WEBVTT 00:00:01.060 --> 00:00:05.860 このような場所でTEDトークをするとは 思ってもいませんでしたが 00:00:05.860 --> 00:00:07.818 人類の半数と同様に 00:00:07.818 --> 00:00:10.845 私はCOVID-19パンデミックのために 00:00:10.845 --> 00:00:15.014 ここ4週間 ロックダウン下の 生活を送っています 00:00:15.113 --> 00:00:19.675 その渦中にイギリス南部にある 自宅近隣の森に来られる私は 00:00:19.675 --> 00:00:22.156 非常に幸運です 00:00:22.512 --> 00:00:24.875 ここは私にとって 常にインスピレーションの源です 00:00:24.875 --> 00:00:27.280 人類が何の回避行動を 取ることもなく 00:00:27.280 --> 00:00:29.717 恐ろしいことが 迫ってくることのないよう 00:00:29.717 --> 00:00:33.682 自分たちの行動の舵を握り直すための インスピレーションを 00:00:33.682 --> 00:00:37.431 どう見つけられるか みんな考えようとしている中で 00:00:37.431 --> 00:00:40.975 ここは皆さんと会話するのに 適切な場所だと思いました 00:00:40.975 --> 00:00:44.297 まずは6年前に遡る話から 始めたいと思います 00:00:44.297 --> 00:00:47.692 私が国連の仕事を 始めたばかりの頃のことです NOTE Paragraph 00:00:47.987 --> 00:00:51.035 私自身は 今の世の中において 00:00:51.035 --> 00:00:53.868 協調と協力を促進する 国連の役割は 00:00:53.868 --> 00:00:56.814 比類なく重要だと 確信しています 00:00:57.278 --> 00:00:59.516 しかし国連に入る際に 知らされないのが 00:00:59.516 --> 00:01:01.885 この重要な国連の務めが 00:01:01.885 --> 00:01:05.392 全くつまらない 会議という形で行われることです 00:01:05.392 --> 00:01:08.298 恐ろしく長くて つまらない会議です 00:01:08.298 --> 00:01:12.126 長くつまらない会合なら 経験があると思うかもしれません 00:01:12.126 --> 00:01:13.740 事実そうなんでしょうが 00:01:13.740 --> 00:01:15.919 国連の会議は次元が違い 00:01:15.919 --> 00:01:18.269 国連で働く誰もが 00:01:18.269 --> 00:01:22.341 禅の達人でなければ到達できないような 境地で対応しているのです 00:01:22.349 --> 00:01:24.237 しかし私には その心構えがなく 00:01:24.237 --> 00:01:28.228 ドラマと緊迫と打開を期待しつつ 任に就きました 00:01:28.232 --> 00:01:29.916 私が予想していなかったのは 00:01:29.916 --> 00:01:33.470 氷河と同じ速さで進む会議で 00:01:33.470 --> 00:01:36.438 それも かつての氷河の速さです NOTE Paragraph 00:01:37.074 --> 00:01:39.433 そんなある長い会議の最中 00:01:39.433 --> 00:01:40.911 メモを受け取りました 00:01:40.911 --> 00:01:44.281 私の友人で同僚で 共同執筆者でもある 00:01:44.281 --> 00:01:46.244 クリスティアナ・フィゲレスからでした 00:01:46.491 --> 00:01:48.238 その当時クリスティアナは 00:01:48.238 --> 00:01:52.197 国連の気候変動枠組条約の 事務局長を務めていました 00:01:52.197 --> 00:01:54.733 従って 彼女が負っていた責任は 00:01:54.733 --> 00:01:58.506 後のパリ協定となった枠組みへの合意を 国連でまとめ上げることでした 00:01:58.506 --> 00:02:01.655 私は彼女の政治戦略の 実行に携わっていたので 00:02:01.655 --> 00:02:03.337 メモに予想していた内容は 00:02:03.337 --> 00:02:07.116 詳細な政治戦略の指示であり 00:02:07.116 --> 00:02:10.009 その時点で私たちがはまっていた 悪夢のような窮地を 00:02:10.009 --> 00:02:11.788 いかに抜け出すか ということでした 00:02:11.788 --> 00:02:14.218 受け取ったメモには こう書かれていました 00:02:14.218 --> 00:02:15.546 「つらいわ 00:02:15.546 --> 00:02:17.575 でも愛をもって 接しましょうね!」 