1 00:00:11,167 --> 00:00:13,459 ありがとう ありがとう 2 00:00:14,458 --> 00:00:16,714 境界を超えて 3 00:00:16,714 --> 00:00:18,129 すごいタイトルでしょ? 4 00:00:18,129 --> 00:00:20,424 さて 境界と言えば 5 00:00:20,425 --> 00:00:25,415 ルール、規則、制限という言葉が 思い浮かびます 6 00:00:25,416 --> 00:00:30,126 親、先生、上司も思い出します 7 00:00:30,126 --> 00:00:33,697 この人たちは 境界を考え 責任ある行動をとらせようとします 8 00:00:34,516 --> 00:00:36,100 これは 悪いことではありません 9 00:00:36,100 --> 00:00:38,560 私のような人は 監督が必要なのです 10 00:00:38,560 --> 00:00:42,185 責任を持って正しい行いをするよう 導いてくれる人が必要です 11 00:00:42,822 --> 00:00:45,591 しかし 境界を超えるとなると話は別です 12 00:00:45,592 --> 00:00:50,778 ここで思い浮かぶリーダーや先生、親は こんな刺激を与えます 13 00:00:50,779 --> 00:00:55,221 責任として求められる以上のことに 踏み込もう 14 00:00:55,221 --> 00:00:57,954 必要とされる以上のことをやろう 15 00:00:57,954 --> 00:01:02,501 言われたからではなく やりたいという理由でやろう 16 00:01:03,372 --> 00:01:04,817 これから お話ししたいことは 17 00:01:04,817 --> 00:01:08,067 それを実現する方法が 研究によってどう説明されているかです 18 00:01:08,068 --> 00:01:12,088 人のためだけではなく 自分のためにどう実現するのか 19 00:01:12,089 --> 00:01:18,850 話のポイントは どうすれば他人や自分自身が 自分で意欲的にやる気を出せるかです 20 00:01:20,273 --> 00:01:23,247 言い換えると 「エンパワーメント」です 21 00:01:23,247 --> 00:01:24,679 聞いたことがあるでしょう 22 00:01:24,679 --> 00:01:27,178 「エンパワーメント」の 経営学的な定義は 23 00:01:27,178 --> 00:01:29,439 「達成しろ ただ 達成すればいい 24 00:01:29,439 --> 00:01:34,578 少ないリソースや短時間ならなお良い お前に委ねる 達成してくれ」というものです 25 00:01:34,578 --> 00:01:37,362 私が話すのは 自分で感じる手応えのことです 26 00:01:37,363 --> 00:01:38,660 違う話ですね 27 00:01:38,661 --> 00:01:41,408 手応えを覚えるのは 自ら意欲が出ているときです 28 00:01:41,408 --> 00:01:44,376 では手応えがあるとは何か 29 00:01:44,381 --> 00:01:49,162 または 子供や生徒、社員が 手応えを感じているかを知りたかったら 30 00:01:49,162 --> 00:01:51,101 次の3つの質問をしてみてください 31 00:01:51,102 --> 00:01:55,635 もし3つの質問の答えがイエスなら 手応えがあるのです 32 00:01:55,635 --> 00:01:56,833 ところで 33 00:01:56,833 --> 00:01:59,929 この指標は 常識的判断ではなく 研究に基づいています 34 00:01:59,929 --> 00:02:04,120 しかし 聞いたことのあるような話なので こんなこと 常識だと思うかもしれません 35 00:02:04,120 --> 00:02:07,397 質問1:それができますか? アルバート・バンデューラが 36 00:02:07,397 --> 00:02:09,902 「自己効力感」と呼ぶものです 37 00:02:09,903 --> 00:02:12,595 できると思っていますか? 38 00:02:12,595 --> 00:02:15,228 それを達成するための時間や知識があり 39 00:02:15,238 --> 00:02:18,466 そして必要な研修を受けていますか? 40 00:02:18,467 --> 00:02:20,410 もし 答えがイエスなら 問題ありません 41 00:02:20,410 --> 00:02:23,959 質問2:うまくいきそうですか? 42 00:02:23,960 --> 00:02:28,687 それは うまく進めていけそうですか? 