1 00:00:02,000 --> 00:00:04,000 その通りだとうなずける一節があります 2 00:00:04,000 --> 00:00:07,000 12年ぐらい前にこれを言い始めたときは 3 00:00:07,000 --> 00:00:10,000 途上国の話だったのですが 4 00:00:10,000 --> 00:00:12,000 ここにいる皆さんは 5 00:00:12,000 --> 00:00:15,000 世界各国からお越しのようですね 6 00:00:15,000 --> 00:00:18,000 自国の地図を頭に浮かべてください 7 00:00:18,000 --> 00:00:20,000 お気づきになると思います 8 00:00:20,000 --> 00:00:22,000 地球上のどの国にも 9 00:00:22,000 --> 00:00:24,000 あてはまる場所があります 10 00:00:24,000 --> 00:00:27,000 「優秀な教師の行きたがらない地域がある」 11 00:00:28,000 --> 00:00:30,000 そんな場所は 12 00:00:30,000 --> 00:00:33,000 問題の起きる地域でもあるのです 13 00:00:33,000 --> 00:00:35,000 だから皮肉にも 14 00:00:35,000 --> 00:00:37,000 優秀な教師というのは 15 00:00:37,000 --> 00:00:40,000 最も必要とされる地域に行きたがりません 16 00:00:40,000 --> 00:00:43,000 この問題に取り組むために 17 00:00:43,000 --> 00:00:46,000 1999年からインドのニューデリーで 18 00:00:46,000 --> 00:00:49,000 とても簡単な実験を始めました 19 00:00:51,000 --> 00:00:54,000 端的にいえば ニューデリーのスラム街で 20 00:00:54,000 --> 00:00:57,000 コンピューターを壁に埋め込んだのです 21 00:00:58,000 --> 00:01:01,000 子どもたちは学校に通えないので英語を話せません 22 00:01:01,000 --> 00:01:03,000 コンピューターを見たこともなく 23 00:01:03,000 --> 00:01:06,000 インターネットなど知りもしません 24 00:01:06,000 --> 00:01:09,000 これに高速のネット回線をつなげて 25 00:01:09,000 --> 00:01:11,000 1メートルの高さに設置して 26 00:01:11,000 --> 00:01:13,000 電源を入れておいたところ 27 00:01:13,000 --> 00:01:16,000 後でお話しする興味深い結果が得られました 28 00:01:16,000 --> 00:01:19,000 インドのいたるところで試して 29 00:01:19,000 --> 00:01:21,000 その後で 30 00:01:21,000 --> 00:01:23,000 世界中で試してみました 31 00:01:23,000 --> 00:01:25,000 そして気づいたのです 32 00:01:25,000 --> 00:01:27,000 子どもたちは 33 00:01:27,000 --> 00:01:30,000 やり方を知りたいと思うと それを学習するのです 34 00:01:30,000 --> 00:01:32,000 こちらは初めて実験したときの映像で 35 00:01:32,000 --> 00:01:34,000 右にいる8歳の少年が 36 00:01:34,000 --> 00:01:37,000 6歳の少女に 37 00:01:37,000 --> 00:01:40,000 ブラウザの操作を教えています 38 00:01:41,000 --> 00:01:44,000 こちらは中央インドの中部にいた少年 39 00:01:45,000 --> 00:01:47,000 こちらはラージャスターン村です 40 00:01:47,000 --> 00:01:50,000 子どもたちは自分たちの音楽を録音して 41 00:01:50,000 --> 00:01:53,000 再生し合ったりして 42 00:01:53,000 --> 00:01:55,000 そんなことをしながら 43 00:01:55,000 --> 00:01:57,000 すっかり夢中になりました 44 00:01:57,000 --> 00:01:59,000 初めてコンピューターを目にしてから 45 00:01:59,000 --> 00:02:02,000 4時間で一通りできるようになりました 46 00:02:02,000 --> 00:02:05,000 南インドにある別の村では 47 00:02:05,000 --> 00:02:07,000 少年たちが 48 00:02:07,000 --> 00:02:09,000 ビデオカメラを組み立てて 49 00:02:09,000 --> 00:02:11,000 