WEBVTT

00:00:00.381 --> 00:00:04.604
「宗教的なことは一切 抜きにしても

00:00:04.604 --> 00:00:10.659
ホモセクシャルは性的機能の
誤用と言わざるを得ない

00:00:10.659 --> 00:00:15.285
それは救いようのない
低俗な現実の代用品であり

00:00:15.285 --> 00:00:17.685
人生からの哀れむべき逃避である

00:00:17.685 --> 00:00:21.508
それ自体 同情には値せず

00:00:21.508 --> 00:00:24.070
マイノリティの苦難として

00:00:24.070 --> 00:00:26.837
治療にも値しない

00:00:26.837 --> 00:00:33.515
不治の病と見なすより他にない」

NOTE Paragraph

00:00:33.515 --> 00:00:38.737
これは1966年 私が３歳の時に発行された
TIME誌からの引用です

00:00:38.737 --> 00:00:42.651
そして昨年 アメリカ合衆国大統領は

00:00:42.651 --> 00:00:45.234
同性婚に好意的な態度を表明しました

NOTE Paragraph

00:00:45.234 --> 00:00:52.683
（拍手）

NOTE Paragraph

00:00:52.683 --> 00:00:58.385
ここまでの道程は
どんなものだったのでしょう

00:00:58.385 --> 00:01:03.125
いかにして「病」は
アイデンティティになったのでしょう

NOTE Paragraph

00:01:03.125 --> 00:01:06.085
私が６歳ぐらいだった時のことです

00:01:06.085 --> 00:01:09.018
母と弟と一緒に 靴屋へ行きました

00:01:09.018 --> 00:01:11.425
靴を買った後

00:01:11.425 --> 00:01:15.217
お店の人が風船をくれると言いました

00:01:15.217 --> 00:01:20.883
弟は赤い風船を
私はピンクの風船を希望しました

00:01:20.883 --> 00:01:25.798
母は私に「本当は青がいいんでしょ？」
と言いました

00:01:25.798 --> 00:01:28.934
でも私は絶対に
ピンクが良かったのです

00:01:28.934 --> 00:01:34.353
母は 「青色が好きだったでしょう」と
念押ししました

00:01:34.353 --> 00:01:39.143
現在の私は青が好きですが
相変わらずゲイですから―

00:01:39.143 --> 00:01:42.251
（笑）

00:01:42.251 --> 00:01:46.623
これは母親の影響力と その限界を
同時に証明している訳です

NOTE Paragraph

00:01:46.623 --> 00:01:48.690
（笑）

NOTE Paragraph

00:01:48.690 --> 00:01:55.557
（拍手）

NOTE Paragraph

00:01:55.557 --> 00:01:58.098
小さい頃 母はよく言っていました

00:01:58.114 --> 00:02:02.650
「子供に対する親の愛情は
他のどんな感情にも代えがたいものよ

00:02:02.650 --> 00:02:05.995
子供を持ってみないと
わからないけどね」

00:02:05.995 --> 00:02:09.189
私たち兄弟を育てることを
そんなふうに言ってくれる―

00:02:09.189 --> 00:02:12.009
幼い私にとって
母の言葉は最大の賛辞でした

00:02:12.009 --> 00:02:14.637
思春期になり 私は自分がゲイで

00:02:14.637 --> 00:02:18.001
おそらく家族を持つことはないと
思うようになりました

00:02:18.001 --> 00:02:20.378
すると母の言葉は
私を不安にさせました

00:02:20.378 --> 00:02:21.904
カミングアウト後も

00:02:21.904 --> 00:02:25.104
母は例のセリフを言い続け
私は怒りを覚えました

00:02:25.104 --> 00:02:29.245
「僕はゲイだから
その方向へは進まない」

00:02:29.245 --> 00:02:32.290
「もう言わないでくれ」と言いました

NOTE Paragraph

00:02:35.013 --> 00:02:40.070
20年ほど前 私はニューヨーク・
タイムズ・マガジンの編集者から

00:02:40.070 --> 00:02:42.511
ろう文化についての記事を
依頼されました

00:02:42.511 --> 00:02:44.348
かなり戸惑いました

00:02:44.348 --> 00:02:46.543
「ろう」を全くの疾患と思っていたのです

00:02:46.543 --> 00:02:48.269
耳の聞こえない 気の毒な人々

00:02:48.269 --> 00:02:51.043
聴覚のない彼らのために
何ができるのか？

00:02:51.043 --> 00:02:53.160
やがて私は ろうの世界に入り

00:02:53.160 --> 00:02:55.551
ろう者のクラブに行きました

00:02:55.551 --> 00:02:59.471
ろう者の演劇や手話詩を
見に行きました

00:02:59.471 --> 00:03:05.682
テネシー州ナッシュビルで開催された
ろう者のミスコンにも行ったのですが

00:03:05.682 --> 00:03:09.526
そこでは皆「南部の手話は訛っている」
と文句を言っていました

NOTE Paragraph

00:03:09.526 --> 00:03:13.782
（笑）

NOTE Paragraph

00:03:13.782 --> 00:03:17.709
ろう者の世界に どんどん深く
