1 00:00:00,555 --> 00:00:02,938 この中で創造的なことを している人 — 2 00:00:02,938 --> 00:00:06,436 デザイナー エンジニア 起業家 アーティスト 3 00:00:06,436 --> 00:00:09,333 あるいは単に想像力が豊かという人は どれくらいいますか? 4 00:00:09,333 --> 00:00:10,955 手を挙げてください (歓声) 5 00:00:10,979 --> 00:00:12,750 ほとんどがそうですね 6 00:00:13,264 --> 00:00:16,148 そういう人に お知らせすることがあります 7 00:00:16,714 --> 00:00:19,287 これからの20年で 8 00:00:21,471 --> 00:00:24,444 私たちの仕事の仕方は 9 00:00:25,252 --> 00:00:28,249 これまでの2千年間における変化よりも 大きく変わるでしょう 10 00:00:28,511 --> 00:00:33,409 私たちは人類史の新時代に 差し掛かっていると思います 11 00:00:33,645 --> 00:00:38,776 人類史には 仕事の仕方に応じて 大きく4つの時代がありました 12 00:00:39,404 --> 00:00:42,859 狩猟採集時代が 数百万年続き 13 00:00:43,163 --> 00:00:46,739 それから数千年の 農耕時代があり 14 00:00:47,195 --> 00:00:50,685 2百年ほどの 工業化時代があり 15 00:00:50,709 --> 00:00:54,900 現在の情報化時代が ほんの数十年です 16 00:00:54,900 --> 00:01:00,450 そして今 私たちは人類にとって 新しく大きな時代の始まりにいます 17 00:01:01,296 --> 00:01:03,950 「拡張の時代」へようこそ 18 00:01:03,950 --> 00:01:07,853 この新時代においては 人間の自然な能力が 拡張されることになるでしょう 19 00:01:07,853 --> 00:01:10,785 計算システムが 人間の思考を補助し 20 00:01:10,809 --> 00:01:12,979 ロボットシステムが 作業を助け 21 00:01:12,979 --> 00:01:16,277 デジタル神経系が 生来の感覚を大きく越えて 22 00:01:16,277 --> 00:01:18,611 私たちを世界へと繋げます 23 00:01:18,897 --> 00:01:21,213 認識力拡張の話から 始めましょう 24 00:01:21,213 --> 00:01:24,353 強化サイボーグだという方は どれくらい いらっしゃいますか? 25 00:01:24,353 --> 00:01:26,783 (笑) 26 00:01:26,807 --> 00:01:29,978 私たちは既に増強されていると 言えると思います 27 00:01:30,288 --> 00:01:31,792 パーティで誰かに 28 00:01:31,816 --> 00:01:35,336 知らないことを聞かれたところを 想像してください 29 00:01:35,360 --> 00:01:39,390 こういうものを持っていれば 数秒で答えが分かります 30 00:01:39,789 --> 00:01:42,878 でもこれはまだ原始的な 始まりでしかありません 31 00:01:42,878 --> 00:01:46,194 あのSiriでさえ ただの受け身のツールです 32 00:01:46,660 --> 00:01:49,915 実際 過去350万年の間 33 00:01:49,915 --> 00:01:53,424 人類の道具はずっと 完全に受け身のものでした 34 00:01:54,203 --> 00:01:57,858 指示した通りのことだけをし それ以上のことはしません 35 00:01:57,882 --> 00:02:01,742 人類最初の道具は 打ち付けた場所を切るだけでした 36 00:02:01,742 --> 00:02:05,272 のみは彫刻家が指定したところを 削るだけです 37 00:02:05,293 --> 00:02:10,984 最も先進的なツールでさえ 明示的な指示なしには何もしません 38 00:02:11,008 --> 00:02:14,189 これは私がよくフラストレーションを 感じることですが 39 00:02:14,213 --> 00:02:17,151 道具にこちらの意向を 指示する必要によって 40 00:02:17,151 --> 00:02:19,120 我々は制限されてきました 41 00:02:19,120 --> 00:02:20,401 コンピューターがあっても 42 00:02:20,401 --> 00:02:23,329 文字通り手を使って 指示する必要があります 43 00:02:23,792 --> 00:02:26,645 しかし私はスタートレックの スコッティみたいな人間です 44 00:02:26,645 --> 00:02:28,409 (笑) 45 00:02:28,433 --> 