マルハナバチを撮影しようとしていました 50 00:02:11,000 --> 00:02:13,000 ディズニーのサイトなどから 51 00:02:13,000 --> 00:02:15,000 ダウンロードしたものです 52 00:02:15,000 --> 00:02:18,000 村にコンピューターを設置して14日目のことでした 53 00:02:21,000 --> 00:02:23,000 このようなことから 54 00:02:23,000 --> 00:02:25,000 コンピューターの操作やウェブサイトの見方は 55 00:02:25,000 --> 00:02:28,000 子どもたちが自分で学習できるという結論に至りました 56 00:02:28,000 --> 00:02:30,000 誰にでも可能で 57 00:02:30,000 --> 00:02:33,000 住む場所も関係ありません 58 00:02:33,000 --> 00:02:36,000 これで 少し期待が湧きましたので 59 00:02:36,000 --> 00:02:39,000 コンピューターを使って子どもたちが 60 00:02:39,000 --> 00:02:42,000 何か別のことを出来るか調べることにしました 61 00:02:42,000 --> 00:02:45,000 まずは インドのハイデラバードで 62 00:02:45,000 --> 00:02:48,000 かなりテルグ語なまりの強い英語を話す子どもたちに 63 00:02:48,000 --> 00:02:51,000 あるコンピューターを使ってもらいました 64 00:02:51,000 --> 00:02:53,000 このコンピューターには 65 00:02:53,000 --> 00:02:55,000 ウィンドウズに添付されているような 66 00:02:55,000 --> 00:02:58,000 音声テキスト化機能が付いていますので 67 00:02:58,000 --> 00:03:00,000 話し声を入力してもらいました 68 00:03:00,000 --> 00:03:02,000 ただ 話し声を入力しても 69 00:03:02,000 --> 00:03:04,000 無意味な文字列が表示されるので 70 00:03:04,000 --> 00:03:06,000 「何言っても認識しない」と言うのですが 71 00:03:06,000 --> 00:03:08,000 私は「2カ月置いておくから 72 00:03:08,000 --> 00:03:10,000 君たちの話をコンピューターに 73 00:03:10,000 --> 00:03:12,000 理解させてね」とお願いしました 74 00:03:12,000 --> 00:03:14,000 「どうやるの?」と子どもたちが聞くので 75 00:03:14,000 --> 00:03:16,000 こう返しました 76 00:03:16,000 --> 00:03:18,000 「分からないよ」 77 00:03:18,000 --> 00:03:20,000 (笑) 78 00:03:20,000 --> 00:03:22,000 そのまま立ち去りました 79 00:03:22,000 --> 00:03:24,000 (笑) 80 00:03:25,000 --> 00:03:27,000 2カ月後の結果は 81 00:03:27,000 --> 00:03:29,000 「情報技術と国際開発」という 82 00:03:29,000 --> 00:03:31,000 学術誌にすでに 83 00:03:31,000 --> 00:03:33,000 掲載されているのですが 84 00:03:33,000 --> 00:03:35,000 なまりに変化がありました 85 00:03:35,000 --> 00:03:38,000 音声テキスト化ソフトの設定に使った 86 00:03:38,000 --> 00:03:41,000 くせのないイギリス式の発音にすごく近かったのです 87 00:03:41,000 --> 00:03:44,000 皆が教育学者ジェイムス トゥーリーみたいに話すのです 88 00:03:44,000 --> 00:03:46,000 (笑) 89 00:03:46,000 --> 00:03:48,000 それを自分たちの力でやったのです 90 00:03:48,000 --> 00:03:50,000 このあと 91 00:03:50,000 --> 00:03:52,000 子どもたちが自分で学習できそうなことを 92 00:03:52,000 --> 00:03:54,000 他にも色々と試し始めました 93 00:03:54,000 --> 00:03:57,000 コロンビアから電話を受けて驚いたことがありました 94 00:03:57,000 --> 00:03:59,000 亡きアーサー C クラーク氏からでした 95 00:03:59,000 --> 00:04:01,000 「何をやっているのか見たい」 96 00:04:01,000 --> 00:04:04,000 と言うのです 彼は遠出できないので 