43 00:02:28,687 --> 00:02:32,234 アルバート・バンデューラはこれを 「応答効力感」 といっています 44 00:02:32,235 --> 00:02:36,143 その行動が最高の結果をもたらすと 信じることです 45 00:02:36,143 --> 00:02:39,114 そのためには教育が必要です 46 00:02:39,115 --> 00:02:42,614 データや ときには理論を 示す必要があります 47 00:02:42,614 --> 00:02:46,801 なぜそれでうまくいくのかを 示し 教えるのです 48 00:02:46,801 --> 00:02:50,948 今「教育」という言葉を使いましたが さっきは「研修」と言いました 49 00:02:52,081 --> 00:02:54,315 違いは何でしょう? 50 00:02:54,316 --> 00:02:58,036 小学校では「教育」といいます 51 00:02:58,037 --> 00:03:01,164 中学校は「教育」 高校は「教育」 52 00:03:02,121 --> 00:03:05,498 大学は「高等教育」 (笑) 53 00:03:05,499 --> 00:03:07,645 社会に出ると何といいますか? 54 00:03:07,645 --> 00:03:08,883 「研修」ですね 55 00:03:08,883 --> 00:03:12,446 研修部門があります 「教育」と「研修」は違います 56 00:03:13,459 --> 00:03:15,929 違いは何かご存知でしょう 57 00:03:15,929 --> 00:03:19,179 お子さんには 性教育と性研修のどちらを望みますか? 58 00:03:19,179 --> 00:03:21,677 (笑) 59 00:03:21,677 --> 00:03:24,973 当人たちの答えは違うかもしれません 60 00:03:24,973 --> 00:03:26,493 (笑) 61 00:03:26,493 --> 00:03:31,760 研修は実際にやってみて そして フィードバックをもらいます 62 00:03:31,760 --> 00:03:34,105 とても効果的です 63 00:03:34,106 --> 00:03:37,328 オンラインの研修という言葉を 聞いたことがありますか 64 00:03:38,606 --> 00:03:40,569 矛盾した表現ですよね 65 00:03:40,570 --> 00:03:43,112 研修では その行動を実際に観察します 66 00:03:43,113 --> 00:03:46,253 しかし オンライン研修は いわばプラスチック製の銀食器 67 00:03:46,253 --> 00:03:51,501 大きい小エビ 法律上の準備書面 カントリーミュージック みたいなものです 68 00:03:51,501 --> 00:03:54,256 (笑) 69 00:03:54,256 --> 00:03:55,595 それは無理なんです 70 00:03:55,595 --> 00:03:59,706 さて答えがイエスなら大丈夫です 71 00:03:59,706 --> 00:04:02,519 質問3:やる価値があるか? 72 00:04:03,620 --> 00:04:07,349 研修について質問しました 教育についても質問しました 73 00:04:07,350 --> 00:04:10,106 こんどは「やる気」に関する質問です 74 00:04:10,107 --> 00:04:13,522 結果の意味を信じられるか 結果についての質問です 75 00:04:13,522 --> 00:04:17,238 B. F. スキナーの「結果による選択」 という考え方があります 76 00:04:17,238 --> 00:04:20,180 デール・カーネギーはスキナーの言葉を こう引用しています 77 00:04:20,180 --> 00:04:21,762 あなたが生まれたその日から 78 00:04:21,762 --> 00:04:25,882 すべての行動には 何か望んだ目的があった 79 00:04:25,882 --> 00:04:29,419 その結果は 達成する価値がありますか? 80 00:04:29,420 --> 00:04:31,881 その意義を人に 納得させなければいけません 81 00:04:31,881 --> 00:04:36,689 ところで 3つの質問の答えが すべてイエスなら 82 00:04:36,689 --> 00:04:39,367 それをやれる気がしますよね? 83 00:04:39,367 --> 00:04:42,438 やる価値のあることを できる自信がある 84 00:04:42,439 --> 00:04:43,786 できたも同然です 85 00:04:43,786 --> 00:04:47,132 やる価値のあることに対して やれる自信があるとき 86 00:04:48,022 --> 00:04:50,627 「やる気」が湧いてくるものです 87 00:04:50,628 --> 00:04:53,814 どうすれば良いかわかっており 誰かが見ていなくても大丈夫です 88 00:04:53,814 --> 00:04:56,537 これは挑戦です リーダーや先生がた 89 00:04:56,538 --> 00:04:59,481 どのように人に自信をもたせることが できるでしょうか? 