1 00:00:10,020 --> 00:00:12,940 歴史上最大の 地続きの領土を持つ帝国— 2 00:00:12,940 --> 00:00:17,600 東は朝鮮から西はウクライナまで 北はシベリアから南は中国南部まで広がるその国は 3 00:00:17,600 --> 00:00:20,650 開けた平原に築かれました 4 00:00:20,650 --> 00:00:24,520 モンゴル帝国が 形成される前の12世紀 5 00:00:24,520 --> 00:00:26,740 東アジアの大草原地帯には 6 00:00:26,740 --> 00:00:31,730 カンが束ねるモンゴル人やトルコ人の 遊牧民の群れが散在していました 7 00:00:31,730 --> 00:00:35,750 彼らは 羊や 牛や ヤクや ラクダを放牧しながら 8 00:00:35,750 --> 00:00:40,700 フェルト製のテントで生活し 夏と冬の野営地を行き来していました 9 00:00:40,700 --> 00:00:43,150 遊牧民の女達は 大きな力を持ち 10 00:00:43,150 --> 00:00:46,670 季節的な移住や家畜や 商取引を取り仕切り 11 00:00:46,670 --> 00:00:49,930 一方で男達は 騎馬での戦いを事としていました 12 00:00:49,930 --> 00:00:52,600 彼ら遊牧民は互いに よく戦い合っていましたが 13 00:00:52,600 --> 00:00:58,690 モンゴルの有力な家系に生まれた テムジンの登場で それが変わります 14 00:00:58,690 --> 00:01:02,500 テムジンは幼くして父を亡くし 貧しく育ちましたが 15 00:01:02,500 --> 00:01:07,880 他のおさ達と戦略的な同盟を結んで 速やかに権力を掌握していきました 16 00:01:07,880 --> 00:01:12,240 他のカン達とは違い テムジンは兵をその勲功により取り立て 17 00:01:12,240 --> 00:01:15,370 戦利品を平等に分けました 18 00:01:15,370 --> 00:01:20,232 彼が巧みだったのは 征服した遊牧民達を 自軍に分散させて組み入れ 19 00:01:20,232 --> 00:01:23,035 反乱を起こせないように したことでした 20 00:01:23,035 --> 00:01:25,640 そのような革新により 彼の勢いは留まることを知らず 21 00:01:25,640 --> 00:01:29,880 1206年に フェルトテントに 住む人々を統一し 22 00:01:29,880 --> 00:01:33,050 「チンギス・カン」となりました 23 00:01:33,050 --> 00:01:34,870 モンゴル人の宗教は シャーマニズムで 24 00:01:34,870 --> 00:01:39,570 周りの世界には 自然や先祖の霊が棲んでおり 25 00:01:39,570 --> 00:01:43,110 天の神テンゲリが すべてを覆っていると 信じられていました 26 00:01:43,110 --> 00:01:46,990 テンゲリは その名の下に世界を征服することを 自分に望んでいると 27 00:01:46,990 --> 00:01:48,820 チンギス・カンは 信じていました 28 00:01:48,820 --> 00:01:51,770 モンゴル平原の 遊牧民族が力を合わせれば 29 00:01:51,770 --> 00:01:53,930 これは実現可能に思えました 30 00:01:53,930 --> 00:01:58,335 モンゴル人に抵抗する者は テンゲリの意思に背くものであり 31 00:01:58,335 --> 00:02:01,180 それは死に値しました 32 00:02:01,180 --> 00:02:02,495 チンギス・カンのもと 33 00:02:02,495 --> 00:02:07,265 モンゴル人達は まず中国北部と イスラム世界の東部を征服しました 34 00:02:07,265 --> 00:02:09,495 1227年にチンギス・カンが死ぬと 35 00:02:09,495 --> 00:02:14,065 神に選ばれし者の地位は その家族 「黄金の氏族」に引き継がれました 36 00:02:14,065 --> 00:02:17,515 1230年代に チンギス・カンの子供達は 37 00:02:17,515 --> 00:02:21,145 