私が行きました 97 00:04:04,000 --> 00:04:06,000 二つおもしろいことを言っていました 98 00:04:06,000 --> 00:04:11,000 「機械で替えがきく教師は 替えるべきだ」 99 00:04:11,000 --> 00:04:13,000 (笑) 100 00:04:13,000 --> 00:04:15,000 そして 101 00:04:15,000 --> 00:04:17,000 「子どもたちが興味を抱いたとき 102 00:04:17,000 --> 00:04:20,000 そこに教育が生まれる」 103 00:04:20,000 --> 00:04:22,000 現場でそれを目にするたびに 104 00:04:22,000 --> 00:04:24,000 彼のことを思い出します 105 00:04:24,000 --> 00:04:27,000 (ビデオ) 「これは間違いなく 106 00:04:27,000 --> 00:04:29,000 人の役にたちますよ 107 00:04:29,000 --> 00:04:31,000 子どもたちは やり方をすぐ理解して 108 00:04:31,000 --> 00:04:34,000 夢中になって面白いことを探しますからね 109 00:04:34,000 --> 00:04:37,000 興味を持てれば 教育を受けているのと同じことです」 110 00:04:37,000 --> 00:04:40,000 南アフリカでもこの実験をやってみました 111 00:04:40,000 --> 00:04:42,000 こちらは15歳の少年です 112 00:04:42,000 --> 00:04:45,000 (ビデオ) 「ゲームをやってるんだ 113 00:04:45,000 --> 00:04:48,000 動物なんかのね 114 00:04:48,000 --> 00:04:51,000 あと 音楽を聴いたりするよ」 115 00:04:51,000 --> 00:04:53,000 「メールは送った?」と聞いたら 116 00:04:53,000 --> 00:04:56,000 「うん 海の向こうまで届いたよ」と言ってました 117 00:04:57,000 --> 00:04:59,000 こちらはカンボジアの様子です 118 00:04:59,000 --> 00:05:02,000 カンボジアでも田舎の方です 119 00:05:02,000 --> 00:05:05,000 はっきり言って つまらない算数ゲームをやっています 120 00:05:05,000 --> 00:05:07,000 教室や家ならやろうとしないでしょうし 121 00:05:07,000 --> 00:05:09,000 「つまらないよ」と 122 00:05:09,000 --> 00:05:11,000 投げ返してくるはずです 123 00:05:11,000 --> 00:05:13,000 でも 道端に設置して 124 00:05:13,000 --> 00:05:15,000 大人がどこかに行ってしまえば 125 00:05:15,000 --> 00:05:17,000 子どもたちはお互いに 126 00:05:17,000 --> 00:05:19,000 できることを自慢するのです 127 00:05:19,000 --> 00:05:21,000 こちらは子どもたちが操作しているところです 128 00:05:21,000 --> 00:05:24,000 おそらく掛け算をやろうとしているのでしょう 129 00:05:24,000 --> 00:05:26,000 インドの全域で 130 00:05:26,000 --> 00:05:28,000 2年ほど試すと その終盤には 131 00:05:28,000 --> 00:05:31,000 子どもたちが宿題でグーグル検索を使い出したので 132 00:05:31,000 --> 00:05:33,000 教師がこう言っていました 133 00:05:33,000 --> 00:05:35,000 「英語力が飛躍的に伸びた」 134 00:05:35,000 --> 00:05:39,000 (笑) 135 00:05:39,000 --> 00:05:41,000 「なにもかも急速に伸びた」 136 00:05:41,000 --> 00:05:44,000 「何事も実に深く考察するようになった」 137 00:05:44,000 --> 00:05:47,000 (笑) 138 00:05:47,000 --> 00:05:49,000 たしかに そうなのです 139 00:05:49,000 --> 00:05:51,000 グーグルを調べて分かるなら 140 00:05:51,000 --> 00:05:54,000 知識を詰め込む必要はないのです 141 00:05:55,000 --> 00:05:57,000 次の4年間の終盤には 142 00:05:57,000 --> 00:06:00,000 子どもたちはインターネットを使いこなして 143 00:06:00,000 --> 00:06:03,000 自分で教材を見つけ出せることが分かりました 