WEBVTT 00:00:00.911 --> 00:00:03.019 誰にでも不調の時期があります 00:00:03.754 --> 00:00:05.674 私も2013年にそういう 時期がありました 00:00:06.373 --> 00:00:07.719 結婚生活が終焉をむかえ 00:00:07.743 --> 00:00:10.395 結婚の誓いを守れなかったことに 打ちのめされました 00:00:10.419 --> 00:00:13.221 子供たちは大学進学や その他の 理由で家を出ました 00:00:14.045 --> 00:00:16.368 私は保守派ムーブメントの 台頭する中で育ちました 00:00:16.392 --> 00:00:17.992 ただ保守主義は変わってしまい 00:00:18.016 --> 00:00:20.008 それに伴って多くの 友人も失いました NOTE Paragraph 00:00:20.441 --> 00:00:23.430 そこでどうしたかというと マンションで1人暮らしをして 00:00:23.454 --> 00:00:24.654 ただ仕事をしていました 00:00:25.417 --> 00:00:28.830 食器が入っているはずの 引き出しを開けると 00:00:28.854 --> 00:00:30.377 ポストイットが入っていて 00:00:30.916 --> 00:00:34.131 皿類が収納されているべき 別の引き出しを開けると 00:00:34.155 --> 00:00:35.305 封筒が入っている始末でした 00:00:35.885 --> 00:00:39.282 平日に会う仕事仲間はいましたが 週末に会う友人はいませんでした 00:00:39.942 --> 00:00:43.542 だから私の週末は長く寂しい 沈黙があるだけでした 00:00:44.268 --> 00:00:45.640 孤独でした 00:00:46.395 --> 00:00:49.968 予測もしていなかった孤独感が 突然襲ってきました 00:00:50.399 --> 00:00:53.248 恐怖のようなものが胃の中で 燃えている感じでした 00:00:53.272 --> 00:00:55.953 酔いに 少し似た感覚です 00:00:55.977 --> 00:01:00.907 悪い決断ばかりしてしまい 不安定で落ち着きませんでした 00:01:01.911 --> 00:01:05.177 その時 辛かったのは 住まいの空虚さは まさに自分そのものの 00:01:05.201 --> 00:01:08.604 空っぽな状態を投影していると 00:01:08.628 --> 00:01:10.227 気づいてしまったことでした 00:01:10.251 --> 00:01:13.978 そして文化的規範の 嘘にだまされていたことです NOTE Paragraph 00:01:15.196 --> 00:01:18.605 最初の嘘はキャリアの成功は 人を充実させるものだというもの 00:01:18.629 --> 00:01:20.556 私はキャリアの面では割と成功を おさめていて 00:01:20.580 --> 00:01:23.328 落伍していたら見舞われたと思われる 恥ずかしさを 00:01:23.352 --> 00:01:25.026 感じないですみましたが 00:01:25.050 --> 00:01:27.688 それが何かのプラスになっているわけでは ありませんでした NOTE Paragraph 00:01:28.201 --> 00:01:31.797 2つ目の嘘は 自分で自分を幸せに できるということ 00:01:32.484 --> 00:01:34.564 もう1勝できたら 00:01:34.588 --> 00:01:38.079 7キロ痩せたら もう少しヨガをする時間が取れれば 00:01:38.103 --> 00:01:39.253 幸せになる 00:01:39.743 --> 00:01:42.061 これが自己充足という嘘です 00:01:42.419 --> 00:01:45.101 死の床についた人なら 皆口にするでしょう 00:01:45.125 --> 00:01:48.389 人を幸せにするものは 大切な人との深い関係であり 00:01:48.413 --> 00:01:50.480 自己充足を手放すことだと NOTE Paragraph 00:01:51.804 --> 00:01:54.471 3つ目の嘘は実力主義です 00:01:55.591 --> 00:01:59.004 実力主義が説くのは 人の価値は 何を達成したかで決まるというものです 00:01:59.133 --> 