WEBVTT 00:00:00.000 --> 00:00:03.000 このような機会は 非常に特別で光栄なことです 00:00:03.000 --> 00:00:05.000 私は人生のほとんどを 00:00:05.000 --> 00:00:08.000 牢獄や刑務所で また死刑囚監房で 過ごしてきました 00:00:08.000 --> 00:00:11.000 私は人生のほとんどを 低所得者地域で過ごし 00:00:11.000 --> 00:00:14.000 絶望に満ちた環境やプロジェクトのために 捧げてきました 00:00:14.000 --> 00:00:16.000 TEDの会場で見聞きした 00:00:16.000 --> 00:00:18.000 刺激的なことは 非常に大きな力を 00:00:18.000 --> 00:00:20.000 私に与えてくれるものでした 00:00:20.000 --> 00:00:23.000 短い時間でしたが ここにいて気がついたのは 00:00:23.000 --> 00:00:26.000 TED には“アイデンティティ”があることです 00:00:26.000 --> 00:00:28.000 ここでは世界中に影響を与える 00:00:28.000 --> 00:00:30.000 意見や問題を発言できます 00:00:30.000 --> 00:00:32.000 時に TED から発信されることで 00:00:32.000 --> 00:00:34.000 さらに有意義で強力なものとなります 00:00:34.000 --> 00:00:37.000 TED からでない場合は それほど強力にはなりません NOTE Paragraph 00:00:37.000 --> 00:00:40.000 この話をするのは “アイデンティティ”が本当に重要だからです 00:00:40.000 --> 00:00:43.000 今回も素晴らしいスピーチを聞いてきました 00:00:43.000 --> 00:00:45.000 ここで目撃してきたことは 00:00:45.000 --> 00:00:47.000 もし 教師なら その発言は 意味を持ちますが 00:00:47.000 --> 00:00:49.000 もし 熱意に満ちた教師の言葉なら 00:00:49.000 --> 00:00:51.000 さらに特別な意味を持つということです 00:00:51.000 --> 00:00:53.000 もし 医師なら 世の役に 立つことができますが 00:00:53.000 --> 00:00:56.000 患者を思う医師であれば もっと役立つことができるのです 00:00:56.000 --> 00:00:59.000 “アイデンティティ”の持つ力について 少しお話しします 00:00:59.000 --> 00:01:01.000 この力が分かるようになったのは 00:01:01.000 --> 00:01:03.000 法律家として働きながらではなく 00:01:03.000 --> 00:01:06.000 実は 祖母から学びました NOTE Paragraph 00:01:06.000 --> 00:01:08.000 私は 伝統的に女家長が力を持っている 00:01:08.000 --> 00:01:10.000 典型的なアフリカ系アメリカ人家庭に 00:01:10.000 --> 00:01:12.000 育ちました 00:01:12.000 --> 00:01:14.000 私の家では 祖母が女家長でした 00:01:14.000 --> 00:01:17.000 彼女は厳しく また強く 00:01:17.000 --> 00:01:19.000 すごく力を持っていました 00:01:19.000 --> 00:01:23.000 どんな時も祖母の一言で 家族の口論が終わりました 00:01:23.000 --> 00:01:26.000 まぁ たいてい 口論を始めていたのも祖母なんですが・・・ 00:01:26.000 --> 00:01:29.000 祖母は 奴隷にされていた人々の娘でした 祖母の両親は 00:01:29.000 --> 00:01:31.000 バージニアで奴隷として産まれました 00:01:31.000 --> 00:01:33.000 祖母は1880年代に産まれ 00:01:33.000 --> 00:01:35.000 奴隷だったことの経験が 00:01:35.000 --> 00:01:38.000 祖母の世の中の見方の大部分を 形づくりました NOTE Paragraph 00:01:38.000 --> 00:01:40.000 祖母は厳しくも 愛情あふれる人でした 00:01:40.000 --> 00:01:42.000 祖母はかわいい孫の私を見るといつも 00:01:42.000 --> 00:01:44.000 そばに来て優しく抱きしめてくれました 00:01:44.000 --> 00:01:46.000 息ができないほど強く抱きしめては 00:01:46.000 --> 00:01:48.000 放してくれました  それだけでなく― 00:01:48.000 --> 00:01:50.000 1~2時間経って また祖母を見たなら 00:01:50.000 --> 00:01:53.000 私に近寄り「まだ抱かれてる 感じはあるかい?」と聞き 00:01:53.000 --> 00:01:55.000 「ううん」なら また抱きついてきて 00:01:55.000 --> 00:01:57.000 「うん」と言うと 戻っていきました 00:01:57.000 --> 00:01:59.000 祖母は いつもそばにいたいと 00:01:59.000 --> 00:02:01.000 思わせるような人でした 00:02:01.000 --> 00:02:04.000 ただ 祖母が子供を10人産んでいたことが 私の課題でした 00:02:04.000 --> 00:02:06.000 私の母は 祖母の最後の子で 私は幼く 00:02:06.000 --> 00:02:08.000 そばに行って祖母と一緒にいようにも 00:02:08.000 --> 00:02:10.000 時間と注目を得るのは難しかったのです 00:02:10.000 --> 00:02:12.000 いとこ達が所狭しと走りまわってました NOTE Paragraph 00:02:12.000 --> 00:02:15.000 そんな中でも 私が8~9才頃のあの朝ことを覚えています 00:02:15.000 --> 00:02:17.000 起床し リビングに行くと いとこ達は 00:02:17.000 --> 00:02:19.000 いつもどおり走り回っていました 00:02:19.000 --> 00:02:21.000 祖母は部屋の向こうにいて 00:02:21.000 --> 00:02:23.000 私をじっと見ていました 最初は 00:02:23.000 --> 00:02:25.000 これは何かの遊びと思っていたので 00:02:25.000 --> 00:02:27.000 祖母を見つめて 笑いましたが 00:02:27.000 --> 00:02:29.000 祖母はとても真剣な面持ちでした 00:02:29.000 --> 00:02:31.000 15~20分後でしょうか 祖母は 00:02:31.000 --> 00:02:34.000 立ち上がって 私の方に来て 00:02:34.000 --> 00:02:36.000 私の手を握りしめ こう言いました 00:02:36.000 --> 00:02:38.000 「来てブライアン  大事な話があるの」 00:02:38.000 --> 00:02:42.000 この時のことを まるで昨日のことのように 覚えています 決して忘れません 00:02:42.000 --> 00:02:44.000 祖母が誰もいない所に私を連れて行き NOTE Paragraph 00:02:44.000 --> 00:02:46.000 こう言いました 「いい これから言う 00:02:46.000 --> 