00:02:30,579 コンピューターと 会話がしたいんです 46 00:02:30,603 --> 00:02:33,497 「コンピューター 車をデザインしよう」 と言ったら 47 00:02:33,497 --> 00:02:35,296 コンピューターが 車を出して見せます 48 00:02:35,296 --> 00:02:37,958 「もっと速そうな感じで ドイツっぽくなくしてくれ」と言うと 49 00:02:37,958 --> 00:02:40,055 コンピューターが注文通りに してくれるんです 50 00:02:40,055 --> 00:02:41,844 (笑) 51 00:02:42,208 --> 00:02:44,514 この会話は まだ先の話ですが 52 00:02:44,538 --> 00:02:47,203 皆さんが考えるほど 遠くはなく 53 00:02:47,227 --> 00:02:48,614 私たちは既に 54 00:02:48,614 --> 00:02:50,165 取り組んでいます 55 00:02:50,189 --> 00:02:54,222 道具は受け身のものから 生成するものへと飛躍しつつあります 56 00:02:54,831 --> 00:02:58,139 デザイン生成ツールは コンピューターとアルゴリズムを使って 57 00:02:58,163 --> 00:03:00,771 形状を合成し 58 00:03:00,795 --> 00:03:03,759 自分で新しいデザインを 作り出します 59 00:03:03,996 --> 00:03:06,744 必要なのは 目標と制約だけです 60 00:03:06,768 --> 00:03:08,176 例をお見せしましょう 61 00:03:08,200 --> 00:03:10,988 これはドローン用の フレームの例ですが 62 00:03:11,012 --> 00:03:13,622 こちらがするのは 必要なことを伝えるだけ 63 00:03:13,622 --> 00:03:15,055 4つのプロペラがあるとか 64 00:03:15,055 --> 00:03:16,884 出来るだけ軽くとか 65 00:03:16,884 --> 00:03:19,384 空力的な効率を良くしろとか 66 00:03:19,408 --> 00:03:24,522 すると与えられた条件を満たす あらゆる可能な解の全体— 67 00:03:24,522 --> 00:03:27,007 何百万通りという解を 68 00:03:27,007 --> 00:03:29,473 コンピューターが探索します 69 00:03:29,473 --> 00:03:31,908 これには大型のコンピューターが 必要になりますが 70 00:03:31,908 --> 00:03:34,867 私たち自身が 考えも付かないような 71 00:03:34,867 --> 00:03:37,234 デザインが生まれます 72 00:03:37,246 --> 00:03:40,002 コンピューターは 自分だけで答えを出します 73 00:03:40,002 --> 00:03:42,150 誰かが何か 描いてやることはなく 74 00:03:42,150 --> 00:03:44,610 何もないところから 始めるのです 75 00:03:45,038 --> 00:03:47,425 ちなみに このドローンの フレームが 76 00:03:47,449 --> 00:03:51,280 ムササビの骨盤に似ているのは 偶然ではありません 77 00:03:51,287 --> 00:03:53,294 (笑) 78 00:03:53,790 --> 00:03:56,166 このアルゴリズムは 進化と同じように働くよう 79 00:03:56,166 --> 00:03:58,043 デザインされているからです 80 00:03:58,385 --> 00:04:01,345 この技術を世の中で 実際に目にするようになって 81 00:04:01,345 --> 00:04:02,588 ワクワクしています 82 00:04:02,588 --> 00:04:05,038 この2年 オートデスク社は エアバス社と協力して 83 00:04:05,038 --> 00:04:07,647 未来の飛行機のコンセプトモデルに 取り組んできました 84 00:04:07,647 --> 00:04:08,955 まだ先は長いですが 85 00:04:08,955 --> 00:04:11,279 デザイン生成AIを使って 86 00:04:11,279 --> 00:04:15,376 最近こんなものを 作り出しました 87 00:04:15,609 --> 00:04:20,762 これは3D印刷された客室の隔壁ですが コンピューターがデザインしたものです 88 00:04:20,786 --> 00:04:23,850 元の半分の重量で より高い強度を持ち 89 00:04:23,850 --> 00:04:27,180 年内にエアバスA320で 使われ始める予定です 90 00:04:27,355 --> 00:04:29,304 明確に定義された問題に対して 91 00:04:29,304 --> 00:04:34,013 