1 00:00:00,000 --> 00:00:03,000 ありがとう 今日は皆さんを 2 00:00:03,000 --> 00:00:06,000 クジラとイルカが奏でる水中音楽の世界へ 3 00:00:06,000 --> 00:00:08,000 お連れしましょう 4 00:00:08,000 --> 00:00:10,000 私たち視覚に頼る種族には 5 00:00:10,000 --> 00:00:12,000 理解の難しい世界です 6 00:00:12,000 --> 00:00:14,000 そこで 理解の助けになればと 7 00:00:14,000 --> 00:00:16,000 図と音を用意しました 8 00:00:16,000 --> 00:00:19,000 視覚的な種として私たちが 9 00:00:19,000 --> 00:00:21,000 シュノーケリングやダイビングで 10 00:00:21,000 --> 00:00:23,000 見る海の中は どんな感じでしょう 11 00:00:23,000 --> 00:00:25,000 遠くまで良く見えませんね 12 00:00:25,000 --> 00:00:27,000 人の目は 空気中では機能しますが 13 00:00:27,000 --> 00:00:30,000 水中では制限され 視界が狭くなってしまいます 14 00:00:30,000 --> 00:00:32,000 海洋哺乳類は 15 00:00:32,000 --> 00:00:35,000 水中世界の探索や仲間との交信に 16 00:00:35,000 --> 00:00:37,000 音を使う方法を 17 00:00:37,000 --> 00:00:39,000 数千万年の歳月をかけて 18 00:00:39,000 --> 00:00:41,000 進化させてきました 19 00:00:41,000 --> 00:00:43,000 イルカやハクジラは エコロケーションを使い 20 00:00:43,000 --> 00:00:45,000 大きなクリック音を出して 21 00:00:45,000 --> 00:00:48,000 海底からはね返る音を聞いて 泳ぐ方向を定めます 22 00:00:48,000 --> 00:00:50,000 また獲物からの反響を聞き 23 00:00:50,000 --> 00:00:52,000 食料の位置を確かめ 24 00:00:52,000 --> 00:00:55,000 ターゲットとなる獲物を選んでいます 25 00:00:55,000 --> 00:00:57,000 海中哺乳類はみんな音で交信します 26 00:00:57,000 --> 00:00:59,000 大きなヒゲクジラは 27 00:00:59,000 --> 00:01:02,000 長く美しい歌を 28 00:01:02,000 --> 00:01:04,000 繁殖活動の際に用い 29 00:01:04,000 --> 00:01:06,000 異性を探し 30 00:01:06,000 --> 00:01:08,000 パートナーを選びます 31 00:01:08,000 --> 00:01:10,000 母子や 互いに関係の深い個体は 32 00:01:10,000 --> 00:01:13,000 鳴き声で互いの所在を確認します 33 00:01:13,000 --> 00:01:15,000 生きる上で 音が非常に重要です 34 00:01:15,000 --> 00:01:17,000 私にとっては未知の世界とも言える 35 00:01:17,000 --> 00:01:19,000 海の動物達の発する音に興味を 36 00:01:19,000 --> 00:01:21,000 持ったのは ある飼育されている 37 00:01:21,000 --> 00:01:23,000 イルカのデータがきっかけでした 38 00:01:23,000 --> 00:01:26,000 イルカが人の出す音を真似ていたのです 39 00:01:26,000 --> 00:01:28,000 先ほど 音を視覚的に表現した図を 40 00:01:28,000 --> 00:01:30,000 使用すると言いましたが 41 00:01:30,000 --> 00:01:32,000 これが最初の例です 42 00:01:32,000 --> 00:01:34,000 時間に対する周波数のグラフで 43 00:01:34,000 --> 00:01:36,000 楽譜みたいなものです 44 00:01:36,000 --> 00:01:39,000 高音は上方に 低音は下方に書かれ 45 00:01:39,000 --> 00:01:41,000 時間の流れは右向きです 46 00:01:41,000 --> 00:01:43,000 これはトレーナーの笛の音で 47 00:01:43,000 --> 00:01:45,000 イルカが芸をちゃんとできたときに 48 00:01:45,000 --> 00:01:47,000 これを鳴らし ご褒美の魚を与えます 49 00:01:47,000 --> 00:01:50,000 「トゥイーーー」という感じの音です 50 00:01:50,000 --> 00:01:52,000 そして こちらが 51 00:01:52,000 --> 00:01:54,000 飼育されている子イルカが 52 00:01:54,000 --> 00:01:56,000 その笛を真似た音です 53 00:01:56,000 --> 00:01:58,000 この音を鼻歌で聞かせた犬や猫が 54 00:01:58,000 --> 00:02:00,000 それを真似て応えたとしたら 55 00:02:00,000 --> 00:02:02,000 とても驚くことでしょう 56 00:02:02,000 --> 00:02:04,000 人間以外で音真似の出来る哺乳類は 57 00:02:04,000 --> 00:02:06,000 稀です この能力は人間社会では 58 00:02:06,000 --> 00:02:08,000 音楽や言語の発展に重要ですが 59 00:02:08,000 --> 00:02:11,000 人間以外の哺乳類がどうして 60 00:02:11,000 --> 00:02:13,000 そんなことをするのか 不思議です 61 00:02:13,000 --> 00:02:15,000 私は研究生活の殆どを費やし 62 