144 00:06:03,000 --> 00:06:05,000 そのころ 英国のニューカッスル大学では 145 00:06:05,000 --> 00:06:07,000 インドの学校教育を改善するために 146 00:06:07,000 --> 00:06:10,000 莫大な資金が集まりました 147 00:06:10,000 --> 00:06:13,000 大学からの電話に「デリーでやるよ」と答えたら 148 00:06:13,000 --> 00:06:15,000 「デリーにいながら 149 00:06:15,000 --> 00:06:18,000 100万ポンドもの大学の資金を運用するなんて 150 00:06:18,000 --> 00:06:20,000 無理だよ」と言われました 151 00:06:20,000 --> 00:06:22,000 ですから 2006年には 152 00:06:22,000 --> 00:06:24,000 厚手のコートを自分で買って 153 00:06:24,000 --> 00:06:26,000 ニューカッスルに移りました 154 00:06:27,000 --> 00:06:29,000 私は このシステムの 155 00:06:29,000 --> 00:06:31,000 限界を知りたかったのです 156 00:06:31,000 --> 00:06:33,000 ニューカッスルでの最初の実験は 157 00:06:33,000 --> 00:06:35,000 インドでやったものと同じですが 158 00:06:35,000 --> 00:06:38,000 不可能に思える目標を立てました 159 00:06:38,000 --> 00:06:41,000 「南インドの村に住んで 160 00:06:41,000 --> 00:06:43,000 タミル語を話している 161 00:06:43,000 --> 00:06:46,000 12歳の子どもたちが 162 00:06:46,000 --> 00:06:48,000 バイオテクノロジーを 163 00:06:48,000 --> 00:06:50,000 英語で自習できるだろうか?」 164 00:06:50,000 --> 00:06:53,000 こう予測していました「テストは0点 165 00:06:53,000 --> 00:06:55,000 コンピューターを渡して また戻ってきてテスト 166 00:06:55,000 --> 00:06:57,000 また0点 167 00:06:57,000 --> 00:07:01,000 "ある学習には教師が必要だ"と報告だな」 168 00:07:01,000 --> 00:07:03,000 26人の子どもたちを集めました 169 00:07:03,000 --> 00:07:05,000 そこでこう話したのです 170 00:07:05,000 --> 00:07:07,000 「とても難しい内容だよ 171 00:07:07,000 --> 00:07:10,000 誰も理解できなくても驚かないよ すべて英語だし」 172 00:07:10,000 --> 00:07:13,000 そう言って立ち去りました 173 00:07:13,000 --> 00:07:15,000 (笑) 174 00:07:15,000 --> 00:07:17,000 コンピューターを子どもたちに残して 175 00:07:17,000 --> 00:07:19,000 2カ月後に戻ってみると 176 00:07:19,000 --> 00:07:21,000 26人の子どもがとても静かに集まってきて 177 00:07:21,000 --> 00:07:24,000 「何か見てみた?」と聞いたら 178 00:07:24,000 --> 00:07:26,000 「見たよ」と答えたので 179 00:07:26,000 --> 00:07:29,000 「何か分かった?」と聞いたら「なんにも」というのです 180 00:07:29,000 --> 00:07:31,000 そこで私が 181 00:07:31,000 --> 00:07:33,000 「何も分からないと判断するまでに 182 00:07:33,000 --> 00:07:35,000 どれくらいの期間やったの?」と聞いたら 183 00:07:35,000 --> 00:07:38,000 「毎日見てたよ」と答えます 184 00:07:38,000 --> 00:07:40,000 「2カ月見て何も?」