1 00:00:00,580 --> 00:00:04,000 まず始めに医学に関係する 2 00:00:04,000 --> 00:00:07,000 データを取り扱う上での 3 00:00:07,000 --> 00:00:09,000 課題について 4 00:00:09,000 --> 00:00:11,350 ご説明します 5 00:00:11,350 --> 00:00:13,520 これは私たちにとって 大きな課題です 6 00:00:13,520 --> 00:00:15,650 私たちに負担を押し付けるのが この機械です 7 00:00:15,650 --> 00:00:17,790 これはコンピュータ断層撮影装置 8 00:00:17,790 --> 00:00:19,370 通称 CTです 9 00:00:19,370 --> 00:00:21,000 素晴らしい装置です 10 00:00:21,000 --> 00:00:23,000 人体の周りを 11 00:00:23,000 --> 00:00:26,140 高速で回転する X線が使われます 12 00:00:26,140 --> 00:00:28,320 機械が端から端まで動くのに 13 00:00:28,320 --> 00:00:30,980 およそ30秒かかり そこから膨大な 14 00:00:30,980 --> 00:00:32,580 情報が出力されます 15 00:00:32,580 --> 00:00:36,000 医療の向上のために使える 16 00:00:36,000 --> 00:00:38,000 大変素晴らしい機械です 17 00:00:38,000 --> 00:00:40,510 しかし 私たちにとっての 課題でもあるのです 18 00:00:40,510 --> 00:00:43,000 その課題はこちらの画像で 見て取れます 19 00:00:43,000 --> 00:00:45,000 これは現在私たちが 直面している 20 00:00:45,000 --> 00:00:47,000 医学データの爆発的な 増加問題です 21 00:00:47,000 --> 00:00:49,000 この問題に現在 取り組んでいます 22 00:00:49,000 --> 00:00:51,000 過去に遡りましょう 23 00:00:51,000 --> 00:00:54,000 数年前に何が起こったか ご説明します 24 00:00:54,000 --> 00:00:56,000 これらの機械は 25 00:00:56,000 --> 00:00:58,000 1970年頃に導入され始め 26 00:00:58,000 --> 00:01:00,000 人体をスキャンし 27 00:01:00,000 --> 00:01:02,000 100枚程度の人体画像を 28 00:01:02,000 --> 00:01:04,340 生成します 29 00:01:04,340 --> 00:01:06,770 大変勝手ながら 明確化するために 30 00:01:06,770 --> 00:01:08,910 それらをデータを デジタル化すると 31 00:01:08,910 --> 00:01:11,850 大体50MBの大きさになります 32 00:01:11,850 --> 00:01:13,750 情報量自体は私たちが 33 00:01:13,750 --> 00:01:16,470 通常のモバイル機器で 扱えるデータに比べると 34 00:01:16,470 --> 00:01:18,410 小さいでしょう 35 00:01:18,410 --> 00:01:20,210 電話帳に例えると 36 00:01:20,210 --> 00:01:23,270 1メートル積み上げた 電話帳に相当します 37 00:01:23,270 --> 00:01:25,430 現在私たちが扱っている 38 00:01:25,430 --> 00:01:27,250 これらの機械は 39 00:01:27,250 --> 00:01:29,000 数秒以内に 40 00:01:29,000 --> 00:01:31,650 2万4千枚もの人体の 画像を生成します 41 00:01:31,650 --> 00:01:34,000 これは20GBものデータ もしくは 42 00:01:34,000 --> 00:01:36,000 電話帳800冊分の情報量です 43 00:01:36,000 --> 00:01:38,450 重ねれば200メートルになるでしょう 44 00:01:38,450 --> 00:01:40,270 何が起きようとしているか 45 00:01:40,270 --> 00:01:42,430 今まさに起き始めている 46 00:01:42,430 --> 00:01:44,430 技術トレンドとは 47 00:01:44,430 --> 00:01:47,480 人体の継時変化に 注目することです 48 00:01:47,480 --> 00:01:50,380 つまり人体から種々の動態情報を 入手できるのです 49 00:01:50,380 --> 00:01:51,550 それでは 50 00:01:51,550 --> 00:01:54,570 5秒の間 データを 取得したとしましょう 51 00:01:54,570 --> 00:01:57,460 それは1テラバイトもの データになります 52 00:01:57,460 --> 00:01:59,710 これは 80万冊の本 あるいは 53 00:01:59,710 --> 00:02:01,810 16km重ねた電話帳に相当します 54 00:02:01,810 --> 00:02:03,530 これは患者一人分のデータです 55 00:02:03,530 --> 00:02:05,800 私たちが取り組まねばならない