1 00:00:01,928 --> 00:00:03,500 (マーク・ミスキン) これはワムシです 2 00:00:03,524 --> 00:00:06,698 微生物で 大きさは 髪の毛の太さぐらいです 3 00:00:06,722 --> 00:00:10,408 海水 淡水 地球上のあらゆる所に 生息しています 4 00:00:10,432 --> 00:00:12,673 このワムシは食べ物を探しています 5 00:00:13,609 --> 00:00:16,050 これを初めて見たのは 8歳ぐらいの時のことで 6 00:00:16,050 --> 00:00:18,130 とても衝撃的でした 7 00:00:18,130 --> 00:00:20,196 この素晴らしい 小さな生き物は 8 00:00:20,196 --> 00:00:22,180 狩りをして 泳いで 9 00:00:22,180 --> 00:00:23,589 生活しているのです 10 00:00:23,613 --> 00:00:27,063 でもワムシの世界全体は 1滴の池の水の中に収まります 11 00:00:28,251 --> 00:00:31,653 (ポール・マキューエン)小さなワムシは 本当に凄いことを教えてくれます 12 00:00:31,677 --> 00:00:33,725 このような機械が造れるのだと― 13 00:00:33,749 --> 00:00:37,134 機能的で 複雑で 賢く 14 00:00:37,158 --> 00:00:39,676 しかも非常に小さくまとまり 15 00:00:39,700 --> 00:00:42,785 目に見えないくらい 小さい機械ができるはずなのです 16 00:00:44,134 --> 00:00:47,479 技術者としての私は 本当に感心してしまいます 17 00:00:47,503 --> 00:00:49,640 こんな生き物が創造出来るなんて 18 00:00:50,309 --> 00:00:54,248 感心する一方で 正直 少し羨ましい気持ちもあります 19 00:00:54,578 --> 00:00:57,692 自然界に出来るんだから 私達にだって出来るはず 20 00:00:58,518 --> 00:01:00,488 私達が小さなロボットを 造れないはずはない 21 00:01:01,205 --> 00:01:03,587 このアイデアを思いついたのは 私だけではありません 22 00:01:03,611 --> 00:01:06,270 実際 この数年の間に 23 00:01:06,294 --> 00:01:11,350 世界中の研究者が 小さなロボットを造ろうとしています 24 00:01:11,370 --> 00:01:14,200 目に見えないほど小さい物です 25 00:01:14,790 --> 00:01:16,878 今日私達がお話しするのは 26 00:01:16,902 --> 00:01:18,750 コーネル大学での試みと 27 00:01:18,774 --> 00:01:21,082 ペンシルバニア大学での試みです 28 00:01:21,106 --> 00:01:23,461 小さなロボットを 造ろうとしています 29 00:01:24,064 --> 00:01:25,896 とにかく それがゴールです 30 00:01:26,523 --> 00:01:27,875 どうすればいいのか 31 00:01:28,503 --> 00:01:31,319 どうやって小さなロボットを 造ればいいのか 32 00:01:31,319 --> 00:01:35,115 パブロ・ピカソが 最初のヒントをくれました 33 00:01:35,651 --> 00:01:36,804 ピカソ曰く― 34 00:01:36,828 --> 00:01:38,848 [良い芸術家は真似をするが 偉大な芸術家は盗む] 35 00:01:38,872 --> 00:01:39,841 (笑) 36 00:01:39,865 --> 00:01:42,332 「良い芸術家は真似をするが 偉大な芸術家は盗む」 37 00:01:42,356 --> 00:01:43,764 (笑) 38 00:01:43,788 --> 00:01:46,255 何から盗むのでしょうか 39 00:01:46,279 --> 00:01:47,527 信じ難いかもしれませんが 40 00:01:47,551 --> 00:01:51,626 小さなロボット造りに必要な 技術は 既に存在しています 41 00:01:52,208 --> 00:01:55,121 半導体業界はどんどん進歩していて 42 00:01:55,145 --> 00:01:57,275 ますます小さなデバイスを 生み出しています 43 00:01:57,299 --> 00:02:01,176 現時点では 100万ほどのトランジスタを 44 00:02:01,200 --> 00:02:06,067 単細胞生物のゾウリムシが入る程の 大きさに収めることができます 45 00:02:07,120 --> 00:02:09,260 電子部品だけではなく 46 00:02:09,284 --> 00:02:11,108 小さなセンサーや 47 00:02:11,132 --> 00:02:12,303 LEDや 48 00:02:12,327 --> 00:02:16,271 通信に必要な物全てを 見えない程小さくまとめることが可能です 49 00:02:16,961 --> 00:02:18,551 