と聞いたら 185 00:07:40,000 --> 00:07:42,000 12歳の少女が手を挙げて 186 00:07:42,000 --> 00:07:44,000 実際にこう言いました 187 00:07:45,000 --> 00:07:48,000 「DNA分子の不適切な複製で遺伝子疾患が起きる 188 00:07:48,000 --> 00:07:50,000 ということ以外は 189 00:07:50,000 --> 00:07:52,000 何も分からないの」 190 00:07:52,000 --> 00:07:54,000 (笑) 191 00:07:54,000 --> 00:08:01,000 (拍手) 192 00:08:01,000 --> 00:08:04,000 (笑) 193 00:08:04,000 --> 00:08:06,000 これを発表するまで3年かかりました 194 00:08:06,000 --> 00:08:09,000 ちょうど学会誌に掲載されたところです 195 00:08:09,000 --> 00:08:12,000 論文を査読した人は 196 00:08:12,000 --> 00:08:15,000 「本当にしてはできすぎだ」なんて言っていました 197 00:08:15,000 --> 00:08:17,000 残念な発言です 198 00:08:17,000 --> 00:08:19,000 自分で勉強した一人の女の子が 199 00:08:19,000 --> 00:08:21,000 先生の役をしていました 200 00:08:21,000 --> 00:08:23,000 ここにいるのがその子です 201 00:08:31,000 --> 00:08:33,000 確認しますが 英語学習ではありません 202 00:08:46,000 --> 00:08:49,000 編集で切ったのですが「ニューロンはどこ?」と聞いたら 203 00:08:49,000 --> 00:08:51,000 この子は「ニューロン?ニューロン?」 204 00:08:51,000 --> 00:08:54,000 と言って目を動かして頭を指しました 205 00:08:54,000 --> 00:08:57,000 あまり品のいい仕草ではありません 206 00:08:57,000 --> 00:09:00,000 子どもたちのテスト結果は0%から30%へと良くなりました 207 00:09:00,000 --> 00:09:03,000 このような地域ではありえない教育結果です 208 00:09:03,000 --> 00:09:06,000 でも30%で合格ではありません 209 00:09:06,000 --> 00:09:08,000 子どもたちが一緒にサッカーをする 210 00:09:08,000 --> 00:09:10,000 地元の若い女性会計士がいることを知って 211 00:09:10,000 --> 00:09:12,000 その女性にこんなお願いをしてみました 212 00:09:12,000 --> 00:09:14,000 「合格点を出せるぐらいまでこの子たちに 213 00:09:14,000 --> 00:09:16,000 バイオテクノロジーを教えてくれませんか?」と 214 00:09:16,000 --> 00:09:18,000 「どうするの?何も分からないのに」と聞くので 215 00:09:18,000 --> 00:09:20,000 「お婆ちゃんになって」と言いました 216 00:09:20,000 --> 00:09:22,000 「どういうこと?」と彼女が尋ねるので 217 00:09:22,000 --> 00:09:24,000 こう教えてあげました 218 00:09:24,000 --> 00:09:26,000 「子どもたちの後ろに立って 219 00:09:26,000 --> 00:09:29,000 子どもたちを励まし続けるんだ 220 00:09:29,000 --> 00:09:31,000 "いいね" "すごいね" とか言ったり 221 00:09:31,000 --> 00:09:34,000 "それ何?" "もう一度" "もっと見せて" とか言うんだよ」 222 00:09:34,000 --> 00:09:36,000 その女性が2カ月間続けると 223 00:09:36,000 --> 00:09:38,000 テスト結果は50%まで良くなりました 224 00:09:38,000 --> 00:09:40,000 バイオテクノロジーに詳しい教師がいる 225 00:09:40,000 --> 00:09:43,000 ニューデリーの上流階級の学校の生徒が取る点数です 226 00:09:43,000 --> 00:09:45,000 この結果をたずさえて 227 00:09:45,000 --> 00:09:47,000 ニューカッスルに戻りまして 228 00:09:47,000 --> 00:09:49,000 この地でも 229 00:09:49,000 --> 00:09:51,000 間違いなく真剣に取り組むべきことが 230 00:09:51,000 --> 00:09:54,000 起きていると考えました 231 00:09:55,000 --> 00:09:58,000 遠く離れたいろいろな地域を経験してきましたが 232 00:09:58,000 --> 00:10:01,000 私には一番遠く感じる地域にやってきました 233 00:10:01,000 --> 00:10:03,000 (笑) 234 00:10:04,000 --> 00:10:07,000 デリーから約8000キロ離れた 235 00:10:07,000 --> 00:10:09,000 ゲーツヘッドという英国の小さな町です 236 00:10:09,000 --> 