0:00:01.210,0:00:02.850 私は皆さんに [br]本日分の 0:00:02.850,0:00:04.650 推奨摂取量の詩を 0:00:04.650,0:00:06.440 お届けに上がりました 0:00:06.820,0:00:08.350 その方法として 0:00:08.350,0:00:10.000 私の5つの詩の 0:00:10.000,0:00:12.000 アニメーションを 0:00:12.000,0:00:14.150 お見せしようと思います 0:00:14.640,0:00:17.100 まずはその経緯を[br]少しお話ししましょう 0:00:17.100,0:00:19.000 この2つのメディアを[br]組み合わせるのは 0:00:19.000,0:00:21.750 ある種不自然で[br]不必要な行為だからです 0:00:22.160,0:00:25.640 私が米国桂冠詩人だったとき・・・ 0:00:25.640,0:00:27.940 この響きが[br]何とも言えませんね 0:00:27.940,0:00:29.690 (笑) 0:00:29.690,0:00:32.610 話の出だしとして[br]申し分ないと思います 0:00:32.610,0:00:35.260 その桂冠詩人だったときに 0:00:35.260,0:00:38.180 広告代理店の[br]J・ウォルター・トンプソンが 0:00:38.180,0:00:40.410 サンダンスチャンネルのための 0:00:40.410,0:00:42.430 企画を持ってきました 0:00:42.430,0:00:44.190 私が詩を朗読し 0:00:44.190,0:00:46.760 それにアニメーションを[br]付けるという 0:00:46.760,0:00:48.240 コンセプトでした 0:00:48.240,0:00:50.700 最初私は抵抗を感じました 0:00:50.700,0:00:52.850 詩というのは[br]単独で成立するものだと 0:00:52.850,0:00:54.830 いつも思っていたからです 0:00:54.830,0:00:57.490 私の詩に音楽を[br]付けようという試みは 0:00:57.490,0:00:58.650 例外なく 0:00:58.650,0:01:01.550 ひどい結果に[br]終わっていました 0:01:03.070,0:01:05.590 音を意識して[br]書かれた詩には 0:01:05.590,0:01:07.540 作る時点で既に 0:01:07.540,0:01:10.560 独自の言葉の音楽が[br]与えられています 0:01:10.560,0:01:12.600 それにまた [br]牛について 0:01:12.600,0:01:14.660 書いた詩を読むとき 0:01:14.660,0:01:16.670 向かいのページにまさか 0:01:16.670,0:01:18.740 牛の絵は[br]必要ないでしよう 0:01:18.740,0:01:21.510 少しは読者に想像の余地を[br]残してあげないと 0:01:21.510,0:01:25.150 それでも私が考えを変えたのは [br]そこに興味深い可能性があったのと 0:01:25.150,0:01:27.230 私自身が子ども時代以来の 0:01:27.230,0:01:29.590 アニメ好きだったからです 0:01:29.590,0:01:32.730 私の想像力に[br]影響を与えたのは 0:01:32.730,0:01:37.460 エミリー・ディキンソンや コールリッジや [br]ワーズワースよりむしろ 0:01:37.460,0:01:39.360 ワーナー・ブラザーズや 0:01:39.360,0:01:42.790 メリー・メロディーズや [br]ルーニー・テューンズだったのです 0:01:42.790,0:01:45.890 バッグス・バニーが[br]私のインスピレーションの源です 0:01:46.590,0:01:50.500 それにまた テレビに詩が[br]登場する道を開くことにもなります 0:01:50.500,0:01:54.210 私は詩を公共の場に[br]出すことには大賛成です 0:01:54.210,0:01:57.130 バスで 地下鉄で 広告板で 0:01:57.130,0:02:00.170 シリアルの箱で[br]詩を見るのです 0:02:00.170,0:02:04.530 私が桂冠詩人だったときのことですが・・・[br]また言ってしまいましたね 0:02:04.530,0:02:07.440 ついついや[br]ってしまうんです・・・ 0:02:07.440,0:02:10.380 (笑) 0:02:10.380,0:02:13.240 私はデルタ航空のための[br]詩の番組を作っていて 0:02:13.240,0:02:15.420 それは2年ほど[br]続きました 0:02:15.420,0:02:18.180 飛んでいる間 詩のチャンネルを[br]楽しめるわけです 0:02:18.180,0:02:20.310 私の感覚からするなら 