00:02:17.575 --> 00:02:20.125 このメモが好きなのには 多くの理由があります 00:02:20.125 --> 00:02:23.789 「つらいわ」という言葉の周りに 細い巻きひげが生えている様が気に入ってます 00:02:23.789 --> 00:02:27.560 その時の私の気持ちを 目に見える形で上手に表していました 00:02:27.560 --> 00:02:30.290 でもそれ以上に好きな理由は よくよく眺めてみて 00:02:30.290 --> 00:02:33.481 実はそれが政治戦略の指示だと 気付いたからです 00:02:33.481 --> 00:02:35.688 この苦境を克服できるとすれば 00:02:35.688 --> 00:02:38.019 これこそが私たちの することなのだと 00:02:38.019 --> 00:02:39.668 説明しましょう NOTE Paragraph 00:02:40.714 --> 00:02:45.308 私がそういう会議で感じていたのは コントロール(制御)についてでした 00:02:45.308 --> 00:02:49.576 私はニューヨークのブルックリンから ドイツのボンに 00:02:49.576 --> 00:02:52.534 気乗りしない妻の支えで 生活を移していました 00:02:52.534 --> 00:02:55.657 子供達は言葉の分からない 学校に通っています 00:02:55.657 --> 00:02:58.732 そんな私の個人生活の 混乱への代価は 00:02:58.732 --> 00:03:02.367 これから起こることに対し ある程度制御ができるとの期待でした 00:03:02.367 --> 00:03:06.164 私たちの世代が直面する 決定的な問題は気候危機だろうと 00:03:06.164 --> 00:03:08.445 ずっと感じていた私が 00:03:08.445 --> 00:03:11.814 これでやっと 人類に何か貢献できると そんな気持ちでいました 00:03:11.814 --> 00:03:14.808 ところが託された コントロールレバーを握り 00:03:14.808 --> 00:03:15.983 強く引いてみても 00:03:15.983 --> 00:03:17.159 何も起きませんでした 00:03:17.159 --> 00:03:21.258 私が制御できたのは 日々の些細なことだけでした 00:03:21.258 --> 00:03:24.240 「通勤は自転車にしようか?」とか 「どこで昼食をとろう?」とか 00:03:24.240 --> 00:03:27.331 その一方で私たちの成功を 左右するような問題は 00:03:27.331 --> 00:03:28.415 例えば 00:03:28.415 --> 00:03:31.504 「ロシアは交渉を 台無しにするだろうか?」 00:03:31.504 --> 00:03:34.023 「中国は自国の排出に 責任を持つだろうか?」 00:03:34.023 --> 00:03:38.586 「米国は貧しい国々の気候変動の重荷に 手を貸すだろうか?」といったことで 00:03:38.586 --> 00:03:40.352 この格差はあまりにも大きく 00:03:40.352 --> 00:03:42.690 その開きを縮められる可能性は 全く見えませんでした 00:03:42.690 --> 00:03:44.030 自分を無能に感じ 00:03:44.030 --> 00:03:46.290 自分の決断は過ちだったと 思うようになり 00:03:46.290 --> 00:03:47.958 落ち込みました NOTE Paragraph 00:03:48.805 --> 00:03:50.451 そんな中にあって 気付いたのは 00:03:50.451 --> 00:03:53.920 その時感じていたことは 初めて気候危機を知った 00:03:53.920 --> 00:03:57.803 何年も前の気持ちに 似ているということでした 00:03:58.481 --> 00:04:01.815 私は 20代初め 人格形成期の大部分を 00:04:01.815 --> 00:04:04.554 仏教の僧侶として過ごしました 00:04:04.554 --> 00:04:08.466 僧房生活から離れたのは 20年前のその時点でも 00:04:08.466 --> 00:04:13.524 気候危機は既に急速に展開する 緊急事態だと感じ 00:04:13.524 --> 00:04:15.385 自分の役割を果したいと 思ったからです 00:04:15.385 --> 00:04:17.922 しかし仏の道を離れ 普通の社会に戻った自分が 00:04:17.922 --> 00:04:20.272 自ら制御できることを 見つめてみると 00:04:20.272 --> 00:04:23.567 それは自分と身内の CO2排出量 数トン 00:04:23.567 --> 