はまって行き

00:03:17.709 --> 00:03:20.715
私は ろう が文化であると
確信しました

00:03:20.715 --> 00:03:23.077
ろう者たちの
「我々は聴覚がないんじゃない

00:03:23.077 --> 00:03:26.444
この文化を担う
権利を持ってるんだ」という言葉に

00:03:26.444 --> 00:03:29.021
たくましさを感じました

00:03:29.021 --> 00:03:30.526
私は部外者でしたし

00:03:30.526 --> 00:03:33.244
その文化に殊更
入りたいとも思っていませんでしたが

00:03:33.244 --> 00:03:36.075
私はそれが一つの文化であり

00:03:36.075 --> 00:03:38.210
その文化のメンバーたちにとっては

00:03:38.210 --> 00:03:44.499
ラテン文化やゲイ文化 ユダヤ文化と同様
価値のあるものなんだと感じました

00:03:44.499 --> 00:03:49.499
仮に アメリカ文化と比べても
引けを取らないでしょう

NOTE Paragraph

00:03:49.499 --> 00:03:52.913
同じ頃 友達の友達に
小人症の娘が生まれました

00:03:52.913 --> 00:03:54.392
娘が生まれると同時に

00:03:54.392 --> 00:03:56.708
母親の目の前には
疑問が立ちはだかりました

00:03:56.723 --> 00:03:59.510
それは今の私には
とても共感できることです

00:03:59.510 --> 00:04:03.377
「この子と どう向き合えばいいのか？」
という疑問です

00:04:03.377 --> 00:04:06.837
「あなたは ちょっと小さいけど
他の皆と同じなのよ」と言うのか？

00:04:06.837 --> 00:04:10.052
それとも 小人としての
アイデンティティの確立を目指し

00:04:10.052 --> 00:04:12.599
Little People of America に参加して

00:04:12.599 --> 00:04:15.392
小人症の現状に目を向けるべきか？

NOTE Paragraph

00:04:15.392 --> 00:04:16.993
私は突然 思いつきました

00:04:16.993 --> 00:04:19.212
ろうの子の殆どは
健常の親の元に生まれます

00:04:19.212 --> 00:04:22.011
親たちは「治療」を考えがちですが

00:04:22.011 --> 00:04:26.177
子供は思春期になると
ろうのコミュニティを発見するものです

00:04:26.177 --> 00:04:28.526
同性愛者の殆どは
ストレートの親の元に生まれます

00:04:28.526 --> 00:04:30.974
ストレートの親は大抵
自分たちの考える「普通」の世界で

00:04:30.974 --> 00:04:33.244
生きていけるようになってほしい
と望みますが

00:04:33.244 --> 00:04:36.848
同性愛者は自らのアイデンティティを
いずれ発見することになります

00:04:36.848 --> 00:04:38.464
いま私の友人が直面しているのは

00:04:38.464 --> 00:04:41.793
小人症の娘の
アイデンティティの問題です

00:04:41.793 --> 00:04:43.569
同じだと思いました

00:04:43.569 --> 00:04:46.135
どこか普通でない子を持ちながらも

00:04:46.135 --> 00:04:48.505
そのことを普通だと捉えている家族

00:04:48.505 --> 00:04:53.017
私はアイデンティティには
２種類あると考えるようになりました

NOTE Paragraph

00:04:53.017 --> 00:04:54.941
１つは「縦」のアイデンティティ

00:04:54.941 --> 00:04:57.923
これは親から子へ
受け継がれていくもので

00:04:57.923 --> 00:05:03.526
民族性や 多くの場合
国民性 言語や宗教などのことです

00:05:03.526 --> 00:05:08.004
これらは親子間で
共有されるアイデンティティです

00:05:08.004 --> 00:05:10.277
中には厳しいものもありますが

00:05:10.277 --> 00:05:12.471
誰もそれを「治療」しようとはしません

00:05:12.471 --> 00:05:15.883
現大統領が有色とはいえ
やはりアメリカ合衆国において

00:05:15.883 --> 00:05:17.857
有色人種であることは

00:05:17.857 --> 00:05:19.690
困難を伴うと言えるでしょう

00:05:19.690 --> 00:05:22.389
だからと言って アフリカ系アメリカ人や

00:05:22.389 --> 00:05:26.277
アジア人の間に生まれる
次世代の子供たちの肌をクリーム色に

00:05:26.277 --> 00:05:29.666
髪を黄色にしてやろうと思う人は
どこにもいません

NOTE Paragraph

00:05:29.666 --> 00:05:33.943
これとは別に仲間から学ぶ
アイデンティティがあります

00:05:33.943 --> 00:05:36.241
仲間というのは
横に広がる感覚ですから

00:05:36.241 --> 00:05:39.136
私はこれを
「横」のアイデンティティと呼びます

00:05:39.136 --> 00:05:41.704
このアイデンティティについて
親は門外漢ですから

00:05:41.704 --> 00:05:45.889
仲間との関わりから
見つけるしかないのです

00:05:45.889 --> 00:05:48.974
このような横のアイデンティティは

