0:00:00.160,0:00:03.496 今日は マイクロマネジメントについて[br]お話ししたいと思います 0:00:03.520,0:00:05.736 ここ数年 自ら[br]マイクロマネージャになってみて 0:00:05.760,0:00:09.456 マイクロマネジメントについて[br]学んだことをご紹介しますが 0:00:09.480,0:00:11.576 そもそもマイクロマネジメントとは[br]何でしょう? 0:00:11.600,0:00:13.816 どのように定義できますか? 0:00:13.840,0:00:17.976 私に言わせれば[br]頭脳明晰で独創的な人たち― 0:00:18.000,0:00:19.216 皆さんのような人たちを 0:00:19.240,0:00:21.136 組織に集めてきて 0:00:21.160,0:00:22.736 骨抜きにすることです 0:00:22.760,0:00:23.976 (笑) 0:00:24.000,0:00:25.856 使う文字の大きさまで指示してね 0:00:25.880,0:00:29.376 人類史上 こんなことを言った人が[br]いるでしょうか? 0:00:29.400,0:00:33.856 「だから この契約は明朝体じゃ[br]絶対にダメだったんだ 0:00:33.880,0:00:36.736 お前がゴシック体と言い張るから 0:00:36.760,0:00:38.136 ほら 0:00:38.160,0:00:39.376 まとまらないだろう 0:00:39.400,0:00:40.826 何億円ものお金がパアだ 0:00:40.846,0:00:42.176 書体だけが問題だったんだ」 0:00:42.200,0:00:43.636 こんなことありませんよね? 0:00:43.660,0:00:47.576 マイクロマネジメントを受けると[br]実際に肉体的に影響が現れるのを 0:00:47.600,0:00:48.796 感じることもあるでしょう 0:00:48.810,0:00:51.936 人生で一番疲れたときのことを[br]思い出してください 0:00:51.960,0:00:54.536 おそらく それは[br]すごく遅くまで残業したときでも 0:00:54.560,0:00:57.096 出張を終えて帰宅したときでもなく 0:00:57.120,0:01:00.616 むしろ 誰かに肩越しにのぞきこまれて 0:01:00.640,0:01:03.480 一挙手一投足を見張られていたときでしょう 0:01:04.400,0:01:06.856 義理のお母さんが来たときみたいな? 0:01:06.880,0:01:07.896 (笑) 0:01:07.920,0:01:09.616 「もう分かったから」という感じで 0:01:09.640,0:01:11.776 実際 これを裏付けるデータもあるんです 0:01:11.800,0:01:13.776 イギリスの最近の研究で 0:01:13.800,0:01:15.936 病院の職員100人に 0:01:15.960,0:01:17.616 活動量計を付けて 0:01:17.640,0:01:21.056 各自12時間のシフトを[br]こなしてもらいました 0:01:21.080,0:01:23.056 通常の12時間シフトです 0:01:23.080,0:01:26.616 シフトが終わったあと[br]疲れたか尋ねたところ 0:01:26.640,0:01:29.096 とても興味深いことが[br]分かったのです 0:01:29.120,0:01:31.536 疲労感が最も大きかった人は[br]必ずしも 0:01:31.560,0:01:32.936 一番動き回っていた人ではなく 0:01:32.960,0:01:36.240 仕事に裁量権がない人だったのです 0:01:37.120,0:01:40.456 では マイクロマネジメントが[br]あまり効果的でないと分かっているのに 0:01:40.480,0:01:42.256 なぜ してしまうんでしょうか? 0:01:42.280,0:01:43.976 定義が間違っていたんでしょうか? 0:01:44.000,0:01:46.416 さきほど マイクロマネジメントは 0:01:46.440,0:01:49.456 頭脳明晰で独創的な人たちを集めて 0:01:49.480,0:01:50.936 骨抜きにすることだと言いました 0:01:50.960,0:01:52.936 もしかして 私たちが[br]本当に雇いたいのは― 0:01:52.960,0:01:54.336 本心では― 0:01:54.360,0:01:56.280 おバカで独創性のない人なのでしょうか? 