00:04:26.238 数年ごとに投票する政党 00:04:26.238 --> 00:04:28.292 デモに1つ2つ 参加するかくらいで 00:04:28.292 --> 00:04:31.239 結末を左右する 大きな課題はというと 00:04:31.239 --> 00:04:33.360 大掛かりな 地政的交渉や 00:04:33.360 --> 00:04:35.575 巨額のインフラ投資計画 00:04:35.575 --> 00:04:37.127 他のみんなが 何をするかでした 00:04:37.127 --> 00:04:39.391 ここでも格差は あまりにも大きく 00:04:39.391 --> 00:04:41.822 自分の力では差を縮められないと 感じながらも 00:04:41.822 --> 00:04:43.473 行動の努力は続けましたが 00:04:43.473 --> 00:04:45.070 どれも実を結ばず 00:04:45.070 --> 00:04:46.724 無能に感じました NOTE Paragraph 00:04:47.206 --> 00:04:50.733 これは多くの人に 共通する体験かもしれません 00:04:50.733 --> 00:04:53.216 皆さんも経験があるかと思います 00:04:53.216 --> 00:04:55.514 とてつもなく大きな問題を前に 00:04:55.514 --> 00:04:58.592 力がなく 制御できないと感じる時 00:04:58.592 --> 00:05:00.796 私たちの意識は 自己保護に働きます 00:05:00.796 --> 00:05:03.481 大きな力を前に 自分には制御不能だと感じるのは 00:05:03.481 --> 00:05:04.801 嫌なものです 00:05:04.801 --> 00:05:07.677 そこで心が囁くのです 「さほど重要ではないのかも 00:05:07.677 --> 00:05:10.430 みんなが言うようなことは 起きていないかもしれない」 00:05:10.430 --> 00:05:12.819 あるいは 自分の役割を 軽視するかもしれません 00:05:12.819 --> 00:05:16.539 「ひとりの努力ではどうせ無理なんだから やるだけ無駄では?」と NOTE Paragraph 00:05:16.539 --> 00:05:19.770 ところが ここで 不思議なことが起きています 00:05:20.480 --> 00:05:26.348 最重要課題に対し 人が持続的で献身的な行動を取るのは 00:05:26.348 --> 00:05:32.176 かなりの程度制御可能だと 感じる時だけなんでしょうか? 00:05:33.192 --> 00:05:35.256 この一連の写真を見てください 00:05:35.303 --> 00:05:38.780 ここに写っているのは 介護職員や看護師で 00:05:38.780 --> 00:05:43.278 この数ヶ月間世界を COVID-19が席巻する中 00:05:43.278 --> 00:05:47.252 人類がこの病気に立ち向かうのを 助けている人たちです 00:05:47.650 --> 00:05:51.951 この人たちは 病気の拡大を 防ぐことができるでしょうか? 00:05:52.145 --> 00:05:53.295 いいえ 00:05:53.833 --> 00:05:57.571 患者の死を防ぐことは できるでしょうか? 00:05:57.944 --> 00:06:00.678 一部は救えるでしょうが 00:06:00.678 --> 00:06:03.981 その他は どうにもできない ということになるでしょう 00:06:04.252 --> 00:06:08.309 だとしたら 彼らの貢献は 無駄で無意味になるのでしょうか? 00:06:08.556 --> 00:06:11.892 そう仄めかすことさえ侮辱です 00:06:11.892 --> 00:06:14.859 ここに見る人々の行いは 人間が一番脆弱な時に 00:06:14.859 --> 00:06:17.470 仲間の人類として 助けることです 00:06:17.470 --> 00:06:20.040 その務めには 非常に大きな意味があり 00:06:20.040 --> 00:06:22.879 それを裏付けるには この写真を見るだけで 00:06:22.879 --> 00:06:24.513 十分に明らかです 00:06:24.513 --> 00:06:27.663 彼らの行動が示す 勇気と人間性は 00:06:27.663 --> 00:06:29.432 彼らの仕事を 00:06:29.432 --> 00:06:33.021 人間が行いうる最も 意味のあることにしています 00:06:33.021 --> 00:06:36.688 たとえ結果を制御することが できなくともです NOTE Paragraph 00:06:37.155 --> 00:06:38.440 これは興味深いことです 00:06:38.440 --> 00:06:40.805 それは結末が 