90 00:04:59,481 --> 00:05:03,284 彼らにフィードバックを与え そして承認を与える 91 00:05:03,284 --> 00:05:06,393 彼らにはそれをできると証明するのです 92 00:05:07,252 --> 00:05:12,271 はい もう一つCから始まる言葉を紹介します 選択(choice)です 93 00:05:13,037 --> 00:05:14,948 常識で考えると 94 00:05:14,948 --> 00:05:17,908 自分の中で 自主性があって 95 00:05:17,909 --> 00:05:21,723 自分が何をするか選んでいると感じるときに 「やる気」が生まれます 96 00:05:21,724 --> 00:05:25,451 スキナーもまた 彼の本 「自由と尊厳を超えて」でそういっています 97 00:05:25,451 --> 00:05:27,386 1971年のことです 98 00:05:27,386 --> 00:05:29,040 この本で 私の人生は変わりました 99 00:05:29,040 --> 00:05:33,166 自分が結果にコントロールされていることを 認識したからです 100 00:05:33,167 --> 00:05:35,920 しかし コントロールされていると 感じないときもあります 101 00:05:35,920 --> 00:05:38,315 望ましい結果に向かって行動しているときは 102 00:05:38,315 --> 00:05:41,119 気持ちがいいし 何かを得るための 努力だと感じることができます 103 00:05:41,119 --> 00:05:44,555 望ましくない結果を避けようと 行動しているときに 104 00:05:44,555 --> 00:05:46,095 コントロールされていると感じるのです 105 00:05:46,095 --> 00:05:48,506 これを「負の強化」といいます 106 00:05:48,506 --> 00:05:50,202 リーダーの皆さん ここが難しいのです 107 00:05:50,202 --> 00:05:52,965 どうすれば失敗を回避するのではなく 108 00:05:52,965 --> 00:05:56,213 成功を探求するように導けるでしょうか 109 00:05:56,213 --> 00:05:58,212 心理学入門の授業の初日に― 110 00:05:58,212 --> 00:06:00,352 私は600人の授業を2つ教えています 111 00:06:00,352 --> 00:06:02,883 授業を受けた方は 覚えているかもしれませんが 112 00:06:02,883 --> 00:06:08,233 初日に私はこう言います 「失敗を避けたい人はどれぐらいいますか?」 113 00:06:08,233 --> 00:06:10,806 すると 80% の人が手をあげました 114 00:06:10,807 --> 00:06:15,040 「この授業に参加してくれてありがとう みんなやる気があるとは思うけれど 115 00:06:15,040 --> 00:06:17,436 でも楽しくなさそうに見える 116 00:06:17,436 --> 00:06:18,913 友達にこう言ってないかな? 117 00:06:18,913 --> 00:06:22,964 この授業に出ないといけない 必須科目だから 118 00:06:22,965 --> 00:06:27,060 この授業に出ないといけない チャンスなんだって言わずに 119 00:06:27,060 --> 00:06:31,328 やる気に目覚めたのではなく アラームで目覚めただけじゃないかな」 120 00:06:31,329 --> 00:06:32,696 (笑) 121 00:06:32,697 --> 00:06:36,083 見方が全てなのです ただ どう見るかが問題なのです 122 00:06:36,083 --> 00:06:37,330 パラダイムの問題です 123 00:06:37,330 --> 00:06:42,666 他人とのコミュニケーションの仕方と 自分自身とのコミュニケーションの仕方です 124 00:06:42,667 --> 00:06:47,042 エレン・ランガーが『心はマインド…』という 本に書いたことで 125 00:06:47,059 --> 00:06:48,922 心理学者なら知っていることですが 126 00:06:48,923 --> 00:06:53,766 「選択に気づくことができれば やる気に気づくこともできる」 127 00:06:53,767 --> 00:06:55,548 やる気が増すのです 128 00:06:55,549 --> 00:06:58,527 ポイントは 一人で落ち着いて ゆっくりと考え 129 00:06:58,528 --> 00:07:01,458 自分の選択に意識を集中することです 130 00:07:01,459 --> 00:07:05,251 失敗を回避することではなく 成功を探求するように話すのです 131 00:07:05,260 --> 00:07:09,700 自分自身とそして他人とどんなふうに コミュニケーションするかが全てです 132 