00:10:12,000 ゲーツヘッドでは 32人の子どもたちを集めて 237 00:10:12,000 --> 00:10:15,000 これまでの手法に手直しを加えました 238 00:10:15,000 --> 00:10:18,000 子どもたちを四つのグループに分けて説明しました 239 00:10:18,000 --> 00:10:20,000 「どのグループに入るか自分で決めよう 240 00:10:20,000 --> 00:10:23,000 グループごとに1台のPCを使ってね 4台じゃないよ 241 00:10:23,000 --> 00:10:26,000 後ろで監視しているから ズルしちゃ駄目だ 242 00:10:26,000 --> 00:10:28,000 グループを替わるのもよし 243 00:10:28,000 --> 00:10:30,000 グループに合わないとか思ったら 244 00:10:30,000 --> 00:10:32,000 グループを渡り歩いてもいいよ 245 00:10:32,000 --> 00:10:35,000 他のグループの作業を肩越しにのぞいて 246 00:10:35,000 --> 00:10:38,000 自分のグループに戻って自分の手柄にしてもよし」 247 00:10:38,000 --> 00:10:40,000 さらにこう付け加えました 248 00:10:40,000 --> 00:10:43,000 「科学技術の研究ではそうすることが多いんだよ」 249 00:10:43,000 --> 00:10:45,000 (笑) 250 00:10:45,000 --> 00:10:50,000 (拍手) 251 00:10:52,000 --> 00:10:54,000 子どもたちは熱心に聞いてきます 252 00:10:54,000 --> 00:10:56,000 「なにをしたらいいの?」と 253 00:10:56,000 --> 00:10:59,000 そこで中等教育卒業資格試験から6問を出題しました 254 00:10:59,000 --> 00:11:01,000 一つ目のグループは一番優秀で 255 00:11:01,000 --> 00:11:03,000 20分で全部解きました 256 00:11:03,000 --> 00:11:06,000 最下位のグループは45分かかりました 257 00:11:06,000 --> 00:11:08,000 子どもたちは ニュースグループや 258 00:11:08,000 --> 00:11:10,000 グーグル、ウィキペデア、Ask Jeevesなど 259 00:11:10,000 --> 00:11:12,000 知る限りの手段を使いました 260 00:11:12,000 --> 00:11:15,000 「これが知識を深める学習?」と教師が尋ねるのですが 261 00:11:15,000 --> 00:11:17,000 私が言ったのは「試してみてください 262 00:11:17,000 --> 00:11:19,000 2カ月後に戻ってきて 263 00:11:19,000 --> 00:11:21,000 ペーパーテストを受けさせます 264 00:11:21,000 --> 00:11:23,000 コンピューターの使用や相談などは無しです」 265 00:11:23,000 --> 00:11:25,000 コンピューターを使ってグループで解くと 266 00:11:25,000 --> 00:11:27,000 平均76%の正答率でした 267 00:11:27,000 --> 00:11:29,000 2カ月たって 268 00:11:29,000 --> 00:11:32,000 テストを実施してみると 269 00:11:32,000 --> 00:11:35,000 76%という結果ができました 270 00:11:35,000 --> 00:11:37,000 子どもたちが頭の中で 271 00:11:37,000 --> 00:11:39,000 鮮明に思い出したのではないでしょうか 272 00:11:39,000 --> 00:11:42,000 お互いに議論した結果だと思います 273 00:11:42,000 --> 00:11:44,000 1台のコンピュータを一人で使う子には 274 00:11:44,000 --> 00:11:46,000 そんなことはできません 275 00:11:46,000 --> 00:11:48,000 さらには 276 00:11:48,000 --> 00:11:50,000 まったく信じがたいことに 277 00:11:50,000 --> 00:11:52,000 時間とともに点数が良くなりました 278 00:11:52,000 --> 00:11:54,000 教師の話では 279 00:11:54,000 --> 00:11:56,000 子どもたちが放課後も 280 00:11:56,000 --> 00:11:59,000 グーグル検索を続けていたおかげのようです 281 00:11:59,000 --> 00:12:01,000 実験後に 282 00:12:01,000 --> 00:12:03,000 