WEBVTT 00:00:00.869 --> 00:00:05.120 歴史は勝者によって 語られると言います 00:00:05.144 --> 00:00:06.456 それが事実ならば 00:00:06.480 --> 00:00:08.528 敗者はどうなってしまうのでしょう 00:00:08.552 --> 00:00:11.330 自らの過去の栄光を知ることなくして 00:00:11.354 --> 00:00:14.726 大きな野望を抱くことなど 望むべくもありません NOTE Paragraph 00:00:15.705 --> 00:00:19.625 表向きには 私はただの服飾デザイナーです 00:00:19.649 --> 00:00:22.792 しかし私は古い織物や 現代の布地のうちに 00:00:22.816 --> 00:00:24.466 より崇高な使命を 見いだしました 00:00:25.411 --> 00:00:26.920 デザイナーの仕事を通して 00:00:26.944 --> 00:00:30.047 私は 社会の周縁に 追いやられてきた人々を 00:00:30.071 --> 00:00:33.013 代弁するということの重要性と 00:00:33.037 --> 00:00:36.330 最も弱い立場にある人々に こう語りかける重要性を見いだしました 00:00:36.354 --> 00:00:38.763 「譲歩しようとしない大多数と 折り合うために 00:00:38.787 --> 00:00:41.427 自分を偽る必要は もはやないのだ」と 00:00:42.505 --> 00:00:44.099 多くの人々がファッションを 00:00:44.123 --> 00:00:46.593 取るに足らないものだと 考えていますが 00:00:46.617 --> 00:00:50.030 実は 偏見を取り除き 過小評価されている人々が 00:00:50.054 --> 00:00:53.633 自己表現をするための 強力なツールとなるのです NOTE Paragraph 00:00:54.833 --> 00:00:58.095 デザインで社会を 変えようと思ったのは 00:00:58.119 --> 00:00:59.595 個人的な理由からです 00:01:00.156 --> 00:01:03.334 私はナイジェリア系アメリカ人なので 「アフリカン」という言葉が 00:01:03.358 --> 00:01:06.620 いかに容易に 地理的な意味合いを離れて 00:01:06.644 --> 00:01:08.469 軽蔑的に用いられるかを 知っています 00:01:09.686 --> 00:01:12.187 美しいアフリカ大陸に バックグラウンドを持つ者にとって 00:01:12.211 --> 00:01:15.194 アフリカ人であることは 文化にインスピレーションを受け 00:01:15.218 --> 00:01:17.797 未来へ絶えず希望を 持ち続けることなのです 00:01:18.647 --> 00:01:23.228 ですから 私の生まれ故郷 アフリカに対する誤ったイメージを 00:01:23.252 --> 00:01:24.927 払拭するために 00:01:24.951 --> 00:01:27.847 私は物語を伝える手段として デザインを使います 00:01:27.871 --> 00:01:29.409 喜びの物語や 00:01:29.433 --> 00:01:30.876 勝利の物語 00:01:30.900 --> 00:01:33.907 アフリカから人々が国外へ 離散する中での忍耐の物語など NOTE Paragraph 00:01:34.580 --> 00:01:35.882 私はこれらの物語で 00:01:35.906 --> 00:01:39.255 歴史の誤った部分を 正していきたいと考えています 00:01:39.279 --> 00:01:42.228 なぜなら どこの出身であろうと 00:01:42.252 --> 00:01:44.878 私たちはそれぞれに 異国に行かざるを得なかった家族の 00:01:44.902 --> 00:01:47.140 複雑な歴史に 心を打たれたことがあるからです 00:01:47.728 --> 00:01:50.612 こうした歴史によって 世界の見方が作られてしまい 00:01:50.636 --> 00:01:53.251 その見方のせいで 数々の偏見が生まれてしまいました 00:01:54.029 --> 00:01:55.791 この偏見を打ち砕くため 00:01:55.815 --> 00:01:58.538 私の作品では 世界各地の美の様式を使い 00:01:58.562 --> 00:02:00.563 偏見のない世界を 求めて闘うことの 00:02:00.587 --> 00:02:02.076 大切さを訴えています 00:02:03.217 --> 00:02:06.075 ヨーロッパの古典的なデザインを 00:02:06.099 --> 00:02:08.235 アフリカらしい美と 融合させることで 00:02:08.259 --> 00:02:11.798 黒人を中心人物に据えることができ 00:02:11.822 --> 00:02:13.736 かつては持ち得なかったような 00:02:13.760 --> 