達しない人が 7 00:00:16,983 --> 00:00:20,874 成人の労働人口100人当たり 47人に上ったことです 8 00:00:20,892 --> 00:00:25,384 レベル1は一般中等教育修了資格試験で 一番下のレベルに相当し 9 00:00:25,410 --> 00:00:28,658 分数、割合、小数を使えるレベルです 10 00:00:28,682 --> 00:00:33,310 この結果を受けてイギリス政府に 不安が広がりました 11 00:00:33,334 --> 00:00:34,962 政策を見直し 12 00:00:34,986 --> 00:00:36,708 教育予算を増額して 13 00:00:36,732 --> 00:00:39,770 2011年に再び 調査を実施しました 14 00:00:39,794 --> 00:00:42,399 結果は どうなったと思いますか? 15 00:00:44,021 --> 00:00:45,745 100人中49人に増えたんです 16 00:00:45,745 --> 00:00:46,938 (笑) 17 00:00:46,962 --> 00:00:49,411 私がフィナンシャル・タイムズ紙で この結果を報じた時 18 00:00:49,435 --> 00:00:51,106 こんなジョークを言った 読者がいました 19 00:00:51,130 --> 00:00:54,891 「この結果にショックを受けるのは 国民の51%だけだ」 20 00:00:54,915 --> 00:00:57,201 (笑) 21 00:00:57,225 --> 00:01:00,382 私がもっと気に入ったのは この話を学校で紹介した時の 22 00:01:00,406 --> 00:01:03,501 ある生徒の反応でした 23 00:01:03,525 --> 00:01:05,056 その生徒は挙手して言ったんです 24 00:01:05,080 --> 00:01:07,596 「その結果をまとめた人は本当に 25 00:01:07,620 --> 00:01:09,685 49%の方には 入ってないんですよね?」 26 00:01:09,685 --> 00:01:10,713 (笑) 27 00:01:10,737 --> 00:01:14,787 数学能力が大事な問題であるのは 明らかです 28 00:01:14,811 --> 00:01:16,921 生活上 大切なスキルですし 29 00:01:16,945 --> 00:01:20,812 私たちが今世紀中の 実現を目指す変革の多くは 30 00:01:20,836 --> 00:01:23,277 私たちが数字に強くなることを 必要とするからです 31 00:01:23,301 --> 00:01:25,149 これはイギリスだけの 問題ではありません 32 00:01:25,173 --> 00:01:30,103 OECDは2016年に 若者の数学能力に関する 調査結果を公表しました 33 00:01:30,127 --> 00:01:32,907 まずは アメリカですが 34 00:01:32,931 --> 00:01:37,601 40%近くの若者は 十分な数学能力が身についていません 35 00:01:37,625 --> 00:01:38,922 イギリスも グラフにありますが 36 00:01:38,946 --> 00:01:44,479 割合が20%を超えるOECD諸国が 7つもあります 37 00:01:44,503 --> 00:01:47,262 これは問題です 必然的な結果ではないからです 38 00:01:47,286 --> 00:01:49,294 このグラフの右端を見ると 39 00:01:49,318 --> 00:01:52,278 オランダや韓国は 1桁台なのがわかります 40 00:01:52,302 --> 00:01:56,718 だから数学能力の問題には 絶対に取り組む必要があります 41 00:01:57,510 --> 00:02:00,440 さて こういった調査と同様に 役に立つのは 42 00:02:00,464 --> 00:02:05,864 つい人を2種類に分けてしまう 私たちの傾向を考えてみることでしょう 43 00:02:05,888 --> 00:02:07,664 つまり人間には2タイプいて 44 00:02:07,688 --> 00:02:12,037 数字に強く計算が得意な人と 45 00:02:12,061 --> 00:02:14,297 計算が苦手な人に 分けてしまいがちなのです 46 00:02:14,321 --> 00:02:16,422 私が今日お話ししたいのは 47 00:02:16,446 --> 00:02:19,488 そんな分け方は 間違っているということです 48 00:02:19,512 --> 00:02:21,380 決して変えられない分類ではありません 49 00:02:21,404 --> 00:02:25,052 数字から新たな発想をするのに そこまで高度な数学的能力は 50 00:02:25,076 --> 00:02:26,804 必要ないでしょうし 51 00:02:26,828 --> 00:02:29,937 そういう考え方を元にして 検討を進めていくべきです 52 00:02:30,387 --> 00:02:34,698 検討を進める方法の1つとして 私の場合は 53 00:02:34,722 --> 00:02:36,448 統計を取り上げました 54 00:02:36,472 --> 00:02:39,967 統計は イメージに問題があると 認める人間は 55 00:02:39,991 --> 00:02:41,309 私が初めてですかね? 