0:01:57.080,0:02:00.136 聞くまでもないことですよね 0:02:00.160,0:02:03.336 「空港で荷物を盗まれたいか?」[br]というのと同じで 0:02:03.360,0:02:05.576 答えはノーでしょうが[br]聞かれたことはありません 0:02:05.600,0:02:08.015 マネージャのあなたに[br]こう尋ねた人はいますか? 0:02:08.039,0:02:10.856 「おバカで独創性のない人を[br]雇いたいですか?」 0:02:10.880,0:02:13.816 ここはTEDですから[br]裏付けとなるデータが必要ですね 0:02:13.840,0:02:16.576 実際に 全国の数百人に尋ねてみました 0:02:16.600,0:02:18.600 全国のマネージャ数百人に 0:02:18.624,0:02:21.184 おバカで独創性のない人を[br]雇いたいか聞いたのです 0:02:22.000,0:02:23.856 興味深い質問ですが 0:02:23.880,0:02:25.536 結果もまた興味深いものです 0:02:25.560,0:02:26.816 94%が「いいえ」と― 0:02:26.840,0:02:28.056 (笑) 0:02:28.080,0:02:30.976 おバカで独創性のない人なんて[br]雇いたくないですよね 0:02:31.000,0:02:33.576 残る6%は[br]質問の意味を理解できなかったんでしょう 0:02:33.600,0:02:35.296 (笑) 0:02:35.320,0:02:36.576 でも 彼らにも幸あれ 0:02:36.600,0:02:39.406 本当に おバカで独創性のない人を[br]雇いたいのかもしれません 0:02:39.430,0:02:43.256 では 94%の人は否定しているのに[br]なぜマイクロマネジメントを? 0:02:43.280,0:02:45.896 きっと その答えはすごくシンプルで[br]私たち皆が 0:02:45.920,0:02:49.656 心の奥底では分かっていて[br]実際に感じてきたことだと思います 0:02:49.680,0:02:51.776 組織に雇われたとき 0:02:51.800,0:02:53.856 それがクラブであれ[br]法律事務所であれ 0:02:53.880,0:02:57.256 学校組織であれ[br]何であれ 0:02:57.280,0:03:00.096 いきなり序列のてっぺんに[br]乗っかることはありませんよね 0:03:00.120,0:03:01.936 一番下から始めます 0:03:01.960,0:03:03.176 で 何をするか? 0:03:03.200,0:03:04.416 仕事です 0:03:04.440,0:03:06.776 仕事をしますよね? 0:03:06.800,0:03:08.896 もし その仕事の出来が[br]すごく良かったら 0:03:08.920,0:03:10.036 何が待っていますか? 0:03:10.070,0:03:11.616 さらなる仕事ですね? 0:03:11.640,0:03:14.336 さすが 皆さん[br]マイクロマネジメントの良き実践者ですね 0:03:14.360,0:03:15.616 (笑) 0:03:15.640,0:03:16.896 もっと仕事をして 0:03:16.920,0:03:19.296 それも うまくやったら[br]ほどなく― 0:03:19.320,0:03:20.976 まだ実務も少しはするでしょうが 0:03:21.000,0:03:23.656 その仕事をする人たちを[br]管理するようになります 0:03:23.680,0:03:26.776 それも うまくやったら[br]次はどうなりますか? 0:03:26.800,0:03:31.296 その仕事をする人を管理する人たちを[br]管理するようになり 0:03:31.320,0:03:33.256 その時点で 0:03:33.280,0:03:37.416 自分の業績に対する[br]コントロールを失い始めます 0:03:37.440,0:03:39.496 私自身 じかに体験したことです 0:03:39.520,0:03:41.936 私はガレージで[br]Boxedという会社を始めました 0:03:41.960,0:03:44.656 ここです[br]どうってことないような場所ですね 0:03:44.680,0:03:47.816 後ろに圧力洗浄機があるんですが― 0:03:47.840,0:03:49.616 まさに「夢を生き」ていました 0:03:49.640,0:03:52.296 事業を始めたとき[br]妻は私をとても誇りに思ってくれました 0:03:52.320,0:03:54.896 少なくとも[br]そう言ってくれていました― 0:03:54.920,0:03:58.336 私を抱きしめながら 妻は携帯電話を眺め[br]こう思っていたでしょう 0:03:58.360,0:04:01.296 「ハーバードのジョンはまだ独身かしら?」 