制御できない時でも 00:06:40.805 --> 00:06:44.027 人間は献身的で持続的な行動を 取ることができると 00:06:44.027 --> 00:06:45.668 示しているからです 00:06:45.668 --> 00:06:48.105 しかし ここに 別の問題があります 00:06:48.491 --> 00:06:50.419 気候危機に関していうと 00:06:50.419 --> 00:06:54.477 私たちの行動と その影響との間には距離があります 00:06:54.477 --> 00:06:56.987 あの写真に写っている 看護師たちは 00:06:56.987 --> 00:07:01.888 世界を変えようという高邁な目標を 支えにしているわけではなく 00:07:01.888 --> 00:07:06.083 他の人が一番弱っている時に 世話をしてあげるという 00:07:06.083 --> 00:07:08.835 日々の満足に 支えられています 00:07:08.835 --> 00:07:11.455 気候危機の場合には そこに大きな隔たりがあります 00:07:11.455 --> 00:07:14.072 以前は時間が その隔たりとなっていました 00:07:14.072 --> 00:07:17.810 気候危機の影響は もっと遠い将来のことのはずでした 00:07:17.810 --> 00:07:20.834 ところが今 その将来が すでにやってきています 00:07:20.834 --> 00:07:22.366 大陸は燃えています 00:07:22.366 --> 00:07:23.771 都市は浸水しています 00:07:23.771 --> 00:07:25.377 国が浸水しています 00:07:25.377 --> 00:07:29.370 何十万人もが気候変動を理由に 移動を余儀なくされています 00:07:29.370 --> 00:07:32.802 ところが 今やその影響が 時間により隔てられていなくても 00:07:32.802 --> 00:07:37.456 いまだに 直接的な結び付きを 感じ難い状態です 00:07:37.456 --> 00:07:40.062 他の場所で 他の人に 起きることであったり 00:07:40.062 --> 00:07:43.594 これまで経験したことが ないような形で起こります 00:07:43.594 --> 00:07:46.772 看護師の話は 人間性の持つ何かを 00:07:46.772 --> 00:07:48.347 表わしていますが 00:07:48.347 --> 00:07:51.401 気候危機の問題となると 持続的に関わり合うための 00:07:51.401 --> 00:07:54.071 違う方法を 探さなくてはなりません NOTE Paragraph 00:07:54.071 --> 00:07:56.910 それが可能な方法があります 00:07:56.910 --> 00:07:59.456 真剣に支援する姿勢と 00:07:59.456 --> 00:08:03.654 一貫性のある行動との 力強い組み合わせが 00:08:03.654 --> 00:08:07.187 共通の目標に向かって 社会全体が献身的な行動を 00:08:07.187 --> 00:08:09.503 持続的に行うことを 可能にします 00:08:09.503 --> 00:08:12.649 このやり方は歴史を通して 大変有効に使われてきました 00:08:12.649 --> 00:08:16.180 その一例を 歴史から振り返ってみましょう NOTE Paragraph 00:08:16.669 --> 00:08:21.185 私が今いるのは イギリス南部の自宅に近い森です 00:08:21.185 --> 00:08:24.122 この森はロンドンから そう遠くありません 00:08:24.122 --> 00:08:27.485 80年前 ロンドンは 戦火に見舞われました 00:08:27.485 --> 00:08:29.715 1930年代後半の英国市民は 00:08:29.715 --> 00:08:33.634 ヨーロッパ征服を目論むヒットラーが 何物にも止まらないという現実を 00:08:33.634 --> 00:08:36.549 どうしても直視しようと しませんでした 00:08:36.549 --> 00:08:38.951 第一次大戦の記憶が まだ生々しく 00:08:38.951 --> 00:08:41.757 ナチスの侵攻に恐怖を感じ 00:08:41.757 --> 00:08:44.804 現状の直視を 何としても 避けようとしたのです 00:08:44.804 --> 00:08:47.700 結局は その現実が やってきました 00:08:47.706 --> 00:08:51.610 チャーチルに関しては様々なことが記憶され 肯定的なものばかりではありませんが 00:08:51.610 --> 00:08:54.537 チャーチルが あの戦争初期にとった行動は 00:08:54.537 --> 00:08:58.014 英国人が自分たちに言い聞かせていた 