56 00:02:41,333 --> 00:02:42,380 (笑) 57 00:02:42,404 --> 00:02:43,936 統計学は数学の一部門ですが 58 00:02:43,960 --> 00:02:47,019 数学者さえ それほど好きではありません 59 00:02:47,043 --> 00:02:51,055 統計学を除く数学では 正確さと確実性がすべてですが 60 00:02:51,079 --> 00:02:53,363 統計学は ほぼ正反対だからです 61 00:02:53,793 --> 00:02:58,448 ただ本当は 私が統計の世界に入ったのも 比較的最近のことです 62 00:02:58,472 --> 00:03:00,554 もし私が学部生だった頃 教授に 63 00:03:00,578 --> 00:03:05,337 卒業後 私が才能を発揮する見込みが 最も低い分野を2つ挙げてもらったら 64 00:03:05,361 --> 00:03:08,128 統計とプログラミングを 挙げたでしょうが 65 00:03:08,152 --> 00:03:11,091 これから皆さんに見ていただくのは 66 00:03:11,115 --> 00:03:12,737 私がプログラムした統計グラフです 67 00:03:12,745 --> 00:03:14,500 私に一体何が起きたのでしょう? 68 00:03:14,524 --> 00:03:18,172 統計が 本当は面白いと 思うようになったのは なぜでしょう? 69 00:03:18,196 --> 00:03:20,882 それは統計が 私たち自身に 関する学問だからです 70 00:03:20,882 --> 00:03:23,451 「統計」の語源を見ていくと 71 00:03:23,475 --> 00:03:26,084 それは私たちが暮らす 国や地域に関わる 72 00:03:26,108 --> 00:03:28,538 データを扱う科学のことだと わかります 73 00:03:28,562 --> 00:03:31,916 つまり統計とは 個人ではなく 集団としての私たちに関する 74 00:03:31,940 --> 00:03:33,615 学問なのです 75 00:03:33,639 --> 00:03:35,109 私たちは社会的存在として 76 00:03:35,133 --> 00:03:39,077 個人が集団や仲間と どう関わっているかに 77 00:03:39,101 --> 00:03:40,489 皆 関心を持つものです 78 00:03:40,513 --> 00:03:43,623 統計が最も力を発揮するのは 79 00:03:43,647 --> 00:03:44,948 驚くべき発見がある時です 80 00:03:45,477 --> 00:03:48,684 ここ数年 調査会社イプソスモリが とても素晴らしい調査を 81 00:03:48,708 --> 00:03:50,422 実施しています 82 00:03:50,446 --> 00:03:53,154 ある調査ではイギリス国内の 1,000人以上の成人を対象に 83 00:03:53,178 --> 00:03:56,958 こんな質問をしました 「イングランドとウェールズで 84 00:03:56,982 --> 00:03:58,852 イスラム教徒は 100人当たり何人でしょう?」 85 00:03:58,876 --> 00:04:01,522 この調査での平均的な回答— 86 00:04:01,546 --> 00:04:07,208 つまり全人口を代表する回答は 「24人」でした 87 00:04:07,208 --> 00:04:08,708 これが人々のイメージなのです 88 00:04:08,708 --> 00:04:12,631 イギリス人は 国内の100人中24人が イスラム教徒だと思っています 89 00:04:12,631 --> 00:04:17,145 一方 公表された数値によれば 実際の数は およそ5人です 90 00:04:17,732 --> 00:04:21,719 つまり 私たちのイメージや認識と 統計からわかる現実との間には 91 00:04:21,743 --> 00:04:23,781 大きな隔たりがあるのです 92 00:04:23,805 --> 00:04:25,349 そこが面白いところだと思います 93 00:04:25,373 --> 00:04:28,663 こういう認識の誤りは 何が原因で起こるのでしょう? 