00:02:15,000 --> 00:02:17,000 海洋哺乳類が 情報伝達において 63 00:02:17,000 --> 00:02:19,000 どのように学習を活用し 64 00:02:19,000 --> 00:02:21,000 聞いたことに基づいて応答の仕方を 65 00:02:21,000 --> 00:02:23,000 どう変えているのか 66 00:02:23,000 --> 00:02:25,000 研究してきました 67 00:02:25,000 --> 00:02:28,000 人間以外の霊長類の鳴き声を聴いてみましょう 68 00:02:28,000 --> 00:02:30,000 哺乳類の多くは「コンタクトコール」を持ち 69 00:02:30,000 --> 00:02:33,000 母子がはぐれた時などに使っています 70 00:02:33,000 --> 00:02:36,000 これは リスザルの母子がはぐれた時に用いる 71 00:02:36,000 --> 00:02:38,000 コンタクトコールの例です 72 00:02:38,000 --> 00:02:40,000 お分かりのように 73 00:02:40,000 --> 00:02:42,000 個体差がほとんどありません 74 00:02:42,000 --> 00:02:44,000 対照的に イルカが交信に用いる 75 00:02:44,000 --> 00:02:46,000 「シグネチャーホイッスル」は 76 00:02:46,000 --> 00:02:49,000 個体ごとに大きく異なっています 77 00:02:49,000 --> 00:02:52,000 イルカは鳴き声を学ぶ能力によって 78 00:02:52,000 --> 00:02:55,000 より複雑で特徴的な鳴き声を発展させ 79 00:02:55,000 --> 00:02:57,000 個体を見分けているのです 80 00:02:58,000 --> 00:03:01,000 どんな状況でイルカはこの鳴き声を使うのでしょう 81 00:03:01,000 --> 00:03:03,000 母親と子供の生活を見てみましょう 82 00:03:03,000 --> 00:03:05,000 日常生活の中で 83 00:03:05,000 --> 00:03:08,000 母親が魚を追いかけるのに夢中になり 84 00:03:08,000 --> 00:03:10,000 はぐれてしまうことも少なくありません 85 00:03:10,000 --> 00:03:12,000 はぐれたら 合流しないといけません 86 00:03:12,000 --> 00:03:15,000 この図は イルカの間の最大距離に対して 87 00:03:15,000 --> 00:03:17,000 シグネチャーホイッスルが使われる 88 00:03:17,000 --> 00:03:19,000 割合を示しています 89 00:03:19,000 --> 00:03:21,000 距離が20メートル以下では 90 00:03:21,000 --> 00:03:23,000 鳴き声を使う頻度は半分以下です 91 00:03:23,000 --> 00:03:25,000 殆どの場合 泳ぎ回っているうちに 92 00:03:25,000 --> 00:03:27,000 互いを見つけます 93 00:03:27,000 --> 00:03:30,000 ところが 100メートル以上離れると 94 00:03:30,000 --> 00:03:33,000 例外なしに全ての母子が 95 00:03:33,000 --> 00:03:36,000 互いを探すのに固有の鳴き声を用いています 96 00:03:36,000 --> 00:03:38,000 この特徴的なシグネチャーホイッスルは 97 00:03:38,000 --> 00:03:40,000 殆どの場合 イルカの一生を通じ 98 00:03:40,000 --> 00:03:42,000 ワンパターンで安定しています 99 00:03:42,000 --> 00:03:44,000 しかし 例外もいくつかあります 100 00:03:44,000 --> 00:03:46,000 母親から巣立った雄イルカは 101 00:03:46,000 --> 00:03:48,000 他の雄イルカと合流することがあり 102 00:03:48,000 --> 00:03:51,000 その協力関係が 何十年と続くこともあります 103 00:03:51,000 --> 00:03:54,000 そして社会的な「絆」を築いたイルカたちの 104 00:03:54,000 --> 00:03:56,000 固有の鳴き声は収斂していき 105 00:03:56,000 --> 00:03:58,000 大変似通ったものになります 106 00:03:58,000 --> 00:04:01,000 この図は組になった2匹の鳴き声を表しています 107 00:04:01,000 --> 00:04:03,000 上の図では 2匹は 108 00:04:03,000 --> 00:04:05,000 「ウープ ウープ ウープ」という 109 00:04:05,000 --> 00:04:07,000 上向きの鳴き声を共有しています 110 00:04:07,000 --> 00:04:10,000 一方 下図では「ウーウッ ウーウッ ウーウッ」という鳴き声です 111 00:04:10,000 --> 00:04:12,000 何が起こっているのでしょう? 