00:02:15.679 威厳をもって描くことができます 00:02:17.015 --> 00:02:21.499 歴史的に受け入れられてきた アフリカ人は劣っているという言説を覆し 00:02:21.523 --> 00:02:24.032 「洗練されておらず 優雅さに欠ける」という 00:02:24.056 --> 00:02:27.477 見られ方を 警戒するようになった黒人を 00:02:27.501 --> 00:02:28.651 鼓舞してくれるのです NOTE Paragraph 00:02:30.072 --> 00:02:32.231 このように 文化を覆すような織物が 00:02:32.255 --> 00:02:34.240 仕立てられて服になったり 00:02:34.264 --> 00:02:38.201 私が偶然にも身に着けている スカーフになったりします NOTE Paragraph 00:02:38.225 --> 00:02:39.667 (笑) NOTE Paragraph 00:02:39.691 --> 00:02:43.009 ヨーロッパの古典主義を 枠組みとしながらも 00:02:43.033 --> 00:02:46.897 こうした物語はアフリカ人の 地位の向上を大胆に後押しします 00:02:47.798 --> 00:02:52.624 こうして 巨匠のツールは かつては抑圧されていた人々を 00:02:52.648 --> 00:02:55.004 称えるための傑作となるのです NOTE Paragraph 00:02:57.014 --> 00:02:59.241 この比喩は 芸術の世界にとどまらず 00:02:59.265 --> 00:03:01.145 現実の世界にも広がっていきます 00:03:01.169 --> 00:03:04.956 この衣服を身につけるのが難民であろうと 革新を担う起業家であろうと 00:03:04.980 --> 00:03:07.647 人がそれぞれの個性を 十分に生かせる形で 00:03:07.671 --> 00:03:10.488 ありのままの自分を 表現する自由を手にすると 00:03:10.512 --> 00:03:12.288 魔法のようなことが起こります 00:03:12.312 --> 00:03:13.684 胸を張って 00:03:13.708 --> 00:03:15.281 誇りを持つことができるのです 00:03:15.305 --> 00:03:18.090 偽りのない 真の自分を 表現しているからです 00:03:18.620 --> 00:03:22.264 そうすると 周りの人々も触発されて 00:03:22.288 --> 00:03:25.747 心を開き 異なる意見に 寛容になれるでしょう 00:03:26.809 --> 00:03:29.221 このようにして 私たちが身に着ける服は 00:03:29.245 --> 00:03:33.015 外交的なソフト・パワーに なりえるのです 00:03:33.709 --> 00:03:35.852 服は 分断されているように 見える文化を 00:03:35.876 --> 00:03:38.437 つなぐ架け橋になれるのです NOTE Paragraph 00:03:38.461 --> 00:03:43.707 ですから 表面的には 私はただの服飾デザイナーですが 00:03:44.786 --> 00:03:47.215 私の作品には常に ファッション以上の意味があります 00:03:48.024 --> 00:03:50.787 文化にまつわる物語を 再構築することを目標にしています 00:03:50.811 --> 00:03:54.803 そうすることで 黒人に対して 新たに含みのある理解がなされ 00:03:54.827 --> 00:03:56.042 そして私たち― 00:03:56.066 --> 00:03:58.098 誇り高きサハラ以南の アフリカ出身者が 00:03:58.122 --> 00:03:59.820 胸を張り 誇りを持って 00:03:59.844 --> 00:04:01.724 世界に進出できるようになるのです NOTE Paragraph 00:04:02.767 --> 00:04:05.158 確かに 歴史は 00:04:05.182 --> 00:04:08.528 かつての勝者によって 語られてきましたが 00:04:08.552 --> 00:04:10.345 私は新しい世代です 00:04:11.472 --> 00:04:12.912 私のデザインは 00:04:12.936 --> 00:04:16.449 過去に煩わされずに 未来へ向かう人々に語りかけます 00:04:16.473 --> 00:04:20.028 いま 私たちは 妥協も 遠慮もせずに 00:04:20.052 --> 00:04:22.845 自らの物語を語る準備が できています 00:04:23.402 --> 00:04:25.052 残る問いは こうです 00:04:25.957 --> 00:04:28.886 あなたがたに 耳を傾ける準備はありますか? 00:04:30.981 --> 00:04:34.179 心構えはしておいてください いずれにせよ 私たちは語るのですから NOTE Paragraph 00:04:34.622 --> 00:04:40.976 (拍手)