94 00:04:29,212 --> 00:04:31,066 私はこの調査に すっかり興奮して 95 00:04:31,090 --> 00:04:34,570 自分のプレゼンで 調査項目から 質問を出すようになったのです 96 00:04:34,594 --> 00:04:35,812 ハマースミスにある 97 00:04:35,836 --> 00:04:38,146 セント・ポール女学校で プレゼンをした時は 98 00:04:38,170 --> 00:04:40,310 今と同じような聴衆でしたが 99 00:04:40,334 --> 00:04:44,202 全員 女子高生でした 100 00:04:44,226 --> 00:04:46,622 そこで私は言ったんです 101 00:04:47,598 --> 00:04:52,141 「イギリスの一般市民は 十代の女子が毎年何人妊娠すると 102 00:04:52,165 --> 00:04:53,913 考えているでしょう?」 103 00:04:53,937 --> 00:04:56,613 私が答えを言うと 皆 激怒しました 104 00:04:57,453 --> 00:05:01,366 イギリスの一般市民は 1年間で 十代女子の100人中15人が 105 00:05:01,390 --> 00:05:03,083 妊娠したと思っていたのです 106 00:05:03,429 --> 00:05:05,660 彼女たちが怒るのも もっともで 107 00:05:05,684 --> 00:05:08,442 公表された数字によると 実際には 妊娠した女の子を 108 00:05:08,466 --> 00:05:10,036 1人見つけるには 109 00:05:10,060 --> 00:05:12,575 200人近く 必要になるのです 110 00:05:12,599 --> 00:05:16,399 数学能力の場合と同じで これはイギリスだけの問題ではありません 111 00:05:16,423 --> 00:05:20,927 イプソスモリ社は近年 調査対象を世界に拡大し 112 00:05:20,951 --> 00:05:23,901 サウジアラビア人には こんな質問をしました 113 00:05:23,925 --> 00:05:26,446 「サウジアラビアの成人100人につき 114 00:05:26,470 --> 00:05:29,343 太り気味または肥満の人は 何人でしょうか?」 115 00:05:30,526 --> 00:05:35,859 平均は4分の1ちょっとという 回答でした 116 00:05:36,402 --> 00:05:37,604 これが彼らのイメージです 117 00:05:37,628 --> 00:05:40,196 太り気味または肥満は 全体の4分の1ちょっと 118 00:05:40,220 --> 00:05:45,001 でも公表された数字によると 実際は4分の3近くに上ります 119 00:05:45,025 --> 00:05:46,481 (笑) 120 00:05:46,505 --> 00:05:48,797 ここにも 大きな開きがあります 121 00:05:48,821 --> 00:05:53,267 私のお気に入りはこれ 日本人への質問です 122 00:05:53,291 --> 00:05:55,251 「日本人100人当たり 123 00:05:55,275 --> 00:05:57,876 農村部に住んでいる人は 何人でしょうか?」 124 00:05:58,521 --> 00:06:03,422 平均は だいたい半々 半分を少し超えるくらいでした 125 00:06:03,446 --> 00:06:07,593 日本人は100人中56人が 農村部に住んでいると思っていたのです 126 00:06:07,617 --> 00:06:09,304 でも公表された数字では7人です 127 00:06:10,259 --> 00:06:14,709 ズレがあまりにも大きいので 驚く人もいますが 128 00:06:14,733 --> 00:06:17,122 例えばノーベル賞経済学者 ダニエル・カーネマンの 129 00:06:17,146 --> 00:06:21,538 著書を読んだことがあれば それほど驚かないでしょう 130 00:06:21,562 --> 00:06:26,654 カーネマンと 同僚のエイモス・トベルスキーは 131 00:06:26,678 --> 00:06:29,823 人の認識と現実は かけ離れていて 統計に対する勘は 132 00:06:29,847 --> 00:06:33,598 まったく当てにならないことを 長年研究してきました 133 00:06:33,622 --> 00:06:35,382 これには理由がいろいろあります 134 00:06:35,406 --> 00:06:38,521 確かに個人の経験は 認識に影響を与えますが 135 00:06:38,545 --> 00:06:42,503 例えば メディアなどからの 影響もあります 136 00:06:42,527 --> 00:06:44,853 