00:02:01.600 実力主義の神話は 努力によって 権威あるブランドと 00:02:01.624 --> 00:02:04.234 結びつきを強めていくと 尊厳が得られるというものです 00:02:04.258 --> 00:02:07.063 実力主義の感情は条件付きの愛で 00:02:07.087 --> 00:02:08.942 愛し方を「努力して入手できる」 というものです 00:02:08.966 --> 00:02:12.387 人類学的に実力主義を捉えると 人を浄化されるべき魂ではなく 00:02:12.411 --> 00:02:14.879 最大化されるべきスキルセットと みなしています 00:02:14.903 --> 00:02:16.752 実力主義の邪悪な点は 00:02:16.776 --> 00:02:19.434 他の人より少しだけ多く 達成した人が 00:02:19.458 --> 00:02:21.744 他の人より少しだけ 価値があるという点です 00:02:22.141 --> 00:02:24.004 だから罪の報いは罪でされます 00:02:24.815 --> 00:02:26.699 私の罪は 省略の罪で 00:02:26.723 --> 00:02:29.191 友人に手を差し伸べないこと 大事な時に 顔を出さないこと 00:02:29.215 --> 00:02:31.046 言い逃れをしたり 対立を避けたことです NOTE Paragraph 00:02:31.560 --> 00:02:34.688 不思議なのは 断絶という 00:02:34.712 --> 00:02:36.416 この谷間に私が落ちた時 00:02:36.440 --> 00:02:38.474 他の多くの人も そこに陥っていたことです 00:02:39.014 --> 00:02:41.023 それは 私のキャリアの秘密のようなもので 00:02:41.047 --> 00:02:42.820 自分に起きる色々なことは 00:02:42.844 --> 00:02:45.002 常に他の多くの人にも起きているのです 00:02:45.026 --> 00:02:48.220 私は コミュニケーションスキルの少しある すごく凡庸な人間なんです NOTE Paragraph 00:02:48.244 --> 00:02:49.347 (笑) NOTE Paragraph 00:02:49.371 --> 00:02:50.837 私は切り離されていました 00:02:51.252 --> 00:02:54.514 それと同時に他の多くの人たちも 切り離されていたのです 00:02:54.538 --> 00:02:57.053 孤立して 互いから離れ離れになっていました 00:02:57.077 --> 00:03:00.157 45歳以上のアメリカ人の 35%以上が 慢性的に孤独で 00:03:00.181 --> 00:03:03.522 たった8%のアメリカ人しか 隣人と意味のある会話をしていないと 00:03:03.546 --> 00:03:04.696 答えます 00:03:04.720 --> 00:03:07.545 32%のアメリカ人しか隣人を 信用していると回答しておらず 00:03:07.569 --> 00:03:09.823 ミレニアルに至っては たったの18%です 00:03:09.847 --> 00:03:12.288 最も急速に勢力を広げている政党は 「支持政党なし」です 00:03:12.312 --> 00:03:14.899 最も急速に成長している宗教的な運動も 「所属宗教無し」です 00:03:14.923 --> 00:03:17.899 うつの罹患率は上昇しており 精神障害の人も増えています 00:03:17.923 --> 00:03:21.164 自殺率も1999年以来 30%伸びました 00:03:21.188 --> 00:03:23.364 10代の自殺は この数年間で 00:03:23.388 --> 00:03:26.047 割合にして70%も増えました 00:03:27.249 --> 00:03:29.924 毎年4万5千人のアメリカ人が 自殺しています 00:03:29.948 --> 00:03:32.178 7万2千人がオピオイド中毒で亡くなり 00:03:32.202 --> 00:03:35.551 寿命は延びるどころか縮まっています NOTE Paragraph 00:03:36.985 --> 00:03:39.572 何を言いたいかというと ここまで来てお伝えしたかったのは 00:03:39.596 --> 00:03:42.034 我々は経済危機や環境危機に見舞われ 00:03:42.034 --> 00:03:43.913 