0:02:20.310,0:02:22.380 詩を本棚から取り出して 0:02:22.380,0:02:25.440 日常の場面に配する[br]というのは良いことです 0:02:25.440,0:02:28.990 詩との出会いを作れます [br]これは取り入れたいアイデアです 0:02:28.990,0:02:31.910 広告板やラジオ番組や[br]シリアルの箱などに 0:02:31.910,0:02:33.660 詩が出てくれば 0:02:33.660,0:02:36.070 不意に接することになって 0:02:36.070,0:02:38.650 多くの人が[br]高校の時に身に付ける 0:02:38.650,0:02:41.590 対詩回避シールドを[br]展開する 0:02:41.590,0:02:44.000 間がありません 0:02:46.300,0:02:49.210 それでは最初のを[br]見ることにしましょう 0:02:49.210,0:02:52.470 『ブダペスト』という題の[br]短い詩です 0:02:52.470,0:02:54.780 この中で私は[br]創作プロセスの 0:02:54.780,0:02:56.980 秘密を明かすというか 0:02:56.980,0:03:00.000 明かすような[br]ふりをしています 0:03:01.510,0:03:03.560 『ブダペスト』 0:03:03.560,0:03:06.270 私のペンはページの上を 0:03:06.270,0:03:09.190 奇妙な動物の鼻のように[br]動き回る 0:03:09.190,0:03:11.230 人の腕のような姿をし 0:03:11.230,0:03:13.250 ゆったりした[br]緑のセーターの 0:03:13.250,0:03:15.320 袖を身に纏っている 0:03:15.320,0:03:18.640 それが紙の上を[br]休みなく嗅ぎまわり 0:03:18.640,0:03:20.960 今日の糧となる 0:03:20.960,0:03:23.450 地虫や昆虫しか 0:03:23.450,0:03:26.210 頭にない狩人のように 0:03:26.210,0:03:29.140 一心な様子を[br]眺めている 0:03:29.140,0:03:32.120 明日もここにいるのが[br]唯一の望み 0:03:32.120,0:03:34.260 格子縞のシャツの袖でも 0:03:34.260,0:03:36.310 纏えれば言うことはなく 0:03:36.310,0:03:38.600 鼻を紙の上に押しつけ 0:03:38.600,0:03:42.070 任務のように[br]線をさらに書きつける 0:03:42.070,0:03:45.800 その間私と言えば [br]窓の外を眺め 0:03:45.800,0:03:47.250 ブダペストや 0:03:47.250,0:03:48.400 その他の 0:03:48.400,0:03:51.470 行ったこともない[br]街のことを思っている 0:03:52.680,0:03:55.260 少し簡単そうに[br]見せていますが 0:03:55.260,0:03:57.740 (拍手) 0:03:57.740,0:04:01.340 書くというのは 私にとって[br]そこまで簡単ではありません 0:04:01.340,0:04:06.120 でも簡単にできるように[br]見せたいのです 0:04:06.120,0:04:11.330 入門的な詩の授業の後 [br]学生がやってきて言ったんです 0:04:12.160,0:04:14.640 「詩は文章より[br]難しいですよね」と 0:04:14.640,0:04:17.780 これは間違ってますが [br]鋭いものがあります 0:04:17.780,0:04:20.350 (笑) 0:04:20.350,0:04:23.680 だから少なくとも ただ流れ出てくる[br]かのように見せたいのです 0:04:23.680,0:04:26.420 詩人でもある友人が[br]よく言うのは 0:04:26.420,0:04:29.360 「最初うまくいかなかったら 0:04:29.360,0:04:32.900 試みた痕跡をみんな隠せ」[br]ということです 0:04:32.900,0:04:34.330 (笑) 0:04:34.330,0:04:36.770 次の詩も短いものです 0:04:36.770,0:04:40.200 詩というのはちょっとしたことを[br]違ったように言っているだけです 0:04:40.200,0:04:43.430 この詩は煎じ詰めると[br]「クマを食べる身になることもあれば 0:04:43.430,0:04:47.060 クマに食べられる身になることもある」[br]ということです 0:04:47.060,0:04:47.980 そしてここでは 0:04:47.980,0:04:51.010 人形の家の家具のイメージを[br]使っています 0:04:51.010,0:04:53.000 『ある時には』 0:04:55.320,0:04:56.620 ある時には 