普通のことより 例外を大きく報じますから 137 00:06:44,855 --> 00:06:46,981 カーネマンは これを うまく説明しています 138 00:06:47,005 --> 00:06:48,424 「明白なものも見えない時がある」 139 00:06:48,424 --> 00:06:49,676 だから数字を見誤るわけです 140 00:06:49,676 --> 00:06:52,422 「ただ 見えていないことにさえ 気づかないことがある」 141 00:06:52,422 --> 00:06:56,388 これは意思決定に 大きな影響を及ぼします 142 00:06:56,412 --> 00:06:59,264 この頃 私は 国家統計局に勤務していて 143 00:06:59,288 --> 00:07:01,200 とても面白いと思い こう考えました 144 00:07:01,224 --> 00:07:03,234 これは明らかに 地球規模の問題だけれど 145 00:07:03,258 --> 00:07:06,193 重要なのは地理に 詳しいかどうかかもしれない 146 00:07:06,193 --> 00:07:09,626 結局 自分の国をどれだけ 知っているかに尽きるのではないか 147 00:07:09,650 --> 00:07:13,643 この場合 イギリス国民6,400万人を どれだけよく知っているのか? 148 00:07:13,667 --> 00:07:16,399 実は それほど知らないのです 知りようがありません 149 00:07:16,423 --> 00:07:17,747 そこで思いついたのが 150 00:07:17,771 --> 00:07:20,894 イプソスモリの調査と 同じアプローチをとりつつ 151 00:07:20,918 --> 00:07:22,867 もっと地域志向の 考え方をすることでした 152 00:07:22,867 --> 00:07:24,238 地域が問題なのではないか?と 153 00:07:24,262 --> 00:07:26,203 質問の仕方を変えて 154 00:07:26,227 --> 00:07:28,349 回答者の地元についての知識を尋ねれば 155 00:07:28,373 --> 00:07:30,476 回答はもっと正確になるだろうか? 156 00:07:31,817 --> 00:07:33,579 そこで私はテストを作りました 157 00:07:33,603 --> 00:07:35,832 あなたはどのくらい地元を知っているか? 158 00:07:36,454 --> 00:07:38,343 これは単純なウェブ・アプリです 159 00:07:38,367 --> 00:07:39,550 郵便番号を入力すると 160 00:07:39,574 --> 00:07:42,281 その地域の国勢調査データを 元にした― 161 00:07:42,305 --> 00:07:43,844 テストが出ます 162 00:07:44,305 --> 00:07:46,428 デザインには とても気を使いました 163 00:07:46,452 --> 00:07:50,561 私は 数字を理解できる [51%]の人々だけでなく 164 00:07:50,585 --> 00:07:53,413 できるだけ いろいろな人を 対象にしたかったし 165 00:07:53,437 --> 00:07:55,192 皆にやって欲しかったのです 166 00:07:55,216 --> 00:07:56,741 だからテストのデザインには 167 00:07:56,765 --> 00:08:00,380 オットー・ノイラートによる 1920〜30年代の図像統計の技法— 168 00:08:00,404 --> 00:08:03,006 「アイソタイプ」からヒントを得ました 169 00:08:03,030 --> 00:08:07,378 アイコンをこんなふうに並べて 数字を表現するという 170 00:08:07,402 --> 00:08:09,175 この技法を使っています 171 00:08:09,640 --> 00:08:12,805 数字は存在していますが 背景に潜んでいるのです 172 00:08:12,829 --> 00:08:15,552 この技法だと 数量をうまく表すことができ 173 00:08:15,576 --> 00:08:18,560 「パーセント」とか「何分の1」とか 「比」といった用語を 174 00:08:18,584 --> 00:08:19,814 使う必要がなくなります 175 00:08:19,838 --> 00:08:21,540 さて テストを見てみましょう 176 00:08:22,310 --> 00:08:23,957 レイアウトは 177 00:08:23,981 --> 00:08:26,424 画面の左側に アイコンが並んでいて 178 00:08:26,424 --> 00:08:29,491 右側には 質問の対象となる 地域を示した 179 00:08:29,491 --> 00:08:31,138 