政治的危機にも瀕していることです 00:03:43.937 --> 00:03:46.016 社会的な関係の危機も 抱えています 00:03:46.040 --> 00:03:47.379 我々は谷間にいるんです 00:03:47.403 --> 00:03:49.006 互いから切り離され 00:03:49.030 --> 00:03:51.622 ワシントンからは 次々に嘘が流れてきて 00:03:51.646 --> 00:03:52.979 我々は谷間にいるのです NOTE Paragraph 00:03:53.466 --> 00:03:55.443 私は この5年間 そこで過ごしたのです 00:03:55.467 --> 00:03:56.981 どうやって谷間から這い出すのか 00:03:57.356 --> 00:04:00.469 ギリシャ人のことわざに 「苦しみを通して智恵に至る」とありました 00:04:01.006 --> 00:04:04.666 この暗い時期に いくつかのことに 気がつきました 00:04:05.228 --> 00:04:08.149 まずは自由というものは クソだということ 00:04:08.998 --> 00:04:11.672 経済的自由はいいし 政治的自由は素晴らしい 00:04:11.696 --> 00:04:13.497 でも 社会的自由なんてクソだということ 00:04:14.036 --> 00:04:16.363 根なし人間は 漂流人間 00:04:16.387 --> 00:04:20.370 根なし人間は 忘れられた人 物事にコミットしないからです 00:04:20.776 --> 00:04:24.310 自由は そこで泳ぎたくなるような 大海ではありません 00:04:24.334 --> 00:04:26.064 むしろ 渡ってしまった方がよい川 00:04:26.088 --> 00:04:28.754 対岸に渡れば根がおろせるからです NOTE Paragraph 00:04:29.270 --> 00:04:30.929 2つ目に学んだのは 00:04:30.953 --> 00:04:33.549 憂き目にあう時期には 00:04:33.573 --> 00:04:34.868 打ちのめされたり 00:04:34.892 --> 00:04:36.431 自分がさらけ出されてしまいます 00:04:36.905 --> 00:04:38.731 打ちのめされた人のことは わかりますね 00:04:38.755 --> 00:04:41.271 痛みや悲しみを耐えて 自尊心をなくしまった人たち 00:04:41.295 --> 00:04:43.675 怒りと敵意に満ち 毒舌を吐きます 00:04:43.699 --> 00:04:44.854 格言に言うように 00:04:44.878 --> 00:04:47.576 「痛みの姿が変わらないとき それは伝染する」 のです 00:04:47.927 --> 00:04:49.756 自分がさらけ出されてしまう人もいます 00:04:51.125 --> 00:04:54.226 苦しみの持つ大きな力は 人生の道ゆきを妨げます 00:04:54.250 --> 00:04:57.019 自分が自分で思っていた人間でないことに 気付かせます 00:04:57.043 --> 00:04:58.580 神学者のポール・ティリッヒによると 00:04:58.604 --> 00:05:02.021 苦悩のはたらきによって 自分の底だと思っていた所から 00:05:02.045 --> 00:05:03.428 さらにえぐられ 00:05:03.452 --> 00:05:05.962 さらに掘り下げられて その下の空洞が顕わになり 00:05:05.986 --> 00:05:08.478 さらに掘り下げられて その下の空洞が顕わになります 00:05:08.502 --> 00:05:11.511 全く気付かなかった 自分自身の深さに気がつくでしょう 00:05:11.535 --> 00:05:14.486 人間関係という心的な糧だけが その深さを埋められます 00:05:16.173 --> 00:05:19.141 そこまで到達し 頭のエゴから抜け出すと 00:05:19.165 --> 00:05:20.847 心に入っていきます 00:05:20.871 --> 00:05:22.633 切望している心です 00:05:22.657 --> 00:05:26.288 他人に対する渇望と愛を 人間が本当に熱く望んでいるという概念は 00:05:26.312 --> 00:05:29.358 ルイ・ド・ベルニエが著書 『コレリ大尉のマンドリン』に 00:05:29.382 --> 00:05:31.280 