1 00:00:10,733 --> 00:00:12,690 皆さんはニュースを見て 何を感じますか? 2 00:00:12,690 --> 00:00:15,986 地震が起きて 数々の都市が被災し 3 00:00:15,986 --> 00:00:18,950 何千もの人が亡くなったときには? 4 00:00:19,830 --> 00:00:24,840 あるいは 熱波や干ばつに 大陸全体が再び襲われたときには? 5 00:00:26,120 --> 00:00:29,198 悲しみや同情を覚えるでしょうか 6 00:00:29,233 --> 00:00:32,187 助けたいと思うかもしれません 7 00:00:32,235 --> 00:00:36,720 こんな痛ましいニュースばかりが 絶えず続くせいで 8 00:00:36,760 --> 00:00:39,051 疲れを感じる人もいるでしょう 9 00:00:40,763 --> 00:00:42,889 でも こう考えたことはありますか? 10 00:00:42,889 --> 00:00:45,490 「これが自分の身に 起こったとしたら?」と 11 00:00:46,280 --> 00:00:50,726 私はデリック・ティンです 地震がいかに命を救っているかお話しします 12 00:00:50,726 --> 00:00:53,952 そしてこのトークがいつか あなたを救うかもしれません 13 00:00:54,243 --> 00:00:57,744 さて 歴史的に言うと 災害が起こると 14 00:00:57,974 --> 00:01:02,192 まず 人間は 「神を怒らせた」と考えます 15 00:01:02,262 --> 00:01:05,716 神の怒りが降りかかったのだと 16 00:01:06,817 --> 00:01:09,775 でも 科学によって そうではないと分かっています 17 00:01:09,775 --> 00:01:12,743 現在の気候変動による危機は 18 00:01:12,743 --> 00:01:15,555 私たち人間の手によるものです 19 00:01:15,555 --> 00:01:22,264 それにより 異常気象が 頻度と強烈さを増しつつあります 20 00:01:24,117 --> 00:01:26,843 地球温暖化を信じない人から見ても 21 00:01:26,873 --> 00:01:28,873 現在 地球上で起こる地震は 22 00:01:28,903 --> 00:01:33,757 100年前に同じ場所で起こった 同じ強さの地震よりも 23 00:01:33,757 --> 00:01:37,024 ずっと多くの人々に 影響を及ぼすことになるはずです 24 00:01:37,024 --> 00:01:40,757 単に人口密度が増加したためです 25 00:01:41,416 --> 00:01:44,483 現代の災害が いまだかつてないほど 26 00:01:44,483 --> 00:01:47,747 多くの人々に影響を及ぼすことは まごうことない事実です 27 00:01:49,406 --> 00:01:52,592 私はこれまでのキャリアの大部分を 28 00:01:52,612 --> 00:01:55,560 インド洋や南太平洋の災害対策に費やし 29 00:01:55,560 --> 00:01:58,771 海上救助活動や 災害地域で仮設病院の設置を行いました 30 00:01:59,102 --> 00:02:01,368 これは職務に就いたばかりの私です 31 00:02:01,368 --> 00:02:07,286 右下に見えるのは 子どもが描いてくれた絵です 32 00:02:07,286 --> 00:02:08,856 救助した子どもで 33 00:02:08,856 --> 00:02:12,046 トラウマ回復の アートセラピーの一環でした 34 00:02:12,749 --> 00:02:14,241 想像できると思いますが 35 00:02:14,241 --> 00:02:18,263 救助活動に携わる私たちの仕事は かなり精神的に堪えるものです 36 00:02:18,459 --> 00:02:22,739 救助される人にとっても 強いトラウマを残すようなものですが 37 00:02:22,749 --> 00:02:26,396 その状況を目のあたりにし 苦難を強いられることになる― 38 00:02:26,396 --> 00:02:30,537 コミュニティにとっても 大きなトラウマとなるのです 39 00:02:32,221 --> 00:02:34,317 医師を志したとき 40 00:02:34,317 --> 00:02:36,907 私は外傷や死を目にすることもあると 理解していました 41 00:02:36,907 --> 00:02:38,135 私は外傷や死を目にすることもあると 理解していました 42 00:02:38,135 --> 00:02:42,807 私が働いていた救急科では 日常茶飯事でした 43 00:02:43,761 --> 00:02:45,978 初めて派遣される直前には 44 00:02:45,978 --> 00:02:49,931 救急科での10年の経験が あるのだからと 45 00:02:49,931 --> 00:02:51,708 心の準備ができたつもりでいました 