112 00:04:12,000 --> 00:04:14,000 イルカは学習プロセスを用いて 113 00:04:14,000 --> 00:04:17,000 新しい社会グループを識別する合図を 発展させているのです 114 00:04:17,000 --> 00:04:19,000 新しい社会的グループのための 115 00:04:19,000 --> 00:04:21,000 新しい識別子を形成する 116 00:04:21,000 --> 00:04:23,000 とても面白いやり方です 117 00:04:23,000 --> 00:04:25,000 少し視点を広げて イルカを 118 00:04:25,000 --> 00:04:27,000 人間の干渉から保護するために 119 00:04:27,000 --> 00:04:29,000 この情報から学べることを 120 00:04:29,000 --> 00:04:31,000 探ってみましょう 121 00:04:31,000 --> 00:04:33,000 この写真を見て下さい 122 00:04:33,000 --> 00:04:35,000 イルカが船に囲まれ その行動が 123 00:04:35,000 --> 00:04:38,000 阻害されているのがお分かりになるでしょう 124 00:04:38,000 --> 00:04:40,000 まずい状況です 125 00:04:40,000 --> 00:04:42,000 しかし イルカの群れに近づく船が 126 00:04:42,000 --> 00:04:44,000 1隻だけの場合であっても 127 00:04:44,000 --> 00:04:46,000 船が2、3百メートルまで近付くと 128 00:04:46,000 --> 00:04:48,000 イルカは鳴き声を挙げ始め 129 00:04:48,000 --> 00:04:50,000 していたことをやめて 寄り添い 130 00:04:50,000 --> 00:04:52,000 船が通り過ぎるのをじっと待つのです 131 00:04:52,000 --> 00:04:54,000 いなくなったら元の行動に戻ります 132 00:04:54,000 --> 00:04:56,000 フロリダのサラソタのような場所では 133 00:04:56,000 --> 00:04:58,000 イルカの群れの100メートル先を 134 00:04:58,000 --> 00:05:01,000 平均して6分ごとに船が通り過ぎます 135 00:05:01,000 --> 00:05:03,000 それが日常的な光景です 136 00:05:03,000 --> 00:05:06,000 この写真よりはマシな状況と言えるでしょうが 137 00:05:06,000 --> 00:05:08,000 それでもなおイルカの日常生活に 138 00:05:08,000 --> 00:05:10,000 影響を与えているのです 139 00:05:10,000 --> 00:05:13,000 手つかずの環境が残る西オーストラリアで 140 00:05:13,000 --> 00:05:15,000 ラーズ・バイダー氏が研究しています 141 00:05:15,000 --> 00:05:18,000 イルカウォッチングが始まる前と後での 142 00:05:18,000 --> 00:05:21,000 イルカの行動と分布状況を比較したのです 143 00:05:21,000 --> 00:05:24,000 船が1隻の場合 あまり影響はありません 144 00:05:24,000 --> 00:05:27,000 しかし 船が2隻になると 145 00:05:27,000 --> 00:05:29,000 何匹かのイルカは 146 00:05:29,000 --> 00:05:31,000 その領域から去ってしまいました 147 00:05:31,000 --> 00:05:34,000 残ったイルカの間でも 出生率の減少が見られました 148 00:05:34,000 --> 00:05:37,000 船の存在は 全個体数に悪い影響を与えるのです 149 00:05:37,000 --> 00:05:40,000 イルカなど動物の海洋保護区域において 150 00:05:40,000 --> 00:05:42,000 私たちは今以上に 自らの行動に 151 00:05:42,000 --> 00:05:45,000 気を付けなければなりません 152 00:05:45,000 --> 00:05:47,000 これら問題を回避するために 153 00:05:47,000 --> 00:05:50,000 遊覧船やクジラウォッチングの船の数を 154 00:05:50,000 --> 00:05:53,000 制限する必要があるかもしれません 155 00:05:53,000 --> 00:05:55,000 これも覚えておいてください 156 00:05:55,000 --> 00:05:57,000 音は境界に関係なく伝搬します 157 00:05:57,000 --> 00:06:00,000 境界線を引いて ある区域を保護はできますが 158 00:06:00,000 --> 00:06:02,000 化学汚染や騒音は 159 00:06:02,000 --> 00:06:04,000 境界を越えて入り続けるのです 160 00:06:04,000 --> 00:06:06,000 さてここからは話を 161 00:06:06,000 --> 00:06:09,000 局所的で馴染み深い 沿岸環境から 162 00:06:09,000 --> 00:06:12,000 より広域の海で生活するヒゲクジラに変えましょう 163 00:06:12,000 --> 00:06:15,000 よく見慣れているような世界地図です 164 00:06:15,000 --> 00:06:17,000 世界は殆ど青です 165 00:06:17,000 --> 00:06:19,000 海は私たちが思っている以上に 166 00:06:19,000 --> 00:06:21,000 繋がっていることに注目してください 167 00:06:21,000 --> 00:06:24,000 陸上での移動に比べ 海中での移動には 168 00:06:24,000 --> 00:06:26,000 障害物がほとんどありません 169 00:06:26,000 --> 00:06:28,000 海がひと続きであることを示す 170 00:06:28,000 --> 00:06:30,000 ショッキングな実験があります 171 00:06:30,000 --> 00:06:32,000 海洋学者が 172 00:06:32,000 --> 00:06:34,000 南インド洋へ赴き 173 00:06:34,000 --> 00:06:37,000 海中にスピーカーを設置して 174 00:06:37,000 --> 00:06:39,000 音を再生するという 175 00:06:39,000 --> 00:06:41,000 音響実験を行いました 176 00:06:41,000 --> 00:06:43,000 スピーカーから発せられた音は 177 00:06:43,000 --> 00:06:46,000 西はアメリカ東海岸沖合のバミューダ諸島まで届き 178 