0:00:00.160,0:00:03.000
”マックス　さあ　右か左か？”

0:00:06.620,0:00:08.200
”早く！マックス！”

0:00:09.000,0:00:10.210
”左！”

0:00:12.400,0:00:15.210
こんにちは　トニーです[br]短い” Every Frame a Painting”をお送りします

0:00:15.210,0:00:18.220
あらかじめ警告しておくと[br]このビデオはスノーピアサーのネタバレがあります

0:00:18.220,0:00:21.500
ですから　あなたにここから先をみるかどうか[br]決めるチャンスを与えましょう

0:00:21.500,0:00:24.890
”後戻りはできないぞ”[br]”後戻りはできないぞ”

0:00:24.890,0:00:26.890
”後戻りはできないぞ”[br]”後戻りはできないぞ”

0:00:26.890,0:00:30.669
”後戻りはできないぞ”[br]”後戻りはできないぞ”

0:00:30.669,0:00:33.210
”わかってるのか？”[br]”わかってる”[br]

0:00:33.710,0:00:36.660
ほぼすべての大作映画やテレビゲームで

0:00:36.660,0:00:39.710
このような　主人公が選択するシーンを[br]みたことがあるでしょう

0:00:39.710,0:00:41.210
そしてその選択は覆すことができません

0:00:42.300,0:00:43.690
”よし　お前だ”

0:00:44.690,0:00:47.000
はっきりいうと[br]このような瞬間こそが

0:00:47.000,0:00:48.489
すぐれたストーリーテリングの基礎です

0:00:48.489,0:00:50.949
しかし私としては　選択の瞬間を[br]会話で表現してもらいたくありません

0:00:50.949,0:00:53.019
ですから　今回は　[br]会話無しの　選択の表現をみていきましょう

0:00:53.019,0:00:56.000
実際　これは映画における[br]最も古い伝統的手法のひとつなのです

0:00:56.000,0:00:57.500
どのようにキャラクターの選択をみせるか？

0:01:02.270,0:01:04.870
「右か左か」　それだけです

0:01:04.870,0:01:08.060
私たちはスクリーンの方向を[br]ツールとして使えることを忘れがちです

0:01:08.060,0:01:09.660
スクリーンのどちら側をみているかによって[br]キャラクターの選択をシンプルに表現できます

0:01:09.660,0:01:13.850
スノーピアサーは[br]この単純なルールにのっとった映画です

0:01:13.850,0:01:17.090
カメラ右手が列車前方なら[br]カメラ左手は列車後方になります

0:01:17.090,0:01:18.680
そしてだんだんと[br]左から右へと移動していきます

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実際　この映画では[br]前に進み続けようとする男の

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物語をみることができます

0:01:27.060,0:01:29.060
そしてまた　彼のうしろにあって[br]彼をつなぎ止めるものすべてが[br]

0:01:29.800,0:01:32.330
彼に人間性を与えています[br]”あなたは　私たちを導くのよ”

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彼が直面するどの選択も[br]「二つの方向」のバリエーションです

0:01:37.020,0:01:40.180
しかし映画は　簡単に選択させてはくれません[br]ときには後ろに戻ります

0:01:40.180,0:01:44.640
”カーチス　わたしたち互いに理解しあっているわ[br]話をきいて　わたしじゃないのよ！”

0:01:48.369,0:01:50.009
カーチスはこの旅の最後に

0:01:50.009,0:01:52.369
別の人物によって[br]後押しされます

0:01:52.369,0:01:58.100
”私は人生のすべてを[br]この永久のエンジンに捧げた”

0:01:58.100,0:02:01.160
その人物は　人間性などささいなものだと[br]そそのかすのです

0:02:01.160,0:02:03.300
”君は彼らを彼ら自身から[br]救うことが出来る”

0:02:03.990,0:02:06.459
そして最後の選択の瞬間が与えられます[br]右上か

0:02:07.459,0:02:08.900
左下か

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彼の選択はこれです

0:02:14.000,0:02:15.800
これこそボン・ジュノが

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会話無しで　[br]倫理的選択をみせた最高の場面です

0:02:19.159,0:02:22.500
スノーピアサーはおそらく今年一番の[br]横方向型の映画といえるでしょう

0:02:22.500,0:02:26.250
そしてそれは　もっとも上品かつ巧妙な[br]映像的アイデアの証拠でもあるのです

0:02:27.750,0:02:30.040
では次に　あなたが登場人物を[br]複雑な選択に追い込む場合　どうすればいいかというと…

0:02:34.040,0:02:35.500
誰にも分かりません

0:02:35.500,0:02:38.440
多分実際は[br]右か左かの単純な問題でしょうね