データ量です 56 00:02:05,800 --> 00:02:08,450 実に途方もない仕事です 57 00:02:08,450 --> 00:02:11,000 これで 2万5千枚もあります 58 00:02:11,000 --> 00:02:13,300 これらを放射線専門医が 59 00:02:13,300 --> 00:02:15,520 処理していた姿を 想像してみてください 60 00:02:15,520 --> 00:02:17,960 2万5千枚もの画像を前に 61 00:02:17,960 --> 00:02:20,410 こう言うのです  「えっと 2万5千枚か 62 00:02:20,410 --> 00:02:22,000 問題ありだな」 63 00:02:22,000 --> 00:02:24,400 もうそのようなことはできません 不可能です 64 00:02:24,400 --> 00:02:27,400 それよりもっと 知的な方法を行う必要があります 65 00:02:28,530 --> 00:02:30,900 まずこれらの画像を 一つにまとめます 66 00:02:30,900 --> 00:02:33,470 自分自身の体を あらゆる角度から薄切りにし 67 00:02:33,470 --> 00:02:36,310 それらを再度元のデータの塊に 戻すことを 68 00:02:36,310 --> 00:02:38,000 想像してみてください 69 00:02:38,000 --> 00:02:40,380 そういうことを私たちは 行っているのです 70 00:02:40,380 --> 00:02:43,380 このギガ テラバイト級のデータを 元の塊に戻します 71 00:02:43,380 --> 00:02:45,000 もちろん データの塊は 72 00:02:45,000 --> 00:02:47,400 単に 人体のそれぞれの箇所において 73 00:02:47,400 --> 00:02:49,680 吸収されたX線の 総量のみを表します 74 00:02:49,680 --> 00:02:51,320 そこで まずは私たちが 75 00:02:51,320 --> 00:02:54,440 見たくないものは見えず 確認したいものだけを 76 00:02:54,440 --> 00:02:57,220 見られるようにする 必要があります 77 00:02:57,220 --> 00:02:59,000 つまり このような形に 78 00:02:59,000 --> 00:03:01,200 データを変換したいのです 79 00:03:01,200 --> 00:03:03,000 この課題は 80 00:03:03,000 --> 00:03:05,350 私たちにとって とてつもない難題でした 81 00:03:05,350 --> 00:03:09,120 絶えず処理速度や性能が 良くなるコンピュータでも 82 00:03:09,120 --> 00:03:10,760 ギガバイトや 83 00:03:10,760 --> 00:03:13,000 テラバイト級のデータを対象に 84 00:03:13,000 --> 00:03:16,020 適切な情報を抽出するのは 困難な作業です 85 00:03:16,020 --> 00:03:17,900 心臓であったり血管や肝臓を 86 00:03:17,900 --> 00:03:19,770 見たい時があるかもしれません 87 00:03:19,770 --> 00:03:21,860 もしかしたら腫瘍を 発見することも 88 00:03:21,860 --> 00:03:23,260 あるかもしれません 89 00:03:24,380 --> 00:03:26,970 そこでこの可愛らしい子の出番です 90 00:03:26,970 --> 00:03:28,390 これは私の娘です 91 00:03:28,390 --> 00:03:30,590 今朝の9時頃の彼女の様子です 92 00:03:30,590 --> 00:03:32,510 彼女はゲームで遊んでいます 93 00:03:32,510 --> 00:03:34,000 まだ2歳児ですが 94 00:03:34,000 --> 00:03:36,000 とても楽しんでいます 95 00:03:36,700 --> 00:03:39,000 彼女はGPU開発の 96 00:03:39,000 --> 00:03:42,360 推進役といっていいでしょう 97 00:03:43,310 --> 00:03:45,000 子供達がゲームで遊ぶ限り 98 00:03:45,000 --> 00:03:47,370 グラフィックスは 進化し続けるのです 99 00:03:47,370 --> 00:03:49,580 帰ったら 是非ゲームを 勧めてください 100 00:03:49,580 --> 00:03:51,470 それが私たちには必要だからです 101 00:03:51,470 --> 00:03:53,260 この機械の中には 102 00:03:53,260 --> 00:03:55,570 私が医療データに対して 行っていることを 103 00:03:55,570 --> 00:03:57,440 可能にしてくれるものが 存在します 104 00:03:57,440 --> 00:04:00,700 実はこのような 小さな素晴らしい装置を使っています 105 00:04:00,700 --> 00:04:02,000 ご存知のように 106 00:04:02,000 --> 00:04:04,560 おそらく10年程前 私が 107 00:04:04,560 --> 00:04:06,830 1台目の画像処理用の コンピュータを 108 00:04:06,830 --> 