書き記しています 00:05:31.304 --> 00:05:33.283 登場人物の老人が 亡き妻との関係について 00:05:33.307 --> 00:05:35.325 娘に語りかけます 00:05:35.349 --> 00:05:36.736 老人は言います 00:05:36.760 --> 00:05:40.458 「愛とは 恋する気持ちが燃え尽きた後の 残りもの 00:05:40.482 --> 00:05:43.339 芸術でもあり 幸運な事故でもある 00:05:43.704 --> 00:05:45.387 お母さんとは そういう関係だった 00:05:45.411 --> 00:05:47.950 地下で互いに求める 根をもっていたんだ 00:05:47.974 --> 00:05:50.903 きれいな花が自分たちの枝から 落ちてしまったときに 00:05:50.927 --> 00:05:53.379 別々の2本ではなく 1本の木であることに気付いたんだ」 00:05:53.696 --> 00:05:55.569 それこそが心が欲していることです NOTE Paragraph 00:05:55.593 --> 00:05:58.354 2つ目に見つけるのは自分の魂です 00:05:58.932 --> 00:06:01.810 神を信じろとか 信じるなとか 言っているのではなく 00:06:01.834 --> 00:06:04.421 ただ自分の中にあるものを 信じてほしいのです 00:06:04.445 --> 00:06:06.421 形も色も重さもないけれど 00:06:06.445 --> 00:06:09.371 無限の尊厳と価値を 与えてくれる 00:06:09.395 --> 00:06:11.752 裕福な成功者が そうでない人たちに比べて 00:06:11.776 --> 00:06:13.429 より多く持っている訳ではありません 00:06:13.974 --> 00:06:17.156 奴隷制が間違っているのは 他者の魂を抹殺するからです 00:06:17.180 --> 00:06:20.014 レイプとは 単なる身体的な攻撃ではなく 00:06:20.038 --> 00:06:22.966 他の人間の魂を侮辱しようと するものです 00:06:22.990 --> 00:06:26.036 そして魂は 正しいことを切望するのが役割です 00:06:26.060 --> 00:06:29.639 心は他の人との交わりを欲していて 魂は正義を切望している 00:06:29.663 --> 00:06:32.948 それが私の3つ目の気づきにつながりました アインシュタインから引用します 00:06:33.655 --> 00:06:36.141 「自分が抱えている問題は 00:06:36.165 --> 00:06:38.879 問題を作った意識のレベルで 解決されるものではない 00:06:38.903 --> 00:06:42.776 違ったレベルまで意識を 広げる必要がある」 NOTE Paragraph 00:06:42.800 --> 00:06:44.014 どうしたらいいでしょう 00:06:44.038 --> 00:06:47.148 まず最初にすることは 自分自身を友人にさらけ出し 00:06:47.172 --> 00:06:50.133 これまでしなかったような 深い会話をするべきです 00:06:50.157 --> 00:06:51.514 でも2つ目にすることは 00:06:51.538 --> 00:06:53.672 一人で荒野に出向いていくことです 00:06:53.696 --> 00:06:56.768 誰もいない場所へ出て行くのです 00:06:56.792 --> 00:06:59.172 エゴなど何の役にも立ちません 粉々に打ち砕かれます 00:06:59.196 --> 00:07:01.355 でも そうなって初めて愛される ことができます 00:07:01.712 --> 00:07:05.049 友人が言っていたのですが お嬢さんが生まれたときに 00:07:05.073 --> 00:07:08.676 自分は種の進化に必要な以上に 娘を愛していることに気がついたと NOTE Paragraph 00:07:09.041 --> 00:07:10.184 (笑) NOTE Paragraph 00:07:10.208 --> 00:07:11.704 いつも その話いいなと思うんです NOTE Paragraph 00:07:11.704 --> 00:07:12.779 (拍手) NOTE Paragraph 00:07:12.803 --> 00:07:15.760 なぜなら 自分の根幹にある 心の平和を捉えているからです 