トルコや 中央アジアや ルーシ諸国を征服し 38 00:02:21,145 --> 00:02:24,915 1241年にはヨーロッパの 2つの軍を破りました 39 00:02:24,915 --> 00:02:30,135 1250年代にモンゴル帝国は バグダッドまでのイスラム地域を掌握し 40 00:02:30,135 --> 00:02:35,675 東では1279年までに 領土を中国南部まで拡げました 41 00:02:35,675 --> 00:02:40,360 モンゴル帝国での生活は戦争と略奪と 破壊だけというわけではありません 42 00:02:40,360 --> 00:02:45,010 モンゴル人達は 征服地の政治機構を残し 43 00:02:45,010 --> 00:02:47,770 その地の統治者に 管理を任せました 44 00:02:47,770 --> 00:02:53,440 またモンゴル人のために祈るなら どの宗教も許容しました 45 00:02:53,440 --> 00:02:57,050 職人や学者や技術者を よく捕らえていましたが 46 00:02:57,050 --> 00:02:59,470 専門家の力は評価していて 47 00:02:59,470 --> 00:03:03,240 アジア各地に移住させ その仕事を続けさせました 48 00:03:03,240 --> 00:03:06,900 帝国における最も 貴重な品は金襴で 49 00:03:06,900 --> 00:03:11,750 中国の絹と チベットの金を使い バグダッドの織り手により作られました 50 00:03:11,750 --> 00:03:16,122 金襴は モンゴル支配層の 服や 馬の覆いや 51 00:03:16,122 --> 00:03:17,972 テントの内張りとして 使われました 52 00:03:17,972 --> 00:03:22,446 モンゴル人が とりわけ重用したのは 中国の火薬技師でした 53 00:03:22,446 --> 00:03:27,786 ユーラシアの大部分が政治的に統一されると シルクロードでの交易が栄え 54 00:03:27,786 --> 00:03:32,451 大規模な駅伝制が それを支えました 55 00:03:32,451 --> 00:03:36,972 海路での交易も盛んに続けられ その主要製品の染付は 56 00:03:36,972 --> 00:03:42,825 領内中国の陶磁器と 領内イランの青い染料を組み合わせたものでした 57 00:03:42,825 --> 00:03:44,680 しかし それも長くは 続きませんでした 58 00:03:44,680 --> 00:03:48,710 カンの地位は自動的に 長兄へと継承はされず 59 00:03:48,710 --> 00:03:53,055 兄弟や叔父や従兄弟の間で争われ 60 00:03:53,055 --> 00:03:56,510 先人の未亡人が摂政として 息子に付きました 61 00:03:56,510 --> 00:03:57,870 1260年代には 62 00:03:57,870 --> 00:04:02,560 チンギス・カンの孫達の間で 王位継承を巡って全面的な内戦となり 63 00:04:02,570 --> 00:04:06,250 帝国は4つに分裂しました 64 00:04:06,250 --> 00:04:09,215 中国ではクビライ・カンの元王朝が 65 00:04:09,215 --> 00:04:12,465 科学と文化の黄金時代として 記憶されています 66 00:04:12,465 --> 00:04:14,995 イランではイルハン朝で 67 00:04:14,995 --> 00:04:19,805 新しい壮大な建築や ペルシア細密画が発展しました 68 00:04:19,805 --> 00:04:24,385 中央アジアではチャガタイ・ハン国で ティムールや 69 00:04:24,385 --> 00:04:29,185 その子孫でインドにムガル帝国を築く バーブルのような指導者が現れました 70 00:04:29,185 --> 00:04:33,455 東ヨーロッパでは モスクワ大公国が勢力を伸ばすまで 71 00:04:33,455 --> 00:04:38,860 キプチャク・ハン国による 支配が長く続きました 72 00:04:38,860 --> 00:04:41,920 モンゴル帝国は短い間しか 存続しませんでしたが 73 00:04:41,920 --> 00:04:47,580 今日まで並ぶもののない 世界支配を成し遂げたのです