コンピューターは今や 自力で独自の解を生み出せるんです 92 00:04:34,297 --> 00:04:36,187 しかし直感的とは言えません 93 00:04:36,187 --> 00:04:39,097 毎回 1から始める 必要があります 94 00:04:39,121 --> 00:04:41,686 学習しないからです 95 00:04:42,288 --> 00:04:44,234 うちの犬のマギーとは違います 96 00:04:44,234 --> 00:04:45,739 (笑) 97 00:04:45,763 --> 00:04:49,420 マギーは実際 最先端のデザインツールよりも 賢いんです 98 00:04:49,467 --> 00:04:50,907 どういう意味かというと 99 00:04:50,931 --> 00:04:52,711 飼い主がリードを 手にしていたら 100 00:04:52,711 --> 00:04:54,853 それはかなりの確率で 散歩を意味すると 101 00:04:54,853 --> 00:04:56,005 マギーは理解しています 102 00:04:56,005 --> 00:04:57,570 どうやってそう 学んだのでしょう? 103 00:04:57,570 --> 00:05:00,522 飼い主がリードを手に取るたびに 散歩に出たからです 104 00:05:00,522 --> 00:05:02,650 そこでマギーは 3つのことをしていました 105 00:05:02,650 --> 00:05:04,393 注意を払うこと 106 00:05:04,417 --> 00:05:06,499 何が起きたか 覚えていること 107 00:05:06,523 --> 00:05:10,940 心の中にパターンを作って 保持することです 108 00:05:11,429 --> 00:05:12,698 興味深いことに 109 00:05:12,698 --> 00:05:15,905 これはまさにコンピューター科学者達が 過去60年の間 110 00:05:15,905 --> 00:05:18,603 人工知能にさせようと 試み続けてきたことです 111 00:05:18,603 --> 00:05:20,032 1952年に 112 00:05:20,056 --> 00:05:24,297 三目並べができる コンピューターが作られました 113 00:05:25,081 --> 00:05:26,241 大したことでした 114 00:05:27,029 --> 00:05:29,723 45年後の1997年 115 00:05:29,723 --> 00:05:33,095 ディープブルーはチェス王者 カスパロフを破りました 116 00:05:33,916 --> 00:05:38,908 2011年 ワトソンはクイズ番組ジェパディで 歷代チャンピオン2人に勝ちました 117 00:05:38,908 --> 00:05:42,076 これはコンピューターには チェスよりも ずっと難しいことです 118 00:05:42,076 --> 00:05:45,456 定められた手順に 従ってやる代わりに 119 00:05:45,456 --> 00:05:49,869 ワトソンは人間の対戦相手に勝つために 推論をする必要がありました 120 00:05:50,393 --> 00:05:52,676 そして2週間前 121 00:05:52,676 --> 00:05:56,512 ディープマインド社のAlphaGoが 最も難しいゲームとされる碁で 122 00:05:56,512 --> 00:05:59,208 世界最強の碁指しを 破りました 123 00:05:59,208 --> 00:06:02,098 碁には宇宙の原子の 総数よりも 124 00:06:02,098 --> 00:06:04,502 多くの手があります 125 00:06:06,030 --> 00:06:08,596 勝つためにAlphaGoは 126 00:06:08,596 --> 00:06:11,138 直感力を発達させる 必要がありました 127 00:06:11,138 --> 00:06:14,272 実際AlphaGoが なぜそうしたのか 128 00:06:14,272 --> 00:06:17,888 開発者自身にも 分からないことがありました 129 00:06:19,231 --> 00:06:21,541 物事はとても 速く進んでいます 130 00:06:21,541 --> 00:06:23,726 人の一生の時間のうちに 131 00:06:23,726 --> 00:06:27,499 コンピューターにできることが 子供の遊びから 132 00:06:27,720 --> 00:06:31,698 最高度の戦略的思考にまで 進歩したのです 133 00:06:31,999 --> 00:06:33,800 ここで起きているのは 134 00:06:33,800 --> 00:06:37,524 スポックのようだった コンピューターが 135 00:06:37,524 --> 00:06:39,883 カークみたいになった ということです 136 00:06:39,883 --> 00:06:43,365 (笑) 137 00:06:43,389 --> 00:06:47,213 純粋な論理から 直感へという変化です 138 00:06:48,064 --> 00:06:50,387 みなさん この橋を 渡ろうと思いますか? 