00:07:15.784 --> 00:07:18.489 なぜかわからない 互いを大事にする想いです 00:07:18.513 --> 00:07:21.457 その境地に到達したとき 救われる準備が整うのです 00:07:21.815 --> 00:07:24.131 谷間にいるときに難しいのは 00:07:25.300 --> 00:07:26.728 自分では這い上がれないことです 00:07:26.728 --> 00:07:28.829 誰かが手を伸ばし 引き上げる必要があります 00:07:29.331 --> 00:07:30.486 私の場合は 00:07:30.510 --> 00:07:34.037 幸いにもキャシーとデイビッドという夫婦に 家に招かれました 00:07:34.061 --> 00:07:35.466 彼らにはサンティという 00:07:36.196 --> 00:07:38.871 DCの公立学校に通う子供がいました 00:07:38.895 --> 00:07:40.997 彼には 居場所が必要な 友達がいました 00:07:41.021 --> 00:07:42.887 母親の健康に 問題があったのです 00:07:42.911 --> 00:07:45.593 その子には友達がいて さらにその友達にも友達がいました 00:07:45.617 --> 00:07:47.625 6年前に彼らの家に行った時のこと 00:07:47.649 --> 00:07:50.546 扉を開けると食卓の周りに 25人位の子供たちがいるんです 00:07:50.570 --> 00:07:52.919 階下の地下室にも沢山 寝ていました 00:07:52.943 --> 00:07:55.006 そこで手を差し出して 自己紹介したんです 00:07:55.030 --> 00:07:57.634 その子は「ここでは あんまり握手はしないんだ 00:07:58.331 --> 00:07:59.779 ハグするだけだよ」 と言います 00:08:00.323 --> 00:08:03.299 私は世界で一番ハグ向きの男 じゃないのですが 00:08:03.323 --> 00:08:06.902 特別の用事がない限り毎週木曜の夜に その家に通いました 00:08:06.926 --> 00:08:08.470 そして みんなをハグしました 00:08:08.494 --> 00:08:10.379 彼らは触れ合いを望みました 00:08:10.403 --> 00:08:14.013 はるばるやって来る 誠実さを見せることを望みました 00:08:14.442 --> 00:08:16.236 そして新しい生き方を教えてくれました 00:08:16.260 --> 00:08:18.561 我々の文化の悪いところすべてを 治すような生き方です 00:08:18.585 --> 00:08:21.531 それは本当に 人間関係を何よりも 一番に置く直接的な方法です 00:08:21.555 --> 00:08:24.725 単なる言葉ではなく現実としてです NOTE Paragraph 00:08:25.557 --> 00:08:29.628 素晴らしいことに こういうコミュニティは あちこちにあります 00:08:29.652 --> 00:08:33.299 私は「Weave(編む):社会の織物」という 活動をアスペン研究所で始めました 00:08:33.323 --> 00:08:34.479 これがそのロゴです 00:08:34.503 --> 00:08:38.236 人間はどこかの谷間に落ちてしまうのですが あちこちにWeaverが見つかるのです 00:08:38.761 --> 00:08:41.278 アイシャ・バトラーのような人を見つけます 00:08:42.056 --> 00:08:44.873 シカゴのイングルウッドという 治安の悪い場所に住んでいます 00:08:44.897 --> 00:08:47.850 あまりに危険な場所なので 引っ越そうとしていた矢先でした 00:08:48.173 --> 00:08:51.041 通りの向こうに目をやると 二人の女の子が 00:08:51.065 --> 00:08:53.141 割れた瓶の散らかる 空き地で遊んでいました 00:08:53.165 --> 00:08:56.347 それを見た彼女は夫に言ったのです 「出て行くのは とりやめ 00:08:56.371 --> 00:08:59.347 また1家庭がこの町を捨てたというのは やめにしたい」と 00:08:59.371 --> 00:09:02.579 それから「イングルウッドでボランティア」を 検索して 今やRAGEを運営しています 00:09:02.603 --> 