00:04:08,700 買う予算を得た時代の頃は 109 00:04:08,700 --> 00:04:10,630 それはとても巨大なマシンでした 110 00:04:10,630 --> 00:04:13,750 プロセッサやらストレージなど あらゆるものが詰め込まれていました 111 00:04:13,750 --> 00:04:16,500 私はそのマシンに 100万ドル支払いました 112 00:04:17,240 --> 00:04:20,820 そんな機械も 今や私のiPhoneと 同じくらいの性能です 113 00:04:22,290 --> 00:04:24,760 毎月 新型のグラフィックスカードが 発売されますが 114 00:04:24,760 --> 00:04:28,090 これは NVDIA ATI Intelといった ベンダーからのもので 115 00:04:28,090 --> 00:04:30,430 最新モデルの何台かです 116 00:04:30,430 --> 00:04:32,300 ご存知のように 数百ドルも払えば 117 00:04:32,300 --> 00:04:34,830 このようなグラフィックスカードを購入し 118 00:04:34,830 --> 00:04:37,440 コンピュータに追加して 様々なことが可能になります 119 00:04:37,440 --> 00:04:39,470 このように これらと共に 120 00:04:39,470 --> 00:04:42,000 人々に研究されている 121 00:04:42,000 --> 00:04:44,000 アルゴリズム開発や 122 00:04:44,000 --> 00:04:46,000 データの圧縮方法 123 00:04:46,000 --> 00:04:48,160 関連情報の抽出方法などによって 124 00:04:48,160 --> 00:04:51,110 膨大な医療データを取り扱うことを 可能にしています 125 00:04:51,110 --> 00:04:54,190 それでは 私たちが出来る いくつかの例をご紹介します 126 00:04:54,190 --> 00:04:57,510 これはCTスキャナーによって 取得されたデータです 127 00:04:57,510 --> 00:05:00,400 ご覧のように これは完全なデータです 128 00:05:00,400 --> 00:05:03,460 これは女性で 髪の毛が見えます 129 00:05:03,460 --> 00:05:06,380 この女性の身体構造が一つずつ 確認できます 130 00:05:06,380 --> 00:05:09,260 このように歯の金属部分に対して 131 00:05:09,260 --> 00:05:11,940 X線が散乱していることが 見て取れます 132 00:05:11,940 --> 00:05:14,410 人工ノイズが発生しているのは そういう部分です 133 00:05:14,410 --> 00:05:16,520 でも 通常のコンピュータ内の 134 00:05:16,520 --> 00:05:19,000 標準のグラフィックスカードによって インタラクティブに 135 00:05:19,000 --> 00:05:21,180 断面を作ることができます 136 00:05:21,180 --> 00:05:23,330 全てのデータは 格納されているので 137 00:05:23,330 --> 00:05:26,310 回転させたり 別のアングルから確認ができます 138 00:05:26,310 --> 00:05:29,000 この女性は問題を 抱えていたようですね 139 00:05:29,000 --> 00:05:31,280 脳内出血を起こしていたようですが 140 00:05:31,280 --> 00:05:33,860 小さなステントで 治療されています 141 00:05:33,860 --> 00:05:36,160 これで血管の裏打ちをします 142 00:05:36,160 --> 00:05:38,000 そしてメニューの選択を 変えることで 143 00:05:38,000 --> 00:05:40,420 何を透明にし 何を見えるようにするか 144 00:05:40,420 --> 00:05:42,190 決めることができます 145 00:05:42,190 --> 00:05:44,310 骨格を見ることができます 146 00:05:44,310 --> 00:05:47,380 これが 女性の頭蓋骨を 開けた部分で 147 00:05:47,380 --> 00:05:49,300 ここから中に入ったようです 148 00:05:49,300 --> 00:05:51,000 これらは素晴らしい画像です 149 00:05:51,000 --> 00:05:53,000 非常に解像度が高く 150 00:05:53,000 --> 00:05:55,630 現在の標準的な グラフィックスカードを使って 151 00:05:55,630 --> 00:05:58,320 何が出来るかを とても良く示しています 152 00:05:58,320 --> 00:06:01,260 効果的な利用方法を 編み出した私たちは 153 00:06:01,260 --> 00:06:03,180 膨大なデータをシステム上に 154 00:06:03,180 --> 00:06:05,220 詰め込むことを試みました 155 00:06:05,220 --> 00:06:07,460 私たちの取り組んでいる アプリのうちの一つは 156 00:06:07,460 --> 00:06:10,000 世界中で少しずつ 話題になりつつある 157 00:06:10,000 --> 