139 00:06:50,609 --> 00:06:52,932 多くの人は 「まさか!」と言うでしょう 140 00:06:52,956 --> 00:06:54,264 (笑) 141 00:06:54,288 --> 00:06:56,945 コンマ何秒で そういう判断をするのです 142 00:06:56,969 --> 00:06:59,397 この橋は安全でないと 知っていたかのようです 143 00:06:59,421 --> 00:07:01,810 今やディープラーニングシステムが 144 00:07:01,810 --> 00:07:05,382 そのような直感を 獲得しつつあります 145 00:07:05,652 --> 00:07:06,773 近い将来 皆さんは 146 00:07:06,773 --> 00:07:08,823 自分の作ったものや デザインしたものを 147 00:07:08,823 --> 00:07:10,090 コンピューターに見せて 148 00:07:10,090 --> 00:07:12,313 意見してもらえる ようになるでしょう 149 00:07:12,313 --> 00:07:14,926 「相棒 こりゃ駄目だよ やり直しだね」 150 00:07:15,714 --> 00:07:19,464 あるいは「みんなこの歌を 気に入ってくれるだろうか?」とか 151 00:07:19,493 --> 00:07:22,996 「この新しい味のアイスは受けるか?」とか 聞けるでしょう 152 00:07:23,549 --> 00:07:25,892 さらに重要なのは 153 00:07:25,892 --> 00:07:27,760 これまで直面したことの ない問題に 154 00:07:27,760 --> 00:07:30,177 コンピューターで 取り組めるようになることです 155 00:07:30,201 --> 00:07:31,466 たとえば気候変動です 156 00:07:31,466 --> 00:07:33,550 人類はあまり上手く 対処できていないので 157 00:07:33,550 --> 00:07:35,619 どんな助けでも ありがたいことでしょう 158 00:07:35,619 --> 00:07:37,397 それが私の お話ししていることです 159 00:07:37,421 --> 00:07:39,976 テクノロジーが人間の 認知能力を増強し 160 00:07:40,000 --> 00:07:43,712 拡張されていない素の人間には 単に手の届かなかったものを 161 00:07:43,712 --> 00:07:46,975 思い描き デザインできるように なるということです 162 00:07:47,624 --> 00:07:51,935 では我々が発明しデザインしようとしている そういう新しいクレージーなものは 163 00:07:51,935 --> 00:07:53,920 どうやって 製造するのか? 164 00:07:53,952 --> 00:07:58,445 人類拡張の時代は 仮想的・知的な領域だけでなく 165 00:07:58,445 --> 00:08:01,424 物質的世界にも 関わるものです 166 00:08:01,763 --> 00:08:03,954 テクノロジーはいかに 人間を拡張するのか? 167 00:08:04,261 --> 00:08:07,434 物質的世界では ロボットシステムによってです 168 00:08:07,434 --> 00:08:10,300 人間の仕事が ロボットに奪われる怖れは 169 00:08:10,300 --> 00:08:11,532 確かにあって 170 00:08:11,532 --> 00:08:14,084 ある種の領域では 実際そうなるでしょう 171 00:08:14,084 --> 00:08:16,846 でも私がもっと興味があるのは 172 00:08:16,846 --> 00:08:21,930 一緒に働く人間とロボットが 互いを拡張し合って 173 00:08:21,930 --> 00:08:24,058 新しい領域を切り開く というアイデアです 174 00:08:24,058 --> 00:08:26,924 これはサンフランシスコにある 我々の応用技術研究所です 175 00:08:26,924 --> 00:08:29,850 その主要な研究領域の1つが 先進ロボット工学 — 176 00:08:29,850 --> 00:08:32,655 特に人間とロボットの 共同作業です 177 00:08:33,034 --> 00:08:35,757 これは我々のロボットBishopです 178 00:08:35,757 --> 00:08:39,266 繰り返し作業のある建築現場で 作業者を手伝うよう 179 00:08:39,266 --> 00:08:41,670 実験的に セットアップしてあります 180 00:08:41,984 --> 00:08:46,398 壁にコンセントや電灯スイッチのための 