00:05:48.974 --> 00:05:52.690
ほとんどの場合
「治療」の対象にされます

NOTE Paragraph

00:05:52.690 --> 00:05:55.358
私はこうしたアイデンティティを
持つ人々が

00:05:55.358 --> 00:05:57.575
それらと上手く
付き合えるようになるまでの

00:05:57.575 --> 00:06:00.303
過程を調べたいと考えました

00:06:00.303 --> 00:06:04.556
どうやら その過程では
もれなく３段階の受容が

00:06:04.556 --> 00:06:05.995
生じるようでした

00:06:05.995 --> 00:06:11.544
それは 自己による受容 家族による受容
そして社会による受容です

00:06:11.544 --> 00:06:13.491
同時に起きるとは限りません

NOTE Paragraph

00:06:13.491 --> 00:06:17.627
こうした状況にある人は大抵
怒りに満ちています

00:06:17.627 --> 00:06:20.691
彼らが親に愛されていないと
感じているためですが

00:06:20.691 --> 00:06:24.990
実は親は
彼らを受容できていないだけなのです

00:06:24.990 --> 00:06:28.156
愛は 理想的に言えば

00:06:28.156 --> 00:06:31.203
親子の間で 常に
無条件に存在するものです

00:06:31.203 --> 00:06:34.469
しかし受容には時間がかかります

00:06:34.469 --> 00:06:36.704
時間がかかるものなのです

NOTE Paragraph

00:06:36.704 --> 00:06:41.596
知り合いの小人症の男性に
クリントン・ブラウンという人がいました

00:06:41.596 --> 00:06:44.998
彼は生まれた時に
変形性小人症で―

00:06:44.998 --> 00:06:46.776
重度の障害と診断されました

00:06:46.776 --> 00:06:50.182
両親は こう告げられました
彼は歩くことも話すこともできず

00:06:50.182 --> 00:06:52.157
知能も持たず

00:06:52.157 --> 00:06:54.856
おそらく親を認識することすら
ないだろうと

00:06:54.856 --> 00:06:58.277
そして彼が静かに息を引き取れるよう

00:06:58.277 --> 00:07:00.491
病院に置いていくことを
勧められました

NOTE Paragraph

00:07:00.491 --> 00:07:02.455
ところが彼の母は きっぱり断り

00:07:02.455 --> 00:07:04.222
彼を家に連れて帰ったのです

00:07:04.222 --> 00:07:07.856
教育の面でも経済的にも
余裕はありませんでしたが

00:07:07.856 --> 00:07:09.804
変形小人症に立ち向かうために

00:07:09.804 --> 00:07:12.003
母親は
国内で最高の医者を見つけ出し

00:07:12.003 --> 00:07:14.169
クリントンを そこへ入院させました

00:07:14.169 --> 00:07:16.250
彼は幼少期のうちに

00:07:16.250 --> 00:07:19.323
30回の大手術を受けました

00:07:19.323 --> 00:07:21.510
彼はその間のすべての時間を

00:07:21.510 --> 00:07:23.203
病院で過ごしましたが

00:07:23.203 --> 00:07:25.611
おかげで歩けるようになりました

NOTE Paragraph

00:07:25.611 --> 00:07:29.961
入院中も学校の勉強ができるように
親は家庭教師を雇いました

00:07:29.961 --> 00:07:32.790
他にすることもないので
彼は一生懸命勉強しました

00:07:32.790 --> 00:07:34.537
そして ついに彼は

00:07:34.537 --> 00:07:38.112
家族の誰もが予期しなかった程の
レベルに到達したのです

00:07:38.112 --> 00:07:41.442
彼は家族の中で大学に進んだ
第１号となり

00:07:41.442 --> 00:07:44.824
キャンパスに住み
彼の特別な体に合わせた―

00:07:44.824 --> 00:07:47.608
特別装備の車を運転しました

NOTE Paragraph

00:07:47.608 --> 00:07:50.571
彼の母がこんな話をしてくれました
ある日の帰宅途中のこと

00:07:50.571 --> 00:07:52.336
彼の大学は近所にあるのですが

00:07:52.336 --> 00:07:55.423
「あの子の車は
見たらすぐにわかるでしょ

00:07:55.423 --> 00:07:59.846
それがバーの駐車場にあったのよ」
（笑）

00:07:59.846 --> 00:08:04.456
「他の人たちは身長180センチ
彼は90センチだから

00:08:04.456 --> 00:08:06.756
２杯のビールは
彼には４杯分ってことよ」

00:08:06.756 --> 00:08:09.369
「そこへ割り込んで行くわけにも
いかないし

00:08:09.369 --> 00:08:13.522
家に帰って 彼の携帯に
８回も留守電を入れちゃった」

00:08:13.522 --> 00:08:14.840
「その時 思ったの

00:08:14.840 --> 00:08:18.322
彼が生まれた時に
『いずれは大学の仲間と車で飲みに行って

00:08:18.322 --> 00:08:22.755
心配させられることになるよ』
なんて言う人がいたかしら」

NOTE Paragraph

00:08:22.755 --> 00:08:31.537
（拍手）

