WEBVTT 00:00:00.420 --> 00:00:04.914 1600年代 アメリカ東海岸の沖にある ケープコッド湾には 00:00:04.914 --> 00:00:06.741 湾の端から端まで 00:00:06.741 --> 00:00:10.389 クジラの背伝いに歩いて渡れるほど 00:00:10.389 --> 00:00:12.484 多くタイセイヨウセミクジラがいました 00:00:13.234 --> 00:00:16.573 今日では数百頭まで減少し 絶滅が危ぶまれています 00:00:16.573 --> 00:00:21.728 タイセイヨウセミクジラのように 200年に渡る捕鯨で 00:00:21.728 --> 00:00:24.170 多くの鯨の種類が激減しました 00:00:24.170 --> 00:00:29.889 鯨肉､鯨油､鯨骨のために 狩猟されたのです NOTE Paragraph 00:00:31.009 --> 00:00:33.412 70年代のセーブ・ザ・ホエールズの活動により 00:00:33.412 --> 00:00:37.057 今日でも海に鯨がいるのです 00:00:37.057 --> 00:00:40.455 商業捕鯨を阻止したことは有益で 00:00:40.455 --> 00:00:44.227 「鯨を守れなかったら 何を守れるのか？」という 00:00:44.227 --> 00:00:46.154 概念を創りました 00:00:46.154 --> 00:00:49.080 環境破壊を阻止するため 00:00:49.080 --> 00:00:52.683 私たちの政治的手腕が試されました 00:00:52.683 --> 00:00:56.236 80年代初頭 反捕鯨運動により 00:00:56.236 --> 00:00:59.951 商業捕鯨が禁止になりました 00:00:59.951 --> 00:01:02.760 しかし 海の鯨の数は 依然として少ないままです 00:01:02.760 --> 00:01:07.489 他の人為的脅威にも 直面しているからです NOTE Paragraph 00:01:07.489 --> 00:01:15.130 残念なことに 私のような 鯨の保護活動家は多くの人から 00:01:15.136 --> 00:01:20.509 鯨のカリスマ的な美しさゆえに 活動していると思われがちです 00:01:21.939 --> 00:01:24.025 これはひどい誤解です 00:01:24.025 --> 00:01:28.499 クジラが生態系のエンジニアだからなのです 00:01:28.499 --> 00:01:32.872 鯨は海の安定と健康を護り 00:01:32.872 --> 00:01:37.299 人間社会に恩恵を もたらしているのです NOTE Paragraph 00:01:37.299 --> 00:01:41.275 それでは 海の回復力にとって 鯨の保護がなぜ重要なのかを 00:01:41.275 --> 00:01:44.806 お話ししていきます 00:01:44.806 --> 00:01:49.334 それは二つに要約できます 00:01:49.334 --> 00:01:52.546 「蔵の糞」と「腐敗した死骸」です NOTE Paragraph 00:01:52.546 --> 00:01:58.012 鯨は餌を求めて海中深く潜り 呼吸のために海面に上がってくる時 00:01:58.012 --> 00:02:01.918 実際巨大な帯上の糞を出すのです 00:02:01.918 --> 00:02:03.662 いわゆる この鯨のポンプで実際 00:02:03.662 --> 00:02:06.955 限りある必須栄養素を 深海からプランクトンが成長する 00:02:06.955 --> 00:02:10.975 海面に持ってくることで 00:02:10.975 --> 00:02:14.422 海洋生物の食物連鎖の基盤 を作るのです 00:02:14.422 --> 00:02:17.127 だから 海に暮らす より多くの鯨が糞をすれば 00:02:17.127 --> 00:02:21.208 生態系全体が恩恵を受けるのです NOTE Paragraph 00:02:21.208 --> 00:02:26.760 鯨はすべての哺乳類の中でも 一番長い距離を回遊することでも知られています 00:02:26.760 --> 00:02:32.696 アメリカ沖のコククジラは 豊かな餌場と餌の少ない出産、育児場所の間― 00:02:32.707 --> 00:02:38.812 １万６千キロを回遊し 毎年戻ってきます 00:02:38.812 --> 00:02:41.902 １万６千キロを回遊し 毎年戻ってきます 00:02:41.902 --> 00:02:46.886 鯨が回遊するたびに 排泄物という肥料を 00:02:46.886 --> 00:02:50.676 