00:06:12,190 バーチャル解剖アプリです 158 00:06:12,190 --> 00:06:14,600 同じように 全身スキャンの画像といった 159 00:06:14,600 --> 00:06:17,220 非常に巨大なデータセットを使います 160 00:06:17,220 --> 00:06:19,900 CTスキャナーに全身を通し 161 00:06:19,900 --> 00:06:23,150 数秒後に全身の画像データを 得ることができます 162 00:06:23,150 --> 00:06:25,410 これがバーチャル解剖です 163 00:06:25,410 --> 00:06:27,900 こうやって徐々に剥ぎ取っていきます 164 00:06:27,900 --> 00:06:30,500 始めに遺体袋が確認できます 165 00:06:30,500 --> 00:06:33,280 次に皮を剥ぎ取り 筋肉が見えますね 166 00:06:33,280 --> 00:06:36,480 最後にこの女性の骨格が ご覧になれます 167 00:06:36,480 --> 00:06:38,360 ここからは 168 00:06:38,360 --> 00:06:41,000 これ以降 献体された方々に対し 169 00:06:41,000 --> 00:06:43,240 敬意を払いつつ 170 00:06:43,240 --> 00:06:45,480 いくつかのバーチャル解剖を お見せします 171 00:06:45,480 --> 00:06:47,310 凶悪な事件によって 172 00:06:47,310 --> 00:06:50,390 お亡くなりになられた方々に 敬意を払いつつ 173 00:06:50,390 --> 00:06:52,630 これらの画像を お見せします 174 00:06:53,480 --> 00:06:55,520 法医学的な事例として 175 00:06:55,520 --> 00:06:57,240 私の出身である 176 00:06:57,240 --> 00:06:59,000 スウェーデンだけで 177 00:06:59,000 --> 00:07:01,190 過去4年間において 178 00:07:01,190 --> 00:07:03,730 およそ400件バーチャル解剖が 179 00:07:03,730 --> 00:07:05,420 執り行われました 180 00:07:05,420 --> 00:07:08,750 これが通常のワークフローです 181 00:07:08,750 --> 00:07:10,150 警察は 182 00:07:10,150 --> 00:07:12,570 例えば夕方に 事件が起きたとして 183 00:07:12,570 --> 00:07:15,590 解剖の必要があるかどうか 判断します 184 00:07:15,590 --> 00:07:18,390 そして朝の6時から7時にかけて 185 00:07:18,390 --> 00:07:20,280 袋に包まれた遺体が 186 00:07:20,280 --> 00:07:22,290 私たちのセンターに移送され 187 00:07:22,290 --> 00:07:24,500 CTスキャナーの一つで スキャンされます 188 00:07:24,500 --> 00:07:27,350 病理学者や 時には法医学研究者を伴って 189 00:07:27,350 --> 00:07:29,050 放射線科医が 190 00:07:29,050 --> 00:07:30,670 出力されるデータを確認し 191 00:07:30,670 --> 00:07:32,370 合同で会議を開きます 192 00:07:32,370 --> 00:07:35,770 そして本当の解剖を どのように行うか決めるのです 193 00:07:37,510 --> 00:07:39,000 いくつかの事例のうち 194 00:07:39,000 --> 00:07:41,720 私たちが担当した 初期の事例を紹介します 195 00:07:41,720 --> 00:07:44,570 このようにデータを 本当に詳細に確認できます 196 00:07:44,570 --> 00:07:46,220 とても高解像度です 197 00:07:46,220 --> 00:07:48,390 さらに私たちが考案した アルゴリズムによって 198 00:07:48,390 --> 00:07:50,450 詳細な部分を 拡大をすることが可能です 199 00:07:50,450 --> 00:07:52,420 繰り返しますが 完全にインタラクティブで 200 00:07:52,420 --> 00:07:54,200 このシステムによって リアルタイムで 201 00:07:54,200 --> 00:07:56,470 画像を回転させて 見ることが可能です 202 00:07:56,470 --> 00:07:58,450 こちらの事例の説明は 不要かもしれませんが 203 00:07:58,450 --> 00:08:00,000 これは交通事故です 204 00:08:00,000 --> 00:08:02,290 酔っぱらった運転手が 女性をひきました 205 00:08:02,290 --> 00:08:05,600 骨格の損傷を確認することが とても容易です 206 00:08:05,600 --> 00:08:08,000 死因は首の損傷です 207 00:08:08,000 --> 00:08:10,600 さらに女性は車の下敷きに なってしまったため 208 00:08:10,600 --> 00:08:12,400 その怪我によって体に 209 00:08:12,400 --> 00:08:14,630 