そこで造ることにしました 50 00:02:18,575 --> 00:02:20,420 そういった技術を盗むのです 51 00:02:20,762 --> 00:02:21,937 これがロボットです 52 00:02:21,961 --> 00:02:23,583 (笑) 53 00:02:23,607 --> 00:02:25,783 ロボットには 2つの部位があります 54 00:02:25,807 --> 00:02:27,830 頭と脚です 55 00:02:27,854 --> 00:02:29,066 [頭脳を盗む] 56 00:02:29,090 --> 00:02:31,553 (笑) 57 00:02:32,512 --> 00:02:35,389 これを 脚なしロボットと呼びます 58 00:02:35,413 --> 00:02:37,045 変な名前かもしれませんが 59 00:02:37,069 --> 00:02:39,775 脚がなくても結構いけてます 60 00:02:39,799 --> 00:02:43,064 実際 ほとんどの人が 今も脚なしロボットを持っています 61 00:02:43,571 --> 00:02:47,533 スマホは世界で最も成功した 脚なしロボットです 62 00:02:48,204 --> 00:02:51,599 たった15年で 世界中を席巻しました 63 00:02:52,009 --> 00:02:53,242 当然ですよね 64 00:02:53,266 --> 00:02:55,525 非常に美しい小さな機械です 65 00:02:55,549 --> 00:02:57,145 驚くほどの知性を持ち 66 00:02:57,169 --> 00:02:59,197 高度な通信技術も備えています 67 00:02:59,221 --> 00:03:02,057 しかも片手に収まるのです 68 00:03:02,517 --> 00:03:05,244 こんな物を造りたいのです 69 00:03:05,268 --> 00:03:07,351 ただ 細胞ぐらいのサイズで 70 00:03:07,375 --> 00:03:08,823 ゾウリムシの大きさにしたい 71 00:03:09,165 --> 00:03:10,587 これです 72 00:03:10,611 --> 00:03:13,240 これが 細胞サイズのスマホです 73 00:03:13,264 --> 00:03:15,349 見た目は スマホと同じですが 74 00:03:15,373 --> 00:03:18,437 大きさは約1万分の1です 75 00:03:18,461 --> 00:03:20,350 「OWIC」と言います 76 00:03:20,374 --> 00:03:23,283 [光無線集積回路] 77 00:03:23,307 --> 00:03:25,245 宣伝しているわけではありませんよ 78 00:03:25,269 --> 00:03:27,681 (笑) 79 00:03:28,310 --> 00:03:30,222 これだけでも素晴らしい物です 80 00:03:30,246 --> 00:03:32,472 OWICには いくつもの部品があります 81 00:03:32,496 --> 00:03:34,009 上から見ていきましょう 82 00:03:34,033 --> 00:03:36,989 小さな太陽電池があり デバイスに光を当てると 83 00:03:36,989 --> 00:03:39,186 中央にある小さな回路が 反応します 84 00:03:39,486 --> 00:03:42,543 この回路は非常に小さなLEDを 動かすことができます 85 00:03:42,567 --> 00:03:46,038 LEDが点滅すると OWICと通信できます 86 00:03:46,062 --> 00:03:47,454 スマホとは異なり 87 00:03:47,478 --> 00:03:49,206 OWICは光を使って通信します 88 00:03:49,230 --> 00:03:51,775 いわば小さなホタルです 89 00:03:52,342 --> 00:03:54,779 OWICが非常に優れているのは 90 00:03:54,803 --> 00:03:56,546 1つ1つ造るわけではなく 91 00:03:56,570 --> 00:03:58,298 ハンダ付けが不要なことです 92 00:03:58,639 --> 00:04:00,886 大規模に並行して造るのです 93 00:04:00,910 --> 00:04:03,286 例えば 約100万個のOWICを 94 00:04:03,310 --> 00:04:06,266 1枚の4インチウエハーに 搭載できます 95 00:04:06,290 --> 00:04:08,395 スマホに色々なアプリを 入れられるように 96 00:04:08,419 --> 00:04:10,245 色々なOWICを搭載できます 97 00:04:10,269 --> 00:04:12,054 電圧を測定する物 98 00:04:12,054 --> 00:04:13,512 気温を測定する物 99 00:04:13,512 --> 00:04:17,621 小さなライトを点滅させて 見つけやすくしてくれる物など 100 00:04:17,645 --> 00:04:20,886 小さいけど すごいのです 101 00:04:21,385 --> 00:04:24,420 もう少し詳しくご説明しますが 102 