00:07:09,701 --> 00:07:13,698 もう一つ Cから始まる言葉をご紹介します Community(コミュニティ)です 133 00:07:13,698 --> 00:07:14,739 力強い言葉ですね 134 00:07:14,739 --> 00:07:19,176 心理学者は社会的なサポートが 重要であると認識しています 135 00:07:19,176 --> 00:07:21,841 関係性の感知つまり 136 00:07:21,842 --> 00:07:27,770 他人とのコネクションを感じている人は やる気を感じ 満足です 137 00:07:28,551 --> 00:07:31,495 あるポエムを朗読します 138 00:07:31,496 --> 00:07:34,602 ヴァレリー・コックスの『クッキー泥棒』 という作品です 139 00:07:34,603 --> 00:07:36,597 この作品の登場人物は2人です 140 00:07:36,597 --> 00:07:39,187 男性と女性です 141 00:07:39,187 --> 00:07:41,542 自分がその場にいると想像しながら 聞いてください 142 00:07:41,543 --> 00:07:46,562 集中して その状況で自分ならどうするか 考えてください 143 00:07:46,563 --> 00:07:48,456 いいですね では 始めます 144 00:07:48,457 --> 00:07:50,505 ある女性が夜の空港で出発を待っていた 145 00:07:50,505 --> 00:07:52,959 飛行機が出発するまでまだ数時間 146 00:07:52,959 --> 00:07:55,889 売店で本を探してから 147 00:07:55,889 --> 00:07:59,342 クッキーも買って 座る場所を見つけた 148 00:07:59,343 --> 00:08:01,629 すっかり本に没頭していたが ふと気づく 149 00:08:01,629 --> 00:08:04,537 隣の男性が図々しくも 150 00:08:04,537 --> 00:08:07,544 2人の間に置いてある袋から クッキーを取るのだ 151 00:08:07,544 --> 00:08:11,428 女性はそれに気がつかないふりを しようとした 152 00:08:11,429 --> 00:08:14,805 女性は本を読みながら クッキーをつまみ 時計を見た 153 00:08:14,806 --> 00:08:18,330 図太いクッキー泥棒は どんどん食べ続けた 154 00:08:18,331 --> 00:08:21,353 時間とともに 女性はイライラしてきた 155 00:08:21,354 --> 00:08:25,753 私がこんなに優しくなければ ぶん殴ってるところだと考えながら 156 00:08:25,753 --> 00:08:29,393 女性がクッキーを1つ取ると 男性も1つ取る 157 00:08:29,394 --> 00:08:31,642 最後の一枚 どうするだろうと思っていると 158 00:08:31,642 --> 00:08:34,449 男性は笑顔に苦笑いを交え 159 00:08:34,449 --> 00:08:37,741 最後のクッキーを手に取り それを半分に割った 160 00:08:37,741 --> 00:08:38,931 (笑) 161 00:08:38,932 --> 00:08:42,289 片方を女性に差し出し 残りは自分で食べた 162 00:08:42,291 --> 00:08:44,898 女性は奪うように受け取って こう考えた 163 00:08:44,899 --> 00:08:48,512 なんて図々しくて 失礼な人だ 164 00:08:48,512 --> 00:08:51,441 何のお礼も言わないなんて 165 00:08:51,442 --> 00:08:53,678 女性は これほど腹を立てた経験はなかった 166 00:08:53,678 --> 00:08:55,970 搭乗のアナウンスに ホッとため息をついた 167 00:08:55,970 --> 00:08:58,372 女性は荷物をまとめて ゲートに向かった 168 00:08:58,372 --> 00:09:02,252 泥棒野郎を見ないようにして 169 00:09:02,252 --> 00:09:04,828 飛行機に乗り込み 座席についた 170 00:09:04,829 --> 00:09:08,557 それから もうすぐ読み終わる本を探した 171 00:09:08,558 --> 00:09:12,432 本を手にしたときに 女性は驚いて息をのんだ 172 00:09:12,433 --> 00:09:15,687 目の前に クッキーの袋があるのだ 173 00:09:15,687 --> 00:09:17,137 (笑) 174 00:09:17,137 --> 00:09:21,006 女性は弱々しくつぶやく これが私のだから 175 00:09:21,007 --> 00:09:25,420 さっきのは あの男性のだ そして分けてくれたんだ 176 00:09:25,421 --> 00:09:28,745 いまさら謝ることもできない 177 00:09:28,746 --> 00:09:33,812 不躾で 恩知らずで 泥棒だったのは 自分と気づき女性はうなだれた 178 00:09:34,542 --> 00:09:36,522 さて いかがでしたか 179 00:09:36,523 --> 00:09:38,977 どういう立場で見ていましたか? どちら側ですか? 