0:04:56.620,0:04:59.450 私は人々をテーブルに付かせる 0:04:59.780,0:05:01.660 関節が曲げられるなら 0:05:01.660,0:05:04.180 彼らの脚を[br]膝のところで折り曲げ 0:05:04.180,0:05:07.310 小さな木の椅子に据える 0:05:07.310,0:05:10.170 午後の間中 [br]顔を見合わせたまま 0:05:10.170,0:05:12.370 茶色いスーツの男や 0:05:12.370,0:05:14.320 青いドレスの女が 0:05:14.320,0:05:18.290 身じろぎもせず [br]行儀良くしている 0:05:18.290,0:05:19.770 別な時には 0:05:19.770,0:05:22.490 私の方が[br]体をつまみ上げられ 0:05:22.490,0:05:26.380 人形の家の食堂に[br]下ろされて 0:05:26.380,0:05:29.330 他の人たちと共に[br]長テーブルにつく 0:05:29.880,0:05:31.600 まったくお笑いだ 0:05:31.600,0:05:33.540 しかしその日その日を 0:05:33.540,0:05:36.530 どう過ごすことになるのか[br]分からなかったとしたら 0:05:36.530,0:05:38.660 どう思うだろうか? 0:05:38.660,0:05:41.720 肩が雲に達する[br]躍動的な神のように 0:05:41.720,0:05:44.530 大股で歩き回って[br]過ごすことになるのか 0:05:44.530,0:05:46.770 それとも壁紙に[br]取り囲まれて 0:05:46.770,0:05:48.450 席につき 0:05:48.450,0:05:50.620 小さな作り物の顔で 0:05:50.620,0:05:54.960 正面を見つめて過ごすことになるのか [br]分からなかったとしたら? 0:05:55.800,0:06:01.420 (拍手) 0:06:01.420,0:06:04.000 これにはどこか恐怖映画のような[br]趣があります 0:06:04.000,0:06:06.510 次の詩は『忘却』という作品で 0:06:06.510,0:06:08.690 記憶の低下を題材にした 0:06:08.690,0:06:12.000 詩的なエッセイのようなものです 0:06:12.330,0:06:14.330 この詩は ある種の 0:06:14.330,0:06:17.360 忘却性ではじまります 0:06:17.360,0:06:19.410 文芸的健忘と 0:06:19.410,0:06:21.240 呼ぶ人もいますが 0:06:21.240,0:06:25.420 つまりは 読んだことを[br]忘れるということです 0:06:28.380,0:06:30.290 『忘却』 0:06:30.290,0:06:33.280 最初に失われるのが[br]著者の名前で 0:06:33.280,0:06:35.440 それに続いて [br]いつの間にか 0:06:35.440,0:06:37.270 書名 筋書き 0:06:37.270,0:06:39.200 悲痛な結末 0:06:39.200,0:06:41.460 小説の全体が消え 0:06:41.460,0:06:44.220 突然 読んだことが[br]ないものになり 0:06:44.220,0:06:46.300 聞いたことも[br]ないものになる 0:06:46.300,0:06:48.410 かつては宿していた 0:06:48.410,0:06:51.410 記憶が1つひとつ 0:06:51.410,0:06:53.190 南脳半球にある 0:06:53.190,0:06:56.140 電話も通じない[br]小さな漁村へと 0:06:56.140,0:06:59.320 引っ込むことに[br]決めたかのようだ 0:06:59.320,0:07:01.000 だいぶ以前に 0:07:01.000,0:07:04.280 9人のミューズの名前に[br]お別れのキスをし 0:07:04.280,0:07:06.210 二次方程式が荷物を 0:07:06.210,0:07:08.350 まとめるのを見た 0:07:08.350,0:07:09.840 今でさえ 0:07:09.840,0:07:12.300 惑星の順番を[br]覚えるはなから 0:07:12.300,0:07:14.450 別なものが[br]抜け落ちていく 0:07:14.450,0:07:16.820 州の花だったり 0:07:16.820,0:07:18.590 叔父の住所や 0:07:18.590,0:07:20.540 パラグアイの首都 0:07:20.540,0:07:22.430 思い出そうと 0:07:22.430,0:07:24.610 あがいているものが[br]何であれ 0:07:24.610,0:07:27.250 喉に出かかるどころか 0:07:27.250,0:07:29.000 脾臓の 0:07:29.000,0:07:31.000 目立たない片隅に 