00:02:48.000 大切なことは人に言わないこと」 00:02:48.000 --> 00:02:50.000 私は「うん わかった」と言いました 00:02:50.000 --> 00:02:53.000 祖母に「絶対だめよ」と念を押され 「もちろん」と答えました 00:02:53.000 --> 00:02:56.000 祖母は私を座らせ 私を見つめて 言いました 00:02:56.000 --> 00:02:58.000 「知っておいてほしいの 00:02:58.000 --> 00:03:01.000 ずっと あなたを見てきたけど 00:03:01.000 --> 00:03:04.000 きっと あなたは特別だと思う 00:03:04.000 --> 00:03:08.000 あなたはやろうと思ったことが 何でもできるようになると 思うの」 00:03:08.000 --> 00:03:11.000 決して忘れません そして NOTE Paragraph 00:03:11.000 --> 00:03:13.000 「でも3つだけ約束して」と言われ 00:03:13.000 --> 00:03:15.000 「わかった」と答えました 祖母は 00:03:15.000 --> 00:03:17.000 「1つめの約束は かあさんをずっと 00:03:17.000 --> 00:03:19.000 愛することよ」と言ってから 00:03:19.000 --> 00:03:21.000 「私のかわいい娘なの 約束して 00:03:21.000 --> 00:03:23.000 かあさんをずっと大切にするって」 00:03:23.000 --> 00:03:27.000 母を大切に思ってたから 当然私は 「ばあちゃん そうするよ」と答えました 00:03:27.000 --> 00:03:29.000 次に「2つめの約束は 00:03:29.000 --> 00:03:31.000 いつでも正しいことをすること 00:03:31.000 --> 00:03:34.000 たとえ それが難しいことでもよ」 と言いました 00:03:34.000 --> 00:03:38.000 少し考えて 私は「ばあちゃん そうするよ」 と答えました そして 00:03:38.000 --> 00:03:40.000 最後に 「3つめの約束は 00:03:40.000 --> 00:03:43.000 絶対にお酒を飲まないこと」 00:03:43.000 --> 00:03:45.000 (笑) 00:03:45.000 --> 00:03:48.000 まぁ9才だったので 「ばあちゃん そうするよ」と答えました NOTE Paragraph 00:03:48.000 --> 00:03:50.000 私は南部の田舎町で育ち 兄弟がいて 00:03:50.000 --> 00:03:53.000 1人は1才年上の兄で もう1人は1つ年下の妹です 00:03:53.000 --> 00:03:55.000 私が 14か15才のある日 兄が 00:03:55.000 --> 00:03:57.000 6本組のビールを 持って帰ってきて 00:03:57.000 --> 00:03:59.000 ―どこで手に入れたのか知りませんが― 00:03:59.000 --> 00:04:01.000 私と妹を連れて 森へ行きました 00:04:01.000 --> 00:04:04.000 ただただそこへ行き バカらしい遊びをしていました 00:04:04.000 --> 00:04:07.000 兄がビールをやりだして 妹にも渡し 妹も飲んだ後 00:04:07.000 --> 00:04:09.000 私にも ビールを勧め始めました 00:04:09.000 --> 00:04:12.000 「やめとくやめとく 2人で飲みな 僕はいいから」と言うと 00:04:12.000 --> 00:04:15.000 兄に「なんだよ いつもみんなで同じことするだろ 今日もだ 00:04:15.000 --> 00:04:17.000 俺も 妹も飲んだんだ 飲め」と言われ 00:04:17.000 --> 00:04:19.000 「悪い事だし 兄さんたちでどうぞ 」と 00:04:19.000 --> 00:04:21.000 すると兄は 私を睨みつけて 00:04:21.000 --> 00:04:24.000 「なんだってんだよ?飲めって」 そう言って兄は 00:04:24.000 --> 00:04:26.000 いよいよ睨みつけて こう言いました 00:04:26.000 --> 00:04:28.000 「まさか ばあちゃんが言ってたこと 00:04:28.000 --> 00:04:30.000 お前 気にしてんじゃないよな」 00:04:30.000 --> 00:04:32.000 (笑) 00:04:32.000 --> 00:04:34.000 私が「え なんだいそれ?」と言うと 00:04:34.000 --> 00:04:37.000 兄は「ばあちゃんは 孫全員に特別だって言ってるんだぜ」と 00:04:37.000 --> 00:04:40.000 (笑) 00:04:40.000 --> 00:04:42.000 非常にショックでした NOTE Paragraph 00:04:42.000 --> 00:04:44.000 (笑) NOTE Paragraph 00:04:44.000 --> 00:04:46.000 これから 少し告白します 00:04:46.000 --> 00:04:48.000 この場が適切かどうか悩みます 00:04:48.000 --> 00:04:50.000 この発言は広く公開されるでしょうから 00:04:50.000 --> 00:04:52.000 私は今52才です そして 00:04:52.000 --> 00:04:54.000 告白いたしますが 00:04:54.000 --> 00:04:57.000 一滴たりともお酒を飲まずにやってきました 00:04:57.000 --> 00:04:59.000 (拍手) 00:04:59.000 --> 00:05:02.000 美徳の話として告白したのではありません そうではなく 00:05:02.000 --> 00:05:06.000 この禁酒の話に “アイデンティティ”の力が語られているからです 00:05:06.000 --> 00:05:08.000 正しい“アイデンティティ”を作れば 00:05:08.000 --> 00:05:10.000 世の中で信じられていないことでも 00:05:10.000 --> 00:05:12.000 納得できるように伝えられます 00:05:12.000 --> 00:05:14.000 世の中の人ができると思えないことでも 00:05:14.000 --> 00:05:16.000 実施させるようにできるのです 00:05:16.000 --> 00:05:18.000 祖母のことを考えれば もちろん 00:05:18.000 --> 00:05:20.000 孫全員を特別と考えるでしょう 00:05:20.000 --> 00:05:23.000 祖父は 禁酒法時代には 刑務所にいました 00:05:23.000 --> 00:05:25.000 おじは 飲酒関連疾患で亡くなってます 00:05:25.000 --> 00:05:28.000 だから 祖母は 先程の3つ約束が必要と考えたのです NOTE Paragraph 00:05:28.000 --> 00:05:30.000 私自身は 刑事司法制度について 00:05:30.000 --> 00:05:32.000 意見を主張し続けてきました 00:05:32.000 --> 00:05:34.000 この国の状況は 40年前とは 00:05:34.000 --> 00:05:36.000 随分違ったことになっています 00:05:36.000 --> 00:05:39.000 1972年には 30万人が牢屋か刑務所にいました 00:05:39.000 --> 00:05:44.000 今日では 230万人が牢屋か刑務所にいます 00:05:44.000 --> 00:05:46.000 現在 アメリカ合衆国の収監率は 00:05:46.000 --> 00:05:48.000 世界で最も高いのです 00:05:48.000 --> 00:05:51.000 700万人が 保護観察中か仮釈放中です 00:05:51.000 --> 00:05:54.000 私の考えた結果では これほどの収監が行われていることで 00:05:54.000 --> 00:05:57.000 私たちの世の中は 根本から変わってしまったと断定できます 00:05:57.000 --> 00:05:59.000 貧しい地域―特に有色人種の地域―は 00:05:59.000 --> 00:06:01.000 失望や絶望に覆われています 00:06:01.000 --> 00:06:03.000 これからお話しする様々な問題が 00:06:03.000 --> 00:06:05.000 この状況を形づくっています 00:06:05.000 --> 00:06:07.000 18才から30才までの 00:06:07.000 --> 00:06:09.000 黒人の3人に1人が 00:06:09.000 --> 00:06:12.000 牢屋や刑務所にいるか 保護観察中か仮釈放中なのです 00:06:12.000 --> 00:06:14.000 一方 この国の都市部で 00:06:14.000 --> 00:06:17.000 ― ロサンゼルス フィラデルフィア ボルチモア ワシントンは― 00:06:17.000 --> 00:06:20.000 有色人種の若者の50から60パーセントが 00:06:20.000 --> 00:06:23.000 牢屋や刑務所にいるか 保護観察中か仮釈放中なのです NOTE Paragraph 00:06:23.000 --> 00:06:25.000 司法制度が歪んでいる傾向は 00:06:25.000 --> 00:06:27.000 人種に対してだけでなく 貧しい人にも 00:06:27.000 --> 00:06:29.000 不利なように形づくられています 00:06:29.000 --> 00:06:32.000 この国の司法制度は 貧しくても潔白な人よりも 00:06:32.000 --> 00:06:34.000 お金を持っている罪を犯した人に 00:06:34.000 --> 00:06:37.000 より軽い処罰を与えています 00:06:37.000 --> 00:06:40.000 罪の有無ではなく 財産によって 00:06:40.000 --> 00:06:42.000 処罰が決まるのです 00:06:42.000 --> 00:06:45.000 それなのに私たちは とても安心しきっているかのようです 00:06:45.000 --> 00:06:47.000 政治での恐怖と怒りの扱い方によって 00:06:47.000 --> 00:06:49.000 こうした司法制度の問題は 00:06:49.000 --> 00:06:52.000 私たちに関係ある問題ではないと 思わされているのです 00:06:52.000 --> 00:06:54.000 私たちは無関心になっているのです NOTE Paragraph 00:06:54.000 --> 00:06:56.000 興味深いことに 関心を持つべき事態が 00:06:56.000 --> 00:06:58.000 社会で進行するのを目撃しています 00:06:58.000 --> 00:07:00.000 私が活動する アラバマ州や多くの州では 00:07:00.000 --> 00:07:02.000 もし 刑法上有罪となったら 00:07:02.000 --> 00:07:04.000 本当に 選挙権を永久に喪失します 00:07:04.000 --> 00:07:06.000 アラバマ州では現在 00:07:06.000 --> 00:07:08.000 34パーセントの黒人男性が 00:07:08.000 --> 00:07:10.000 永久に選挙権を失ってしまった状態です 00:07:10.000 --> 00:07:12.000 私たちの予測では あと10年もすれば 00:07:12.000 --> 00:07:14.000 選挙権喪失で選挙権を持たない割合が 00:07:14.000 --> 00:07:16.000 公民権法制定時と同じくらいに 00:07:16.000 --> 00:07:18.000 なってしまうと予測しています 00:07:18.000 --> 00:07:22.000 そんな中なのに 誰も騒がないこの静けさです NOTE Paragraph 00:07:22.000 --> 00:07:24.000 普段私は子供を弁護しています 00:07:24.000 --> 00:07:26.000 依頼人の多くは とても若いのです 00:07:26.000 --> 00:07:28.000 アメリカ合衆国は 13才の子供を 00:07:28.000 --> 00:07:30.000 死ぬまで牢屋に入れる 00:07:30.000 --> 00:07:32.000 世界でたった1つの国です 00:07:32.000 --> 00:07:35.000 この国には 子供に対して 仮釈放なしの終身刑があります 00:07:35.000 --> 00:07:37.000 これに対して法廷論争を行っています 00:07:37.000 --> 00:07:39.000 こんな国は世界中でたった1つです NOTE Paragraph 00:07:39.000 --> 00:07:41.000 私は死刑囚の弁護をしています 00:07:41.000 --> 00:07:43.000 死刑の是非の問は興味深いです 00:07:43.000 --> 00:07:45.000 様々なところで 私たちは 00:07:45.000 --> 00:07:47.000 死刑の是非は 犯してしまった犯罪が 00:07:47.000 --> 00:07:50.000 死に値するかどうかを考えるものと 教えられていきました 00:07:50.000 --> 00:07:52.000 この問は非常に妥当なものですが 00:07:52.000 --> 00:07:54.000 “アイデンティティ” が どんな 00:07:54.000 --> 00:07:56.000 状況なのかを考える別の見方があります 00:07:56.000 --> 00:07:58.000 その見方とは 00:07:58.000 --> 00:08:00.000 人が死に値するかを考えるのではなく 00:08:00.000 --> 00:08:02.000 私たちが人を殺すに値しているかです 00:08:02.000 --> 00:08:04.000 非常に興味を引かれます というのも NOTE Paragraph 00:08:04.000 --> 00:08:07.000 アメリカでは 時に誤って 死刑判決が下されるからです 00:08:07.000 --> 00:08:09.000 私たちが確認した死刑囚の 9人に1人が 00:08:09.000 --> 00:08:11.000 実際には潔白な人でした 00:08:11.000 --> 00:08:14.000 その人々は容疑が晴れて 死刑から解放されました 00:08:14.000 --> 00:08:17.000 驚愕の冤罪率です 00:08:17.000 --> 00:08:20.000 9人に1人が潔白なのです 00:08:20.000 --> 00:08:22.000 非常に興味を引かれます というのも 00:08:22.000 --> 00:08:25.000 これが航空業界だとして 飛び立った9機に1機が 00:08:25.000 --> 00:08:27.000 墜落するとしたら 絶対に 00:08:27.000 --> 00:08:29.000 飛行機に人を乗せないでしょうから 00:08:29.000 --> 00:08:32.000 しかし 私たちには この問題が 耳に入らないようです 00:08:32.000 --> 00:08:34.000 