00:09:04.400 大きなコミュニティの組織です NOTE Paragraph 00:09:04.424 --> 00:09:07.403 中には険しい谷間に落ちて しまった人もいます 00:09:07.427 --> 00:09:11.132 オハイオでサラという名の女性に会いました 骨董品を探す旅から帰宅し 00:09:11.156 --> 00:09:14.918 ご主人が二人のお子さんと 無理心中をしていたのを見つけました 00:09:15.815 --> 00:09:19.195 今は無料の薬局を運営し コミュニティで ボランティア活動をしています 00:09:19.219 --> 00:09:22.211 暴力に耐えている女性たちを 支援し指導しています 00:09:22.235 --> 00:09:25.299 彼女が言っていました 「怒りがあったのでこの経験から成長した 00:09:25.323 --> 00:09:27.827 世の中に貢献することで 夫が私にしようとしたことに 00:09:27.897 --> 00:09:29.863 対抗するつもりだった 00:09:29.887 --> 00:09:31.942 ほら 私は死ななかったのよ 00:09:31.966 --> 00:09:33.151 私は夫への仕返しとして 00:09:33.175 --> 00:09:37.371 たとえ何を仕組んでいたとしても 絶対に思い通りにさせません」 NOTE Paragraph 00:09:38.029 --> 00:09:41.402 Weaversの人たちは個人主義的な 人生を送っていません 00:09:41.426 --> 00:09:44.799 彼らは関係を大事にする生活を 送っていて 価値観も違うのです 00:09:44.823 --> 00:09:46.243 道徳的な動機をもっています 00:09:46.267 --> 00:09:49.395 彼らは職業的な信念をもっていて 自分たちを地域に根付かせています 00:09:49.419 --> 00:09:51.006 オハイオのヤングスタウンで 会った男は 00:09:51.030 --> 00:09:53.061 町の広場で ただボードを 掲げていました 00:09:53.085 --> 00:09:54.236 「ヤングスタウンを守れ」 00:09:54.260 --> 00:09:56.133 彼らは相互にとても依存していて 00:09:56.157 --> 00:09:58.690 人間関係においては天才的なのです NOTE Paragraph 00:09:59.180 --> 00:10:00.855 メアリー・ゴードンという女性がいます 00:10:00.879 --> 00:10:03.002 「共感の根っこ」という取り組みを されているのですが 00:10:03.026 --> 00:10:06.291 中学2年の生徒たちを 母親と幼児のところに 00:10:06.315 --> 00:10:08.054 連れて行くんです 00:10:08.078 --> 00:10:11.102 生徒たちは 幼児が何を考えているか 当てるのです 00:10:11.126 --> 00:10:12.277 それで 共感を教えます 00:10:12.301 --> 00:10:15.407 ある生徒はクラスの他の子たちよりも 大きかったのですが 00:10:15.431 --> 00:10:19.014 通学できない時期があったためで 里親養育制度を体験してきた子です 00:10:19.038 --> 00:10:20.664 母親が殺害されるのを目撃しました 00:10:20.688 --> 00:10:22.569 この子が赤ちゃんを抱きたがりました 00:10:22.593 --> 00:10:25.228 母親は不安でした 大きくて怖そうな子に見えたからです 00:10:25.252 --> 00:10:27.847 でも彼女はこの生徒 ダレンに 赤ちゃんを抱かせました 00:10:27.871 --> 00:10:29.720 抱っこがとても上手でした 00:10:31.014 --> 00:10:34.500 赤ちゃんを返すと子育てについて 質問を始めました 00:10:35.015 --> 00:10:36.944 彼の最後の問いは 00:10:36.968 --> 00:10:40.269 「誰にも愛された経験がなくても いい父親になれるでしょうか」 00:10:40.642 --> 00:10:42.309 というわけで「共感の根っこ」は 00:10:42.333 --> 00:10:45.053 手を差し伸べて谷間から人を 引っ張り上げる取組みです 00:10:45.077 --> 00:10:46.930 Weaversたちはそれをしています