NOTE Paragraph

00:08:31.537 --> 00:08:33.576
彼女に尋ねました
「彼がここまで魅力的で―

00:08:33.576 --> 00:08:38.036
優秀で素晴らしい人間になったのは
あなたが何をしたからでしょう？」

00:08:38.036 --> 00:08:42.723
彼女は言いました「私が何をしたか？
私は彼を愛してた ただそれだけよ

00:08:42.723 --> 00:08:45.859
クリントンは輝く素質のある子でした

00:08:45.859 --> 00:08:52.272
夫と私はそれを誰よりも先に見られて
幸運でした」

NOTE Paragraph

00:08:52.272 --> 00:08:55.310
ここでまた60年代の別の雑誌から
引用を紹介します

00:08:55.310 --> 00:09:01.004
1968年のアトランティック誌からです
自由主義アメリカの声として

00:09:01.004 --> 00:09:03.808
ある生命倫理学の重鎮が書きました

00:09:03.808 --> 00:09:07.616
「ダウン症の子供を捨てたとしても

00:09:07.616 --> 00:09:10.921
何ら罪を感じる必要はない

00:09:10.921 --> 00:09:15.980
施設に こっそり捨てようと

00:09:15.980 --> 00:09:19.889
もっと責任を問われるような
命に関わる捨て方だろうと

00:09:19.889 --> 00:09:24.837
それは悲しく厭な事ではあるが
罪を伴うことではない

00:09:24.837 --> 00:09:28.937
罪とは 人間に対して犯すものに
限られるが

00:09:28.937 --> 00:09:33.538
ダウン症は人間ではない」

NOTE Paragraph

00:09:33.538 --> 00:09:37.479
ゲイに対する待遇が
大きく進展したことについては

00:09:37.479 --> 00:09:39.606
多くの言説が公になっています

00:09:39.606 --> 00:09:43.642
ゲイに対する態度が変化したことを
日々マスコミが取り上げています

00:09:43.642 --> 00:09:48.338
ところが私たちは他の違いを持つ人々を
過去にどういう目で見ていたか

00:09:48.338 --> 00:09:50.476
障害者を どう見ていたのか

00:09:50.476 --> 00:09:53.389
人々をいかに残酷な生き物にしてきたか
忘れていました

00:09:53.389 --> 00:09:55.267
今日達成された変化は

00:09:55.267 --> 00:09:57.093
ゲイと同程度に急進的ですが

00:09:57.093 --> 00:09:59.969
私たちは十分に注意を
払ってきませんでした

NOTE Paragraph

00:09:59.969 --> 00:10:03.921
私が取材した家族の中に
トム＆カレン・ロバーズがいます

00:10:03.921 --> 00:10:07.649
若くして成功したニューヨーカーである
夫妻は非常に驚きました

00:10:07.649 --> 00:10:11.104
初めての子供がダウン症と
診断されたのです

00:10:11.104 --> 00:10:15.190
夫妻は息子に用意された教育が
適切なものではないと考え

00:10:15.190 --> 00:10:19.043
自らの手で小さな教育センターを
作る決意をしました

00:10:19.043 --> 00:10:22.707
他の親たちと一緒に２つの教室を作り

00:10:22.707 --> 00:10:25.170
ダウン症の子の教育を始めました

00:10:25.170 --> 00:10:29.070
やがて拡大し「クック・センター」と
呼ばれるまでになり

00:10:29.070 --> 00:10:31.227
今や何千もの知的障害を持つ子たちが

00:10:31.227 --> 00:10:35.004
そこで教育を受けています

NOTE Paragraph

00:10:35.004 --> 00:10:38.142
例のアトランティック誌の記事掲載から
今日までに

00:10:38.142 --> 00:10:42.315
ダウン症の人々の平均余命は
３倍になりました

00:10:42.315 --> 00:10:47.074
ダウン症の人々の中には 役者になったり

00:10:47.074 --> 00:10:53.127
作家になったり 完全に独立した成人として
生活できている人もいます

NOTE Paragraph

00:10:53.127 --> 00:10:55.002
ロバーズ夫妻の功績です

00:10:55.002 --> 00:10:56.536
夫妻に尋ねました
「悔いはありますか？」

00:10:56.536 --> 00:10:59.139
「我が子がダウン症でなかったらと
思いますか？

00:10:59.139 --> 00:11:00.988
ダウン症と縁のない人生を
望みますか？」

00:11:00.988 --> 00:11:03.355
父親の答えは興味深いものでした

00:11:03.355 --> 00:11:05.942
「息子のデビッドに関しては
悔いがあります

00:11:05.942 --> 00:11:09.322
デビッドにとっては
生き辛くさせていますからね

00:11:09.322 --> 00:11:12.070
息子には もっと楽な生き方を
させてあげたかった

00:11:12.070 --> 00:11:17.170
でも もしダウン症の子を皆 失ったら
それは とてつもない損失です」

NOTE Paragraph

00:11:17.170 --> 00:11:20.601
カレン・ロバーズは言いました
「私もトムと同じです

00:11:20.601 --> 00:11:24.542
息子に関しては すぐにでも治して
もっと楽に生きられるようにしてあげたい

00:11:24.542 --> 00:11:29.978