自分たちが何をしているのか 00:08:58.014 --> 00:09:00.968 何が迫っているのかに対する 話の流れを変えました 00:09:00.968 --> 00:09:04.694 それまでは不安と緊張と恐怖しか なかったのが 00:09:04.694 --> 00:09:07.007 「冷静な覚悟」 00:09:07.007 --> 00:09:08.638 「孤高の島」 00:09:08.638 --> 00:09:10.385 「最も偉大な瞬間」 00:09:10.385 --> 00:09:12.831 「最も偉大なる世代」 00:09:12.831 --> 00:09:15.323 「海岸だろうが 丘陵だろうが 00:09:15.323 --> 00:09:17.161 街中だろうが 戦う国」 00:09:17.161 --> 00:09:20.160 「決して降伏などしない国」 ということになりました NOTE Paragraph 00:09:20.160 --> 00:09:22.982 不安と恐怖から 00:09:22.982 --> 00:09:26.507 いかに暗い現実だろうが それを直視するという意識の変化は 00:09:26.507 --> 00:09:29.806 勝利の見込みとは 全く無関係でした 00:09:29.806 --> 00:09:32.607 戦いが好転しているとの 前線からの報告も 00:09:32.607 --> 00:09:35.762 強力な同盟国が参戦して 勝算が増したという話も 00:09:35.762 --> 00:09:37.700 その時点では なかったのです 00:09:37.700 --> 00:09:39.367 それは ただの選択でした 00:09:39.367 --> 00:09:43.258 真剣で覚悟を持った 揺るぎない楽観が生まれたのです 00:09:43.258 --> 00:09:46.537 押し寄せてくる暗い現実を 避け否定するのでなく 00:09:46.537 --> 00:09:49.145 脅しを拒否する姿勢です 00:09:49.145 --> 00:09:51.875 揺るぎない楽観は強力です 00:09:51.875 --> 00:09:55.235 それは 良い結末に なるだろうとの見込みや 00:09:55.235 --> 00:09:58.004 将来に向けた希望的観測には 依存しません 00:09:58.004 --> 00:10:01.260 それは行動を活発化させ 00:10:01.260 --> 00:10:03.310 意義を与えます 00:10:03.310 --> 00:10:04.946 その時から 00:10:04.946 --> 00:10:07.153 危険や困難にかかわらず 00:10:07.153 --> 00:10:09.827 大いなる目的のある 意義ある時だという意識が生まれ 00:10:09.827 --> 00:10:11.686 様々な記述が裏付けるように 00:10:11.686 --> 00:10:14.671 「英国空中戦」の パイロットから 00:10:14.671 --> 00:10:17.287 じゃがいも掘りのような 単純なことに至るまで 00:10:17.287 --> 00:10:19.450 行動が意義に満ちていました 00:10:19.450 --> 00:10:23.379 人々は共通の目的と共通の結果を 目指して奮い立ちました NOTE Paragraph 00:10:23.379 --> 00:10:25.959 このようなことは歴史を通して 時に 見受けられます 00:10:25.959 --> 00:10:30.030 真剣で覚悟を持った揺るぎない楽観と 行動が結合し 00:10:30.030 --> 00:10:32.531 楽観が覚悟ある行動を導くと 00:10:32.531 --> 00:10:34.689 自ずと回っていくようになります 00:10:34.689 --> 00:10:38.078 揺るぎない楽観がなければ 行動は持続しません 00:10:38.078 --> 00:10:41.420 行動が伴わない揺るぎない楽観は ただの態度です 00:10:41.420 --> 00:10:46.248 楽観と行動が一体となって問題を一変させ 世の中の行方を変えるのです NOTE Paragraph 00:10:46.248 --> 00:10:48.181 これは様々な状況で 幾度も見られました 00:10:48.181 --> 00:10:51.119 ローザ・パークスが バスの席を譲るのを拒んだ時 00:10:51.119 --> 00:10:54.060 ガンディーが海岸までの 長い塩の行進をした時 00:10:54.060 --> 00:10:58.619 「勇気が あらゆるところで勇気を呼び覚ます」と 婦人参政権論者が呼びかけた時 00:10:58.619 --> 00:11:01.435 そしてケネディ大統領が 10年以内に 00:11:01.435 --> 00:11:03.111 月に人間を立たせると宣言した時 00:11:03.111 --> 00:11:04.919 その時代の人々に感動を与え 