0:00:10.733,0:00:12.690 皆さんはニュースを見て[br]何を感じますか? 0:00:12.690,0:00:15.986 地震が起きて 数々の都市が被災し 0:00:15.986,0:00:18.950 何千もの人が亡くなったときには? 0:00:19.830,0:00:24.840 あるいは 熱波や干ばつに[br]大陸全体が再び襲われたときには? 0:00:26.120,0:00:29.198 悲しみや同情を覚えるでしょうか 0:00:29.233,0:00:32.187 助けたいと思うかもしれません 0:00:32.235,0:00:36.720 こんな痛ましいニュースばかりが[br]絶えず続くせいで 0:00:36.760,0:00:39.051 疲れを感じる人もいるでしょう 0:00:40.763,0:00:42.889 でも こう考えたことはありますか? 0:00:42.889,0:00:45.490 「これが自分の身に[br]起こったとしたら?」と 0:00:46.280,0:00:50.726 私はデリック・ティンです[br]地震がいかに命を救っているかお話しします 0:00:50.726,0:00:53.952 そしてこのトークがいつか[br]あなたを救うかもしれません 0:00:54.243,0:00:57.744 さて 歴史的に言うと[br]災害が起こると 0:00:57.974,0:01:02.192 まず 人間は[br]「神を怒らせた」と考えます 0:01:02.262,0:01:05.716 神の怒りが降りかかったのだと 0:01:06.817,0:01:09.775 でも 科学によって[br]そうではないと分かっています 0:01:09.775,0:01:12.743 現在の気候変動による危機は 0:01:12.743,0:01:15.555 私たち人間の手によるものです 0:01:15.555,0:01:22.264 それにより 異常気象が[br]頻度と強烈さを増しつつあります 0:01:24.117,0:01:26.843 地球温暖化を信じない人から見ても 0:01:26.873,0:01:28.873 現在 地球上で起こる地震は 0:01:28.903,0:01:33.757 100年前に同じ場所で起こった[br]同じ強さの地震よりも 0:01:33.757,0:01:37.024 ずっと多くの人々に[br]影響を及ぼすことになるはずです 0:01:37.024,0:01:40.757 単に人口密度が増加したためです 0:01:41.416,0:01:44.483 現代の災害が[br]いまだかつてないほど 0:01:44.483,0:01:47.747 多くの人々に影響を及ぼすことは[br]まごうことない事実です 0:01:49.406,0:01:52.592 私はこれまでのキャリアの大部分を 0:01:52.612,0:01:55.560 インド洋や南太平洋の災害対策に費やし 0:01:55.560,0:01:58.771 海上救助活動や[br]災害地域で仮設病院の設置を行いました 0:01:59.102,0:02:01.368 これは職務に就いたばかりの私です 0:02:01.368,0:02:07.286 右下に見えるのは[br]子どもが描いてくれた絵です 0:02:07.286,0:02:08.856 救助した子どもで 0:02:08.856,0:02:12.046 トラウマ回復の[br]アートセラピーの一環でした 0:02:12.749,0:02:14.241 想像できると思いますが 0:02:14.241,0:02:18.263 救助活動に携わる私たちの仕事は[br]かなり精神的に堪えるものです 0:02:18.459,0:02:22.739 救助される人にとっても[br]強いトラウマを残すようなものですが 0:02:22.749,0:02:26.396 その状況を目のあたりにし[br]苦難を強いられることになる― 0:02:26.396,0:02:30.537 コミュニティにとっても[br]大きなトラウマとなるのです 0:02:32.221,0:02:34.317 医師を志したとき 0:02:34.317,0:02:36.907 私は外傷や死を目にすることもあると[br]理解していました 0:02:36.907,0:02:38.135 私は外傷や死を目にすることもあると[br]理解していました 0:02:38.135,0:02:42.807 私が働いていた救急科では[br]日常茶飯事でした 0:02:43.761,0:02:45.978 初めて派遣される直前には 0:02:45.978,0:02:49.931 救急科での10年の経験が[br]あるのだからと 