NOTE Paragraph 00:10:49.300 --> 00:10:51.487 人によっては仕事を変える人もいます 00:10:51.950 --> 00:10:54.481 同じ職業のままの人もいます 00:10:54.982 --> 00:10:57.482 ただ一つ特徴的なのは 強烈な情熱を持っている点です 00:10:57.982 --> 00:10:59.365 この本を読みました 00:10:59.389 --> 00:11:05.376 E.O. ウィルソンは『ナチュラリスト』という 名作で子供時代のことを書いています 00:11:05.712 --> 00:11:08.411 7歳の時に両親が離婚しようとしていました 00:11:09.291 --> 00:11:12.458 彼は北フロリダのパラダイス・ビーチに 送られました 00:11:12.482 --> 00:11:14.318 初めて目にする海でした 00:11:14.731 --> 00:11:17.062 クラゲも見たことがありませんでした 00:11:17.086 --> 00:11:18.916 「驚くべき生き物だった 00:11:18.956 --> 00:11:21.496 その存在は自分の想像を超えていた」と 書いています 00:11:21.546 --> 00:11:23.257 ある日 彼は波止場に座っていて 00:11:23.281 --> 00:11:26.018 足の下にアカエイが漂っているのを見ました 00:11:26.365 --> 00:11:30.445 その時 畏敬と感嘆の念から ナチュラリストが生まれたのです 00:11:30.469 --> 00:11:32.614 そして彼はこんな観察をしました 00:11:32.638 --> 00:11:33.855 子供の時は 00:11:33.879 --> 00:11:37.026 どんな動物も大人になって見るより 倍の大きさに見えるというんです 00:11:38.162 --> 00:11:39.936 いつもそこに 感心させられてしまいます 00:11:39.960 --> 00:11:44.720 なぜなら 子供が欲するのは 00:11:44.744 --> 00:11:47.688 何かに対し完全に自分を投げ出す それほどの使命感を見つけ出す 00:11:47.712 --> 00:11:50.046 道徳的な強さだからです 00:11:50.480 --> 00:11:52.449 こうしたWeavers達の周りにいると 00:11:52.473 --> 00:11:55.441 彼らは他の人たちを普通の人の倍の 大きさで見ているのです 00:11:55.465 --> 00:11:57.198 もっと深いところを見ているのです 00:11:57.997 --> 00:12:00.155 「喜び」を見ているのです NOTE Paragraph 00:12:01.315 --> 00:12:04.719 人生で初めての山で キャリアの上昇を目指していたとき 00:12:04.743 --> 00:12:06.902 我々は幸せになろうと頑張っているわけです 00:12:07.649 --> 00:12:10.696 幸せなことは良いことであり 自己の拡大でもあります 00:12:10.720 --> 00:12:12.466 何かに勝利します 00:12:12.490 --> 00:12:16.483 あなたは昇進し チームもスーパーボウルに勝ちます 00:12:16.507 --> 00:12:17.657 幸せを感じるでしょう 00:12:18.149 --> 00:12:21.870 しかし喜びは 自分自身の 拡大でなく解体なのです 00:12:22.764 --> 00:12:27.002 母子の間で皮膚の障壁がなくなってしまう 瞬間のようなものです 00:12:27.026 --> 00:12:30.335 ナチュラリストが自然の中で ただ自由を満喫している時です 00:12:31.232 --> 00:12:34.177 自分の仕事や主張で 自分をすっかり失っている時のことです 00:12:34.201 --> 00:12:36.201 完全に自分のことを忘れて しまっています 00:12:36.649 --> 00:12:39.535 幸せよりも喜びを目指す方が賢明です NOTE Paragraph 00:12:39.559 --> 00:12:42.600 私は人々が喜びを失ったときに その回復に至る道を聞き集めています 00:12:42.624 --> 00:12:44.871 お気に入りのひとつは ゼィディー・スミスの文です 00:12:44.895 --> 00:12:48.205 1999年 彼女はロンドンの ナイトクラブにいました 