重度の損傷を負っています 210 00:08:14,630 --> 00:08:17,410 別の事例を紹介します  刺殺事件です 211 00:08:17,410 --> 00:08:19,730 私たちにできることを この例でも説明します 212 00:08:19,730 --> 00:08:21,960 体内に存在する金属製品を 213 00:08:21,960 --> 00:08:24,310 簡単に確認することができます 214 00:08:24,310 --> 00:08:27,460 歯の中の加工物も 確認できます 215 00:08:27,460 --> 00:08:29,720 これは歯の詰め物です 216 00:08:29,720 --> 00:08:32,490 金属のみを表示し その他は透明にする機能を 217 00:08:32,490 --> 00:08:34,310 設定しています 218 00:08:34,310 --> 00:08:37,310 別の凶悪な事例を紹介します  これは実際の致命傷ではありません 219 00:08:37,310 --> 00:08:39,390 この方は心臓に複数回刺され 死亡しました 220 00:08:39,390 --> 00:08:41,370 しかし犯人はさらにナイフを 221 00:08:41,370 --> 00:08:43,540 片方の眼球に刺した ままにしたのです 222 00:08:43,540 --> 00:08:45,250 別の事例を紹介します 223 00:08:45,250 --> 00:08:47,470 ナイフによる刺殺の事例などを 検証できることは 224 00:08:47,470 --> 00:08:49,830 私たちにとって 大変興味深いものです 225 00:08:49,830 --> 00:08:52,250 ここではナイフが心臓を 突き通しているのが確認できます 226 00:08:52,250 --> 00:08:54,340 空気が一方からもう一方へと 227 00:08:54,340 --> 00:08:56,530 漏れている様子が 簡単に確認できます 228 00:08:56,530 --> 00:08:59,900 通常の解剖ではこのようなことを 確認することは困難です 229 00:08:59,900 --> 00:09:01,000 このように 230 00:09:01,000 --> 00:09:03,000 死因を判断する上で 231 00:09:03,000 --> 00:09:05,160 犯罪捜査に大変有効です 232 00:09:05,160 --> 00:09:08,000 また 捜査を正しい方向へ導き 真の殺人犯を 233 00:09:08,000 --> 00:09:10,250 突き止める場合もあります 234 00:09:10,250 --> 00:09:12,550 これは 私が興味深いと 感じた事例です 235 00:09:12,550 --> 00:09:14,890 弾丸がこの方の脊椎の横に 236 00:09:14,890 --> 00:09:17,450 留まっているのが見えます 237 00:09:17,450 --> 00:09:20,390 この弾丸を光源に 変換することで 238 00:09:20,390 --> 00:09:22,660 弾丸がこれらの破片を光らせて 239 00:09:22,660 --> 00:09:25,210 見つけやすくしています 240 00:09:25,210 --> 00:09:27,400 通常の解剖を行う際に これらの破片を 241 00:09:27,400 --> 00:09:29,530 体内から見つけ出そうとする場合は 242 00:09:29,530 --> 00:09:31,520 実際には大変困難です 243 00:09:33,000 --> 00:09:35,490 今日 皆さんに お見せ出来ることを 244 00:09:35,490 --> 00:09:38,260 嬉しく思っているものの一つが 245 00:09:38,260 --> 00:09:40,300 このバーチャル解剖台です 246 00:09:40,300 --> 00:09:42,430 これは標準のGPUと 247 00:09:42,430 --> 00:09:45,950 今までのアルゴリズムを元に 私たちが開発したタッチデバイスです 248 00:09:45,950 --> 00:09:47,000 実際には 249 00:09:47,000 --> 00:09:50,230 このような形となっています 250 00:09:50,230 --> 00:09:53,220 巨大なiPhoneのように動作します 251 00:09:53,220 --> 00:09:55,000 解剖台上で行える 252 00:09:55,000 --> 00:09:58,000 全てのジェスチャーを 実装しています 253 00:09:58,000 --> 00:10:02,210 巨大なタッチインターフェースと 考えて頂ければと思います 254 00:10:02,210 --> 00:10:04,560 iPadを買おうと考えている方は 255 00:10:04,560 --> 00:10:07,490 忘れてください  これこそ皆さんが欲していたものです 256 00:10:07,490 --> 00:10:10,550 スティーブ あなたがこれを 聞いてくれているといいんですが 257 00:10:11,000 --> 00:10:13,310 という訳で これはとても良い デバイスです 258 00:10:13,310 --> 00:10:15,690 もし機会があれば 是非使ってみてください 259 00:10:15,690 --> 00:10:18,480 実体験して頂くことを お勧めします 