0:02:49.931,0:02:51.708 心の準備ができたつもりでいました 0:02:53.010,0:02:54.973 でも そうではありませんでした 0:02:56.080,0:03:01.640 いくら教育や訓練を受けても[br]その瞬間に備えることなどできないからです 0:03:01.640,0:03:07.065 自分が救助したばかりの人が[br]幼い娘の写真を取り出して 0:03:07.065,0:03:09.494 娘は海に沈んだのだと知りつつ 0:03:09.494,0:03:11.863 娘を見なかったかと聞く瞬間 0:03:12.595,0:03:16.702 いくら教育や訓練を受けても[br]その瞬間には備えられません 0:03:16.781,0:03:20.589 急ごしらえの冷凍設備の[br]死体安置所に入っていき 0:03:20.590,0:03:23.657 天井まで積み上がった遺体の中で 0:03:23.657,0:03:28.484 遺体の身元確認をするために[br]死体袋を開ける瞬間 0:03:30.118,0:03:32.918 こんな瞬間には[br]暗澹とした気持ちになりました 0:03:33.718,0:03:36.378 非常に大きな衝撃を受けたのです 0:03:37.448,0:03:39.318 そして 思いました 0:03:39.318,0:03:42.378 私のような経歴と経験を持った人でさえ 0:03:42.378,0:03:44.904 これほど深く衝撃を受けるのなら 0:03:45.557,0:03:47.522 同じような状況に 0:03:47.522,0:03:51.074 突然陥ったら 人々は[br]どれほど衝撃を受けるのだろうかと 0:03:53.628,0:03:55.020 こうも思いました 0:03:55.020,0:04:01.005 個人やコミュニティが[br]トラウマになるような出来事から 0:04:01.469,0:04:04.126 もっと早く より良く回復するには[br]どうしたらよいのかと 0:04:04.310,0:04:07.379 これが皆さんにお伝えしたいことです 0:04:07.379,0:04:10.576 コミュニティの立ち直る力の重要性です 0:04:11.260,0:04:16.767 立ち直る力というのはストレスを吸収し [br]トラウマになるような出来事から回復して 0:04:16.767,0:04:18.666 新たな常態を生み出す力です 0:04:18.666,0:04:21.122 個人やコミュニティの立ち直る力は 0:04:21.122,0:04:24.215 出来事の後で[br]コミュニティを再構築する上で 0:04:24.215,0:04:28.335 最も重要な要因であると[br]示されています 0:04:29.004,0:04:30.464 時間がかかりますし 0:04:30.484,0:04:31.935 努力も必要です 0:04:32.336,0:04:35.413 また 結果は目に見えず[br]数値化できないものです 0:04:35.623,0:04:37.951 とはいえ そこまで[br]難しいことでもないのです 0:04:38.573,0:04:42.218 端的に言えば プランBを[br]用意しておくということです 0:04:42.446,0:04:45.827 良質な地域の互助ネットワークを持ち 0:04:45.827,0:04:47.642 隣人をよりよく知り 0:04:47.762,0:04:49.756 地元のリソースを知り 0:04:49.916,0:04:53.805 公共機関と民間組織が協働して 0:04:54.180,0:04:57.370 皆さんのプランBを支援するのです 0:04:57.890,0:05:01.025 自分や自分のいるコミュニティを力づけて 0:05:01.034,0:05:03.280 自分やお互いの健やかな生活や 0:05:03.280,0:05:08.251 安全、健康に自ら積極的に[br]責任を持つということです 0:05:10.669,0:05:12.240 救助活動の直後から 0:05:12.240,0:05:14.144 私は地元の人々と話す機会があり 0:05:14.144,0:05:16.334 彼らの立ち直る力に驚かされました 0:05:16.474,0:05:18.773 リソース不足は慢性的で 0:05:18.773,0:05:20.765 携帯電話の受信電波が弱く 0:05:20.765,0:05:22.227 インターネットもありません 0:05:22.227,0:05:25.685 