ある種の昆虫はどうして 池の表面を歩くことができるのでしょうか? でもあなたが水面を歩こうとすると すぐ底に沈んでしまいます 池はなぜ冬に表面から 凍っていくのでしょうか? 答えを一言でいえば 極性です 水は酸素原子1つと 水素原子2つからなる 単純な分子ですが それは 生命に欠かせません 事実 水は 大人の体重の60%を占めます 分子内の極性は 水という ありふれた物質に 独特でかつ 生命を維持する特性を 与えています 極性とは1つの分子内での 電子の不均等な配分を意味します 水では酸素原子1つと 水素原子2つが 1つの水の分子の中で 堅強なフットボール選手と可愛らしい幼児の 綱引きのように結合しています 酸素原子は水素より大きく 核には より多くの陽子を持っています このような正電荷は人の 身体的な強さのようなものです 正の電荷をもった陽子は 結合中の電荷をもった 電子を引きつけます それは綱引きで力の強い人が 力の弱い人を圧倒するようにです 酸素は 公平な配分以上の電子を引き寄せます それは水素が小さくて弱く 陽子の数も少なく 綱引きに負けて 公平な配分以下の電子しか 引き寄せられないからです ですから 酸素は水の中で負に帯電し 水素は正に帯電しています 水の1分子中の結合は 極性共有結合と呼ばれます 共有とは 電子を共有するという意味です しかし先ほど学んだように 極性とは電子が均等に 共有されていないことを意味します 水では酸素が負に荷電し 水素は正に帯電したものとして 作用します 負と正は互いを引きつけるので 酸素は近くにある水分子内の 水素原子に引きつけられます 水分子同士の このタイプの結合は 水素結合と呼ばれます 水素結合は水の中に限って 起こるのではありません 水分子とその他の物質― 極性を有するかイオン化した 物質との間でも起こります 水同士が結合する能力を凝集力と言い 一方 水が他の物質と結合する能力を 接着力と呼びます では元の質問に戻りましょう 昆虫はなぜ水面を歩く事ができるのでしょうか 水素結合によって生じた表面張力が 水面に薄い膜を張り それが抵抗力を与え 極軽い昆虫が歩く事ができます しかしあなたは歩けません 水素結合はあなたを支えるほど 強くはないからです なぜ氷は水に浮くのでしょう ほとんどの物質では 固体は液体より密度が高いですが 水の場合は違います! 氷の水素結合においては 分子間の距離が液体の水の場合に比べ 離れているからです 分子が離れるほど 密度は低くなります そのため 氷は水より9%密度が低く 氷が水に浮かぶわけです これが湖が表面から凍り始め 水中の生物が 毎年寒い冬にも生き延びられる理由です 水の分子の極性と 水素結合の結果が 水の特性を作り出しています あなたの細胞の中の水から 世界中の海まで 水が特別なのは 単にそれが極性分子だからです