00:12:48.229 --> 00:12:51.324 ハンドバックをどこに置いたかと思いつつ 友達を探していました 00:12:51.348 --> 00:12:53.451 すると突然 00:12:53.475 --> 00:12:56.797 「大きな目をしたガリガリに痩せた男が 人込みをかき分けて私の手をつかもうと 00:12:56.821 --> 00:12:57.997 手を伸ばしてきました 00:12:58.021 --> 00:13:01.760 同じことを何度も聞いてくる 「感じているか」と 00:13:01.784 --> 00:13:05.633 ヒールが痛くて死にそうだった 実際 死ぬのかもと恐ろしくなった 00:13:05.657 --> 00:13:08.105 それでも同時に喜びで 胸いっぱいになっていた 00:13:08.129 --> 00:13:10.440 「Can I Kick It?」が 00:13:10.464 --> 00:13:12.810 歴史上の まさにこの瞬間に スピーカーから 00:13:12.834 --> 00:13:13.989 流れるなんて 00:13:14.013 --> 00:13:16.141 それが「Teen Spirit」に 変わった 00:13:16.165 --> 00:13:19.323 男の手をとると 私の頭のてっぺんが吹き飛び 00:13:19.347 --> 00:13:22.747 私たちは踊って踊って 喜びに身を任せたの」 NOTE Paragraph 00:13:23.680 --> 00:13:27.486 私が表現しようとしているのは 二つの異なる人生に対する心構えです 00:13:27.998 --> 00:13:32.466 最初は「山」の心構え 個人の幸せとキャリアの成功についてです 00:13:32.490 --> 00:13:35.053 それなりに良い心構えで 決して何も反対しません 00:13:35.077 --> 00:13:37.371 しかし 我々は全国レベルで 谷間に落ち込んでいます 00:13:37.395 --> 00:13:40.228 もう一つの心構えで バランスをとっていないからです 00:13:40.252 --> 00:13:42.815 我々は自分たちのことを いい人間だと思わなくなっています 00:13:42.839 --> 00:13:45.529 将来に対して 決定的な信仰を失いました 00:13:45.553 --> 00:13:48.935 互いを深く見つめず 互いを大事に扱いません 00:13:49.538 --> 00:13:51.529 多くの変化が必要です 00:13:51.553 --> 00:13:54.259 経済的な変化に環境変化 00:13:54.902 --> 00:13:57.847 しかし文化的で人間関係に関する革命も 必要なのです 00:13:57.871 --> 00:14:02.141 回復した社会で使う言葉を 命名する必要があります 00:14:02.553 --> 00:14:05.291 Weaversがその言葉を 見つけたように思います NOTE Paragraph 00:14:05.593 --> 00:14:08.694 社会の変化についての 私の理論は 00:14:08.718 --> 00:14:11.363 小規模なグループの人たちが より良い生き方を見つけた時に 00:14:11.387 --> 00:14:13.062 残りの我々はそれを真似することです 00:14:13.765 --> 00:14:16.403 Weaversたちは より良い生き方を見つけました 00:14:16.427 --> 00:14:18.380 それを理論化する必要などありません 00:14:18.404 --> 00:14:21.633 彼らはコミュニティを作る者として 全国あちこちにいるからです 00:14:22.277 --> 00:14:24.554 我々は生き方を 少し変えないといけません 00:14:24.578 --> 00:14:27.309 「私はWeaver 私達はWeaver」 と 言えるように 00:14:27.999 --> 00:14:29.365 そうすれば 00:14:30.079 --> 00:14:32.428 我々の中に存在する穴が埋められます 00:14:32.452 --> 00:14:35.277 でももっと重要なのは それで 社会的団結が修復されることです NOTE Paragraph 00:14:35.301 --> 00:14:36.468 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:14:36.492 --> 00:14:40.557 (拍手)