だけど 自分に関して言えば
デビッドが生まれた23年前には

00:11:29.978 --> 00:11:31.988
考えられなかったことだけど

00:11:31.988 --> 00:11:36.336
私自身は ダウン症と関わって
ずっと親切で良い人間になれたし

00:11:36.336 --> 00:11:39.370
はっきり目的を持って
生きられるようになったわ

00:11:39.370 --> 00:11:45.779
だから私に関して言えば
悔いは何一つありません」

NOTE Paragraph

00:11:45.779 --> 00:11:50.164
ダウン症を含む様々な障害が
確実に社会で受容される時代に

00:11:50.164 --> 00:11:51.902
私たちは生きています

00:11:51.902 --> 00:11:53.738
そして同時に この時代は

00:11:53.738 --> 00:11:56.629
その障害を取り除くための
我々の能力も

00:11:56.629 --> 00:11:59.237
かつて想像できなかった程の
レベルに達しています

00:11:59.237 --> 00:12:02.381
今日 アメリカで ろうで生まれた子の
ほとんどは

00:12:02.396 --> 00:12:04.189
人工内耳の手術が受けられます

00:12:04.189 --> 00:12:09.004
人工内耳を脳に埋め込み
受信機と接続することで

00:12:09.004 --> 00:12:14.022
彼らは電送によって聞き
発語できるようになります

00:12:14.022 --> 00:12:18.321
すでにマウス実験を終えた
BMN-111という治験薬は

00:12:18.321 --> 00:12:23.374
軟骨発育不全症の遺伝子の作用を
防ぐのに効果があります

00:12:23.374 --> 00:12:26.119
軟骨発育不全は小人症の原因として
最も多いものですが

00:12:26.119 --> 00:12:30.086
軟骨発育不全の遺伝子を持つマウスに
その薬を与えると

00:12:30.086 --> 00:12:32.004
通常のサイズに成長します

00:12:32.004 --> 00:12:34.555
人間への臨床試験まで
あと少しです

00:12:34.555 --> 00:12:36.811
ダウン症の胎児をより正確に

00:12:36.811 --> 00:12:42.306
かつてないほど早い段階で判定できる
血液検査も進歩しています

00:12:42.306 --> 00:12:47.535
これにより妊娠中絶を望む場合には
より簡単に

00:12:47.550 --> 00:12:48.870
できるようになります

NOTE Paragraph

00:12:48.870 --> 00:12:53.537
このように社会的にも医学的にも
進歩があります

00:12:53.537 --> 00:12:55.389
私はどちらも大切なことだと思います

00:12:55.389 --> 00:12:59.444
社会的な進歩は素敵なことですし
有意義で素晴らしいと思います

00:12:59.444 --> 00:13:02.540
医学的な進歩も同様に
素晴らしいと考えています

00:13:02.540 --> 00:13:06.903
しかし 双方の思惑がすれ違っていては
悲劇です

00:13:06.903 --> 00:13:08.974
私が挙げた３つの障害を取り巻く環境で

00:13:08.974 --> 00:13:11.188
２つの進歩が交差する様子は

00:13:11.188 --> 00:13:14.838
まるでグランド・オペラの一幕のようだと
思うことがあります

00:13:14.838 --> 00:13:17.442
主人公がヒロインを愛していると悟った
まさにその時

00:13:17.442 --> 00:13:21.889
ヒロインは横たわり息を引き取るという
あの場面です

NOTE Paragraph

00:13:21.889 --> 00:13:24.688
（笑）

NOTE Paragraph

00:13:24.688 --> 00:13:28.570
私たちは 治療に対する感情について
一緒に考えなくてはなりません

00:13:28.570 --> 00:13:31.436
親の立場から
いつも問題となるのは

00:13:31.436 --> 00:13:33.288
自分たちの子供の何に
価値を見出すのか

00:13:33.288 --> 00:13:35.040
子供の何を治すのかということです

NOTE Paragraph

00:13:35.040 --> 00:13:39.211
ジム・シンクレアという有名な
自閉症の活動家がこう言っています

00:13:39.211 --> 00:13:43.865
「親が 『うちの子に自閉症がなければ
良かったのに』と言ったら それは

00:13:43.865 --> 00:13:48.724
『この子が生まれてこなかったら
良かったのに そして代わりに―

00:13:48.724 --> 00:13:52.743
自閉症でない子供がほしかった』と
言っているのと同じです」

00:13:52.743 --> 00:13:57.535
「よく考えてください 私たちの存在を
嘆いているように聞こえるのですよ

00:13:57.535 --> 00:14:00.737
あなた方が私たちの治癒を願う時
私たちは こう感じています

00:14:00.737 --> 00:14:02.642
あなた方の一番の願いは

00:14:02.642 --> 00:14:05.021
私たちの存在がなくなり
その中身だけが

00:14:05.021 --> 00:14:10.576
あなた方の愛せる知らない誰かと
こっそり入れ替わることなのだと」

00:14:10.576 --> 00:14:13.642
これは非常に極端な物の見方ですが

00:14:13.642 --> 00:14:17.771
障害を持つ人々が人生で直面している
現実を示しています