食料の配達が何週間も[br]遅れることもありました 0:05:26.506,0:05:30.523 それでいて 彼らは非常に[br]臨機応変に動き 自立していました 0:05:31.216,0:05:36.106 コミュニティのビジネスリーダーや[br]年配の指導者 若者グループがいて 0:05:36.106,0:05:41.703 互いに入り混じって支え合う[br]ネットワークを作っていたのです 0:05:41.703,0:05:46.763 さらに 常に「もしこうなったら」と自問して[br]先を見据えていました 0:05:48.386,0:05:50.694 これはオーストラリアの[br]地方の町によくあることです 0:05:50.694,0:05:54.406 ひとつには 日々の困難に立ち向かうために[br]自ら生存するための仕組みを 0:05:54.406,0:05:56.940 発展させねばならなかったからであり 0:05:56.940,0:06:00.747 さらに自然の気まぐれに[br]対応するためでもありました 0:06:01.940,0:06:05.004 町を襲う洪水[br]ヴィクトリアの山火事 0:06:05.004,0:06:06.500 大干ばつなどです 0:06:06.500,0:06:11.614 地域的な災害から学んだ教訓や経験が 0:06:11.614,0:06:16.203 将来に向けて立ち直る力を高めていく[br]助けとなっているのです 0:06:18.511,0:06:20.246 派遣先から戻ってくると― 0:06:20.246,0:06:24.249 たいていは耳慣れない[br]遠方のコミュニティなのですが― 0:06:24.249,0:06:26.901 シドニーに戻って[br]携帯電話の電源を入れると 0:06:26.901,0:06:29.657 「やった! 携帯が通じる! 0:06:29.657,0:06:31.495 素晴らしい!」と思います 0:06:31.495,0:06:33.743 好きな食べ物を我慢する必要もなく 0:06:33.743,0:06:35.414 Uber Eatsで注文できます 0:06:35.414,0:06:38.387 Netflix の視聴中に[br]「ダウンロード中」なんて出ません 0:06:38.387,0:06:39.520 (笑) 0:06:39.520,0:06:40.996 そして こう思います 0:06:40.996,0:06:44.185 「一体どうやって私は[br]テクノロジーの恩恵を受けないで 0:06:44.185,0:06:46.890 何週間も生き延びられたんだろう」と 0:06:48.730,0:06:50.463 方法をお教えしましょう 0:06:50.463,0:06:52.327 携帯でネットを使う代わりに 0:06:52.327,0:06:55.129 毎日地元のカフェに歩いて行き 0:06:55.129,0:06:57.696 Wi-Fi のホットスポットに[br]出向いていたんです 0:06:57.696,0:07:00.509 数週間もすると[br]誰もが顔見知りです 0:07:00.509,0:07:02.825 皆の仕事や ここに住んで長いのか 0:07:02.825,0:07:06.308 メールの相手や どの試合の結果を[br]チェックしているのかを知り 0:07:06.734,0:07:10.031 地元のコミュニティとの[br]対話が始まります 0:07:10.916,0:07:12.210 Uber Eatsではなく 0:07:12.210,0:07:15.717 毎朝 公民館の前を通るときに 0:07:15.717,0:07:19.016 地元の人々が食べ物を[br]売っているのを買います 0:07:19.016,0:07:20.839 何が買えるか分かりません 0:07:20.839,0:07:22.232 なぜなら メニューは 0:07:22.232,0:07:25.568 前の週に手に入った材料によって[br]変わるからです 0:07:25.568,0:07:28.282 初めて訪れたときのことを[br]覚えています 0:07:28.282,0:07:30.657 豊富な種類のメニューがありました 0:07:30.657,0:07:32.465 マレー風のロティもあれば 0:07:32.465,0:07:34.598 パスタもあり 0:07:34.598,0:07:36.403 揚げたてのドーナツもありました 0:07:36.696,0:07:39.942 「じゃあ 朝食は[br]揚げたてのドーナツにしよう!」 