00:04:24,444 --> 00:04:27,310 その前に お話ししたいことがあります 103 00:04:27,334 --> 00:04:30,798 1セント硬貨について あまり知られてないことです 104 00:04:30,822 --> 00:04:32,789 これは古い1セント硬貨です 105 00:04:32,813 --> 00:04:35,173 裏はリンカーン記念館です 106 00:04:35,187 --> 00:04:37,310 まず ご存知でないと思われるのは 107 00:04:37,334 --> 00:04:40,274 拡大すると その中央に 108 00:04:40,298 --> 00:04:42,154 リンカーンが見えることです 109 00:04:42,178 --> 00:04:45,050 この近くにある 実際のリンカーン記念館と同じです 110 00:04:45,074 --> 00:04:46,861 絶対にご存知ないことは 111 00:04:46,885 --> 00:04:49,111 さらに拡大すると 112 00:04:49,135 --> 00:04:50,579 (笑) 113 00:04:50,603 --> 00:04:54,660 リンカーンの胸元に OWICがあることです 114 00:04:54,684 --> 00:04:57,258 (笑) 115 00:04:57,282 --> 00:04:58,948 すごいのは 116 00:04:58,972 --> 00:05:02,301 一日中見つめていても 絶対に見えないのです 117 00:05:03,377 --> 00:05:05,208 裸眼では見えません 118 00:05:05,232 --> 00:05:06,814 OWICは非常に小さく 119 00:05:06,838 --> 00:05:09,329 このように並行生産するので 120 00:05:09,353 --> 00:05:12,319 OWICは1個あたり 1セントもかからないのです 121 00:05:13,260 --> 00:05:16,672 このデモで最も高価なのは ステッカーです 122 00:05:16,696 --> 00:05:18,013 「OWIC」と書いてあります 123 00:05:18,037 --> 00:05:20,994 (笑) 124 00:05:22,879 --> 00:05:24,932 ステッカーの値段は約8セントです 125 00:05:24,956 --> 00:05:26,596 (笑) 126 00:05:28,266 --> 00:05:31,565 こういった物にワクワクするのには 色々と理由があります 127 00:05:31,589 --> 00:05:34,756 例えば セキュリティーのための スマート・タグとしても使えます 128 00:05:34,780 --> 00:05:36,732 指紋よりも正確に 本人を特定できます 129 00:05:36,756 --> 00:05:39,284 実際にOWICを 他の医療機器の中に入れて 130 00:05:39,284 --> 00:05:40,759 情報を提供しています 131 00:05:40,759 --> 00:05:43,179 脳内に埋め込むことも検討中です 132 00:05:43,179 --> 00:05:45,494 個別のニューロンを 把握するためです 133 00:05:45,591 --> 00:05:48,444 ただ OWICには ひとつだけ問題があります 134 00:05:49,574 --> 00:05:50,880 ロボットではないのです 135 00:05:50,904 --> 00:05:52,240 頭しかありません 136 00:05:52,264 --> 00:05:53,383 (笑) 137 00:05:53,407 --> 00:05:55,256 だって そうですよね 138 00:05:55,280 --> 00:05:58,459 脚がないロボットなんて ロボットとは言えません 139 00:05:59,553 --> 00:06:02,314 脚がないということは 何もないと同然ですから 140 00:06:02,837 --> 00:06:06,136 (マーク)さて ロボットを造るなら 脚も必要ですね 141 00:06:06,160 --> 00:06:10,528 でも ここでは単に既存の技術を 盗む訳にいきません 142 00:06:10,552 --> 00:06:14,970 小さなロボットに脚を付けたければ アクチュエータという駆動装置が必要です 143 00:06:14,994 --> 00:06:17,472 これには 色々と要件があります 144 00:06:17,486 --> 00:06:19,416 低電圧であること 145 00:06:19,440 --> 00:06:20,955 低電力でもあること 146 00:06:20,979 --> 00:06:23,040 それから 一番大切なのは  小さいこと 147 00:06:23,064 --> 00:06:26,764 細胞サイズのロボットなので 脚も細胞サイズでないといけない 148 00:06:26,788 --> 00:06:28,518 誰もそんなものを 作ったことがなく 149 00:06:28,542 --> 00:06:31,919 要求を全て満たす 既存の技術はありませんでした 150 00:06:31,943 --> 00:06:34,405 