穴を開けるといった作業です 181 00:08:46,398 --> 00:08:48,668 (笑) 182 00:08:49,877 --> 00:08:51,472 人間のパートナーが 183 00:08:51,472 --> 00:08:54,317 単純な言葉やシンプルな手振りで やることを示します 184 00:08:54,341 --> 00:08:55,788 犬に話かけるみたいに 185 00:08:55,812 --> 00:08:57,659 Bishopは指示されたことを 186 00:08:57,659 --> 00:08:59,871 完璧な正確さで実行します 187 00:08:59,895 --> 00:09:02,578 人間には 人間の得意なことを してもらいます 188 00:09:02,578 --> 00:09:05,175 認識とか 知覚とか 意志決定です 189 00:09:05,175 --> 00:09:07,665 ロボットには ロボットの得意な ことをさせます 190 00:09:07,665 --> 00:09:09,617 精密な反復作業です 191 00:09:10,032 --> 00:09:12,619 これはBishopがやった 別の面白いプロジェクトです 192 00:09:12,643 --> 00:09:15,542 このHIVEという名の プロジェクトでは 193 00:09:15,542 --> 00:09:18,877 人間と コンピューターと ロボットが共同して 194 00:09:18,877 --> 00:09:23,613 非常に複雑な設計問題を解決するという 体験を試行しています 195 00:09:23,613 --> 00:09:25,244 人間は労働者として働きます 196 00:09:25,268 --> 00:09:28,475 建築現場を動き回り 竹素材を扱います 197 00:09:28,475 --> 00:09:30,565 ちなみに形状の異なる竹は 198 00:09:30,565 --> 00:09:33,203 ロボットには扱うのが 非常に難しい素材です 199 00:09:33,203 --> 00:09:35,465 ロボットはこのファイバーを 張る作業をします 200 00:09:35,489 --> 00:09:37,940 人間にはほとんど 不可能なことです 201 00:09:37,964 --> 00:09:41,489 そして人工知能が 全体の制御をしています 202 00:09:41,489 --> 00:09:44,603 人間とロボットに それぞれの作業を指示し 203 00:09:44,603 --> 00:09:47,622 何千という要素を管理します 204 00:09:47,622 --> 00:09:49,042 これが興味深いのは 205 00:09:49,066 --> 00:09:50,751 このパビリオンの構築は 206 00:09:50,751 --> 00:09:57,175 人間とロボットと人工知能が 補い合って 取り組まねば 不可能だったということです 207 00:09:57,700 --> 00:10:01,210 もう1つプロジェクトをご紹介しましょう ちょっとクレージーなものです 208 00:10:01,234 --> 00:10:05,702 アムステルダムを中心に活動する ヨリス・ラーマンとMX3Dのチームとともに 209 00:10:05,726 --> 00:10:08,598 世界初の自律的に建設する橋を 210 00:10:08,598 --> 00:10:12,205 デザイン生成と ロボットによる3D印刷で 作ろうというものです 211 00:10:12,205 --> 00:10:13,974 今まさにアムステルダムで 212 00:10:13,974 --> 00:10:17,196 ヨリスと人工知能が 橋をデザインしています 213 00:10:17,220 --> 00:10:19,541 デザインが完成し 実行を指示すると 214 00:10:19,565 --> 00:10:22,876 ロボットがステンレスで橋を 3D印刷し始めます 215 00:10:22,900 --> 00:10:25,567 そして橋が出来るまで 人の手助けなしに 216 00:10:25,567 --> 00:10:28,165 自律的に印刷を続けます 217 00:10:29,099 --> 00:10:30,681 コンピューターが 218 00:10:30,681 --> 00:10:34,201 新しいものを想像しデザインする 人間の能力を拡張し 219 00:10:34,225 --> 00:10:35,544 ロボットシステムが 220 00:10:35,544 --> 00:10:39,708 以前には作り得なかったものを 製造・建設する手助けをしてくれます 221 00:10:40,147 --> 00:10:44,507 そういったものを感じ制御する 能力についてはどうでしょう? 222 00:10:44,531 --> 00:10:48,562 我々の作る物の神経系はどうか? 