0:04:01.320,0:04:04.376 会社は 子どもの模擬店に[br]毛が生えた程度のものでしたが 0:04:04.400,0:04:07.616 軌道に乗ってきて こう考えました[br]「モバイルコマースが拡大し 0:04:07.640,0:04:10.856 実際 消費者向け商品も[br]次第に様相を変えつつある 0:04:10.880,0:04:13.496 家に持ち帰るのが大変な[br]かさばる まとめ売り商品― 0:04:13.520,0:04:16.696 クッキーなら[br]2パックではなく24パック 0:04:16.720,0:04:19.696 トイレットペーパーなら[br]24ロールではなく48ロールといった 0:04:19.720,0:04:22.576 会員制の大型ディスカウントショップに[br]あるものを 0:04:22.600,0:04:24.336 家までお届けしよう」 0:04:24.360,0:04:25.936 これが私たちのやったことです 0:04:25.960,0:04:30.976 でもプリンターが遅くて[br]時間がかかってしようがないので 0:04:31.000,0:04:33.656 待つ間に 送り状の裏側に[br]お客さまを喜ばせる ひと言を 0:04:33.680,0:04:35.176 手書きすることにしました 0:04:35.200,0:04:37.336 例えば「ずっと笑顔でね」とか 0:04:37.360,0:04:38.936 「君はサイコーだよ」 0:04:38.960,0:04:40.416 「スナック菓子 楽しんで」 0:04:40.440,0:04:42.416 「このスポーツ飲料 イイよね」 0:04:42.440,0:04:43.776 そんなことを書いたのです 0:04:43.800,0:04:48.256 これによって仕事も[br]単調でなくなり始めました 0:04:48.270,0:04:50.696 当時 私は商品のピッキングと梱包を[br]すべてしていて 0:04:50.696,0:04:53.856 それもガレージにいるときは[br]1日8~12時間 0:04:53.880,0:04:55.536 ずっと やるわけです 0:04:55.560,0:04:57.376 すると面白いことが起こりました 0:04:57.400,0:04:59.360 会社は成長し始めました 0:05:00.080,0:05:02.376 それから 0:05:02.400,0:05:04.736 たったの36ヶ月で 0:05:04.760,0:05:08.016 売上げは何億ドルにもなり 0:05:08.040,0:05:10.576 成長もどんどん加速しました 0:05:10.600,0:05:13.256 その間に 私の役割も[br]変わっていきました 0:05:13.280,0:05:15.776 確かにガレージ時代も[br]私はCEOでしたが 0:05:15.800,0:05:18.056 ピッキングに梱包と[br]すべての実務をしていました 0:05:18.056,0:05:19.216 でも 私はそれを卒業し 0:05:19.240,0:05:21.976 ピッキングや梱包をする人を[br]管理する立場になったのです 0:05:22.000,0:05:24.006 そして すぐに私は[br]ピッキングと梱包担当を 0:05:24.006,0:05:26.056 管理する人を[br]管理するようになりました 0:05:26.080,0:05:29.456 今でも 私が管理するのは[br]ピッキングと梱包をする人を 0:05:29.480,0:05:32.856 管理する部門を管理する[br]最高責任者たちです 0:05:32.880,0:05:35.856 そして このとき[br]私はコントロールを失ったのです 0:05:35.880,0:05:39.536 私たちは ちょっとしたメモを添えて[br]お客さまを喜ばせていました 0:05:39.560,0:05:42.206 気に入ってもらえましたが[br]もう私が書くわけにもいきません 0:05:42.206,0:05:43.816 だったら どうするのか 0:05:43.840,0:05:46.816 私は 担当者に[br]メモをどうやって書くか指示します 0:05:46.840,0:05:50.776 ペンの種類や色 書く内容や 0:05:50.800,0:05:52.136 文字の大きさも指示し 0:05:52.160,0:05:53.656 行間もそろえて 