お気付きでしょうか
最近出版された本に
多く見られるのは
犬の知覚や感情について
考察したり想像するものです
犬は考え 感じるのか
そうだとしたら どのようにするのか
ですから今日は
限られた時間の中で
大いに当てずっぽうに想像して
2匹の犬をご紹介したいと思います
2匹とも“話してごらん”という号令に
文字通り従ってくれました
最初の犬はこちら
彼は主人との関係性の
ある側面について考えを巡らせており
タイトルは
『犬による主人についての考察』です
「僕の方が若く見えはするが
主人よりも速く年を取りつつある
犬の1歳は人間の7歳に
あたるのだと人は言う
数字はどうあれ
僕はいつか主人の歳を追い越し
先導するのだ
林を散歩するときのように
このことに主人が気付くときが訪れたら
雪や草原に映し出された
僕のどんな影よりも
甘やかなものになるだろう」
(拍手)
ありがとう
次の犬は
亡霊となって語りかけてきます
犬の魂が再び主人に会いに
この世に戻ってきたのです
「俺はあんたに
安楽死させられた犬だ
忘却の針とあんたが呼ぶところの物で
簡単なことをひとつ教えに
戻ってきてやったよ
あんたのことはずっと嫌いだった」
(笑)
「あんたの顔をなめるときは
いつも鼻をむしり取ってやろうと
思っていたし
タオルであんたが体をふくのを見て
飛びかかって がぶりと局部を
噛みちぎってやろうとも考えた
あんたの動き方も気に食わなかった
動物として品性を欠いているよ―
椅子に座って 物を食べるときに
ひざにナプキンを乗せて
ナイフを手にするなんてさ
逃げようとも思ったけれど
弱すぎて それはできなかった
芸も覚えさせられたよな
お座りして 足元にぴたりと付いたり
一番傷ついたのは
手がないのに
「握手」をさせられたことさ
確かに散歩用のリードを
見せられると興奮したけど
それはあんたが
触れたことのないものの
匂いをかぐことができるからさ
信じないだろうけど
嘘をつく理由はないんだからな
車もゴムのおもちゃも大嫌いだったし
あんたの友達も嫌いだった
親戚はもっと嫌だった
首輪の金属のタグがちりちり鳴って
頭がおかしくなりそうだった
あんたはいつも
気持ち良くない場所を撫でてきた」
(笑)
「あんたから得たかったのは
食べ物と水だけさ
あんたが寝ると 月が空に昇っていく間
あんたが寝息をたてるのを見ていた
頭をのけぞらせて
吠えるのを我慢するのは
それはそれは辛いんだ
もう首輪もない
黄色のレインコートもない
モノグラムのセーターも
あんたの庭の
ばかばかしい芝生もない
俺が今いる場所について
あんたに言いたいのはそれだけさ
もうお分かりだろうし
今頃でよかったと思ってるだろうけど
ここではみんな読み書きできるんだ
犬は詩を書き
猫や他の動物は
散文を書くんだ」
ありがとう
(拍手)