0:07:39.942,0:07:41.105 (笑) 0:07:41.105,0:07:43.584 町に来た新顔が 0:07:43.584,0:07:47.189 医療の専門家だと[br]人々が知ると 0:07:47.189,0:07:50.147 もう少し興味を[br]持ってくれるようになります 0:07:50.147,0:07:52.098 仕事や 来た理由を知りたがります 0:07:52.098,0:07:54.110 「どれくらい ここにいるの?」 0:07:54.390,0:07:57.834 ですから 宿泊場所で[br]Netflixを見る代わりに 0:07:57.834,0:08:01.989 地元のコミュニティの[br]素晴らしいイベントに招かれて 0:08:01.989,0:08:04.770 人々と交流することができます 0:08:06.360,0:08:07.821 そこですぐに気づいたのは 0:08:07.821,0:08:10.603 こうした瞬間や会話はすべて 0:08:10.603,0:08:15.504 実はコミュニティが潜在意識下で行っている[br]立ち直る力の構築なのだということです 0:08:16.531,0:08:20.006 こうしたことは[br]大都市では起こりません 0:08:20.851,0:08:24.971 現在の人口の 85% が[br]都市部に居住しています 0:08:24.971,0:08:28.358 経済的な立ち直る力は[br]地方に比べて 0:08:28.358,0:08:30.340 ずっと高いかもしれませんが 0:08:30.340,0:08:35.445 ものに溢れており[br]テクノロジーを応用した環境に加え 0:08:35.445,0:08:39.849 人口が大いに増加しているために 0:08:39.849,0:08:42.984 まったく異なるリスクの在り方を[br]生み出しています 0:08:42.984,0:08:48.513 常に変化にさらされ リスクの姿は[br]予測が困難なのです 0:08:50.519,0:08:51.902 私たちが学びつつあるのは 0:08:51.902,0:08:57.569 経験したことのある災害が[br]予期せぬ形で襲ってくるということで 0:08:57.569,0:09:03.164 経験のない災害に至っては[br]想像すらつかないということです 0:09:04.308,0:09:07.850 2011年の東日本大震災を[br]考えてみましょう 0:09:07.910,0:09:10.492 大地震によって[br]インフラが被害を受け 0:09:11.625,0:09:13.253 併せて津波も発生し 0:09:13.253,0:09:17.260 人口の多い湾岸部を襲いました 0:09:18.084,0:09:21.477 洪水から人々を守り[br]水の供給源となるはずのダムは 0:09:21.477,0:09:23.314 洪水から人々を守り[br]水の供給源となるはずのダムは 0:09:23.314,0:09:25.960 被災し 決壊したため 0:09:25.960,0:09:27.999 更なる被害が生じました 0:09:27.999,0:09:29.465 原子炉は絶えずエネルギーを[br]供給してくれるはずが 0:09:29.465,0:09:32.543 原子炉は絶えずエネルギーを[br]供給してくれるはずが 0:09:32.543,0:09:33.807 メルトダウンし 0:09:33.807,0:09:36.950 エネルギー供給が断たれたばかりか 0:09:36.950,0:09:39.751 放射線の被曝リスクも[br]生じました 0:09:41.246,0:09:45.030 1万5千人の人が[br]この震災で亡くなりました 0:09:45.030,0:09:46.813 これは日本の話です 0:09:46.813,0:09:50.224 世界でも科学技術の[br]最も進んだ国のひとつです 0:09:50.224,0:09:54.276 その国が昔から[br]地震と向き合っていながら 0:09:54.631,0:09:58.241 現代における[br]最悪の災害に苦しんだのです 0:09:58.241,0:10:00.063 現代における[br]最悪の災害に苦しんだのです 0:10:02.242,0:10:06.233 オーストラリアは歴史的に[br]地震の多い大陸ではありませんし 0:10:06.233,0:10:07.934 とても幸運なことに 0:10:07.934,0:10:10.176 災害リスクは比較的低い方であり 0:10:10.176,0:10:13.042 立ち直る力は比較的高い方です 0:10:13.504,0:10:17.120 