0:05:53.680,0:05:56.056 これは この大きさで[br]あれは あの大きさという風に 0:05:56.080,0:05:58.576 すると 配送センターの仕事を[br]単調でないようにして 0:05:58.600,0:06:01.136 士気を上げるつもりが[br]マイクロマネジメントになり 0:06:01.160,0:06:04.466 人事に不平不満が[br]寄せられるようになりました 0:06:04.480,0:06:07.536 「このCEOは いちいち口を挟んでくるよ 0:06:07.560,0:06:09.176 メモの書き方くらい分かるよ」と 0:06:09.200,0:06:10.216 (笑) 0:06:10.240,0:06:13.496 ですから そのとき[br]こうしたのです 0:06:13.520,0:06:16.696 こんなに優秀で[br]素晴らしい人を雇ったんだから 0:06:16.720,0:06:19.456 「お客さまを喜ばせろ」というミッションと 0:06:19.480,0:06:23.176 それを実現するツールを与えればいい[br]それがこのメモだ さあ取りかかれと 0:06:23.200,0:06:25.616 その結果は[br]とても驚くべきものでした 0:06:25.640,0:06:31.296 ノートに とても華やかな[br]壁画のようなものを描き始めた人もいます 0:06:31.320,0:06:34.936 おむつを注文した人には[br]こんな面白いメモが届きます 0:06:34.960,0:06:36.536 「赤ちゃんによろしく!」 0:06:36.560,0:06:39.456 そして 次の注文でサイズが上がったら[br]こう書きます 0:06:39.480,0:06:41.816 「ぐんぐん大きくなるね!」 0:06:41.840,0:06:44.480 これで 皆ご執心になりました 0:06:45.400,0:06:48.616 でも 当時 何度か[br]度を超したこともありました 0:06:48.640,0:06:51.616 いつも「ありがとね」としか[br]書かない人が出てきたのです 0:06:51.640,0:06:54.736 その上司がいつも「ありがとね」しか[br]書かない人だったようで 0:06:54.760,0:06:57.016 「ありがとね」は止めよう[br]となりました 0:06:57.040,0:06:59.656 他方で 面白いことも起こりました 0:06:59.680,0:07:01.576 創造的になりすぎたんですね 0:07:01.600,0:07:05.216 お話ししたとおり[br]ここでは何でも まとめ売りです 0:07:05.240,0:07:07.696 大量のおむつや[br]大量のトイレットペーパー 0:07:07.720,0:07:11.016 大量のスナック菓子にクッキー 0:07:11.040,0:07:14.336 避妊具も まとめ売りです 0:07:14.360,0:07:15.696 それで 0:07:15.720,0:07:17.416 ちょっとキワドイことになったんです 0:07:17.440,0:07:18.656 (笑) 0:07:18.680,0:07:22.656 コンドームは40個単位で販売しています 0:07:22.680,0:07:25.136 皆さんは大人ですから―[br]コンドーム40個ですよ 0:07:25.160,0:07:29.136 それで コンドーム40個入りを[br]4箱注文した人がいたのです 0:07:29.160,0:07:30.376 (笑) 0:07:30.400,0:07:32.456 しかも注文はそれだけ 0:07:32.480,0:07:34.576 コンドーム160個 0:07:34.600,0:07:37.336 梱包担当は[br]「喜ばしてやろうじゃないか」と 0:07:37.360,0:07:38.976 (笑) 0:07:39.000,0:07:40.616 この人が― 0:07:40.640,0:07:42.576 こう書いたんです 0:07:42.600,0:07:44.216 「楽観主義 サイコー」 0:07:44.240,0:07:45.456 (笑) 0:07:45.480,0:07:49.096 (拍手) 0:07:49.120,0:07:52.696 解雇か昇進か判断しかねましたが[br]彼はまだ ここで働いています 0:07:52.720,0:07:54.496 「楽観主義 サイコー」 0:07:54.520,0:07:59.656 でも こんな風に[br]ちょっと行き過ぎがあると 0:07:59.680,0:08:02.656 私は少し複雑な気持ち(conflicted)に[br]なるわけです 0:08:02.680,0:08:04.336 それで―[br][CONFLIC] 0:08:04.360,0:08:05.936 スライドにひどいタイプミス?