46 00:02:53,010 --> 00:02:54,973 でも そうではありませんでした 47 00:02:56,080 --> 00:03:01,640 いくら教育や訓練を受けても その瞬間に備えることなどできないからです 48 00:03:01,640 --> 00:03:07,065 自分が救助したばかりの人が 幼い娘の写真を取り出して 49 00:03:07,065 --> 00:03:09,494 娘は海に沈んだのだと知りつつ 50 00:03:09,494 --> 00:03:11,863 娘を見なかったかと聞く瞬間 51 00:03:12,595 --> 00:03:16,702 いくら教育や訓練を受けても その瞬間には備えられません 52 00:03:16,781 --> 00:03:20,589 急ごしらえの冷凍設備の 死体安置所に入っていき 53 00:03:20,590 --> 00:03:23,657 天井まで積み上がった遺体の中で 54 00:03:23,657 --> 00:03:28,484 遺体の身元確認をするために 死体袋を開ける瞬間 55 00:03:30,118 --> 00:03:32,918 こんな瞬間には 暗澹とした気持ちになりました 56 00:03:33,718 --> 00:03:36,378 非常に大きな衝撃を受けたのです 57 00:03:37,448 --> 00:03:39,318 そして 思いました 58 00:03:39,318 --> 00:03:42,378 私のような経歴と経験を持った人でさえ 59 00:03:42,378 --> 00:03:44,904 これほど深く衝撃を受けるのなら 60 00:03:45,557 --> 00:03:47,522 同じような状況に 61 00:03:47,522 --> 00:03:51,074 突然陥ったら 人々は どれほど衝撃を受けるのだろうかと 62 00:03:53,628 --> 00:03:55,020 こうも思いました 63 00:03:55,020 --> 00:04:01,005 個人やコミュニティが トラウマになるような出来事から 64 00:04:01,469 --> 00:04:04,126 もっと早く より良く回復するには どうしたらよいのかと 65 00:04:04,310 --> 00:04:07,379 これが皆さんにお伝えしたいことです 66 00:04:07,379 --> 00:04:10,576 コミュニティの立ち直る力の重要性です 67 00:04:11,260 --> 00:04:16,767 立ち直る力というのはストレスを吸収し トラウマになるような出来事から回復して 68 00:04:16,767 --> 00:04:18,666 新たな常態を生み出す力です 69 00:04:18,666 --> 00:04:21,122 個人やコミュニティの立ち直る力は 70 00:04:21,122 --> 00:04:24,215 出来事の後で コミュニティを再構築する上で 71 00:04:24,215 --> 00:04:28,335 最も重要な要因であると 示されています 72 00:04:29,004 --> 00:04:30,464 時間がかかりますし 73 00:04:30,484 --> 00:04:31,935 努力も必要です 74 00:04:32,336 --> 00:04:35,413 また 結果は目に見えず 数値化できないものです 75 00:04:35,623 --> 00:04:37,951 とはいえ そこまで 難しいことでもないのです 76 00:04:38,573 --> 00:04:42,218 端的に言えば プランBを 用意しておくということです 77 00:04:42,446 --> 00:04:45,827 良質な地域の互助ネットワークを持ち 78 00:04:45,827 --> 00:04:47,642 隣人をよりよく知り 79 00:04:47,762 --> 00:04:49,756 地元のリソースを知り 80 00:04:49,916 --> 00:04:53,805 公共機関と民間組織が協働して 81 00:04:54,180 --> 00:04:57,370 皆さんのプランBを支援するのです 82 00:04:57,890 --> 00:05:01,025 自分や自分のいるコミュニティを力づけて 83 00:05:01,034 --> 00:05:03,280 自分やお互いの健やかな生活や 84 00:05:03,280 --> 00:05:08,251 安全、健康に自ら積極的に 責任を持つということです 85 00:05:10,669 --> 00:05:12,240 救助活動の直後から 86 00:05:12,240 --> 00:05:14,144 私は地元の人々と話す機会があり 87 00:05:14,144 --> 00:05:16,334 彼らの立ち直る力に驚かされました 88 00:05:16,474 --> 00:05:18,773 リソース不足は慢性的で 89 00:05:18,773 --> 00:05:20,765 携帯電話の受信電波が弱く 90 00:05:20,765 --> 00:05:22,227 インターネットもありません 91 00:05:22,227 --> 00:05:25,685 食料の配達が何週間も 遅れることもありました 92 00:05:26,506 --> 