私たちの問題じゃない 00:08:34.000 --> 00:08:36.000 私たちが背負うものじゃない 00:08:36.000 --> 00:08:38.000 私たちが苦しむものじゃない NOTE Paragraph 00:08:38.000 --> 00:08:40.000 私はこれらの課題を何度も話しています 00:08:40.000 --> 00:08:42.000 私は人種の問題と 私たちが人を殺すに 00:08:42.000 --> 00:08:44.000 値するかという問いを話しています 00:08:44.000 --> 00:08:46.000 アフリカ系アメリカ人の歴史を教える時 00:08:46.000 --> 00:08:48.000 生徒には奴隷制度について話します 00:08:48.000 --> 00:08:50.000 “テロ活動” つまり南部を合衆国へ 00:08:50.000 --> 00:08:52.000 再統合した時期から第二次世界大戦まで 00:08:52.000 --> 00:08:54.000 続いた“テロ活動”のことも話します 00:08:54.000 --> 00:08:56.000 実は私たちは 当時をそれほど知りません 00:08:56.000 --> 00:08:58.000 しかしアフリカ系アメリカ人には 00:08:58.000 --> 00:09:00.000 “テロ”の恐怖が特徴の時代でした 00:09:00.000 --> 00:09:02.000 多くの地域で 人々はリンチに怯え 00:09:02.000 --> 00:09:04.000 銃撃の対象になることに怯えていました 00:09:04.000 --> 00:09:06.000 “テロ”の脅威の影響をまさに受けた 00:09:06.000 --> 00:09:08.000 そんな人生を過した老人たちが来ては 00:09:08.000 --> 00:09:11.000 「先生 『アメリカ国民は 911のテロが起きてから 00:09:11.000 --> 00:09:13.000 歴史上初めてテロ行為と対抗している』 00:09:13.000 --> 00:09:16.000 と言っている人たちがいます! この人たちに話して講演して 00:09:16.000 --> 00:09:18.000 そう言うのをやめさせてください 00:09:18.000 --> 00:09:21.000 『ちがう!“テロ”の中で育ったんだ』 と伝えて」と言います 00:09:21.000 --> 00:09:23.000 この “テロ” の時代は ご存知のように 00:09:23.000 --> 00:09:25.000 この後の 人種差別や 00:09:25.000 --> 00:09:27.000 何十年もの人種による服従や 00:09:27.000 --> 00:09:29.000 隔離政策へと続いています NOTE Paragraph 00:09:29.000 --> 00:09:32.000 にもかかわらず この国には この問題に関して 00:09:32.000 --> 00:09:35.000 話したがらないという力学が働いています 00:09:35.000 --> 00:09:38.000 アメリカの過去の歴史を話したくないのです 00:09:38.000 --> 00:09:41.000 このことが 私たちが歴史上行ってきたことの意味を 00:09:41.000 --> 00:09:44.000 理解できなくしています 00:09:44.000 --> 00:09:46.000 私たちは常に衝突を続け 00:09:46.000 --> 00:09:48.000 常に緊張と対立を作りだしています 00:09:48.000 --> 00:09:51.000 私たちが人種について話すのは難しいですが 00:09:51.000 --> 00:09:55.000 私が思うに これは 真実と和解への プロセスに進んで力を捧げようと 00:09:55.000 --> 00:09:57.000 していないからです 00:09:57.000 --> 00:09:59.000 南アフリカでは 国民は自分たちが 00:09:59.000 --> 00:10:01.000 真実の発見と和解に深く関与しなければ 00:10:01.000 --> 00:10:03.000 隔離政策の克服はないと知っていました 00:10:03.000 --> 00:10:06.000 ルワンダの大量虐殺の後ですら 和解への深い関与がありましたが 00:10:06.000 --> 00:10:08.000 アメリカはまだ和解に無関心です NOTE Paragraph 00:10:08.000 --> 00:10:11.000 ある時 私はドイツで 死刑についての講演を行っていました 00:10:11.000 --> 00:10:13.000 こんな素晴らしいことがありました 00:10:13.000 --> 00:10:16.000 発表が終わった後に 学者の1人が立ち上がり言いました 00:10:16.000 --> 00:10:18.000 「あなたの話した課題を聞くのは 00:10:18.000 --> 00:10:20.000 私には非常につらいものでした」 00:10:20.000 --> 00:10:23.000 さらにこう続けました 「ドイツには死刑がありません 00:10:23.000 --> 00:10:26.000 もちろん ドイツでは 絶対死刑を設けることはありません」 00:10:26.000 --> 00:10:28.000 そして 講堂は沈黙に包まれ 00:10:28.000 --> 00:10:30.000 次に別の女性がこう言いました 00:10:30.000 --> 00:10:33.000 「歴史的な背景から 絶対にありえないことなのです 00:10:33.000 --> 00:10:35.000 ドイツではなんらかの制度によって 00:10:35.000 --> 00:10:37.000 人を殺すことに関わることはありません 00:10:37.000 --> 00:10:41.000 意図的であろうとも 慎重に行われていたとしても 00:10:41.000 --> 00:10:43.000 人間を処刑するようになるのは 00:10:43.000 --> 00:10:46.000 私たちには 非良心的で受け入れられないものです」 00:10:46.000 --> 00:10:48.000 これを聞いて私は考えました 00:10:48.000 --> 00:10:50.000 もし仮にドイツ国家が人々を処刑し 00:10:50.000 --> 00:10:52.000 処刑された人たちが 00:10:52.000 --> 00:10:55.000 ユダヤ人に偏っている そんな世界に生きているとしたら 00:10:55.000 --> 00:10:57.000 どんなふうに感じるものでしょうか 00:10:57.000 --> 00:10:59.000 私には耐えられません 00:10:59.000 --> 00:11:01.000 非良心的で受け入れられません NOTE Paragraph 00:11:01.000 --> 00:11:03.000 でも この国アメリカでは 00:11:03.000 --> 00:11:05.000 古い南部の州では 00:11:05.000 --> 00:11:07.000 私たちは 処刑を行っています 00:11:07.000 --> 00:11:09.000 ― もし被害者が黒人ではなく白人だと 00:11:09.000 --> 00:11:11.000 11倍も死刑になる可能性が高く 00:11:11.000 --> 00:11:13.000 もし容疑者が黒人で被害者が白人だと 00:11:13.000 --> 00:11:15.000 死刑になる可能性は22倍です ― 00:11:15.000 --> 00:11:17.000 これが暴行にあった人々の死体を埋めて 00:11:17.000 --> 00:11:19.000 葬ってきた南部の州で起こっています 00:11:19.000 --> 