00:06:46,000 --> 00:06:49,000 東はカリフォルニア州のモントレーへと到達し 179 00:06:49,000 --> 00:06:51,000 同じ音が聞かれたのです 180 00:06:51,000 --> 00:06:53,000 我々は衛星通信で全世界と 181 00:06:53,000 --> 00:06:55,000 通信できる世界に暮らしていますが 182 00:06:55,000 --> 00:06:57,000 それでも 低周波数の音を 183 00:06:57,000 --> 00:06:59,000 地球規模で伝播させる 184 00:06:59,000 --> 00:07:01,000 この海の性質には 185 00:07:01,000 --> 00:07:03,000 とても驚かされます 186 00:07:03,000 --> 00:07:06,000 それぞれの経路で音の伝わる時間は 約3時間です 187 00:07:06,000 --> 00:07:09,000 殆ど地球を半周する距離です 188 00:07:09,000 --> 00:07:11,000 70年代前半に 189 00:07:11,000 --> 00:07:13,000 海洋音響学者のロジャー・ペイン氏が 190 00:07:13,000 --> 00:07:15,000 理論的な論文を発表し 191 00:07:15,000 --> 00:07:17,000 音はこのような広範囲に 192 00:07:17,000 --> 00:07:20,000 伝搬しうることを指摘しましたが 193 00:07:20,000 --> 00:07:23,000 生物学者の多くは信じませんでした 194 00:07:23,000 --> 00:07:25,000 人間が この事実を知ったのは 195 00:07:25,000 --> 00:07:28,000 数十年前に過ぎませんが 196 00:07:28,000 --> 00:07:31,000 クジラたちは 数千万年かけて この海の 197 00:07:31,000 --> 00:07:33,000 驚くべき性質の利用法を 198 00:07:33,000 --> 00:07:36,000 進化させてきたのです 199 00:07:36,000 --> 00:07:38,000 シロナガスクジラと ナガスクジラは 200 00:07:38,000 --> 00:07:40,000 遠くまで伝えることのできる 201 00:07:40,000 --> 00:07:42,000 低周波の音を発します 202 00:07:42,000 --> 00:07:44,000 上の図は 203 00:07:44,000 --> 00:07:46,000 雄が繰り返し発する 204 00:07:46,000 --> 00:07:48,000 一連の複雑な鳴き声です 205 00:07:48,000 --> 00:07:51,000 歌を作るのは繁殖活動の一部で 206 00:07:51,000 --> 00:07:53,000 鳥が歌を歌うようなものです 207 00:07:53,000 --> 00:07:56,000 下図は雄と雌の鳴き声です 208 00:07:56,000 --> 00:07:59,000 これもかなり広範囲に届きます 209 00:08:00,000 --> 00:08:02,000 生物学者たちは 210 00:08:02,000 --> 00:08:04,000 このクジラ達の広域通信について 211 00:08:04,000 --> 00:08:06,000 懐疑的で それは70年代を経て 212 00:08:06,000 --> 00:08:08,000 冷戦が終わるまで続きました 213 00:08:08,000 --> 00:08:10,000 何がそれを覆すことになったかですが 214 00:08:10,000 --> 00:08:13,000 冷戦中のこと 当時は秘密でしたが アメリカ海軍は 215 00:08:13,000 --> 00:08:16,000 ロシアの潜水艦を追跡するシステムを持っていました 216 00:08:16,000 --> 00:08:18,000 陸まで伸びたケーブルに繋がる 217 00:08:18,000 --> 00:08:20,000 深海に設置された水中聴音器があり 218 00:08:20,000 --> 00:08:22,000 ケーブルの先にある基地では 219 00:08:22,000 --> 00:08:24,000 北大西洋全体の音を聞けました 220 00:08:24,000 --> 00:08:27,000 ベルリンの壁が崩壊した後 海軍はこのシステムを 221 00:08:27,000 --> 00:08:29,000 どんな音が聞けるのか調べる 222 00:08:29,000 --> 00:08:31,000 クジラ専門の音響学者たちに開放しました 223 00:08:31,000 --> 00:08:33,000 これはクリス・クラーク氏によるもので 224 00:08:33,000 --> 00:08:36,000 1頭のシロナガスクジラを追跡しています 225 00:08:36,000 --> 00:08:38,000 クジラはバミューダ諸島を通過して 226 00:08:38,000 --> 00:08:41,000 マイアミの緯度まで南下し そして戻ってきています 227 00:08:41,000 --> 00:08:43,000 追跡は43日間続けられ 228 00:08:43,000 --> 00:08:45,000 距離にすると1700キロ 229 00:08:45,000 --> 00:08:47,000 1000マイル以上ですね 230 00:08:47,000 --> 00:08:49,000 この実験でわかったのは 231 00:08:49,000 --> 00:08:51,000 鳴き声は数百マイル先まで届き 232 00:08:51,000 --> 00:08:53,000 クジラは普段 何百マイルも泳ぐことです 233 00:08:53,000 --> 00:08:55,000 クジラは 我々の予想以上に 234 00:08:55,000 --> 00:08:57,000 長距離交信ができる 235 00:08:57,000 --> 00:08:59,000 スケールの大きな海の動物だったのです 236 00:08:59,000 --> 00:09:01,000 