00:11:04.919 --> 00:11:09.010 暗く恐ろしい敵と戦うという 共通の目的に団結させました 00:11:09.010 --> 00:11:11.638 たとえ どう達成するのか 分かっていなくても 00:11:11.638 --> 00:11:13.455 この全ての例において 00:11:13.455 --> 00:11:17.774 現実的で肝の据わった 覚悟ある揺るぎない楽観は 00:11:17.774 --> 00:11:19.635 成功が生んだ結果ではなく 00:11:19.635 --> 00:11:21.392 成功の原因だったのです NOTE Paragraph 00:11:21.392 --> 00:11:24.192 これはパリ協定の合意に向けた 00:11:24.192 --> 00:11:26.166 道のりでも見られた 変化でした 00:11:26.166 --> 00:11:31.090 困難な 複雑で 悲観的な 会議の様子に変化が見られたのは 00:11:31.090 --> 00:11:34.959 徐々に多くの人が 今こそ腰を据える時だと 00:11:34.959 --> 00:11:37.829 我々は責任を放棄しないと 腹をくくり 00:11:37.829 --> 00:11:40.719 可能なはずの結果を 実現する決意をしたからです 00:11:40.719 --> 00:11:43.837 多くの人が徐々に この見方に考えを変え 00:11:43.837 --> 00:11:45.198 行動に移し 00:11:45.198 --> 00:11:47.772 最後には それが 勢いを持った波となって 00:11:47.772 --> 00:11:50.367 私たちみんなを巻き込み 00:11:50.367 --> 00:11:52.587 多くの困難な課題に対し 00:11:52.587 --> 00:11:55.477 最初の期待を大きく超えた 結果をもたらしたのです 00:11:55.477 --> 00:11:59.645 何年も経った今 ホワイトハウスに 気候変動否定論者がいるにもかかわらず 00:11:59.645 --> 00:12:03.400 あの時私たちが始動させた取り組みは 今でも展開し続けていて 00:12:03.400 --> 00:12:06.778 これから先の年月において 気候危機に対処していくためのものは 00:12:06.778 --> 00:12:08.534 すべて揃っています NOTE Paragraph 00:12:09.135 --> 00:12:11.751 現在 ほとんどの人たちは 00:12:11.751 --> 00:12:15.715 生涯に直面する中でも最も厳しい時期を 経験しています 00:12:15.715 --> 00:12:18.401 個人的な悲劇に見舞われたか 否かにかかわらず 00:12:18.401 --> 00:12:21.930 COVID-19の世界的大流行は 誰にとっても恐ろしい体験ですが 00:12:21.930 --> 00:12:25.636 巨大な変化の前に自分を無力と思う 私たちの思い込みを 00:12:25.636 --> 00:12:27.967 揺るがしてもいます 00:12:27.967 --> 00:12:29.862 ほんの数週間で 私たちは結集し 00:12:29.862 --> 00:12:33.669 人類の半数の人々が 一番脆弱な人たちを守るために 00:12:33.669 --> 00:12:36.335 思い切った行動をとりました 00:12:36.797 --> 00:12:38.594 それが可能なのであれば 00:12:38.594 --> 00:12:42.093 人類共通の問題に立ち向かうために どこまでできるのか 00:12:42.093 --> 00:12:45.764 我々の限界はまだ 見えていないのかもしれません NOTE Paragraph 00:12:45.764 --> 00:12:50.081 今や 自分たちは無力だという諦めは 捨てなければなりません 00:12:50.081 --> 00:12:51.872 確かなことは 00:12:51.872 --> 00:12:56.477 私たちが向かいつつある悲劇を避けるために 今できる行動をとらずにいれば 00:12:56.477 --> 00:12:59.720 気候危機はこのパンデミックよりも 00:12:59.720 --> 00:13:03.231 はるかに大規模な被害を もたらすということです 00:13:03.472 --> 00:13:07.474 無力だと感じているような 余裕はありません 00:13:07.474 --> 00:13:10.439 後の世代の人々はきっと 畏敬の念を抱きながら 00:13:10.439 --> 00:13:12.288 この瞬間を 振り返ることでしょう 00:13:12.288 --> 00:13:15.796 再生可能な未来を選ぶか 未来を見捨てるかの 00:13:15.796 --> 00:13:18.031 分岐点に立つ私たちの姿を 00:13:18.031 --> 00:13:22.018 実は この移行期に多くのことが