223 00:10:48,586 --> 00:10:49,982 人間の神経系は 224 00:10:49,982 --> 00:10:53,783 周囲で起きている あらゆることを伝えてくれます 225 00:10:54,076 --> 00:10:57,870 しかし我々の作る物の神経系は ごく原始的なものです 226 00:10:57,894 --> 00:11:01,597 例えば 車が街中の交差点で 道路に開いた穴を踏んでも 227 00:11:01,597 --> 00:11:04,565 自分で市道路局に 連絡することはありません 228 00:11:04,565 --> 00:11:07,187 建物は 中に入った人たちが 気に入ってくれているか 229 00:11:07,187 --> 00:11:09,269 設計家に伝えることは ありません 230 00:11:09,269 --> 00:11:12,409 おもちゃメーカーは おもちゃが実際に遊ばれているか 231 00:11:12,433 --> 00:11:14,424 どこでどう使われているか 232 00:11:14,424 --> 00:11:17,263 楽しまれているかどうか 知りません 233 00:11:17,530 --> 00:11:19,818 バービー人形のデザイナーは 自分の人形に 234 00:11:19,818 --> 00:11:22,902 このようなライフスタイルを 想像していたことでしょう 235 00:11:22,902 --> 00:11:24,153 (笑) 236 00:11:24,177 --> 00:11:27,493 でも本当はバービーが すごく孤独だったとしたら? 237 00:11:27,493 --> 00:11:30,254 (笑) 238 00:11:30,786 --> 00:11:32,554 自分のデザインしたものについて 239 00:11:32,554 --> 00:11:34,995 実際にどんなことが起きているか デザイナーに分かれば 240 00:11:34,995 --> 00:11:36,796 道路にせよ 建物にせよ バービーにせよ 241 00:11:36,796 --> 00:11:38,074 その知識を生かして 242 00:11:38,074 --> 00:11:41,008 利用者にとって より良い体験を 生み出すことができるでしょう 243 00:11:41,008 --> 00:11:42,123 欠けているのは 244 00:11:42,123 --> 00:11:47,162 我々がデザインし 作り 使うもの すべてと我々を繋ぐ神経系です 245 00:11:47,915 --> 00:11:50,054 世に出した自分の作品から 246 00:11:50,054 --> 00:11:53,737 そのような情報が流れてくる としたらどうでしょう? 247 00:11:55,432 --> 00:11:56,767 自分の作ったものを 248 00:11:56,767 --> 00:11:59,342 人々が買ってくれるよう 説得するために 249 00:11:59,366 --> 00:12:02,292 我々は膨大な お金と労力を費やしています 250 00:12:02,292 --> 00:12:04,620 昨年は2兆ドルという 規模でした 251 00:12:04,644 --> 00:12:07,676 もしデザインし 作ったものに対し 252 00:12:07,676 --> 00:12:11,217 世に出した後 販売された後 公開された後に 253 00:12:11,217 --> 00:12:13,355 そのような繋がりを 持てたなら 254 00:12:13,355 --> 00:12:15,185 ビジネスのやり方も 変わるでしょう 255 00:12:15,185 --> 00:12:18,136 作った商品を人々が欲しくなるよう 仕向けるのでなく 256 00:12:18,160 --> 00:12:21,594 人々がそもそも欲しいと 思うものを作るのです 257 00:12:21,618 --> 00:12:24,835 良い知らせは デザインしたものと繋がる デジタル神経系に 258 00:12:24,835 --> 00:12:27,570 我々は既に取り組んでいる ということです 259 00:12:28,365 --> 00:12:29,992 あるプロジェクトで私たちは 260 00:12:30,016 --> 00:12:32,802 ロサンゼルスの バンディート・ブラザーズに属する 261 00:12:32,802 --> 00:12:35,159 2人と組んで 作業しています 262 00:12:35,183 --> 00:12:37,250 彼らのやっていることの1つは 263 00:12:37,250 --> 00:12:41,513 とんでもないことをする とんでもない車を作るということです 264 00:12:42,565 --> 00:12:44,355 ほんとうにクレージーな連中です— 265 00:12:44,379 --> 00:12:45,415 (笑) 266 00:12:45,439 --> 00:12:47,002 いい意味で 267 00:12:48,993 --> 00:12:50,756 我々がやっているのは 268 00:12:50,780 --> 00:12:52,934 従来のレーシングカーの車体に 269 00:12:52,934 --> 00:12:54,909 神経系を組み込むということです 270 00:12:54,909 --> 00:12:57,305 何十というセンサーを取り付け 271 00:12:57,305 --> 00:13:00,464 世界第一級のドライバーに 運転してもらい 272 00:13:00,464 --> 00:13:03,951 砂漠を1週間 狂ったように走り回るのです 273 00:13:03,975 --> 00:13:05,290 車の神経系が 274 00:13:05,290 --> 00:13:07,836 車に起きたことを すべて捕らえます 275 00:13:07,836 --> 00:13:10,617 データポイントの数は 40億にもなります 276 00:13:10,641 --> 00:13:12,925 車が受けたあらゆる力を 記録しています 277 00:13:12,925 --> 00:13:15,034 それからクレージーなことをしました 278 00:13:15,268 --> 00:13:16,752 そうやって得たデータを 279 00:13:16,752 --> 00:13:20,858 Dreamcatcherという デザイン生成AIに入力します 280 00:13:21,270 --> 00:13:26,308 デザインツールに神経系を与えて 究極の車体を作れと言ったら 281 00:13:26,308 --> 00:13:28,140 何ができるのでしょう? 282 00:13:28,723 --> 00:13:30,876 こんなものが得られます 283 00:13:32,293 --> 00:13:36,006 これは人間には決して デザインできないようなものです 284 00:13:36,707 --> 00:13:38,595 デザイン生成AIと 285 00:13:38,619 --> 00:13:42,232 デジタル神経系で 拡張された人間によって 286 00:13:42,232 --> 00:13:44,183 デザインされたもので 287 00:13:44,207 --> 00:13:47,372 ロボットで実際に 製造することができます 288 00:13:47,680 --> 00:13:51,275 そういう「拡張の時代」が 我々の未来であり 289 00:13:51,299 --> 00:13:55,554 人間が知的・肉体的・認知的に 拡張されるのだとしたら 290 00:13:55,554 --> 00:13:57,532 いったい どんなことになるのか? 291 00:13:57,576 --> 00:14:00,897 そのおとぎの国は どんな風になるのでしょう? 292 00:14:00,921 --> 00:14:02,504 来る世界では 293 00:14:02,504 --> 00:14:04,736 物は製造されるより 294 00:14:04,736 --> 00:14:07,401 栽培されるようになるでしょう 295 00:14:08,159 --> 00:14:10,706 建築されるよりは 296 00:14:10,706 --> 00:14:13,660 育てられるようになるでしょう 297 00:14:14,134 --> 00:14:16,196 孤立したものから 298 00:14:16,196 --> 00:14:18,226 繋がったものへと 299 00:14:18,634 --> 00:14:20,459 採掘から 300 00:14:20,459 --> 00:14:23,262 集積へと変わるでしょう 301 00:14:23,917 --> 00:14:26,678 服従を求めるより 302 00:14:26,678 --> 00:14:29,619 自律を尊ぶようになるでしょう 303 00:14:30,390 --> 00:14:32,415 拡張された能力によって 304 00:14:32,439 --> 00:14:35,206 世界は劇的に 変わるでしょう 305 00:14:35,206 --> 00:14:38,786 世界はもっと多様で 繋がっていて 306 00:14:38,796 --> 00:14:41,017 ダイナミックで 複雑で 307 00:14:41,017 --> 00:14:43,419 適応的で そしてもちろん — 308 00:14:43,419 --> 00:14:45,256 より美しいものになります 309 00:14:45,256 --> 00:14:46,795 未来に現れるものの姿は 310 00:14:46,819 --> 00:14:49,109 見たこともないものに なるでしょう 311 00:14:49,133 --> 00:14:50,986 なぜなら それらを形作るのは 312 00:14:50,986 --> 00:14:55,001 テクノロジーと 自然と 人間による 313 00:14:55,001 --> 00:14:58,085 新しい共同関係だからです 314 00:14:59,169 --> 00:15:03,083 それは楽しみに待つ価値のある 未来に思えます 315 00:15:03,108 --> 00:15:04,223 ありがとうございました 316 00:15:04,225 --> 00:15:07,183 (拍手)