00:05:30,523 それでいて 彼らは非常に 臨機応変に動き 自立していました 93 00:05:31,216 --> 00:05:36,106 コミュニティのビジネスリーダーや 年配の指導者 若者グループがいて 94 00:05:36,106 --> 00:05:41,703 互いに入り混じって支え合う ネットワークを作っていたのです 95 00:05:41,703 --> 00:05:46,763 さらに 常に「もしこうなったら」と自問して 先を見据えていました 96 00:05:48,386 --> 00:05:50,694 これはオーストラリアの 地方の町によくあることです 97 00:05:50,694 --> 00:05:54,406 ひとつには 日々の困難に立ち向かうために 自ら生存するための仕組みを 98 00:05:54,406 --> 00:05:56,940 発展させねばならなかったからであり 99 00:05:56,940 --> 00:06:00,747 さらに自然の気まぐれに 対応するためでもありました 100 00:06:01,940 --> 00:06:05,004 町を襲う洪水 ヴィクトリアの山火事 101 00:06:05,004 --> 00:06:06,500 大干ばつなどです 102 00:06:06,500 --> 00:06:11,614 地域的な災害から学んだ教訓や経験が 103 00:06:11,614 --> 00:06:16,203 将来に向けて立ち直る力を高めていく 助けとなっているのです 104 00:06:18,511 --> 00:06:20,246 派遣先から戻ってくると― 105 00:06:20,246 --> 00:06:24,249 たいていは耳慣れない 遠方のコミュニティなのですが― 106 00:06:24,249 --> 00:06:26,901 シドニーに戻って 携帯電話の電源を入れると 107 00:06:26,901 --> 00:06:29,657 「やった! 携帯が通じる! 108 00:06:29,657 --> 00:06:31,495 素晴らしい!」と思います 109 00:06:31,495 --> 00:06:33,743 好きな食べ物を我慢する必要もなく 110 00:06:33,743 --> 00:06:35,414 Uber Eatsで注文できます 111 00:06:35,414 --> 00:06:38,387 Netflix の視聴中に 「ダウンロード中」なんて出ません 112 00:06:38,387 --> 00:06:39,520 (笑) 113 00:06:39,520 --> 00:06:40,996 そして こう思います 114 00:06:40,996 --> 00:06:44,185 「一体どうやって私は テクノロジーの恩恵を受けないで 115 00:06:44,185 --> 00:06:46,890 何週間も生き延びられたんだろう」と 116 00:06:48,730 --> 00:06:50,463 方法をお教えしましょう 117 00:06:50,463 --> 00:06:52,327 携帯でネットを使う代わりに 118 00:06:52,327 --> 00:06:55,129 毎日地元のカフェに歩いて行き 119 00:06:55,129 --> 00:06:57,696 Wi-Fi のホットスポットに 出向いていたんです 120 00:06:57,696 --> 00:07:00,509 数週間もすると 誰もが顔見知りです 121 00:07:00,509 --> 00:07:02,825 皆の仕事や ここに住んで長いのか 122 00:07:02,825 --> 00:07:06,308 メールの相手や どの試合の結果を チェックしているのかを知り 123 00:07:06,734 --> 00:07:10,031 地元のコミュニティとの 対話が始まります 124 00:07:10,916 --> 00:07:12,210 Uber Eatsではなく 125 00:07:12,210 --> 00:07:15,717 毎朝 公民館の前を通るときに 126 00:07:15,717 --> 00:07:19,016 地元の人々が食べ物を 売っているのを買います 127 00:07:19,016 --> 00:07:20,839 何が買えるか分かりません 128 00:07:20,839 --> 00:07:22,232 なぜなら メニューは 129 00:07:22,232 --> 00:07:25,568 前の週に手に入った材料によって 変わるからです 130 00:07:25,568 --> 00:07:28,282 初めて訪れたときのことを 覚えています 131 00:07:28,282 --> 00:07:30,657 豊富な種類のメニューがありました 132 00:07:30,657 --> 00:07:32,465 マレー風のロティもあれば 133 00:07:32,465 --> 00:07:34,598 パスタもあり 134 00:07:34,598 --> 00:07:36,403 揚げたてのドーナツもありました 135 00:07:36,696 --> 00:07:39,942 「じゃあ 朝食は 揚げたてのドーナツにしよう!」 