ここイギリスでも 283 00:12:03,000 --> 00:12:05,000 お婆ちゃん役を募集しました 284 00:12:05,000 --> 00:12:07,000 そうしたら 285 00:12:07,000 --> 00:12:09,000 イギリスのお婆ちゃんはとても精力的で 286 00:12:09,000 --> 00:12:11,000 200人のボランティアがすぐに集まりました 287 00:12:11,000 --> 00:12:13,000 (笑) 288 00:12:13,000 --> 00:12:16,000 してもらったことは 289 00:12:16,000 --> 00:12:18,000 一週間に一度 290 00:12:18,000 --> 00:12:20,000 家で座ったまま 291 00:12:20,000 --> 00:12:22,000 1時間インターネットをすること 292 00:12:22,000 --> 00:12:24,000 これをやってもらいました 293 00:12:24,000 --> 00:12:26,000 この2年 294 00:12:26,000 --> 00:12:28,000 600時間を超える教育が 295 00:12:28,000 --> 00:12:30,000 スカイプを通じて実施されました 296 00:12:30,000 --> 00:12:33,000 子どもたちはお婆ちゃんネットと呼んでいました 297 00:12:33,000 --> 00:12:36,000 お婆ちゃんネットはどこか向こうにありますが 298 00:12:36,000 --> 00:12:39,000 どんな学校にもお婆ちゃんを映し出すことができます 299 00:12:45,000 --> 00:12:47,000 「僕を捕まえることはできないさ」 300 00:12:47,000 --> 00:12:50,000 「繰り返してね」 301 00:12:50,000 --> 00:12:53,000 「僕を捕まえることはできないさ」 302 00:12:53,000 --> 00:12:56,000 (子)「僕を捕まえることはできないさ」 303 00:12:56,000 --> 00:12:59,000 「僕はジンジャーブレッドマンだ」 304 00:12:59,000 --> 00:13:01,000 (子)「僕はジンジャーブレッドマンだ」 305 00:13:01,000 --> 00:13:03,000 「いいわ よくできましたね」 306 00:13:09,000 --> 00:13:11,000 ゲーツヘッドに戻りますと 307 00:13:11,000 --> 00:13:13,000 10歳の女の子が15分で 308 00:13:13,000 --> 00:13:15,000 ヒンドゥー教を深くまで調べました 309 00:13:15,000 --> 00:13:18,000 私が全く知らない知識です 310 00:13:21,000 --> 00:13:23,000 TEDトークを見ている子が二人いました 311 00:13:23,000 --> 00:13:25,000 サッカー選手になりたがっていたのに 312 00:13:25,000 --> 00:13:27,000 TEDトークを8本見たあとでは 313 00:13:27,000 --> 00:13:30,000 レオナルド ダ ビンチになりたいと言っていました 314 00:13:30,000 --> 00:13:33,000 (笑) 315 00:13:33,000 --> 00:13:36,000 (拍手) 316 00:13:36,000 --> 00:13:38,000 とても分かりやすい例です 317 00:13:38,000 --> 00:13:40,000 今このようなものをつくっています 318 00:13:40,000 --> 00:13:43,000 自己学習環境 SOLEといいます 319 00:13:43,000 --> 00:13:45,000 ここの設備を使えば 320 00:13:45,000 --> 00:13:48,000 子どもたちが大きな画面の前に座って 321 00:13:48,000 --> 00:13:51,000 高速でネットを利用でき もちろんグループで利用します 322 00:13:51,000 --> 00:13:54,000 必要なときにお婆ちゃんネットを利用できます 323 00:13:54,000 --> 00:13:56,000 こちらはニューカッスルにあるSOLEです 324 00:13:56,000 --> 00:13:58,000 インドのある人が協力してくれました 325 00:13:58,000 --> 00:14:01,000 最後に1つだけ少しお話しして終わりにしましょう 326 00:14:01,000 --> 00:14:04,000 5月にイタリアのトリノを訪れたとき 327 00:14:05,000 --> 00:14:08,000 10歳の児童のグループから教師を引き離ました 328 00:14:09,000 --> 00:14:12,000 私は英語だけ 子どもはイタリア語だけを話しますから 329 00:14:12,000 --> 00:14:14,000 会話するすべがありませんでした 330 00:14:14,000 --> 00:14:17,000 黒板に英語で質問を書き始めると それを見て 331 00:14:18,000 --> 00:14:20,000 「何それ?」