0:07:31.000,0:07:33.280 隠れてさえいない 0:07:33.280,0:07:35.640 神話上の暗い川に乗って 0:07:35.640,0:07:38.340 流れていって[br]しまったのだ 0:07:38.340,0:07:41.220 その川の名前は [br]覚えている限りでは 0:07:41.220,0:07:43.530 Lで始まるのだが 0:07:43.530,0:07:46.270 忘却の地へと向かう[br]途上にあって 0:07:46.270,0:07:48.560 泳ぎ方や 自転車の乗り方さえ 0:07:48.560,0:07:50.730 忘れてしまった人たちに 0:07:50.730,0:07:53.270 やがて加わることになる 0:07:53.270,0:07:56.220 夜中に目を覚まし 0:07:56.220,0:07:59.400 戦争の本を開いて [br]有名な戦闘のあった日付を 0:07:59.400,0:08:01.360 探すのも無理はない 0:08:01.360,0:08:03.330 窓の外の月が 0:08:03.330,0:08:06.230 かつてはそらで言えた[br]恋愛詩から 0:08:06.230,0:08:10.280 抜け出したかのように[br]見えるのも無理はない 0:08:12.000,0:08:16.400 (拍手) 0:08:20.320,0:08:22.590 次の詩は『田舎』です 0:08:22.590,0:08:24.000 これは 0:08:24.000,0:08:25.800 大学の時に知り合って 0:08:25.800,0:08:29.260 今も親しくしている友達とのことを[br]元にしています 0:08:29.260,0:08:31.620 彼は昔も今も[br]バーモントの田舎住まい 0:08:31.620,0:08:33.660 私の方はニューヨークに[br]住んでいて 0:08:33.660,0:08:35.590 互いによく[br]行き来していました 0:08:35.590,0:08:37.520 私が田舎に行ったときには 0:08:37.520,0:08:40.400 彼が鹿狩りとか・・・ 0:08:40.400,0:08:43.620 これは銃を持って迷子になるのと [br]ほぼ同義でしたが・・・ 0:08:43.620,0:08:45.130 (笑) 0:08:45.130,0:08:47.820 あるいはマス釣りなんかを[br]教えてくれ 0:08:47.820,0:08:49.450 彼がニューヨークに来ると 0:08:49.450,0:08:51.370 私が知っていることを[br]教えましたが 0:08:51.370,0:08:53.590 それは概ね [br]酒と煙草でした 0:08:53.590,0:08:55.360 (笑) 0:08:55.360,0:08:58.220 そうやって私達は[br]互いの知識を交換していたのでした 0:08:58.220,0:09:00.360 これから出てくる詩は 0:09:00.360,0:09:03.280 彼が田舎の暮らし特有の[br]家庭の作法について 0:09:03.280,0:09:05.340 ちょっと教えようと[br]したことが 0:09:05.340,0:09:07.150 元になっています 0:09:07.150,0:09:10.200 最初私には理解しがたく[br]感じられたのです 0:09:10.200,0:09:12.100 では『田舎』をご覧ください 0:09:12.430,0:09:14.300 『田舎』 0:09:14.300,0:09:16.480 どこで擦っても[br]点けられる 0:09:16.480,0:09:18.380 マッチの入った箱を 0:09:18.380,0:09:21.360 家の中に放って置いては[br]いけないと 0:09:21.360,0:09:24.230 君が言ったのを[br]訝しく思った 0:09:24.230,0:09:28.450 ネズミが入って火を付ける[br]かも知れないと言うのだから 0:09:28.450,0:09:30.650 しかしいつもマッチを 0:09:30.650,0:09:32.740 しまっておくという 0:09:32.740,0:09:36.300 丸い缶の蓋を[br]閉めていた時の君の顔は 0:09:36.300,0:09:38.480 真面目そのものだった 0:09:38.480,0:09:40.530 その夜どうして[br]眠ることができるだろう 0:09:40.530,0:09:42.600 一匹のネズミが 0:09:42.600,0:09:45.260 花柄の壁紙の裏の 0:09:45.260,0:09:47.870 冷たい水道管を伝って 0:09:47.870,0:09:50.170 尖った歯の先に[br]マッチをくわえて 0:09:50.170,0:09:52.490 やってくる[br]尋常でない様を 0:09:52.490,0:09:55.310 どうして頭から追い払うことが[br]できるだろう 0:09:55.310,0:09:58.170 