136 00:07:39,942 --> 00:07:41,105 (笑) 137 00:07:41,105 --> 00:07:43,584 町に来た新顔が 138 00:07:43,584 --> 00:07:47,189 医療の専門家だと 人々が知ると 139 00:07:47,189 --> 00:07:50,147 もう少し興味を 持ってくれるようになります 140 00:07:50,147 --> 00:07:52,098 仕事や 来た理由を知りたがります 141 00:07:52,098 --> 00:07:54,110 「どれくらい ここにいるの?」 142 00:07:54,390 --> 00:07:57,834 ですから 宿泊場所で Netflixを見る代わりに 143 00:07:57,834 --> 00:08:01,989 地元のコミュニティの 素晴らしいイベントに招かれて 144 00:08:01,989 --> 00:08:04,770 人々と交流することができます 145 00:08:06,360 --> 00:08:07,821 そこですぐに気づいたのは 146 00:08:07,821 --> 00:08:10,603 こうした瞬間や会話はすべて 147 00:08:10,603 --> 00:08:15,504 実はコミュニティが潜在意識下で行っている 立ち直る力の構築なのだということです 148 00:08:16,531 --> 00:08:20,006 こうしたことは 大都市では起こりません 149 00:08:20,851 --> 00:08:24,971 現在の人口の 85% が 都市部に居住しています 150 00:08:24,971 --> 00:08:28,358 経済的な立ち直る力は 地方に比べて 151 00:08:28,358 --> 00:08:30,340 ずっと高いかもしれませんが 152 00:08:30,340 --> 00:08:35,445 ものに溢れており テクノロジーを応用した環境に加え 153 00:08:35,445 --> 00:08:39,849 人口が大いに増加しているために 154 00:08:39,849 --> 00:08:42,984 まったく異なるリスクの在り方を 生み出しています 155 00:08:42,984 --> 00:08:48,513 常に変化にさらされ リスクの姿は 予測が困難なのです 156 00:08:50,519 --> 00:08:51,902 私たちが学びつつあるのは 157 00:08:51,902 --> 00:08:57,569 経験したことのある災害が 予期せぬ形で襲ってくるということで 158 00:08:57,569 --> 00:09:03,164 経験のない災害に至っては 想像すらつかないということです 159 00:09:04,308 --> 00:09:07,850 2011年の東日本大震災を 考えてみましょう 160 00:09:07,910 --> 00:09:10,492 大地震によって インフラが被害を受け 161 00:09:11,625 --> 00:09:13,253 併せて津波も発生し 162 00:09:13,253 --> 00:09:17,260 人口の多い湾岸部を襲いました 163 00:09:18,084 --> 00:09:21,477 洪水から人々を守り 水の供給源となるはずのダムは 164 00:09:21,477 --> 00:09:23,314 洪水から人々を守り 水の供給源となるはずのダムは 165 00:09:23,314 --> 00:09:25,960 被災し 決壊したため 166 00:09:25,960 --> 00:09:27,999 更なる被害が生じました 167 00:09:27,999 --> 00:09:29,465 原子炉は絶えずエネルギーを 供給してくれるはずが 168 00:09:29,465 --> 00:09:32,543 原子炉は絶えずエネルギーを 供給してくれるはずが 169 00:09:32,543 --> 00:09:33,807 メルトダウンし 170 00:09:33,807 --> 00:09:36,950 エネルギー供給が断たれたばかりか 171 00:09:36,950 --> 00:09:39,751 放射線の被曝リスクも 生じました 172 00:09:41,246 --> 00:09:45,030 1万5千人の人が この震災で亡くなりました 173 00:09:45,030 --> 00:09:46,813 これは日本の話です 174 00:09:46,813 --> 00:09:50,224 世界でも科学技術の 最も進んだ国のひとつです 175 00:09:50,224 --> 00:09:54,276 その国が昔から 地震と向き合っていながら 176 00:09:54,631 --> 00:09:58,241 現代における 最悪の災害に苦しんだのです 177 00:09:58,241 --> 00:10:00,063 現代における 最悪の災害に苦しんだのです 178 00:10:02,242 --> 00:10:06,233 オーストラリアは歴史的に 地震の多い大陸ではありませんし 179 00:10:06,233 --> 00:10:07,934 とても幸運なことに 180 00:10:07,934 --> 00:10:10,176 災害リスクは比較的低い方であり 181 00:10:10,176 --> 00:10:13,042 立ち直る力は比較的高い方です 182 00:10:13,504 --> 00:10:17,120 