地図が表示されます 180 00:08:31,162 --> 00:08:32,443 質問は7つです 181 00:08:32,467 --> 00:08:36,360 それぞれ 0から100で答え 182 00:08:36,384 --> 00:08:37,733 テストが終わると 183 00:08:37,757 --> 00:08:40,975 合計スコアが 0から100の値で表示されます 184 00:08:40,999 --> 00:08:43,083 ここはTEDxExeterですから 185 00:08:43,107 --> 00:08:45,432 テストの最初の数問は 186 00:08:45,456 --> 00:08:47,765 エクスターに関するものにしました 187 00:08:47,789 --> 00:08:49,194 1番目の質問は こうです 188 00:08:49,218 --> 00:08:52,210 「16歳未満の人は 100人当たり何人?」 189 00:08:52,784 --> 00:08:56,384 私はエクセターについて よく知らないので 勘で答えましたが 190 00:08:56,408 --> 00:08:58,969 テストの仕組みは わかるでしょう 191 00:08:58,993 --> 00:09:02,699 スライダーをドラッグして アイコンに色をつけ 192 00:09:02,723 --> 00:09:04,958 「送信」をクリックするだけで 回答できます 193 00:09:04,982 --> 00:09:08,645 すると送った答えと現実との違いが アニメーションで表示されます 194 00:09:08,669 --> 00:09:12,744 結局 推測は全然違いました 5人でした 195 00:09:13,149 --> 00:09:14,573 次の質問はどうでしょう? 196 00:09:14,597 --> 00:09:16,753 平均年齢を聞く質問ですから 197 00:09:16,777 --> 00:09:19,222 要は人口の半分が その年齢より年下になり 198 00:09:19,246 --> 00:09:20,920 半分が年上になる年齢を答えます 199 00:09:20,944 --> 00:09:24,294 私の答えは35歳— まさに「中年」でしょう 200 00:09:24,318 --> 00:09:25,761 (笑) 201 00:09:28,206 --> 00:09:30,312 実際は エクセターは かなり若い地域です 202 00:09:30,336 --> 00:09:34,874 私は この地域にある大学の影響を 小さく見積もっていました 203 00:09:34,898 --> 00:09:36,929 質問は進むにつれて難しくなります 204 00:09:36,953 --> 00:09:39,336 ここでは家の所有率を聞いています 205 00:09:39,955 --> 00:09:43,654 住宅ローンが残っている家は 100軒当たり何軒でしょう? 206 00:09:43,678 --> 00:09:44,958 ここは無難な数にしました 207 00:09:44,982 --> 00:09:48,080 答えが50軒以上違うのは 嫌ですから 208 00:09:48,104 --> 00:09:50,124 (笑) 209 00:09:50,148 --> 00:09:52,614 質問はどんどん難しくなります 210 00:09:52,638 --> 00:09:55,497 その地域に住んでいれば 「年齢」のような問題だと 211 00:09:55,521 --> 00:10:00,771 住民が若いか 年をとっているか 判断する手がかりがあります 212 00:10:00,795 --> 00:10:03,140 地域を歩き回れば 状況が見えるのです 213 00:10:03,164 --> 00:10:06,555 「家の所有率」のような問題は はるかに見えにくく 214 00:10:06,579 --> 00:10:09,187 「何人くらい家を持っているか」に関する 215 00:10:09,211 --> 00:10:13,662 経験則やバイアスに いつものように頼ってしまいます 216 00:10:13,686 --> 00:10:17,336 実は 私たちが このテストを公開した時 217 00:10:17,360 --> 00:10:20,896 元になった国勢調査データは 数年前のものでした 218 00:10:20,920 --> 00:10:24,489 当時もうオンライン・アプリに 郵便番号を入れると 219 00:10:24,513 --> 00:10:26,607 数年分の統計自体は 見られるようになっていました 220 00:10:26,631 --> 00:10:27,820 だから ある意味 221 00:10:27,844 --> 00:10:31,393 これは少し遅れた企画で まったく新規のものとは言えません 222 00:10:31,417 --> 00:10:35,056 ただ 面白かったのは こんな風に 