00:11:23.000 それなのに これほどにも無関心な状態なのです NOTE Paragraph 00:11:23.000 --> 00:11:27.000 私たちの“アイデンティティ”が 危険な状態にあるという確信を持っています 00:11:27.000 --> 00:11:30.000 複雑な問題が生じていることを 私たちが 00:11:30.000 --> 00:11:33.000 実際には気にしないでいると 00:11:33.000 --> 00:11:35.000 プラスに働く素晴らしいことにも 00:11:35.000 --> 00:11:38.000 影響が出てくるという確信を 私は持っています 00:11:38.000 --> 00:11:40.000 私たちは革命的なことが大好きです 00:11:40.000 --> 00:11:43.000 私たちは テクノロジーや 創造性が大好きです 00:11:43.000 --> 00:11:45.000 エンターテインメントが大好きです 00:11:45.000 --> 00:11:47.000 でも 最終的には 00:11:47.000 --> 00:11:49.000 これらを活用して掴んだ現実も 00:11:49.000 --> 00:11:52.000 人々が苦しんだり虐待され地位を下げられたり 00:11:52.000 --> 00:11:54.000 社会的に疎外される事で 00:11:54.000 --> 00:11:56.000 暗い難しい影を落とすことになります 00:11:56.000 --> 00:11:58.000 私は社会の明るい面と暗い問題面を 00:11:58.000 --> 00:12:00.000 結びつけて考える必要を感じています 00:12:00.000 --> 00:12:02.000 なぜなら最終的に私たちに必要なのは 00:12:02.000 --> 00:12:04.000 この複雑な世界に暮らすための 00:12:04.000 --> 00:12:07.000 基本的な課題に対して 希望に満ちて 00:12:07.000 --> 00:12:10.000 真剣に取り組み 献身的になることだからです 00:12:10.000 --> 00:12:13.000 私にとっての具体的な取り組みは 00:12:13.000 --> 00:12:15.000 TED に決して参加できないような 00:12:15.000 --> 00:12:18.000 貧乏で 不利益を背負った人たちのことを 考え話すことに 00:12:18.000 --> 00:12:20.000 時間を費やすことを意味しています 00:12:20.000 --> 00:12:22.000 また そうした人も私たちの世の中と 00:12:22.000 --> 00:12:24.000 結びついていると考える取り組みです NOTE Paragraph 00:12:24.000 --> 00:12:28.000 究極的には これまで見たことの無いものでも 信じざるを得ないものがあります 00:12:28.000 --> 00:12:32.000 私たちが合理的 また知性的であろうと 取り組んでいるのと同じように 00:12:32.000 --> 00:12:34.000 改革 創造性 革新は 00:12:34.000 --> 00:12:36.000 心の中のアイデアだけで 00:12:36.000 --> 00:12:38.000 出来あがっているのではありません 00:12:38.000 --> 00:12:41.000 私たちの思いが持つ信念に 動かされているような 00:12:41.000 --> 00:12:43.000 心の中のアイデアから 00:12:43.000 --> 00:12:45.000 改革 創造性 革新が起こります 00:12:45.000 --> 00:12:47.000 この心と思いの繋がりこそが 00:12:47.000 --> 00:12:49.000 私たちを華やかで輝かしいものだけに 00:12:49.000 --> 00:12:51.000 注意を向けさせるのではなく 00:12:51.000 --> 00:12:54.000 暗く難しいものにも注意を向けさせて 00:12:54.000 --> 00:12:57.000 いくものと信じています 00:12:57.000 --> 00:13:00.000 チェコのリーダー ヴァーツラフ・ハヴェルはこう言います 00:13:00.000 --> 00:13:03.000 「東ヨーロッパにいて 反対派を相手にしているときは 00:13:03.000 --> 00:13:05.000 全てのものが欲しいと思ったが 00:13:05.000 --> 00:13:07.000 でも本当に必要だったのは 00:13:07.000 --> 00:13:09.000 希望と 魂の導きと 00:13:09.000 --> 00:13:11.000 絶望的な状況にあって目撃者となる 00:13:11.000 --> 00:13:13.000 勇気だったのです」 NOTE Paragraph 00:13:13.000 --> 00:13:15.000 この 魂のあり方というものは 00:13:15.000 --> 00:13:18.000 TED コミュニティでさえも関わって行くべき 00:13:18.000 --> 00:13:20.000 核心的なものと 00:13:20.000 --> 00:13:22.000 私は信じています 00:13:22.000 --> 00:13:24.000 私たちが 苦しみ 貧困 疎外 不公平 00:13:24.000 --> 00:13:27.000 そして “不公正”に注意を払って初めて 00:13:27.000 --> 00:13:29.000 私たちを健全な人間であるようにする 00:13:29.000 --> 00:13:32.000 新しいテクノロジーやデザインについても 00:13:32.000 --> 00:13:35.000 無関心な状態がなくなるのです 00:13:35.000 --> 00:13:37.000 注意していただきたのは 00:13:37.000 --> 00:13:39.000 こんな“アイデンティティ”を持つのは 00:13:39.000 --> 00:13:42.000 “不公正” に注意を払わない “アイデンティティ” を 00:13:42.000 --> 00:13:44.000 持つのと比べると非常に困難なものです 00:13:44.000 --> 00:13:46.000 やってみればそのうちわかります NOTE Paragraph 00:13:46.000 --> 00:13:49.000 新人の弁護士のころ 光栄にもローザ・パークス氏に会いました 00:13:49.000 --> 00:13:52.000 パークス氏は時々 モンゴメリーに戻ってきていて 00:13:52.000 --> 00:13:54.000 彼女の2人の親友に会いに来てました 00:13:54.000 --> 00:13:56.000 バス・ボイコットを組織した 00:13:56.000 --> 00:13:58.000 素晴らしいアフリカ系アメリカ人女性 00:13:58.000 --> 00:14:00.000 ジョニー・カー氏と 00:14:00.000 --> 00:14:02.000 白人でキング牧師の弁護士をした 00:14:02.000 --> 00:14:04.000 クリフォード・ダーを夫とする 00:14:04.000 --> 00:14:06.000 バージニア・ダー氏でした 00:14:06.000 --> 00:14:09.000 この2人はときどき会っては 普通の話をしていたのです NOTE Paragraph 00:14:09.000 --> 00:14:11.000 この女性 カー氏が電話をくださり 00:14:11.000 --> 00:14:14.000 「パークスさんがこの街にくるから 夫婦で会いに行くけど 00:14:14.000 --> 00:14:16.000 一緒に聞きたい?」