うまく行っています 00:13:22.018 --> 00:13:23.922 クリーンエネルギーの価格は 下がっています 00:13:23.922 --> 00:13:26.710 都市は変貌しています 土地は再生されています 00:13:26.710 --> 00:13:29.111 一世代の間 見たことが なかったような 00:13:29.111 --> 00:13:30.969 気迫と粘り強さを 見せながら 00:13:30.969 --> 00:13:33.078 人々が変化を求める声を 上げています 00:13:33.078 --> 00:13:36.265 この移行において 本当に成功することは可能であり 00:13:36.265 --> 00:13:38.618 本当に失敗することも ありえます 00:13:38.618 --> 00:13:41.744 それ故にこそ 今は生きていて 最も刺激的な時なのです 00:13:41.744 --> 00:13:43.988 私達は 今 決断できます 00:13:43.988 --> 00:13:50.082 この困難に対し 揺るぎない気骨ある 現実的で覚悟を持った楽観で取り組み 00:13:50.082 --> 00:13:53.879 このパンデミックを抜け出し 再生可能な未来へ向け 00:13:53.879 --> 00:13:57.686 自分にある全ての力を使い 道を切り開いていくと 00:13:57.686 --> 00:14:01.488 たとえ暗い日々が 待ち受けていようとも 00:14:01.488 --> 00:14:03.785 自分たちが 人類の希望の光となり 00:14:03.785 --> 00:14:06.380 責任を持つと腹をくくり 00:14:06.380 --> 00:14:08.857 今後10年の間に 温室効果ガスの排出量を 00:14:08.857 --> 00:14:10.327 最低50%減らすと決め 00:14:10.327 --> 00:14:14.408 パンデミックから回復するために 必要なことが行われ 00:14:14.408 --> 00:14:16.834 私たちが願う社会が 再建されるように 00:14:16.834 --> 00:14:20.823 政府や企業と協力するための 行動を起こすと決心できます 00:14:20.839 --> 00:14:23.979 今なら この全てが可能です NOTE Paragraph 00:14:24.572 --> 00:14:28.354 あのつまらない会議室に 戻りましょう 00:14:28.354 --> 00:14:31.278 私がクリスティアナからの メモを見ている場です 00:14:31.683 --> 00:14:33.826 メモを改めて見ることで 00:14:33.826 --> 00:14:37.573 人生を大きく変えた経験を 思い出します 00:14:37.852 --> 00:14:40.732 僧侶として学んだ 多くのことのひとつは 00:14:40.732 --> 00:14:47.386 聡明な知と喜びに溢れた心は 人生の道であり目的であるということです 00:14:47.843 --> 00:14:52.086 揺るぎない楽観というのは 愛を応用したものなんです 00:14:52.626 --> 00:14:55.231 それは私たちが 創造したい社会であり 00:14:55.231 --> 00:14:57.613 そんな社会を創造できる 手段でもあります 00:14:57.613 --> 00:15:00.517 私たち全てに与えられた 選択です 00:15:00.517 --> 00:15:03.574 揺るぎない楽観を抱きながら この瞬間と向き合うことで 00:15:03.574 --> 00:15:06.777 私たちの人生の意義と目的を 満たせるかもしれません 00:15:06.777 --> 00:15:10.620 そうすることで私たちは 歴史の筋道に手を添え 00:15:10.620 --> 00:15:14.193 自分たちが選んだ未来に向けて 曲げることができます NOTE Paragraph 00:15:14.193 --> 00:15:18.013 確かに今は 生きることさえ 制御できないように感じられます 00:15:18.013 --> 00:15:21.763 怖く 恐ろしい 未知のものと感じます 00:15:21.763 --> 00:15:25.371 でも私たちに向かってくる この重要な移行の時に 00:15:25.371 --> 00:15:27.484 ためらうのは止めましょう 00:15:27.784 --> 00:15:31.569 揺るぎない覚悟ある楽観で 立ち向かいましょう NOTE Paragraph 00:15:31.569 --> 00:15:34.545 今起きている世の中の 変化を見るのは 00:15:34.545 --> 00:15:36.489 確かにつらいかもしれません だからこそ 00:15:36.489 --> 00:15:38.854 愛をもって 接しましょう NOTE Paragraph 00:15:38.854 --> 00:15:40.401 ありがとうございました