00:14:17.771 --> 00:14:22.336
彼らは治癒も変化も
障害の除去も 望んではいないのです

00:14:22.336 --> 00:14:25.556
どんな境遇であれ
彼らは自分のままでありたいのです

NOTE Paragraph

00:14:25.556 --> 00:14:29.356
このプロジェクトのために
インタビューした家族の中に

00:14:29.356 --> 00:14:34.610
コロンバイン高校の虐殺犯の一人
ディラン・クレボルドの家族がいました

00:14:34.610 --> 00:14:37.405
話してくれるよう説得するには
長い時間がかかりましたが

00:14:37.405 --> 00:14:40.169
一旦了解すると 彼らからは
様々な話が溢れ出し

00:14:40.169 --> 00:14:41.868
止めどもなく 語ってくれました

00:14:41.868 --> 00:14:44.485
週末ごとに何度も 彼らに会いましたが

00:14:44.485 --> 00:14:47.606
その初回だけでも
20時間以上の会話を録音しました

NOTE Paragraph

00:14:47.606 --> 00:14:49.869
日曜の夜には全員 疲れ果てていました

00:14:49.869 --> 00:14:52.755
私たちは台所に座り スー・クレボルドは
晩御飯の支度中でした

00:14:52.755 --> 00:14:55.276
私は尋ねました 
「もしディランが今ここに居たら

00:14:55.276 --> 00:14:58.121
彼に何か聞きたいという気持ちは
ありますか？」

00:14:58.121 --> 00:15:00.489
父親はこう答えました
「もちろんです

00:15:00.489 --> 00:15:04.038
どういうつもりで あんな事をしでかしたか
聞いてやりたいです」

00:15:04.038 --> 00:15:07.676
スーは床を見つめて
しばらく考えていました

00:15:07.676 --> 00:15:09.855
顔を上げると 彼女はこう言いました

00:15:09.855 --> 00:15:13.918
「私は母親でありながら
彼の内面で何が起きているのか

00:15:13.918 --> 00:15:18.342
分かってあげられなかったことを
許してと言いたいわ」

NOTE Paragraph

00:15:18.342 --> 00:15:21.310
数年後 彼女と夕食を
とっていた時のことです

00:15:21.310 --> 00:15:23.237
何度も ご一緒したうちの一回です

00:15:23.237 --> 00:15:26.647
彼女は言いました
「あの事件があった時

00:15:26.647 --> 00:15:30.455
私は結婚して子供を持ったことを
とても悔やんでいたわ

00:15:30.455 --> 00:15:33.947
もし私がオハイオ州立大に行かず
トムと出会わなければ

00:15:33.947 --> 00:15:37.589
あの子は生まれてこなかったし
あの悲惨な事件も起きなかったでしょう

00:15:37.589 --> 00:15:42.104
でも ようやく私は子供たちを
とても愛していたと思えるようになったの

00:15:42.104 --> 00:15:45.407
子供たち抜きの人生なんて
想像できないわ

00:15:45.407 --> 00:15:50.336
あの子達が他の人に与えた苦しみは
決して許されるものではありません

00:15:50.336 --> 00:15:53.800
でも 私の苦しみに限っては
許してやろうと思うの」

00:15:53.800 --> 00:15:57.592
「だから もしディランが
生まれてこなかったとしたら

00:15:57.592 --> 00:16:00.102
世の中にとって良かったとは思うけど

00:16:00.102 --> 00:16:05.584
私にとっては そうではなかったと
思うことに決めたの」

NOTE Paragraph

00:16:05.584 --> 00:16:12.068
驚くべきことだと思いました
様々な問題のある子供を持つ家族は皆

00:16:12.068 --> 00:16:15.101
大抵 その問題を何とか回避しようとし

00:16:15.101 --> 00:16:18.920
そこで親として経験したことに
とても大きな意義を見出しているのです

00:16:18.920 --> 00:16:22.121
そして私は 子供を持つ全ての親は

00:16:22.121 --> 00:16:24.813
その欠陥も含めて我が子を
愛しているのだと思いました

00:16:24.813 --> 00:16:29.069
もしも突然 美しい天使が
リビングの天井から舞い降りて来て

00:16:29.069 --> 00:16:31.279
私の子供を取り上げる代わりに

00:16:31.279 --> 00:16:37.873
もっと良い子供― 礼儀正しくて 愉快で
素直で 賢い子供をあげると言われたら

00:16:37.873 --> 00:16:42.978
私は我が子に しがみついて
その最悪な状況が過ぎ去るよう祈るでしょう

00:16:42.978 --> 00:16:44.970
こうした感情は 結局のところ

00:16:44.970 --> 00:16:48.548
我が子がストーブに手を伸ばした時
火がつかないように

00:16:48.548 --> 00:16:53.020
燃えないパジャマを
念のため火にくべてみるのと同じです

00:16:53.020 --> 00:16:57.088
乗り越えてきた違いは極端でも
これらの家族のストーリーは

00:16:57.088 --> 00:16:59.769
万国共通の親心の表れであって

00:16:59.769 --> 00:17:03.903
親が子供の顔を見て ふと思う
あの感慨と同じです

00:17:03.903 --> 00:17:06.092
「あなたはどこから来たの？」

NOTE Paragraph