それでもサイクロンや[br]干ばつや山火事が起こります 0:10:17.120,0:10:19.465 テロ攻撃の危険もあります 0:10:19.465,0:10:22.649 感染症については[br]国境は関係ありません 0:10:23.220,0:10:25.203 2003年のSARSは 0:10:25.203,0:10:27.881 東南アジア一帯に大きく広がった[br]呼吸器系ウイルスです 0:10:28.295,0:10:29.618 エボラはどうでしょう 0:10:29.618,0:10:31.277 世界保健機関が 0:10:31.277,0:10:34.785 ちょうど世界的な懸念を[br]発表したところです 0:10:35.397,0:10:38.508 ここオーストラリアでも[br]過去10年間で最悪の 0:10:38.508,0:10:40.315 インフルエンザも流行しました 0:10:40.315,0:10:43.511 ですから いつ何時[br]もっと酷いものが 0:10:43.511,0:10:45.429 突如として起こり 0:10:45.429,0:10:48.537 人口の多い都市部を襲って 0:10:48.537,0:10:52.680 すでに疲弊気味の医療機関を[br]圧倒しないとは言えません 0:10:54.979,0:10:56.986 災害は複雑なものであり 0:10:57.493,0:10:59.680 リソースは限られています 0:10:59.710,0:11:02.856 ことによると 皆さんを[br]助けに行けないかもしれません 0:11:03.037,0:11:08.017 ですから 「誰かが助けに来てくれる」[br]という姿勢から 0:11:08.017,0:11:11.797 自助へと焦点を[br]移さねばなりません 0:11:12.930,0:11:15.824 助けが向かっていないとしたら[br]どうしますか? 0:11:16.124,0:11:18.131 皆さんのプランBは何ですか? 0:11:18.491,0:11:22.285 ニューオリンズの人々はハリケーン襲来後に[br]辛い経験をしました 0:11:23.788,0:11:26.445 もちろん 大きな災害が[br]自分の住んでいるところで 0:11:26.445,0:11:29.182 起こるのを想像するのは[br]難しいでしょう 0:11:29.182,0:11:30.910 確かにそうです[br]めったに起こりません 0:11:30.910,0:11:34.739 でも めったに起こらないからと言って[br]衝撃が少ないとは限りません 0:11:35.296,0:11:38.637 皆さんにも想像できるものに[br]規模を小さくして考えてみましょう 0:11:38.637,0:11:41.067 長期的な停電はどうでしょう? 0:11:41.207,0:11:43.030 どれくらい生き延びられるでしょう? 0:11:43.030,0:11:45.470 2、3日は問題なく[br]大丈夫でしょう 0:11:46.001,0:11:48.216 そのうち携帯の電源が切れ 0:11:48.446,0:11:50.250 インターネットもなくなり 0:11:50.250,0:11:52.981 助けを呼ぶ手段もなくなります 0:11:54.120,0:11:58.138 暗闇の中で つまづいて転び[br]足を骨折したら? 0:11:58.949,0:12:00.851 あなたならどうしますか? 0:12:02.751,0:12:06.476 アメリカで行われた調査では[br]都市部の人口の 54% が 0:12:06.476,0:12:09.951 隣人をほとんど あるいは[br]全く信頼していませんでした 0:12:10.102,0:12:15.503 しかし 災害時には隣人だけが[br]ライフラインになるかもしれません 0:12:16.300,0:12:17.916 自分に問うてみてください 0:12:17.916,0:12:20.521 隣人をどれくらい[br]よく知っているだろうか? 0:12:21.119,0:12:23.577 毎朝「おはよう」と[br]言える関係だろうか? 0:12:23.577,0:12:24.875 それはできます 0:12:24.875,0:12:28.039 閉め出されたときに備えて[br]合鍵をひと揃い預けられるくらいには 0:12:28.039,0:12:29.909 信頼しているだろうか 0:12:30.394,0:12:32.249 でも 自分の命がかかったときに 0:12:32.249,0:12:34.539 信頼できるほど[br]よく知っているでしょうか? 