223 00:10:35,080 --> 00:10:37,797 データをゲーム化し 224 00:10:37,821 --> 00:10:39,228 アニメーションを使い 225 00:10:39,252 --> 00:10:43,260 皆 先入観があるという事実で遊ぶことで どんな反応があるか知ることでした 226 00:10:43,508 --> 00:10:47,091 実際のところ 反応は — 227 00:10:48,328 --> 00:10:50,256 期待以上でした 228 00:10:50,280 --> 00:10:53,235 統計のウェブサイトが 大量のアクセスのせいで落ちることが 229 00:10:53,235 --> 00:10:55,093 以前から私の野望でしたから 230 00:10:55,117 --> 00:10:56,917 (笑) 231 00:10:56,941 --> 00:11:00,405 このURLは “statistics(統計)” “gov”、“UK”という 232 00:11:00,429 --> 00:11:03,671 誰もが嫌がる3つの言葉が入っています 233 00:11:03,695 --> 00:11:07,680 でも すごいのは そのサイトのダウンが 234 00:11:07,704 --> 00:11:09,797 午後9時45分に起きたことです 235 00:11:09,821 --> 00:11:13,032 皆このデータに 自分の意思で 236 00:11:13,056 --> 00:11:14,595 しかも個人の時間を割いて 237 00:11:14,619 --> 00:11:16,654 アクセスしているということですから 238 00:11:16,678 --> 00:11:19,165 とても興味深かったのは 239 00:11:19,189 --> 00:11:22,902 公開から48時間で 240 00:11:22,926 --> 00:11:26,198 およそ25万人が このテストに取り組んだことです 241 00:11:26,222 --> 00:11:30,149 インターネット上でもSNSでも 大きな話題になりました 242 00:11:30,173 --> 00:11:32,210 話の内容は主に 243 00:11:32,234 --> 00:11:36,227 自分の思い違いを楽しむもので 244 00:11:36,251 --> 00:11:39,310 ある意味では いくつかの点で 245 00:11:39,334 --> 00:11:40,494 私が一番望んでいた姿です 246 00:11:40,518 --> 00:11:43,744 これを政治家に送る人が出てきたのも いいと思いました 247 00:11:43,768 --> 00:11:46,357 「お膝元のことを どれだけ知っていますか?」と 248 00:11:46,381 --> 00:11:47,543 (笑) 249 00:11:47,567 --> 00:11:49,127 話の最後に 250 00:11:49,992 --> 00:11:52,322 人間には2種類いるという 話に戻りますが 251 00:11:52,346 --> 00:11:54,603 私は 数に強い人々が どの程度の成績なのかを 252 00:11:54,627 --> 00:11:57,442 確認するのが とても楽しみでした 253 00:11:57,466 --> 00:12:00,482 イングランドとウェールズの 国家統計官ジョン・プリンジャーなら 254 00:12:00,506 --> 00:12:02,579 かなり良い成績だと思うでしょう 255 00:12:03,524 --> 00:12:06,233 知識の正確度は44%でした 自分の地元のことなのに 256 00:12:06,233 --> 00:12:08,465 (笑) 257 00:12:08,489 --> 00:12:13,438 ジェレミー・パックスマンさえ 少し飲んでいたとはいえ 36%でした 258 00:12:14,051 --> 00:12:15,512 さらに悪いですね 259 00:12:15,536 --> 00:12:18,737 数字は私たち全員を刺激するのです 260 00:12:18,761 --> 00:12:20,021 私たちに驚きを与えます 261 00:12:20,045 --> 00:12:22,084 私たちは統計を不確実性の科学と 262 00:12:22,108 --> 00:12:24,070 呼ぶことも多いです 263 00:12:24,094 --> 00:12:25,876 今日 最後にお伝えしたいのは 264 00:12:25,900 --> 00:12:28,935 統計とは本来 私たち自身に関する 科学だということです 265 00:12:28,959 --> 00:12:31,747 だからこそ数字に 関心を持つべきなのです 266 00:12:31,771 --> 00:12:32,961 ありがとうございました 267 00:12:32,985 --> 00:12:36,762 (拍手)