00:17:06.092 --> 00:17:08.546
（笑）

NOTE Paragraph

00:17:08.546 --> 00:17:13.521
それぞれの違いは個別で
それ自体に関連性はありませんから

00:17:13.521 --> 00:17:16.066
ある家族は統合失調症に取り組み

00:17:16.066 --> 00:17:18.703
ある家族はトランスジェンダーの子を持つ
という具合ですが

00:17:18.703 --> 00:17:20.897
天才児を抱えた家族にしても

00:17:20.897 --> 00:17:23.181
直面する困難としては よく似ています

00:17:23.181 --> 00:17:25.871
各カテゴリーに分類される家族の
数は限られるものの

00:17:25.871 --> 00:17:27.303
家族の間で生じた違いに―

00:17:27.303 --> 00:17:30.869
折り合いをつけていく経験を
他の人々も取り組んでいるのだと

00:17:30.869 --> 00:17:32.899
考えるようにすれば

00:17:32.899 --> 00:17:36.636
それが ごく一般的な現象であることに
気づくでしょう

00:17:36.636 --> 00:17:41.271
皮肉なことですが 違いがあり
その違いに折り合いをつけていくからこそ

00:17:41.271 --> 00:17:43.699
私たちの間に 結びつきが生まれるのです

NOTE Paragraph

00:17:43.699 --> 00:17:49.013
このプロジェクトに取り組みながら 私は
自分も子供を持つことを決心しました

00:17:49.013 --> 00:17:52.129
多くの人たちは驚いて こう言いました

00:17:52.129 --> 00:17:53.977
「子育ての大変さを調査している最中に

00:17:53.977 --> 00:17:58.083
よく子供を持とうと思ったね」

00:17:58.083 --> 00:18:01.313
こう返しました 「私は大変さを
調査しているんじゃないですよ

00:18:01.313 --> 00:18:04.404
私が調査しているのは
ものすごく大変そうな中に

00:18:04.404 --> 00:18:09.129
いかに たくさんの愛が存在しているか
ということです」

NOTE Paragraph

00:18:09.129 --> 00:18:14.764
私は障害児を持った ある母親のことを
よく考えました

00:18:14.764 --> 00:18:18.536
その子は重度の障害児で
介護者のネグレクトによって亡くなりました

00:18:18.536 --> 00:18:21.346
遺灰を埋める時 母親はこう言いました

00:18:21.346 --> 00:18:29.380
「２度に渡って奪われた罪を
お赦しいただきたく 祈ります

00:18:29.380 --> 00:18:35.436
一度は私が望んだ子
そして もう一度は私が愛した子を」

00:18:35.436 --> 00:18:40.072
それを聞き私は 強い意志さえあれば
どんな人でも どんな子でも

00:18:40.072 --> 00:18:42.604
愛することが可能なのだと気づきました

NOTE Paragraph

00:18:42.604 --> 00:18:47.629
私の夫には ミネアポリスに住む
レズビアンの友人との間に

00:18:47.629 --> 00:18:50.390
血のつながった子が２人います

00:18:50.390 --> 00:18:56.214
私には 大学からの親友で 離婚を経て
子供が欲しくなった女性がいて

00:18:56.214 --> 00:18:58.112
彼女と私の間に娘がいます

00:18:58.112 --> 00:19:00.323
彼女と娘はテキサスで暮らしています

00:19:00.323 --> 00:19:03.562
夫と私にはずっと一緒に暮らしている
息子がいますが

00:19:03.562 --> 00:19:05.946
息子と私は血がつながっています

00:19:05.946 --> 00:19:09.866
代理母になってくれたのはローラという
ミネアポリスに住むレズビアンで

00:19:09.881 --> 00:19:12.929
彼女にはオリバーとルーシーという
子供がいます

NOTE Paragraph

00:19:12.929 --> 00:19:21.584
（拍手）

NOTE Paragraph

00:19:21.584 --> 00:19:27.048
要約すると ３つの州に
４人の子供の親が５人いるわけです

NOTE Paragraph

00:19:27.048 --> 00:19:30.404
こんな家族が存在すると
自分たちの家族が傷つけられたり

00:19:30.404 --> 00:19:35.069
弱体化させられたり 害を与えられると
考える人々がいます

00:19:35.069 --> 00:19:38.697
私の家族のようなものの存在は
許されるべきでないと

00:19:38.697 --> 00:19:40.381
考える人々もいます

00:19:40.381 --> 00:19:46.036
私は 引き算の愛は認めません
認めるのは足し算の愛のみです

00:19:46.036 --> 00:19:49.562
この星が確実に存続していくために

00:19:49.562 --> 00:19:51.813
種の多様性が必要なように

00:19:51.813 --> 00:19:56.014
優しさの生態圏を強化するために

00:19:56.014 --> 00:20:00.695
私たちには愛情の多様性と
家族の多様性が必要なのです

NOTE Paragraph

00:20:00.695 --> 00:20:03.065
息子が生まれた翌日

00:20:03.065 --> 00:20:07.637
小児科医が病室に入ってきて
気になることがあると言いました

00:20:07.637 --> 00:20:10.770