そのネズミが角を曲がる時 [br]青い先端が 0:09:58.170,0:10:01.410 荒削りの梁を擦って [br]突然 炎が上がり 0:10:01.460,0:10:04.480 明るく輝くその瞬間に [br]その生き物が 0:10:04.480,0:10:07.000 突如として[br]時代を飛び越え 0:10:07.000,0:10:09.420 今や 火を起こした者となり 0:10:09.420,0:10:11.480 今や 忘れられた儀式の 0:10:11.480,0:10:13.030 指導者 0:10:13.030,0:10:15.310 小さな茶色い[br]ドルイド僧となって 0:10:15.310,0:10:17.290 古代の夜を照らす姿を 0:10:17.290,0:10:19.630 どうして想像せずに[br]いられるだろう 0:10:19.630,0:10:22.030 燃え上がる断熱材の中に[br]照らされる 0:10:22.030,0:10:24.540 仲間のネズミたちの[br]小さな顔に浮かぶ 0:10:24.540,0:10:26.440 驚異の表情に 0:10:26.440,0:10:29.340 どうして気づかずに[br]いられるだろう 0:10:29.340,0:10:31.390 それは田舎にあった 0:10:31.390,0:10:35.390 かつての君の家の [br]かつての住人たちだ 0:10:35.390,0:10:38.630 (拍手) 0:10:38.630,0:10:40.430 どうも 0:10:40.430,0:10:43.490 (拍手) 0:10:43.490,0:10:45.230 最後の詩は『死者』です 0:10:45.230,0:10:47.520 友人の葬儀の後に[br]書いたものですが 0:10:47.520,0:10:49.340 その友達について[br]というよりは 0:10:49.340,0:10:51.340 弔辞を述べる人が[br]よく口にする 0:10:51.340,0:10:53.460 「集まってくれたみんなを[br]見下ろして 0:10:53.460,0:10:56.370 どんなに故人が喜んでいるか」[br]という話を扱っています 0:10:56.370,0:10:59.400 私からすると 自分の葬儀を見て[br]喜ばなきゃいけないというのは 0:10:59.400,0:11:02.860 死後の生活の始まりとして [br]あまりいいものには思えなかったのです 0:11:02.860,0:11:06.360 それでは『死者』という[br]短い詩をお聞きください 0:11:06.980,0:11:08.780 『死者』 0:11:08.780,0:11:11.000 死者はいつも私達を 0:11:11.000,0:11:13.000 見下ろしているという 0:11:13.000,0:11:16.480 靴を履く時も [br]サンドイッチを作る時も 0:11:16.480,0:11:18.280 彼らは天国の 0:11:18.280,0:11:21.300 ガラス底のボートから[br]見下ろしている 0:11:21.300,0:11:23.000 ゆっくりと永遠を 0:11:23.000,0:11:25.230 漕ぎ進みながら 0:11:25.230,0:11:27.140 私達の頭のてっぺんが 0:11:27.140,0:11:29.960 下界で動き回るのを[br]見ている 0:11:29.960,0:11:31.230 私達が 0:11:31.230,0:11:33.940 暖かな午後の囁きにでも[br]誘われて 0:11:33.940,0:11:36.150 野原やソファで 0:11:36.150,0:11:38.370 横になるときには 0:11:38.370,0:11:41.460 彼らは見つめ返されていると思い 0:11:41.460,0:11:43.420 オールを引き上げて 0:11:43.420,0:11:45.620 押し黙り 0:11:45.620,0:11:48.000 親のように 0:11:48.000,0:11:51.420 私達が目を瞑るのを[br]待っている 0:11:53.000,0:12:00.950 (拍手) 0:12:00.950,0:12:03.510 他の詩にもアニメーションが[br]付けられるのか分かりません 0:12:03.510,0:12:04.810 時間がかかりますから 0:12:04.810,0:12:07.380 この組み合わせは [br]むしろ珍しく 0:12:07.380,0:12:09.660 両者を一緒にするには[br]時間がかかるのです 0:12:09.660,0:12:12.010 しかしスーツケースに[br]車輪を付けるのだって 0:12:12.010,0:12:13.730 長い時間がかかりました 0:12:13.730,0:12:16.180 (笑) 0:12:16.180,0:12:19.990 車輪は随分昔から[br]あったんです (笑) 0:12:19.990,0:12:21.890 そして重い荷を[br]引っ張るというのも 