[br][CONFLIC] 0:08:05.960,0:08:10.656 いや ステージのこのへんに[br]赤い「TED」の文字があるから 0:08:10.680,0:08:12.216 タイプミスじゃありませんよね? 0:08:12.240,0:08:13.256 (笑) 0:08:13.280,0:08:14.816 (拍手) 0:08:14.840,0:08:17.136 ユーモアのセンスは[br]からきしダメなのに 0:08:17.160,0:08:18.536 恥の上塗りをしているようです 0:08:18.560,0:08:21.096 それで 私は[br]すごい複雑な気持ちになります 0:08:21.120,0:08:25.496 当時 私たちは[br]本来業務から外れたことをしていて 0:08:25.520,0:08:27.616 そこで失敗が起こっていたのです 0:08:27.640,0:08:30.976 それで思いました[br]失敗させておいて良いのか? 0:08:31.000,0:08:32.880 このままで良いのか? 0:08:33.640,0:08:34.895 分かりません― 0:08:34.919,0:08:36.655 当時は分かりませんでしたが 0:08:36.679,0:08:38.456 こう思ったのです 0:08:38.480,0:08:40.440 失敗は そんなに悪いことなのか? 0:08:41.320,0:08:43.416 失敗を賞賛すべき[br]と言うのではありません 0:08:43.440,0:08:47.096 シリコン・バレーでは[br]失敗を称賛する流れがありますが 0:08:47.120,0:08:49.496 皆が皆 そこまですべきかは疑問です 0:08:49.520,0:08:51.376 というのも 取締役会で 0:08:51.400,0:08:56.176 「先期はしくじったな 次もこの調子で!」[br]なんて言う人はいませんよね 0:08:56.200,0:08:57.456 言うわけありません 0:08:57.480,0:08:59.576 もし そんな発言が出る組織があれば 0:08:59.600,0:09:01.936 ぜひご連絡ください[br]会議に参加したいものです 0:09:01.960,0:09:04.616 私生活では[br]失敗を喜ぶ人はあまりいないと思いますが 0:09:04.640,0:09:07.216 失敗というものは[br]賢くて想像力に富み 0:09:07.240,0:09:09.416 与えられたミッションを 0:09:09.440,0:09:15.096 本気で完遂しようとする人にとっては[br]長い目で見れば 欠かせないことです 0:09:15.120,0:09:18.136 ですから 失敗は[br]ミッション成功に向かう上での 0:09:18.160,0:09:20.840 マイルストーンだと言えます 0:09:21.400,0:09:23.496 マイクロマネジメントしないデメリットが 0:09:23.520,0:09:26.856 よく言われているように[br]失敗が増えることだったとして 0:09:26.880,0:09:29.136 それが そんなに悪いことでなかったら 0:09:29.160,0:09:30.376 メリットは何でしょう? 0:09:30.400,0:09:32.656 私たちが体験したメリットは[br]素晴らしいものでした 0:09:32.680,0:09:34.296 技術者にこんな課題を出しました 0:09:34.320,0:09:37.936 「うちの配送センターは[br]建設に何億円もかかっているが 0:09:37.960,0:09:39.896 中身は延々と続くコンベヤーだ 0:09:39.920,0:09:41.576 同じことを もっと効率的に 0:09:41.600,0:09:44.736 何億ものお金を使わずに[br]できないだろうか?」 