息子の足の伸ばし方が
おかしいと言うのです

00:20:10.770 --> 00:20:13.679
脳に障害があるかもしれないと
いうことでした

00:20:13.679 --> 00:20:17.040
確かに彼の足の伸ばし方は
左右対称ではなく

00:20:17.040 --> 00:20:20.903
それで医者は何らかの腫瘍のせい
ではないかと考えたのです

00:20:20.903 --> 00:20:25.686
更に彼は頭がとても大きく 医者は
水頭症の兆候かもしれないと考えました

NOTE Paragraph

00:20:25.686 --> 00:20:27.316
医者の説明を聞いて

00:20:27.316 --> 00:20:31.311
私は 自分の中心が 床の上に
溢れ出すような感覚を覚えました

00:20:31.311 --> 00:20:33.654
それまでの仕事で 私は

00:20:33.654 --> 00:20:36.203
障害児を育てる経験を通して

00:20:36.203 --> 00:20:39.736
人々が感得する意義について
執筆していながら

00:20:39.736 --> 00:20:43.636
自分は仲間に入りたくないと思いました

00:20:43.636 --> 00:20:46.331
私が直面していたのは
病気という観念だったからです

00:20:46.331 --> 00:20:48.581
歴史開闢以来 どの親もそうであるように

00:20:48.581 --> 00:20:51.927
私は我が子を
病気から守りたいと思いました

00:20:51.927 --> 00:20:55.138
私自身も病気から
身を守りたいと思いました

00:20:55.138 --> 00:20:57.698
同時に 私は自分の仕事を通じて

00:20:57.698 --> 00:21:01.805
これから検査をして 息子に何らかの
問題があったとしても

00:21:01.805 --> 00:21:04.878
結局はそれが この子の
アイデンティティとなり

00:21:04.878 --> 00:21:09.112
だとすれば それは
私のアイデンティティにもなるのだと

00:21:09.112 --> 00:21:13.269
その病気はこの先 大きく形を
変えていくのだと 知っていました

NOTE Paragraph

00:21:13.269 --> 00:21:16.300
私たちは息子を MRI や CT にかけ

00:21:16.300 --> 00:21:20.298
生後１日の我が子に
動脈血の検査を受けさせました

00:21:20.298 --> 00:21:21.492
無力感を味わいました

00:21:21.492 --> 00:21:22.970
そして５時間が経過した後

00:21:22.970 --> 00:21:25.194
医者たちは彼の脳には何の問題もなく

00:21:25.194 --> 00:21:28.204
足の伸ばし方も良くなったと言いました

00:21:28.204 --> 00:21:31.136
私が小児科医に何が起きたのか尋ねると

00:21:31.136 --> 00:21:35.471
こんな答えでした
「朝 痙攣を起こしたせいかしらね」

NOTE Paragraph

00:21:35.471 --> 00:21:39.036
（笑）

NOTE Paragraph

00:21:39.036 --> 00:21:46.869
それにしても 私は母の言ったことは
正しかったと思いました

00:21:46.869 --> 00:21:50.364
「子供に対する親の愛情は

00:21:50.364 --> 00:21:53.694
他のどんな感情にも
代えがたいものであり

00:21:53.694 --> 00:21:59.858
子供を持ってみないと わからない」
本当にそうだと思いました

NOTE Paragraph

00:21:59.858 --> 00:22:02.179
私が父親になることと 失うことを

00:22:02.179 --> 00:22:05.705
結びつけた その瞬間
私は子供たちに試されたのだと思います

00:22:05.705 --> 00:22:07.637
しかし 調査の真っ最中でなかったら

00:22:07.637 --> 00:22:13.162
私はそのことに気づけたかどうか
分かりません

00:22:13.162 --> 00:22:16.394
私はたくさんの
不思議な愛の形を見てきました

00:22:16.394 --> 00:22:20.179
そして私はその魅惑的なパターンに
自然と はまりこんでいきました

00:22:20.179 --> 00:22:26.906
そして どんなに救いがたい弱さにも
光は当たるのだということを見てきました

NOTE Paragraph

00:22:26.906 --> 00:22:30.712
この10年間で私が目撃し学んできたのは

00:22:30.712 --> 00:22:34.204
耐え難いほどの重責がもたらす
身のすくむような喜びです

00:22:34.204 --> 00:22:37.736
それは他の何物にも勝るということが
分かるようになりました

00:22:37.736 --> 00:22:42.037
私はインタビューをしながら この親は
馬鹿だと思うことがありました

00:22:42.037 --> 00:22:46.987
感謝もしない子供のために一生を捧げ
人生を棒に振り

00:22:46.987 --> 00:22:49.936
不幸の中からアイデンティティを
つむぎ出そうとするなんて

00:22:49.936 --> 00:22:54.572
しかし 私はあの日 気づいたのです
調査のおかげで私には素地ができており

00:22:54.572 --> 00:22:57.986
他の親たちと
運命を共にする覚悟があると

NOTE Paragraph

00:22:57.986 --> 00:22:59.803
ありがとうございました

00:22:59.803 --> 00:23:05.454
（拍手）