260 00:10:18,480 --> 00:10:21,450 注目も集めたことなので 私たちはこれの教育目的の 261 00:10:21,450 --> 00:10:24,010 利用を想定して 製品化を目指しており 262 00:10:24,010 --> 00:10:25,450 将来的には 263 00:10:25,450 --> 00:10:28,340 医療現場での利用も 考えています 264 00:10:28,340 --> 00:10:30,470 バーチャル解剖について 紹介したい場合は 265 00:10:30,470 --> 00:10:32,530 YouTubeに閲覧できる 動画があるので 266 00:10:32,530 --> 00:10:34,800 是非ご利用ください 267 00:10:34,800 --> 00:10:37,000 「触れる」ことについて ご紹介したので 268 00:10:37,000 --> 00:10:39,650 次は本当にデータに 触れることについてお話します 269 00:10:39,650 --> 00:10:41,680 若干SFが入ってきますが 270 00:10:41,680 --> 00:10:44,570 未来のことについて お話します 271 00:10:44,570 --> 00:10:47,370 今は 医師がこれを利用している 訳ではありませんが 272 00:10:47,370 --> 00:10:49,270 将来は 使っていることに 期待しています 273 00:10:49,270 --> 00:10:52,270 左側に見えるのは タッチデバイスです 274 00:10:52,270 --> 00:10:54,270 小さな機械式のペンで 275 00:10:54,270 --> 00:10:57,220 超高速のステッピング・モーターが 内蔵されており 276 00:10:57,220 --> 00:10:59,460 力のフィードバックを 生むことができます 277 00:10:59,460 --> 00:11:01,410 よって データに仮想的に触れると 278 00:11:01,410 --> 00:11:04,360 ペンが力を受け そのフィードバックから 感覚を得られます 279 00:11:04,360 --> 00:11:06,420 このように生きている方の 280 00:11:06,420 --> 00:11:08,420 スキャン画像に対して 281 00:11:08,420 --> 00:11:11,000 ペンを持って データを確認しながら 282 00:11:11,000 --> 00:11:13,220 頭部に向けてペンを動かすと 283 00:11:13,220 --> 00:11:15,400 突如 抵抗力を感じることができます 284 00:11:15,400 --> 00:11:17,410 このように皮膚を 感じることができます 285 00:11:17,410 --> 00:11:19,280 もう少し強く押すと 皮膚を通り抜け 286 00:11:19,280 --> 00:11:22,000 中の骨格を感じることができます 287 00:11:22,000 --> 00:11:24,930 さらに強く押せば 骨格を通り抜け 288 00:11:24,930 --> 00:11:27,420 耳のすぐ近くの 柔らかい骨を通り 289 00:11:27,420 --> 00:11:30,810 ぬるぬるしたような感じで 脳を感じることができます 290 00:11:31,260 --> 00:11:32,870 非常に有効な機能です 291 00:11:32,870 --> 00:11:35,450 これをさらに別の臓器に使うと これが心臓です 292 00:11:35,450 --> 00:11:38,390 新型のスキャナーのおかげで 293 00:11:38,390 --> 00:11:40,000 たった0.3秒で 294 00:11:40,000 --> 00:11:42,370 心臓全体をスキャンすることができます 295 00:11:42,370 --> 00:11:44,460 さらに時間分解が行えるため 296 00:11:44,460 --> 00:11:46,000 心臓を見ながら 297 00:11:46,000 --> 00:11:48,340 動画を再生することが可能です 298 00:11:48,340 --> 00:11:50,100 彼はこのプロジェクトに 取り組んでいる 299 00:11:50,100 --> 00:11:52,000 大学院生の一人で カールヨハンと言います 300 00:11:52,000 --> 00:11:55,220 フィードバックシステムである 触覚装置の前に座りながら 301 00:11:55,220 --> 00:11:57,690 心臓に向けてペンを動かすと 302 00:11:57,690 --> 00:12:00,280 心臓が目の前で拍動しはじめます 303 00:12:00,280 --> 00:12:02,430 どのように心臓が拍動するのか 確認できるのです 304 00:12:02,430 --> 00:12:04,740 ペンをとって 心臓に向けて動かし 305 00:12:04,740 --> 00:12:06,420 心臓の上にペンを置くと 306 00:12:06,420 --> 00:12:09,220 生きた患者の心臓の鼓動を 感じることができ 307 00:12:09,220 --> 00:12:11,330 心臓の動作を確認することができます 308 00:12:11,330 --> 00:12:13,720 心臓の中に移動し 内部を押して 309 00:12:13,720 --> 00:12:16,340 心臓弁の動作を 感じることができます 