と言われたので 00:14:16.000 --> 00:14:18.000 「もちろん 伺いたいです」と答えると 00:14:18.000 --> 00:14:20.000 「でも何をしに来るの」と言われたので 00:14:20.000 --> 00:14:22.000 「聞きたいのです」と答えました 00:14:22.000 --> 00:14:24.000 お邪魔して話をただ聞きたかったのです 00:14:24.000 --> 00:14:26.000 力や活力を得られるでしょうから NOTE Paragraph 00:14:26.000 --> 00:14:29.000 そして 訪問して この女性たちの話を聞いていました 00:14:29.000 --> 00:14:31.000 数時間後 パークス氏はこちらを向き 00:14:31.000 --> 00:14:34.000 「ブライアン “平等な正義”運動について教えて 00:14:34.000 --> 00:14:36.000 何をするつもりなの?」と尋ねたので 00:14:36.000 --> 00:14:38.000 ペラペラと話し始めました 00:14:38.000 --> 00:14:40.000 「不公正な司法に挑戦します 00:14:40.000 --> 00:14:42.000 間違って有罪になった人を救い 00:14:42.000 --> 00:14:44.000 刑法を執行する当局に存在する 00:14:44.000 --> 00:14:46.000 偏見と差別に立ち向かおうとしています 00:14:46.000 --> 00:14:49.000 子供への仮保釈なしでの死刑宣告を 廃止しようとしています 00:14:49.000 --> 00:14:51.000 死刑そのものも変えるつもりです 00:14:51.000 --> 00:14:53.000 刑務所に入る人々を減らし 00:14:53.000 --> 00:14:55.000 大量収監を終わらせるのです」 NOTE Paragraph 00:14:55.000 --> 00:14:57.000 ペラペラ話し終えると 彼女は私を見て 00:14:57.000 --> 00:15:00.000 「ふぅん へぇ そうなの 00:15:00.000 --> 00:15:03.000 それはと~っても疲れちゃうわねぇ」 00:15:03.000 --> 00:15:05.000 (笑) 00:15:05.000 --> 00:15:07.000 そして 彼女は指さして念を押しながら 00:15:07.000 --> 00:15:13.000 「だったら すご~く 勇敢じゃないとね」 と言いました NOTE Paragraph 00:15:13.000 --> 00:15:16.000 TED コミュニティはもっと勇敢になる必要があると 00:15:16.000 --> 00:15:18.000 信じています 00:15:18.000 --> 00:15:20.000 まずは これらの課題や 00:15:20.000 --> 00:15:22.000 問題や苦しみを受け入れる方法を 00:15:22.000 --> 00:15:24.000 探す必要があります 00:15:24.000 --> 00:15:27.000 究極的には 私たちの人間性は 00:15:27.000 --> 00:15:29.000 全員の人間性次第だからです 00:15:29.000 --> 00:15:31.000 弁護をして 単純なことが分かりました 00:15:31.000 --> 00:15:33.000 自然と分かるようになったのです 00:15:33.000 --> 00:15:36.000 私たちそれぞれが 最悪のことをしてしまったとしても 00:15:36.000 --> 00:15:38.000 ただそれだけの存在ではないと気づき 00:15:38.000 --> 00:15:40.000 そう信じるようになったのです 00:15:40.000 --> 00:15:43.000 この地球上のだれもが そういう存在だと信じています 00:15:43.000 --> 00:15:46.000 もし嘘をついた人がいても 単に嘘つきとは考えません 00:15:46.000 --> 00:15:48.000 もし他人の持ち物を盗んだ人がいても 00:15:48.000 --> 00:15:50.000 単に泥棒とは考えません 00:15:50.000 --> 00:15:53.000 もし殺人をした人がいても 単に殺人者とは考えません 00:15:53.000 --> 00:15:56.000 基本的な人間の尊厳があり その尊厳は法律によって― 00:15:56.000 --> 00:15:58.000 守られなければならないからです 00:15:58.000 --> 00:16:00.000 他にも この国の多くの地域で 00:16:00.000 --> 00:16:02.000 またもちろん地球の多くの地域で 00:16:02.000 --> 00:16:06.000 貧困の正反対に位置するのは富ではない という世界になっていると 00:16:06.000 --> 00:16:08.000 確信しています 00:16:08.000 --> 00:16:10.000 貧富の世界ではないのです 00:16:10.000 --> 00:16:13.000 私の考えでは 多くの場所で 00:16:13.000 --> 00:16:16.000 貧困の反対に位置して遠いのは正義 という世界になっています NOTE Paragraph 00:16:16.000 --> 00:16:19.000 最後に 私はとても効果的で素晴らしく 00:16:19.000 --> 00:16:22.000 鼓舞される刺激的なものであるという 00:16:22.000 --> 00:16:24.000 事実は認める一方で 00:16:24.000 --> 00:16:26.000 最終的には 人類や社会は 00:16:26.000 --> 00:16:29.000 テクノロジーによって評価されるものではなく 00:16:29.000 --> 00:16:32.000 デザインによって評価されるものではなく 00:16:32.000 --> 00:16:35.000 知性や理由によって評価されるものではない と信じています 00:16:35.000 --> 00:16:38.000 最終的には 社会の品格を評価するのには 00:16:38.000 --> 00:16:41.000 社会での お金持ちや権力者や 特権階級の扱われ方ではなく 00:16:41.000 --> 00:16:43.000 貧乏人や侮辱され収監されている人の 00:16:43.000 --> 00:16:45.000 扱われ方で評価するのです 00:16:45.000 --> 00:16:47.000 正義に繋がるものによってこそ 00:16:47.000 --> 00:16:50.000 私たち人類が根本的にどんなものかを 00:16:50.000 --> 00:16:54.000 知り始めることができるからです NOTE Paragraph 00:16:54.000 --> 00:16:56.000 この出来事を最後に話します 私は― 00:16:56.000 --> 00:16:58.000 時々バランスを欠いて 力を入れ過ぎて 00:16:58.000 --> 00:17:00.000 皆と同じように 疲れてしまうのです 00:17:00.000 --> 00:17:03.000 そして 考えたことが思考よりも早く 重要視している方向に 00:17:03.000 --> 00:17:05.000 進んでしまうことがあります 00:17:05.000 --> 00:17:07.000 私は非常に厳しい判決を受けた 00:17:07.000 --> 00:17:09.000 子供たちを弁護してきました 00:17:09.000 --> 00:17:12.000 この日も牢屋で 13か14才の依頼人に会いました 00:17:12.000 --> 00:17:15.000 成人として裁判を受ける能力がある と判定されていました 00:17:15.000 --> 00:17:17.000 なぜ こうなったのだろうと考えました 00:17:17.000 --> 00:17:19.000 裁判官はしてもいないことを 00:17:19.000 --> 00:17:21.000 したことにできるものなのだろうか 00:17:21.000 --> 00:17:24.000 それに私には 裁判を受ける能力のない子供に見えました NOTE Paragraph 00:17:24.000 --> 00:17:26.000 遅くまで起きていてこう考え始めました 00:17:26.000 --> 00:17:28.000 えっ! 