0:12:35.059,0:12:37.874 1995年に熱波が[br]シカゴを襲ったとき 0:12:37.924,0:12:40.227 最も影響を受けた[br]オーバーンとイングルウッドは 0:12:40.227,0:12:43.264 人口構成がほぼ同じ[br]郊外都市でした 0:12:43.748,0:12:45.896 それでいて 一方の都市では 0:12:45.896,0:12:49.413 社会的結びつきが[br]他方よりも弱かったために 0:12:49.423,0:12:51.219 10倍もの死者が出ました 0:12:51.340,0:12:54.119 アメリカの社会学者[br]エリック・クリネンバーグは 0:12:54.119,0:12:56.103 著書でこのことを取り上げ 0:12:56.103,0:13:00.017 シカゴの大惨事における[br]「地域社会の検死」と表現しました 0:13:01.156,0:13:06.343 通常時にお互いを[br]孤立させてしまうような環境は 0:13:06.343,0:13:09.494 非常時には命取りになると[br]分かったのです 0:13:09.774,0:13:12.670 これは 90年代以来[br]悪化しています 0:13:13.590,0:13:15.380 今は当時よりも[br]つながっていて 0:13:15.380,0:13:18.252 物質的に余剰のある環境にありながら 0:13:18.252,0:13:24.134 最近の研究では社会的孤立は[br]「新しい現代の疫病」だとされています 0:13:26.712,0:13:30.333 よりよく準備を整える上での[br]難しさのひとつは 0:13:30.333,0:13:32.222 自分を納得させて 0:13:32.222,0:13:35.579 起こらないかもしれない事態に備えて 0:13:35.579,0:13:38.719 時間と労力を費やすことです 0:13:39.038,0:13:42.250 人間の行動から見ると[br]私たちの焦点は 0:13:42.250,0:13:45.545 災害が起こる前よりも 0:13:45.545,0:13:48.175 事後の回復期に より注力されます 0:13:48.487,0:13:50.672 しかし 今分かっているのは 0:13:50.702,0:13:54.438 防止と準備にもっと力を注げば 0:13:54.767,0:13:58.934 災害後に受ける衝撃は[br]より小さくなるというものです 0:14:01.245,0:14:05.950 リスクを減らすために[br]1ドル費やすごとに 0:14:05.950,0:14:09.053 結果的に6ドルずつ[br]節約できると見積もられています 0:14:09.319,0:14:11.784 また 多くの人々によると 0:14:11.784,0:14:15.736 災害が起こる前の[br]防災段階でより多く対策をすれば 0:14:15.736,0:14:21.128 9.11のような人的災害さえも[br]完全に防げたかもしれないのです 0:14:22.840,0:14:24.928 このことから分かるのは[br]ただひとつ 0:14:24.948,0:14:27.256 このことに関する言説を変えて 0:14:27.256,0:14:31.708 コミュニティの草の根レベルに場を移し 0:14:32.225,0:14:35.532 皆さんがこのトピックに[br]取り組む必要があるということです 0:14:36.480,0:14:39.720 立ち直る力を高めるためには 0:14:40.295,0:14:43.760 皆さんがその重要性を[br]理解することが最初の一歩です 0:14:44.540,0:14:48.668 コミュニティの強さは[br]個人の強さに由来するもので 0:14:49.772,0:14:53.759 個人の強さこそが[br]コミュニティを形作るのです 0:14:55.371,0:14:58.759 「ノアが箱舟を作ったとき[br]雨は降っていませんでした」 0:14:59.460,0:15:02.651 歴史の中には学ぶべき教訓があり 0:15:03.575,0:15:06.226 嵐が来ることは[br]分かっているのです 0:15:07.344,0:15:09.172 問題なのは 0:15:09.172,0:15:11.221 皆さんにその準備があるか[br]ということです 0:15:11.512,0:15:12.713 ありがとうございました 0:15:12.713,0:15:15.467 (拍手)