温帯や熱帯の海に生息する 237 00:09:01,000 --> 00:09:03,000 シロナガスクジラや ナガスクジラとは異なり 238 00:09:03,000 --> 00:09:05,000 ザトウクジラは 馴染みのある 239 00:09:05,000 --> 00:09:08,000 限られた繁殖地に集中しています 240 00:09:08,000 --> 00:09:11,000 比較的高い 広範囲の周波数を使い 241 00:09:11,000 --> 00:09:13,000 複雑な音を作ります 242 00:09:13,000 --> 00:09:15,000 今お聞きいただいているのは 243 00:09:15,000 --> 00:09:17,000 ザトウクジラによる複雑な歌です 244 00:09:17,000 --> 00:09:19,000 ザトウクジラは歌う能力を発展させる過程で 245 00:09:19,000 --> 00:09:21,000 他のクジラの歌を聞き 246 00:09:21,000 --> 00:09:23,000 聞いた歌に基づいて 247 00:09:23,000 --> 00:09:26,000 自分の歌を変えるのです 248 00:09:26,000 --> 00:09:29,000 鳴き鳥や 先ほどの鳴き真似するイルカと同じですね 249 00:09:29,000 --> 00:09:31,000 だから ザトウクジラの歌は 250 00:09:31,000 --> 00:09:33,000 人間にとっての音楽と同じように 251 00:09:33,000 --> 00:09:35,000 一種の文化なのです 252 00:09:35,000 --> 00:09:38,000 これを示す とても面白い例が 253 00:09:38,000 --> 00:09:40,000 オーストラリアで見つかりました 254 00:09:40,000 --> 00:09:42,000 オーストラリア東海岸の生物学者が 255 00:09:42,000 --> 00:09:45,000 その地域のザトウクジラの歌を録音していました 256 00:09:45,000 --> 00:09:48,000 このオレンジの棒は 東海岸ザトウクジラの 257 00:09:48,000 --> 00:09:50,000 典型的な歌を示します 258 00:09:50,000 --> 00:09:52,000 1995年にはみんな同じ歌でしたが 259 00:09:52,000 --> 00:09:54,000 1996年に違う歌が現れました 260 00:09:54,000 --> 00:09:57,000 この変わった歌は西海岸のクジラに 261 00:09:57,000 --> 00:09:59,000 典型的な歌だったのです 262 00:09:59,000 --> 00:10:02,000 西海岸のクジラの歌は大ヒットし どんどん歌われるようになり 263 00:10:02,000 --> 00:10:04,000 そして 1998年までには 264 00:10:04,000 --> 00:10:07,000 東海岸の歌はすっかり消えて クールで新しい西海岸の歌ばかりを 265 00:10:07,000 --> 00:10:09,000 クジラたちは歌うようになったのです 266 00:10:09,000 --> 00:10:11,000 ちょうど新しい流行のスタイルが 267 00:10:11,000 --> 00:10:13,000 それまでの古くさいスタイルを 268 00:10:13,000 --> 00:10:15,000 すっかり駆逐してしまい 269 00:10:15,000 --> 00:10:17,000 どの局もオールディーズを流さなくなったように 270 00:10:17,000 --> 00:10:20,000 懐メロを歌うクジラは いなくなったのです 271 00:10:20,000 --> 00:10:23,000 これらの歌に対する海の役割をこれからお話します 272 00:10:23,000 --> 00:10:26,000 この音は ザトウクジラから0.2マイル離れた場所で 273 00:10:26,000 --> 00:10:29,000 クリス・クラーク氏が録音したものです 274 00:10:29,000 --> 00:10:32,000 全周波数帯域の音が聞こえます とても大きい音です 275 00:10:32,000 --> 00:10:34,000 すごく近くに聞こえますね 276 00:10:34,000 --> 00:10:36,000 さてお次は 同じザトウクジラの歌ですが 277 00:10:36,000 --> 00:10:38,000 50マイル離れて録音したものです 278 00:10:38,000 --> 00:10:40,000 聞いてみてください 279 00:10:40,000 --> 00:10:42,000 これです 280 00:10:42,000 --> 00:10:44,000 低周波の音しか聞こえませんね 281 00:10:44,000 --> 00:10:46,000 海の中を長い距離通ってきた 282 00:10:46,000 --> 00:10:48,000 音の残響です 283 00:10:48,000 --> 00:10:51,000 音も大きくありません 284 00:10:51,000 --> 00:10:54,000 ザトウクジラの鳴き声の次に 285 00:10:54,000 --> 00:10:57,000 シロナガスクジラの鳴き声を再生します 少し早回ししています 286 00:10:57,000 --> 00:10:59,000 かなり低周波の音なので 287 00:10:59,000 --> 00:11:01,000 早回ししなければ聞こえません 288 00:11:01,000 --> 00:11:03,000 50マイル先のシロナガスクジラの声です 289 00:11:03,000 --> 00:11:05,000 ザトウクジラには遠すぎましたが 290 00:11:05,000 --> 00:11:08,000 こちらは大きくクリアに聞こえます 291 00:11:08,000 --> 00:11:11,000 同じ声を 500マイル離れた水中聴音機で 292 00:11:11,000 --> 00:11:13,000 録音した音です 293 00:11:13,000 --> 00:11:16,000 