無実の人に罪を着せられるなら 00:17:28.000 --> 00:17:30.000 裁判官には魔法の力があるってことか 00:17:30.000 --> 00:17:33.000 そうだぞブライアン 裁判官は魔法の力を持っているんだ― 00:17:33.000 --> 00:17:35.000 この真偽を尋ねるしかないだろう 00:17:35.000 --> 00:17:37.000 夜遅くてきちんと考えられなかったので 00:17:37.000 --> 00:17:39.000 申し立てに集中し始めました 00:17:39.000 --> 00:17:42.000 依頼人は14才で若く貧乏な黒人の子でした 00:17:42.000 --> 00:17:44.000 書き始めて 申立表題をこうしました 00:17:44.000 --> 00:17:46.000 「この14才の貧乏な黒人少年を 00:17:46.000 --> 00:17:48.000 特権階級の75才の 00:17:48.000 --> 00:17:50.000 白人会社役員のように 00:17:50.000 --> 00:17:52.000 裁判するよう申し立てる」 NOTE Paragraph 00:17:52.000 --> 00:17:57.000 (拍手) NOTE Paragraph 00:17:57.000 --> 00:17:59.000 さらに この裁判には違法行為があり 00:17:59.000 --> 00:18:02.000 検察 警察 そして司法の違法行為がある と書きました 00:18:02.000 --> 00:18:04.000 裁判手続はすべて不適切で違法だと 00:18:04.000 --> 00:18:06.000 狂った申立文を書きました 00:18:06.000 --> 00:18:09.000 翌朝起きて あの狂った申立文は夢だったのかそれとも 00:18:09.000 --> 00:18:11.000 本当に書いたのか 考えてみました 00:18:11.000 --> 00:18:13.000 恐ろしいことに 書き上げただけでなく 00:18:13.000 --> 00:18:15.000 裁判所に送ってしまっていました NOTE Paragraph 00:18:15.000 --> 00:18:18.000 (拍手) NOTE Paragraph 00:18:18.000 --> 00:18:21.000 数か月が経ち 全ての事を忘れていたところでしたが 00:18:21.000 --> 00:18:23.000 結局 よーし 裁判所に行って 00:18:23.000 --> 00:18:25.000 この狂った事件に決着をつけると 00:18:25.000 --> 00:18:27.000 最終的に決断しました 00:18:27.000 --> 00:18:29.000 車に乗る時は非常に不安な気持ちで 00:18:29.000 --> 00:18:31.000 いっぱいでしたが 00:18:31.000 --> 00:18:33.000 結局車に乗り 裁判所に向かいました 00:18:33.000 --> 00:18:36.000 この申立は非常に難しく 苦しいものになると考えていました 00:18:36.000 --> 00:18:39.000 車から出て 裁判所の階段を上がり始めました NOTE Paragraph 00:18:39.000 --> 00:18:41.000 裁判所の階段を上がっていると 00:18:41.000 --> 00:18:44.000 裁判所の清掃作業員らしき 1人の年寄りの黒人がいて 00:18:44.000 --> 00:18:46.000 彼は私を見ると 近寄ってきて 00:18:46.000 --> 00:18:48.000 「どこのだれだ?」と言いました 00:18:48.000 --> 00:18:51.000 「弁護士です」と答えると 「弁護士かい?」と言われ 00:18:51.000 --> 00:18:53.000 「はい」と言うと 近づいてきて 00:18:53.000 --> 00:18:55.000 私を抱きしめました 00:18:55.000 --> 00:18:57.000 そして耳元でささやいたのです 00:18:57.000 --> 00:18:59.000 「君をすごく誇りに思うよ」 00:18:59.000 --> 00:19:01.000 その時の気持ちは何とも言えません 00:19:01.000 --> 00:19:03.000 彼の言葉にすごく力を与えられました 00:19:03.000 --> 00:19:05.000 私の中にある“アイデンティティ”や 00:19:05.000 --> 00:19:07.000 すべての人が地域社会や 00:19:07.000 --> 00:19:10.000 希望に満ちた展望に貢献できるという 00:19:10.000 --> 00:19:12.000 思いに深く繋がるものでした NOTE Paragraph 00:19:12.000 --> 00:19:14.000 そして 法廷に向かい 私が入るとすぐ 00:19:14.000 --> 00:19:16.000 裁判官がじっと私を見て 言いました 00:19:16.000 --> 00:19:19.000 「あなたがこの狂った申立を書いたのですか?」 00:19:19.000 --> 00:19:21.000 私が「はい」と答えると議論が始まり 00:19:21.000 --> 00:19:23.000 激怒した人々が次々と入ってきました 00:19:23.000 --> 00:19:25.000 私は狂ったことを書いていたので 00:19:25.000 --> 00:19:27.000 警察官は入ってくるわ 副検察官や 00:19:27.000 --> 00:19:29.000 司法事務員も入ってきました 00:19:29.000 --> 00:19:31.000 気が付くと 法廷は人で溢れ 00:19:31.000 --> 00:19:33.000 みんなが人種について語ったことで怒り 00:19:33.000 --> 00:19:35.000 貧困について語ったことで怒り 00:19:35.000 --> 00:19:37.000 不公平について語ったことで怒っていました NOTE Paragraph 00:19:37.000 --> 00:19:40.000 視界の隅に あの清掃員が 窓の外でウロウロしているのが見えました 00:19:40.000 --> 00:19:42.000 窓の外にも 大声が聞こえていました 00:19:42.000 --> 00:19:44.000 清掃員がウロウロし続けていましたが 00:19:44.000 --> 00:19:47.000 ついに この黒人老人は 非常に心配そうな顔をして 00:19:47.000 --> 00:19:50.000 法廷に入ってきて 私の後ろに座りました 00:19:50.000 --> 00:19:52.000 被告席のすぐ目の前でした 00:19:52.000 --> 00:19:54.000 10分ほどで裁判官が休憩を告げました 00:19:54.000 --> 00:19:57.000 休息中に 清掃員が法廷にきたことに腹を立てた 00:19:57.000 --> 00:19:59.000 保安官代理が飛び出してきて 00:19:59.000 --> 00:20:01.000 黒人老人に駆けよりこう言いました 00:20:01.000 --> 00:20:04.000 「ジミー!