180 00:09:38,978 --> 00:09:43,215 自分を主体に考えましたか? それとも協調的な考えをしましたか? 181 00:09:43,216 --> 00:09:45,881 自分を主体に考えてもいいのですよ 182 00:09:45,881 --> 00:09:47,076 私達はそのように育てられたのですから 183 00:09:47,076 --> 00:09:50,745 お人好しはビリになる きしむ車輪は油を差される 184 00:09:50,746 --> 00:09:54,049 自分のラッパを鳴らさないといけない 185 00:09:54,049 --> 00:09:55,069 自立 186 00:09:55,069 --> 00:09:58,390 私達は他人に依存して この世に生まれてきました 187 00:09:58,391 --> 00:10:01,370 そしてティーンエイジャーになれる日を 心待ちにします 188 00:10:01,370 --> 00:10:05,083 子供のように振る舞うには年が行き過ぎてるし 大人のように振る舞うには未熟です 189 00:10:05,083 --> 00:10:09,370 自分の自立性を誇示するために 誰もしそうにないことをしようとします 190 00:10:09,370 --> 00:10:12,904 そこで行き詰まる人もいます 身動きできない 191 00:10:12,904 --> 00:10:16,230 全部自分でやるんだ 助けは不要だ 192 00:10:16,231 --> 00:10:17,834 よくありません 193 00:10:17,835 --> 00:10:22,154 私達はお互いが必要です 持ちつ持たれつです 194 00:10:22,154 --> 00:10:25,098 連帯感が必要なのです 195 00:10:25,099 --> 00:10:30,267 今までの独立的文化から相互協調的文化へと 移行しなければなりません 196 00:10:31,015 --> 00:10:35,654 いいですか 4つのCから始まる言葉により 「やる気」が湧いてくるのです 197 00:10:35,655 --> 00:10:39,326 そして すすんで他人を大切にする気持ちも 出てくるのです 198 00:10:39,326 --> 00:10:42,319 最後に あるお話をしましょう 199 00:10:42,320 --> 00:10:46,891 これは60年以上の前のことですが 昨日のことのように思い出すことができます 200 00:10:46,891 --> 00:10:49,452 私の両親が私に尋ねました スコット 201 00:10:49,453 --> 00:10:53,644 ドラムを習わないかい? ドラムをしてみないか? 202 00:10:53,644 --> 00:10:55,534 やった!まさか! 203 00:10:55,534 --> 00:10:58,513 バディ・リッチやジーン・クルーパを 思い浮かべました 204 00:10:58,514 --> 00:11:01,704 知らないかもしれませんが ふたりともドラマーです 205 00:11:01,704 --> 00:11:03,995 当時 ドラムはバンドの前側で 演奏していました 206 00:11:03,995 --> 00:11:07,945 真っ白いドラムセットを自分でも直に見ました それが私のビジョンです 207 00:11:07,945 --> 00:11:10,680 私の得たビジョンとは 結果です それが私のビジョンでした 208 00:11:10,681 --> 00:11:13,421 「うん ドラムを習いたい」と答えると 209 00:11:13,421 --> 00:11:16,065 先生は自分のドラムセットを 私のドラムの横に並べました 210 00:11:16,065 --> 00:11:17,794 私は こんな素敵なドラムを 持っていませんでした 211 00:11:17,795 --> 00:11:20,865 親がオークションで買ってくれたドラムは かろうじて叩くことのできるものでした 212 00:11:20,865 --> 00:11:26,230 親は言いました 上手くなったら 先生がそう認めたら 新しいドラムをー 213 00:11:26,230 --> 00:11:27,935 ー責任を与えたのですね 214 00:11:27,935 --> 00:11:31,360 上達したと先生が言ったら 良いスネアドラムを買おう 215 00:11:31,360 --> 00:11:33,508 バスドラムも シンバルも 216 00:11:33,508 --> 00:11:35,705 それが私のビジョンになり 私を動かし続けたのです 217 00:11:35,705 --> 00:11:37,256 結果ですね 218 00:11:37,386 --> 00:11:40,043 先生が来て いろいろ見せてくれました 219 00:11:40,043 --> 00:11:41,456 これはこうで 左手は 220 00:11:41,456 --> 00:11:44,970 バディ・リッチはこんな左手と右手で 叩いてるんだよ 221 00:11:44,970 --> 00:11:46,846 フラム奏法も教わりました 222 00:11:46,846 --> 00:11:48,415 (ドラム音) 223 00:11:48,416 --> 00:11:52,332 後ろの方 聞こえますか?