小さなロボットの脚を造るためには 151 00:06:34,429 --> 00:06:35,929 新たに造る必要がありました 152 00:06:35,953 --> 00:06:37,595 そこで これを造りました 153 00:06:37,619 --> 00:06:40,346 これはアクチュエータで 電圧をかけているところです 154 00:06:40,370 --> 00:06:43,586 そうすると ご覧の通り 丸まります 155 00:06:43,610 --> 00:06:45,305 大したことないと思うでしょうが 156 00:06:45,329 --> 00:06:48,724 赤血球をスクリーンに写すと こんなに大きいのです 157 00:06:48,734 --> 00:06:51,047 丸まっている部分は 驚くほど小さいのです 158 00:06:51,047 --> 00:06:52,437 こんなに小さいのに 159 00:06:52,461 --> 00:06:56,249 このデバイスは問題なく曲がったり 伸びたりして 壊れません 160 00:06:56,273 --> 00:06:57,426 どうやって造るのか? 161 00:06:57,450 --> 00:06:59,607 アクチュエータは プラチナの層から造ります 162 00:06:59,631 --> 00:07:01,362 原子10個分ほどの厚さです 163 00:07:01,386 --> 00:07:03,794 プラチナを水に入れて 164 00:07:03,831 --> 00:07:05,447 電圧をかけると 165 00:07:05,471 --> 00:07:07,512 水の原子が プラチナの表面から 離れたり くっついたりします 166 00:07:07,512 --> 00:07:08,926 水の原子が プラチナの表面から 離れたり くっついたりします 167 00:07:08,926 --> 00:07:10,759 かける電圧によって変わります 168 00:07:10,783 --> 00:07:12,310 これが力となるので 169 00:07:12,324 --> 00:07:15,284 この力を使って 電圧で作動制御ができます 170 00:07:15,308 --> 00:07:18,437 ここで大切だったのは すべてを超薄くすることでした 171 00:07:18,459 --> 00:07:20,227 薄ければ アクチュエータが柔軟なので 172 00:07:20,251 --> 00:07:22,018 小さく曲げても壊れず 173 00:07:22,038 --> 00:07:23,796 僅かな力でも動きます 174 00:07:23,840 --> 00:07:26,768 たった1つの原子層の着脱の力で 十分なのです 175 00:07:26,872 --> 00:07:29,310 これも1つずつ造る必要はありません 176 00:07:29,363 --> 00:07:33,480 実際 OWICと同様に 並行して大量に生産できます 177 00:07:33,504 --> 00:07:35,931 こちらは約数千個の アクチュエータで 178 00:07:35,955 --> 00:07:38,198 電圧をかけるだけで 179 00:07:38,222 --> 00:07:39,862 全部が波打ちます 180 00:07:39,886 --> 00:07:43,443 まるで未来のロボット軍団の脚のようですね 181 00:07:43,467 --> 00:07:45,551 (笑) 182 00:07:46,170 --> 00:07:48,913 これで頭も脚も揃いました 183 00:07:48,937 --> 00:07:51,376 頭脳もアクチュエータも確保しました 184 00:07:51,400 --> 00:07:52,733 OWICが頭脳です 185 00:07:52,737 --> 00:07:55,173 OWICには センサーと動力源があり 186 00:07:55,197 --> 00:07:58,052 双方向の光通信システムがあります 187 00:07:58,076 --> 00:07:59,766 プラチナ層が脚で 188 00:07:59,790 --> 00:08:01,711 ロボットを動かしてくれます 189 00:08:01,720 --> 00:08:04,039 これで 2つの部分をくっつけて 190 00:08:04,069 --> 00:08:06,532 小さな 小さなロボットを 造り始められます 191 00:08:06,556 --> 00:08:09,033 最初は 単純な物を造りました 192 00:08:09,069 --> 00:08:11,458 このロボットは ユーザー制御で歩き回ります 193 00:08:11,474 --> 00:08:14,482 中央に太陽電池があり 配線が繋がっています 194 00:08:14,510 --> 00:08:15,861 これがOWICです 195 00:08:15,885 --> 00:08:18,449 プラチナ層を付けた 2本の脚に繋がっていて 196 00:08:18,465 --> 00:08:20,467 上に載せた硬いパネルで 197 00:08:20,485 --> 00:08:22,896 脚の曲がり具合や形を 指示します 198 00:08:23,186 --> 00:08:26,019 特定の太陽電池に レーザーを照射し 199 00:08:26,033 --> 00:08:28,008 どの脚を動かすかを選択すると 200 00:08:28,022 --> 00:08:30,628 ロボットが歩き回ります 201 00:08:30,652 --> 00:08:32,609 当然 これらも1つずつ造らず 202 00:08:32,623 --> 00:08:35,169 並行して大量に生産します 203 00:08:35,189 --> 00:08:38,654 1枚の4インチウエハー上に 約100万のロボットを造れます 204 00:08:38,878 --> 00:08:41,422 例えば この左側の画像に 写っているチップに 205 00:08:41,461 --> 00:08:44,415 約1万個のロボットが 搭載されています 206 00:08:44,439 --> 00:08:46,120 私たちの世界はマクロですので 207 00:08:46,144 --> 00:08:49,172 新しいマイクロプロセッサかと 思うでしょう 208 00:08:49,196 --> 00:08:52,030 でも このチップを顕微鏡で見ると 209 00:08:52,045 --> 00:08:55,898 何千もの小さなロボットが見えるのです 210 00:08:56,410 --> 00:08:58,059 ロボットはまだ固定され 211 00:08:58,059 --> 00:09:00,224 ウエハー表面に付着したままです 212 00:09:00,233 --> 00:09:02,865 歩き回るためには 解放する必要があります 213 00:09:02,879 --> 00:09:07,415 ロボット軍団を解放するところを ライブでお見せしたかったのですが 214 00:09:07,439 --> 00:09:10,339 そのためには非常に危険な 化学物質が必要です 215 00:09:10,363 --> 00:09:13,120 本当に危険な物質です 216 00:09:13,144 --> 00:09:15,677 しかも ここはホワイトハウスまで たった1.6キロ程 217 00:09:15,701 --> 00:09:18,109 だから ダメだと言われました 218 00:09:18,133 --> 00:09:19,291 そこでー 219 00:09:19,315 --> 00:09:21,245 (笑) 220 00:09:21,269 --> 00:09:24,464 代わりにビデオをお見せします(笑) 221 00:09:25,072 --> 00:09:28,174 ここに写っているのは ロボット展開の最終段階です 222 00:09:28,194 --> 00:09:29,566 化学物質を使って 223 00:09:29,590 --> 00:09:31,854 ロボットの下の基板を エッチングします 224 00:09:31,884 --> 00:09:35,397 基板が溶解すると ロボットは解き放たれ 最終的な形になります 225 00:09:35,409 --> 00:09:38,152 ご覧の通り 収率は約90%ですので 226 00:09:38,176 --> 00:09:40,809 造った1万個のロボットの ほとんど全部が 227 00:09:40,833 --> 00:09:43,681 展開・制御可能になるのです 228 00:09:43,705 --> 00:09:46,564 このロボットは 色々な所で使えます 229 00:09:46,584 --> 00:09:49,667 左側の動画をご覧いただくと 水の中にロボットがあります 230 00:09:49,675 --> 00:09:53,629 ピペットを使えば 全部吸い上げることができます 231 00:09:54,571 --> 00:09:56,810 ピペットから 再度ロボットを放出しても 232 00:09:56,823 --> 00:09:58,096 皆 大丈夫です 233 00:09:58,120 --> 00:10:00,138 ロボットは非常に小さいので 234 00:10:00,162 --> 00:10:04,132 最も細い皮下注射針も 通ることができます 235 00:10:04,160 --> 00:10:06,244 もし お望みなら 236 00:10:06,268 --> 00:10:08,597 ロボットを沢山注射することも可能です 237 00:10:08,621 --> 00:10:10,287 (笑) 238 00:10:10,733 --> 00:10:12,388 試してもいいみたいですね 239 00:10:12,412 --> 00:10:14,087 (笑) 240 00:10:15,274 --> 00:10:17,980 右側は 池の水の中に入れたロボットです 241 00:10:18,004 --> 00:10:20,285 ちょっとだけお待ちください 242 00:10:20,309 --> 00:10:22,133 わっ! 243 00:10:22,157 --> 00:10:26,385 見えましたか? サメではなく ゾウリムシでした 244 00:10:26,409 --> 00:10:28,886 こんな世界で生きているのです 245 00:10:28,910 --> 00:10:30,307 それはいいとして 246 00:10:30,311 --> 00:10:32,570 まだ知りたいことが残っていますね 247 00:10:32,594 --> 00:10:34,410 「実際に歩くの?」 