それでもサイクロンや 干ばつや山火事が起こります 183 00:10:17,120 --> 00:10:19,465 テロ攻撃の危険もあります 184 00:10:19,465 --> 00:10:22,649 感染症については 国境は関係ありません 185 00:10:23,220 --> 00:10:25,203 2003年のSARSは 186 00:10:25,203 --> 00:10:27,881 東南アジア一帯に大きく広がった 呼吸器系ウイルスです 187 00:10:28,295 --> 00:10:29,618 エボラはどうでしょう 188 00:10:29,618 --> 00:10:31,277 世界保健機関が 189 00:10:31,277 --> 00:10:34,785 ちょうど世界的な懸念を 発表したところです 190 00:10:35,397 --> 00:10:38,508 ここオーストラリアでも 過去10年間で最悪の 191 00:10:38,508 --> 00:10:40,315 インフルエンザも流行しました 192 00:10:40,315 --> 00:10:43,511 ですから いつ何時 もっと酷いものが 193 00:10:43,511 --> 00:10:45,429 突如として起こり 194 00:10:45,429 --> 00:10:48,537 人口の多い都市部を襲って 195 00:10:48,537 --> 00:10:52,680 すでに疲弊気味の医療機関を 圧倒しないとは言えません 196 00:10:54,979 --> 00:10:56,986 災害は複雑なものであり 197 00:10:57,493 --> 00:10:59,680 リソースは限られています 198 00:10:59,710 --> 00:11:02,856 ことによると 皆さんを 助けに行けないかもしれません 199 00:11:03,037 --> 00:11:08,017 ですから 「誰かが助けに来てくれる」 という姿勢から 200 00:11:08,017 --> 00:11:11,797 自助へと焦点を 移さねばなりません 201 00:11:12,930 --> 00:11:15,824 助けが向かっていないとしたら どうしますか? 202 00:11:16,124 --> 00:11:18,131 皆さんのプランBは何ですか? 203 00:11:18,491 --> 00:11:22,285 ニューオリンズの人々はハリケーン襲来後に 辛い経験をしました 204 00:11:23,788 --> 00:11:26,445 もちろん 大きな災害が 自分の住んでいるところで 205 00:11:26,445 --> 00:11:29,182 起こるのを想像するのは 難しいでしょう 206 00:11:29,182 --> 00:11:30,910 確かにそうです めったに起こりません 207 00:11:30,910 --> 00:11:34,739 でも めったに起こらないからと言って 衝撃が少ないとは限りません 208 00:11:35,296 --> 00:11:38,637 皆さんにも想像できるものに 規模を小さくして考えてみましょう 209 00:11:38,637 --> 00:11:41,067 長期的な停電はどうでしょう? 210 00:11:41,207 --> 00:11:43,030 どれくらい生き延びられるでしょう? 211 00:11:43,030 --> 00:11:45,470 2、3日は問題なく 大丈夫でしょう 212 00:11:46,001 --> 00:11:48,216 そのうち携帯の電源が切れ 213 00:11:48,446 --> 00:11:50,250 インターネットもなくなり 214 00:11:50,250 --> 00:11:52,981 助けを呼ぶ手段もなくなります 215 00:11:54,120 --> 00:11:58,138 暗闇の中で つまづいて転び 足を骨折したら? 216 00:11:58,949 --> 00:12:00,851 あなたならどうしますか? 217 00:12:02,751 --> 00:12:06,476 アメリカで行われた調査では 都市部の人口の 54% が 218 00:12:06,476 --> 00:12:09,951 隣人をほとんど あるいは 全く信頼していませんでした 219 00:12:10,102 --> 00:12:15,503 しかし 災害時には隣人だけが ライフラインになるかもしれません 220 00:12:16,300 --> 00:12:17,916 自分に問うてみてください 221 00:12:17,916 --> 00:12:20,521 隣人をどれくらい よく知っているだろうか? 222 00:12:21,119 --> 00:12:23,577 毎朝「おはよう」と 言える関係だろうか? 223 00:12:23,577 --> 00:12:24,875 それはできます 224 00:12:24,875 --> 00:12:28,039 閉め出されたときに備えて 合鍵をひと揃い預けられるくらいには 225 00:12:28,039 --> 00:12:29,909 信頼しているだろうか 226 00:12:30,394 --> 00:12:32,249 でも 自分の命がかかったときに 227 00:12:32,249 --> 00:12:34,539 信頼できるほど よく知っているでしょうか? 