他のクジラのノイズが多く入ってますが 294 00:11:16,000 --> 00:11:19,000 微かに聞こえます 295 00:11:19,000 --> 00:11:21,000 さて 今からは 296 00:11:21,000 --> 00:11:23,000 人間が及ぼす影響を考えてみましょう 297 00:11:23,000 --> 00:11:26,000 海で人間が出す騒音といえば 298 00:11:26,000 --> 00:11:28,000 ほとんどは船からのものです 299 00:11:28,000 --> 00:11:30,000 これが船の音です 300 00:11:30,000 --> 00:11:32,000 声を大きくしないと聞こえませんよね 301 00:11:32,000 --> 00:11:35,000 クジラが500マイル先の音に耳を澄ましているところを 302 00:11:35,000 --> 00:11:37,000 想像してみてください 303 00:11:37,000 --> 00:11:39,000 船の音は クジラ同士の交信を 304 00:11:39,000 --> 00:11:41,000 阻害する可能性があるのです 305 00:11:41,000 --> 00:11:43,000 この問題は結構前から知られていました 306 00:11:43,000 --> 00:11:46,000 この図は海中音のテキストからの抜粋です 307 00:11:46,000 --> 00:11:48,000 Y軸は 308 00:11:48,000 --> 00:11:51,000 深海の平均的な環境雑音の音量です 309 00:11:51,000 --> 00:11:53,000 X軸は周波数です 310 00:11:53,000 --> 00:11:56,000 そして 低周波数にある この線は 311 00:11:56,000 --> 00:11:59,000 地球の地震活動による音です 312 00:11:59,000 --> 00:12:01,000 高周波帯にある これらの線は 313 00:12:01,000 --> 00:12:04,000 この周波数帯で大きくなる 314 00:12:04,000 --> 00:12:06,000 上方からの風や波によるノイズです 315 00:12:06,000 --> 00:12:09,000 その中間の 本来は音が良く聞こえる周波数域が 316 00:12:09,000 --> 00:12:11,000 人間の船の騒音に満たされています 317 00:12:11,000 --> 00:12:13,000 考えてみてください 驚くべきことです 318 00:12:13,000 --> 00:12:16,000 クジラが交信するこの周波数域で 319 00:12:16,000 --> 00:12:19,000 全地球的に 騒音の主な源になっているのは 320 00:12:19,000 --> 00:12:21,000 人間の船なのです 321 00:12:21,000 --> 00:12:24,000 遠く離れた何千もの人間の船の音が 322 00:12:24,000 --> 00:12:26,000 集積したものです 323 00:12:26,000 --> 00:12:29,000 次のスライドで クジラの交信範囲に 324 00:12:29,000 --> 00:12:31,000 船の騒音が与える影響を説明します 325 00:12:31,000 --> 00:12:34,000 これがクジラの鳴き声の大きさで 326 00:12:34,000 --> 00:12:36,000 遠くへ行けば行くほど 327 00:12:36,000 --> 00:12:38,000 その音は小さくなっていきます 328 00:12:38,000 --> 00:12:41,000 産業革命以前の海では 329 00:12:41,000 --> 00:12:43,000 このクジラの鳴き声は簡単に検知できました 330 00:12:43,000 --> 00:12:45,000 1000キロ離れても 鳴き声が 331 00:12:45,000 --> 00:12:47,000 騒音よりも大きかったからです 332 00:12:47,000 --> 00:12:50,000 船が発する騒音を 333 00:12:50,000 --> 00:12:52,000 これに加えてみましょう 334 00:12:52,000 --> 00:12:54,000 そうすると 交信可能な範囲は 一気に 335 00:12:54,000 --> 00:12:57,000 1000キロから10キロへ狭まりました 336 00:12:57,000 --> 00:12:59,000 広く散らばった雄と雌が 337 00:12:59,000 --> 00:13:02,000 つがいの相手を見つけるのに この信号を使っているなら 338 00:13:02,000 --> 00:13:04,000 これが絶滅の危機にある種の存続に 339 00:13:04,000 --> 00:13:07,000 与えうる影響を考えてみてください 340 00:13:07,000 --> 00:13:09,000 クジラはまた イルカ同様に 341 00:13:09,000 --> 00:13:12,000 コンタクトコールを使います 342 00:13:12,000 --> 00:13:14,000 ここで セミクジラが交信に用いる 343 00:13:14,000 --> 00:13:16,000 コンタクトコールの音を再生します 344 00:13:16,000 --> 00:13:18,000 この鳴き声は 345 00:13:18,000 --> 00:13:20,000 母子がはぐれてしまったときに 346 00:13:20,000 --> 00:13:22,000 互いを見つけるために用いられます 347 00:13:22,000 --> 00:13:24,000 そこに船の騒音があったらどうなるでしょう 348 00:13:24,000 --> 00:13:26,000 子とはぐれたときに船が来たら 349 00:13:26,000 --> 00:13:28,000 母クジラはどうすると思いますか? 