大丈夫ですか? そして リムショット 224 00:11:52,332 --> 00:11:53,507 (ドラム音) 225 00:11:53,508 --> 00:11:56,467 先生はいろいろ見せてくれました まだ10歳でしたよ 226 00:11:56,467 --> 00:11:58,709 先生がいろいろ見せてくれ 「すごい!」と思いました 227 00:11:58,709 --> 00:12:02,111 ちょっとしたドラムビートを実演して 「よく見て スコット これを見て」 228 00:12:02,111 --> 00:12:05,194 (ドラム音) 229 00:12:05,194 --> 00:12:09,169 そして練習して できるようになりました 自信になりました 230 00:12:09,169 --> 00:12:13,711 先生はパラディドルを見せてくれました 「パラディドル パラディドル」 231 00:12:13,711 --> 00:12:17,003 「帰ったら練習するんだよ 来週 先生にパラディドルをみせてくれよ」 232 00:12:17,003 --> 00:12:18,103 「さあ見てください」 233 00:12:18,103 --> 00:12:20,964 (ドラム音) 234 00:12:20,964 --> 00:12:22,177 「こんなのも」 235 00:12:22,177 --> 00:12:24,044 (ドラム音) 236 00:12:24,044 --> 00:12:27,703 先生は言いました「ダブルパラディドルだね まだ教えていないのに」 237 00:12:27,703 --> 00:12:32,398 先に進んでいたのです(笑) やる気にあふれていたからです 238 00:12:32,398 --> 00:12:33,651 自信もありました 239 00:12:33,651 --> 00:12:36,700 ペンシルバニア州 アレンタウンの ニューバーグ高校を通りかかりました 240 00:12:36,700 --> 00:12:38,520 そこで会った音楽の先生が言いました 241 00:12:38,520 --> 00:12:40,715 「君 ドラムを習ってるんだってね」 242 00:12:40,716 --> 00:12:42,290 私は「はい 上手くなってきました」 243 00:12:42,290 --> 00:12:45,450 先生は「君ならバンドに参加できる スネアドラマーになれるね」と 244 00:12:45,450 --> 00:12:48,432 やった!嬉しかった  もうひとつ ビジョンができました 245 00:12:49,658 --> 00:12:53,536 そして 先生はプライベートレッスンを してくれることになりました 246 00:12:53,536 --> 00:12:56,815 大昔のことなので なんと2ドルで 247 00:12:56,815 --> 00:13:00,383 先生が言いました 「スコット!ドラムロールもできそうだね」 248 00:13:00,384 --> 00:13:02,682 私は 「もちろん できると思います」 249 00:13:02,682 --> 00:13:04,627 先生は 「見てごらん スコット!ほら これを見て」 250 00:13:04,627 --> 00:13:06,777 (ドラム音) 251 00:13:08,747 --> 00:13:12,191 「うーん もう一度見せてもらえますか?」 252 00:13:12,191 --> 00:13:16,061 「スコット 簡単だよ 見て」 253 00:13:16,061 --> 00:13:19,089 (ドラム音) 254 00:13:20,219 --> 00:13:25,469 「さあ 練習して 来週 ドラムロールを見せておくれ」 255 00:13:25,469 --> 00:13:28,153 次の週 先生は言いました 「ドラムの方はどうだい?」 256 00:13:28,153 --> 00:13:30,824 「えっと パラディドルならできるのですが」 (ドラム音) 257 00:13:30,825 --> 00:13:34,667 「後退だね アハハ 君のドラムロールを見たいなあ」 258 00:13:35,699 --> 00:13:40,323 毎週毎週 私達は この伸び悩みについて話し合いました 259 00:13:40,333 --> 00:13:42,691 そして 無気力感についても 260 00:13:42,692 --> 00:13:45,170 そして 学習性無力感についても 話し合いました 261 00:13:45,171 --> 00:13:47,581 これは心理学者の使う用語です 262 00:13:47,581 --> 00:13:49,882 小学校を通りかかったときのことです 263 00:13:49,882 --> 00:13:52,142 音楽の先生がこう言いました 264 00:13:52,142 --> 00:13:54,690 「スコット 元気かい? 