310 00:12:16,340 --> 00:12:19,940 これこそが 心臓外科医の 将来の姿であると考えます 311 00:12:19,940 --> 00:12:22,000 心臓外科医にとって 312 00:12:22,000 --> 00:12:24,420 患者の心臓の中を 313 00:12:24,420 --> 00:12:26,680 高解像度のデータを元に手術前に 314 00:12:26,680 --> 00:12:29,300 確認するなんて 夢のような話でしょう 315 00:12:29,300 --> 00:12:31,430 非常に素晴らしい構想です 316 00:12:32,620 --> 00:12:35,400 さらにSFに近いものを ご紹介します 317 00:12:35,400 --> 00:12:38,470 機能的MRIについて ご存知でしょうか 318 00:12:38,470 --> 00:12:41,450 これはとても興味深い プロジェクトです 319 00:12:41,450 --> 00:12:43,670 MRIは磁場と ラジオ周波数を利用し 320 00:12:43,670 --> 00:12:45,220 脳や体の 321 00:12:45,220 --> 00:12:48,380 あらゆる部分を スキャンすることができます 322 00:12:48,380 --> 00:12:49,920 これによって 323 00:12:49,920 --> 00:12:52,840 脳の構造についての 情報が得られます 324 00:12:52,840 --> 00:12:54,970 しかし 更にこれを使って 325 00:12:54,970 --> 00:12:57,000 酸素を含む血液と 326 00:12:57,000 --> 00:13:00,430 そうでない血液の磁性の差を 測定することが可能です 327 00:13:00,430 --> 00:13:01,730 これはつまり 328 00:13:01,730 --> 00:13:04,310 脳の活動地図を作ることが 可能なのです 329 00:13:04,310 --> 00:13:06,650 私たちはこれにも 取り組んでいます 330 00:13:06,650 --> 00:13:09,000 ちょうど研究技術者であるモッツが 331 00:13:09,000 --> 00:13:11,290 MRIにゴーグルを着用して 332 00:13:11,290 --> 00:13:13,460 中に入る所をご覧頂いています 333 00:13:13,460 --> 00:13:15,430 これはゴーグルを通して 334 00:13:15,430 --> 00:13:18,690 彼にスキャナーにいながら 映像を見せることができるためです 335 00:13:18,690 --> 00:13:20,510 これは中々ビックリするかもしれません 336 00:13:20,510 --> 00:13:22,850 モッツが実際に見ている映像は これです 337 00:13:22,850 --> 00:13:25,220 彼は自分の脳を見ているのです 338 00:13:25,220 --> 00:13:27,240 モッツはここで何かしていますね 339 00:13:27,240 --> 00:13:29,540 恐らく右手でこういう風にしています 340 00:13:29,540 --> 00:13:31,440 なぜなら左側の運動皮質が 341 00:13:31,440 --> 00:13:33,330 活性化されているからです 342 00:13:33,330 --> 00:13:35,480 彼も同じくその様子を確認できます 343 00:13:35,480 --> 00:13:37,640 このような可視化は 新しい取り組みであり 344 00:13:37,640 --> 00:13:40,390 私たちが少し前から 研究している分野です 345 00:13:40,390 --> 00:13:43,240 これはモッツの脳の別の部分です 346 00:13:43,240 --> 00:13:46,500 彼には 100から逆に 計算するように頼みました 347 00:13:46,500 --> 00:13:48,900 「100 97 94...」とった具合に 348 00:13:48,900 --> 00:13:50,380 計算しています 349 00:13:50,380 --> 00:13:53,280 彼の脳の 計算に関わる 小さな領域が活性化し 350 00:13:53,280 --> 00:13:55,500 脳の全体を光らせているのがわかります 351 00:13:55,500 --> 00:13:57,440 素晴らしい結果です リアルタイムで計測できます 352 00:13:57,440 --> 00:13:59,650 彼に依頼して調査を 行うことが可能です 353 00:13:59,650 --> 00:14:01,370 更に彼の視覚野が 354 00:14:01,370 --> 00:14:03,270 後頭葉で活性化しています 355 00:14:03,270 --> 00:14:05,890 なぜなら自分自身の 脳を見ているからです 356 00:14:05,890 --> 00:14:07,760 また彼は 私たちが 彼に何かをさせるための 357 00:14:07,760 --> 00:14:09,350 命令を聞いています 358 00:14:09,350 --> 00:14:11,650 この信号は脳の奥深くで 発せられていますが 359 00:14:11,650 --> 00:14:13,420 中で光っているのが 確認できます 360 00:14:13,420 --> 00:14:15,550 全てのデータが