350 00:13:28,000 --> 00:13:31,000 母親の戦略を説明しましょう 351 00:13:31,000 --> 00:13:33,000 母イルカの鳴き声が 下の周波数帯にあり 352 00:13:33,000 --> 00:13:35,000 騒音が重なる帯域にあると 353 00:13:35,000 --> 00:13:38,000 騒音帯域からはずれるように 鳴き声を高くするのです 354 00:13:38,000 --> 00:13:40,000 そうすれば交信はうまくいきます 355 00:13:40,000 --> 00:13:43,000 ペンシルベニア州立大学のスーザン・パークス氏がこの研究をしています 356 00:13:43,000 --> 00:13:46,000 こちらは南大西洋のデータで 357 00:13:46,000 --> 00:13:49,000 70年代に典型的だったコンタクトコールです 358 00:13:49,000 --> 00:13:52,000 2000年には 平均的なコンタクトコールはこうなりました 359 00:13:52,000 --> 00:13:54,000 北大西洋でも同様です 360 00:13:54,000 --> 00:13:56,000 50年代と 2000年 361 00:13:56,000 --> 00:13:58,000 50年を経た比較です 362 00:13:58,000 --> 00:14:00,000 海における人工騒音が酷くなればなるほど 363 00:14:00,000 --> 00:14:02,000 クジラは鳴き声の高くしなければならず 364 00:14:02,000 --> 00:14:04,000 クジラがみんな バスからテノールへと 365 00:14:04,000 --> 00:14:07,000 切り替えたようなものです 366 00:14:07,000 --> 00:14:09,000 時間的にも空間的にもスケールの大きな 367 00:14:09,000 --> 00:14:11,000 人間によって引き起こされた 368 00:14:11,000 --> 00:14:13,000 驚くべき変化です 369 00:14:13,000 --> 00:14:15,000 クジラは騒音を相殺するために 370 00:14:15,000 --> 00:14:18,000 さっき船の音を流したときみたいに 声を大きくするか 371 00:14:18,000 --> 00:14:20,000 静かになるのを待つか 372 00:14:20,000 --> 00:14:23,000 騒音の周波数帯から 音をずらすのがわかりました 373 00:14:23,000 --> 00:14:25,000 大きな声を出したり 高さを変えるのは 374 00:14:25,000 --> 00:14:27,000 相応のコストがかかるだろうし 375 00:14:27,000 --> 00:14:29,000 それでチャンスを逃すこともあり得ます 376 00:14:29,000 --> 00:14:31,000 静寂を待っている間に 377 00:14:31,000 --> 00:14:34,000 交信の決定的なチャンスを逃す可能性もあるのです 378 00:14:34,000 --> 00:14:36,000 私たちは動物たちについて 379 00:14:36,000 --> 00:14:38,000 騒音による生息環境の悪化や 380 00:14:38,000 --> 00:14:40,000 騒音に対して払う多大なコストや 381 00:14:40,000 --> 00:14:43,000 重要な行動を行えなくなる可能性を 382 00:14:43,000 --> 00:14:45,000 懸念する必要があります 383 00:14:45,000 --> 00:14:48,000 とても重要な問題です 384 00:14:48,000 --> 00:14:50,000 喜ばしいことに 385 00:14:50,000 --> 00:14:53,000 船のクジラへの影響を配慮するという面で 386 00:14:53,000 --> 00:14:56,000 心強い進展があります 387 00:14:56,000 --> 00:14:58,000 国連の国際海事機関は 388 00:14:58,000 --> 00:15:01,000 船の静穏化に関するガイドラインを設定する 389 00:15:01,000 --> 00:15:04,000 組織を作り 産業界に対して 390 00:15:04,000 --> 00:15:06,000 船の騒音を小さくする方法を 391 00:15:06,000 --> 00:15:08,000 示すようになりました 392 00:15:08,000 --> 00:15:10,000 そして既に 393 00:15:10,000 --> 00:15:13,000 スクリューのデザインを工夫することで 394 00:15:13,000 --> 00:15:16,000 騒音を90パーセントも減らせることを発見しました 395 00:15:16,000 --> 00:15:19,000 さらに 動力装置を防音し 396 00:15:19,000 --> 00:15:21,000 船体と隔てることで 397 00:15:21,000 --> 00:15:24,000 騒音は99パーセント減らすことが出来ます 398 00:15:24,000 --> 00:15:27,000 取り入れるかどうかは コストと基準の問題です 399 00:15:27,000 --> 00:15:29,000 この組織が船の規格を作り 400 00:15:29,000 --> 00:15:32,000 造船業界が規格に準じて船を作れば 401 00:15:32,000 --> 00:15:34,000 少しずつ 潜在的な問題は 402 00:15:34,000 --> 00:15:36,000 減っていくでしょう 403 00:15:36,000 --> 00:15:39,000 しかし まだ別の問題があります 404 00:15:39,000 --> 00:15:41,000 衝突の問題です 405 00:15:41,000 --> 00:15:44,000 このクジラは 高速で走るコンテナ船を 406 00:15:44,000 --> 00:15:47,000 かろうじてよけて衝突を避けました 407 00:15:47,000 --> 00:15:49,000 衝突に関する問題は深刻です 408 00:15:49,000 --> 00:15:52,000 絶滅危惧種のクジラが毎年 船との衝突で死んでいます 