と子どもたちが聞くので 332 00:14:20,000 --> 00:14:22,000 「とりあえずやってみよう」と言いました 333 00:14:22,000 --> 00:14:25,000 子どもたちはグーグルに入力してイタリア語に翻訳し 334 00:14:25,000 --> 00:14:27,000 イタリア語のグーグルに戻って 335 00:14:27,000 --> 00:14:30,000 15分たつと ... 336 00:14:37,000 --> 00:14:40,000 次の質問は「カルカッタはどこにある?」 337 00:14:42,000 --> 00:14:45,000 これには10分しかかかりませんでした 338 00:14:49,000 --> 00:14:52,000 そこでかなり難しい質問を出しました 339 00:14:52,000 --> 00:14:55,000 「Pythagorasは誰? 何をした人?」 340 00:14:57,000 --> 00:14:59,000 しばらく静かになったあとで 341 00:14:59,000 --> 00:15:01,000 「先生 スペルが違うよ 342 00:15:01,000 --> 00:15:04,000 Petagorasだよ」と子供たちが言いました 343 00:15:08,000 --> 00:15:10,000 それから20分がたって 344 00:15:10,000 --> 00:15:12,000 直角三角形が画面に 345 00:15:12,000 --> 00:15:14,000 表示されるようになりました 346 00:15:14,000 --> 00:15:17,000 それを見て背筋がゾクゾクしました 347 00:15:17,000 --> 00:15:19,000 10歳の子どもですよ 348 00:15:32,000 --> 00:15:35,000 「あと30分で相対性理論を知ったかも さらに ...」 349 00:15:35,000 --> 00:15:37,000 (笑) 350 00:15:37,000 --> 00:15:46,000 (拍手) 351 00:15:46,000 --> 00:15:48,000 なにが起きたのでしょう? 352 00:15:48,000 --> 00:15:50,000 自己学習システムを 353 00:15:50,000 --> 00:15:52,000 まさに手にしたところなのです 354 00:15:52,000 --> 00:15:54,000 自己学習システムは 355 00:15:54,000 --> 00:15:56,000 外部から明確な介入を受けずに 356 00:15:56,000 --> 00:15:59,000 その仕組みを構築するものです 357 00:15:59,000 --> 00:16:02,000 さらに自己学習システムでは常に創発がみられます 358 00:16:02,000 --> 00:16:04,000 つまり予期していないことを 359 00:16:04,000 --> 00:16:06,000 このシステムが実行し始めるのです 360 00:16:06,000 --> 00:16:08,000 一見不可能に見えるから 361 00:16:08,000 --> 00:16:11,000 皆さんはそんな反応をされるのでしょうが 362 00:16:11,000 --> 00:16:14,000 現段階で私のように推測することは可能だと思います 363 00:16:14,000 --> 00:16:16,000 教育は自己学習システムです 364 00:16:16,000 --> 00:16:18,000 そこでは学習が創発的現象なのです 365 00:16:18,000 --> 00:16:20,000 実験的に証明するには数年かかるでしょうが 366 00:16:20,000 --> 00:16:22,000 やってみるつもりです 367 00:16:22,000 --> 00:16:25,000 今の所 こう考えています 368 00:16:25,000 --> 00:16:28,000 子ども10億人に対して関係者1億人が必要です 369 00:16:28,000 --> 00:16:30,000 地球上にはもっとたくさんいるでしょう 370 00:16:30,000 --> 00:16:32,000 SOLEは1000万台必要です 371 00:16:32,000 --> 00:16:35,000 1800億ドルと10年の期間が必要です 372 00:16:36,000 --> 00:16:38,000 きっとすべてを変えられることでしょう 373 00:16:38,000 --> 00:16:40,000 ありがとうございました 374 00:16:40,000 --> 00:16:51,000 (拍手)