これらの物質は
どこから来たのでしょう?
この石は?
あの牛は?
あなたの心臓は?
物質そのもののことではなく
全ての物質を構成しているもの―
原子について尋ねています
この疑問に答えるために
質量保存の法則を考察していきましょう
この法則は孤立系―
物質もエネルギーも行き来できない
境界の内部として定義される系において
その孤立系の中にある質量 ―
つまり物質とエネルギーは
生成されることも
消滅することもないというものです
私達が知っている限り
宇宙全体も1つの孤立系といえます
しかしそちらを考察する前に
ずっと小さく簡単な場合を考えてみましょう
ここに炭素原子が6個
水素原子が12個
そして酸素原子が18個あります
わずかなエネルギーで
これらの分子は動き始めます
原子同士が互いに結合して
身近な分子を作ることができます
水ができました
こちらは二酸化炭素です
質量は増えることも
減ることもありません
手持ちの原子でどうにかしなくてはいけません
他に何ができるでしょうか?
彼らにも独自の考えがあるようです
ご覧ください もっと二酸化炭素と水ができて
6個ずつになりました
もう少しエネルギーが与えられ
単糖類1個といくつかの酸素ガスに
作り変えられました
炭素6 水素12 酸素18の原子が
全部使われています
加えられたエネルギーは
原子の結合として保存されています
そのエネルギーは再度
放出することも可能です
この糖を水と二酸化炭素に
戻せばいいのです
そこにはまったく同じ原子がいます
いくつかの原子を取り除き
少し破壊的な実験をしてみましょう
これはメタンです 牛の鼓腸症に
関連して良く知られています
ロケットの燃料にも使われています
酸素とエネルギーを少々加え―
たとえばマッチで火をつけることで
燃焼して 二酸化炭素と水が生成し
さらに より多くのエネルギーが発生します
メタンには4個の水素が結合していましたが
燃焼後も4個の水素が2個の水分子に
くっついていることがわかります
最後になりますがプロパンがここにあります
別の燃焼性ガスですね
酸素を加えて火をつけてみましょう
バン!
水と二酸化酸素が増えました
今回は二酸化炭素分子が3個になりました
プロパン分子には3個の炭素があって
これらは どこにも
逃げることはできないからです
同一の原子の組み合わせで他にも
いろいろな変化をさせることができます
常に「質量保存の法則は真なり」なのです
どんな物質やエネルギーも
化学反応を終えた後にも存在し
同じ分子が占めています
質量が生成されたり
消滅されるたりすることがないのなら
これらの原子はもともと
いったいどこから来たのでしょうか
時計の針を戻してみましょう
もっともっと ・・・ もう少し戻って下さい
ずいぶん前です
はい そこです
ビッグバンです
宇宙の誕生後の3分間
粒子からなる―
高エネルギー状態のスープ状態から
水素が作られました
最終的にはたくさんの原子が集まって
星を形成したのです
このような星の内部では
軽い元素―
水素やヘリウムなどが核融合を起こし
炭素や酸素のような
より重い元素に作り替えられたのです
一見するとこの変化は
質量保存の法則に反しているようにも思えます
なぜならものすごい量のエネルギーを
どこからともなく放出しているからです
しかしアインシュタインの
有名な方程式のおかげで
エネルギーは質量と等価であるということが
分かっています
反応前の原子の総質量は
生成物の質量より
ほんのわずかながら多いのですが
その差がエネルギーの増加分に
ぴったり等しいのです
このエネルギーは星から発せられる
光、熱や高エネルギーの粒子となります
最終的にはその星は超新星爆発を起こし
作られた元素を宇宙にばらまきました
手短に説明すると
他の超新星からも放出された原子が集まり
地球を形成し
46億年後に
この小さな孤立系の実験で
個々の役割を果たしているのです
しかし原子が集まって
私達の身体や
例の牛や石を構成する原子ほど
興味深いものはありません
例の牛や石を構成する原子ほど
興味深いものはありません
ですからカールセーガンの
有名な言葉にあるように
「私たちは星の材料だけでできている」
のです