409 00:15:52,000 --> 00:15:55,000 このような事故を減らすことはとても重要なことです 410 00:15:55,000 --> 00:15:58,000 この問題に対する期待のできる2つの対処法をお話します 411 00:15:58,000 --> 00:16:00,000 1つ目はファンディ湾のケースです 412 00:16:00,000 --> 00:16:02,000 これら黒い線は ファンディ湾を 413 00:16:02,000 --> 00:16:04,000 出入りする航路です 414 00:16:04,000 --> 00:16:06,000 色つき部分は航路上で 415 00:16:06,000 --> 00:16:09,000 絶滅危惧種のセミクジラと船が衝突する 416 00:16:09,000 --> 00:16:11,000 リスクのあるエリアを示します 417 00:16:11,000 --> 00:16:14,000 この航路はセミクジラが 418 00:16:14,000 --> 00:16:17,000 夏季に利用する餌場と重なっており 419 00:16:17,000 --> 00:16:20,000 そのことが衝突のリスクを高くしているのです 420 00:16:20,000 --> 00:16:22,000 この事実を放っておけない 421 00:16:22,000 --> 00:16:24,000 生物学者たちは 422 00:16:24,000 --> 00:16:26,000 国際海事機関へ行き 423 00:16:26,000 --> 00:16:28,000 嘆願書を提出しました 424 00:16:28,000 --> 00:16:30,000 「航路を移動してくれませんか? 425 00:16:30,000 --> 00:16:32,000 大事な場所を通っているんです 426 00:16:32,000 --> 00:16:34,000 リスクの少ない所に移せませんか?」 427 00:16:34,000 --> 00:16:36,000 国際海事機関は力強く回答しました 428 00:16:36,000 --> 00:16:38,000 「これが新しい航路です」 429 00:16:38,000 --> 00:16:40,000 航路は移動され 430 00:16:40,000 --> 00:16:43,000 ご覧のように衝突のリスクは減りました 431 00:16:43,000 --> 00:16:45,000 実際に効果が期待できます 432 00:16:45,000 --> 00:16:47,000 リスク回避のため様々な方法を 433 00:16:47,000 --> 00:16:49,000 クリエイティブに 考えられるのです 434 00:16:49,000 --> 00:16:51,000 もう1つ 輸送会社自身による 435 00:16:51,000 --> 00:16:54,000 自主的なアクションをご紹介しましょう 436 00:16:54,000 --> 00:16:57,000 元々は 地球温暖化にかかわる温室ガス排出量を 437 00:16:57,000 --> 00:17:00,000 考慮して取られたアクションです 438 00:17:00,000 --> 00:17:03,000 マースクライン社は競合他社を見て 造船業界では 439 00:17:03,000 --> 00:17:06,000 時間が何よりも重視されていることに注目しました 440 00:17:06,000 --> 00:17:08,000 船はできるだけ急いで目的地に向かいますが 441 00:17:08,000 --> 00:17:10,000 着くと 大抵は待つことになるのです 442 00:17:10,000 --> 00:17:12,000 そこで彼らはスピードを下げる工夫をし 443 00:17:12,000 --> 00:17:15,000 50パーセントも速度を落とすことに成功しました 444 00:17:15,000 --> 00:17:18,000 燃料消費量が30パーセントも減少し 445 00:17:18,000 --> 00:17:20,000 大いに節約することができました 446 00:17:20,000 --> 00:17:23,000 同時に クジラにも恩恵があったのです 447 00:17:23,000 --> 00:17:26,000 速度を落とせば 騒音が減り 448 00:17:26,000 --> 00:17:28,000 衝突のリスクも下げることが出来ます 449 00:17:28,000 --> 00:17:30,000 まとめとして こう言いたいです 450 00:17:30,000 --> 00:17:32,000 クジラは 驚異的な音の世界に 451 00:17:32,000 --> 00:17:34,000 住んでおり 海の音響環境を 452 00:17:34,000 --> 00:17:36,000 利用するよう 数千万年もかけて 453 00:17:36,000 --> 00:17:38,000 進化してきたのです 454 00:17:38,000 --> 00:17:41,000 私たちの行動が 知らず知らずのうちに 455 00:17:41,000 --> 00:17:43,000 彼らにとって極めて重要な活動を 456 00:17:43,000 --> 00:17:45,000 阻害している可能性を 457 00:17:45,000 --> 00:17:48,000 私たちは真摯に考える必要があります 458 00:17:48,000 --> 00:17:50,000 同時に 様々な問題を軽減するため 459 00:17:50,000 --> 00:17:53,000 クリエイティブに解決方法を模索する必要があります 460 00:17:53,000 --> 00:17:55,000 これまで見てきた例は 461 00:17:55,000 --> 00:17:57,000 保護区以外にも我々に取れる方法が 462 00:17:57,000 --> 00:17:59,000 いろいろあることを示していると思います 463 00:17:59,000 --> 00:18:02,000 クジラが安全に交信できる海の環境を 皆で守っていきましょう 464 00:18:02,000 --> 00:18:04,000 有難うございました 465 00:18:04,000 --> 00:18:06,000 (拍手)