法廷でなにしてるんだ!?」 00:20:04.000 --> 00:20:06.000 老人は立ち上がり保安官代理を見てから 00:20:06.000 --> 00:20:08.000 私を見て こういいました 00:20:08.000 --> 00:20:11.000 「この法廷にきたのです 00:20:11.000 --> 00:20:13.000 この若いのに 00:20:13.000 --> 00:20:16.000 勝利を見すえて 続けなさい! と言いにきたのです」 NOTE Paragraph 00:20:16.000 --> 00:20:18.000 そして私はTED に辿りつきました 00:20:18.000 --> 00:20:20.000 皆さんの多くが キング牧師の 00:20:20.000 --> 00:20:22.000 「道徳世界の弧は長いが行き着く先は 00:20:22.000 --> 00:20:24.000 正義である」を理解していると信じます 00:20:24.000 --> 00:20:27.000 人権と基本的な尊厳を気にして初めて 00:20:27.000 --> 00:20:30.000 完全に進化した人類となれるのです 00:20:30.000 --> 00:20:32.000 私たちが公正な正義を貫くことが 00:20:32.000 --> 00:20:34.000 人類が進化できることに繋がります 00:20:34.000 --> 00:20:36.000 私たちの テクノロジー やデザイン 00:20:36.000 --> 00:20:38.000 エンターテインメント 創造性が 00:20:38.000 --> 00:20:40.000 人間性 思いやり そして正義への 00:20:40.000 --> 00:20:43.000 将来像と結びつかなければならないのです 00:20:43.000 --> 00:20:45.000 他のどんなことよりも 同じ考えを 00:20:45.000 --> 00:20:47.000 共有している方々のために 00:20:47.000 --> 00:20:49.000 ただ こう伝えに来たのです 00:20:49.000 --> 00:20:51.000 勝利を見すえて 続けなさい! NOTE Paragraph 00:20:51.000 --> 00:20:53.000 どうもありがとうございました NOTE Paragraph 00:20:53.000 --> 00:21:14.000 (拍手) NOTE Paragraph 00:21:14.000 --> 00:21:16.000 クリス: 見て聞いて分かるように 00:21:16.000 --> 00:21:19.000 提起した課題に対して このコミュニティや聴衆の皆さんが 00:21:19.000 --> 00:21:22.000 協力したいと思っているのがわかりますね 00:21:22.000 --> 00:21:24.000 小切手を切って寄付をする以外に 00:21:24.000 --> 00:21:27.000 どんなことができるか教えてください NOTE Paragraph 00:21:27.000 --> 00:21:29.000 ブライアン: 身近にさまざまな機会があります 00:21:29.000 --> 00:21:31.000 例えば カリフォルニアに住んでいたら 00:21:31.000 --> 00:21:33.000 今春には住民投票が行われます 00:21:33.000 --> 00:21:35.000 刑罰政策に費やす税金の方向性の 00:21:35.000 --> 00:21:38.000 転換を目指すことの是非を問う住民投票です 00:21:38.000 --> 00:21:40.000 例えば ここカリフォルニアでは 00:21:40.000 --> 00:21:42.000 ここ5年で死刑を実行するために 00:21:42.000 --> 00:21:44.000 10億ドルをかける予定です 00:21:44.000 --> 00:21:47.000 10億ドルですよ 00:21:47.000 --> 00:21:49.000 しかし 殺人事件の46パーセントは 00:21:49.000 --> 00:21:51.000 逮捕にいたっていません 00:21:51.000 --> 00:21:53.000 強姦の場合 56パーセントです 00:21:53.000 --> 00:21:55.000 これを変える機会があります 00:21:55.000 --> 00:21:57.000 この国民投票では 先程の費用を 00:21:57.000 --> 00:22:00.000 法律の徹底や治安維持のために使う提案も 行われる予定です 00:22:00.000 --> 00:22:02.000 このように機会は身近にあります NOTE Paragraph 00:22:02.000 --> 00:22:04.000 クリス: 過去30年間アメリカで 00:22:04.000 --> 00:22:07.000 犯罪の数は大きく減少しています 00:22:07.000 --> 00:22:10.000 ときとして この理由の一部として 00:22:10.000 --> 00:22:13.000 この現象は収監率と関係しているといわれます 00:22:13.000 --> 00:22:15.000 こう信じる人にはどう説明しますか? NOTE Paragraph 00:22:15.000 --> 00:22:17.000 ブライアン: 暴力犯罪率は 00:22:17.000 --> 00:22:19.000 比較的同じような水準となっています 00:22:19.000 --> 00:22:21.000 この国の大量収監の増加の原因は 00:22:21.000 --> 00:22:24.000 暴力犯罪のたぐいの増加ではありません 00:22:24.000 --> 00:22:26.000 麻薬対策の間違った収監政策が原因です 00:22:26.000 --> 00:22:28.000 麻薬の摘発が刑務所に収監されている 00:22:28.000 --> 00:22:31.000 人数を劇的に増加させているのです 00:22:31.000 --> 00:22:34.000 私たちは刑罰のレトリックに流されています 00:22:34.000 --> 00:22:36.000 この国には三振法があります 00:22:36.000 --> 00:22:38.000 自転車や安い品物を盗んだだけで 00:22:38.000 --> 00:22:41.000 三振法は人を永遠に牢屋に閉じ込めます 00:22:41.000 --> 00:22:43.000 被害者に対して償いをさせるのではなく 00:22:43.000 --> 00:22:45.000 加害者を閉じ込めてしまうのです 00:22:45.000 --> 00:22:47.000 犯罪の被害者には もっと多くの助けが 00:22:47.000 --> 00:22:49.000 必要と信じています 少なくではなく 00:22:49.000 --> 00:22:51.000 現在の刑罰哲学は 00:22:51.000 --> 00:22:53.000 この人たちには何もしてくれません 00:22:53.000 --> 00:22:55.000 これこそ変えなければなりません NOTE Paragraph 00:22:55.000 --> 00:22:57.000 (拍手) NOTE Paragraph 00:22:57.000 --> 00:23:00.000 クリス: ブライアン 大勢が同調してくれていますよ 00:23:00.000 --> 00:23:02.000 奮起させられる話をありがとう 00:23:02.000 --> 00:23:04.000 TED に参加してくれてありがとう NOTE Paragraph 00:23:04.000 --> 00:23:19.000 ありがとうございました (拍手)