248 00:10:34,434 --> 00:10:38,726 歩けるという話でしたよね 実際に確かめてみましょう 249 00:10:38,750 --> 00:10:41,317 ロボットの中央に 太陽電池があります 250 00:10:41,337 --> 00:10:42,887 小さな長方形です 251 00:10:42,921 --> 00:10:46,075 スライドの一番上の太陽電池を ご覧ください 252 00:10:46,089 --> 00:10:48,953 小さい白い点が見えますよね? レーザーの点です 253 00:10:48,977 --> 00:10:51,692 レーザーを切り換えると どうなるかご覧ください 254 00:10:51,716 --> 00:10:53,758 ロボットの別の太陽電池に当てます 255 00:10:57,567 --> 00:10:59,000 さあ 動いた! 256 00:10:59,024 --> 00:11:01,497 (拍手) 257 00:11:01,521 --> 00:11:02,697 やった! 258 00:11:02,721 --> 00:11:06,756 (拍手) 259 00:11:08,469 --> 00:11:11,137 ロボットがミクロの世界を 行進して行きます 260 00:11:11,613 --> 00:11:13,662 この動画で ご覧いただきたいのは 261 00:11:13,676 --> 00:11:16,771 私が実際にロボットを 動かしている点です 262 00:11:16,795 --> 00:11:21,999 6ヶ月間 小さなロボットに レーザーを当てることが僕の仕事で 263 00:11:22,023 --> 00:11:24,186 ミクロの世界を歩かせていました 264 00:11:24,210 --> 00:11:25,729 実際に僕の仕事だったのです 265 00:11:25,753 --> 00:11:28,769 世界中で 一番カッコいい仕事でした 266 00:11:28,793 --> 00:11:30,068 (笑) 267 00:11:30,092 --> 00:11:32,409 興奮に浸っていました 268 00:11:32,433 --> 00:11:34,093 不可能を実現しているって 269 00:11:34,614 --> 00:11:37,805 驚嘆の気持ちは 初めて顕微鏡を覗いて 270 00:11:37,833 --> 00:11:40,368 ワムシを見た 子供のときと同じでした 271 00:11:40,392 --> 00:11:44,065 僕は父親で 息子がいます  今3歳です 272 00:11:44,089 --> 00:11:47,486 ある日 彼も同じように 顕微鏡を覗くでしょう 273 00:11:47,510 --> 00:11:48,913 こう考えることがあります 274 00:11:49,715 --> 00:11:51,216 息子は何を見るのだろう?と 275 00:11:51,716 --> 00:11:53,781 ミクロの世界を観察するだけでなく 276 00:11:53,805 --> 00:11:56,991 人間は 今やミクロの世界を形成する 技術を作ることができます 277 00:11:57,015 --> 00:11:59,866 ミクロと交流し 操作する 技術を作れるのです 278 00:12:00,169 --> 00:12:04,354 30年後 息子が大人になった時 その能力をどう使っているか? 279 00:12:05,334 --> 00:12:10,196 小さなロボットが 細菌と同じように 血流に住んでいるのでしょうか? 280 00:12:10,888 --> 00:12:13,220 農作物に住み 害虫駆除を しているでしょうか? 281 00:12:13,878 --> 00:12:18,093 感染症を察知したり がん細胞をやっつけているでしょうか? 282 00:12:19,952 --> 00:12:21,349 (ポール)すごいことに 283 00:12:21,373 --> 00:12:23,833 皆さんはこの革命に参加できるのです 284 00:12:23,857 --> 00:12:25,376 今から10年後に 285 00:12:25,400 --> 00:12:29,701 新しいiPhone 15x Motoか何かを 購入すると 286 00:12:29,725 --> 00:12:30,575 (笑) 287 00:12:30,595 --> 00:12:34,131 小さな瓶に入った 数千の小さなロボットがついてきて 288 00:12:34,155 --> 00:12:37,029 携帯電話のアプリで コントロールできるかもしれません 289 00:12:37,424 --> 00:12:40,620 ゾウリムシに乗りたいなら 乗ってみるのも良し 290 00:12:41,200 --> 00:12:45,480 世界最小のロボットの ダンスパーティーのDJをするも良し 291 00:12:45,504 --> 00:12:46,664 何だって できます 292 00:12:46,688 --> 00:12:47,713 (笑) 293 00:12:47,737 --> 00:12:51,591 私は その日が来るのを 楽しみにしています 294 00:12:51,615 --> 00:12:53,112 (マーク)ありがとうございました 295 00:12:53,126 --> 00:12:57,064 (拍手)