たくさんある海から 必要とする海に 運ぶわけです 00:02:50.676 --> 00:02:54.115 ですから 明らかに 海での水平方向と深さ方向の― 00:02:54.115 --> 00:02:57.807 栄養循環において クジラはとても重要なのです NOTE Paragraph 00:02:57.807 --> 00:03:04.466 しかし とてもカッコいいのは 死んでからも重要なことです 00:03:04.466 --> 00:03:08.559 鯨の死骸は最大級の有機堆積物となり 00:03:08.559 --> 00:03:12.769 海面から沈むと 鯨骨生物群集と呼ばれます 00:03:13.409 --> 00:03:15.466 海底に沈んだ死骸は 00:03:15.466 --> 00:03:18.495 ウナギに似た 体から粘液を出す ヌタウナギなど 00:03:18.495 --> 00:03:22.331 400種に上る奇妙な生物の ご馳走になるのです 00:03:23.021 --> 00:03:25.154 だから200年に渡る捕鯨は 00:03:25.154 --> 00:03:29.524 鯨を殺し 海から死骸を奪い 00:03:29.524 --> 00:03:35.246 深海に沈むべき鯨骨生物群集の 00:03:35.246 --> 00:03:37.563 発生頻度や地理的分布を乱したことでしょう 00:03:37.563 --> 00:03:41.254 その結果 餌として鯨の死骸に特化し 00:03:41.254 --> 00:03:43.392 依存した種を幾つも 00:03:43.392 --> 00:03:47.876 絶滅に追い込んだことでしょう NOTE Paragraph 00:03:47.876 --> 00:03:55.808 鯨の死骸は およそ 19万トンの二酸化炭素を 大気中から深海へ 00:03:55.808 --> 00:03:58.106 運ぶことが知られています 00:03:58.106 --> 00:04:01.171 この量は 8 万台の車が1年間に排出する 00:04:01.171 --> 00:04:04.000 量と同じです 00:04:04.000 --> 00:04:07.510 そのため 深海は 「二酸化炭素吸収源」であり 00:04:07.510 --> 00:04:11.573 大気中の過剰な二酸化炭素を吸収して 00:04:11.573 --> 00:04:15.789 地球温暖化を遅らせるのです 00:04:15.789 --> 00:04:19.468 時折 鯨の死骸が浜辺に打ち上げられると 00:04:19.468 --> 00:04:24.540 陸上の肉食系生物のエサとなるのです NOTE Paragraph 00:04:24.540 --> 00:04:28.464 200年に渡る捕鯨の弊害は明らかで 00:04:28.464 --> 00:04:31.356 60％から90％の鯨の頭数の 00:04:31.356 --> 00:04:34.476 減少につながりました 00:04:34.476 --> 00:04:36.302 セーブ・ザ・ホエールズの活動は 00:04:36.302 --> 00:04:40.713 明らかに商業捕鯨の禁止には有益でしたが 00:04:40.713 --> 00:04:43.854 これを見直す時期に来たのです 00:04:43.854 --> 00:04:48.608 今日 鯨が海で直面している 現代の差し迫った問題について 00:04:48.608 --> 00:04:50.349 取り組む必要があるのです 00:04:50.349 --> 00:04:52.482 その他にも鯨が餌場を通る 00:04:52.482 --> 00:04:57.187 コンテナ船と衝突するのを防いだり 00:04:57.187 --> 00:04:59.985 海を移動している内に 00:04:59.985 --> 00:05:02.469 漁網が絡まないようにする 必要があります 00:05:02.469 --> 00:05:06.839 私たちの保護のメッセージをいかに状況に 合わせるか考える必要があります 00:05:06.839 --> 00:05:13.225 そうすれば 鯨がもたらす 生態系の真の価値を理解してもらえるのです NOTE Paragraph 00:05:13.985 --> 00:05:18.142 さあ 再び鯨を保護しましょう 00:05:18.142 --> 00:05:22.275 ただ今回は ただ鯨のためだけではありません 00:05:22.275 --> 00:05:24.806 我々のためでもあるのです NOTE Paragraph 00:05:24.806 --> 00:05:27.151 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:05:27.151 --> 00:05:31.981 (拍手)