ここに含まれているからです 361 00:14:15,550 --> 00:14:17,640 ここでは以下のような光景を ご覧頂けます 362 00:14:17,640 --> 00:14:19,550 モッツ 左足を動かしてください 363 00:14:19,550 --> 00:14:21,460 彼はその通りにします 364 00:14:21,460 --> 00:14:23,470 20秒間動かし続けます 365 00:14:23,470 --> 00:14:25,340 するとここが急に光ります 366 00:14:25,340 --> 00:14:27,680 運動皮質が活性化されたことが 確認できます 367 00:14:27,680 --> 00:14:29,390 非常に面白い結果です 368 00:14:29,390 --> 00:14:31,690 これはとても素晴らしい ツールだと思います 369 00:14:31,690 --> 00:14:33,610 そして今までお話しした 内容をまとめると 370 00:14:33,610 --> 00:14:35,300 ニューロンや脳がどのように 371 00:14:35,300 --> 00:14:37,430 機能しているのかを理解する上で 372 00:14:37,430 --> 00:14:39,450 とても使えるツールであると考えます 373 00:14:39,450 --> 00:14:42,210 何より非常に高画質な上 374 00:14:42,210 --> 00:14:44,560 高速に処理できます 375 00:14:45,360 --> 00:14:48,020 さらにセンター内で 少々面白いことも行っています 376 00:14:48,020 --> 00:14:50,980 これはCTスキャンを 撮っているところです 377 00:14:51,670 --> 00:14:53,740 ノルショーピングのはずれにある 378 00:14:53,740 --> 00:14:56,750 コルマルデン動物園の エルサというライオンです 379 00:14:56,750 --> 00:14:58,400 彼女はセンターに来て 380 00:14:58,400 --> 00:15:00,340 鎮静状態にされ 381 00:15:00,340 --> 00:15:02,470 そのままスキャナー内に 運び込まれました 382 00:15:02,470 --> 00:15:05,270 その後 ライオンの 全データを取得しました 383 00:15:05,270 --> 00:15:07,360 このようなライオンの画像に対して 384 00:15:07,360 --> 00:15:09,330 レイヤーを剥ぎ取っていき 385 00:15:09,330 --> 00:15:11,210 内部を確認していきます 386 00:15:11,210 --> 00:15:13,230 このようにして検証を行ってきました 387 00:15:13,230 --> 00:15:15,250 このテクノロジーの未来において 388 00:15:15,250 --> 00:15:17,300 大変優れたアプリだと思います 389 00:15:17,300 --> 00:15:20,470 なぜなら 動物解剖学については 未知の部分も多く 390 00:15:20,470 --> 00:15:23,620 獣医に知られているのは 基本的な知識に限られているからです 391 00:15:23,620 --> 00:15:25,230 あらゆる動物をはじめ 392 00:15:25,230 --> 00:15:27,210 あらゆるものをスキャンできます 393 00:15:27,210 --> 00:15:30,310 唯一の問題は機械の中に 入れることくらいです 394 00:15:30,310 --> 00:15:32,150 これは熊です 395 00:15:32,150 --> 00:15:34,270 機械に入れるのに苦労しました 396 00:15:34,270 --> 00:15:37,330 熊は非常にかわいらしい 友好的な動物です 397 00:15:37,330 --> 00:15:40,410 これは 熊の鼻の部分です 398 00:15:40,410 --> 00:15:43,190 抱きしめたくなるでしょう 399 00:15:43,190 --> 00:15:46,000 機能を変更して これを見るまでは 400 00:15:46,000 --> 00:15:48,320 熊には注意しましょう 401 00:15:48,320 --> 00:15:50,000 以上をもって 402 00:15:50,000 --> 00:15:52,150 これらの画像の生成を 手伝って頂いた 403 00:15:52,150 --> 00:15:54,330 全ての方々に 感謝したいと思います 404 00:15:54,330 --> 00:15:56,630 データの収集やアルゴリズムの開発 405 00:15:56,630 --> 00:15:59,000 全てのソフトウェアを作り上げるまでに 406 00:15:59,000 --> 00:16:01,530 非常に多くの労力がかかっています 407 00:16:01,530 --> 00:16:04,000 非常に能力のある方々のおかげです 408 00:16:04,000 --> 00:16:07,500 私のモットーは 自分よりも頭の良い人達を雇うことです 409 00:16:07,500 --> 00:16:09,530 多くは私より頭が良い方々ばかりです 410 00:16:09,530 --> 00:16:11,000 ありがとうございました 411 00:16:11,000 --> 00:16:15,000 (拍手)