0:09:44.760,0:09:46.016 そこで技術者は動きました 0:09:46.040,0:09:48.456 これはイメージ画像ではなく[br]実際の写真です 0:09:48.480,0:09:50.016 グラインダーで[br]削るんです 0:09:50.040,0:09:51.976 彼らが作ったのは[br]自律型無人搬送車です 0:09:52.000,0:09:54.976 何を作れとか どんな形式が必要とか[br]指示しませんでしたが 0:09:55.000,0:09:57.136 90日後には[br]最初の試作品ができていました 0:09:57.160,0:10:00.296 テスラ社製電池で駆動し[br]立体カメラ、Lidarシステムを装備しています 0:10:00.296,0:10:02.976 コンベヤーベルトと同じ効率性がありながら 0:10:03.000,0:10:06.256 コンベヤーベルトほどの設備投資を[br]必要としないものです 0:10:06.280,0:10:08.616 そして このことは[br]技術者にとどまりませんでした 0:10:08.640,0:10:09.976 マーケティング部門でも― 0:10:10.000,0:10:13.256 「良いと思うことをやってみるよう[br]皆に伝えろ」と指示したところ 0:10:13.280,0:10:16.256 マーケティング部門の逸材[br]ナターシャが 0:10:16.280,0:10:17.670 ある朝 私を呼び止めて 0:10:17.670,0:10:19.980 「ピンク税について何かすべきよね?」[br]と言うのです 0:10:19.980,0:10:22.336 私はコーヒーを手に座ると 0:10:22.360,0:10:24.400 「ピンク税って何だい?」と聞き 0:10:24.400,0:10:26.576 教えてもらったのですが[br]面白いことに 0:10:26.600,0:10:29.456 アメリカでは[br]実に32州で女性向けの商品に 0:10:29.480,0:10:32.656 ぜいたく税が課されています[br]ご存知の方もあるかもしれません 0:10:32.680,0:10:34.056 対象は女性用ケア商品などで 0:10:34.080,0:10:36.616 タンポンやナプキンにも[br]ぜいたく品同様に課税されます 0:10:36.640,0:10:38.456 こちらから妻に電話などできませんが 0:10:38.480,0:10:41.976 妻から「帰りにナプキン買ってきて」[br]と電話があったときに 0:10:42.000,0:10:44.736 「なあ 今 貿易戦争の真っただ中で 0:10:44.760,0:10:46.136 景気もあまり良くないから 0:10:46.160,0:10:48.976 今月はぜいたく品はなしだ[br]来月には必ず― 0:10:49.000,0:10:50.016 (笑) 0:10:50.040,0:10:51.190 見てみるよ」などと 0:10:51.190,0:10:53.056 返していたらすぐ離婚でしょう 0:10:53.080,0:10:55.776 でも すごく面白いのは― 0:10:55.800,0:10:57.416 何も指示していないのですが― 0:10:57.440,0:10:59.816 彼らは財務部門と連携して[br]全国のお客さまに 0:10:59.840,0:11:03.336 不当に徴収しなければいけない税金の分を[br]割引し始めたのです 0:11:03.360,0:11:05.816 そろそろ こうお考えかもしれません 0:11:05.840,0:11:09.776 「マイクロマネジメントしない[br]本当のメリットは一体何か?」 0:11:09.800,0:11:11.456 それは― 0:11:11.480,0:11:13.136 私は何もしていません 0:11:13.160,0:11:14.416 無人搬送車を作ったのも 0:11:14.440,0:11:16.856 反ピンク税キャンペーンをしたのも[br]私ではありません 0:11:16.880,0:11:18.096 私は何もしていないのに 0:11:18.120,0:11:21.576 自分の手柄にして[br]こうしてTEDの舞台に立てるんです 0:11:21.600,0:11:23.840 (笑) 0:11:24.960,0:11:27.576 「何もしてないくせに[br]成果だけ持っていくなんて 0:11:27.600,0:11:30.056 本当にCEOかよ[br]よくやるよ」 0:11:30.080,0:11:31.296 (笑) 0:11:31.320,0:11:33.056 いや 実際のところはこうです 0:11:33.080,0:11:35.496 私が本当にCEOらしさを[br]身につけたか知りませんが 0:11:35.520,0:11:40.136 今までで最も本質的に[br]挑戦しがいのあることを 0:11:40.160,0:11:42.616 ここで学びました 0:11:42.640,0:11:44.176 つまり― 0:11:44.200,0:11:47.816 マイクロマネジメントを解決する方法は[br]ただ1つ 0:11:47.840,0:11:49.296 信頼することです 0:11:49.320,0:11:50.536 ありがとうございました 0:11:50.560,0:11:54.760 (拍手)