最近ドラムの方はどう?」 265 00:13:54,690 --> 00:13:59,565 「ええ あんまりうまくいってません ドラムロールができないんです」 266 00:13:59,565 --> 00:14:02,177 大人はよくこう言うでしょう 「決して できないといってはいけない 267 00:14:02,178 --> 00:14:05,025 目指すものに必ずなれるさ スコット」 268 00:14:05,025 --> 00:14:06,827 「無理です ドラムロールは無理です 269 00:14:06,827 --> 00:14:09,433 何回も試したんです もう諦めようかと思ってます」 270 00:14:09,433 --> 00:14:13,370 先生は言いました 「スコット できそうに ないことは もっと小さく分けるんだ 271 00:14:13,371 --> 00:14:15,791 小さくして パラディドルできるかい?」 272 00:14:15,791 --> 00:14:16,835 「はい」 273 00:14:16,835 --> 00:14:18,712 (ドラム音) 274 00:14:18,712 --> 00:14:20,670 「その2番目のビートは何?」 「ツービート」 275 00:14:20,670 --> 00:14:21,962 (ドラム音) 276 00:14:21,962 --> 00:14:25,802 「そうだ それがドラムロールだ ゲラーくん ツービートだね」 277 00:14:25,803 --> 00:14:26,960 (ドラム音) 278 00:14:26,961 --> 00:14:29,501 家で「ダッダンママ」といいながら 練習するんだ 279 00:14:29,501 --> 00:14:30,746 10歳でしたよね 280 00:14:30,746 --> 00:14:33,285 「ダッダンママ ダッダンママ っていいながらね」 281 00:14:33,285 --> 00:14:36,367 (ドラム音) 282 00:14:36,367 --> 00:14:37,821 これはドラムロール 283 00:14:37,821 --> 00:14:39,725 次の週に先生と会いました 284 00:14:39,726 --> 00:14:43,357 「スコット たぶん ドラムロールはまだだろう」 285 00:14:43,358 --> 00:14:44,901 「これを見てください」 286 00:14:44,901 --> 00:14:47,128 (ドラム音) 287 00:14:47,128 --> 00:14:51,066 先生は言いました 「お!どうやってできるようになったんだ?」 288 00:14:51,066 --> 00:14:52,531 そして先生に見せました 289 00:14:52,531 --> 00:14:54,167 (ドラム音) 290 00:14:56,077 --> 00:14:58,703 10歳の子供が先生に教えたのです 291 00:14:58,703 --> 00:15:03,446 先生は言いました 「スコット できそうに ないことは もっと小さく分けるんだ 292 00:15:03,446 --> 00:15:04,718 (ドラム音) 293 00:15:04,718 --> 00:15:07,406 これがもともとはツービートだっていうことを 忘れていた 294 00:15:07,406 --> 00:15:11,814 君がドラムロールの教え方を教えてくれたよ スコット」 295 00:15:12,525 --> 00:15:17,180 ここには教訓があります 私達はお互いに学び合うことができる 296 00:15:17,180 --> 00:15:20,908 フィードバックを認める謙虚さ 297 00:15:20,908 --> 00:15:23,323 そして率直に話す勇気を持つことが大切です 298 00:15:23,323 --> 00:15:27,076 そしてお互い助け合い 「やる気」を感じることが大切です 299 00:15:27,077 --> 00:15:28,360 どうやって? 300 00:15:28,360 --> 00:15:30,548 自信を自覚させるのです 301 00:15:30,549 --> 00:15:34,439 「結果が自分自身を動かすのだ」と教えるのです 302 00:15:35,150 --> 00:15:40,516 自分の選択を意識させ ひとりではないということを教えるのです 303 00:15:40,516 --> 00:15:43,860 私達は一緒なのです お互いを必要としているのです 304 00:15:44,748 --> 00:15:46,152 ありがとう 305 00:15:46,153 --> 00:15:47,613 (拍手)