228 00:12:35,059 --> 00:12:37,874 1995年に熱波が シカゴを襲ったとき 229 00:12:37,924 --> 00:12:40,227 最も影響を受けた オーバーンとイングルウッドは 230 00:12:40,227 --> 00:12:43,264 人口構成がほぼ同じ 郊外都市でした 231 00:12:43,748 --> 00:12:45,896 それでいて 一方の都市では 232 00:12:45,896 --> 00:12:49,413 社会的結びつきが 他方よりも弱かったために 233 00:12:49,423 --> 00:12:51,219 10倍もの死者が出ました 234 00:12:51,340 --> 00:12:54,119 アメリカの社会学者 エリック・クリネンバーグは 235 00:12:54,119 --> 00:12:56,103 著書でこのことを取り上げ 236 00:12:56,103 --> 00:13:00,017 シカゴの大惨事における 「地域社会の検死」と表現しました 237 00:13:01,156 --> 00:13:06,343 通常時にお互いを 孤立させてしまうような環境は 238 00:13:06,343 --> 00:13:09,494 非常時には命取りになると 分かったのです 239 00:13:09,774 --> 00:13:12,670 これは 90年代以来 悪化しています 240 00:13:13,590 --> 00:13:15,380 今は当時よりも つながっていて 241 00:13:15,380 --> 00:13:18,252 物質的に余剰のある環境にありながら 242 00:13:18,252 --> 00:13:24,134 最近の研究では社会的孤立は 「新しい現代の疫病」だとされています 243 00:13:26,712 --> 00:13:30,333 よりよく準備を整える上での 難しさのひとつは 244 00:13:30,333 --> 00:13:32,222 自分を納得させて 245 00:13:32,222 --> 00:13:35,579 起こらないかもしれない事態に備えて 246 00:13:35,579 --> 00:13:38,719 時間と労力を費やすことです 247 00:13:39,038 --> 00:13:42,250 人間の行動から見ると 私たちの焦点は 248 00:13:42,250 --> 00:13:45,545 災害が起こる前よりも 249 00:13:45,545 --> 00:13:48,175 事後の回復期に より注力されます 250 00:13:48,487 --> 00:13:50,672 しかし 今分かっているのは 251 00:13:50,702 --> 00:13:54,438 防止と準備にもっと力を注げば 252 00:13:54,767 --> 00:13:58,934 災害後に受ける衝撃は より小さくなるというものです 253 00:14:01,245 --> 00:14:05,950 リスクを減らすために 1ドル費やすごとに 254 00:14:05,950 --> 00:14:09,053 結果的に6ドルずつ 節約できると見積もられています 255 00:14:09,319 --> 00:14:11,784 また 多くの人々によると 256 00:14:11,784 --> 00:14:15,736 災害が起こる前の 防災段階でより多く対策をすれば 257 00:14:15,736 --> 00:14:21,128 9.11のような人的災害さえも 完全に防げたかもしれないのです 258 00:14:22,840 --> 00:14:24,928 このことから分かるのは ただひとつ 259 00:14:24,948 --> 00:14:27,256 このことに関する言説を変えて 260 00:14:27,256 --> 00:14:31,708 コミュニティの草の根レベルに場を移し 261 00:14:32,225 --> 00:14:35,532 皆さんがこのトピックに 取り組む必要があるということです 262 00:14:36,480 --> 00:14:39,720 立ち直る力を高めるためには 263 00:14:40,295 --> 00:14:43,760 皆さんがその重要性を 理解することが最初の一歩です 264 00:14:44,540 --> 00:14:48,668 コミュニティの強さは 個人の強さに由来するもので 265 00:14:49,772 --> 00:14:53,759 個人の強さこそが コミュニティを形作るのです 266 00:14:55,371 --> 00:14:58,759 「ノアが箱舟を作ったとき 雨は降っていませんでした」 267 00:14:59,460 --> 00:15:02,651 歴史の中には学ぶべき教訓があり 268 00:15:03,575 --> 00:15:06,226 嵐が来ることは 分かっているのです 269 00:15:07,344 --> 00:15:09,172 問題なのは 270 00:15:09,172 --> 00:15:11,221 皆さんにその準備があるか ということです 271 00:15:11,512 --> 00:15:12,713 ありがとうございました 272 00:15:12,713 --> 00:15:15,467 (拍手)