0:12:21.890,0:12:25.000 古くからある[br]立派な技術なのです (笑) 0:12:25.950,0:12:27.530 ごく最近の詩を1篇だけ 0:12:27.530,0:12:29.790 読める時間が[br]残っています 0:12:29.790,0:12:33.000 この詩にテーマが[br]あるとしたら 0:12:33.000,0:12:35.300 それは思春期です 0:12:35.300,0:12:37.540 ある人に向けて[br]書いたものです 0:12:37.540,0:12:43.260 題は『私の大好きな[br]17歳の女子高生の君に』です 0:12:43.910,0:12:46.580 生まれた日に[br]建て始めていたら 0:12:46.580,0:12:48.440 あと1年でパルテノンが 0:12:48.440,0:12:51.190 完成していたのを[br]知っていましたか? 0:12:51.190,0:12:53.360 もちろん1人で作れるものでは[br]ありませんから 0:12:53.360,0:12:55.260 気にすることはありません 0:12:55.260,0:12:57.360 君はそのままで[br]問題ないのです 0:12:57.360,0:13:00.140 君自身として[br]君は愛されています 0:13:00.140,0:13:02.240 でも知っていましたか? 0:13:02.240,0:13:07.410 君の年にはジュディ・ガーランドは[br]映画1本につき15万をドル稼ぎ 0:13:07.410,0:13:11.380 ジャンヌ・ダルクは[br]フランス軍を勝利に導き 0:13:11.380,0:13:14.630 ブレーズ・パスカルは自分で[br]部屋を片付けていたのを — 0:13:14.630,0:13:18.300 いやつまり 計算機を[br]発明していたのを? 0:13:18.300,0:13:20.540 もちろん そういったことを[br]する時間は 0:13:20.540,0:13:22.600 君の人生にまだ[br]たっぷり残っています 0:13:22.600,0:13:24.260 自分の部屋を出て 0:13:24.260,0:13:26.310 美しく花開いた後にも 0:13:26.310,0:13:30.190 あるいは少なくとも[br]靴下をみんな拾った後にも 0:13:30.190,0:13:32.220 なぜかよく思い出すのは 0:13:32.220,0:13:34.280 レディ・ジェーン・グレイが 0:13:34.280,0:13:37.570 ほんの15歳で[br]イングランド女王になったことです 0:13:37.570,0:13:39.620 もっとも その後[br]斬首されたので 0:13:39.620,0:13:43.390 お手本にしなくても[br]よいでしょう (笑) 0:13:43.390,0:13:45.270 その何世紀か後 0:13:45.270,0:13:47.450 君の年の時に 0:13:47.450,0:13:51.210 フランツ・シューベルトは[br]皿を洗って家の手伝いをしながらも 0:13:51.210,0:13:53.190 若年にして 0:13:53.190,0:13:56.650 2つの交響曲 [br]4つの歌劇 0:13:56.650,0:13:59.760 2つの荘厳ミサを[br]作曲しています 0:13:59.760,0:14:01.890 (笑) 0:14:01.890,0:14:04.700 もちろんこれは[br]叙情的ロマン主義の頂点たる 0:14:04.700,0:14:06.210 オーストリアでの話で 0:14:06.210,0:14:08.680 ここクリーブランド郊外とは[br]違います 0:14:08.680,0:14:10.390 (笑) 0:14:10.390,0:14:12.400 はっきり言って[br]どうでもいいのです 0:14:12.400,0:14:15.430 アニー・オークレイが[br]15で射撃の名手だったとか 0:14:15.430,0:14:19.240 マリア・カラスが17の時[br]トスカでデビューを果たしたことなんて 0:14:19.240,0:14:22.400 ありのままの君として[br]君は特別です 0:14:22.400,0:14:25.900 食べ物をおもちゃにし [br]宙をぼーっと見つめて 0:14:25.900,0:14:28.580 (笑) 0:14:28.580,0:14:30.000 ところで 0:14:30.000,0:14:33.230 シューベルトが皿を洗っていた[br]というのは嘘です 0:14:33.230,0:14:37.650 でもだからといって 彼が家の手伝いを[br]しなかったとは言えません 0:14:37.650,0:14:40.700 (笑いと拍手) 0:14:40.700,0:14:43.000 どうもありがとうございました 0:14:43.000,0:14:48.770 (拍手) 0:14:48.770,0:14:50.000 どうも 0:14:50.000,0:14:52.000 (拍手)